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謎すぎる男が伝説のクソ映画を作り上げるまで「ディザスター・アーティスト」(2017/日本は劇場未公開)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、“史上最低の駄作”としてカルト的人気を集めた2003年の映画「ザ・ルーム」(日本未公開)の製作過程を、ジェームズ・フランコの監督・主演で映画化した『ディザスター・アーティスト』ですよー!

謎すぎる男トミー・ウィソーが、600万ドルの制作費を“自腹”で支払って映画を完成させるまでを描いた「映画を作る映画」です。

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概要

“史上最大の駄作”としてカルト的人気を集めた2003年製作の映画「ザ・ルーム」(日本未公開)の製作過程を、「127時間」などの俳優ジェームズ・フランコの監督・主演で映画化。1998年、サンフランシスコ。俳優を目指す19歳のグレッグ・セステロは、演劇クラスでトミー・ウィソーという風変わりな男と出会い、その型破りな言動に興味を抱く。同じ夢を目指す仲間として意気投合した2人は、俳優としての道を切り開くべく一緒にロサンゼルスへ引っ越すことに。しかし現実は厳しく、2人とも成功とは程遠いまま月日だけが過ぎていく。しびれを切らした2人は、自分たちで映画を制作することを思いつき、実行に移すが……。トミーとグレッグをジェームズ・フランコ実弟デイブ・フランコが演じるほか、セス・ローゲンザック・エフロンシャロン・ストーンらが共演。(映画.comより引用)

感想

あまりにも謎すぎる男トミー・ウィソー

この映画はいわゆる実話ベースの作品で、史上最低の駄作と言われている「ザ・ルーム」という映画で脚本・監督・製作・製作総指揮・主演を務めたトミー・ウィソーを、彼の“親友”グレッグ・セステロの視点で描いている伝記映画?です。

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「史上最低の映画監督」を描いた伝記映画といえば、ティム・バートン監督、ジョニー・デップ主演で製作したエド・ウッド(95)が有名。

本作もその系譜の作品ではあるんですが、トミー・ウィソーのあまりにも強烈なキャラと謎過ぎる出自が気になって、物語に集中出来ないんですよねーw

このトミー・ウィソー(ワイゾー?)、劇中では黒髪の長髪で陰気。ちょっと吸血鬼っぽいんですね。

東欧なまりの英語を話し恐らくはヨーロッパ出身なのに、ルイジアナ州ニューオーリンズ出身のアメリカ人だと言い張り、サンフランシスコやLAのダウンタウンに部屋を持っている大金持ちで、グレッグ・セステロに年齢を聞かれると「君と同じ(19歳)」と答えるけど、どう見ても30代。

本作は、そんな謎だらけのトミー・ウィソーが、役者として認められたいとグレッグと共にハリウッドに進出するもオーディションに落ちまくり、グレッグの「自分で映画を作れれば……」というつぶやきに、「それや!」と自ら脚本を書きあげ、スタッフ・キャストを集め、600万ドル(約6億円)もの資金を全額自腹で出して本当に映画を作っちゃうっていう映画なのです。

とはいえ、無名の新人監督が無名のキャストで作る恋愛映画なのだから、普通に考えたらそんなに予算が掛かるわけがないんですが、そこがウィソーの凄いところ。

普通ならレンタルする撮影機材一式をキャッシュで購入し、ロケで撮ればいいような背景も全部セットで作り、 400人以上をスタッフとして雇用、4回もスタッフ総入れ替えしたんだとか。

そりゃぁ、無駄に予算が膨れ上がるわけです。

なぜそんな無駄な予算を掛けたのかというと、ウィソー自身にまったく映画製作の知識なくて、無駄にセットを作ることや機材を自前で揃えるのが「ハリウッド流」だという妙な思い込みを頑なに信じて、人の意見を一切聞かなかったからなんですね。

その様子は劇中でも描かれていて、ベットシーンでは「尻を見せないと客が喜ばない」と言って無駄に全裸になり、スタッフ全員が「お前の尻なんか見たくないわい!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ」と、心の中でツッコミを入れたりします。

しかもこのウィソー、役者としては超大根で、(自分の脚本なのに)セリフは覚えない、超棒読み、シリアスなシーンを笑いながら演じるなど、とにかくしっちゃかめっちゃか。

しかし、監督兼スポンサーでもあるウィソーには誰も強く意見出来ず、意見すればクビになるという状況でスタッフキャストはみんな辟易していきます。

そして最初は必死にウィソーをフォローしていたグレッグも、折角のドラマ出演のチャンスをウィソーに潰されたことで、ついに決別し……。という物語。

エド・ウッド」との違い

そんなわけで、この映画は前述した「エド・ウッド」にかなり近いテイストの作品だし「映画作りの才能がない」という一点は同じなんですが、大きな違いはエド・ウッドは映画を愛していたのに対し、(少なくとも劇中の)トミー・ウィソーは、別に映画を愛しているようには見えないんですよね。

彼は最初は役者を目指しているけれど演技や映画が好きという風でもなく「何者かになりたい、誰かに認められたい」男として描かれているのです。

なので、役者や映画はあくまでその為の手段でしかないっていう感じに見えちゃうんですよね。

お金は持ってるし無駄に行動力はあるので、映画は作れるけどその為の知識は全くないし勉強もしないので、やることなすことムチャクチャで、案の定出来上がった映画は支離滅裂。大真面目に作ったハズがコメディーとして人気が出る始末。

その辺がこう……、ちょっとモヤっとしてしまいました

劇中で描かれるウィソーのサイコパスっぽい言動も含め、イマイチ彼に乗れないし、ウィソーという人をどう受け取ればいいのかが分からなかったんですよねー。

それでも、結果的にウィソーが作り上げた映画「ルーム」は、最初一館での上映から噂が噂を呼び、好事家の間でカルト的な人気を得て、最終的に収支は黒字になったということなので、きっと、人々を惹きつける「何か」はあったんでしょうね。

また、本作の公開後に「ザ・ルーム」が映画館で追加上映される現象も起きていて、確かにこの映画を観ると、本家の「ザ・ルーム」も観たくなりますw

興味のある方は是非!

 

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