今日観た映画の感想

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”世界のMIIKE“初期作品「極道戦国志 不動」(1996)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、海外での評価も高い三池崇史監督の初期作品『極道戦国志 不動』ですよー!

たまたまYouTube映画秘宝復刊記念のトークライブの中でタイトルが出ていたので、気になってレンタルしてきました。

三池崇史作品を観たことがない人は「なんだこりゃ」ってなること請け合いの作品で、逆に三池作品のファンにとってはちょっと物足りなさを感じる作品かもって思いましたねー。

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概要

古い体質の極道社会を崩壊させ、新世代社会を築こうとする高校生が巻き起こす戦争を、過激な描写で描いたバイオレンス。監督は「新宿黒社会 チャイナ・マフィア戦争」の三池崇史。原作は谷村ひとしの同名小説で、「リストラ代紋 史上最強の公務員」の森岡利行が脚色。撮影を「シャブ極道」の山本英夫が担当している。主演は「花より男子(1995)」の谷原章介。成人指定。16ミリからのブローアップ。(映画.comより引用)

感想

三池崇史とは

三池崇史は横浜の映画専門学校に進学、横浜にあった今村昌平の私塾で映画を学びアルバイトを転々としたあと、フリーの助監督として今村昌平恩地日出夫野田幸男、西村潔、井上梅次舛田利雄村川透など名だたる監督の現場を経験し、1991年「突風!ミニパト隊」で監督デビュー。

その後、映画、テレビドラマ、OVA、舞台など数えきれないほどの作品を手掛けてきた非常に多作な監督です。
作品を選ばず依頼された順に受けていくスタイルで、与えられた時間と予算の中で作品を仕上げていく職人監督でありながら、作品の中にしっかりと自分の色を出していくのが特徴で、特に、バイオレンスやエログロを執拗に描く露悪的とも言える表現で国内外の多くのファンから支持され、クエンティン・タランティーノイーライ・ロスパク・チャヌクなど、海外の名だたる監督にも影響を与えているんだそうです。

その一方で、過激過ぎるな暴力表現がしばしば論争を巻き起こし、初期代表作であるホラー映画「オーディション」が2000年のロッテルダム国際映画祭では記録的な人数の途中退出者を出すという伝説もあったりするそうです。

近年は、ビックバジェットの漫画・アニメ原作の実写版を監督し、原作ファンなどから酷評されることでもお馴染みだし、個人的にも「これはちょっと……」と思う作品も少なくないんですけど、じゃぁ他の監督だったらそれ以上の作品になったかと言えばそれはないと思うんですよ。

少なくとも、邦画の限られた予算・時間や様々な制約の中で(一定のレベル以上の)映画を作ることにかけては、やっぱり三池監督は今もトップランナーであり続けていると思うんですよねー。

本作は、そんな三池監督の初期作品の一本で、谷村ひとしの同名漫画を原作にしたヤクザ映画です。

主演は今や「パネルクイズ アタック25」の顔として知られる谷原章介
「花より団子」でデビュー後、3作目の映画出演らしく、まだ初々しさが残る演技でしたよ。

ざっくりストーリー紹介

小学生の不動力は、ある夜父親峰岸徹)が大好きな兄を惨殺する現場を目撃します。
父は、関西大手暴力団の夜叉組といざこざを起こしたオトシマエとして、自ら切り落とした兄の生首を夜叉組に差し出したのです。

その夜、兄の血で自分の背中に不動明王を彫った力は10年後、高校生にして九州仁王会不動一家の若頭をつとめるその裏で、古い体質のヤクザ世界を壊し極道新世代を築こうとする組織のリーダーに。

小学生やJKのヒットマンを使って、邪魔者である仁王会の四天王と呼ばれる幹部たちや仁王会の本山である仁王寺の阿平と吽平をも次々に抹殺。最大の敵である夜叉組の能間竹内力)の命を狙うが、能間と手を組んで九州を牛耳りたい父が、力の行動を知った能間の命令で、力の下に腹違いの兄・を刺客として学校に送り込み――というストーリー。

かなり荒唐無稽なストーリーなんですが、原作が漫画ということもあって、どこまでが原作設定で、どこからが映画オリジナル演出なのかはよく分からないです。

ただ、主人公が17才の高校生ということで、彼の部下?は全員がクラスメイトの女子や小学生男子なんですよねw

で、街はずれにあるアジトで、小学生の子供が射撃訓練や暗殺訓練をしたり、女子高生がマシンガンで敵を皆殺しにしたり、もう一人の女子高生はストリップ小屋で花電車(アソコで吹き矢を吹く)のアルバイトをしていて、その技を暗殺に活用しているんですね。しかも何故か両性具有という謎設定までついているっていうw

さらに、夜叉組の野望は日本を牛耳った後に北朝鮮と手を組んでアメリカを倒すことだったり、そんな夜叉組の動向を探るため不動たちは学校のパソコン室のPCをフル稼働させてたり。父親が差し向けるヒットマンで腹違いの兄は、元韓国の特殊部隊だったりね。

言ってる意味が分からないと思いますが、書いてる僕もよく分からないので大丈夫?ですw

要するに、後の”三池印“に繋がるエログロナンセンス満載の映画なんですよねー。

三池崇史覚醒前夜?

本作は1996年の作品ということで、三池監督作品としてはかなり初期の作品と言えると思います。

それもあって過剰なエロやグロは描かれているものの、三池監督の特徴でもあるヒリつくような“過剰な暴力”はかなり控えめ
また、それぞれのキャラクターの背景も描かれていないため、不動がどういう経緯で仲間を集めたか、彼ら彼女らが何故不動に従うのかなどは正直全く分からないし、三部作の第1作なのもあって物語的にもかなり中途半端な感じで終わっています。

というか、ぶっちゃけストーリーはあってないようなもので、ただひたすら誰かが死んだり、誰かを殺したりが延々続き、その合間にお色気シーンが差し込まれるっていう。

まぁ、この殺しのシーンはアイデア満載で多彩な死に方が楽しめるので、そこを楽しむ作品という感じでしょうかね。

もしかして、2・3と観たらもっと面白くなるかもですが、僕はこの1本で正直お腹いっぱいでしたねーw

興味のある方は是非!

 

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今度の主役はおじいちゃんズ!?「ジュマンジ/ネクストレベル」(2019)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、2017年公開の「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル」の続編『ジュマンジ/ネクストレベル』ですよー!

前作では、ロック様ことドウェイン・ジョンソンの中身がオタク童貞高校生になったり、ジャック・ブラックの中身が女子高生になったりする楽しい映画でしたが、その続編となる本作はどうだったかについて語っていきたいと思います。

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画像出展元URL:http://eiga.com

概要

約20年振りの続編となった『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』に続くアドベンチャーシリーズの第3弾。再びゲームの世界に入り込んだ4人の高校生に2人の老人が加わり、砂漠や雪山などから生還するためサバイバルを繰り広げる。出演はドウェイン・ジョンソンジャック・ブラックら前作のキャストのほか、ダニー・デヴィートダニー・グローヴァーが共演。監督は前作のジェイク・カスダンが続投する。(シネマトゥディより引用)

感想

ジュマンジ」とは

本作の前段となる2017年の「~/ウエルカム・トゥ・ジャングル」は、名優ロビン・ウィリアム主演で1995年に公開された「ジュマンジ」から22年ぶりの続編だったので、本作は「ジュマンジ」シリーズ3作目になります。

ではオリジナル版「ジュマンジ」がどんな内容かと言うと、止まったコマに掛かれた事が現実に起こるという「闇のスゴロク」をプレイする4人の物語。

この作品の中でロビン・ウィリアムスは26年間ゲームの中に閉じ込められ「見た目は大人頭脳は子供」のアランというキャラクターを熱演。
また、当時はまだ最新技術だったCGを贅沢に使って人々を驚かせたんですね。

それから22年後に公開された続編「~/ウエルカム・トゥ・ジャングル」では、前作で重りをつけられ川に流された後、海岸で少女に発見された「ジュマンジ」が時代に合わせてビデオゲームに進化するという貞子チックなスタート。

色々あってスクールカースト序列が全然違う、相容れない4人が偶然「ジュマンジ」に閉じ込められ、共にゲームをクリアすることで友情や愛情が芽生えるという、青春映画の金字塔「ブレック・ファースト・クラブ」的展開と、彼ら彼女らのゲーム内アバタードウェイン・ジョンソンジャック・ブラックケヴィン・ハート、カレン・ギランが演じた事でも話題になりました。

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そしてその続編となる本作では、大学生になった4人が久しぶりに集まろうという話で盛り上がるわけですが、前作主人公のスペンサーは慣れないNY生活ですっかり自信を失っていて、ロック様の時の万能感を得るため前作ラストで叩き壊した「ジュマンジ」を起動、1人で再びゲーム内に入ってしまうんですね。

それに気づいた4人もゲームの中に入ってスペンサーを救出しようとするも、たまたま家にいたスペンサーのお祖父ちゃんエディと、レストランの元共同経営者だったマイロも巻き込まれ――というストーリー。

ちなみにエディお祖父ちゃんは実写版「ダンボ」でサーカス団団長役だったダニー・デヴィート、マイロは「リーサル・ウェポン」でメルギブの相棒役だったダニー・グローヴァーがそれぞれ演じていますよ。

95年のオリジナル版では「ゲームが現実を侵食する」設定だったのに対し、07年は「ゲームの中に現実(プレイヤー)が入る」という設定に変わり、さらに本作ではそのゲームがバグっているという設定になったのです。

また、第1作はコメディーでありながらエグいシーンや怖さもあったけど、第2作以降はとにかくギャグ多めで笑いに振り切ったのがヒットの要因だった気がします。

今度の主人公はおじいちゃんズ!?

前述したように、前作の主人公は高校生4人組で、ゲームに詳しいオタクの主人公スペンサーがジュマンジ世界のガイド役でもあったんですね。

そして、4人で協力プレイをすることで絆を深めていくというのが物語の肝だったわけです。香川県の偉い人、聞いてますかー?)

しかし、本作で4人の関係性はすでに出来上がっているので、これ以上の発展性はない。

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ということで、本作ではスペンサーのエディお祖父ちゃんと、わだかまりのある元親友のマイロが実質的な主人公として「ジュマンジ」の中に巻き込まれるんですね。

そして、前作の4人はゲーム未経験の2人をサポートする役周りになることで、物語が進んでいくわけですね。

さらに、前作で叩き壊された「ジュマンジ」がバグったという設定にすることで、前作で割り振られたキャラをガラガラポンして、本作ではロック様の中身にエディお祖父ちゃん、ケヴィン・ハートの中身にマイロ、ジャック・ブラックは女子高生ベサニーからジョックスのアンソニーに変わってしまうのです。

では、スペンサーと真面目女子のマーサはゲーム内でどんなキャラに!?
というのが、見どころの1つでもあるんですね。

“新しさ”は感じられずキャスト任せに

そんな本作、もちろん観ている間はそれなりに楽しいんですが、内容的にはある意味で前作の繰り返しであり、本作ならではの“新しさ“は感じることが出来なかったし、逆に前作の面白かった設定が足かせとなって物語に無理矢理感が出てしまったように見えました。

その中に、お祖父ちゃんズを投入することで物語を引っ掻き回してはいるものの、演じているのはロック様でありケビン・ハートでありジャック・ブラックですからね。

要は、前作との違いを役者の演技力に頼る形になっちゃってるのです。

逆に前作では笑い&スリル要素として重要な仕掛けだった、3回死ぬとゲームオーバー設定を本作では結構持て余している感じで、理由も必然性もなく無駄にキャラクター(アバター)が死ぬシーンを無理やり突っ込むんだけど、劇中の仕掛けとしてはまったく機能していないとか、わりとご都合主義的な展開が見え隠れしちゃって、正直前作ほどは楽しめなかったかなーと。

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ただ、ゲームクリア後のマイロの気持ちは痛いほど分かるし、それに納得し応援するエディお祖父ちゃんの件は、個人的にグッとくるポイントでしたねー。

あと、ラストで第1作で登場したキャラクター(オリジナルキャストが続投)がエディお祖父ちゃんの知り合いだった事が分かるとか、本作自体が続編への布石になっている辺りは良かったんじゃないでしょうか。

興味のある方は是非!!

 

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アジアを代表する3人が夢の共演!「トリプル・スレット」(2019)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、トニージャー、イコ・ウワイス、タイガー・チェンというアジアを代表するアクションスター3人が競演した『トリプル・スレット』ですよー!

そんな3人が「古式ムエタイ」「シラット」「カンフー」というアジアの格闘技を駆使して戦う映画なら絶対面白いでしょ! とレンタルしたんですが……率直に言えば3人のポテンシャルを生かし切れていない感じがしましたねー。(´ε`;)ウーン…

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画像出展元URL:http://eiga.com

概要

マッハ!』シリーズなどのトニー・ジャー、『ザ・レイド』シリーズなどのイコ・ウワイスらが顔をそろえたアクション。ムエタイ、シラット、カンフーなどを駆使する男たちが、命を狙われている令嬢を守ろうとする。メガホンを取るのは『マキシマム・ブロウ』などのジェシー・V・ジョンソン。『カンフー・トラベラー』シリーズなどのタイガー・チェン、『ニンジャ・アベンジャーズ』などのスコット・アドキンスらが共演する。(シネマトゥディより引用)

感想

3人の経歴

本作でトリプル主演となる三人、トニー・ジャー、イコ・ウワイス、タイガー・チェンは、それぞれアジアを代表するアクションスターであり格闘技のエキスパート。

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画像出展元URL:http://eiga.com / 画面左からタイガー・チェン、イコ・ウワイス、トニー・ジャー

2003年のタイ映画「マッハ!!!!!!!!」で鮮烈なデビューを飾ったトニー・ジャーは、それまで馴染みのなかった“古式ムエタイ”をベースにした格闘アクションと、命知らずのスタントで世界を驚かせたタイのアクションスター。

インドネシア出身のイコ・ウワイスは、10歳の頃から実践格闘術シラットを学び、全国規模の大会でも優勝経験を持つアクションスターで、2011年公開の「ザ・レイド」でブレイク後に、ハリウッドで俳優兼スタントコーディネーターも務める実力派。

タイガー・チェンは18歳で中国武術四川省代表入りし、中国大陸全国少年武術大会で優勝。その後アメリカに渡ると「酔拳」でジャッキーの師匠役を演じたユエン・ウーピンに弟子入りし、彼の下で「マトリックス」のアクション指導、キアヌ・リーブスの武術指導やウマ・サーマンのスタントを行うなど、役者以外にも武術家やアクションコーディネーターの顔も持っています。

さらに、本作で敵役を務めるスコット・アドキンスは、柔道、キックボクシング、クラヴ・マガ、MMA、体操、中国拳法の心得があり、2013年公開「ニンジャ・アベンジャーズ」では主役を張り、ケイン・コスギ演じるラスボスと死闘を繰り広げた実力派なのです。

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画像出展元URL:http://eiga.com / ケイン・コスギと闘った事もあるスコット・アドキンス

これだけ“動ける“アクションスターが揃って面白くならないハズがない!

そう思って胸を躍らせながらレンタルしてきたわけですが、結論を言うと極めて凡庸なアクション映画になってしまっているなーと思いました。

その理由は、格闘アクションが一本調子で途中で飽きちゃうことや、3人それぞれ均等に見せ場を作った結果、逆に平らに均されてしまったというか、それぞれの特徴が消えてしまった感じがしたんですよね。

もちろん3人は凄いアクションを見せているんですけど、それが逆に「彼らのポテンシャルはこんなもんじゃないだろ」って思っちゃうんですよねー。

ストーリー紹介

中国有数の資産家の娘シャオシャン(セリーナ・ジェイド)は莫大な遺産を投じて、東南アジアの都市マハ・ジャヤを牛耳る犯罪組織の壊滅に乗り出す。
しかし、それに怒った組織のボスは、コリンズ(スコット・アドキンス)が率いる傭兵部隊を雇い彼女の暗殺を目論む。

コリンズ達の襲撃から辛うじて逃れたシャオシャンは、逃げ込んだ警察署で武術の達人パユ(トニー・ジャー)とロン・フェイ(タイガー・チェン)に助けられ、大使館に向かう途中で、妻を殺したコリンズに復讐を誓うジャカ(イコ・ウワイス)と出会うのだが――。と言うストーリー。

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画像出展元URL:http://eiga.com / スコット率いる傭兵部隊に追い回される3人

基本的にはお姫様を悪漢から守る三銃士的なシンプルなストーリーなんですが、そんなストーリーをややこしくしているのが冒頭シーン。

パユ、ロンの案内で、ジャングルの中にあるMI6?の収容所にやってくるコリンズの部下たち。
その警備兵の中には、ジャガとその恋人もいるんですが、コリンズの部下たちは銃やランチャーで「ヒャッハー!」と施設を襲撃。

結果ジャカ以外全員皆殺しにしてしまうんですね。

一応、コリンズの部下たちがパユとロンを騙して案内させたことが分かるようにはなってるし、その後、改めて事の真相が分かるようにはなってるんですが、何も知らない状況でまずこのシーンから見せられ、その後、パユ&ロンが地下格闘技の大会中、乱入してきたジャカが襲い掛かるという件に繋がっていくので初見だと人間関係が分かりづらくて混乱しちゃいます。

パユ&ロンが地下格闘大会に出場してるのは金を稼いで自分たちをハメて殺そうとしたコリンズ達への復讐を果たすためで、ジャガも誤解からロンの試合に乱入(というか飛び入り参加)するので、ここから共闘するかと思いきや、ジャガは二人を警察に売ったり、コリンズにも彼らが生きている事をチクる始末。

一方、大将コリンズ率いる傭兵たちは、依頼されたシャオシャン暗殺のため彼女のテレビ出演終わりを出待ちしてボディーガードごと皆殺しにしようとするっていう、超雑な計画を実行。しかし間一髪逃げ延びたシャオシャンは警察に逃げ込み、そこでロンと出会うんですが、そこにコリンズたちが襲撃をかけて署員を皆殺し

しかしシャオシャンはロンとパユに助けられ、間一髪逃げ延び――。

一方のジャカがパユ&ロンをコリンズ達に”売った”のは、コリンズの仲間のフリをして情報を聞き出してやろうという目論み?
一方、コリンズたちが執拗にロン&パユを追うのは、スコット脱獄の真相を知ってる2人の口封じをするためらしい。

でも、ジャカがなんでコリンズのバックにいる黒幕まで突き止めようとしてるのか(というかなんで黒幕の存在を知ってるのか)イマイチ理由が分からないし、コリンズたちはロン&パユ&シャオシャン殺害のためテレビ局と警察署でそれぞれド派手に銃乱射かまして大暴れしてるし。
そして、ラストでシャオシャンを殺そうとした黒幕が逮捕されるも、何者かは分からずじまい(何の説明もない)っていう。

全体的に“フリ”が効いてないので、彼らが何をしたいのかよく分からないんですよね。

アクションのバリエーションが少ない

とはいえ、本作の売りはアクションですからね。アクションシーンが良ければストーリーは雑でも別に構わないんですよ。

で、本作には格闘アクションの他、ガンアクション、ナイフアクション、カーチェイスなど、普通に考えたら盛沢山のアクションシーンがぶち込まれているわけですが……これがイマイチ盛り上がらないんですね。

それは前述したようにストーリーが雑ってのが一番大きな理由ではあるんですが、もう一つの理由は格闘シーンで3人が共闘しない(コンビネーションがない)ってのが大きいのかなと。

前述したように3人それぞれ見せ場はあるものの、基本それぞれに割り当てられた悪役相手に1対1で闘う構図になっていて3人が共演する意味がないっていう。

悪役のコリンズは超強いっていう設定なので、「プロジェクトA」みたいに3人のコンビネーションで倒すっていう燃える展開だってアリなんじゃないかと思うんですよね。

あと、アクションの振り付けがどれも似たような感じになってることで、3人それぞれの格闘のバックボーン(ムエタイ・シラット・カンフー)の違いがイマイチ分かりづらいのもマイナス要因だった気がします。

例えば僕らみたいな素人はカンフーの流派の違いは分からないけど、「ドラゴン・キングダム」でジャッキーが酔拳ジェット・リー蟷螂拳の構えを見せるだけでグッとくるじゃないですか。

そんな感じで、ラスボスのコリンズを前に、3人がムエタイ、シラット、カンフーの構えを見せる1ショットが入るだけでも全然違う気がしするんですよね。(それだと今風じゃないのかしら)

とはいえ、この3人のアクション自体は超カッコいいので、格闘映画好きな人は楽しめるかもしれません。

興味のある方は是非!!

 

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“悪夢”のようなサメ映画「海底47m」(2017)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、2017年公開のサメ映画『海底47m』ですよー!
近年サメ映画と言えば、「シャークネイド」「メガシャーク」などアルバトロス系のB級映画を指す言葉になりつつありますが、本作はそういったトンデモサメ映画ではなく、久しぶりの「正当派サメ映画」でしたねー。

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概要

海中のおりの中からサメの鑑賞を楽しむ姉妹が、予期せぬ事故に遭うパニックスリラー。無線は通じず、ボンベに残された酸素もわずかという絶望的な状況で、海底に落下したおりから脱出を図る姉妹の姿を描く。メガホンを取るのは、『ストレージ24』などのヨハネス・ロバーツ。テレビシリーズ「アクエリアス 刑事サム・ホディアック」などのクレア・ホルト、歌手としても活動しているマンディ・ムーアが妹と姉を演じる。(シネマトゥディより引用)

感想

正当派サメ映画?

「サメ映画」というジャンルを確立したエポックメイキングな作品といえば、何と言ってもスティーブン・スピルバーグ監督の「ジョーズ」です。

そしてCG技術が手軽に使えるようになった2000年以降は、低予算のテレビ映画として作られた何でもありの出オチ映画が好事家の間で人気を得る一方、劇場公開される“動物パニックもの“としての正統派サメ映画も本数は少ないけどしっかり生き残っていますよね。

例えば
「ディープブルー」(1999)
「シャーク・アタック」(1990)
「オープンウォーター」(2003)
「赤い珊瑚礁・オープン」(2011)
「ロストバケーション」(2016)

などなど。

ちなみに「MEG ザ・モンスター」(2018)を正統派サメ映画に入れるかどうかは議論の分かれるところだと思います。あれはサメ映画じゃなくてステイサム映画ですからねーw

閑話休題

とはいえサメvs人間という映画の性質上、例え正当派の作品でも登場するサメは基本擬人化されているというか、”サメ自身が何らかの意思を持って執拗に登場キャラクターを襲う“ように“見える”作品がほとんど。

そんな中、本作は(言い方が正しいか分からないですが)ちゃんと動物としてのサメが人間を襲う映画だったりします。

まぁ、それが面白さに繋がっているかどうかはまた別の問題なんですけどね。

ざっくりストーリー紹介

本作の主人公はリサマンディ・ムーア)とケイトクレア・ホルト)という姉妹。
二人はメキシコのリゾート地に旅行に来ているのですが、その夜、リサが彼氏に「退屈な女」とフラれ落ち込んでいる事を知ったケイトは、彼女と連れ立ってクラブに飲みに行きます。

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そこで出会った二人組の若者と仲良くなった2人は、ケージに入ってサメを鑑賞する「シャーク・ケージ・ダイビング」の約束をするんですね。

翌日、ケージに迫るサメに大興奮の2人でしたが、その時、老朽化したクレーンが折れてケージは47mの海底に沈んでしまう――というストーリー。

その後、2人はサメに襲われながらも何とか海底から脱出しようと必死に足掻くんですね。

サメが主人公ではない

そんな二人に襲いかかるのはサメだけではありません。
例えば、海底に取り残される恐怖やどんどん減っていくタンクの空気残量。
もしサメから逃れようと急浮上すれば、潜水病で死の危険性も。

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これ、作劇上致し方なしな部分もあるんですが、「海底からの脱出」という部分に主眼を置いた数々の物語的仕掛けによって、サメの存在感が若干薄くなっているのは否めないというか、サメと他の困難の扱いがほぼ同列なんですよね。

つまり前述したようにサメの方には特別なキャラ付け(擬人化)がされていないため、他の困難同様、姉妹を追い込むための仕掛けの一部になってしまっているのです。

その分、物語的にリアリティーが増すと言えなくはないけど、「サメ映画」としては若干弱いし、物足りなさを感じてしまうんですよね。

あと、海底まで沈んでしまった二人が、乗ってきた船のモーター音を聞いて見捨てられたと勘違いする展開があるんです。

その前にメキシコ人船員が二人に対して「白人女め」的な悪態をつぶやく意味ありげなシーンがあるので、観てるこっちも「見捨てやがった」と思い込むわけですが、実は彼らは二人を見捨てたわけではなく、むしろ助けようとちゃんと行動してたっていうね。

これ、作劇上2人をケージから出ざるを得なくするために入れたシーンであり、観客にとってはある種のミスリードなんですが、物語は姉妹の視点で描かれていて、彼らが船を動かした理由が分かるシーンがないので観てて正直混乱してしまいました。

 他にも、ちょいちょい引っ掛かるシーンが入っていて、その辺のストーリーテリングはあまり上手くない印象だったんですが、もしかしたら最初はそれぞれに納得のいくシーンを撮っていたものの、編集の段階で不要と判断してカットしちゃったのかも?

衝撃のラスト

で、これを書くと軽いネタバレになっちゃうかもですが、この映画まさかの「胸糞映画」でした。

それが分かるのはラストシーンなんですが、今まで「サメ映画」でこういうラストってほとんど観たことがないので、かなりビックリしてしまいました。

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ただ、このラストにしたことで、本作はかなり好き嫌いが分かれるんじゃないかと思いましたねー。

落として一旦上げてから、叩き落とすっていうねw

まぁ、もしかしたらこのラストも、それまで少なかったサメの活躍シーンをクライマックスにぶち込んだために、こういうオチになってしまったのかもですけどね。

興味のある方は是非!!

 

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フィリピン版チャイルドプレイ!?「生き人形マリア」(2019)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、フィリピン発のホラー映画『生き人形マリア』ですよー!
一言で言うならフィリピン版「チャイルドプレイ」って感じの作品なんですが、全体的にゆる~~~い感じがクセになる?映画でしたねー。

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概要

激しい情念が宿る人形の恐怖を描いたフィリピン発のホラー。娘を失った親たちが、娘そっくりの人形を渡された後に不吉な出来事に見舞われる。監督は『肝っ玉母ちゃん、大統領になる』などのウェン・V・デラマス。第12回大阪アジアン映画祭で薬師真珠賞を受賞したイザ・カルザドをはじめ、ザンジョー・マルード、ジョディ・サンタ・マリアらが出演した。(シネマトゥディより引用)

感想

「チャイルドプレイ」+「ペットセメタリ―」÷100

この作品はYouTubeで動画をアップしている「シネマンション/映画好きチャンネル」で紹介していて、ちょっと気になったのでレンタルしてきました。

なんとフィリピン発のホラー映画で、「チャイルドプレイ」+「ペット・セメタリ―」を1/100くらいの予算で作った感じでした。

ここ2回、「マーダー・ミー・モンスター」からの「霊的ボリシェヴィキ」と、難解というか“考えオチ”みたいな作品を立て続けに観たせいか、思ったよりちゃんとエンタメホラーしてるー!って思ってしまいましたねーw

ざっくりストーリー紹介

物語は地元の小学校、リトル・マグノリアに新しい校舎が建設されたことの祝いの行事からスタート。
自分の娘たちが揃いの衣装を着て楽しそうに踊る姿を、学校理事の妻フェイス、夫婦仲の悪く娘の低学力に悩むステラ、学校の教師でシングルファーザーのフリオが、目を細めて見ています。

そんな中、トイレに行ったフェイスは子供の幽霊を見てしまうんですね。
実はこの学校は火事で少年が事故死するという痛ましい事故があり、校舎を改装したのです。

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その翌日、遠足に出かけた娘たちを交通事故で無くした彼女らはすっかり心を病んでしまうんですが、そこに精神科医を名乗る男ノロが現れ、「亡くなった娘そっくりの人形を愛することで鬱の治療に役立つ」と、娘そっくりの人形を持ってくるんですね。

その無神経な行為に最初は激高し拒むフェイスとステラでしたが、人形を手にしたフリオの助言もあり、娘そっくりの生き人形を可愛がるようになるのだが……というストーリー。

まぁ、その後はお察しの通り人形たちが大暴れするわけですが、このマノロが持ってくる人形のクオリティーがビックリするくらい低くてですねw
「そりゃママンたちも激高するよ」っていう出来なのです。

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“生き人形“って普通、まるで生きてるような精巧な人形で、生前の娘ソックリだからこそ我が子を無くした親も受け入れると思うんですが、この映画に出てくる3体の人形はどれもビックリするくらい造形が雑だし可愛くないw

で、この人形をどうやって動かしているかというと、多分、娘役の子の顔にメイクしたり、”アノニマス“みたいな半透明っぽいマスクを被せて人形っぽメイクをして演じさせていると思うんですよ。(細かいところはCGで修正かな?)

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子供たちはみんな6才前後の小さい子で、冒頭から登場する焼死した男の子の幽霊も、非常に可愛らしい顔立ちの子なので全然怖くないし、全体的にちっちゃい子たちが頑張ってる感が透けて見えて、怖いっていうより微笑ましさが先に立つんですよねw

気になったところ

いや、気になるところを上げればキリがないくらい、全体的にストーリーも演出や設定も雑でブレブレなんですが、その中でも特に気になったのが、シングルファーザーのフリオがゲイだという設定。

多分、敬虔なキリスト教徒の多いフィリピンなので、フリオがシングルであることの理由づけとしてこの設定になったんだと思うんですが(カトリックは離婚が認められてないから?)、別に「奥さんとは死別した」でよくね?っていう。

ただでさえとっ散らかったストーリーなのに、この設定を足すことで余計な引っ掛かりや疑問が増えてしまうし、ある意味で彼がこの惨劇の要因の一つでもあるので、ストーリー自体はシンプルな「因果応報系ホラー」なのに、このゲイ設定に(製作者が意図してるかは別にして)変な意味や意図のようなものが付け足されてしまうというか、コッチが勝手に勘ぐってしまうというか。

それがなければ、もっと素直に楽しめたと思うんですけどねー。

まぁ、そんな感じで色々雑で安っぽいし、ぶっちゃけ全然怖くもないし、例えば三体の人形がノリノリでフェイスの旦那を車で何度も轢くシーンなんかは思わず笑っちゃうんですが、ストーリーや設定には「ひと捻りいれてやろう」という意気込みも見えて、個人的には結構楽しく観ることができましたよ。

ただまぁ、好みはかなり分かれると思いますけどもw

興味のある方は是非!

 

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オカルトde革命だー!「霊的ボリシェヴィキ」(2018)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、「リング」「女優霊」などの脚本家として知られるジャパニーズホラーの巨匠・高橋洋監督のホラー映画『霊的ボリシェヴィキ』ですよー!

Twitterで話題になっていてずっと気になってたんですが、先日TSUTAYAで見つけたので早速レンタルしてきましたよー!!

感想を一言で言うと、前回ご紹介した「マーダー・ミー・モンスター」に負けず劣らずのヘンテコな映画でしたよ。引きがいいのか悪いのかw

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画像出展元URL:http://eiga.com

概要

『女優霊』や『リング』シリーズ、『発狂する唇』などの脚本を手掛けてきた高橋洋がメガホンを取ったホラー。奇妙な心霊実験が恐怖の世界へと移っていくさまを描き出す。『んで、全部、海さ流した。』などの韓英恵や『NOEL ノエル』などの長宗我部陽子、ベテランの伊藤洋三郎などが出演する。(シネマトゥディより引用)

感想

霊的ボリシェヴィキ」というパワーワード

僕が本作を知ったのはTwitterでした。
本作公開時に結構な熱量で話題にしている人のツイートが結構回ってきて、「霊的ボリシェヴィキ」というタイトルのインパクトに強く惹かれたんですね。

恥ずかしながら「ボリシェヴィキ」という単語の意味は知らなかったんですが、言葉の響きからロシア語なんだろうって事だけは分かるじゃないですか。
そこに「霊的」というワードが連結されることで、強烈に興味を掻き立てられるパワーワードになってるんですよね。

この「ボリシェヴィキ」を超雑に説明すると、ロシアの革命家レーニン率いる左派の一派で、旧ロシアで革命を起こしてソビエト連邦を作ったわけです。
そしてレーニンの死後、スターリンが跡目を継ぐ形になるんですね。

で、本作のタイトルでもある「霊的ボリシェヴィキ」というパワーワードの生みだしたのが月刊『ムー』創刊顧問・武田崇元氏で、こちらも超雑に説明すると、1968に起こった世界的な革命運動とアングラ演劇やヒッピームーブメントなどの左翼的文化にオカルトをくっつけて作った造語で、「オカルト“で”革命を起こす」的な事らしい。
「オカルト”に“」ではなく「オカルト“で”世界を変える」ってことらしい?ですよ。

そんな武田氏との対談を通して「霊的ボリシェヴィキ」という言葉を甚く気に入った高橋監督が、紆余曲折の末に制作・公開したのが本作なんですね。

ざっくりストーリー紹介

舞台は集音マイクがアチコチに仕掛けられ、壁にレーニンスターリン肖像画が飾られた奇妙な施設。
そこに、”実験“の主催者である教授の浅野(高木公佑 )と助手の片岡(近藤笑菜)、霊能者の宮路澄江長宗我部陽子)、元刑務官の三田(伊藤洋三郎 )、昔は霊感が強かったらしいおばさんの長尾(南谷朝子)、幼い頃神隠しに遭った橘由紀子韓英恵)とその婚約者・安藤(巴山祐樹)という、人の死の瞬間に触れた経験を持つ7人が集められます。

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画像出展元URL:http://eiga.com / 謎の私設に集められた7人。ちなみにここは給食センターなのだとか。

ここで行われる実験の目的は、そんな彼らが体験談を語る事で場の霊力を高めて「あの世」を呼び出すこと。

霊障でデジタル機器が使えなくなるためアナログテープを回し実験が開始され、彼ら・彼女らが次々に体験を披露するにつれ、施設には不可思議な現象が起こり始め――というストーリー。

一応舞台は現代の日本で、やってることは要するに「百物語」なわけですが、壁に旧ソ連指導者の肖像画が飾ってある理由は語られる事なくスルー。
で、一人目の語り部、元刑務官の三田が死刑囚の執行に立ち会う話から実験がスタートするわけですが、内容は執行の日、死刑囚を迎えに行ったら超暴れて怖かったという話で、それを聞いた安藤が「それは一番怖いのは人間って話でしょ」と食って掛かるんですね。

すると、霊能者の宮路がおもむろに安藤を杖でぶん殴り、教授は平然と「それは禁句ですよ」なんて言う。え、そうなん?

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画像出展元URL:http://eiga.com / 「それは禁句ですよ」

そして、(安藤のツッコミのせいで)折角集まった霊気が散ってしまったのでみんなで歌いましょうと教授が提案し、何故かボリシェヴィキ党歌(後の旧ソ連・現ロシア国歌)を全員で合唱すんですよ…………って、

 

なんでやーーーっ!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ

 

全員、現代の、日本人、なのに、な・ん・で、ロシア国歌をソラで歌えるの!?

っていうか、なぜツッコまない安藤!!

なんだ、ババァに殴られてビビってんのか?
っていうか、お前も歌うんかーい!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ

 

多分、このシーンをスルー出来るかどうかが、この作品に乗れるか乗れないかの分水嶺になると思いますw

僕はここで振り落とされてしまったというか、頭の中が「?」で埋まってしまって、その後の怖い話や怪奇現象が全然頭に入ってこなかったですよw

その後、参加者の怖い話が進むごとに徐々に施設に不穏な空気や怪奇現象が起こり始め、やがて物語は衝撃のクライマックスへと発展していくんですねー。

狙いなのか低予算ゆえなのか

前述したように設定面でも色々気になるところが多い本作ですが、演出の方も不思議というか。

まぁ劇中語られる体験談自体は、(役者さんの演技力もあって)怖いんですが、普通は映画なんだから役者さんが語り始める→回想シーンへ移行していくじゃないですか。

ところが本作にはそれがなくて、役者さんが話してる姿&その場のメンバーのリアクションを延々写してるだけなんですよね。

本作は映画美学校のカリキュラムの一環として、わずか6日間で作られた超低予算映画らしくて、なので回想シーンを入れない演出が「低予算だからやりたくても出来ない」のか、「最初から狙ってそうしているか」が分からないんですね。

個人的な印象としては後者な気がするんですが、このワンシチュエーションの演出で「映画」というより「アングラ演劇」の舞台を観ているような感覚でした。

リアクションや芝居が、やや大げさで唐突だからってのもありますが。

それもこれも少ない予算、72分という短い尺のなかに物語を収めるため仕方なくだったのかもですが、個人的に設定は面白かったし。劇中語られる”怪談“も怖かったので、それなりの予算をかけてがっつり映画的な演出だったらもっと怖かったんじゃないかな?って思いましたねー。

 面白いかと聞かれれば(´ε`;)ウーン…だけど

そんな感じで「結局、面白かったの?」と聞かれれば正直「ウ、(´ε`;)ウーン…」って感じですが、超のつく低予算で映像的にも正直かなり安っぽいにも関わらず、それでも最後までそれなりに楽しめたのは、脚本も担当した高橋洋監督の構成力が高さと、ホラー映画のルールがしっかり守られているからなんですよね。

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画像出展元URL:http://eiga.com / 壁に貼られたレーニンスターリン肖像画

いや、肖像画やロシア国家合唱の件はビタイチ意味が分かりませんでしたが

でも、そこを除けば面白かったし、実験の真の狙いなんかは「なるほど、そういう事だったのか」と納得したし、クライマックスからの超展開のあと、突然「終」の文字で(EDロールもなく)ぶつ切りに終わるラストの潔さも、逆に不穏な余韻を残してましたしね。

72分という時間も気軽に観られる丁度いい長さだったと思います。

正直、好き嫌いはハッキリと分かれそうな作品ですが、好きな人はハマる作品なんじゃないでしょうか。

興味のある方は是非!!

 

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ホラー版おっさんずラブ!?「マーダー・ミー・モンスター」(2019)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、アルゼンチン発のホラー映画『マーダー・ミー・モンスター』ですよー!

この作品、映画監督・脚本家でありスプリクト・ドクターでもある三宅隆太氏が選ぶ2019年公開映画の1位だったので前々から気になっていて、今回やっとレンタルしてきましたよー!

というわけで、今回はネタバレありで考察もしたいと思いますので、これから本作を観る予定の人や、ネタバレは絶対に嫌!という人は作品を観てからこの感想を読んでくださいね。

いいですね?注意しましたよ?

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画像出展元URL:http://eiga.com

概要

シッチェス・カタロニア国際映画祭をはじめジャンル映画の祭典で話題を集めた一方、2018年・第71回カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門にも出品されたホラーミステリー。平穏で静かな村である日、首無し死体が発見され、捜査を担当する地元警察のクルスは不可解な事件に頭を抱える。すると今度は、クルスの不倫相手であるフランシスカが首無し死体となって発見され、彼女の夫ダビドが容疑者として逮捕される。しかし、死体の頭部には人間の仕業とは思えない、食いちぎられたような跡があり、クルスは人知を超えた怪物によるものとの仮説を立てる。一方、錯乱状態になっていたダビドは、頭の中で繰り返し声がすると訴え……。ヒューマントラストシネマ渋谷の特集「WCC ワンダーナイト・シネマカーニバル2019」内の「WEC ワールド・エクストリーム・シネマ2019」(10月25日~)上映作品。(映画.comより引用)

感想

謎が謎を呼び、謎だけが増えていく不思議ホラー

まず、この作品の凄いところを一言で言うなら、「内容がビタイチ分からない」ってとこだと思いますw

物語的には、のどかな田舎町で起こった連続首なし殺人事件。
すぐに容疑者が逮捕され事件は解決したかに見えたが、違和感を感じた主人公の刑事は独自に調査を続けるうち、やがて精神がおかしくなって虚実が曖昧に。という、まぁ、よくあるストーリーなんです。が、途中、あまりにも気になる事が多すぎてストーリーがまったく頭に入ってこない……というか、ストーリー自体を見失ってしまうというか。

まず、会話のセリフが観念的な上、ちゃんとかみ合っていなかったり、キャラのテンションやリアクションがおかしかったり。
場面が脈絡なく飛んだかと思えば、意図が全く分からない謎シーンが挿入されたりと、謎がまったく解明されないどころか、ストーリーが進むごとに雪だるま式に増えていくという物語というより夢(悪夢)でも観ているような、不思議過ぎて不安な気持ちになる映画なんですねー。

ざっくりストーリー紹介

冒頭、アンデス山脈で羊飼いの女が死ぬシーンから物語はスタート。
彼女は首から大量の血を流しながら絶命するんですね。

事件を調査にやってきた地元警察の刑事クルス(ビクトル・ロペス)らが、容疑者として捕らえた女の亭主である老人の取り調べで、老人は近くの山小屋で放心状態の男の姿を見たと言います。

その男とは、どうもクルスの不倫相手フランシスカ(タニア・カスチアーニ)の亭主、ダビドエステバン・ビリャルディ)。

フランシスカの頼みで山小屋に隠れていたダビドを保護し自宅に送り届けたクルスでしたが、その後、フランシスカが首なし死体で発見されたことでダビドは連続殺人犯として逮捕されてしまいます。

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しかしクルスは、両被害者の首に残る獣に食いちぎられたような傷跡や傷跡に残る牙に違和感を感じ、独自に捜査を始めるのだが――というストーリー。

つまり、本作はミステリーホラー映画なんですが、前述したように物語はどんどん観念的な方向に進み、(悪)夢と現実の境目がどんどん曖昧になって謎だけが増えていくわけです。

そんな難解すぎるストーリーゆえ、作品の評価も賛否が分かれているようです。

ヘンテコ描写やヘンテコな編集、そして……

正直、僕もまったく意味が分からなくて( ゚д゚)ポカーンだったんですが、観終わったあとネットでいくつかのレビューを読んでみたところ、様々な考察がされていました。

というわけで、ここからはそれらの考察を参考に、ネタバレありで僕なりの考察をしていこうと思いますよー!

 

この作品がなぜ分かりづらいのかと言うと、(乱暴に言えば)1・説明不足であること。2・謎の描写が多すぎる。という2点に尽きると思います。

で言うと、捜査を進めるうち段々頭がヤバくなってくるルクスは、3台のバイクに遭遇したり、事故りそうになって急停車した車をのぞき込む謎の老人の幻影?を見たりするんですが、それも一切説明がないのでルクスの妄想なのか現実なのかがまったく分からないんですね。
もちろん、そういう虚実の境目を取っ払って並列に見せていく作品は少なくないんですが、普通そういう演出だと後で「あー、あれはそういう意味か!」って分かるもんですが、本作は最後まで観てもそれが現実か虚構か分からず、モヤモヤだけが残るのです。

あと、シーンやカットが繋がってるような繋がってないような感じで、変なところでカットが切れたり、(多分)物語上飛ばしちゃいけないシーンが飛ばされてたりするんですよね。

もちろんどれも意図的な演出だと思うんですが、その意図がコッチに伝わってこないのです。

で言うと、例えばルクスとフランシスカのベッドシーン。

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二人とも年相応に緩すぎる体なので、そこからちょっとキツいんですが、フランシスカの願いに応えルクスが全裸でダンスを踊るっていうシーンがあるんですが、この踊りが何かもう……とにかく謎だしヘンテコなんですよ。
しかもルクスも楽しそうに踊ればいいのに、なんかずっと真顔なので余計にヘンテコに見えるんですよね。しかもルクスはフランシスカが殺された後も、ボーリング場の壁に向かって一人でこのヘンテコダンスを踊ったりするんですよね。
何だろう。アルゼンチンでは有名なダンスなのかしらん。

で、ルクスの不倫相手のフランシスカなんですが、演じる女優さんがいかにも南米系の顔立ちなのはいいんだけど、とにかく立派過ぎる眉毛が気になって話が頭に入ってこないw(フリーダ・カーロみたいな感じ)
それでいうと、ルクス役の人もデッサンの狂ったモーガン・フリーマンみたいな顔立ちなんですが、多分物語のテーマを踏まえ、意図的に先住民系の役者さんを配役してるのかな?

 

あと、開始1時間過ぎても、肝心のモンスターが出てこない。

あまりに出てこないので、「ははーん、この“モンスター“ってのは概念的な意味で、本当は存在しないんだな」って思ってたら、最後の最後に突然登場。しかもその姿が、尻尾は男性器、顔は女性器っていう完全18禁使用の卑猥すぎるモンスターで、観た瞬間思わず爆笑してしまいましたよw

そのモンスターの正体は警察署長だったんですが、クライマックス?でその卑猥な顔を近づけてルクスを食べようとするんですね。
それを止めようとルクスが手を出すと、手にかぶりつくんですけど、バクンっ!って食いちぎる感じじゃなくて、何て言うんでしょうね……歯のないおじいちゃんがスルメ食べる時みたいにモッチャモッチャモッチャモッチャ食べるんですよ。
さそれだけならまだしも、腕を食べながらその卑猥すぎる尻尾でルクスのオカマを掘るんですよね。オッサンxオッサンの薄い本かよ!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッっていう。

社会問題とLGBTを反映?

他のレビューでも語られてましたが、この映画はホラーという型を使って性差別を描いた作品ってことなんだと思います。

それは、女性警官も含めた被害者が強姦され殺されていること、また首を食いちぎられていること、そしてモンスターのデザインから一目瞭然で、つまり強姦殺人は閉ざされた保守的な地域で女性が性的に搾取されているという事の暗喩だろうし、首を食いちぎられ捨てられるのは女性の発言や権利が弾圧されていることの暗喩だと思われます。

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モンスターの『口』に無数の牙が生えているのは、ミソジニー的な意味もあるのかも?

また、劇中で、署長のルクスに対しての態度を観ると、彼がゲイでありルクスに好意以上の感情を持っている事と、ルクスにその素質?を見出していることが分かるので、ルクスの腕を食べながらオカマを掘る行為は、そのままSEX描写なんですよね。
だから、腕を食べられるルクスが、苦悶とも快楽ともつかない表情を浮かべていたのでしょう。

つまりですね、この映画はホラー版おっさんずラブなんですよ!ナンダッテー!

ただ、だとするとモンスターの正体が署長というのは若干違和感があります。
署長がゲイなのだとしたら、女性被害者たちの首を食いちぎるのはともかく、強姦はしないんじゃないかな?と。

だとすれば、実はモンスターの正体は本作に登場する男たち全員だったのかもしれません。

つまり、羊飼いの奥さんを殺したモンスターは老人だし、フランシスカを殺したモンスターはダビド。女性警官を殺したモンスターは同僚警官みたいな。

そして、全員が死んでただ一人生き残った?ルクスは、ラストシーンでモンスターになり誰もいないアンデスの山に向かって歩いていくっていう。

そう考えると、中々切ない物語といえるかもしれませんね。

あと、本作では「MURDER ME, MONSTER(私を殺せ怪物よ)」というタイトルの頭文字、3つのMがキーワードになっているんですが、シーンの切り替わりで差し込まれる3つの山(Mに見える)がM字開脚で寝転ぶ女性の姿に見えるのも何か物語的意味があるのかもしれないし、結局バイクや老人が何を表しているのかは分かりませんでしたが、テーマに深く関わる何かであることは間違いないんでしょう。

アルゼンチンの人なら見た瞬間ピンとくるのかな??

まぁ、正直面白いかと聞かれれば答えに悩んでしまうし、怖くはないんだけどグロ描写は生理的にキツイものがあるので、積極的におススメは出来ませんが、案外ハマる人はハマる作品かもしれません。

興味のある方は是非!!

 

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