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「仁義なき戦い 広島死闘編」(1973) 感想

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、前々回ご紹介した「仁義なき戦い」の続編『仁義なき戦い 広島死闘編』ですよー!

「シリーズ最高傑作」とファンのあいだでも最も人気の高い本作。
観たのは久しぶりですが、改めて観直してみると確かに人気が高いのも頷ける作品でしたー!

 

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概要

戦後の広島で実際に起こった暴力団による広島抗争を元にした東映の人気映画『仁義なき戦い』のシリーズ第2部。
1973年1月に公開された前作からわずか2ヶ月後の4月28日に本作は公開された。
前作製作中に本作製作が決まったものの原作の連載が追いつかなかったため、本作では前作の時間軸を少し後ろにずらし、前作分の原作に登場した二人のヤクザをモデルに作られたキャラクター、山中と大友を主軸に物語がつくられた、いわばスピンオフ的作品。
主役の山中役に北大路欣也、大友役を千葉真一が演じる。

監督は前作に引き続き、深作欣二

 

あらすじ

1950年(昭和25年)、広島市が舞台。無銭飲食により博徒大友組の息子、大友勝利(千葉真一)のリンチを受けた復員兵?・山中正治(北大路欣也)は、村岡組組長・村岡常夫(名和 宏)の姪で未亡人である上原靖子(梶芽衣子)によって命を救われ手厚く看病される。

その縁で山中は村岡組の組員となるものの、靖子と恋仲になったことが組長の逆鱗に触れてしまい、若頭・松永(成田三樹夫)の指示で九州へ逃れる。
が、世話になっていた九州の暴力団と敵対する和田組組長を暗殺したことで、裏社会に名を響かせた山中は広島への帰参を許され、靖子との仲を村岡組長も認めることになる。

一方大友組組長である大友勝利(千葉真一)は、渡世のしきたりなど無視で仲間を集めてやりたい放題。
大友連合会会長の実父に日頃の行いを叱責されるも、
「美味いものを食い、いい女を抱くためにシノギをする」
と開き直り、村岡組が警備を任されている競輪場のトイレをダイナマイトで爆破。
村岡組組員の江田達と激しく対立する。

その結果、大友組長から絶縁された勝利は後ろ盾を失うが、大親分景浦の舎弟で村岡組に対抗心を燃やす時森の跡目を譲り受け、「博徒大友組」を結成、村岡組を襲撃する。

その為、山岡組に命を狙われることになった時森は、呉市の山守組長(金子信雄)を通じて広能(菅原文太)に匿われるが、いろいろあって広能組によって射殺される。

時森の死により後ろ盾を失くし、広島から追放されることになった勝利は、しかし、まだ広島を手中に収める野望は捨てていなかった。

 

感想

二人の男

本作は、前作「仁義なき戦い」製作中に制作が決まったものの、週刊サンケイに連載中の原作が追いつかず、原作に登場する二人のヤクザをモデルにしたキャラクター、山中正治と大友勝利を主軸に、時系列的に前作の少し後に広島で起こった抗争を映画化した、いわば「仁義なき戦い」のスピンオフ的なストーリーです。

復員してきたものの身寄りも職もない、野良犬のような男 山中正治北大路欣也さんが、ヤクザ大友組の息子でありながら、渡世の義理も仁義も関係なく無軌道に暴れまわる狂犬のような男 勝利(かつとし)を千葉真一さんがそれぞれ演じています。

広能という主人公はいるものの、基本的に群像劇だった前作と比べると、本作は山中・大友という二人の男に焦点を当てつつ、特に山中の不器用すぎるが故の悲恋や悲劇をクローズアップした作りになってるんですね。

復員してきたものの身寄りも仕事もなく、口数が少なく、暗くて執念深い野良犬のような男 山中を熱演する北大路欣也さんは素晴らしく、ギョロりとした目で上目遣いに周りを見る表情や雰囲気は、山中という不器用すぎる男の哀愁を見事に表現していました。

一方、敵味方関係なく噛み付き、高くクセのある声でまくし立てる狂犬のような男 勝利を、みんな大好き千葉真一さんが好演。
こちらも素晴らしく、何者にも縛られず好き勝手に生きる勝利は魅力的で(絶対近寄りたくはないけどw)、シリーズに登場するキャラクターでも1・2を争う人気を誇っています。

一見、何から何まで対照的に見える二人ですが、一旦火が付いたら抑えが効かなくなるところなんかはよく似ていて、(それを表に出すか出さないかの違いはあっても)ある意味鏡合わせのような存在と言えるんじゃないかと思います。

シリーズ唯一の恋愛映画

本作は前作同様に暴力団抗争を中心に据えた物語ですが、もう一つの柱として、大きな渦の中で引き裂かれる山中の悲恋も描かれています。

村岡組長の姪で、特攻隊員の未亡人である梶芽衣子さん演じる靖子と、ふとしたキッカケで恋に落ちてしまった山中は組長の怒りを買うも、成田三樹夫さん演じる若頭・松永のおかげで九州に逃れ、そこで功績をあげて広島に帰って靖子との関係を組長に認められます。

靖子と彼女の連れ子と三人での慎ましい幸せだけを夢見ていた山中ですが、村岡組長暗殺を企む勝利の舎弟を射殺して無期懲役となり、獄中兄貴分から組長が靖子を亡き夫の弟に嫁がせた事を知らされ脱獄。

自分を裏切った村岡組長を殺そうとしますが、山中脱獄を知った組長が前もって靖子を連れ戻し、山中は『自分が誤解していた』と思い込まされ……。

結局のところ、元々組長は山中と靖子を添わせる気はなくて、靖子という『餌』を与えれば従順に言うことを聞く山中に一夜の夢を見させて、敵の排除に使ったわけですね。
その後、山中は待ち伏せた警官に捕まって無期懲役になるんですが、警察に通報したのも多分、組長だったんだと思います。

そんな風に書くと、組長はとんでもない極悪人みたいですが、基本筋の通ったいい人(ヤクザの中では)ではあるんですよ?
ヒットマンくらいしか能がない山中は抗争で殺されるか、もしくは警察に逮捕される事は目に見えているし、そもそもヤクザ者にカワイイ姪を嫁がせるわけにはいかないという組長なりの親心と、世間体や当時の常識を照らし合わせて出した答えがそれだったんだと思います。多分。

脇役の魅力

本シリーズは、メインキャラクター以外の脇役も魅力的な俳優さんが演じています。
今回はあまり出番のなかったけど金子信雄さん演じる山守組長は相変わらず憎ったらしいし、本作で村岡組若頭の松永を演じる成田三樹夫さんも超カッコイイ!!

成田さんはずいぶん前に亡くなっていますが、僕らの世代だと松田優作さん主演のTVドラマ『探偵物語』の服部刑事役が有名ですね。
そんなに目立つ役者さんではなかったですが、独特な男の渋みと色気がある名脇役でした。

あと、忘れてはいけないのが川谷拓三さん(故人)です。
後にどん兵衛のCMなどでお茶の間の人気者になる川谷さんですが、このシリーズでは、川谷さん演じるチンピラが非道い目に合ったり殺されるシーンが見所の一つ
特に本作では、脱獄した山中の居所を吐かせようと、勝利に捕まった川谷拓三さんがボコボコにされ、縛られたまま海に落とされ船で引っ張られた挙句(本当に溺れ死にそうになったとか)ロープで吊るされて射撃の的にされて絶命するという、シリーズ屈指の可哀想な死に方をします。

前作では普通に敵に撃ち殺されていたので、やられ役としては大出世ですねw

他にも、刑事コロンボの声優としても有名な小池朝雄さんや、若き日の山城新伍さん、前田吟さんなど、そうそうたるメンバーが出演してますよー!

山中の武器

九州に逃げていた山中が、敵対する和田組組長暗殺に渡された拳銃は、S&Wの44マグナム?じゃないかと思うんですが(詳しくなくてスイマセン)、この銃は劇中の時代にはまだ発売されてなかったそうです。
ただ、山中というキャラクターが手にした唯一の武器として、ほかの連中とは違った大型のリボルバー式拳銃の方が見栄えがいいという判断だったようです。
和田組長暗殺は山中の最初の殺人で、和田組長が死んだことを確かめた後、気持ちを落ち着かせるために口笛を吹き(その後へ伏線でもある)、何の力もなかった彼が始めて手にした『力』の威力を実感し、笑顔になるシーン。
また、スナックで「これはワシの零戦よ」とマグナム自慢するシーンはどちらも、本作には欠かせない名シーンとなりました。(山中は特攻隊員ではないですが、予科練で終戦を迎えたんですね)

クライマックスシーンの映像美

クライマックス手前で、勝利が山中に銃口を向けられるシーンでは、慌てふためきダンボールで自分の顔を隠すように掲げるシーンがあるんですが、これは千葉真一さんのアドリブだったようです。
とっさのバカみたいな行動がリアリティを生んだ名場面で、そのあと山中の銃弾で足を撃たれた勝利が悲鳴を上げながらみっともなく逃げ回るシーンも、勝利なら絶対こうするという説得力があって素晴らしかったです!

そんな本作の一番の見所は、なんといっても警察に追われ、山中が夜の雨の中を逃げ回るクライマックスシーンです。
16ミリの好感度フイルムで撮影したものにさらに増感処理を施し、ドキュメンタリー的な迫力を出したこのシーンでは、それまでとは違ったザラザラした質感とギリギリの照明で作り出された薄暗い画面が、北大路欣也さんの渾身の芝居と相まって、追い詰められていく山中の全てを失った絶望をより引き立たせる名場面となっています。

このシーンだけでも、本作を見る価値があると思いますよ!

テーマそのものは前作に引き続き、大きな力や流れの前になす術なく踏みつけられていく若者を通して、戦争や社会のあり方を批判するものですが、本作では村岡組長ら『上の世代』への反発や価値観の断絶という普遍的なテーマも盛り込まれ、今の若い人たちも、この山中と勝利という二人のキャラクターに共感出来る部分は多いんじゃないでしょうか。

興味のある方は是非!!

 

仁義なき戦いシリーズ▼

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