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リチャード・リンクレイターが描く青春映画の傑作!「エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に」(2016)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、『6才のボクが、大人になるまで。』のリチャード・リンクレイター監督が描くボンクラ青春映画『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』ですよー!

映画ファンの間では公開時から大評判だったのですが、タイミングが合わなくて劇場で観る事が出来なかったんですよねー。
で、ついにレンタルが始まったので早速観てみましたー!

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あらすじと概要

6才のボクが、大人になるまで。』で話題をさらったリチャード・リンクレイターが、監督と脚本を務めた青春ドラマ。野球推薦で大学に入学した主人公がこれからの数年を共にすることになる仲間たちと出会い、授業開始直前に過ごす濃密な時間を映す。出演は、ブレイク・ジェナー、ゾーイ・ドゥイッチ、グレン・パウエルら。主人公たちの青春が共感を呼ぶ。

トーリー:1980年夏、ジェイク(ブレイク・ジェナー)は、野球の推薦入学生として大学に通うことになる。本格的に授業がスタートする前の数日間、彼は新しく知り合ったチームメイトたちと共にどんちゃん騒ぎを始める。話題は野球や女子たちのこと、好みの曲や下品なジョークまでといろいろで……。(シネマトゥディより引用)

 

感想

6才のボクが、大人になるまで。』の続編!?

本作の監督はベルリン国際映画祭監督賞を受賞した「ビフォア・サンライズ 」とリアルタイムでその9年後を描いた『ビフォア・サンセット』や、2002年から2013年まで12年間をかけて一人の少年の成長を追った「6才のボクが、大人になるまで。」などで知られるリチャード・リンクレイター

そんな世界中の映画ファンに注目されている彼の最新作が本作「エブリバディ・ウォンツ・サム!!」で、監督は本作を夏休みを迎えた高校生の日常を描いたグラフィティ・コメディの傑作「バッド・チューニング」と「6才のボクが、大人になるまで。」の精神的続編的なものだと考えているとインタビューで答えているそうです。

「6才の~」では、6才の少年メイソンJr.が18才になり、母親の元を離れて大学寮に入るまでを描いていますが、本作は18才のジェイクが野球の推薦入学生として地元からテキサスの大学寮にやってくるところから、大学の一学期が始まるまでの3日間(と15時間)を描いた作品なんですねー。

ボンクラ野球部員たちがバカ騒ぎする超ゴキゲンな映画

本作の舞台は1980年代の南東テキサス州立大学。撮影はオースティンを始め、テキサス州各地で撮影されているそうです。

オープニング早々、ジェイクがザ・ナックの『マイ・シャローナ』をカセットテープでかけながらオンボロの愛車で野球部の寮にやってくるシーンで、「あ、ゴキゲンな映画だ」という匂いがプンプン。

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そして大学の野球部員用の学生寮(市が借りた一軒家)に到着したジェイクは、一癖も二癖もありそうな先輩たちや新入生の仲間たちに出会います。

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もうね、こいつらが如何にもな「僕らがイメージするアメリカのウェイウェイな若者」って感じで、チ〇コとおっぱいの話ばっかしてます。
小学生か!w

また、購入したウォーターベッドに水を入れてたら二階の床が抜けそうになったり、女の子をナンパしたりフラレたり、地元の店で飲んだり、ナンパしたり、ケンカして出禁になったり、寮で乱痴気騒ぎしたり、エッチしたり、演劇科のパーティーに乱入したり、ナンパしたり、エッチしたり、大麻吸ってラリったり、恋したり、下らないイタズラに興じたり。

お前らホントに強豪野球部なの? と呆れつつも、彼らの下らないけど超ゴキゲンな様子に思わず観ているコッチもつられて笑っちゃうんですよねーw。

ただのバカ騒ぎ青春映画ではないほろ苦さも

ただ、そんなバカ騒ぎの合間に、彼らがスポーツという勝負の世界で勝ち抜いてきたエリートだと感じさせるシーンも。

例えば、卓球やダーツ、ビリヤード、ゲンコツの骨の部分を爪で弾く(日本で言えばデコピンやしっぺ的な)我慢比べなど。
どうでもいい遊びでも彼らは異常なくらい勝負にこだわり、負けるとガチギレするくらい負けず嫌い。
他にも自分はプロ志向で大学やプロからもスカウトが来たとやたら自慢しまくる自称153キロのボールを投げるヤツもいます。

要は、それぞれが子供の頃から野球一筋で、ライバルたちとの争いに勝ち残って強豪校のスポーツ推薦を勝ち取ったというプライドもあり、一方でビックマウスで自分を鼓舞することでライバルに弱みを見せまいとする弱さも抱えている普通? の若者なんですよね。

新入生たちも強豪校の中で通じるのかという不安を抱えていて、そんな彼らプライドと将来への不安。期待と諦めをバカ騒ぎの最中にちょこちょこ挟み込んでいく事で、本作はただゴキゲンなだけのバカ騒ぎだけじゃない、厚みのある「青春映画」になってると思います。

舞台が大学っていうのも絶妙ですよね。
大学は大人時代への入口でもあって、高校生の時よりも自由だけど、その先には社会人っていう現実が見えていて子供の頃みたいに無邪気なままではいられない。
社会に出る準備期間でもあるし、社会へ出るまでのモラトリアム期間でもあるわけで、学年が上がるほど現実が迫ってくるわけですよ。

なので、大学の一学期が始まる前の3日間はジェイクにとって、無邪気な子供でいられる最後の時間なんですね。

また、劇中の時間も前作「6才の~」で12年をかけてじっくり子供の成長を描いたのに対し、本作では時間をたった3日間に限定したのも、両作が「対」になるように監督は考えていたのかもしれません。

という事も含めて、本作はゴキゲンでちょっぴりほろ苦い青春映画の傑作です!

興味のある方は是非!!

 

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全てはここから始まった「トイ・ストーリー&トイ・ストーリー2」(1996/2000)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、ディズニーピクサー初の劇場用長編アニメ『トイ・ストーリー』とその続編『トイ・ストーリー2』ですよー!

「そういえば『トイ・ストーリー3』ってまだ観てないなー。3を観る前に前2作をおさらいしておこう」と思って観始めたわけですが、実は2も未鑑賞だったことが発覚。
さらに1の内容も随分内容を忘れてたので、とても新鮮な気持ちで観ることができましたよーw

 

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あらすじと概要

トイ・ストーリー
カウボーイ人形のウッディはアンディ少年の大のお気に入り。だがそれも誕生日プレゼントでアクション人形バズ・ライトイヤーを手にするまでの事だった。NO.1の座を奪われたウッディは何とかバズをこらしめようとするが、バズはバズで自分が本物のスペース・レンジャーだと思い込んでいる有り様。そんな二人がふとしたいざこざから外の世界に飛び出してしまう。なんとか我が家へ帰還しようとする二人だが、なんとアンディの隣に住む悪ガキのシドに捕まってしまった……。(allcinema ONLINEより引用)

トイ・ストーリー

フルCGで描かれた、人気ディズニーアニメの続編。カウボーイ人形のウッディを主人公に、オモチャたちの世界を躍動感一杯に描く。前作を上回るディテールの凝った映像は必見。声の出演にトム・ハンクス。ある日、ウッディがオモチャ屋のアルにさらわれてしまう。ビンテージ品としての価値に目を付けたアルは、彼を博物館へ売りつけようと奔走。ウッディの友人であるバズたちは、彼を助けるためアルの行方を追う。(allcinema ONLINE より引用)

 

感想

全てはここから始まった

トイ・ストーリー』はご存知ピクサーの代表作であり、また米国で1995年に公開された劇場長編アニメーションとしては、初のフルCG作品です。
そして、本作の大ヒットによりピクサーは注目され、現在に続く一大アニメーションスタジオになっていったわけですねー。

当時のCG技術はまだまだ過渡期で、1993年公開の『ジュラシック・パーク』が世界中に衝撃を与えたとはいえ、まだアニメーションはセル画で手書きが当たり前の時代。そんな時代に彗星のごとく登場した『トイ・ストーリー』の大ヒットで、フルCGアニメーション時代の幕が開いたんですよね。

トーリー重視の姿勢

とはいえ、当時としては革新的だった映像もCGアニメに慣れた今の視点で観れば、まだまだ「CG感」ありありで、アニメの完成度として観れば手書きアニメの方が上って感じに思えるんですが、それでも「トイ・ストーリー」が世界中に衝撃を与えた要因は、なんと言っても徹底的に作りこんだストーリーにあると思います。

骨格はシンプルながら普遍的なテーマを盛り込み、その上でスタッフ全員でアイデアを出し合いながらストーリーをブラッシュアップしていくことで、キャラクターや世界観に実在感や物語内リアリティーが出ているし、それまでの子供向けな漂白された笑いだけでなく、ほんのりブラックな要素も入れ込むことで、大人の鑑賞にも耐える強度を持った作品に仕立て上げたんですね。

それが誰も見たことのない映像、ディズニーに象徴される伝統的なカトゥーンアニメの間や動きと合わせて、ピクサー独自のアニメーションになって行ったんだと思います。

あれ? こんなヤツだっけ!?

で、久しぶりに「トイ・ストーリー」を観てまず驚いたのが、主人公ウッディの性格。「あれ、お前そんなヤツだっけ!?」って思いましたねーww

アンディーの一番のお気に入りで、他のオモチャたちのリーダー的存在だったウッディが、新入りのアクションフィギアのバズに嫉妬してある行動に出るわけですが、主人公の行動としては「えーー!」って感じでした。
なんて言うか、超人間臭いなお前。そして器ちっちゃいなーっていうww

まぁ、ほんの出来心だったとはいえ、偶然が重なって大事件に発展したことで、仲間たちの信用は失うわ隣の悪ガキ シドに捕まるわとそれ相応の罰も受けてるし、試練を経て成長するっていう物語だから仕方ないのかもですが。

でもメイキングを観てみると、初期のウッディ案ではもっともっと嫌なヤツだったみたいなので、それでも良くはなってるんですよね。初期の設定のまま進まなくてほんと良かったw
そしてバズに嫉妬するウッディの様子は、子供よりむしろ大人の方が観ていてギクっとなるかもって思いました。
多かれ少なかれ、大人なら誰でも似たような感情を覚えた事があると思うんですよね。

あと、子供が超リアル。
子供向きのアニメに出てくる子供ってありえないくらい良い子じゃないですか。
「大人たちがこうあって欲しいと思う子供像」っていうか。

でも、本作のアンディーもシドも、二人の妹もそれぞれ、無邪気な子供だからこその残酷さをリアルに描いていて、「あーそうそう、子供ってこうだよねー」っていう感じ。

多分アンディよりシドの方がお兄ちゃん? な分、やってる事の酷さはアレですけど、でも「男の子」を経験した大人たちなら、過去の自分を思い返してしまうんじゃないかと思いました。

この辺の描写も「大人が子供に見せたいアニメ」の型にハメた作品にはしないぞっていう監督ジョン・ラセター他スタッフたちの心意気が見えます。
っていうか、ピクサーの人たち自身が子供のままなのかもですがw

だから、物語上悪役のシドも、決して「悪者」には描いていないですしね。

そして続編へ

対して続編の『トイ・ストーリー2』では、アルという明確な『悪者』が登場します。
ビンテージオモチャを高値で売りさばく、おもちゃ屋の店主。
偶然コイツに見つかってしまったウッディがさらわれて、自分の過去と仲間を見つけるというストーリー。

前作でウッディは成長しているしバズとも絆が出来上がっているわけですが、この作品では持ち主(=友達)である子供たちの成長に取り残されるオモチャの不安を描いています。

実はテレビで人気だった人形劇の主人公で、超プレミア人形だったウッディ。
アルに誘拐されて何とかアンディの元に戻ろうとしますが、同じ人形劇のキャラクター プロスペクターに「成長した子供はお前を捨てる」という言葉に心が揺れるんですね。

そして本作のヒロイン ジェシーはまさに成長した子供に捨てられたトラウマを持つオモチャでもあり、子供の成長は彼らオモチャにとっての深刻な問題でもあるんですよね。
そしてこのテーマは、まだ観てないけど続編「トイ・ストーリー3」の伏線にもなってるんですよね多分。

ピクサー劇場用長編アニメ「バグズ・ライフ」を挟んで製作された本作は、映像的にも驚くほどの進歩をしています。
ピクサーは一作ごとに、「質感」の表現にチャレンジをしていて、この作品では前作以上にウッディーたちオモチャの質感や、草や葉っぱ、アスファルトなどの質感がリアルになっているし、劇中白黒テレビに映る人形劇は何も知らないで観たら、実写だと思うくらいリアルでしたねー。

一方で、ストーリーの方は前作に比べると若干あっさりした印象でした。
構成上仕方ないとはいえ、バズとウッディの絡みが少なかったり、ほかの登場キャラの活躍が少なかったり、そもそもウッディパートとバズ(と仲間たち)パートがバラバラに進むので、前作で感じた「バディ感」が薄れちゃってるのが原因なんじゃないかと思いました。

とはいえ、もちろん一定以上の面白さはあって、前作と比較すればって話ですけどね。

さて、次はいよいよ「トイ・ストーリー3」を観ますよー!
って、今更かよ! って話ですけどもw

そして、久しぶりに観た「トイ・ストーリー」と実は初見だった「トイ・ストーリー2」はやっぱり面白かったし、ピクサー作品の根幹に触れたような気がしました。

興味のある方は是非!!

 

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壮絶な眠気との戦い。その先に見たものは……「複製された男」(2014)*ネタバレあり

ぷらすです。

今回ご紹介するのは『メッセージ』のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の2014年に公開した作品『複製された男』ですよー!
『メッセージ』がとても良かったので、監督の過去作も観てみようとレンタルしてきたんですが、観終わった感想を一言で言うと「一体、何が何だか……」でした。(´・ω・`)

で、今回『』ネタバレになってしまうので、これからこの映画を観てみようという方は、映画を観た後にこの感想を読んでいただけたら嬉しいですよー!
あと、今回は文句多めになっているので、この映画が好きっていう方にはスイマセンと先に謝っておきますw

いいですね? 注意しましたよ?

 

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あらすじと概要

ノーベル文学賞作家でポルトガル出身のジョゼ・サラマーゴの小説を実写化したミステリー。至って普通の日々を送ってきた教師が、ある映画に自分と酷似した男が出ているのを見つけたことから思わぬ運命をたどっていく。メガホンを取るのは、『灼熱の魂』『プリズナーズ』などのドゥニ・ヴィルヌーヴ。キャストには『ブロークバック・マウンテン』などのジェイク・ギレンホール、『マイ・ファミリー/遠い絆』などのメラニー・ロランら実力派が集う。全編を貫く不穏なムード、幻惑的な物語、緻密な映像が混然一体となった世界観に引きずり込まれる。

トーリー:何も刺激のない日々に空虚なものを感じている、大学で歴史を教えているアダム・ベル(ジェイク・ギレンホール)。ある日、何げなく映画のDVDを観ていた彼は、劇中に出てくる俳優が自分自身とうり二つであることに驚く。彼がアンソニー・クレア(ジェイク・ギレンホール)という名だと知ったアダムは、さまざまな手を尽くして彼との面会を果たす。顔の作りのみならず、ひげの生やし方や胸にある傷痕までもが同じであることに戦慄(せんりつ)する。(シネマトゥディより引用)

 

感想

眠気と戦う90分

本作の一人二役を勤めるのは 数々の作品で存在感を示す俳優ジェイク・ギレンホール
トーリーをザックリ説明すると、歴史の教師ギレンホールは、ある日同僚に勧められた映画をレンタルで見たら、そこにチョイ役で自分そっくりの男が出ててビックリ。
超気になるのでストーカーまがいの方法で三流役者のギレンホールに会ったら、脅されて自分の恋人を寝取られて、役者ギレンホールの奥さんとHしてたら、役者ギレンホールと自分の恋人は交通事故にあって、役者ギレンホールの嫁さんがでっかい蜘蛛になってるという物語。

ね? ワケわからないでしょ? 

しかも画変わりしないし、セリフは少ないし、テンポはトロいし、物語もあんまり盛り上がりがないので、観ている間に何度も激しい眠気に襲われながら何とか鑑賞。

前回ご紹介した「PK」の役半分の時間なのに、体感時間は倍以上でしたよ。
しかも観終わったあとには謎だけが残されるっていうね。

で、鑑賞後僕が思ったのが、

①・タイトル通り、自分の知らないうちにクモ型エイリアンに複製された事に気づいた男が主人公のSF。

②・カフカ的な不条理なストーリー。

③・ジキルとハイド型心理サスペンス。二人の男は実は同一人物。

の3つでした。

分からないのでネットで調べた。

で、結局よく分からなかったのでネットで調べたところ正解? は、

④・夢オチ

でした。

……って、分かるかー!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ

つまりどういう事かというと、(この映画は正解がなくて受け手に解釈丸投げ系の作品っぽいので、あくまで僕なりの解釈ですが)

気弱な歴史の教師アダムは、妊娠6ヶ月の奥さんと平凡だけど幸せに暮らしている。

しかし、彼はそんな平凡な暮らしに潜在的な不満と妻が母親になる事に潜在的な恐怖があり、インモラルな妄想や役者の自分を空想したりして自分を慰めている。

そんな時、彼は同僚が勧める映画を観ているうちに眠ってしまい、アダムは夢を観る。

独身のアダムが、映画の中に自分そっくりの役者アンソニーがチョイ役出演していて、超気になったので会ってみると単なるそっくりさんではなく、彼はもう一人の自分だった。
その男は役者として自由に暮らし、奥さんもいる。
そして、アンソニーは自分の奥さんとアダムの恋人の交換を持ちかける。
アダムはその提案に乗るが、アンソニーと入れ替わりに気づいた恋人は車中で揉めて、交通事故で死亡。アダムと役者の奥さんだけが残される。

そこで目が覚めたアダムは、自分は平凡に暮らすことしか出来ない事を悟る。

ってことなんじゃないかなーと。

ちなみに、劇中に度々登場するクモは原作にはない要素で、監督曰く、このクモは“母性”の象徴だそうだそうです。

劇中、教師のお母さんが登場するんですが、おそらく彼はこのお母さんに「平凡で手堅い人生」こそ幸せであると言い聞かされて育ったのだろうと推測できます。

映画冒頭の授業の中でアダムは、

古代ローマに置いて、支配するすることは、独裁者の最大の関心ごとだった。パンと娯楽を与えることもひとつの手段だが、別の方法もある。
それは、教育を制限することだ」

と語るんですが、これはそのまま彼と母親の関係の暗喩になっているんだと思います。

また彼は「恐ろしいのはこのことがくり返されること」とも語っていて、これは妻が母親になる……という恐れを表しているんだと思います。

怪獣のような大きなクモは、自分を支配する母親(と妻?)に監視されている教師の心理的イメージで、ラストで奥さんが巨大なクモになっているのは、夢から覚めた教師の諦めを映像的に表現しているんだと思います。多分。

結論

つまり、この映画をざっくり一言で言うならファイトクラブ」なんじゃないかと。
ただ、「ファイトクラブ」では主人公の妄想が現実を侵食していくのに対し、本作ではあくまで教師の脳内だけで物語が完結してしまうし、「ファイトクラブ」のタイラーにあたる役者の自分(アンソニー)を殺してしまうんですが。
妄想の中でアンソニーを殺したのは、結局、母親の教育で植えつけられた教師(アダム)の倫理観だった的なことなのかな?

そしてもう一つ「ファイトクラブ」との大きな違いは、「ファイトクラブ」は超面白かったけど、本作は(少なくとも僕にとっては)超つまらなかったってことですかねー。(´・ω・`)

多分、無駄に冗長な『余白』を全部省いたら、30分で終わる物語だと思いました。

唯一良かったところは、奥さん(サラ・ガドン)と浮気相手( メラニー・ロラン)のおっぱいが観れたことくらいでしたw

というわけで、個人的にあまりオススメは出来ませんが、

興味のある方は是非!

 

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「きっと、うまくいく」の監督と主演がどえらい映画を作った!「PK」(2016)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、ボリウッド(インド)映画の傑作「きっと、うまくいく」の ラージクマール・ヒラーニ監督と主演のアーミル・カーンが再びタッグを組んだ映画『PK』ですよー!

公開当初から期待値は高かった本作ですが、もうホント……

どえらい映画でしたよー!!(*゚∀゚)=3

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あらすじと概要

ヒットを記録した『きっと、うまくいく』のラージクマール・ヒラニ監督と、主演のアーミル・カーンが再び組んだヒューマンコメディー。テレビ局で働く女性が神様を探している謎の男に興味を持ったことから始まる物語を、世界中で起きている社会問題を絡めて描く。主人公のPKを熱演したアーミルが、50歳を超えたとは思えない肉体美を披露し、ヒロインを『命ある限り』などのアヌシュカ・シャルマが演じる。

トーリー:留学先のベルギーで恋に破れ、祖国インドのテレビ局に勤務するジャグー(アヌシュカ・シャルマ)は、ある日黄色いヘルメットをかぶって大きなラジカセを持ち、さまざまな宗教の飾りを身に着け、チラシを配布する男(アーミル・カーン)と出会う。PKというその男は神様を探しているらしく、興味を持ったジャグーは彼を取材する。しかし、PKが語る話は途方もない内容で……。(シネマトゥデイより引用)

 

感想

笑いを武器にタブーに切り込む名作!

「きっと、うまくいく」で世界を笑いと感動の渦に巻き込んだラージクマール・ヒラニ監督と、主演のアーミル・カーンが再びタッグを組んで挑む題材はなんと宗教。

まさにタブーとも言える題材に、本作は真正面から切り込んでいきます。しかもドキュメンタリーとかじゃなくて、コメディー映画で、です。

これは、多民族・他宗教の国インドだから出来た事なのかもしれませんが、それにしたって、商業メディアとしてはリスクの高く、扱いも難しい超デリケートな題材ですよね。それを正直、観ているコッチが心配になるくらい真正面から切り込んでいくんですよ!

しかし、そこはさすが最強コンビ。
世界中のあらゆる宗教問題に対し、おそらく世界一シンプルな言葉で回答を示してみせた上で、ボリウッド娯楽ムービーという枠をはみ出すことなく、見事に着地してみせたんですよ! 

笑いあり、涙あり、恋愛あり、ダンスありのエンタメ山盛り全部のっけ!

本作は冒頭からいきなりカマされます。
広大なインドの風景の中に浮かぶ、明らかに違和感感たっぷりの雲がぷかぷか浮かんで移動してるんですが、それはなんと巨大なUFO。

そして、そのUFOから降り立ったのが、主演のアーミル・カーン演じる宇宙人。
しかも全裸

っていうか、アーミル・カーン50過ぎてるのに筋肉モリモリ過ぎる

で、降り立った地でファーストコンタクトしたインド人に、いきなりUFOを呼ぶリモコンを盗まれるところから物語はスタートします。

で、場面変わってベルギー。
 アヌーシュカ・シャルマ演じるヒロインのジャグは、ある出来事からパキスタン人の青年と恋に落ちます。

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出会って、ケンカして、打ち解けたと思ったら、彼がパキスタン人ということで……っていう、日本人が見ると多分「はぁ!?」ってなるシーンですが、まぁそこは両国の歴史的に色々あったってことなんでしょう。

それでも、彼に惹かれるジャグは去っていく彼を追いかけて――――からの、歌とダーーンス!(しかもベルギーっぽい曲)

さすがボリウッドです。

しかし、娘の熱愛の知らせを聞いたジャグの両親は、彼がパキスタン人でイスラム教徒ということで猛反対、スカイプを繋げたまま、ジャグのパパが信仰してるヒンドゥー教の導師に相談に行き、導師は「彼は必ず裏切るであろう」なんて予言をします。

ジャグは、そんな導師の予言を覆してやると、彼と翌日結婚する約束をするんですが、式場に来たのは、彼女に手紙を渡すよう頼まれたという少年。

手紙は「家族を悲しませたくないから、結婚はできないし二度と合わない」という内容で、ジャグは失意のうちに故郷デリーに戻り、テレビの仕事を頑張るわけです。

そんなある日、彼女は電車でたまたま不思議な男PK(宇宙人)に出会い、これはネタになるとコンタクトを取り始めるのだが……というストーリー。

って、長いわー!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ

それもその筈、この映画なんと153分もあるのです
なので、ここまで書いた分はまだまだ全然冒頭の部分なんですよww

ぶっちゃけこの冒頭、もっと短く出来ただろう! って思ったんですが、ストーリーが進むうちに、この冒頭部分が後に重要な意味を持つ伏線になっている事が分かるわけですね。

っていうか、こんなに長い映画なのに、観終わってみると冒頭部分を始め、不必要なシーンが一つもないんですよ。全部がクライマックスへの伏線になってるんですねー。

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もちろんボリウッドらしく歌やダンスも満載だし、リモコンを盗まれたPKが紆余曲折あって神様探しをする件は、カルチャーギャップと宗教間ギャップの笑いが満載。
観ながら何度も吹き出してしまいました。しかも、この長ーーいくだりもクライマックスに向けての伏線になってるのだから恐れ入ります。

しかもありとあらゆる宗教を茶化しまくって笑いにしながらも、その合間合間に宗教(の教義)によって苦しむ人たちや、矛盾点などに鋭くツッコミを入れていくんですよねー。そんな構成の一つ一つが本作のスパイスとして後々効いていくのです。

キーワードは「掛け違い」そして回答へ

PKの特徴の一つはもちろん宇宙人ということなんですが、彼は地球人じゃないからこそ、宗教に対し純粋で的を得た疑問を投げかけていきます。
その一方で、彼の星ではウソという概念がなく、何度も間違い電話をかけてくる相手に、ジャグが仕掛けたイタズラをキッカケに、一つの回答を見出すのです。

それが「掛け違い」

映画後半はこの「掛け違い」をキーワードに、一気にクライマックスに向かって物語が加速していくんですね。
そしてクライマックスのシーンでは、それまでの伏線が、「掛け違い」というキーワードのもと次々と組み上がっていき、それまで宗教に対して投げかけられた数々の疑問や問題に対して、これ以上ないシンプルな回答を示すことで、観客に最高のカタルシスと感動をもたらしてくれるのです。

もうね、このクライマックスは号泣ですよ!

その上で、どの宗教も傷つけない見事な着陸な着陸を観せるのだから、ラージクマール・ヒラニ監督恐るべしです!

インド映画というとやたら長い上に、ダンスや歌も入ってくるので苦手意識がある人もいるかもですが(僕もその一人だった)、「きっと、うまくいく」と本作は今まで僕の観た映画の中でもベスト級の映画なので是非見て欲しいし、特に本作は世界中の人に見て欲しい大好きな一本です!

興味のある方は是非!!!!

 

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▼「きっと、うまくいく」感想▼

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コミュニケーションを描いた新感覚SF「メッセージ」(2017)*ネタバレ有り

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、テッド・チャンの短編小説「あなたの人生の物語」をドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が実写化した現在公開中のSF映画『メッセージ』ですよー!

アカデミー賞8部門にノミネート、音響編集賞を受賞した本作ですが、なんてういかこう……スゴイ映画でしたよ!(小並感)

で、今回はネタバレ無しで感想を書く事が出来ないので、感想の途中からゴリっとネタバレしていきます
ただこの作品は、まずは何も知らずに観るのが一番楽しめると思うので、これから観る予定のある人は、まず先に映画を観て、その後に答えあわせがてら、この感想を読んで頂けたらと思います。

 いいですね? 注意しましたよ?

 

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概要とあらすじ

テッド・チャンの短編小説「あなたの人生の物語」を基にしたSFドラマ。球体型宇宙船で地球に飛来した知的生命体との対話に挑む、女性言語学者の姿を見つめる。メガホンを取るのは、『ボーダーライン』などのドゥニ・ヴィルヌーヴ。『ザ・マスター』などのエイミー・アダムス、『アベンジャーズ』シリーズなどのジェレミー・レナー、『ラストキング・オブ・スコットランド』などのフォレスト・ウィテカーらが結集する。

トーリー:巨大な球体型宇宙船が、突如地球に降り立つ。世界中が不安と混乱に包まれる中、言語学者のルイーズ(エイミー・アダムス)は宇宙船に乗ってきた者たちの言語を解読するよう軍から依頼される。彼らが使う文字を懸命に読み解いていくと、彼女は時間をさかのぼるような不思議な感覚に陥る。やがて言語をめぐるさまざまな謎が解け、彼らが地球を訪れた思いも寄らない理由と、人類に向けられたメッセージが判明し……。(シネマトゥディより引用)

 

感想

宇宙人とのファーストコンタクトもの

本作は、ざっくり言うと「ばかうけ」そっくりの巨大宇宙船に乗ってやってきたクラゲ? 型宇宙人ヘプタポッド(7本脚という意味)と人間のファーストコンタクトものです。
宇宙人とのファーストコンタクトものと言えば、スピルバーグの「未知との遭遇」(1978)が有名ですが、本作もこの系譜の作品といえるかも。

ただ「未知との遭遇」が「音(ヒヤリング)」で宇宙人とのコンタクトを図るのに対し、本作は「文字」でのコンタクトを試みるという違いがあり、また彼らの言語体系を理解することで主人公が受けるある影響について描かれています。

ある日突然、地球各国にやってきた12機の巨大宇宙船。
そんな彼ら(宇宙人)の目的を知るため、各国は学者を招集してコンタクトを試みるわけです。

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そのコンタクトで得られた情報はすべて共有され、次第に宇宙人の言語体系が明らかになっていくんですが、中盤で解明されたある「言葉」をきっかけに、各国の足並みは乱れ一触即発の緊張状態になるのだが……というのが本作のざっくりした流れ。

アメリカに降り立った宇宙人とのコンタクトをとるため招集されたのは、エイミー・アダムス演じる言語学者のルイーズと、ジェレミー・レナー演じる数学者のイアンです。

最初はヒヤリングによるコンタクトを試みるルイーズですが、あまりにも違う言語体系のため不可能と判断、彼女は文字による意思疎通を図っていくわけですね。

で、本作の半分以上は宇宙人 の言語の解読と地球に来た目的を解明する過程とルイーズの「回想」が並行する形で構成されています。

そして、この二つの一見関係ない流れが一つになり、謎が明かされた時に驚愕の真実が明らかになるという仕掛けなんですね。

円環構造

ここからネタバレになります。

 

劇中、宇宙人の使う文字はまるで書道の筆文字で輪を書いたような感じの文字です。
しかも、その輪が文字ではなく、一つ(一行?)の文章になってるわけです。

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この墨文字のデザインは多分、原作者のテッド・チャンが中国系アメリカ人だから思いついたんじゃないかなーと思うんですが、この文章が輪になっている事が本作にとっては重要な鍵になっています。

宇宙人の使う文章が輪のような形になっているのは、彼ら? にはそもそも「時間」の概念がなくて、始まりから終わりまでを一つの輪として捉えているからです。
だから、彼らにとっては過去も現在も未来も全ては一つのエピソードとして同時に見えてる(認識してる)わけですね。

で、彼らの言語を解析・理解していくうちに、ルイーズの身にも変化が起こり始めます。どういう事かというと、彼女は「未来を思い出す」ようになっていくわけです。

もっと分かりやすい言葉で言うなら、未来視ができるようになっていくんですねー。

なぜ、そんな事が起こったのかというと、そこには「サピア=ウォーフの仮説」という考え方が関係していて、ざっくり説明すると「使用する言語体系によって思考や世界認識は変わる」っていう考え方らしいです。

例えば、日本語の場合は「〇〇はXXだから、◎◎だ。」みたいに過程が先で結論を後にもってくるけど、英語の場合「◎◎だ。何故なら〇〇はXXだから」みたいに結論を先に持ってきますよね。
そうした言葉や文字の成り立ちの違いが、人間の考え方や世界の捉え方に影響を及ぼすっていう事らしいんですね。(合ってるかな?w)

宇宙人の言語を解読、理解していくことでルイーズの思考プロセスに変化が起こって彼女は『未来を思い出す』ようになり、その能力によって世界のピンチを救う事になるわけです。
いわば、彼女は宇宙人とのコミュニケーションによって、進化するわけですね。

ということを踏まえて本作を振り返ると、冒頭で描かれるルイーズと愛娘の物語は物語のラストに繋がっているし、彼女(個)の物語は世界(全)の物語に繋がっていて、彼女の娘の名前はハンナ(Hannah / どちらから読んでもハンナになる)です。

実はこの映画の構造自体が円環構造で作られているう事が分かるんですねー。

二つのタイムパラドックス

言語を解読して「未来を思い出せるようになった」ルイーズのお陰で、人類の危機は回避されるわけですが、二箇所「あれ?」ってなる部分があります。

一つは、宇宙人に宣戦布告の先陣を切った中国のシャン上将をルイーズが思いとどまらせるシークエンス。
ここでルイーズはシャン上将に電話をして、彼の奥さんの最後の言葉を伝える事で彼を思いとどまらせ世界の危機を救ったことを、未来で出会ったシャン上将に教えられて「思い出し」ます。

でも、未来でシャン上将に出会うまで、ルイーズはシャン上将の電話番号も奥さんの最後の言葉も知らなかったわけで、ということは現時点でシャン上将に電話する事は出来ず、当然シャン上将を止めることは出来ないので、未来で彼に会うこともなく……っていう。
これって完全なタイムパラドックスですよね。

あと、ルイーズが宇宙人の言語を完全に理解するキッカケは、彼女が未来で宇宙人の言語について本にまとめた事を「思い出した」からなんですけど、これもシャン上将の件と同じタイムパラドックスになってると思うんですが、あれはどういう理屈なんだろう?? 

 僕は、ルイーズの未来視は自分の関わった事しか視えないと思ってたんですが、他人の、もっと言えば全ての過去現在未来を見通せるようになったって事なんですかねー?

愛娘との思い出

こうした大きな流れの合間に、本作ではルイーズと愛娘ハンナとの「回想」が描かれています。勘のいい方はすでにお気づきかもですが、この回想はルイーズの過去ではなく、未来に起こる出来事なんですね。

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映画冒頭で、ハンナが生まれてから、若くして病気で亡くなるまでをランダムに見せられるので、僕ら観客はこの回想をルイーズの過去だと思い込んでしまうというのが、本作で一番のトリックになっているんですね。

そしてこの仕掛けは、同時に観客への問いかけでもあります。

将来生まれてくるハンナは、自分よりも早く死んでしまうことをルイーズは知っている。それでも映画のラストで彼女は結婚して将来ハンナを生む決心をするんですね。

何故なら、子供を失う悲しい思いをしないためにハンナと出会わないようにしてしまったら(つまり結婚・妊娠・出産をしなければ)、自分の最愛の娘がこの世に存在しなくなってしまう。

それはつまり、最愛の娘の人生を奪ってしまう事だからです。

映画冒頭の「これはあなたの人生の物語です」というセリフは、この彼女の決断を見た観客への「あなたならどうしますか?」という、問いかけでもあるんだと思います。

それは「もし娘が~」という事じゃなく、もしも、傷つくと分かっていたら、あなたはコミュニケーションを諦めますか? っていう問いかけなんじゃないかと僕は思うんですね。

まとめ

というわけで、今回はゴリゴリネタバレ感想でした。

ちなみに、この作品の映像と音響はどちらも素晴らしかったと思いますよ。
全体的に色味を落とした白黒に近い映像は、多分宇宙人の使う文字に色調を合わせているんだと思うし、重低音で不安感を煽るような音響は映画館じゃないと味わえない体験でした。

あと、これは細かい情報ですが、イアンが二人の宇宙人につける固有名詞アボットとコステロは、映画評論家の町山さんによれば、アメリカの漫才師(二人組のスタンダップコメディアン?)の名前だそうです。

宇宙人とコンタクトを取るSFは映画・小説では沢山あると思いますが、本作がスゴイのは、「言語」によるコミュニケーションを哲学的に描いたと作品だということじゃないかと思います。そして、その極めて小説的な原作を映像作品に落とし込んだドゥニ・ヴィルヌーヴ監督他製作陣のセンスじゃないかなーと。

僕は、この映画を観たあと、すぐに本屋に寄って原作本を購入してしまったし、多分、この映画を観た人は、誰かとこの映画の話がしたくて仕方なくなるんじゃないかと思いますよ!

興味のある方は是非!!!

 

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古代エジプトの神話がポップな冒険活劇に!「キング・オブ・エジプト」(2016)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、昨年公開された古代エジプトが舞台の冒険アクション
『キング・オブ・エジプト』ですよー!

大人から子供まで安心して楽しめる冒険映画でしたー(´∀`)ノ

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画像出典元URL:http://eiga.com

あらすじと概要

『ノウイング』などのアレックス・プロヤス監督がメガホンを取り、古代エジプトの王座をめぐる壮絶なバトルを描く冒険アクション。神と人間が共に存在する世界で、王座獲得の命運を左右する“神の眼”を盗み出そうとする泥棒の奮闘を映し出す。『ギヴァー 記憶を注ぐ者』などのブレントン・スウェイツが泥棒を熱演し、ジェラルド・バトラージェフリー・ラッシュらが出演。予測不能の展開に胸が高鳴る。

トーリー:人間と神が共存していた古代エジプトで、人々は天空の神ホルス(ニコライ・コスター=ワルドー)から王座を奪った砂漠の神セト(ジェラルド・バトラー)の圧政に悩まされていた。そんな中、良心ある神々は、暴君セトに反逆を試みる。ある日、セトの神殿の宝物庫に侵入した盗賊ベック(ブレントン・スウェイツ)は、キラキラと光る球体を奪うが……。(シネマトゥデイより引用)

 

 

感想

神とコソ泥のバディムービー!?

本作の舞台は、神と人間が共存していた古代エジプトが舞台。
この時はまだ、神様が王として人間を統治していたんですねー。
で、名君だった父オシリスの王座を継ぐ事になったホルス。
その戴冠式で叔父のセトが反乱を起こしオシリスを殺害、さらにホルスの両目と王座を奪い暴君としてエジプトを乗っ取ってしまったからさぁ大変。

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画像出典元URL:http://eiga.com / セト役は「300」ジェラルド・バトラー

一方、信心深い恋人ザヤ(コートニー・イートン)の命を救うため、セトの宝物庫からホルスの右目を奪い返したコソ泥のベック。二人は手を組んで、父の復讐とエジプト奪還のため再び立ち上がるというストーリーです。

僕は神話には詳しくなくて、登場する神様の名前になんとなく聞き覚えがある程度なんですが、それでも十分に楽しめるエンタメ作品になってましたねー。
ベックは信心がない→神様にも臆さずズケズケとモノを言うっていう設定もいい感じに効いてたし、最初はベックの名前すら覚えなかったホルスが、次第にベックを対等の相棒として認めていく=人間界に目を向けるようになっていくという流れも自然で、いい感じでした。

あと、人間と神様の違いを映像的に見せるため、神様の方を少し見える(1.5倍くらい?)よう加工してるのも気が効いてるなーって思いましたねー。

またCG処理が今風というか、普段は人間の姿のホルスやセトが神本来? の姿に変身するとメタリックなヒーローものっぽい感じになったりするし、神様は臓器は宝石、血は黄金になってるので、本来凄惨な戦いになるはずのシーンでも生々しさがなくて、小さい子でも安心して楽しめるんじゃないかと思いました。

ミッションをクリアしてラスボスを倒せ

で、この映画ではホルスとベックが協力して5つのミッションをクリア、そしてラストステージで暴君セトと対決するというダンジョンゲーム的な作りになっています。

二人はそれに成功したり失敗したり、喧嘩したり協力してセトの放つ刺客を退けたりしながら、次第に信頼しあっていくわけですねー。

あえていうなら、もうちょっとバカっぽさが欲しかった気もしますが、神話をベースしながらも今風な感覚で作られていて、ずっと記憶に残るような映画ではないものの、お年寄りからお子さんまで、家族みんなで楽しめる娯楽映画としてもバランスのいいザ・ハリウッド娯楽大作って感じでした!

興味のある方は是非!

 

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映像のクオリティーにビックリ!「GANTZ:O」(2016)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、昨年公開されたフル3DCGアニメ『GANTZ:O』ですよー!

僕は「GANTZ」は実写2本しか観てなくて、「だいたいこんな話」程度にしか世界観とか分からないんですが、とにかく映像のクオリティーが高くて、日本のCGもここまで来たかとビックリしました!

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あらすじと概要

死んだ人間と謎の星人とのバトルを描く奥浩哉によるコミックを基に、人気の高いエピソード「大阪篇」をフル3DCGで映像化したSFアクションアニメ。加藤勝をリーダーに東京と大阪のガンツチームがタッグを組み、妖怪軍団に立ち向かう。加藤の声には、人気声優の小野大輔。総監督に『聖闘士星矢 LEGEND of SANCTUARY』などのさとうけいいち、監督に『エクスマキナ』などに携った川村泰が名を連ねる。迫力ある映像で表現される異形の敵とのバトルに期待が高まる。

トーリー:高校生の加藤勝は、地下鉄で起きた事件によって死ぬ。ところが次の瞬間、マンションの一室にいた。加藤はそこで、リーダーが不在の東京チームと一緒に火の手が上がる大阪に転送され、サバイバルゲームに参加することになる。大阪チームと遭遇し、妖怪型の星人軍団=百鬼夜行と戦いを繰り広げる加藤。一人で待つ弟のもとへ生還するため戦い抜く加藤の前に、大ボス“ぬらりひょん”が現れ……。(シネマトゥデイより引用)

 

 

感想

GANTZ」をざっくりおさらい

GANTZ」は『週刊ヤングジャンプ』で2000年7月13日から2013年まで連載、2004年にテレビアニメ化、2011年に実写映画化された奥浩哉原作の大ヒットSFマンガです。

様々な理由で死亡したハズの人たちがマンションの一室で復活し、GANTZ(ガンツ)と呼ばれる黒い球体の指示に従って、決められた時間内に正体不明の生物「〇〇星人」を“退治”するミッションをこなさなくてはなりません。
“退治”した星人によって点数が与えられて、100点になると

1・強力な武器
2・死んだ仲間を蘇らせる
3・記憶を消されて任務から開放される

の中から、好きな特典を選べるというシステム。

また、ミッション中はどんな重症を負っても、死なない限りは元通りに復元されるんですね。

本作は、その「GANTZ」シリーズの中でも、ファンに最も人気の高かった「大阪篇」を「聖闘士星矢 LEGEND of SANCTUARY」などのさとうけいいちが総監督、「エクスマキナ」などに携った川村泰が監督で、フル3DCGで映像化した作品です。

まるで実写のような映像のクオリティーにビックリ

多分、本作を見た人全員が驚くのが、まるで実写映画を観てるような3DCG映像のクオリティーの高さじゃないかと思います。

実写と見まごうシーンも多々あり、特に背景やキャラクターそれぞれの「質感」がしっかり描かれてましたねー!

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そこに、例えば力を入れるとスーツがキュってなるトコとか、女性キャラ二人のおっぱいの微妙な揺れとか、細かいディテール描写も素晴らしかったです。

逆に、他のCGが良すぎてキャラの顔の造形や表情が嘘っぽく感じてしまったのが少々残念だったかも。
フル3DCG「アニメ」なので、そこは難しいバランスなんでしょうけど、他がリアルな分、お人形っぽさが出ちゃってるというか、「ファイナルファンタジー」っぽいっていうか。

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質感まで再現できるCGアニメの最後の壁は、やっぱり人間の顔や表情の表現なのかなって思いましたねー。

アニメと実写の境界

あと、本作の声優陣は、声優として活躍している小野Dを始めとしていわゆる声優畑の人、ケンドーコバヤシを始めとしたお笑い畑の人、実写映画の役者など、バラエティーに富んだメンバーで構成されてるんですね。

で、本作を「実写に近いアニメ作品」として観るか、「アニメ寄りの実写作品」として観るかっていう受け手のスタンスで評価が分かれるかもって思ったりしました。

僕は実写作品寄りの感覚で観ていたので、声優陣の演技に若干違和感を感じてしまったというか、もっと有り体に言うと17歳の少年を演じるには小野Dの声は渋すぎじゃね? って思っちゃったんですよね。

最初から「アニメ」って思って観れば、それもアリなんですけど、映像がリアルなだけに、アニメなら気にならない部分が気になっちゃうんですね。
ハウルの動く城」で倍賞千恵子が18歳のソフィーを演じた時に感じたのと似た違和感っていうか。

それは多分、声質だけの問題じゃなくて、映像と芝居のバランスの問題というか、声優さん独特の発声法や芝居と、リアルな映像の噛み合わせの問題というか。

今後フル3DCGのリアルな映像のアニメーションを作る時に、その辺のバランスをどう取っていくかは、今後の課題になっていくんじゃないかと思いましたねー。

あと、役者で言うとケンコバさんは上手いなーって思いました。
パシフィック・リム」の時も思ったんですが、EDロールを観て初めて「あ、ケンコバだったんだ」って気づくくらい、ケンコバがないんですよね。
普段、バラエティーで観てるケンコバさんとあまりにキャラが違うからかもしれませんけどねw

もちろん「GANTZ」のファンの方が楽しめるのは間違いないですが、GANTZの世界観や基本ルールとかは劇中で説明されるし、物語も本作単体で独立したエピソードになってるので、原作やアニメ、実写映画を観てなくても楽しめるんじゃないかと思いますよー!

興味のある方は是非!!

 

▼実写版の感想▼

aozprapurasu.hatenablog.com

 

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