ぷらすです。
今回ご紹介するのは、2015年公開(日本公開は2017年)でロシア・アメリカ合作のSFアクション映画『ハードコア』ですよー!
全編POV形式(一人称視点)でのアクション映画という初の試みで作られた作品で、主人公を“体験”出来るアクション映画として話題になりました。
他にも、色々と異色で革新的な本作。こんな映画初めて観ましたよー!!
画像出典元URL:http://eiga.com
あらすじと概要
トロント国際映画祭で上映されて反響を呼んだ、異色のアクション。大事故で損傷した肉体にマシンを組み込まれたことで超人的能力を得た男が、妻をさらった悪の組織に立ち向かう。監督はロシア出身の俊英、イリヤ・ナイシュラー。『マレフィセント』などのシャールト・コプリー、『イコライザー』などのヘイリー・ベネット、『ロブ・ロイ/ロマンに生きた男』などのティム・ロスらが出演する。主人公の視点のみの完全一人称で映し出されるビジュアルや、壮絶なシーンの数々に息をのむ。
ストーリー:見知らぬ研究施設で目を覚ましたヘンリーは、妻エステル(ヘイリー・ベネット)が、大事故によって肉体が激しく損傷してしまった自分に機械でできた腕と脚を取り付け、声帯摘出の準備を進めているのを目にする。だが、手術に取り掛かろうとしたとき、謎の組織を率いる男エイカン(ダニーラ・コズロフスキー)が乱入。すさまじいパワーで施設を破壊した上に、エステルを連れ去ってしまう。ヘンリーは機械のパーツを導入したことで得た超人的身体能力を活用し、愛する妻をエイカンから奪い返そうと立ち上がるが……。(シネマトゥデイより引用)
感想
まさかのSF!?
僕はこの映画については全編POV形式のアクション映画ということしか知らなくて、「ははーん、主人公と敵(ギャングとか)が銃で撃ち合う様子を体験できる感じの映画なんだろう」と思ってたんですね。
ところが冒頭で本作がSFだということが明かされてビックリでしたよ!
なんと主人公ヘンリーは改造手術で蘇生したアンドロイドで、その施術を施したのは美人妻のエステル(ヘイリー・ベネット)。
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失った声帯の修復が行われようとしていた矢先、研究室にイキナリ踏み込んでくる敵組織のボス、カイエン( ダニーラ・コズロフスキー)は念動力を使う超能力者。
しかも、敵から逃げ出そうと研修室のドアを開けると、そこは……。
と、こちらの理解が追いつく前に矢継ぎ早に物語は展開し、カイエンに奪われた妻エステルを取り戻すため、ジミー (シャールト・コプリー)という男のサポートを得ながら、次々襲いかかってる敵を倒していくというストーリーなんですねー。
しかもアクションの方も銃撃戦あり、格闘アクションあり、パルクールありと、超絶アクションの連続で、まさに目の回るようなジェットコースタームービーになってるんですねー。
監督はロックバンドのフロントマン!?
そんな本作の監督を務めるのは、ロシアのロックバンド「バイティング・エルボウズ」のメンバーでフロントマンというイリヤ・ナイシュラー。
自身が監督を務めたバイティング・エルボウズの「Bad Motherfucker」という曲のMVでの、POVアクションのショートストーリーがYouTubeに公開されるとたちまち話題になり、1.2億回再生を記録します。
この動画を見た映画監督でプロデューサーのティムール・ベクマンベトフが、facebookでメッセージを送り、長編映画化に向けて合意。
9ヶ月以上の撮影、6ヶ月の編集を経て完成した仮編集版の出来を確認後、インディーゴーゴーでクラウドファンディングを募ることを決定し、約7分間のプレビュー映像をアップすると、youtubeで500万回超, vimeoで75万回超の再生数を記録し、クラウドファンディングでは2078名の支援者から目標額を超える$254,954達成するという快挙を成し遂げたんですねー。
カメラは全編Go Pro(ゴープロ)を使用
本作は、POV形式のアクションということで、全編で頭部に取り付けるアクションカメラのGo Pro(ゴープロ)を使用していて、スタントマンがこのカメラをヘルメットなどに装着して、実際にアクションをしながら撮影しているわけですねー。
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Go Pro全面支援の元、本作のために何百時間ものテスト撮影を行って、観客が快適に観られるカメラを開発したそうですよ。
さらにCGなども組み合わせて出来た、誰も見たことのない新感覚な映像を本作は観ることが出来るんですね。
全編POVを実現するための脚本と撮影
そんな本作では、POV形式を最大限活かすために、脚本にもかなりの工夫が成されています。
観客とのシンクロ率を増すために主人公ヘンリーは記憶がなくて話せない設定にして、その分、他のキャラクターがヘンリーのキャラクターや状況説明、行動の指示などを行う形に。
その合間にも、次々襲いかかってくる敵から逃げたり、武器を手に入れたり奪ったりしながら戦う展開は、まるでバイオハザードなどのFPS(ファースト・パーソン・シューティング)ゲームを彷彿させます。
しかし、それだけなら自分で操作できないFPSの画面をスクリーンで観ているだけに成りかねないんですが、本作ではそうならないような工夫が随所にあるんですね。
その最たるものが、劇中で主人公を助けるキャラクター、“ジミー ズ”。
一人でありながら、次々に姿で登場し複数の人格を持つ彼らが、記憶喪失の主人公を導いていくという設定の面白みが、状況説明のためのお助けキャラというだけでなく、ストーリー自体に謎や面白みをプラスしてくれます。
また、主人公が記憶喪失という設定は、FPSゲームでユーザーの没入感を深めるためによく使われる手法らしいんですが、本作でも主人公が記憶を失っていることで、観客は訳もわからないまま物語に放り込まれ、ストーリーが進むうちに少しづつ世界観を理解していくという、ある種、ミステリーの謎解き的興味でがあり、物語への興味を持続させているんですね。
アクション面でも映像が単調にならないよう、敵はあの手この手で攻撃してきて、そんな絶体絶命のピンチをどう凌ぐのかを、主人公と同調している観客も考えざるを得ないわけです。
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自身も、FPSゲームのファンであるという監督だけに長所も短所も踏まえた上で、POVでどうやって100分近い物語を成立させるかを考え抜いて工夫した作品になってるんですねー。
また、FPSの洋ゲーでも多く見られるグロシーンもふんだんに盛り込まれていて、バイオレンス映画大好きな人も満足出来るんじゃないかと思いますよw
とはいえ
とはいえ、全編POVでの本作はストーリーテリングや映像表現的な制約も多く、普通の映画なら感じない無理矢理感やご都合主義がチラチラ垣間見えてしまうのは否めないんですよね。
本作を越える作品が次々に作られて、観る機会が増えれば相対的に技術も上がっていくだろうし、観客もこの手法に目が慣れて違和感もなくなるかもですが、量産されたPOV形式のホラーが飽きられたように、この手法の上っ面だけを真似したような劣化作品が量産されれば、やっぱり観客に飽きられてしまう危険性も含んだ諸刃の剣でもあるし、王道とは言えないこの形式を発展させていくこと自体、現状ではちょっと難しいんじゃないかなーと感じました。(この作品自体、かなり異例ですしね)
もちろん、VR的な視聴環境が整うなど映画を視聴するためのハード面が変わっていけば、分かりませんけどねー。
そういう意味で本作は、今のところ唯一無二の作品でもあるし、まだ見たことがない映像体験が出来るので一見の価値はあると思います。
ただ、人によっては映像酔いしちゃうかもしれないし、前述したようにグロシーンもあるので万人にはオススメ出来ませんけどねw
興味のある方は是非!!
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