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2人の天才が再びタッグを組む!「夜は短し歩けよ乙女」(2017)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、天才アニメ作家 湯浅政明13年ぶりの劇場長編アニメーション
夜は短し歩けよ乙女』ですよー!

フジテレビの「ノイタミナ」で2010年に放映されて話題を読んだアニメ「四畳半神話大系」以来10年振り、 森見登美彦の原作小説のアニメ化ということでも話題になりました。

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あらすじと概要

第20回山本周五郎賞、第4回本屋大賞第2位に輝いた森見登美彦の小説をアニメ映画化。京都の移りゆく四季を背景に、パッとしない大学生と彼が片思いする後輩の恋の行方を、個性的な仲間たちが起こす珍事件と共に描く。主人公の声を、テレビドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」などの星野源が担当。監督の湯浅政明をはじめ、脚本の上田誠、キャラクター原案の中村佑介ら、森見原作によるテレビアニメ「四畳半神話大系」のスタッフが再集結する。

ストーリー:クラブの後輩である“黒髪の乙女”に恋心を抱く“先輩”は、「なるべく彼女の目に留まる」略してナカメ作戦を実行する。春の先斗町に夏の古本市、秋の学園祭と彼女の姿を追い求めるが、季節はどんどん過ぎていくのに外堀を埋めるばかりで進展させられない。さらに彼は、仲間たちによる珍事件に巻き込まれ……。(シネマトゥデイより引用)

感想

湯浅政明とは

「劇場版クレヨンしんちゃん」シリーズ初期より参加し、2004年の劇場長編アニメ「マインド・ゲーム」で一躍脚光を浴びた湯浅政明監督。

その後、「ケモノヅメ」「カイバ」「ピンポン THE ANIMATION」「アドベンチャー・タイム」など、次々とテレビアニメシリーズの話題作を世に送り出し、特に2010年放映、人気作家 森見登美彦の同名小説をアニメ化した「四畳半神話大系」は、原作やアニメファンだけでなく、一般の人たちにも人気を得ました。

本作では、そんな「四畳半~」の製作陣が再集結し、再び森見登美彦作品をアニメ化ということで、公開前から話題になってましたよね。

アートでアバンギャルドでエンターテイメント

そんな湯浅監督の作風は、とにかく既存のアニメーションの枠には収まらない、ビビットな色彩や、アーティスティックでアバンギャルドな映像が、そのままエンターテイメントとして成立しているということ。

そして原作者の森見登美彦の作風は、古都“京都”を舞台に、日常と非日常が混在するポップでカオスでシュールな青春劇という感じで、2人の相性は抜群なんですよね。

さらに、キャラクターデザインは「四畳半~」と本作の表紙イラストを手がけ、ロックバンド「アジアン・カンフー・ジェネレーション」のジャケットデザインでも知られる中村佑介と、まさにファンが望んだ形でのビジュアライズ化と言えるんじゃないかと思います。

原作との違い

僕は原作の方は未読なんですが、ネットで調べたところによると、原作では一年を通して春夏秋冬4つのエピソードで綴られるオムニバスとして構成されているそうで、本作ではそれを一夜の出来事にギュッと圧縮しているんですね。

そのへん原作ファンの人がどう感じるのか分かりませんが、個人的にはむしろカオスで不思議な感じの濃度が濃くなっている気がして、悪くない改変だったんじゃないかと思いましたねー。(多分原作の持つエッセンスは損なっていない気もする)

それに一夜の物語にしたことで、テンポが早くなってダレ場がないまま最後まで一気に疾走したように感じました。

声優陣

そんな本作では、花澤香菜神谷浩史など実力派人気声優と、役者としてもミュージシャンとしても人気の星野源や、コント日本一に輝き、クリエイターズファイルなどが人気の芸人ロバート秋山など、そうそうたるメンバーが個性的なキャラクターの声を当てています。

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個人的に特に良かったのは、想い人に出会うまでパンツを履き替えない願掛けをしているパンツ総番長を演じたロバート秋山と、ヒロイン「黒髪の乙女」を演じた花澤香菜ロバート秋山はクレジットが出るまで気づかないくらい達者な声優ぶりだったし、花澤香菜は何事にも怖気付くことなく、前に前に進んでいくヒロインをイヤミなく演じていましたねー。

多幸感

本作のストーリーは、ヒロインと主人公の「先輩」(星野源)が、先輩の結婚式に参加しているところからスタート。
実はヒロインはとんでもない酒豪でお酒大好きなんですが、周囲の空気を読んで一杯で控えるんですね。
で、彼女は2時会に向かう途中で抜け出し、夜の京都繁華街へと一人繰り出しはしご酒を始めるわけです。

そこで、立場も年齢も違う様々な人たちに出会い、巻き込みながら次々店を変えて飲み歩いていくんですが、なんていうか、彼女のキャラも手伝って何とも言えないヌケのいい多幸感があるんですよねー。

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そんな彼女とは対照的に星野源演じる「先輩」の方は、ヒロインが好きなのに、“偶然を装って出会う”を繰り返すばかりで、ちっとも次の行動に移れないんですよ。
それを友人に突っ込まれると、詭弁を弄して誤魔化すっていう、森見登美彦作品によく登場する主人公。

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続く古本市のエピソードや、学園祭のエピソード、京都中の人間が風邪に倒れるエピソードなどなど、何事にも躊躇することなく飛び込んでいくヒロインと、その周りで空回って、ひどい目に遭う先輩の恋の行方を中心に追っていく青春恋愛群像劇なんですね。

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どのエピソードにも(種類の違う)多幸感があって、ラストは何とも言えない爽快感に満ちた素晴らしい作品でしたー!

また、舞台は夜の京都ということで、いわゆる僕らが観光地として認識していう京都ではなく、日常と非日常、虚実入り混じった、「森見登美彦の京都」を「先輩」や「黒髪の乙女」に案内されながら歩いているような気持ちにさせてくれるのも良かったです。

それだけでなく、詭弁部伝統の詭弁踊りだったり、辛い火鍋を食べて唇が晴れ上がったり、ソフトクリームを股間にぶつけられてコーン部分がそそり立ってたりと、思わず笑ってしまうバカバカしいくらいコミカルなシーンも満載でしたねー。

そしてクライマックスは、まさにアニメならではの大スペクタクルを堪能して現実に帰ってくる、ミステリーツアーのような作品でした!

興味のある方は是非!!

 

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