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松岡茉優の“実在感”に脱帽「勝手にふるえてろ」(2017)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、綿矢りさの同名小説を若手人気女優の松岡茉優主演で映画化した『勝手にふるえてろ』ですよー!

観ながらずっと、松岡茉優の演技力と実在感にふるえてしまいましたねー!

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概要

19歳で芥川賞作家となった綿矢りさの恋愛小説を実写映画化。突然告白してきた職場の同期と、中学時代から片思いしていた同級生との間で揺れ動く女性の暴走する恋の行く末を描く。初恋相手を思い出しては胸をときめかせ、毒のある本音を吐き出す不器用なヒロインを、『ちはやふる』シリーズなどの松岡茉優が好演。松岡とは『放課後ロスト』でも組んだ大九明子がメガホンを取る。(シネマトゥディより引用)

感想

女子の女子による女子のための映画

本作の主人公ヨシカは、絶滅した生物が好きすぎて徹夜でウィキペディアを見ていたり、アンモナイトの化石を買ったり、学生時代の初恋の相手イチ(北村匠海)相手に10年も脳内恋愛を繰り返していたり、人の名前を覚えずに変なあだ名をつけている、自意識過剰なクセに自己肯定が出来ない、面倒くさいけどごく普通の「こじらせ系女子」です。

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綿矢りさの原作では、そんな彼女の独白形式(一人称)で物語が進んでいくらしいんですが、映画ではヨシカと他のキャラの会話や妄想と現実を織り交ぜた映像でポップに描いているんですね。

そんな主人公ヨシカを演じるのは、映画好きや評論家筋から絶大な人気と評価を得ている松岡茉優

僕は彼女の芝居は「霧島部活辞めるってよ」「ちはやふる(下の句)」くらいしか観たことがないんですが、脇役ながら主役を食ってしまうくらいの実在感を出せる実力派女優という印象でした。
そんな彼女が主演ということで結構期待値を上げた状態で観たんですが、こっちが(勝手に)上げたハードルを軽々と超えていく演技に「やっぱこの人上手いなー!」って思いました。

正直、もしも他の女優さんが演じていたら、ここまで“普通の女の子”にはならなくて、もっとあざとくてエキセントリックなキャラクターになっていたか、もしくは嫌な女感が前面に出ていたのではないかと。

しかし本作のヨシカは、ずれてる部分と常識的な部分、可愛らしさと女性持つ嫌な感じの配分が絶妙で、「あー、こういう子いるいるー!」って思わせる圧倒的実在感があるのです。

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画像出典元URL:http://eiga.com / ヨシカの初恋の人イチ(北村匠海

もちろんそこは、綿矢りさの原作や、監督・脚本の 大九明子のディテールにこだわった演出があればこそなんでしょうけど、基本的に「主人公がこじらせている」という設定を除けば、結構王道のラブストーリーで、そんな本作をここまで引き上げたのは松岡茉優の演技と独特な存在感が大きいんじゃないかと思うし、ヨシカというキャラクターには、(多分)男性監督では出せない女性だからこそのリアリティーがあって、まさに「女子の女子による女子のための映画」という感じ。
だからこそヨシカに共感する女性も多いんじゃないかと思いました。

ブーメラン映画

前半部分でヨシカは、昼夜問わず釣りをしてるおじさんや、駅員、バスで隣りに座るおばさん、コンビニの店員、カフェのウェイトレスを相手に、自分の初恋の相手イチとの脳内恋愛や超うざいと軽蔑し見下してていた 二(渡辺大知)に告白された話を嬉しそうに語ります。

中盤の“ある出来事”をキッカケに、そんな彼女の真実が明かされるわけですが、勘のいい人なら前半部分ですぐ「あ、そういうことね」って分かると思うんですよ。

なので、(ネタバレでもないと思うので)サクッと書いてしまいますが、彼女が楽しそうにお喋りしているのは全て「脳内会話」で、実際には釣りおじさんも、駅員もおばさんもコンビニ店員もウエイトレスも、ヨシカはただ見ているだけで話しかけたりはしていないんですね。

彼女が話せる友達は同僚の来留美石橋杏奈)だけで、二人はとても仲のいい親友に見えるけど、そんな来留美や自分に告白してきた二の事もヨシカはどこかで見下しています。

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画像出典元URL:http://eiga.com / ヨシカに思いを寄せる二を演じるのは「黒猫チェルシー」のボーカル渡辺大

まぁ、確かに中盤までの二は男の僕から見ても超ウザいんですけどねw

しかし、中盤での出来事をキッカケに会社で盛大にやらかしてしまった彼女は、そんな自分の投げたブーメランの数々が全部自分に突き刺さってしまうんですねー。

客観的に観れば完全にヨシカの自業自得なんですが、そこまで彼女の一人称視点で語られていて感情移入しているだけに、観ているこっちも「痛ぁぁぁい!!」となってしまうのです。

こじらせ女子だけど…

そんな感じで本作はヨシカのこじらせっぷりが痛々しい恋愛青春映画ではあるんですが、そうはいっても(男女問わず)彼女程度のこじらせは誰だって心当たりがあるハズで、だから余計にヨシカが憎めないというか、「分かる、分かるぞヨシカ!」と感情移入してしまうんじゃないかと。

そりゃ僕だって(人に聞こえないように)「〇ァック!ファーッ〇!!」って毒づいたことだって何度もあるしねw

なので、一見エキセントリックに見えるヨシカは実はどこにでもいる(ちょっぴりウザい)普通の女の子を松岡茉優はリアルだけど魅力たっぷりに演じているんですよね。

そんな松岡茉優の魅力が詰まった本作は、歴史に残る大傑作とまでは言わないけど、たまに観返したい愛おしい映画なのではないかと思いましたねー。

興味のある方は是非!!

 

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