今日観た映画の感想

映画館やDVDで観た映画の感想をお届け

本当は怖い高畑勲「平成狸合戦ぽんぽこ」(1994)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、先日亡くなられた高畑勲監督1994年の作品『平成狸合戦ぽんぽこ』ですよー!

実は僕はこの作品は初見でして、「まぁ、大体こんな感じでしょ」と気楽な気持ちで観始めたんですが物語が進むうち……。

怖い! 高畑勲怖いわー。((((;゚;Д;゚;))))カタカタカタカタカタカタカタ
って思いましたねーw

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概要とあらすじ

火垂るの墓」「おもひでぽろぽろ」の高畑勲監督が、人間による自然破壊から自分たちの住処を守ろうと奮闘するタヌキたちの姿をユーモラスに描いたファミリー・アニメ。自然の恵み多き東京は多摩丘陵。そこに住むタヌキたちはのんびりとひそやかに暮していた。しかし、宅地造成による自然破壊によって、タヌキたちのエサ場が次第に少なくなっていた。自分たちの住処を守るため、タヌキたちは先祖伝来の“化け学”で人間たちに対抗することにするが……。(allcinema ONLINEより引用)

感想

以前、「火垂るの墓」を観て以来、高畑勲作品はほぼ観ていないと書いたと思いますが、なので僕、本作は今回が初見なんですね。

環境を破壊する人間から住処を守るためにタヌキたちが色んなものに化けて戦う物語。

位のことは何となく知ってましたが「まー、タヌキが人間を化かして居場所を守る愉快な話でしょ」と、あまり興味もわかないままこれまでスルーしてきたんです。

でも、縁あって今回初めて観たら、
「高畑センパイ、ナメててサーセンしたー!」
ってなるくらい、作家 高畑勲の全てがギュウギュウに詰め込まれたとんでもない映画でしたよ。

火垂るの墓」の続編?

高畑さんが監督した「火垂るの墓」は、現代(公開当時1988年)になっても成仏出来ない主人公 清太の幽霊の回想(というか繰り返される煉獄)という形で物語が進み、妹 節子の霊魂と共に神戸市の夜景をじっと見つめるというラストでした。

そのラストカットによって、高畑さんは戦争と現代は地続きであることを描き、終戦後の価値観の変化によって日本人が失った精神性、コミュニティーの破壊などの問題提起をそれとなく提示したと思うんですね。

しかし、残念ながら作品に込めた高畑さんの真意はほとんどの人に伝わらず、「火垂るの墓」は高畑勲反戦映画として受け取られてしまったのです。

本作では、宅地開発によって生きる場所を失おうとしているタヌキたちを主人公に、高畑さんは「火垂るの墓」ではぼやかして描いていた部分を、よりハッキリと鮮明に描こうとしているのではないかと思いました。

人間の一方的な開発によって。生きる場所や故郷を奪われようとしているタヌキたちが人間相手に闘う姿は、タヌキたちが決して一枚岩ではなく、それでも力を合わせて決行した妖怪大作戦の失敗を経て絶望し、最終的にはハト派タカ派、過激派に分裂し、人間に完全に敗北するところも含めて、例えば空港建設反対闘争だったり、ダム建設反対闘争だったり、学生運動だったと、戦後日本のあらゆる抵抗運動の歴史の隠喩なのは明白です。

隠神刑部が命と引き替えに行った妖怪大作戦も結局はタヌキたちの一人相撲に終わり、レジャーランドの宣伝に利用されたり、テレビのオカルト特集のネタにされてしまう始末。

本作ではそんなタヌキたちの物語を、正吉の回想という形で、まるでドキュメンタリーチックな突き放したタッチで描いているんですね。

アイデンティティの喪失

前述したように「火垂るの墓」で高畑さんが描こうとしていた、戦後の価値観の変化で日本人が失った、精神性や文化、コミュニティー、伝承、祭祀、宗教などを、タヌキたちは全部持っています。

しかし、人間の宅地開発を止めるための会議で、すでにタヌキたちが人間の文明に侵され始めている様子が、マクドナルドや天ぷら、ビールという形で提示されているんですよね。

そしてタヌキたちは物語が進み敗北の色が濃くなるごとに、彼らは自分たちのアイデンティティを一つ、また一つと手放していくのです。

それはそのまま戦後日本の歴史を謎っていて、本作でタヌキたちは僕ら観客を映す鏡になっているんですね。

ラストシーン

こうして人間に敗北を喫したタヌキたち。
結局過激派の連中は警察に特攻をかましてあえなく討ち死にし、化けられないタヌキたちは新興宗教に溺れて「死出の旅」に向かい、残りのタヌキたちは人間に化けて生活したり、人間の出した残飯を漁ったり、人間に餌をもらったりしながら何とか生きています。

正吉たちの最後の抵抗が人間たちに小さな変化を起こし、僅かばかりの緑地と、地形を生かした公園は残った事が彼らにとっての唯一の救いだったかもしれません。

そして、満員電車にゆられて栄養ドリンクを飲みながら人間社会で暮らす正吉はたまたま、排水口に入っていくタヌキを発見。
追いかけていくとそこには、芝生の上で宴会をしているタヌキたちの姿が。

アイデンティティを失い、散り散りになりながらも彼らは「どっこい生きている」のです。

うんうん、ハッピーエンドで良かったねーと安心していると、仲間に加わろうとした正吉が突然カメラに向かって言う一言で、観ているこっちはドキっさせられるし、さらにカメラが引いていくと彼らが宴会しているのはゴルフ場だということが分かるというオチ。

もー、高畑さん最後まで容赦ないわー! 怖いわー!

宴会する彼らの向こうに街の灯りが広がっているのも、「火垂るの墓」のラストシーンとシンクロしてるように感じるのは僕だけでしょうか。

で、このラストシーンをタヌキたち=日本人のたくましさと取るか、それともアイデンティティの喪失と取るかで、この映画がハッピーエンドかバットエンドかの解釈は変わると思いますが、個人的には後の「かぐや姫の物語」の結末も踏まえて、前者寄りの結末なのかなーと思ったりしました。

何にせよ、子供映画とナメてる観客をガチでぶん殴りにくる高畑勲、恐るべしですよ!

興味のある方は是非!!!

 

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マレーシア発のアクション映画?「カンフー・マフィア」(2017?)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、マレーシア発のアクションコメディー『カンフー・マフィア』ですよー!
僕はマレーシア映画は(多分)初体験なんですが、何ていうかこう、いろんな意味で衝撃的な作品でしたねーww

ちなみに、この作品ネタバレしても面白さには一切関係ないと思うので、今回はネタバレしますよー。
なので、ネタバレはダメって方は、映画を見てからこの感想を読んでくださいねー!

いいですね? 注意はしましたよ?

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感想

ストーリー

えーと、本作のストーリーをザックリ書くとこんな感じ。

スーパーヒーローに憧れるヘタレのファディルは、相棒マリクが投獄されたのをきっかけにギャングから足を洗おうとするも、ボスのシャークに自由と引き換えに故郷ブラーニ村を支配して組織に渡すか、命を差し出すかの二者択一を迫られます。

ファデルの故郷は、都心のど真ん中にあるスラム的な土地で、昔は三人の武術の達人に守られていたけど現在は地元のギャングが仕切り、地上げのため住人を追い出そうと画策中なんですね。

故郷に戻って早々、ファディルは地元ギャングと揉めてギャングのボスに殺されそうになるも、危機一髪のところでギャングのボスが偶然心臓麻痺で死亡。
ボスを殺したと思われたファディルはギャングのボスに祭り上げられます。
が、調子に乗って「村を守る良いギャングになろう」と提案したらあっという間に見放されてしまうんですね。

そこで村を守るため、相棒になった(超強い)青年アデルと共に年老いた武術の達人の一人に弟子入りして訓練を始めるファディル。

その頃、村を仕切るギャングは土地を転がして儲けたい“日本人のタナカさん”と手を組んで本格的に地上げを開始し、ファディルたちは村を守るためギャングと戦う――というストーリーです。

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まったく先が読めない展開!

本作は一応、「サボテン・ブラザース」や「ランゴ(Rango)」のような、“偽物のヒーローが真のヒーローになる物語”なんですが、僕がこれまで観てきた映画とはセオリーがまったく違うので、全然先が読めないんですよねー。

ヘタレ主人公のファディルが、偶然と誤解で村のヒーローになり→
正体がバレて逃げ出し→
最後に真のヒーローとして村を救ってめでたしめでたし。
ってなるのが、多分普通の展開ですよね。

ところがこの作品でギャングから村を救うのはファディルでも相棒のアデルでも武術の達人でもなく警察です

村のギャングの報復を恐れて警察に通報しない村人たちの中、普通の飯屋のおっさんが勇気を持って警察に連絡したら、あっさり解決ですよ。(今までの時間は何だったんだw)

その後、おっさんは見せしめとして(ファディルの所属してた)ギャングに袋叩きにされるわけですが、そこで村人全員が勇気を振り絞って立ち上がり、ギャングを袋叩きにして村から追い出すんですね。

結果、村を救う真のヒーローは、飯屋のおっさんなのですw

一方その頃、村を仕切るギャングのボス(正体は村長で元三人の武術の達人の一人だった)はファディルの母親と妹を誘拐。二人を救うためファディルはなけなしの勇気を振り絞ってアジトに乗り込むんですが、ここでボスと戦うのは相棒のアデル
アデルの父親は、この村長に殺されていた事が映画中盤に発覚、アデルは亡き父の仇討ちのため村長と一騎打ちになります。

つまり、本作のクライマックスでが、おっさんが村を救うシークエンスと、ファディルが家族を救うシークエンスと、村長と相棒の一騎打ちのシークエンスが同時進行するわけですねーって、

一本の映画に色々盛り込み過ぎてて、説明が難しいわw

さらに、物語の合間には往年の香港映画を思わせるゆる~~いギャグやら、何の脈絡もなくどうやら他の映画(「ドリフト・エボリューション」という映画らしい)のキャラクターと車が登場して、ファディルが「俺の映画だぞー!」とツッコミを入れるメタ的なギャグ、挙句、ファディルの妄想? に、「トランスフォーマー」のバンブルビー的なロボットや、色違いのアイアンマンまで登場するとカオスっぷり。(これ、多分ハリウッドに無断でやってると思うんだけど大丈夫なんだろうかw)

なんかもう、色々自由過ぎるw

監督

そんな本作の監督は、ユソフ・シャーフィクという弱冠22歳の青年で、「ドリフト・エボリューション」という映画で監督・脚本・主演を兼任していたシャムスル・ユーソフの実弟なのだそうです。(だから劇中に「ドリフト~」のネタが入ってたのね)

で、このユソフ・シャーフィクは多分、ハリウッドや香港などのヒーローアクション映画が大好きなボンクラシネフィルなんでしょう。

バンブルビーやアイアンマンもそうですが、カンフーアクションのシーンでは、形意拳、金剛拳詠春拳っぽいカンフー映画でよく見る拳法的なファイティング、ガンアクションは多分、ジョン・ウーザック・スナイダーマトリックスなどを、臆面もなくパクリオマージュしまくり
主人公のファディルはメタ発言しまくりで第4の壁も越えるデップー感丸出しなキャラでしたしねw

 あ、あと殴られた相手がグルグル回りながら空に飛んでいくのは、チャウ・シンチーかな?

事ほど左様に、何ていうか自分の好きなもの全部ぶち込んで映画としては散らかりまくりだし、出来は決して良くないんですけど、22歳のボンクラ青年がキャッキャ言いながら無邪気に作ってる感じが透けて見えて微笑ましいなーって思いましたねーw

ちなみにこの作品、続編も作られマレーシアで大ヒットしたらしいですよ。

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って、何かスケールアップしてるーーー!ww

興味のある方は是非!

 

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頑張ってたのは認めるけど…「鋼の錬金術師」(2017)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、荒川弘の大ヒット同名マンガの実写映画化作品鋼の錬金術師ですよー!

正直、マンガ原作の実写化としては「進撃の巨人」並の難易度を誇る本作。
なので期待せずに観たわけですが、期待を上回る部分と予想通りの部分が入り混じって、最終的な感想としては「うん。頑張ってた」に落ち着きましたねーw

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概要

荒川弘の大ヒットコミックを、『暗殺教室』シリーズなどの山田涼介主演、『ピンポン』などの曽利文彦監督で実写映画化。亡き母をよみがえらせようと“人体錬成”という錬金術におけるタブーを犯したことから体の一部を失い、やがて錬金術師となった主人公が弟と一緒に失ったものを取り戻す旅を繰り広げる。共演は、『アオハライド』などの本田翼や、ディーン・フジオカ松雪泰子ら。イタリアでの大掛かりなロケや、曽利監督によるビジュアルに期待。(シネマトゥディより引用)

感想

今や、日本の映画とドラマの多くがマンガ原作で、成功してたりしてなかったりするわけですが、そんな中でもハガレンは設定からして日本人キャストでの実写化が限りなく困難なのは言うまでもありません。

だって、ハガレンの登場人物ってみんな西洋人ですしね。

さらに今もファンの多い人気マンガとなれば、これはもうどうしたって進撃の巨人」の惨劇を思い出さずにはいられないわけです。

なので、こっちもそのつもりで、最初からハードル下げまくりで観始めたわけですが……(´ε`;)ウ・ウーン…。

いや、頑張ってるとは思ったし、確かに予想を上回るシーンもあったんです。ただ、これはもうハガレンだからどうこうじゃなくて、近年の邦画全体的に言える病理がここでも出てるなーってのが、正直な感想でしたねー。

映像について

本作の映像自体は、個人的には予想を大きく上回ってると思いました。
作品の性質上、CGを多様せざるを得ない本作ですが、映像的にCGをショボく感じるシーンはほとんどなかったです。

本作のアルフォンスはフルCGなんだそうですが全然違和感なかったし、むしろ着ぐるみ的に中に人が入った鎧が動いてるのでは? と思った程。

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錬金術でのバトルシーンやアクションシーンの背景にも当然CGが使われているんですが、ハリウッドと比べても遜色ないんじゃないかと思わせるシーンも多々ありました。

また、イタリアでロケをしているらしく、背景や町並みのロケーションや実際の蒸気機関車など、「おー、ハガレンっぽい!」と思わせるシーンも多くて良かったですねー。

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今はもうCG技術自体は、ハリウッドも他の国もそんなに差はなくて、あとはもう監督のCGの使い方なのかなって思いました。

キャストについて

そんな本作で、主役のエドを演じるのはHey! Say! JUMP山田 涼介
アルの声は水石亜飛夢ウィンリー本田翼がそれぞれ演じています。

他に、

ロイ・マスタング - ディーン・フジオカ
リザ・ホークアイ - 蓮佛美沙子
エンヴィー - 本郷奏多
ドクター・マルコー - 國村隼
コーネロ教主 - 石丸謙二郎
グレイシア・ヒューズ - 原田夏希
トリシャ・エルリック - 平田薫
グラトニー - 内山信二
マリア・ロス少尉 - 夏菜
ショウ・タッカー - 大泉洋
ニーナ・タッカー - 横山芽生
マース・ヒューズ中佐 - 佐藤隆太
ハクロ将軍 - 小日向文世
ラスト - 松雪泰子

といったメンツ。

キャスト的に言うと、
キメラの錬金術師ショウ・タッカー を演じた大泉洋
ホムンクルスのラストを演じた松雪泰子とグラトニーの内山信二
マース・ヒューズ中佐 役の 佐藤隆太は役に合ってたように思いました。

松雪さんはガッチリ役作りをしてラストを妖艶に演じていたし、グラトニー役の内山君はビジュアルが完全にグラトニーでした

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ヒューズ役の佐藤隆太は、そもそもビジュアルが似てるのもあるけど、彼自身の持つ陽性な空気感が役に合ってたのかも。(その分、切れ者感はあまりなかったですが)

ショー・タッカー役の大泉くんは、見た目は原作と全然違うけど本作の中で一番大事な役どころをしっかり熱演。荒唐無稽なストーリーをしっかり締めていたように思います。

逆に、エド・ウィンディー・マスタングの3人は、芝居をマンガに寄せすぎていたというか。監督の指示なのかもですが、実写映画としては過剰すぎると思いましたねー。

脚本・演出について

本作では特に、演出や脚本が気になりました。
とにかく無駄なシーンが多いし、キャラクターが思ってることを全部言う、今起こってることは全部セリフで説明しちゃうっていう、邦画にありがちな病理がここでもしっかり現れてましたよ。

あと、クライマックスは主人公がひたすら叫ぶ「例のアレ」も健在。

…もうホントに萎える。

マンガやアニメの場合は、キャラクター自体がデフォルメされてるし声だけの演技だから、それに合わせて感情表現も大きくしないと釣り合わないんですよ。
でも、実在の人間がキャラを演じる時は、当然リアルの生々しさが出るので、それに見合ったスケールの演技をしないと、物語の嘘が目立ってしまうんですよね。

「進撃~」にしろ本作にしろ、設定やストーリーがそもそも荒唐無稽(しかも外国人を日本人が演じている)なわけで、その分、芝居や演出にリアリティーがないと何もかも全部が嘘っぱちに見えちゃう。

それは本作だけじゃなくて、近年の(若手俳優が主演する)邦画全体に言える問題で、そういうのは本当にやめた方がいいと思いますねー。

確かに叫びながら殴り合ってれば、手軽に「盛り上がってる感」は出るけど、それはもう、演出じゃなくてただの怠慢だと思います。

それと全体的に衣装がコスプレっぽいのも気になりました。

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マンガやアニメならカッコイイ衣装も、実際の人間(しかも日本人)が着るとおかしいデザインってあるじゃないですか。ハガレンはまさにそれで、特に軍の制服はコスプレ感が増して画面に馴染んでいない感じがしましたねー。
せめてもう少し素材やデザインを少しを変えたり、使い込んでる感じがあれば良かったかも。

とはいえ、さすが「ピンポン」の曽利 文彦だけあって映像のルックはかなり見応えがあったし、個人的には楽しく観ることができたんですけどね。

興味のある方は是非!

 

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極端なデフォルメとリアリティーが融合した独自の世界「ベルヴィル・ランデブー」(2004)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、世界各国で多くの映画賞を受賞したフランスのアニメ映画ベルヴィル・ランデブーですよー!

シンプルなストーリーながら、極端なデフォルメとリアリティーが融合した映像と、ジャンゴ・ラインハルトを祖とする「ジプシー・スウィング」的な音楽が見事にシンクロした「これぞ映画!」という作品でしたねー!(;゚∀゚)=3ハァハァ

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概要

アカデミー賞で長編アニメーション部門と歌曲賞にノミネートされたフレンチ・アニメ。戦後まもないフランスを舞台に、自転車レーサーの孫をマフィアに誘拐された祖母が決死の救出劇を繰り広げる様を描く。監督は高畑勲大友克洋など、日本のアニメクリエイターからも絶大な人気を誇るシルヴァン・ショメ。ノルタルジックかつナンセンスな作風と、重要なシーンで鮮烈な印象を放つスウィング・ジャズ風の音楽がポイントの秀作アニメだ。(シネマトゥディより引用)

感想

三鷹の森ジブリ美術館ライブラリー紹介作品

スタジオジブリの宮崎・高畑両監督のおすすめ作品を中心に、まだまだ知られていない世界の名作の数々を紹介する「三鷹の森ジブリ美術館ライブラリー」でセレクトされている本作は、第76回アカデミー賞で長編アニメ映画賞と歌曲賞にノミネートされた他、数々の映画賞を受賞したフランスの長編アニメ映画です。

「バンド・デシネ」(フランス・ベルギーを中心とした地域のマンガの総称)作家でもあり、高畑勲大友克洋など日本のクリエイターにもファンの多いシルヴァン・ショメの長編デビュー作で、極端なデフォルメとリアリティーが融合した独特な映像と、ロマ音楽スウィング・ジャズを融合させた「ジプシー・スウィング」が融合したエンターテイメントでありながら非常に芸術的な作品でもあります。

僕は恥ずかしながら、先日Twitterで本作を知ったんですが、すごく映画的な作品だと思ったし、絵柄も音楽もどストライクな作品でした!

ストーリー

白黒テレビに映し出される三人の女性デュオグループ"トリプレット"のショーを、おばあちゃんと孫のシャンピオンが一緒に観ているシーンから物語はスタートします。

(多分)両親を亡くした内気で孤独な孫のシャンピオンを元気づけようと、ピアノやおもちゃの汽車や子犬を与えるおばあちゃんですが、シャンピオンの反応はイマイチ。
そんな時、シャンピオンの部屋を掃除していたおばあちゃんは、ベットに隠してあった自転車記事がスクラップされたノートを発見します。

そこで、試しに三輪車を買い与えるとシャンピオンは大喜び。
新品の三輪車で家の庭を嬉しそうにぐるぐる走り回るんですね。

それから十年以上の歳月が経ち、青年になったシャンピオンはおばあちゃんをトレーナーに、ツール・ド・フランス出場のために猛特訓。

ここで「ははーん、シャンピオンはおばあちゃんの恩に報いるためツール・ド・フランスを制するんだな」と思って観ていたんですが……なんと脱落寸前の最後尾を走ってるじゃありませんか。

「あれー??」と思いながら観ていると、そこに怪しげな男が現れレースに脱落した選手とシャンピオンを誘拐!
それに気づいたおばあちゃんは、愛する孫を救うため愛犬とともに海を越えニューヨークを思わせる大都会“ベルヴィル”まで追いかけて……。というのが本作のストーリーです。

要約すると「孫を救うためおばあちゃん大活躍」というストーリーなんですが、うーん…何ていうか、そう一筋縄では行かない“何か”があるような気がするんですよね。

作品全体に漂う歪さ

本作で特徴的なのは、その絵柄だと思います。
例えば、成長し自転車選手になったシャンピオンの太ももは筋肉ムキムキで胴回りよりも太くなっていたり、映画冒頭で二人が観ているテレビでは、極端にカリカチュアされたジャンゴ・ラインハルトやジョセフィン・ベーカー、フレッド・アステアなどが登場します。そんな彼らのショーを見に来ている客もまた極端にデフォルメされているんですね。

シャンピオンが誘拐され乗せられた船は、縦横は普通なのに高さが以上に高かいし、マフィアの車もアホみたいにボンネットが長かったり。とにかく極端なデフォルメ描写が目立ちます。

そうかと思うと、前述のテレビでピアノを弾いているグレン・グールド はやけに写実的だったり、それぞれのキャラクターの動きやちょっとした表情は物凄くリアルで映画的だったり、ところどころに実写(ゴダールオマージュ?)が入ったり。何とも歪な世界観なんですよね。

前述の映画冒頭のテレビのシーンは、恐らく初期のディズニーのテイストになっていて、その後の本編の絵柄との対比でアニメの歴史を表しているのかな? なんて思ったりするわけですが、それとは別に、子供の頃はまだ幾分感情が見えたシャンピオンが青年になってからはひたすら無表情なんですよね。

まるで、自転車を漕ぐ人形みたいに、特訓でもレースでも、マフィアに誘拐された先でもおばあちゃんに救い出されたあとも、ただただ無表情に自転車を漕いでいるだけの、まるで、観客の感情移入を拒絶しているかのようなキャラクターとして描かれています。

登場人物がほとんどセリフを言わない作品だし、おばあちゃんも無口で無表情ではあるので、おばあちゃんの微かな表情の変化や感情を浮き立たせる対比として、シャンピオンを無表情無感情にしているだけかもしれませんが。

ただ、彼が何を考えているのか分からないところが、作品最大の歪さであり、一筋縄ではいかない“何か”があるのでは? と思わせる要因でもあるんですよね。

この作品はおばあちゃんの視点で描かれているので、当然おばあちゃんの方に感情移入するし、おばあちゃんが主人公の物語です。

しかし、シャンピオンの視点が入っていないので、もしかしてシャンピオンはおばあちゃんに言われるがままに好きでもない自転車に乗り続けているのでは? なんて勘ぐってしまったりして、何とも言えない居心地の悪さを感じてしまうのです。

というわけで、ここからネタバレします。

 

 

ラストシーン問題

船に乗せられ連れ去られるシャンピオンをレンタルの足こぎボートで追いかけるおばあちゃん。
船は大海原を超え、ニューヨークを思わせる架空の大都会ベルヴィルについてしまいます。
知り合いもいない大都会にたった一人(と一匹)途方に暮れるおばあちゃんを助けてくれるのが、冒頭のテレビで歌っていた元人気歌手トリオの"トリプレット"。

すっかり落ちぶれ老いた三人は、場末の安アパートで共同生活。クラブのショーで小銭を稼ぎ、アパート裏の川で手榴弾を使った漁で捕まえたカエルを食料にしているんですが、何かいつも楽しそうなんですよね。

そんな三人と偶然知り合ったおばあちゃん、トリプレットメンバーとしてショーに出るわけですが、そこにやってきたのがシャンピオンを誘拐したマフィアのボス。

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彼は、エアロバイクを使ったレースをさせ、客に勝敗を予想させるギャンブルのためレースで脱落する三流の選手を誘拐、用済みになった選手は殺して捨てるという冷酷で恐ろしい男なのです。

犬のおかげで事の次第を察したおばあちゃんは、トリプレットの三老女と共に賭けの現場に乗り込み、マフィアとの壮絶なチェイスの果てに見事シャンピオンを救出します。

そこで場面変わって二人の家。
救出劇のラストシーンをテレビで観ているシャンピオンの髪は白く禿げ上がっていて、壁には(おそらく)今は亡きおばあちゃんと犬の写真が飾られています。

そんなシャンピオンにおばあちゃんの「もう終わりかい? おばあちゃんに言ってごらん?終わったのかい?」というセリフが入り、シャンピオンの「これでお終いだよ、おばあちゃん」というセリフで本作は幕を閉じます。

このラストシーンが気になってあちこちのブログを読んでみると、色んな解釈がされてるんですよね。

このラストのおばあちゃんのセリフは、二人が若き日のトリプレットのショーを放映してるテレビを観ている冒頭のシーンと同じで、頭と終わりに同じ映像やセリフを持ってきて物語を挟む、いわゆる「ブックエンド方式」だと思うんですが、救出劇のラストシーンを老人になったシャンピオンがテレビで観ているというメタ的な構造になっているので、色んな解釈が生まれるんだと思います。

さらに、前述したようにシャンピオンが何を考えているのか分からない事も相まって、めでたしめでたしだけではないような、尻の座りの悪さを感じてしまうんですよね。

個人的には、この映画全体がシャンピオンの回想で、テレビは本作が彼の回想であることを視覚的に表現したって事じゃないかなって思いましたけども。

あと、最後にちょっとしたオマケもついてるので、エンディングロールの途中でDVDを止めない事をオススメするのと、DVDの映像特典で、今は亡き高畑さんとシルヴァン・ショメ監督の全然噛み合ってない対談を観ることが出来ますよ。

さらにこの対談では、シルヴァン・ショメ監督がいかにアメリカのアニメ(というかコンテンツ)が嫌いかも分かるので、劇中のニューヨークと思われる「ベルヴィル」の悪意たっぷりな描き方も納得出来るんじゃないでしょうかw

本作の絵は、非常に個性的で好き嫌いは分かれるかもですが、イラストやマンガ、アニメなどの創作をしている人にはとても刺激になるんじゃないかと思いました。

興味のある方は是非!!!

 

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大人気シリーズのスピンオフ第2弾!「アナベル 死霊人形の誕生」(2017)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、大人気ホラー「死霊館」シリーズのスピンオフ第2弾。
アナベル 死霊人形の誕生ですよー!

死霊館」で登場し、その恐ろしいビジュアルで大きなインパクトを残した呪いの人形アナベルがどのように誕生したかを描いた物語です。

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概要

ホラーシリーズ『死霊館』に登場する人形アナベルに迫るスピンオフの第2弾。手にした者を怪現象に引きずり込むアナベルの生まれた経緯が明らかになる。メガホンを取るのは『ライト/オフ』などのデヴィッド・F・サンドバーグ。『バッド・ウェイヴ』などのステファニー・シグマン、『ヴェンジェンス』などのタリタ・ベイトマン、『ウィジャビギニング ~呪い襲い殺す~』などのルル・ウィルソンらが出演する。(シネマトゥディより引用)

感想

死霊館」シリーズとは

本シリーズは2013年に公開された、ジェームズ・ワン監督のホラー映画「死霊館」から続くシリーズで、現在は本編となる「死霊館」編が2本と、呪いの人形「アナベル」編が(本作を入れて)2本公開されています。

死霊館」の方は、実在の超常現象研究家で本シリーズの主人公でもあるエド&ロレインのウォーレン夫妻が調査した怪事件を元にしたホラー映画で、いわばオバケ版「X-ファイル的なシリーズ。

スピンオフ「アナベル 死霊館の人形」は、「死霊館」で登場した、悪魔が乗り移った最凶の呪い人形アナベルが引き起こす怪現象を描いた作品で、時系列的には「死霊館」の前日譚になっています。

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そして本作は「~死霊館の人形」の前日譚で、呪いの人形アナベルがどのように誕生したかを描いた作品なんですね。

なので時系列で並べると、本作→「アナベル 死霊館の人形」→「死霊館」→「死霊館 エンフィールド事件」となります。

監督

そんな本作の監督は「ライト/オフ」などのデヴィッド・F・サンドバーグ
濃い陰影を使った演出は、ホラー映画というより「オーメン」や「エクソシスト」のようなクラッシックなオカルト映画といった感じで、監督本人も言っているようにオリジナルの「死霊館」を意識した作りになっていましたねー。

ストーリー

1945年。家族三人幸せに暮らしていた人形職人のサミュエル(アンソニー・ラパーリア)とその妻エッシャーミランダ・オットー)のムリンス夫妻。
そんなある日、5歳の娘アナベル(サマラ・リー)を突然の自動車事故で失うという嫌なシーンから物語はスタート。

それから12年後の1957年。ムリンス夫婦は孤児院を運営するシスターのシャーロットに自宅を貸し出し、シスターと6人の孤児の少女と同居することになります。

サミュエルは少女たちに、寝たきりの妻の寝室とアナベルの子供部屋には立ち入らないように注意しますが、ある夜、ポリオを煩い片足が不自由な少女ジャニスが何者かに導かれるようにアナベルの部屋に入り、サミュエルの作った人形を見つけたのをキッカケに9人を恐ろしい現象が襲い始める。という物語。

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実は夫妻にはシスターには言っていない“ある秘密”があるんですねー。

ユニバーサル化

本作で本編とスピンオフの計4本が公開された「死霊館」シリーズですが、今年は「死霊館 エンフールド事件」に登場した悪魔の尼僧、ヴァラクに焦点を当てたスピンオフ作品「The Nun」が公開予定。
そして今後「死霊館シリーズ」の第三弾や、「チャイルドプレー」とのクロスオーバーなど、このシリーズが今後ユニバーサル化していく可能性もあるんだとか。

正直、チャッキーとアナベルの共演はキャラクターのカラーが違いすぎて大きな不安が残るところですが、今後ウォーレン夫妻が様々な怪奇現象と対決する続編が観られるのはファンとしては楽しみですねー。

良かったところ

個人的に良かった(怖かった)ところは、登場人物に恐怖が襲いかかってくるシーンよりも、その前段である不穏な雰囲気が漂うシーンでの音響や映像。

例えば、登場人物の後ろでピントのあっていない人影がゆっくり動くJホラー的表現や、これから起こる事を予感させる、じわじわと不穏な雰囲気を盛り上げていく“前フリ”を丁寧に描いているところが素晴らしいと思いました。

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あと、階段に取り付けられた昇降機や、シスターの部屋の壁中に設置された手動式のエレベーターなど、前半で登場したガジェットが中盤以降、恐怖演出に上手く活かされたのもグッときましたねー。

ラストの方で、ジャニスを引き取ることになる里親がお土産に持ってきた国民的キャラクター「ラガディ・アン」の布人形を渡すんですが、実は、本物のアナベル人形は劇中に登場する見るからに怖い人形じゃなくて、このラガディ・アン人形なんですよね。
ファン向けのちょっとしたサービスなんでしょうけど、個人的には観ながら思わずニヤリとしてしまいました。

気になったところ

ただ、スピンオフ前作「アナベル 死霊館の人形」でも感じた事ですが、アナベル人形の万能っぷりが、実話ベースとしてのリアリティーラインから外れちゃってるなーと。
もちろん劇映画として後半の盛り上がりを考えれば、致し方ない部分ではあるんですが、正直ちょっとやりすぎな気がしました。

あと、ラストシーンやエンディング後のオマケがとにかくしつこい。
これは今後のユニバーサル化を考えてのことなんでしょうけど、いくらなんでもダラダラぶっ込み過ぎだし、物語として全体のキレも悪くなってる感じがしました。

ただ、単純な怖さで言ったら、最初の「死霊館」並かそれ以上で、個人的にはシリーズ4本で一番怖かったんじゃないかと思いましたねー。

興味のある方は是非!!

 

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ガイ・リッチー度100%の英雄伝説「キング・アーサー」(2017)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、「スナッチ」や「コードネーム U.N.C.L.E. 」で知られるガイ・リッチー監督がアーサー王伝説を実写映画化した『キング・アーサー』ですよー!

スロー・早回し・巻き戻し・ストップモーション・細かいカット割り、時系列入れ替えなどを駆使したスタイリッシュな映像がガイ・リッチー作品の特徴。

そんなガイ・リッチーが「アーサー王伝説」を題材にした作品を作ると聞いて、どうなるのかなとて思ったんですが、思った以上にファンタジーに振り切った面白い作品になってましたねー!

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画像出典元URL:http://eiga.com

概要

アーサー王をめぐる伝説をベースにしたアクション。王であった父を殺されてスラム街で生きてきた男が、聖剣エクスカリバーを手に親の敵である暴君に立ち向かう。メガホンを取るのは、『シャーロック・ホームズ』シリーズなどのガイ・リッチー。出演に、テレビシリーズ「サン・オブ・アナーキー」などのチャーリー・ハナム、『コールド マウンテン』などのジュード・ロウ、『イン・アメリカ/三つの小さな願いごと』などのジャイモン・フンスーらが結集。壮絶なソードバトルの数々に圧倒される。(シネマトゥディより引用)

感想

アーサー王と聞いてピンと来ない人でも「聖剣エクスカリバー」は聞いたことがあるんじゃないでしょうか。

日本では、大食らいの英霊セイバーが使ったり、ゲームでもよく登場するあの剣です。
まぁ、セイバーは「もしもアーサー王が女の子だったら」っていうキャラクターですが、本作のアーサーはゴリゴリマッチョなチャーリー・ハナムが演じていますよ。

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画像出典元URL:http://eiga.com / アーサー王を演じるのは「パシフィック・リム」のチャーリー・ハナム

ちなみにアーサー王は実在の人物かどうかハッキリ分かっていないそうで。(日本で言えば聖徳太子的みたいな人物なのかな?)

なので伝記ももの中でも創作の自由度が高くて、だから多くのクリエイターがアーサー王伝説の作品を発表し、多くの人がこの物語を知ってるんですねー。

そういう意味ではガイ・リッチーが監督するのにうってつけの物語と言えるかもしれません。

ストーリー

そんな本作のストーリーをザックリ説明すると、叔父の謀反で父親を殺されたアーサー王子が聖剣エクスカリバーで復讐して真の王になる物語です。

あれ? 最近そんなインド映画を観たような……?w

まぁ、いわゆる貴種流離譚ってやつなので、内容が一緒なのは仕方ないんですけどね。

で、この映画「バーフバリ」に負けず劣らず、ケレン味たっぷりなアクションファンタジー作品になってるんですね。

アバンは、父親のユーサー王率いる国軍と魔術師モルドレッド率いる軍隊の戦いからスタートするんですが、モルドレッド軍が超巨大な像の背中に建てた要塞に乗って城に攻めてくるという、怪獣映画のような大迫力シーンからスタート。
個人的にはこれだけでもう100点です。(;゚∀゚)=3ハァハァ

国軍は絶体絶命の大ピンチって思ったら、聖剣エクスカリバー卍解(©ブリーチ)したユーサーパパがダッシュ→大ジャンプで敵要塞に乗り込んでモルドレッドの首を落とすっていう最高のスタート。

かと思ったら、その夜には自分の嫁を生贄に闇の力を得た弟のヴォーティガンジュード・ロウ)の謀反で殺され、幼いアーサーは船でこっそり逃がされるんですね。

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画像出典元URL:http://eiga.com / ヴォーティガンを演じるジュード・ロウ

で、川から流れてきたアーサーを拾い育てたのは街の売春宿のお姉さんたちで、そこで育ったアーサーが、悪い奴らと大体友達になったり中国人らしき先生のもとでメキメキ腕を上げ、立派なチンピラになるまでをガイ・リッチー大好きな早回しダイジェストでお届けしてからのオープニング。

ここまで観て「あーガイ・リッチーだわー」って思いましたねーw

そこからアーサーは、バイキングと揉めてジュード・ロウに発見されたり、エクスカリバーを引き抜いたり、反乱軍の仲間になったり、メイジ(魔術師)の導きで修行したりトラウマ克服して卍解を覚え、無双状態で叔父のジュード・ロウから王座を奪還する戦いに臨んでいきます。

迫力満点のゴリゴリアクション

本作で特に力が入ってるのが、国王軍と反乱軍がぶつかる大アクションシーン。
巨大なセットの中を走り回りながら、マッチョな男たちが骨のぶつかる音が聞こえてきそうなゴリゴリに男臭いアクションを繰り広げます。

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画像出典元URL:http://eiga.com

これらのアクションシーンは早回し、スーパースロー、ストップモーションを駆使したガイ・リッチースタイルも相まって、観ていてアガリましたねー!

映画中盤、ジュード・ロウ暗殺計画に失敗し、ついに追い詰められたアーサーと仲間たち。
ついには頼みの綱のメイジまで捕まって、万事休すか!?っていうシーンでアーサーが卍解

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画像出典元URL:http://eiga.com / 卍・解!

無双状態で敵兵をあっいう間になぎ倒すシーンは、ガイ・リッチーケレン味溢れる映像効果も相まって、痺れましたよ!

良かったところ

そんなアクション以外で良かったのは、アーサーが非常に現代的なキャラクターとして描かれているところ。

毛皮のコートや首周りにファーがついてる革ジャンを着込み、ツーブロックの髪型というファッションは、そのまま現代劇でも通用しそうなくらいオシャレでかっこいいデザインだし、幼少期にいわば裏社会で磨かれた交渉術や、相手のスキをついて攻撃を仕掛ける騎士道精神の欠片もないアーサー王には、中世ヨーロッパの物語が苦手な人でもすんなり感情移入出来るんじゃないかと思いました。

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画像出典元URL:http://eiga.com

その仲間たちもスラムでともに育ったチンピラで、いわば「負け犬のチンピラが一発逆転」するクライム映画的な要素を含んだヒーロー譚になってるんですね。

残念だったところ

ただ、中盤でのジュード・ロウ暗殺計画の件は、アーサーたちが何を狙ってどこで何をしようとしているのかの行動や位置関係がゴチャゴチャしてて分かりにくかったかも。
あと、序盤のアーサーが色々巻き込まれていくキッカケになる回想シーンも、「ん?」ろ引っかかる部分がありましたねー。

そういう回想シーンやスパイ的な作戦を立てるシーンの映像をコチョコチョいじる「遊び」は、ガイ・リッチーの味でもあるんですが、本作ではそれらがストーリーや展開に上手く活かされてなかったように感じました。

記録的大赤字らしいけど

で、この作品ハリウッドでも記録的な大赤字を出してしまったらしく、作る気満々だった続編も絶望的な状況らしいです。

その理由を一言で言うなら、恐らく多くの人が「え、今更アーサー王伝説?」と興味が湧かなかった事と、逆に歴史好きな人は「えー、ガイ・リッチーが監督かよ」とやっぱり興味が湧かなかったのが大きいんじゃないかと。

多分、日本で言えば高畑勲監督の「かぐや姫の物語みたいな感じだったんじゃないかな?

観れば「お!」って思うんだけど、題材に会場に足を運ばせるまでの求心力がないというか。

ただ、1億7500万ドルもの予算をかけたビックバジェットな本作は、巨大なセットや大人数のエキストラやスタントマンも参加してリッチなビジュアルの迫力があるし、ガイ・リッチーケレン味溢れる映像演出は楽しいので観て損はしない作品だと思いますよ。

ただ、歴史ドラマとして観ちゃうと肩透かしを食らうので、あくまで「中世を舞台にした伝奇アクションファンタジー」として観るのがオススメです。
つまり、「西郷どん」じゃなくて「るろ剣」を観るんだっていう気持ちで観れば、かなり楽しめるんじゃないかな? って事ですねw

興味のある方は是非!!

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宮崎駿作品を語ってみる-4「となりのトトロ」(1988)

ぷらすです。

僕が火曜日を担当しているブログマガジン「Res-C」に記事をアップしましたー!

res-c.blog.jp

宮崎駿監督の、劇場アニメを1作づつ語っています。
興味のある方は是非ご一読くださーい!(´∀`)ノ