今日観た映画の感想

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最後に奇跡は起こらず「ランボー・ラスト・ブラッド」(2020)

ぷらすです。

今日は、映画館でS・スタローンの人気シリーズ完結編『ランボーラスト・ブラッド』を観てきましたー!
いやーホント、

超久しぶりに映画館に行きましたけど、やっぱいいですよねー。(*´ω`*)ジーン

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画像出展元URL:http://eiga.com

概要

『ロッキー』シリーズと並ぶシルヴェスター・スタローンの代表作『ランボー』シリーズの第5弾にして完結編。ランボーが人身売買カルテルにさらわれた友人の孫娘を救い出そうとする。メガホンを取るのは『キック・オーバー』などのエイドリアン・グランバーグ。『レッド・バレッツ』などのパス・ベガ、『朝食、昼食、そして夕食』などのセルヒオ・ペリス=メンチェータのほか、アドリアナ・バラーサ、イヴェット・モンレアル、オスカル・ハエナダらが出演する。(シネマトゥデイより引用)

 

感想

スタローンとアメリカン・ニューシネマ

以前も書いたかもしれませんが、S・スタローンは「アメリカン・ニューシネマ」の作家です。
アメリカン・ニューシネマについては過去に何度か説明を書いてるので割愛しますが、無名の貧乏俳優だったスタローンを一躍スターに押し上げた名作「ロッキー」は、「モハメド・アリ対チャック・ウェプナー」戦をテレビで観て感動したスタローンが、たった3日で書き上げた脚本を映画会社に売り込んだのが始まりですが、その脚本のラストシーンは完全にアメリカン・ニューシネマの流れを汲むものでした。

しかし一度は撮影されたそのラストシーンが後に変更され、1976年の公開版では誰もが知るあの「ロッキー」のラストシーンへと差し替えられたことで大ヒット。
アカデミー作品賞&監督賞を受賞し、スタローン自身もアメリカンドリームを掴みますが、皮肉にもこの「ロッキー」と「スター・ウォーズ」の登場で、アメリカン・ニューシネマの時代は完全に幕を閉じます

それから7年後の1982年。

「ロッキー」シリーズと共にスタローンの代表作となる「ランボー」シリーズ第1作が公開されます。

ディヴィッド・マレルの処女出版小説「一人だけの軍隊」の映画化作品である本作は、ベトナム帰還兵のジョン・ランボーと流れ者のランボーを町から排除しようとする保安官の戦いを通して「ベトナム戦争で負ったアメリカの傷」を描いた作品で、その構成はまさにニューシネマそのもの。

映画化権を獲得したワーナーは、名だたる名優たちにオファーを出すも次々に断られ、カロルコ・ピクチャーズに映画化権を売却します。

そんな時、本作の話を聞いたスタローンはギャラを下げてまでも出演を熱望。
ご存じの通り「ランボー」はロッキーと並んで彼の代名詞となるキャラクターになったわけです。

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その後、「ランボー」はシリーズ化しますが、2作目「ランボー/怒りの脱出」3作目「ランボー3/怒りのアフガン」と作品を重ねるごとにプロパガンダ的米国ヒーロー像や荒唐無稽な内容が酷評されるようになりシリーズは一旦終了。
スタローン自身のキャリアも低迷します。

しかし、スタローン自ら監督しロッキーの人生を総括した「ロッキー・ザ・ファイナル」は制作時こそ周囲やファンから冷笑されたものの、2006年に公開されるや評論家やファンから高い評価を得て大ヒット。スタローン復活を世間に印象付けます。

その2年後の2008年、スタローンは「~怒りのアフガン」から20年ぶりとなる「ランボー」シリーズ最新作「ランボー/最後の戦場」を公開。

シリーズを重ねるうちにただの戦争アクションになったシリーズに、これまでにない残酷描写を加えることでランボーのヒーロー性を排除し、戦争の(悲惨な)現実を描くことで、これまでのシリーズの総括、再構築をしてみせたのです。

つまり、老年に差し掛かったスタローンは、自分の分身である2人のキャラクターの人生に決着をつけて見せたわけですね。

少なくとも、この時の僕はそう思っていました。

まさかの続編公開も奇跡は起こらず

それから12年経った今年。

まさかの「ランボー」シリーズ完結編と銘打たれた本作が公開されました。

正直「うそーん(*´Д`)」ですよ。

だって前作で綺麗に終わってたじゃんと。

とはいえ「ロッキー・ザ・ファイナル」の時も「ランボー/最後の聖戦」の時も、ついでに言えばロッキーの親友アポロの息子が主役の「クリード」シリーズ2作でも、まったく同じことを思ったけど、実際観たらどれも大傑作だったわけで。

まぁ、例えそうでなくても、ロッキー・ランボーの名前を冠する作品が公開されたら劇場に足を運ぶのはファンの義務ですからね。

そんな感じで劇場に足を運んだわけですが、結論から言うと、最後のランボーに奇跡は起こりませんでしたよ

前作ラストで、我が家に戻ったランボー
本作はその続きで、多分、実際の時間と同じく12年の月日が流れているのでしょう。

ランボーと一緒に住んでいるのは、旧友でメキシコ人の女性マリア(アドリアナ・バラッザ)とその孫娘ガブリエラ(イヴェット・モンリール)で、ランボーは彼女たちを本当の家族のように大切にしている。

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なるほど、ランボーにもやっと平穏な日々が訪れたんだなーなんて思って観てると、彼は、所有する農場の地下に長いトンネルを掘り、そこで精神安定剤を服用しながら寝泊まりしているという異常行動の描写が。
これはもちろん、ベトコンのアジトを模しているわけで、ランボーベトナムで負った心の傷は全く癒えてない事が分かるわけです。

で、高校を卒業し大学生になるガブリエラは、幼い頃に自分を捨てた父親に会いにメキシコに行きたいと言い始める。

彼女の父親は、母親にDVをした末に家族を捨て家を出ていったクズ野郎で、それを知っているマリアとランボーはガブリエルを止めるけど、「人は変わる」と思っている彼女は以前ランボー農場で働いていたらしい旧友のジゼル(フェネッサ・ピネダ)の伝手で父親の居場所を突き止め、2人に黙ってメキシコに行っちゃうわけですよ。

しかし、メキシコで会った父親はやっぱりクズで、傷ついたガブリエラはジゼルに誘われるままクラブに飲みに行き、そこで人身売買の組織に誘拐されてしまうんですね。

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それを知ったランボーはガブリエラを救うため、単身メキシコに乗り込むのだが――というストーリー。

まぁね、「ランボー」シリーズは、その時々で国際問題となっている国や組織と戦うわけですが、今回は多分メキシコの麻薬カルテル問題を題材にしてるんでしょう。

最近では、麻薬で儲けるより人身売買をメインにしてるという話ですしね。

なので、本作で描かれているような事件も実際に起こっているんだろうとは思うんだけど、それにしても、悪役が恐ろしく薄っぺらいというか、2019年(米国公開)の映画として、このメキシコやメキシコ人の描写はさすがに無神経に感じてしまうという。

いや、言いたい事もやりたい事も分かるけど、さすがに(´ε`;)ウーン……っていう描写が多いんですよね。

あと、恐らく女性差別問題や性被害的な事を描きたいんだろうというのも分かるけど、だとしたらガブリエラの扱いも流石にどうかなーって思うし、物語の方もガブリエラ救出のためにメキシコに乗り込むランボーの行動や、その後の展開があまりにもで飲み込みずらいですしね。

そして、色々あってランボー農場でのクライマックスでは、前作以上に残酷な人体破壊描写のオンパレード。
あまりにやり過ぎてて、もう怖い」を通り越して笑けてくるっていう。

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ラスト・ブラッド」というタイトルが第1作(原題:ファースト・ブラッド)と対になっていて、絵的にも過去作品の韻を踏んでいるのも分かるし、ところどころ「おっ!」って思うシーンもあるから全部がダメではないけど、時代とのズレも含めて擁護しきれないかなーと。

ランボーというキャラクター

ロッキーとランボーは、S・スタローンの分身とも言うべき2大キャラクターですが、ロッキーを光とするならランボーは影。

ロッキーは次世代に自分の生き様や心意気みたいなものを受け継いでいくけど、ランボーは永遠に一人ぼっちで闘い続けてひっそり終わるしかないっていう、ある意味で不幸なキャラクターなんですよね。

それはランボーアメリカン・ニューシネマの流れを背負ったキャラクターだからで、そういう意味で本作のラストには色んな解釈があると思うけど、個人的にはランボーに相応しいラストだったのではないかとは思いました。

90分弱という上映時間も、イマドキの映画にしては短く感じるけど、この尺の短さもある意味「ランボー」シリーズの特徴と言えますしね。

かなり好き嫌いは分かれると思うし、あまり人におススメ出来る作品ではないですが、ロッキーとランボーで育ってきた人は観ておくべき作品だと思いますよ。

興味のある方は是非!!

 

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