今日観た映画の感想

映画館やDVDで観た映画の感想をお届け

前作より断然面白かった「アナと雪の女王 2」(2019)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは記録的大ヒットとなった前作「アナと雪の女王」から6年ぶりの続編『アナと雪の女王 2』ですよー!!

今回はAmazonビデオでレンタルして観ました。

みちのたびへーーーーーーーー!!(´∀`)ノ

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概要

第86回アカデミー賞で歌曲賞、長編アニメ映画賞を受賞した『アナと雪の女王』の続編。姉エルサの氷と雪を操る力の秘密に迫る。前作に引き続き、監督をクリス・バックジェニファー・リー、エルサ役の声優をイディナ・メンゼル、アナ役をクリステン・ベルが務めた。(シネマトゥデイ より引用)

感想

記録的大ヒット作の続編

2013年に公開された前作「アナと雪の女王」は原作となるアンデルセンの「雪の女王」を大きく改変し、ディズニー史上初のダブルヒロインで女性やマイノリティーの解放を描き、主題歌「レット・イット・ゴー」を始めとしたロバート・ロペスとクリステン・アンダーソン=ロペス夫妻が手掛けたキャッチ―で印象に残る楽曲も相まって、日本だけでなく世界中で記録的大ヒットとなったことはご存じの通り。

で、昨年待望の続編として公開された本作は、前作に引き続きロバート・ロペスとクリステン・アンダーソン=ロペス夫妻がメインテーマを、音楽をクリストフ・ベックがそれぞれ担当し、監督をクリス・バックジェニファー・リーエルサ役のイディナ・メンゼル(日本吹き替えは松たか子)、アナ役にクリステン・ベル(日本吹替は神田沙也加)と、キャスト&スタッフは前作から引き続き続投しています。

ところが、主題歌に前作ほどキャッチ―さが無かった事や、公開時に評価が二分していた事もあって、正直あまり期待せずに観たわけですが……、僕は前作より断然本作の方が好きでしたねー!!

もちろん前作でのエルサ=マイノリティーの解放という前提を踏まえての本作ですが、前作がエルサ視点での「個の開放」をメインに語られていたのに対し、本作は物語の比重をアナ=マジョリティー側に移し、彼女の成長を通してマイノリティーとマジョリティー双方が手を取り合うという、前作のテーマをさらに推し進めた内容になってるんですよね。

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その分、物語に入る要素が増えて若干の消化不良を起こしている部分もあるし、あのラストに納得のいかない人や、前作が好きだからこそ本作に不満が残る人もいるでしょうが、個人的には「アナ雪」の続編として、それぞれのキャラの落としどころはアレしかないのではないかと思いました。

ノーサルドラとサーミ人

本作で登場する森の民「ノーサルドラ」の人々。

そのモデルとなっているのはノルウェー先住民族で、長くトナカイの遊牧や狩猟を行ってきたサーミ人です。

サーミ人は、スカンジナビア半島北部ラップランド及びロシア北部コラ半島に暮らす人々なんですが、過去に差別的な扱いを受けてきた歴史があるそうなんですね。

で、前作ではクリストフや冒頭で氷を切り出している男たちがサーミ人という設定なんですが、前作の中でサーミ人の描写って冒頭の歌(ヴェリィ)以外ほぼありませんよね。

さらに、元々サーミ人の多くはモンゴロイド系の遺伝子が入っているんですが、クリストフはほぼ白人。(サーミ人の中には金髪碧眼の人もいるらしいですけども)

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これに、SNS上では文化盗用・ホワイトウォッシュではないかという批判が上がったという経緯があるそうです。

そこで、続編となる本作ではサーミ人をモデルとした「ノーサルドラ」の人々が登場し、劇中でサーミ人の文化や歴史に敬意を払い、しっかり取材したうえで本作の物語が描かれたわけです。

また本作の主題歌である「イントゥ・ジ・アンノウン~心のままに」などの曲には、サーミ人の伝統音楽「ヨイク」のメロディーが用いられているのだとか。

本作で描かれるノーサルドラの人々とアレンデール王国の関係にはそういったデンマークサーミ人の歴史的背景をもとにしているんですね。

そして、それは同時にディズニーが過去作品の中で描いてきた、「差別」や「文化盗用」への反省と、今後の作品作りへの姿勢を明確に打ち出しているとも言えるのではないかと思います。

というわけで、ここからネタバレするので、これから本作を観る予定の人やネタバレは絶対に嫌!という人は、映画を観た後にこの後の文章を読んでくださいね。

 

 

ダム

そんな本作では、エルサとアナの祖父に当たるルナード国王時代に作られたダムが劇中で象徴的な役割りを果たしています。

本作を観た人には言うまでもない事ですが、本作においてのダムは「偏見」「差別」「分断」「搾取」などのメタファーです。

ルナード国王はノーサルドラの人々が魔法を使うと思い込み警戒していて、ダムを餌に彼らを懐柔し支配しようとしていました。

しかし、ノーサルドラの人々は別に魔法が使えるわけではなく、森の精霊と心を交わし守られているわけです。

ところが疑心に囚われたルナード国王はノーサルドラの長を殺害。
ノーサルドラとアレンデール王国は戦争状態になり、争いの中でルナード国王は死亡、当時王子だったエルサとアナの父親は戦闘に巻き込まれ気を失ってしまう。
そんな彼を助けたのが、ノーサルドラの長の娘?(巫女?)だった後の女王(エルサとアナの母親)というわけです。

そしてダムによって傷ついた森を、精霊は森を魔法の霧によって長きに渡って閉じてしまうのです。

これはキリスト教化によって失われた土着信仰や文化、大航海時代の欧米諸国による支配や搾取、マジョリティーのマイノリティーに対する偏見や差別(あと自然破壊)への批判であり。

だからこそダムを破壊するのはマイノリティー側のエルサではなく、マジョリティー側のアナでなくてはいけなかったんですね。
その結果としてアレンデール王国の未来は救われることになる。

差別を”する側“が過去を知り意識を変えなければ未来はせき止められたままだったし、その結果として王国の未来もなくなってしまっていたわけです。

そこにアナ(とエルサ)の精神的な成長も描き、さらにクリストフの恋模様やオラフのエピソードも――と、一つの作品にこれだけ詰め込めば、そりゃぁ多少は消化不良な部分も出てくると思うし、個の物語ゆえにシンプルだった前作のストーリーと比べて、ゴチャゴチャした感じがしてしまうのも致し方ないのかなと。

ただ、個人的にはあれだけの大ヒット作の続編で、ここまで攻めた内容を誠実に描いたスタッフとGOサインを出したディズニーの姿勢には素直に拍手を送りたいです。

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まぁ、それでもあえて言うなら、橋から落ちそうになったアナの手を最初に掴むのは、さすがにクリストフで良くね?とは思いましたかねー。

まぁ、こんなややこしいことばかり書くと「え、そんなに重い話なの?」と警戒されてしまうかもですが、そこはディズニークオリティー

ちゃんとエンターテイメントとして、大人から子供まで楽しめるように作られているので安心してください。

興味のある方は是非!!!

 

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ワンカットという手法に意味と意義がある「アイスと雨音」(2018)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは「私たちのハァハァ」「アフロ田中」などの松居大悟監督による2018年公開の青春映画『アイスと雨音』ですよー!

世界21の映画祭が参加し、YouTube上で作品が観られる10日間のデジタル映画祭「We Are One: A Global Film Festival」の、東京国際映画祭のプログラムとして無料公開されてて、ネット上でお世話になってる方が推していたので気になって観てみました!

www.youtube.com

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概要

『私たちのハァハァ』『アズミ・ハルコは行方不明』などの松居大悟監督による青春ドラマ。オーディションを経て舞台の上演に臨みながら中止を言い渡された少年少女たちが、それでも舞台に立とうと奮闘する。『デスフォレスト 恐怖の森3』などの森田想、『デメキン』などの田中偉登、『14の夜』などの青木柚、ベテランの利重剛らが出演。衣装をファッションデザイナーのKEISUKEYOSHIDAが担当している。(シネマトゥデイより引用)

感想

全編ワンカット撮影?という試み

本作は、ある町で上演される舞台演劇のキャストに選出された少年少女たちの青春を描いた、いわゆる“バックヤードもの”なんですが、キャストが上演に向けて練習している劇中劇と、役者たち自身の物語が同時進行で絡み合いながら進んでいくんですね。

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それ自体はバックヤードものではよくある作劇ですが、本作が面白いのは全編ワンカットで撮影しているということ。

74分間カットを切る(割る)ことなく、主役を追い続けながら稽古初日から“本番当日”までの数か月と言う時間を描くというのは、僕の知る限りほとんど例がないと思うし、この試みは演劇を題材にした本作ならではだなーと思いました。

全編ワンカット(風)で演劇を題材にした作品といえば「バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」を、バックスヤードものといえば「カメラを止めるな!」を連想する人もいるかと思いますが、本作はこの2本ともまた違う感じ。

ワンカット撮影は、物語の中で起こっている事柄をリアルタイムで見せるために用いられる事が多い(カメ止めはこのパターン)と思うんですが、本作の場合は(説明が難しいんですけど)、例えばカメラが主演の森田想を追って稽古場から別室に移り、再び稽古場に戻るとセットやキャストが変わっていて、テロップで「本番まで〇日」と表示されて数日の時間が経過して(いる事になって)いたり、彼女たち(役者)の物語と劇中劇をシームレスに繋げ、二つの物語を同時進行させながら、物語の切り替えの瞬間に時間が経過しているという体(てい)で物語が進んだりするんですね。

つまり本作では、舞台演劇的な「見立て」の手法を映画の中に取り込んでいるわけです。

その辺は、映画と演劇の世界を行き来する松居大悟監督だからこその発想だと思うし、稽古が佳境に差し掛かったある日、突如上演中止を告げられ――というストーリーも松居監督の実体験を反映しているらしく、それを演劇的「見立て」を使ってワンカット撮影することで、生々しい感情の流れや緊迫感が、ある種のドキュメンタリー的に映像に映し出されているんですよね。

*まぁ、もしかしたら(NGなどの理由で)途中でカットを切って編集で”ワンカット風“に繋げてるかもですが。

それでも、リアルと芝居、現実と虚構を有機的に絡めながら物語を進める本作には、ワンカット撮影という手法にちゃんと意味と意義があるし、それは舞台演劇を題材にした作品という前提があって初めて映画として成立しているわけです。

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また、エピソードの転換では二人組のラップグループ「MOROHA」が劇伴?を”生歌で語る”わけですが、どのナンバーもその場のシチュエーションと歌詞がいろんな形でリンクしていて、まるで歌舞伎の地歌みたいって思ったりもしましたねー。

キャスト

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そんな本作のメインキャストはこの作品の撮影時、多分17才の森田想を筆頭に田中玲子田中偉登青木柚紅甘戸塚丈太郎若杉実森門井一将と殆どが10代の若手で構成され、説明が抽象的過ぎてで何を言ってるのかよく分からない演出家役は松居監督自身が務めています。

メインキャストの8人は、「演技経験の有無を問わず」と募集期間約100時間で集まった400人の中からオーディションによって選ばれたそうで、ほぼ全員が役者としては未熟ですが、そんな彼ら彼女らが74分もの時間、二つの物語・二つの役をぶっ続けで演じ続けることで出てくる演技を超えた剥き出しの感情は、理屈抜きで観ているこっちの感情を揺さぶるし、その盛り上がりが極に達するクライマックスからラストシーンにかけては思わず泣いてしまいましたねー。

綿密な計算と仕掛け

本作を観た人の中には、もしかしたら「舞台演劇をそのまま撮影して映画にしただけ」と思う人もいるかもですが、僕は決してそうではないと思います。

上演の叶わなかった舞台演劇を一本の“映画作品”にするため物語の解体と再構築、ワンカットに違和感を持たせない作劇の綿密な計算と数々の仕掛けが施され、しっかり映画であることに必然性を持った作品に仕上がっていたと思います。

ワンカット撮影は多分、普通に映画を撮るよりずっと手間が掛かって大変なのは想像に難くないし、キャストの苦労・心労も並大抵ではなかったと思いますが、苦労分の価値がこの映画にはあったのではないでしょうか。

興味のある方は是非!!

 

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これぞ本当の”プロレス映画“「ファイティング・ファミリー」(2019)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、世界最大のプロレス団体WWEに所属していた女子レスラー・ペイジのサクセスストーリーと家族との絆を描いた『ファイティング・ファミリー』ですよー!

映画の噂を聞いた時からずっと観たかった映画ですが、今回やっと観ることができました。もうね、最☆高でしたよ!!(*゚∀゚)=3

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概要

女性プロレスラーのペイジことサラヤ・ジェイド・ベヴィスと家族を題材にしたドラマ。レスリングが好きな18歳のサラヤが、夢であるWWE(ワールド・レスリング・エンターテイメント)の試合に出ようと奮闘する。監督はドラマシリーズ「ジ・オフィス」などに携ってきたスティーヴン・マーチャント。主人公をドラマ「リトル・ドラマー・ガール 愛を演じるスパイ」などのフローレンス・ピューが演じ、レナ・ヘディニック・フロストのほか、本作のプロデューサーであるドウェイン・“ザ・ロック”・ジョンソンが本人役で出演している。(シネマトゥディより引用)

感想

WWEとは

WWE(元WWF)は今やアメリカのみならず世界最大のプロレス団体で、世界中に多くのファンを持つプロレス界のメジャーリーク的存在です。

所属するトップレスラーは“スーパースター”と呼ばれ、電飾や花火や音楽で彩られるど派手な演出と毎週3本のテレビ放送と月々のPPV放送、その総決算として年に一度生放送される「レッスルマニア」に向けて、レスラー同士のストーリーが組み立てられるので、一度ハマったファンは中々抜けられないんですよね。

かくゆう僕も過去にWWE沼にハマっていた1人ですw

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画像出展元URL:http://eiga.com / セットは全部本物

で、このWWEが凄いのは、興行だけでなくテレビ放送・レスラーたちの入場テーマなどなど全部自社制作できる部署がある完全独立性の会社だということ。
で、その中にはWWEスタジオというメディア部門もあり、トップレスラーの半生を描いたドキュメント作品なども多数制作しているのです。

本作は、そんなWWEスタジオが制作した女子レスラー・ペイジの半生を描いたドキュメントに感銘を受けたドウェイン・ジョンソンがプロデュースし、WWEが全面協力した伝記映画です。

ドウェイン・ジョンソン企画、”ザ・ロック“出演

イギリス出身のペイジは家族全員がプロレスラーで「WAW」という家族経営のインディー団体に所属。自らも13歳からプロのリングに上がっていたサラブレッド。

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画像出展元URL:http://eiga.com / イギリスのプロレス一家に育ったペイジ

2011年にWWEのトライアウトを受けて合格し、WWE傘下のNXTで活躍後、2014年念願のWWEに初登場でいきなり当時チャンピオンだったAJと対戦、ベルトを奪取して一躍スターダムを駆け上がったんですね。

2018年に怪我が原因で惜しまれながらも引退するまでWWEの女子部門で活躍し続けたスター選手だったそうです。

兄と共にWWEのスーパースターを目指していた彼女ですが、兄弟で受けたトライアウトで彼女だけが受かり、大メジャー団体で生き残るというプレッシャーの中、紆余曲折の末にWWE女子チャンピオンになるまでを劇映画にした本作。

プロデューサーのドウェイン・ジョンソンザ・ロック(ロック様)として活躍した元WWEのトップレスラーであり、彼もまたレスラー一家に生まれ育ったという境遇から、本作に特別な思い入れがあったのかもしれません。

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画像出展元URL:http://eiga.com / 劇中では”ロック様“も降臨!

劇中でも、久しぶりに「ザ・ロック」として登場、あの名ゼリフやロック様口調を大サービスしてくれて、当時を知るファンの一人としては大興奮でしたよ!

また、WWE全面協力ということもあって、試合映像、劇中登場するレスラー、試合会場やバックヤード、観客に至るまですべてが本物。
ペイジとその家族などは俳優が演じてますが、しっかりトレーニングを積んだらしく、試合シーンでちゃんとプロレスしてたのが、ファン的には凄く嬉しかったですねー。(もしかしたら要所要所で本当のレスラーと入れ替わってたかもですが)

これぞ本当の”プロレス映画“

これまで僕は、何本かプロレスが題材の作品も観てきましたけど、試合のシーンになると正直(´ε`;)ウーン…ってなることが殆どでした。

例えばミッキー・ローク主演「レスラー」は、落ちぶれたかつてのスターレスラーの悲哀を描いた名作ですし僕も大好きな1本ですが、こと試合シーンに限ってはプロレス好きにとって物足りないというか、「プロレスになってない」って思っちゃうわけですよね。

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画像出展元URL:http://eiga.com / ちゃんとプロレスしてる!

ところが本作の場合、試合のシーンがちゃんとプロレスになっていて、他の作品で感じるような違和感もないため、途中で冷めることなく物語に没頭出来るし、元トップレスラーのドウェイン・ジョンソンWWEが関わっているからか、プロレスの華やかな部分だけでなく、プロレスへの偏見や、プロレスの抱える影の部分もリアリティーを持って描かれていて、それがプロレスファンだけでなく誰にでも通じる、普遍的なサクセスストーリーになっているのも素晴らしかったです。

生まれ育った団体とWWEの違い、容姿のコンプレックスに悩んで自分を見失ったり、シャイでプレッシャーに弱く、スピーチが大の苦手だった彼女が、ラストで何千人もの観客の前でついに真のプロレスラーになる瞬間は最高だったし、グッときてしまいましたよ!

興味のある方は是非!!!

 

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ガンアクションはいいがツッコミどころは満載「デイライツ・エンド」(2016*日本ではビデオスルー)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、「ワイルド・スピード」などに出演しているジョニー・ストロング主演のゾンビ映画デイライツ・エンド』ですよー!

日光が弱点で夜しか活動しない「アイ・アム・レジェンド」型ゾンビを狩るさすらいのゾンビハンターが、たまたま助けたヒロインが所属する生存者グループの脱出を手助けするという、「マッド・マックス」系ゾンビアクションです。

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画像出展元URL:https://www.amazon.co.jp/

概要

謎の疫病によって多くの人間がクリーチャーと化した近未来を舞台に、愛する者をクリーチャーに殺された男の壮絶な復讐を描いたサバイバルアクション。地球上で原因不明の疫病が蔓延し、感染した人々は凶暴なクリーチャーと化した。愛する女性を奪われた一匹狼のロークは、廃墟となった警察署に潜伏中の生存者グループと出会う。クリーチャーへの復讐に燃えるロークと、安全地帯への脱出を望む生存者たちは、手を組んでクリーチャーたちのアジトに攻撃を仕かけるが……。ローク役に「ワイルド・スピード」のジョニー・ストロング。(映画.comより引用)

感想

マッド・マックス+アイ・アム・レジェンド

この作品、映画秘宝復活号の中で紹介されていたのを読んで興味がわいたので、アマプラで鑑賞しましたよ。

いわゆるゾンビサバイバル映画なんですが、本作のゾンビは日光に弱く昼間は暗闇で寝てるけど夜になると元気モリモリで走り回るというアイ・アム・レジェンド」型ゾンビ

昼型が多いゾンビ界隈ではあまり見かけない珍種で、例え噛まれなくても(ゾンビの)血を浴びただけで感染してしまうという設定もかなり珍しい感じでした。

そんな夜型ゾンビと対峙する主人公は、アルファというゾンビに愛する人をゾンビにされて以来、復讐のため一匹狼のゾンビハンターとして放浪しているローク(ジョニー・ストロング)。
道すがら、盗賊に襲われていたヒロインのサムチェルシーエドモンドソン)をたまたま救った事から、なりゆきで彼女の属するコミュニティーが生き残った人間の住居地区があるハバへの脱出する手助けするという「マッド・マックス」的なストーリーなのです。

窓ガラス部分を金網で覆っただけという地味改造の70年式プリムスロードランナーで颯爽と現れ、街はずれのレストラン?で女ゾンビが眠っていた冷蔵庫にチェーンを引っかけて車で屋外に引きずり出して日光で焼き殺す冒頭シーンは、本作のゾンビの特徴を端的に説明しながら同時に主人公のカッコよさも見せるというスマートな演出で、これからの展開を期待させるには十分。

ちなみに、ロークを演じるジョニー・ストロングはアクション俳優、ミュージシャン、格闘家、ナイフ職人という多彩な顔を持っているのだとか。
ただ、射撃・格闘訓練やナイフ作りが忙しくて滅多に映画出演しない、いわゆるガチ勢な人らしいです。(映画秘宝情報)
映画中盤で見せる彼の肉体は、いわゆる筋肉太りのシュワちゃん系モリモリマッチョな体形ではなく、細見の体に針金を巻き付けたようなブルース・リー型の細マッチョ体形でしたよ。

サムを無事アジトに送り届けたロークでしたが、よそ者を信用しないコミュニティーメンバーは彼を牢屋に投獄(アジトは廃墟になった警察署)。
その夜、監視カメラを破壊し建物に侵入したゾンビを脱獄したロークが退治したことで彼は信用を得るんですが、その時、宿敵アルファを発見。

サムが見つけた飛行機でハバへ向かうため、飛行場まで走れる車を見つけて昼間のうちに脱出したいコミュニティーの面々に、リーダーのアルファを倒せば次のリーダー争い?に忙しいゾンビは襲撃してこないと主張するローク。

結果、サム達は車を探し、ロークの意見に同調した数名がアルファ率いるゾンビ軍団が眠るホテルに向かうのだが――という展開になっていくんですね。

劇中のほとんどがガンアクション&戦略的なゾンビ軍団

しかしこの作品、そうしたストーリーや展開はオマケみたいなもので、144分のほとんどが次々襲い掛かるゾンビ軍団を銃で撃ちまくるガンアクションに費やされています

アジトやホテルの限られた空間や高低差を使った本格ガンアクションは中々見ごたえがありますが、あまり画が変わらないので途中で若干飽きちゃうんですよねw

またゾンビの親玉アルファはかなり頭が切れる奴で、撃たれても平気なように防弾チョッキに身を包み、サム達の脱出を妨害するため警察署の出口に廃車でバリケードを作り、ローク達の襲撃を見越して罠を仕掛けるっていう、もはや喋れない&武器を使わない以外は人間とほぼ変わらないんですよね。

ツッコミどころ満載

そんなアルファにまんまとしてやられ、仲間を全員殺されたロークは大量のゾンビ引き連れてバスに乗り込もうとするコミュニティーがいる警察署に向かって逃げてくるんですよ!

お前何してくれとんねん!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッっていうねw

で、結局逃げ込んだアジトで最終決戦となるわけですが、仲間もリーダーも次々殺されて、もう大惨事ですよ。

さらにロークは反省するどころか、仲間の一人(仲間を見捨てようとするやつ)が車で逃げようとするのを見つけたロークは「コイツを囮に使おう(`・ω・´)キリ」とか真顔でクズ発言する始末。

最初にロークを牢屋に閉じ込めたリーダーの判断は正しかったよ!

サム達を逃がす手助けどころか、コイツのせいで被害が拡大しとるがな

まぁ、そんなツッコミどころ満載の展開を、仲間が死ぬ間際のエモい演出と絶え間ない銃撃戦でごまかしながら物語は進んでいくんですよね。

それでも何とか観てられるのは、ウィリアム・カウフマン監督のリアルなガンアクション演出とジョニー・ストロングの身のこなしあればこそですかね。

なので、ガンマニアやアクション映画好きな人なら、結構楽しめるのではないかと思いましたよ。

興味のある方は是非!

 

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深夜ドラマのノリでサクッと観れる「セトウツミ」(2016)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、2013~2017年まで「別冊少年チャンピオン」に連載された人気漫画の実写映画化作品『セトウツミ』ですよー!

長年TSUTAYAでレンタルして映画を観てきたけど、TSUTAYA閉店に伴って先日ついに観念して加入したアマプラで観た最初の映画です。

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概要

関西の男子高校生2人が放課後に何となく会話するだけという異色さで話題の、此元和津也による人気漫画を実写映画化。タイトルは瀬戸と内海という主人公2人の名前を組み合わせたもので、彼らが交わす嘲笑的でユーモアを織り交ぜた掛け合いが展開していく。クールな内海役には『海を感じる時』などの池松壮亮、天然キャラの瀬戸役に『共喰い』などの菅田将暉。監督は『まほろ駅前多田便利軒』などの大森立嗣が務める。(シネマトゥデイより引用)

感想

菅田将暉池松壮亮の掛け合いを楽しむ映画

本作の物語をざっくり説明すると、菅田将暉池松壮亮が演じる二人の男子高校生が、放課後河原で喋る様子を全7話構成で見せるという、短編連作形式(というか章立て形式?)の脱力系日常コメディーです。

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とある事情でサッカー部を退部した瀬戸菅田将暉)と眼鏡をかけたクールな秀才の内海池松壮亮)が放課後、内海の塾が始まるまでの1時間30分の暇つぶしのため河原で愚にもつかないお喋りをするという内容で、その会話の中で徐々に二人の背景が分かってくるというストーリー。

僕は原作未読だったんですが、観終わったあとググって観たら菅田将暉池松壮亮の両名はかなり原作に近いキャスティングと言う印象で、物語もほぼほぼ原作のエピソードをそのまま映画に落とし込んでいるみたいですねー。

内向的でクールな内海と天然で外交的な瀬戸と言う対照的な二人の、オフビートな笑いを誘う掛け合いのテンポも良くて、中々楽しめました。

また、中盤以降で二人が出会いが描かれた第0話や、瀬戸が憧れているマドンナ的存在である樫村一期中条あやみ)の視点で描かれる第7話(最終話)を入れることで、物語や二人のキャラクターに厚みを持たせる展開も原作を忠実に映像化しているみたいです。

映画サイズに合ってない?

ただ、(これは好みもあると思うけど)個人的にはそれぞれのエピソードが若干長くて正直少し間延びしているような印象を受けました。
多分、1話あたり5分くらいでグッとタイトに絞った方が、二人の掛け合いの面白さが活きたんじゃないかなと。

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っていうか、この章立てという構成がそもそも映画と言う媒体のサイズに合ってなくて、30分くらいのドラマで1話につき3本構成とかでやるほうが物語に合ってるんじゃないかと。

って思ったら、映画の後に別キャストでドラマ化されてました

映画だとやっぱ動きがないと画が持たないし、それを補うためにか回想シーンがわりと頻繁に入れ込まれてるのも観てて若干気が散ってしまう。

例えば冒頭で背景的に出てきた人物が最後のオチ部分で重要な役割を担うなど、脚本で工夫はしてるんだけど、それも似たような展開が続くと途中で飽きちゃうんですよね。

もっと端的に言えば、コッチは映画である理由が欲しいというか、映画でなければ出来ないような映像や物語が観たいわけで、深夜ドラマのノリをそのまま映画にされてもなー(´ε`;)ウーン…っていう。

劇場版の「聖☆おにいさん」でも似たような事を思いましたけども。

まぁ、原作があるものだし多分予算もそんなに多くない小作品なので、言っても仕方ない部分もあるとは思いますけども。

ただ、75分と映画としては短くユルイ物語なので、サクッと何も考えずに観るには丁度いいかもですけどね。

興味のある方は是非!

 

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激アツ! ロシアの戦車映画「T-34 レジェンド・オブ・ウォー」(2019)

ぷらすです。

今回ご紹介するのはロシアの戦車映画『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』ですよー!

同じくロシアの戦車映画「タンク ソルジャー 重戦車kv-1」でも思いましたが、今、ロシアの戦車映画は激アツなんですよねー!(*゚∀゚)=3

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概要

戦火のナージャ』などのニキータ・ミハルコフ監督が製作を務めた戦車アクション。ナチスドイツの捕虜収容所を舞台に、ソ連の捕虜兵たちがナチスに抵抗する姿を描く。『アトラクション 制圧』で共演したアレクサンドル・ペトロフとイリーナ・スタルシェンバウムらが出演。本物のソ連製戦車T-34を使用し、役者が自ら操縦した。(シネマトゥディより引用)

感想

戦車戦の面白さを存分に魅せる「戦車映画」

本作は第二次大戦中ナチスドイツが、演習目的で捕虜を生きた標的としていた史実に着想を得て作られたそうですが、その史実を掘り下げるのではなく捕虜となったソ連の戦車兵たちが演習用の「T-34」に乗り込み決死の脱出劇を図るというアクションエンターテイメントになっていて、”戦争映画“というより「ガールズ&パンサー」的”戦車映画”になっているんですよね。

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画像出展元URL:http://eiga.com / 戦車で車をドーンだYO-!

ストーリーは、たった1台の戦車と限られた武器を戦略と技術でカバーし、圧倒的不利な状況をひっくり返して勝利を掴むという構成。
これは以前ご紹介した「タンク ソルジャー 重戦車kv-1」とほぼ同じ内容で、まぁ、よく言えば王道、悪く言えばありきたりな物語です。

、主人公を始め、それぞれ(テンプレ的ではあるけど)登場人物のキャラクターは立っているし、あらかじめ限られた条件(ルール)の中で闘うことで、観客にハラハラ感と主役たちへの感情移入させる演出は見事。
さらに、主人公たちの目的や地理関係、戦闘中の敵戦車とT-34の位置関係もしっかり描かれているので、見ているコッチが混乱することはないのです。

また、主役機であるT-34実車を使い狭い車内を小型カメラで撮影。役者が実際に戦車を操縦することで本物ならではの迫力や緊迫感を演出しつつ、砲弾が敵戦車を貫く&T-34をかすめるなどの映像は、最新のVFXを駆使して砲弾視点?で見せるなど、戦車戦の面白さを存分に引き出しているんですね。

そうしたイチイチ気の利いた演出やテンポのいい編集で観客を飽きさせない工夫の数々は、見事と言うしかありません!

ざっくりストーリー紹介

1941年第二次世界大戦下、ソ連軍の新米士官イヴシュキン(アレクサンドル・ペトロフ)は飯炊き車で味方陣地へ配給に向かう途中、ナチスドイツの戦車ティーガーに遭遇するも、見事敵の攻撃を躱して陣地に到着します。

しかし、敵の猛攻によって味方陣地は疲弊し、残された戦車はT-34たった一台。
イヴシュキンは乗組員を率いて、撤退のため迫りくる敵中隊をこのT-34一台で食い止めるという無茶ぶりをされるんですね。

ところが超有能なイヴシュキンは、見事な戦略と指揮ぶりで敵戦車を次々撃破。
しかし、III号戦車を駆る敵将校イェーガー(ヴィンツェンツ・キーファー)との死闘で相打ち、捕虜になってしまいます。

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画像出展元URL:http://eiga.com / 最初の闘いで顔に傷を負ったイエーガー

3年後、イヴシュキンとの戦闘に脅威を感じたイェーガーは、対ソ連戦車戦に向けた士官養成のため、実演演習の的となるソ連軍士官を探していました。
そんなある日、SIII収容所でイヴシュキンを見つけた彼は、強制収容所で通訳をしていた同志アーニャ(イリーナ・スタルシェンバウム)の命と引き換えに演習への参加を了承させ、乗組員を選び戦地で押収した新型のT-34に搭乗するよう命令。

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画像出展元URL:http://eiga.com / ヒロインのアーニャとイヴシュキンのラブロマンスもあるよ

これには逆らうことが出来ず、整備のため味方の死体が乗ったままのT-34を調べていたイヴシュキンは、死体の下から砲弾6発と手榴弾を発見。これを使い演習の日に脱走することを計画する。――と言うストーリー。

いきなり冒頭、敵戦車の砲塔の動きを読むことで飛んでくる砲弾を華麗に躱して見せる描写や、新米士官ながら反抗的な部下に的を得た指摘や指示を出すことで、観客にもイヴシュキンの有能さを印象付け、その後の圧倒的不利な戦闘をひっくり返していく様子を違和感なく見せていく演出は非常にスマートかつ無駄がないし、ドイツ軍のイエーガーとイヴシュキンが同等のレベルであることを最初の闘いで見せて、クラマックスに繋げていく展開はまさに激熱でした!

少年漫画のようなライバル関係

また、イヴシュキンとイエーガーを単に憎み合う敵同士ではなく、戦車に関しては互いに認め合った、ある種のライバル関係として描く演出はブロマンス的でもあるし、どこか少年漫画的でもあるなって思ったし、そこも僕が本作にすんなり入っていけた要因かも。

ラストの死闘を共にする乗組員も、ソ連随一の腕を持つ操縦士、一見乱暴だけど気のいい装填手、気が弱くて信心深い砲手と、この手の映画では死ぬほど観てきたキャラ造形ですが、そんなキャラクターを衒いなく真正面から描いてみせたのも結果として大正解だったと思いますねー。

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画像出展元URL:http://eiga.com / 実車の車内で撮影! 燃えるぜ!

また、「タンク ソルジャー 重戦車kv-1」は重戦車で、装甲の頑丈さと砲弾の威力が見せ場の一つでしたが、本作のT-34は中戦車なので小回りが利くしスピードも速く、その分、戦車同士の戦闘やチェイスシーンも見せ場が多かったように思いました。
クライマックスの市外戦では、戦車が建物を破壊しながら進んだり、逆に建物を目隠しに息をひそめて敵を狙ったりという描写は最高だったし、ティーガーの砲弾がT-34にかすった時、車内に強烈な反響音が響いて乗組員がダメージを負うシーンなんかは、これまでの戦車映画にはなかったリアリティーと物語的見せ場を兼ね備えた非常に新しい描写だったと思いました!

個人的には最高に面白かったし、戦車好きの人はもちろんですが、そうでない人も十分に楽しめるエンタメアクション映画だと思いますよー!

興味のある方は是非!!!

 

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前作を分かりやすく翻訳「ドクター・スリープ」(2019)

ぷらすです。

今回ご紹介するのはスタンリー・キューブリック監督で1980年に公開された「シャイニング」から39年ぶりに公開された続編『ドクター・スリープ』ですよー!

続編ではあるものの、原作から大幅な改変がされたため分かりにくかった物語を、非常に分かりやすく”翻訳“した作品になってましたねー。

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概要

スティーヴン・キングのホラー小説をスタンリー・キューブリック監督がジャック・ニコルソン主演で映画化した『シャイニング』の続編。一家を襲ったホテルでの恐ろしい出来事から40年後、生き延びた息子ダニーが遭遇する新たな恐怖を描く。『ムーラン・ルージュ』などのユアン・マクレガー、『ミッション:インポッシブル』シリーズなどのレベッカ・ファーガソンらが出演。『オキュラス/怨霊鏡』などのマイク・フラナガンがメガホンを取った。(シネマトゥディより引用)

感想

”シャイニング“とは

前作のタイトルでもあり、主人公ジャック(ジャック・ニコルソン)の幼い息子ダニーが持っている”力“「シャイニング」。
簡単に言えば「超能力」なんですが、オカルト嫌いだったスタンリー・キューブリックによる原作からの改変によって“シャイニング“=超能力の意味がかなり希薄になってしまった感は否めません。

また原作ではかなり重要な要素だった、父と子のエピソードが180度書き換えられた事に怒った原作者キングが、キューブリック版「シャイニング」を事あるごとにバッシングしまくり、しまいには自ら監督してテレビドラマを作ったのは有名な話。

原作版ではアル中の父親ジャックがいわくつきのホテルが持つ“邪悪な意思”にとり憑かれ、妻と子を殺そうとするも寸前で我を取り戻し、自身の身を犠牲に(本作クライマックスと同じ?)妻と子を救うというストーリーだったのに対し、キューブリック版ではアル中と神経衰弱によって狂った父親が妻と息子を殺そうと追い回す物語になっているんですね。

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僕なんかは「シャイニング」を長い間、悪霊に取りつかれた父親が妻子を殺そうとする話だと思っていて、息子のダニーは単に霊感の強い子供(というか子供だから霊感が強い)くらいに思い込んでいたわけです。

で、その続編となる本作では、キューブリック版の設定は引き継ぎつつ、物語に原作の要素を合流させたことで、ボクと同じような誤解をしていた人に、「元々はシャイニングってこういう物語なんですよ」と非常に分かりやすく“翻訳”してくれたんですね。

その感じは、押井守の劇場版「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」の設定や世界観を神山健治がテレビ版「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」で分かりやすく”翻訳“してみせたことで攻殻機動隊」というコンテンツに一般性を持たせ広い層に受け入れられたのに似ているかもしれません。

ただ、この”分かりやすさ“ゆえ、良くも悪くも難解なキューブリック版と違い、「数十年語り継がれる作品にはならないだろう」という印象を受けましたが。

ざっくりストーリー紹介

前作で大きなトラウマを抱えた40才のダン(ダニー: ユアン・マクレガー)は、父親と同じように酒に溺れる生活に明け暮れていました。

しかし、そんな自分を変えようと辿り着いた町でホスピス終末医療)の仕事を得た彼は、自身の能力”シャイニング”を使い、死にゆく老人に安息をもたらす事で“ドクター・スリープ”と呼ばれるようになり、親友の勧めもあり禁酒セラピーにも通ったことで禁酒にも成功するんですね。

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また同時期、ダンは彼よりも非常に強力なシャイニングの能力を持つ少女アブラ・ストーン(カイリー・カラン)とテレパシーでやり取りをするように。

そんなある日アブラは、シャイニングを持つ野球少年ブラッドリー(ジェイコブ・トレンブレイ)を誘拐し拷問死させる「トゥルー・ノット」の犯行を“感じ取り“ます。

ハットを被る怪しい女ローズ・ザ・ハットレベッカ・ファーガソン)率いる「トゥルー・ノット」は、シャイニングを持つ子供に苦痛を与えながら殺害し、彼らの生気を吸い取ることで数百年を生きるヴァンパイヤ集団だったのです。

「トゥルー」の犯行を”目撃“しローズ・ハットに存在を知られてしまったアブラは、ダンの許を訪ねて助けを求めるのだが――と言うストーリー。

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前作とは違い、この続編はメインキャラが自身のシャイニングで闘う「超能力大戦」になってるんですねー。

そして超能力は原作者キングの大好物でもあります。
キングと言えば、超能力とネイティブアメリカンの呪いですから。
長編デビュー作「キャリー」も超能力ものだったし、原作版「シャイニング」なんか、この2つの要素が両方入ってますからねw

お国柄?

そういえば「シャイニング」のストーリーがイマイチ分かりにくい理由として、前述したようにオカルト嫌いのキューブリックが幽霊や超能力の部分をカットしたりぼやかした事の他に、「超能力」と「霊能力」が同じものとして描かれているってのがあって、日本だと「超能力」=SFと「霊能力」=オカルトって具合にハッキリ分けられてるじゃないですか。

ところが、「シャイニング」と本作ではこの2つの能力は同じ「力」として描かれているんですよね。

前作に登場しシャイニングでダニーを救ったオーバールックホテルのシェフ、ディック・ハロラン(カール・ランブリー)の幽霊が、本作でダニーの師匠的な立ち位置で登場するとか、ハロランの教えでダニーがホテルの亡霊たちを封じる術を会得するとか。

そういうのって、日本では「霊能力」に括られると思うんですが、前作&本作ではあくまで「超能力」の一つなんですよね。

それがキング独自の解釈なのか、それともアメリカのお国柄(死生観の違い)ゆえかはよく分からないんですけども。

キューブリックオマージュもふんだんに

そんな本作、前作の舞台でもあるオーバールックホテルがローズ・ザ・ハットとダン&アブラの最終決戦の舞台になるんですが、ダンとアブラがホテルに続く一本道を車で上るところで、前作「シャイニング」のテーマ曲が掛かるという演出は個人的に燃えたし、双子幼女や露出狂おばさんら亡霊たち、エレベーターから溢れる大量の血、ダニーが三輪車で走る例の廊下や、ジャックが通うバーなどなど、キューブリック版シャイニングのオマージュがふんだんに盛り込まれていましたねー。

で、そこでの父子の邂逅を踏まえてダニーの最後の決断などなど、キューブリック版とキングの原作を上手くリミックスしながら、続編としても前作の語り直しとしても、絶妙な着地をしてみせたと僕は思ったし、今の技術なら前作キャラクターの顔をCGで再現することだって出来たハズだけど、あえて違う役者に演じさせたのも個人的には監督の大英断だと思いました

それに加え、シャイニングを持つ者同士の闘いの描写では、キングの持つ中二病感を余すところなく表現してて、同じく中二マインドを持つ僕なんかはグッときましたよ!

興味のある方は是非!!

 

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