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「007 スカイフォール」(2012) 感想

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、ダニエル・クレイヴ版007シリーズ第3弾『007 スカイフォール』ですよー!
全2作とは微妙に繋がりを持たせているものの、直接の続編ではない本作。
先に言ってしまいますが、とても面白かったです!

ちなみに、今回もネタバレありですので、これからダニエル・クレイヴ版を観る予定の方は、鑑賞後に読んでいただければと思います。
いいですね? 注意しましたよ?

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画像出典元URL:http://eiga.com/

概要

ダニエル・クレイヴ版3作目にして、シリーズ23作目。
また、『~ドクター・ノオ』から始まる『007』シリーズの50周年記念事業の一部でもある。
主演はダニエル・クレイヴ。監督はサム・メンデス

 

あらすじ

新人女性エージェントのイヴ(ナオミ・ハリス)と組んで、トルコで調査にあたっていたボンド。
その最中、Mi6の工作員を殺し各国のテロ組織に潜入している全てのNATO工作員の情報が収められたハードディスクを奪った犯人を追跡中、上司であるM(ジュディ・デンチ)の命令で犯人を狙ったイヴの弾丸がボンドに命中。

ボンドは深い谷底に流れる川に落下し、そのまま行方不明になってしまう。

数カ月後。ボンドは公式に死亡が認定され、Mは情報漏洩の責任を問われ情報国防委員会の新委員長であるギャレス・マロリー(レイフ・ファインズ)から引退を勧められる。

マロリーの『提案』を突っぱねるMだったが、その直後にMのコンピュータが何者かによってハックされる。さらにMI6本部が爆破され、多くの職員が犠牲となった。

そのニュースは、遠い僻地で密かに生きていたボンドの目にとまり、彼は再びロンドンに戻り『00』要員への復帰テストに臨む。

 

感想

本作は『~カジノ・ロワイヤル』からスタートした007リブート版の第3作ですが、前2作とは直接物語上の関係はありません。

しかし、前2作と同一線上の時間軸にある物語なので、内容的には『~カジノ・ロワイヤル』『~慰めの報酬』の続編にあたります。

映画冒頭(アバン)で同僚のイヴと調査にあたるボンドは、まだ現役バリバリのスパイですが、Mの命令で撃ったイブの弾丸に当たり、行方不明になって数ヶ月。

利き腕に後遺症が残ってしまい、さらに自堕落な生活ですっかりスパイとしての感が鈍ってしまった彼は、ロンドンでの事件を知り復帰テストに望むものの結果は不合格。

しかし、Mの独断で再び『00』の称号を持つスパイとして復帰します。

二人のボンド

前作『~慰めの報酬』はボンドの復讐譚でしたが、本作はボンドの上司Mの復讐譚です。しかもMは復讐゛される゛方。

今回の悪役は、ラウル・シルヴァという元Mi6の諜報員で、Mの部下だった男。
演じるのは、コーエン兄弟の『ノーカントリー』を始め、多くの映画で独特の存在感を見せる俳優、ハビエル・バルデム

シルヴァは、優秀な諜報員でしたが、香港支局勤務中に暴走。
中国当局に捉えられて長いあいだ拷問を受けます。が、そこでMに見捨てられた事を知り、自殺を図るも死にきれず、ゆがんだ愛像の果てにMに復讐を誓うのです。

一方のボンドもまた、独断で暴走しがちという点では、二人はよく似た合わせ鏡のような存在であり、もう一人のボンドとも言えるキャラクターです。

二人がMを母のように慕っているという点も非常に似通っていて、いわば本作は、壮大な親子ゲンカであり兄弟ゲンカの物語とも言えるかもしれません。

明かされるボンドの過去

そんな本作は、ボンドの知られざる過去を巡る物語でもあります。
本作のタイトルでもあり『00』要員復帰の心理テストで、他の言葉に混じって意味深に登場する『スカイフォール』という言葉。

『~カジノ・ロワイヤル』で、恋人のヴィスパーとの出会いのシーン。
お互いの態度から素性を探り合うシーンでさらっと触れていた『ボンドが孤児』という話。その時はハッキリと言及されませんでしたが、本作ではボンドが両親を亡くしていることが後半明らかになります。
そんなボンドの生家の名前が『スカイフォール』なんですね。

MI6を知り尽くし、ハッキングの天才でもあるシルヴァに追い詰められるMとボンドは、ロンドン市民や仲間を守るため、人里離れた郊外にあり、ボンドの隠れ家でもある『スカイフォール』にシルヴァを誘い込んで、最終決戦を挑みます。

母親との別れ

シルヴァを始めとした精鋭部隊に対し、ボンド側は、Mとボンド、それに『スカイフォール』を管理していた昔馴染みの老人キンケイド(アルバート・フィニー)の3人。

窮地に陥りながらも辛うじてシルヴァを打ち破るボンドとMでしたが、この戦いで深手を負った彼女は、ボンドの腕の中で「私は1つだけ正しかった」と呟き、静かに息を引き取ります。

長きに渡り、影から英国を守るために政府や同僚、部下に対しても決して本音や弱みを見せられなかった彼女が、最後に愛する『息子』の腕の中で本心を呟くわけです。

そして物語は新章へ

場面は変わり再建されたMI6本部。亡くなったMの後任としてギャレス・マロリーが新たなMとなり、新体制で次回作『スペクター』へと物語は続いていくわけですね。

つまり本作はボンドが親離れをして独り立ちする物語でもあり、エピソードゼロ最終章的な作品でもあります。
そういう視点で007シリーズをざっくり時系列的で並べてみると、

カジノ・ロワイヤル』→『慰めの報酬』→ピアース・ブレンダン・ブロスナンがボンドを務めた(ジュディ・デンチがMを演じていた)『ゴールデンアイ』から続くシリーズを挟んで→『スカイフォール』となり、『スペクター』では原点回帰するという監督の宣言通り、ショーン・コネリー版ボンドの路線に続くのかなーなんて思います。

……あれ? ロジャー・ムーア版は無かったことにされる?ww

 

これから007を観るのに、どこから観ればいいのか分からない人は、多分、『~スペクター』からスタートしても全然楽しめると思うし、余裕があれば『カジノ・ロワイヤル』から本作までの3本を観ておくと、より楽しめるんじゃないかなーと思いますよー。

興味のある方は是非!!!