今日観た映画の感想

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思ってたのとは違った「君たちはどう生きるか」(2023)

ぷらすです。

公開初日、最初の回で観てきました。宮崎駿監督の『君たちはどう生きるか

正直に言うと、果たしてこの作品をどう受け取ればいいのか、自分の中でまだ整理がつかないというか、ただ、賛否はあるでしょうが個人的には2時間4分大いに楽しんだのは間違いなかったです。

で、公開されたばかりの作品なのでネタバレには気を付けて感想を書きますが、正直どこまで書けばネタバレで、どこまでセーフなのかよく分からないので、もしこれから本作を観に行くという方、ネタバレは絶対に嫌という方は先に映画を観てからこの感想を読んで下さい。あと、観に行こうかどうしようか迷っているという方は、劇場で観る事をおススメします。

いいですね? 注意しましたよ?

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画像出展元URL:http://eiga.com

概要

もののけ姫』『千と千尋の神隠し』などの宮崎駿が、『風立ちぬ』以来約10年ぶりに監督を務めた作品。タイトルは吉野源三郎の同名の著作に由来し、宮崎監督が原作と脚本を手掛ける。(シネマトゥデイより引用)

感想

歴代宮崎アニメのセルフオマージュではあるが

というわけで早速映画館で観てきたんですが、正直、「宮崎駿が新作に着手」「タイトル(原作)は『君たちはどう生きるか』」と聞いた時点で、「千と千尋~」以降の宮崎アニメを観てきた身としては「あー多分、駿おじいちゃんに2時間ずっと説教されてるような作品なんだろうな」と予想していたんですよ。

それでも、僕は子供のころにからずっと、駿に楽しませてもらってきたわけで、その駿の(恐らくは最後の)新作が公開となれば、これはもう観ないという選択肢はないわけです。

で、映画館で観てきたわけですが。

まぁ一言で言うなら一人ジブリ記念館というか、宮崎アニメミュージアムというか。

基本的にはずっと、歴代宮崎アニメのセルフオマージュで構成されていて、正直これといった新しさは感じませんでした。それが意図的なのか無意識の手癖なのかは分かりませんが。

それでいて冒頭の火事のシークエンスなどでは「うわ、この人まだ新しい表現に挑んでるんじゃん!」と度肝を抜かれたし、アニメーションの面白さ、つまり絵が動く面白さ・楽しさの表現と言う意味で、80歳を超えた今もトップランナーなのは間違いないんですよね。

ストーリーの方も、基本的には「千と千尋~」の男の子版と言う感じで、そこに「風立ちぬ」「崖の上のポニョ」「ハウルの動く城」「天空の城ラピュタ」などのエッセンスが挿入されている感じ。

なので、最初思っていたのとはだいぶ違っていたなーと。

基本的な物語の流れは宮崎駿お得意の冒険活劇ファンタジーではあるものの、その中には濃厚な死の匂いも漂っているんですよね。いや、それこそがまさに老境に差し掛かって以降の宮崎駿の作家性ではあるんでしょうけども。

一方で、宮崎アニメで描かれる大きなテーマ「母親との関係性」についても、本作ではこれまで以上にはっきりした形で描かれているという印象でした。

クロサワの「夢」と本作

あと、僕が本作を観ながら何故か思い出したのが、黒澤明の「夢」を見た時の気持ちでした。いや、物語的にも映像的にもまったく似たところはないんですけどね。

当時、僕にとって黒澤明って、難しい大作時代劇の人というイメージで、「影武者」とか「乱」なんかは、何回観ても途中で寝てしまってましたから。

で、そんな黒沢明の「夢」は、黒沢映画の中では評価が低いというか、割とハッキリ駄作扱いされていたと思うんですが、僕は黒沢作品の中でもこの映画が好きなんですよね。なんていうかこう、憑き物が落ちてるというか、ストンと肩の力が抜けているというか。それまで黒沢が背負っていた大きな荷物をこの映画では下ろしているような印象があって、物語とかテーマとか、そういうのはイマイチ分かってないんですが、単純に観ていて心地いいというか。

それで言うと、僕は宮崎さんに黒澤明、高畑さんに小津安二郎をその作風や関係性も含めて何となく重ねてるというか、特に宮崎さんの最初は小さな物語を作ろうとしてもついついエンタメ大作になっちゃうトコとか、クロサワっぽいなーって思ってたのです。

「夢」はクロサワ80歳の作品でもあるし、美しい映像の中に濃厚に漂う死の香りなんかは、まさに本作と(っていうか本作がだけど)重なる部分が多い感じがしました。

映像の豪華さ

そんな本作の作画協力には「スタジオポノック」「スタジオ4°c」「CWF」「スタジオ地図」など、恐らく現在日本のアニメ界のトップが揃っているだけに、その映像は超豪華。アニメーションに関して門外漢の僕でも「うぉ、凄い!」って思うシーンが多々あったので、アニメーションが好きな人なら見ているだけで目が幸せなんじゃないかって思います。

もちろん近年の宮崎駿作品と同じく、本作もまた好き嫌いや賛否はかなり分かれるんじゃないかと思います。(好みとかだけじゃなく、ジェネレーションでも分かれそう)

でも個人的には2時間4分大いに楽しんだし、もし、本作を観ようか観まいか迷っている人には「劇場で観た方がいいよ」と言っておきたい。そんな作品でしたよ。

興味のある方は是非!!