今日観た映画の感想

映画館やDVDで観た映画の感想をお届け

潜水艦同士の熱い戦いを描いたインド映画「インパクト・クラッシュ」(2017/日本未公開)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、ラジオで三宅隆太監督が面白いと言っていたインドの戦争映画『インパクト・クラッシュ』ですよー!
インド洋の深海を舞台にインドとパキスタンの潜水艦同士の死闘を描いた作品です。

https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/81FMbn1JECL._SL1360_.jpg

画像出典元URL:http://www.amazon.co.jp

概要

第三次印パ戦争におけるパキスタン海軍潜水艦「ディアブロ」の不可解な沈没事件を題材に、ディアブロを撃沈することになったインド海軍潜水艦「カランジ」乗組員の勇気と愛国心に焦点が当てられた作品になっている。
サンカルプ・レッディの監督デビュー作。

感想

事実を元にした潜水艦映画

インドとパキスタンの間で1971年12月に行われた「第三次印パ戦争
本作は、その戦争でのパキスタン海軍潜水艦「ガーズィー」の不可解な沈没事件を題材にした、潜水艦映画です。

「ガーズィー」沈没に関して、パキスタン側はパキスタンは港に敷設された機雷に接触して沈没したと発表し、インド側は駆逐艦ラージプートの爆雷攻撃によって撃沈したと発表。今も真相は海底に沈んだままということらしいんですね。

で、本作ではパキスタン・インド間の緊張が高まる中、パキスタン海軍が潜水艦ガーズィーにベンガル湾への出撃を命じ、ガズィー出撃の情報を入手したインド海軍東部司令部では潜水艦S21索敵を命じるところからスタート。

パキスタン軍によって息子を殺されたランヴィジャイ・シン艦長(ケイ・ケイ・メノン)が暴走し戦争になることを危惧した上層部は、監視役としてアルジュン少佐(ラーナー・ダッグバーティ)を監視役につけます。

ガーズィー艦長ラザクは攻撃目標だったインド軍空母ヴィクラントを発見できなかったことからベンガル湾に面した港湾都市ヴィシャーカパトナム攻撃を決断。インド海軍の注意をそらすため通りかかったインド商船を撃沈。

ガーズィーの狙いを見抜いたランヴィジャイ艦長はガーズィーを追跡・撃沈しようとするも、司令部の待機命令を遵守するべきというアルジュンと口論になり――という内容。

正直、両国の紛争の歴史が分からないので、多分細かい部分は理解できてないと思うんですが、映画だけでもざっくりした内容は分かるし、三宅隆太監督も話してましたが「潜水艦の映画は、そもそもある程度の面白さが担保されてる」んですよね。

冒頭部分こそ、どっちがインド軍なのかパキスタン軍なのか分からなくて、ちょっと混乱したりしましたけど、潜水艦同士のシークエンスに移ってからはパキスタン側の船長があからさまに悪人顔をしてる(インド映画だからね)ので混乱することはなく、潜水艦同士の探り合いと戦いをドキドキハラハラしながら楽しむことができましたねー。

復讐に燃える艦長と融通のきかない監視役、その二人に挟まれる副長

シン艦長の息子は第二次印パ戦争(1965)の際、司令部の待機命令を遵守したためパキスタン軍の奇襲を察知しながら攻撃できず戦死。以来、艦長はパキスタン軍の船を見ると攻撃せずにはいられない復讐の鬼と化しているんですね。

まぁ、そんな男に索敵任務させんなって話ですが、上層部はシン艦長が暴走しないように、アルジュン少佐を同行させるわけです。

このシン艦長は、当然息子を死なせた上層部にも恨みがあるので、上層部の前でアルジュン少佐を上層部のイヌ呼ばわりしたり、事あるごとにこれみよがしな嫌味を言ったりと、「軍人としてどうなん?」「っていうかオッサンなのに大人気無さ過ぎるんじゃね? 」という困ったちゃん。ところが彼は、船員の皆さんには超慕われてたりするんですよね。

一方のアルジュン少佐はエリートで軍人である以上は上官の命令は絶対という、融通が全く効かないタイプ。
事あるごとに艦長の言うことに意を唱えたり、副長を抱き込もうとして失敗したり、かと思うと、勝手にパキスタン軍に沈められた商船の生き残りを勝手に救出しに行ったり。真面目で熱血という扱いづらいタイプ。

そんな二人に板挟みになっちゃうのが、デーヴラージ副長(アチュール・クルカルニー)や船員の皆さん。

特に副長は艦長の気持ちもよく分かるし、軍人として命令や規則に従うべきという少佐の言い分も分かるしで、どちらか一方に肩入れするわけにはいかないというね。
中間管理職ってホント大変。苦労が忍ばれます。

手に汗握る海中バトル

で、潜水艦ものと言えば手に汗握る海中バトル。
映画序盤、ベットルームの壁にピンピンになるように細い紐を括るベテラン船員に、新人が「何故そんなことを?」と質問。
するとベテランは、コップの水と生卵で、水圧と潜水艦の説明をするわけです。
これはもちろん新人に説明する体で観客に説明していて、その紐は後にしっかり伏線回収に使われるんですよね。

その後も互いのソナーでの探り合いや読み合い、機雷を使った罠にハマって一度は海底350mの海底まで沈み、故障で旋回が出来なくなった手負いのS21の逆転などなど。

若干(というか結構)大味ではあるけど、潜水艦ならではの“見えない相手”との3次元の戦いを堪能出来るんですねー。

インド映画といえば

インド映画といえば、劇中で入る歌と踊りですよね。

とはいえ、この映画は潜水艦同士の戦争映画ですからね、まさかミュージカル的演出は出来ないって思うじゃないですか。

ところが、ちゃんと歌のシーンがあるんですよねー!w

しかも、まさかそこで!? というストーリーの重要なシーンの必要な演出として、S21の船員が全員で大合唱するわけですよ!

こんな演出、インド映画じゃないと成立しない!!

しかも、この演出もしっかり序盤で伏線が張られていて、思わず唸ってしまいましたねー。

日本ではビデオスルーの本作ですが、いやいや、かなり面白いのでオススメですよー!
あと、字面だと読むのが大変なので、字幕じゃなくて吹き替えで観るのがいいと思います

興味のある方は是非!!

 

▼よかったらポチっとお願いします▼


映画レビューランキング

 

映画に入り込んだような“体験”「ROMA/ローマ」(2019)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは各国の映画賞を総ナメにし、第91回アカデミー賞では最多ノミネート&外国語映画賞、監督賞、撮影賞の3部門を受賞したアルフォンソ・キュアロン作品『ROMA/ローマ』ですよー!

この作品、「Netflix」配信作品だったのでユーザーでない僕は「当分は観られないかなー」なんて思ってたんですが、アカデミー賞の影響なのか地元のイオンシネマで公開されたので、早速観に行ってきましたよー!

https://eiga.k-img.com/images/movie/89560/photo/75de34926384be9f.jpg?1544755093

画像出典元URL:http://eiga.com

概要

ゼロ・グラビティ』で第86回アカデミー賞監督賞に輝いたアルフォンソ・キュアロン監督が、1970年代のメキシコを舞台に描く人間ドラマ。キュアロン監督の子供時代の思い出を投影した物語が、若い家政婦を中心に展開する。ヤリッツァ・アパリシオが家政婦を演じ、ドラマシリーズなどに出演してきたマリーナ・デ・タビラらが共演。(シネマトゥディより引用)

感想

Netflix配給作品

この作品は、監督・脚本・制作・撮影全てをアルフォンソ・キュアロンが担当し、当時少年だったキュアロン自身の記憶をモデルに作られた、極めてミニマムで私小説的な作品なんですね。

そんな本作の配給に手を挙げたのがNetflixだったという経緯で、作品自体は昨年からネットフリックスで公開されてるんですが、一般の映画館では殆ど上映されてなかったんですね。(映画館側が公開を拒否したらしい?)

まぁ、全編スペイン語、もしくは先住民族が話してるミシュテカ語で構成された白黒のシネマスコープ作品で、内容的にもハリウッド的エンタメ系作品ではないし、前述したように極めて私小説的なアート系作品なので、Netflixが配給しなければ多分、単館上映とか公開館数も少なかったと思うし、アカデミー賞で話題にならなければ(日本では)ビデオスルーになってたかもしれません。

一方で、個人的にこの作品は映画館で観て初めて真価を発揮する映画って感じがしました。
殆どセリフや音楽に頼らずに映像のディテールと「音」で語られる物語なので、明るい部屋のテレビやパソコンのモニターでは本作の凄さが伝わらないんじゃないかなーと思うんですよね。

そういう作品なので、ストーリーを追って観るタイプの人には退屈だったり難しいと感じてしまうかもしれません。(正直僕もそのタイプ)

映画に入ってしまう感覚

この映画は、主人公のクレア(ヤリッツァ・アパリシオ)が住み込みの家政婦として働く家の、駐車場のタイルをブラシで掃除しているシーンからスタートします。

いきなり真上からタイルだけが撮されて、後ろの方ではブラシでタイルを擦る音が聞こえる。
やがて、水を流すような音と共に映像には洗剤混じりの水が流れてきて、その水には家の屋根で四角く切り取られた空が映り、そこを旅客機がゆっくり横切っていくという長回しが本作のファーストカット。

このカット、立体音響(?)で前・横・後ろのスピーカーから「音」が聞こえてくるのでカメラに映っていないクレアがどこにいるのかが分かるんですよね。

この立体音響は映画全編で使われていて、例えばカメラの後ろで騒いでいる子供たちの声だったり、波のさざめきや虫の声、街の雑踏や人の声、犬の鳴き声などなど、四方八方から「音」が聞こえてくるので、観ている自分が、映画に入り込んだような感覚になるんですね!

これは僕には初めての感覚で、結構な衝撃でしたねー。

映像による語り

本作はセリフ自体が本当に少ないし、セリフによる状況説明もほとんどありません。ストーリーテリングや状況の説明はほぼほぼ映像によって行われます。

ストーリー自体は比較的単純で、アントニオの奥さんソフィア (マリーナ・デ・タビラ)やその家族と住み込み家政婦のクレアが、社会的な階級差を超えて家族になるまでの物語。

https://eiga.k-img.com/images/movie/89560/photo/e7add0154b909096/640.jpg?1542770701

画像出典元URL:http://eiga.com /主人公クレアを演じたヤリッツァ・アパリシオは演技経験なしの素人

その中で、アントニオは浮気をして家に帰ってこなくなりソフィアと離婚、クレアはボーイフレンドのフェルミン(ホルヘ・アントニオ・ゲレーロ)との間に子供が出来るが、妊娠を告げた途端フェルミンに逃げられるという共通体験があり、社会的な階級差はあれど、無責任男に傷つけられながら再起する二人の姿を描いていくわけです。

その背景では、1971年の6月10日に実際にメキシコで起きた学生運動弾圧・虐殺事件(「血の木曜日」)や、クレアが妊娠検査で行った病院で見舞われる地震などが描かれていて、メキシコの歴史的事件をクレアの視点を通して描いているんですね。

例えば、病院のシーンでは新生児のケースの上にコンクリートの破片が落ちていて、カットが切り替わると十字架が並んだショットになったり、「血の木曜日」に巻き込まれたクレアが破水してしまったり。

他にも、前半と後半に“対になる映像”を見せることで、時間の経過や状況の変化を表す方式が使われてたりするのも本作の特徴だったりします。

例えば、クレアが務めるアントニオの家は大富豪というほどのお金持ちでもないので、駐車場が車幅ギリギリだったりするんですよ。
その狭い駐車スペースにアントニオはフォード・ギャラクシーという大きな乗用車を上手く駐車するけど、奥さんのソフィアは壁にぶつけて傷をつけまくる。…からの後半では――とかね。

この自動車の種類や、車庫入れの様子が家族の変化、変遷っていうのを示す、小道具になってるんですね。

チ〇コブラブラ男フェルミ

一方、クレアのボーイフレンドのフェルミ
コイツがもう超最低な男でして。

クレアとフェルミンはWデートで映画に行くんですけど、フェルミンは「天気がいいから公園でも行こう」なんて、友人と分かれるんですね。
そこでカットが変わって雨降りのフェルミンの部屋で、ベットの上のクレアと、シャワーカーテンの突っ張り棒みたいのを外して、全裸でチ〇コブラブラさせながら棒術の型を見せるフェルミンというシュールなシーンに切り替わります。(ボカシなしだったw)

これは、己の肉体と棒術を披露することがフェルミンという男のマチズモ思想を表現してる一方で、「お前、チン〇丸出しで何してんねん!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ」っていう、間抜けさや滑稽さを皮肉的に描くという本作の名シーンでしたねーw

で、その後映画館でクレアに妊娠を告げられたフェルミンは「…いいことだと思う」と言ったあと「ちょっとトイレ行ってくる」と席を立って二度と戻ってこないんですね。さらに、居場所を突き止めて会いにいったクレアに逆ギレ→得意の棒術で威嚇する始末で、もうね、心底最低な奴で「お前は一生チ〇コブラブラさせながら棒っきれ振ってろ!! (>ω<〟)〇))°3°;)☆」っていう。

ちなみにコイツ、若者達で構成される政府支援の準軍事的集団(ロス・アルコネス)のメンバーで、「地の木曜日」のシーンでクレアと再開して、超最低なことをしやがります!ι(`ロ´)ノムキー

余談ですが、フェルミンの顔が少し三島由紀夫に似てるって思ったのは僕だけですかね?

キリスト教的モチーフ

この映画は前述した冒頭のシーンを始め、雨のシーンやクレアの破水など、至るところで水のモチーフが象徴的に描かれています。

それが極に達するのがクライマックスシーンなんですが、あれはキリスト教の「洗礼」の儀式のメタファーなんだろうなーって思いました。
このシーンでクレアは、自身が抱えて込んでいた“思い”を告白(というか懺悔)し、ソフィアや子供たちと(精神的な)「家族」になったんだろうなと。

これ以外にも、映像の端々にキリスト教を思わせるモチーフが度々描かれるし、宗教画的な構図もあったりしましたねー。

https://eiga.k-img.com/images/movie/89560/photo/010d9b4b1282c213/640.jpg?1542770701

画像出典元URL:http://eiga.com /随所に見られる宗教的モチーフ

まぁ正直、135分とかなり長い映画だし、いわゆるアート寄りの映画なので“面白い”か? と聞かれると正直微妙ではあるんですよね。
映画として凄いことしてるとは思うけど、いわゆる普通の人が言う「面白い」とは別物というか。

僕も家のDVDとテレビ画面で見ていたら「あー、グダグダ長い映画だなー」って思ったかもしれません。

なので今回、映画館での映像と音の“体験”が出来たのは、個人的には結構な衝撃だったし、それだけでも本作を映画館で観ることが出来て良かったって思いました。

多分、今現在、もしくはこれから日本各地の映画館で本作が公開されると思うので、もしお近くの映画館で上映されてたら、劇場の環境で「ROMA/ローマ」を「体験」することを強くオススメしますよー!

興味のある方は是非!!!

 

▼よかったらポチっとお願いします▼


映画レビューランキング

死霊館ユニバース5作目にしてついにオリジンが!「死霊館のシスター」(2018)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは大人気ホラー「死霊館」シリーズ5作目『死霊館のシスター』ですよー!!

2013年、実在の超常現象研究家エド&ロレイン・ウォーレン夫妻と、彼らが解決した事件を元に制作された第1作から始まった、“「死霊館」ユニバース”の5作目にして、ついにエド&ロレイン・ウォーレン夫妻の宿敵、悪魔ヴァラクのオリジンが明かされるんですねー。

https://eiga.k-img.com/images/movie/88416/photo/baf0f48126c90b7e.jpg?1534378796

画像出典元URL:http://eiga.com

概要

死霊館』シリーズの恐怖の始まりを描くホラー。ルーマニア修道院に派遣された神父と見習いシスターが、修道院に隠された邪悪な秘密に迫る。同シリーズでロレイン・ウォーレンを演じたヴェラ・ファーミガの妹タイッサ・ファーミガ、『明日を継ぐために』などのデミアン・ビチルらが出演。製作を『死霊館』シリーズでおなじみのジェームズ・ワン、監督を『ザ・ハロウ/侵蝕』などのコリン・ハーディが務めた。(シネマトゥディより引用)

感想

死霊館ユニバース

死霊館」シリーズは、ざっくり二つの流れに分かれます。

エド&ロレイン・ウォーレン夫妻が怪異と対決する本編、「死霊館」(2013年)「死霊館 エンフィールド事件」(2016年)の2本。

ウォーレン夫妻が保管・管理している最強の呪い人形アナベルにスポットを当てたスピンオフ、「アナベル 死霊館の人形」(2014年)「アナベル 死霊人形の誕生」(2017年)の2本。

そして、本作「死霊館のシスター」は両シリーズを跨いで登場し、ウォーレン夫妻も苦しめた尼僧姿の悪魔、“ヴァラク”のオリジンストーリーなのです。

https://eiga.k-img.com/images/movie/88416/photo/ac3b12ed12d8eaa3/640.jpg?1534909777

画像出典元URL:http://eiga.com

ざっくりストーリー紹介

舞台は1952年、ルーマニア修道院
食料を届けに来た青年フレンチ/本名モーリス(ジョナ・ブロケ)によって、修道女の首吊り死体が発見される。

これを受け、バチカンはバーク神父(デミアン・ビチル)とシスター見習いのアイリーン(タイッサ・ファーミガ)を派遣、調査に向かわせる。

次々に襲いかかる恐怖現象を乗り越え調査を進めた二人は、この修道院にまつわる驚愕の事実を知ることになる。

https://eiga.k-img.com/images/movie/88416/photo/e9fb19d0ce6684ed/640.jpg?1531466264

画像出典元URL:http://eiga.com

という内容。

恐ろしいアバンからのシスターの謎の自殺、そして(おそらくは)エクソシストであろう神父の登場という展開は、絶対僕の大好物「エクソシスト」的お祓い映画展開になるに違いない! とワクワクしながら観ていたわけですが……、正直終わってみれば「あれー?」って感じでしたねー。

大好物の“お祓い映画”かと思ったら

僕が第一作となる「死霊館」を気に入ったのは、超常現象研究家エド&ロレイン・ウォーレン夫妻が様々な怪事件を調査する「オカルト版Xファイルであり、悪霊や悪魔と対決する“お祓い映画”だったから。
なので、二人が登場しない「アナベル」シリーズの方は、実はそれほど好きじゃないんですよねー。

そういう意味で本作は一応、お祓い映画的文脈ではあるけど、規模が大きくなりすぎてて、何でもありのファンタジー映画みたいになってるんですよね。

いや、観たいのはソレじゃないんだよなー…っていう。

あとクライマックス直前は一応、どんでん返し的な演出がされているんだけど、全然どんでん返しになってないし、伏線の張り方もいかにも「伏線でござい」っていうこれみよがしな感じで正直上手くないなーと思いました。

ルーマニアの古城を修道院のセットに

本作は、ルーマニアに実存する古城や古い墓地、地下道でロケ撮影しているだけあって、歴史に裏打ちされた実在感のある不気味さがあります。

https://eiga.k-img.com/images/movie/88416/photo/07b79fe7d1b77647/640.jpg?1532592596

画像出典元URL:http://eiga.com

恐怖演出も、音や映像でビックリさせられるおばけ屋敷的な演出だけではなく、主人公の後ろにお化けがそっと立っている的なジャパニーズホラー的演出もあって、その辺は中々いい感じなんですが、ぶっちゃけ怖くないんですよね。

それは、多分監督の演出というより設定があまり上手くいってなくて、例えばアイリーンが気配を感じてハッと振り向くと、そこには黒いベールで顔を隠して椅子に座っている修道長が……というシーン。
観てるこっちは、当然そいつはアイリーンにしか見えないお化けだと思ってたら、神父やフレンチーにも普通に見えてて普通に会話を始める。

でもアバンの段階で全部ネタばらししちゃってるので、こっちは修道長が死んでるであろう事は分かってるから、神父やアイリーンに乗ってみることも出来ないっていう、何とも宙ぶらりんな状況で、監督の意図が分からないんですよね。

あと、画面がずっと暗いので昼なのか夜なのか分からないとか、キャラクターが今どこにいるのかの位置関係が掴めないとか。
神父が生きたまま墓に埋められるシーンは、神父の夢かと思ったらホントに埋められてたとかね。「悪魔が見せた夢や幻覚じゃないんかい!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ」 っていう。

そういうストーリー上の構成の不味さやリアリティーラインの曖昧さがノイズになっちゃって、物語に全然集中出来ないんですよねー。

ホラー界のスターウォーズ

本シリーズは、最初の「死霊館」をベースに、前後のエピソードをランダムに映画化していくというスターウォーズ形式。

公開順は、

死霊館」→「アナベル 死霊館の人形」→「死霊館 エンフィールド事件」→「アナベル 死霊人形の誕生」→「死霊館のシスター」(本作)

で、時系列順だと、

死霊館のシスター」(本作)→「アナベル 死霊人形の誕生」→「アナベル 死霊館の人形」→「死霊館」→「死霊館 エンフィールド事件」

となるんですね。

そして、今後公開が予定されている作品が、時系列順だと公開中のエピソードの間にこれから公開される作品が入る予定という、まるでクロスワードパズルのような穴埋め構成になっていて、観ているこっちはユニバースの全体像が気になるから、新作が公開されるついつい観てしまうんですよねw

そういえば、本作に登場するバーク神父の趣味はクロスワードパズルなんですが、それって「死霊館」ユニバースのメタファー的な演出なのかな?(多分違うw

興味のある方は是非!!

 

▼よかったらポチっとお願いします▼


映画レビューランキング

 

▼関連作品感想リンク▼

aozprapurasu.hatenablog.com

aozprapurasu.hatenablog.com

aozprapurasu.hatenablog.com

aozprapurasu.hatenablog.com

aozprapurasu.hatenablog.com

流石にそろそろいいよね「カメラを止めるな!」(2017)*完全ネタバレ感想

ぷらすです。

2017年、たった1館での上映から始まり、ネットの口コミによって上映館を増やし続けて累計上映館数は190館を超え、興行収入は31億円(制作費は約300万円)にも登るメガヒット作品となった『カメラを止めるな!

以前、ネタバレ無しの感想を書きましたが、全国映画館でも一通り上映されたしDVD発売&レンタルも開始して、さらには金曜ロードショーでの放映も終わったということで「もう流石にいいだろ!」と判断し、今回は完全ネタバレ感想を書きたいと思いますよー!(´∀`)ノ

https://eiga.k-img.com/images/movie/88047/photo/2371b32dca2f2b3f.jpg?1521452300

画像出典元URL:http://eiga.com

概要

監督・俳優養成の専門学校「ENBUゼミナール」のシネマプロジェクト第7弾となる異色ゾンビムービー。オムニバス『4/猫 -ねこぶんのよん-』の一作を担当した上田慎一郎が監督と脚本と編集を務めた。ゾンビ映画を撮っていたクルーが本物のゾンビに襲われる様子を、およそ37分に及ぶワンカットのサバイバルシーンを盛り込んで活写する。出演者は、オーディションで選ばれた無名の俳優たち。(シネマトゥディより引用)

感想

入れ子構造

本作の面白さは、物語が入れ子構造になっているということですよね。

まず、冒頭37分ワンカットで進むゾンビ映画としての第一幕

https://eiga.k-img.com/images/movie/88047/photo/0b205f7b3766c76d/640.jpg?1508922534

 

過去に遡り、第一幕が劇中劇であることが分かる&その劇中劇制作までの経緯と主人公である監督家族の事情が分かる第二幕

https://eiga.k-img.com/images/movie/88047/photo/f410cbace6c68442/640.jpg?1521187389

 

そして、数々の困難を乗り越えて、ワンカット生放送のゾンビ映画(テレビ番組)の裏側描いた第三幕。という、三幕構成

https://eiga.k-img.com/images/movie/88047/photo/4fd5d3e2f26a533e/640.jpg?1508922538

 

そして、第一幕で感じる違和感と第二幕のドラマがすべて伏線であり、第三幕で張り巡らされた伏線をすべて回収していくという構成なんですね。

本作の評判を聞いて観に行った人たちは、恐らく冒頭37分ワンカットの劇中劇を観て、まず戸惑いますよねw
だって、映像もショボイし役者陣も知らない人ばかり。自主制作映画感丸出しなんですから。

でも、本作が監督・俳優養成の専門学校のシネマプロジェクトとして、低予算で作られた自主制作映画であることを事前に知って観に行った人は、そこで「まぁ自主制作だし…」と納得したのではないでしょうか?

ところが、本作の上田監督は、観客がそう考えるであろう事を織り込んで、物語を構築してるわけですよ!

つまり本作は、劇中劇「ONE CUT OF THE DEAD」を撮影する、監督が主人公の「カメラを止めるな!」を撮影している、上田監督を始めとした「ENBUゼミナール」のスタッフ・キャストたちまでを含めた、三層構造の作品でもあるわけです。

家族の物語

第2幕では、主役の監督家族の関係を中心に物語が進みます。

ここでの仕掛けは、世間の荒波に揉まれてクリエイティブを諦めた監督、役に入り込みすぎて暴走するため追放るも役者を諦めきれない妻、映像業界に入りたての新米ゆえにクリエイティブにこだわりすぎて空回りする娘と、家族三人が三層構造になっているわけです。

夢を追うあまり空回りする新人→夢を諦めきれずに燻っている元女優→夢を諦め請負仕事に徹する監督という、(おそらくは)クリエイターを目指す人の多くが通だろう挫折への道を段階的に三人の家族に振り分け、クリエイターの卵である娘と、先輩クリエイターである父親の確執を通して、普遍的な社会の縮図を、滑稽なコメディーとして軽妙に描いているんですよね。

https://eiga.k-img.com/images/movie/88047/photo/d422fac23615f11d/640.jpg?1508922537

 

そんな監督に生放送ワンカットのゾンビドラマの監督という仕事が舞い込み、最初は断るも、娘が主演俳優のファンだと知って結局引き受けてしまうわけですが、この「生放送」という部分が本作のキモで、どんなトラブルに見舞われても途中で止める事もやり直すことも出来ない一発勝負という設定が、第三幕のドラマに直結していくわけです。

この設定がもう見事というほかありません。

そんなドラマにキャスティングされた役者たちは全員がクセ者揃い

やりたくない事は事務所のせいにしてNGを出しまくるアイドル。
すぐ演出に口を挟む意識高い系人気若手俳優
アル中で娘に愛想を尽かされているの中年男優。
気弱なメガネの若手俳優
細かな条件を複数指定してくる神経質すぎる俳優。
子持ちの人妻女優と、彼女に色目を使う男優。

もう、まったく上手くいく気がしないw

そんな懸念の通り、言うことやること全員バラバラで、監督のプランも全然上手くいかない。しかも、プロデューサー二人は超テキトーで全てを監督に丸投げ状態。

それでも放映日時は刻一刻と迫り、監督は妥協を繰り返しながらリハーサルを繰り返しての本番当日。

なんと、子持ち女優と男優が交通事故で来ることが出来ない状況に。まさに絶体絶命のピンチですが、ドラマを見学に来ていた監督の妻(密かに台本を読み込んでいた)と、監督自身が代役を務めることで何とか本番スタート。

伏線全回収、そして感動のクライマックスへ

そして、トラブル続出の第三幕では。第一幕の「ONE CUT OF THE DEAD」の裏側を描きながら、第一幕、第二幕で無数に張り巡らされた伏線を(ほぼ)すべて回収

そして第二幕での父娘関係の方も、撮影続行か中止かというピンチの中で決断を迫られる監督が中止=膝を折りそうになった瞬間、娘の機転によって再び立ち上がるわけです。

https://eiga.k-img.com/images/movie/88047/photo/2815d77a57ca7c05/640.jpg?1521187387

 

おいおい、サイコーかよ!!(嬉

第二幕でバラバラだった監督父娘、キャスト・スタッフが数々のトラブルを乗り越えて、最後は一致団結して“映画”を作り上げることで、(クリエイターとしては)負け犬だった監督が、小さな自己実現を成し遂げるんですね。

つまり、この映画は「クリエイター版ロッキー」であり「やるかやらないかを迫られ、“やる”を選んだ男の物語」なのです。

洋画的ストーリーテリング

とはいえ、こうした「入れ子構造」のストーリー自体は、それほど珍しいものではありません。現に、本作も上田監督が見た「GHOST IN THE BOX!」という舞台劇から着想を得ているらしいですし。

そして、前半で張られた伏線を後半で回収することでカタルシスに持っていく作品は、邦画洋画問わずいくつもあります。

ただ、そうした脚本の構造や手法を通して、その奥にあるテーマを語れるところまで辿り着く作品は少なく、(僕の知る限り)邦画での成功例はさらに少ない。

本作でそれが出来ているのは、脚本が洋画的文法で作られているからです。
これがもし、凡百の邦画監督なら、第2幕の父娘の確執を描く件で父娘の心情をセリフで言い合わせたり、ラストシーンでも父娘が和解した事が分かるセリフを入れるでしょう。
もちろん、全ての邦画がそうだという訳ではないけど、昨今のテレビドラマ文法で作られた映画の多くは、大事な事は全てセリフでキャラクターに言わせ、あわよくば“泣かせる”シーンをぶっこみたがる傾向が強いですよね。

なぜなら作り手側が観客を信用してないから。

役者の顔や動きで観客が既に理解している部分を、さらにセリフで説明するのは、昨今の邦画の悪癖だと個人的に思うし、キャラクターの心情から映画のテーマまで全部セリフでキャラクターに言わせるのは最早、病理と言えるんじゃないかと。

で、それをしている間(大抵の場合は)物語の流れが止まって退屈な映画になってしまう

対して本作は、役者の動きや表情で心情を見せ、テーマとクライマックスが直結しているので余分なセリフは殆どいらない。だから常に物語の流れを止めず、クライマックスに向かってどんどんスイングしていくわけです。

映画においてキャラの心情やテーマはベラベラ語るものではなく、ストーリや映像に織り込んで観客が見つけるものだということを、上田監督は分かっているのです。

また、本作をコメディーにしたのも秀逸で、第三幕では第一幕の違和感の謎解きを、スラップスティック(ドタバタ)コメディーとして見せていくし、物語がウェットにならないので観客は最後に「面白かった」という後味と小さな感動を持ち帰るんですね。

本作は、ぱっと見低予算のコメディーだけど、その奥には観客の思い込みまでを計算した多重構造の脚本と、映画の本質を理解した演出、そして決して有名ではないキャストやスタッフの情熱が結実した奇跡のような作品なんですね。

 ではではー(´∀`)ノ

 

▼よかったらポチっとお願いします▼


映画レビューランキング

 

 

▼関連作品感想リンク▼

aozprapurasu.hatenablog.com

aozprapurasu.hatenablog.com

最高だ! サイコーだ! サイッコーーーーだぁぁぁ!「スパイダーマン:スパイダーバース」(2019)

ぷらすです。

観てきました『スパイダーマン:スパイダーバース』!!!

 

最高だ! サイコーだ! サッイコーーーだぁぁぁ!!!ヽ( ・∀・)ノ フォー!!

 

最初の動画が発表された時「えー、ここに来てまたスパイダーマンですかソニーさんよー。 しかもアニメってさー。」とか思ってた自分を殴ってやりたいですよ!!

ソニーさん、いやさソニー様! 作ってくれて本当にありがとう!!

というわけで、今回は公開されたばかりなのでネタバレしないように気をつけて書きますけど、これから映画を観に行く予定のある方や、ネタバレは嫌! って人は、先に映画を観に行ってからこの感想を読んでくださいね!

いいですね? 注意しましたよ?

https://eiga.k-img.com/images/movie/88298/photo/e138a6e11666ef1c.jpg?1543797031

画像出典元URL:http://eiga.com

概要

異なる次元で別々に活躍していたスパイダーマンたちが、一堂に会するアニメーション。さまざまなスパイダーマンたちが集まった世界で、ピーター・パーカーの指導によって成長する中学生の姿が描かれる。日本語吹替版では、中学生マイルス・モラレス役を小野賢章、ピーター・パーカー役を宮野真守、女性スパイダーマンのグウェン・ステイシー役を悠木碧が担当する。(シネマトゥディより引用)

感想

スパイダーバース

まずスパイダーマンが黒人少年ってどういうこと?」って思った人も多いんじゃないでしょうか?
サムライミ版の無印「スパイダーマン」ではトビー・マグワイア
リブート版「アメージング・スパイダーマン」ではアンドリュー・ガーフィールド
MCU版「スパイダーマン/ホームカミング」ではトム・ホランド

が、それぞれスパイダーマンを演じてますが基本全員白人ですもんね。

コミックで2000年から始まったマーベルの新ユニバース
「アルティメットユニバース」

この世界で、主人公のマイルス・モラレスはスパイダー能力を得、ある事件で死亡したピーター・パーカーの遺志を継いでスパイダーマンになります。

本作は、その原作シリーズをベースに製作されているんですね。

ちなみに、ユニバースとはざっくり言えばパラレルワールドの事で、例えばトビー・マグワイア、アンドリューガー・フィールド、トム・ホランド、そして本作はそれぞれ違う世界(パラレルワールド)の住人なんだと理解していただけば大体間違いないです。

で、本作ではまさに、そのパラレルワールドの様々なスパイダーマンたちが主人公マイルス・モラレスの世界に集結するというストーリーなんですね。

ざっくりストーリー紹介

主人公マイルス・モラレスは、警察官の父と看護師の母を持つごく普通の中学生。
頭の良く、試験に通って名門私立中学校に転入し寮暮らしをますが、グラフィックアートと音楽が大好きな彼は、ガリ勉ばかりの中々馴染めず地元の中学に戻りたいと思っています。

そんな彼は、ある晩寮を抜け出し気の合うアーロン叔父さんと遊びに行った“ある場所”でクモに噛まれてスパイダー能力を得ることに。

体の変化に戸惑いクモに噛まれた現場に戻ったマイルスは、そこでスパイダーマン/ピーター・パーカーと、幾つものパラレルワールドを歪めようとする暗黒街のボス キング・ピムとの戦いでピーターの死を目撃してしまいます。

悲しみに暮れるニューヨーク市民。
マイルスはピーターの意思を継ぎ、キング・ピムの野望を阻止しようとしますが、能力も上手く使えず、一人ではどうにも出来ないんですね。

https://eiga.k-img.com/images/movie/88298/photo/d5ad0dbf69d41401/640.jpg?1545190223

画像出典元URL:http://eiga.com

そんな彼のもとに現れたのは、なんと死んだはずのピーター・パーカー。

しかし、彼はマイルスが知っているピーター・パーカーとは少し様子が違うようで――という物語。

この、マイルスの前に現れたピーターは、キングピンが歪めた時空に吸い込まれてやってきたパラレルワールドのピーターで、他にも色んな次元の「スパイダーマン」たちがマイルスの世界に集結するというのが、本作の見所なのです。

 本作に登場するスパイダーマンたち

www.youtube.com

マイルス・モラレス:本作の主人公で名門中学校に通う黒人少年。
遺伝子操作されたクモに噛まれて、スパイダー能力を得るも、自分自身の力をうまくコントロールできない彼は、長年スパイダーマンとして活躍するピーター・パーカーを師に、様々な壁にぶつかりながら一 人前のスパイダーマンとして成長していきます。
コスチュームは黒と赤ベースのデザインで、その上からパーカーやカーゴパンツバスケットシューズ(スニーカー?)。
スパイダー能力の他に、彼独自の能力のあります。

www.youtube.com

スパイダーマン/ピーター・B・パーカー:見た目は同じですが別次元のスパイダーマン
オッサンで下っ腹がぽっこり出ていて、無精ひげを生やし、性格もかなりテキトーですが、スパイダーマン能力はそのまま。

www.youtube.com

スパイダー・グエン/グエン・ステイシー:映画「アメージング・スパイダーマン」でも登場したピーターの恋人。
本作で登場する別次元の彼女がいた世界では、クモに噛まれたのはピーターではなくグエンで、彼女はスパイダーマンの能力を得るのです。
原作版では屈指の人気キャラで、トゥシューズを履いているのは彼女がバレエダンサーだから。
紅一点の女性スパイダーマンで、バレエで培った優雅で女性らしい動きが見所。

www.youtube.com

スパイダーマンノワール/ピーター・パーカー:“ノワール”は、フランス語で「暗い映画」を意味する「フィルム・ノワール」に由来しています。
フィルム・ノワール」は1940年代前半~50年代の後半にかけて、主にアメリカで製作された犯罪映画のことを指し、スパイダーマンノワールは1930年代のギャングと戦っている世界の住人なので、彼だけは白黒なんですね。

www.youtube.com

スパイダーハム/ピーター・ポーカーマーベルコミックスのキャラクターを動物化したパロディ世界からやってきた豚(だからハムなんですねw)のスパイダーマン
他のスパイダーマンたちがクモの能力を得たのに対して、スパイダーハムは人っぽいクモが後天的にブタの力を得て生まれたのだとか。
劇画ではなくカートゥーン世界(「トムとジェリー」とか「バックスバニー」とか)の住人としての“特性”を活かして戦うようです。

www.youtube.com

スパ//ダー/ペニー・パーカー:読み方はよく分かりませんが(スパィダーorスパーダー?)、ほぼ間違いなく日本のアニメを意識したキャラクター。
スパ//ダーは人ではなく、未来の世界からやってきたペニー・パーカーという名の14歳の少女が操るパワードスーツ&彼女とパワードスーツを繋ぐクモの名前なんですね。

他にも、メイおばさんやメリージェーンといったお馴染みのキャラやヴィランも登場するんですが、今までのスパイダーマンとは少しだけ違ったりするので、ファンの人はそこに注目するとより楽しめるんじゃないかと思いますよ!

 制作総指揮はあの二人

本作で制作総指揮を務めるのは、「くもりときどきミートボール」(2009)や「21ジャンプストリート」(2012)などの監督・脚本を務めたフィル・ロード&クリス・ミラー
彼らはバットマンをレゴでアニメ化し、本家DCEUより面白いと評判の名作「レゴバットマン ザ・ムービー」(2017)を制作するなど、アメコミ通としても知られていて、本作ではフィル・ロードが脚本も担当しています。

まるでコミックがそのまま動き出したようなアニメーション

 

本作は基本CGアニメーションなんですが、CGでレンダリングした映像のうえに手描きで作画、着彩を施すという特殊な工程で制作されているそうです。
そのため従来の通常のCGアニメとは全く異なるルックの画面になってるんですね。

https://eiga.k-img.com/images/movie/88298/photo/45d93ee1a9ed68c7/640.jpg?1548925424

画像出典元URL:http://eiga.com

また、各キャラクターのデザインにもそれぞれのルーツとなるコミックの画風が取り入れられていて、マイルスたちはあえてモーションブラー(動く被写体を撮影した際に生じるブレ)をかけずにカクカクとした動きをさせているし、ペニー・パーカーはアニメ風のメリハリある動き……と言った風に、キャラごとに異なるアニメーション技法を使ってるんだそうですよ。

とにかく最高に面白い作品なので、映画館の出来るだけ大きな画面と音量で鑑賞することを強くオススメしますよー!

興味のある方は是非!!!

 

▼よかったらポチっとお願いします▼


映画レビューランキング

 

▼関連作品感想リンク▼

aozprapurasu.hatenablog.com

 

混ぜるな危険。ラブストーリーとMADMAX2「ベルフラワー」(2012)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、僅か17000ドル(日本円で200万弱?)という超低予算で制作されたインディー映画『ベルフラワー』ですよー!

何ていうか、超どインディー感溢れる作品ながら、並々ならぬ熱量が溢れ出していて、多分刺さる人にはザクザク刺さるタイプの作品でしたねー。

https://eiga.k-img.com/images/movie/57757/gallery/bellflower_main_large.jpg?1396888679

画像出典元URL:http://eiga.com

概要

マッドマックス2』に登場する悪の首領ヒューマンガスをヒーローとあがめ、世界滅亡を夢見る若者たちの友情と愛憎を描いたダークな青春ドラマ。恋人に裏切られ絶望した男が狂気へと駆り立てられていくさまを、幻惑的な映像表現で描く。監督、脚本、製作、編集、主演を務めたのは、本作で長編デビューを果たした新鋭エヴァン・グローデル。自らの失恋経験を基に独自の映像世界を作り上げ、第27回サンダンス映画祭で上映されるや大反響を呼んだ。(シネマトゥディより引用)

感想

本作は、友人宅に居候していたボンクラ童貞青年エヴァン・グローデルが、初恋→失恋をした心の痛みを、
「チキショー! この辛い気持ちを映画にしてやるぜ!・゜・(ノД`)・゜・」と、自ら脚本、監督、主演、プロデューサー、車両改造までこなして作り上げたという青春ラブストーリーです。
でも、エヴァン・グローデルはボンクラなので、ラブストーリーに大好きな映画「MADMAX2」と足してしまい、他に類を見ないボンクラ青春バイオレンスラブストーリーになってしまったんですねー。

しかも、本作のヒロインは、現実でエヴァン・グローデルをフッた女性ジェシー・ワイズマン本人が演じているそうですよ。

ざっくりストーリー紹介

子供の頃、テレビで「MADMAX2」を何度も観て、悪役のヒューマンガスをヒーローと崇めるウッドロー(エヴァン・グローデル)と親友のエイデン(タイラー・ドーソン)は、来るべき週末世界の支配者になるべく、火炎放射器やマッドな改造車を制作しているボンクラ童貞。

そんなある日、参加したバーのイベント「コウロギ食べコンテスト」(生きたコウロギを食べる)で見事な食べっぷりを見せたミリー(ジェシー・ワイズマン)に恋しちゃったウッドローは、二人で数日かけてテキサスまでドライブデートをし、帰宅後ウッドローはついに童貞を卒業する。

そんなハッピー気分も束の間、彼はミリーが自宅で別の男と浮気しているところを目撃してしまい……。という物語。

いやもう、何ていうかデート中のウッドローとエミーの会話や、エミーにいいところを見せようとして荒くれ男にボコられるトコとか、初Hでのアレコレ、童貞卒業後の浮かれっぷりなど、隅々までリアルなイタイタしさに溢れていて、多くの男性はウッドローに“過去の自分”を重ねて悶えちゃうのではないかと思いますw

https://eiga.k-img.com/images/movie/57757/gallery/bellflower_sub2_large.jpg?1396888679

画像出典元URL:http://eiga.com /自作の火炎放射器を発射するボンクラ二人組。

そもそも、このウッドローはエイデンと二人で火炎放射器を作り、空き地でカカシを燃やして「うっひょー! ヤッベー!!(嬉)」とか言って喜んでるような真性のボンクラですからね。

で、恋人の浮気(しかも自宅で)を見ちゃったウッドローは、「エミーのバカーーーー!! ・゜・(ノД`)・゜・」と盗んだバイクならぬ、テキサスで自動車と交換したバイクで走り出すも交差点で自動車とクラッシュ。そのまま入院するハメになるまでが前半。

そして、退院後にミリーが部屋に忘れていった荷物を、(彼女の?家の庭で)火炎放射器で燃やしたことから、事態はがどんどん悪化して収拾がつかなくなっていく……というバイオレンスな後半に続くわけですね。

しかし、この後半部分はウッドローの妄想と現実が入り混じって(前のシーンで死んだキャラが生きてたり)物語がグチャグチャに崩壊していくわけです。

これについて、監督のエヴァン・グローデルは、「失恋した自分の脳内をそのまま映像化した」と語っています。

もう“ひとり”の主人公「メデューサ

そんな、失恋で廃人同然のウッドローを励まそうと、親友エイデンは購入した車を改造しまくった「MADMAX」使用のマッスルカーメデューサを作り上げます。

72年型ビューイック・スカイラークをベースに、前後にカメラ、(映画用のダミーじゃなくて)ガチのスーパーチャージャードリフトマシーン(ドリフトしやすいように後輪にオイル? を吹き付ける)、火炎放射マフラーを搭載したモンスターマシン。

https://eiga.k-img.com/images/movie/57757/gallery/bellflower_sub5_large.jpg?1396888679

画像出典元URL:http://eiga.com /主人公の分身メデューサ。超かっこいい。

制作費17000ドルのうち、10000ドルをこの車の改造にかけたのだとか

なぜなら、この「メデューサ」は荒れ狂うウッドローの心の中に救う怪物のメタファーであり、もう“ひとり”の主人公でもあるからです。

ウッドローはボンクラで冴えないオタクで精神年齢は小5男子。だからこそ、ヒューマンガスになって「セカイ」に復讐してやりたいわけで、最初は手作りの火炎放射器程度だったルサンチマンは、初恋の彼女に裏切られたショックで膨れ上がり「メデューサ」というバケモノに成長してしまったという事なのです。

これ、そのままゴジラガメラなどの怪獣映画と同じ構造だし「初恋の女に裏切られた世界なんか滅んでしまえ! 」っていうマインドは、セカイ系と言えるかもしれません。

セカイ系ボンクラ青春バイオレンス怪獣ラブストーリー」って、カオスにも程があるだろ!って話ですけどもw

コートウルフ

もう一つ、本作で特徴的なのはエヴァン・グローデルが開発?したカメラ「コートウルフ」です。
エヴァン・グローデルを取材した町山智浩さんによれば、ビデオカメラとレンズの間に蛇腹を取り付けて、カメラとレンズの距離や角度、また蛇腹の間に様々なフィルターを挟むことが出来るので、普通は撮影後にVFXで処理する特殊効果を撮影の段階で作れるし、映像が昔の8mmカメラ的というか、ピントや陰影が不思議な映像になる――ということらしいです。

https://eiga.k-img.com/images/movie/57757/gallery/bellflower_sub3_large.jpg?1396888679

画像出典元URL:http://eiga.com /コートウルフによる現実感のない映像

確かに、映像を観るとデジタルカメラっぽくないし現実感のない不思議な感じで、ウッドローの妄想の映像化という試みにはすごく効果的な役割を果たしていたように思いますねー。

まぁ、正直に言えばとても万人にオススメ出来るタイプの映画ではないし、観る人によっては「なんじゃこりゃ?」と呆れちゃうような映画だと思いますが、監督自身を反映した主人公のダメさや愚かしさやイタさも含めて、個人的には愛おしい作品でしたねー。

あ、ちなみに、タイトルの「ベルフラワー」は、エヴァン・グローデルをフッたジェシー・ワイズマンが住んでいたアパートのあった通りの名前だそうです。

興味のある方は是非!!

 

▼よかったらポチっとお願いします▼


映画レビューランキング

 

町山智浩さんによる「ベルフラワー」解説▼

www.youtube.com

www.youtube.com

“終わった世界”を生き抜く家族の物語「クワイエット・プレイス」(2018)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、昨年公開されて話題になったホラー映画『クワイエット・プレイス』ですよー!

公開時、気になりつつも極度のビビリなので映画館では観れなかったんですが、今回やっとDVDをレンタルしてきましたー!

https://eiga.k-img.com/images/movie/88476/photo/7e8e3283bc8b5094.jpg?1530091355

画像出典元URL:http://eiga.com

概要

『ボーダーライン』『ガール・オン・ザ・トレイン』などのエミリー・ブラントらが出演したホラー。音に反応し人間を襲う何かが潜む世界で、音を立てずに生き延びようとする一家を映す。ドラマシリーズ「ザ・オフィス」などのジョン・クラシンスキーが監督と出演を兼ね、『ワンダーストラック』などのミリセント・シモンズ、『サバービコン 仮面を被った街』などのノア・ジュープらが共演する。生活音が未曽有の恐怖を生み出し、一家に次々と危機が訪れる。(シネマトゥデイより引用)

感想

いやー、観ている間ずっと緊張しっぱなしでしたねー。

公開時、ネット上では「劇場で音を立てるのが躊躇われる」という感想をよく見かけたんですが実際観てみると、さもありなんって感じでした。

“世界が終わった後”からスタートする物語

本作のストーリーをざっくり説明すると、音を立てると襲ってくるバケモノによって滅亡した世界に暮らす家族の物語です。

https://eiga.k-img.com/images/movie/88476/photo/5d08e871ec3f0907/640.jpg?1537513598

画像出典元URL:http://eiga.com /バケモノの襲撃で壊滅した街から物語はスタート

こうした“世界が終わった後”からスタートする物語は、主に低予算のゾンビ映画などではよく使われる手法です。
少ない登場人物や最小限の表現と物語で、「世界に何が起こったか」を観客に想像させることが出来ますからね。

本作のバケモノは恐らくエイリアンで、大都市を中心に人類の大半は既に滅亡しています。
その過程で分かったのは、
・バケモノには視覚がなく、聴覚で獲物(人間)を狩っている。
・力も強く動きも俊敏、外骨格なので銃弾や刃物も通りにくい?(殺せないわけではないけど、一匹と戦う音で他のバケモノが集まってくる)

主人公のアボット一家が助かったのは、長女リーガン(ミリセント・シモンズ)が聾者で、家族が手話で意思の伝達が出来たからというのが大きいんですね。

それを表現しているのが冒頭部分で、風邪をひいた次男マーカス(ノア・ジュープ)の為に医薬品を補充するため、アボット一家は街のドラッグストアに行くんですが、そこで三男ビュー( ケイド・ウッドワード)がスペースシャトルのおもちゃを見つけます。

音の出るおもちゃなので、父のリー(ジョン・クラシンスキー)は持ち帰る事を禁止しますが、姉のリーガンはこっそりビューにおもちゃを渡すんですね。

しかし、幼いビューは帰り道でそのおもちゃの音を鳴らしてしまい――となるんですが、この時、音にみんなが振り返るのにリーガンは気づかずポカンとしてるわけです。

で、中盤にリーがリーガンに新しい補聴器を渡すことで、彼女が聾者である事が明らかになるんですね。

劇中では、3回くらいまったくの無音になるシーンがあるんですが、それはリーガンの聴覚で捉えた世界を表しています。

また、リーガンを演じるミリセント・シモンズは本当に耳が不自由な女の子で、現場では手話指導もしていたのだとか。
それが本作でのリアリティーを担う一因になっていたようです。

静の前半と動の後半

そんな感じで、物語前半は主に世界の説明や家族の状況や関係性を描いていて、バケモノはほとんど登場しません。

https://eiga.k-img.com/images/movie/88476/photo/207e6c60fb6c1d15/640.jpg?1536294078

画像出典元URL:http://eiga.com /親子ゲンカも手話で

ビューの死後に自分を責め、父親にも嫌われていると思い込んでいるリーガンと、父親リーの関係があまり上手くいっていないこと、母親イヴリンエミリー・ブラント)が妊娠、出産間近であることが描かれます。

その分、マーカスとリーが食料調達のため森から帰る中盤以降、具体的には爺さんの叫び声を合図に始まる後半は、イヴリンの出産、子供達のピンチが同時進行で訪れるという怒涛の展開が続くんですね。

https://eiga.k-img.com/images/movie/88476/photo/99d1b7f3cf651c6b/640.jpg?1527725887

画像出典元URL:http://eiga.com /出産の痛みと迫り来るバケモノに追い詰められるイヴリン

本作の脚本が上手いのは、この静かな前半部分で張ったサスペンスとドラマの伏線を全て、後半のクライマックスで一気に回収しているところだと思います。

もちろん、細々した部分をほじればアラは出てくるし、ネットでも盛大にツッコまれていた「こんな時に子供作ってる場合か」問題もありますが、ここでのイヴリンの出産は単に物語を盛り上げるためだけの仕掛けではなく、出産=赤ん坊の誕生=未来への希望の象徴なので、そこをツッコむのは野暮な感じがしますねー。

ホラーの音響演出

実はホラー映画で一番大切なのは「音」の演出だったりします。
例えば、今やスラッシャーホラーの古典ともなっている悪魔のいけにえ(1974)は、その後のスラッシャーホラーと比べると残酷なシーンはかなり少ないんですが、屠殺場の鉄ドアを閉める音や、耳に残るチェーンソーの音が効果的に恐怖を増幅しているんですね。

一方、本作は音を足し算するのではなく、むしろ引き算することで恐怖を煽る映画なので、音響の人たちはサウンド設計にかなり苦労をしたのだとか。

https://eiga.k-img.com/images/movie/88476/photo/6fec427d385cad52/640.jpg?1533171674

画像出典元URL:http://eiga.com / 次男マーカスと森に行った帰りに…

そのまま録音すると、うるさすぎる自然音から必要な音以外を差し引いて静寂を作っていったんだそうです。それが映画全体を支配する緊張感に繋がっているんですね。

僕はDVDで観たからまだいいけど、これを映画館で観た人はかなり怖かったんじゃないかって思いましたねー。

興味のある方は是非!!

 

▼よかったらポチっとお願いします▼ 


映画レビューランキング