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スタローンベストに入る傑作「コップランド」(1998)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、アクション映画の帝王シルヴェスター・スタローンの1997年の主演映画『コップランド』ですよー!

「ロッキー」「ランボー」シリーズを始め、代表的な作品は大体チェックしてるつもりだったんですが、恥ずかしながら本作はまったくノーチェック。
で、つい最近最近ラジオで知って観てみることにしたんですが……

結論から言うと、ベスト・スタローン作品(僕調べ)に入る傑作でしたよー!

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あらすじと概要

シルベスター・スタローンロバート・デ・ニーロハーヴェイ・カイテル共演のサスペンス。NY警察で起こったある事件を通し、警察内部の闇にスポットを当ててゆく。さまざまな警察関係者に扮した、名優・才優たちの競演が見もの。他の共演にレイ・リオッタ、アナベラ・シオラ。NY市警の警官が多く暮らす街、ニュージャージー州“ギャリソン”。ベテラン警官・レイを頂点とするコップランドの鉄の結束のもと、保安官のフレディは無力ながら平穏無事な日々を送っていた。だがある日、管内で起こった警官の誤射事件から事態は急転する。(allcinema ONLINE より引用)

 

感想

シルヴェスター・スタローンという男

シルヴェスター・スタローンといえば、自身のキャリアを投影した傑作「ロッキー」シリーズや、ベトナム帰りの帰還兵が主役の「ランボー」シリーズ。低迷が続く時期もありましたが近年では「ロッキー・ザ・ファイナル」でスクリーンに返り咲き、80~90年代アクションスターを集結した「エクスペンタプルズ」シリーズで完全復活。
さらに「 クリード チャンプを継ぐ男」では、宿敵で親友アポロの息子クリードのトレーナーを務める老いたロッキー役で第88回アカデミー助演男優賞にノミネートされるなど、70歳を超えた今もハリウッドの第一線を走り続ける男です。

しかしながら、世間的には筋肉バカとして半笑いで語られがちな俳優でもあるんですよね。
そして、そういう人に限って「ロッキー」も「ランボー」も観てなかったりす・る・ん・で・す・よ! (怒

もうね、「ロッキー」「ランボー」直撃世代の僕からすれば「黙れ小僧!」もののけ姫の美輪さん張りに怒鳴りつけてやりたくなるってもんです。

スタローンくらい映画を知り尽くし、映画に対して誠実な俳優はハリウッドでも数えるくらいしかいないし、脚本家、監督、プロデューサーとしても超一流。

ただちょっとサービス精神が溢れすぎてて、観客の希望に応えすぎちゃうので、結果的に失敗作も多いというだけでw

本作は、そんなスタローンが、多分アクションスターのイメージ脱却を図った意欲作。
チャンピオンと世界戦を闘ったり、数百人を相手に戦ったりなんてしない地味な作品で、気弱なボンクラ保安官を演じているんですねー。

周囲に流され続けたボンクラ中年男の悲哀

本作でスタローンが演じたのは、ニューヨーク市警察(NYPD)の警官が数多く住んでいるニュージャージー州ギャリソン郡。川を挟んでマンハッタンを臨む静かで(表向き)平和な町です。

町のまとめ役は、家族を犯罪者から守るため多くの刑事たちをこの町に移住させたNYPD警部補のレイ(ハーヴェイ・カイテル)。
そして町で保安官を務めるのが、この役のために体重を増やして望んだシルヴェスター・スタローン演じるフレディです。

若き日に、川に落ちた車の中から女性を助けたのが原因で片耳の聴力を失った彼は、NYPDに憧れて試験を受け続けているものの落ち続け、レイの紹介で保安官になったことから恩義を感じ、彼らの法律違反も見逃してしまうような気弱で無気力な男なんですね。

仕事以外の時はビーサンを履いて近所のバーでピンボールをしたり、自宅でクラシックのレコードを聞くのが趣味という、ポッコリお腹のダメ中年です。

そんなある日、マンハッタンにあるバーでNYPDの警官によるパーティーが行われ、参加したレイの甥で「スーパーボーイ」と呼ばれるNYPDのヒーロー警官マレーは、ギャリソンの自宅へ戻るために自家用車で橋を渡っている途中に当て逃げにあい、追跡中に逃走車の相手が銃を発射したと勘違い。持っていた拳銃で逃走車を撃って死亡させてしまいます。

現場に駆けつけたレイは事件をもみ消そうと、仲間たちとともに隠蔽工作をしたりマレーの自殺をでっち上げるものの、長きにわたって少しづつ歪んできた「コップランド」の土台はこの事件を境についに決壊し、事勿れ主義のフレディにも決断の時が迫るという物語。

さらに本作では、マフィアとつるんで行ってきたレイの不正の数々に目をつけていたNYPD内務調査班のティルディンを、盟友ロバート・デ・ニーロが演じているんですね。

これまでのヒーローイメージとは真逆のダメ中年の悲哀を演じ、ハーヴェイ・カイテル、デ・ニーロという名優を相手に渡り合うスタローンの演技は、個人的にはスタローンのキャリアの中でも、ベストアクトと言える名演だったと思います。

もう一人の「ロッキー」

スタローンの代表作「ロッキー」のロッキー・バルボアは、うだつの上がらない若者が「やる事を選択し」自身の勝利を掴む物語ですが、本作の主人公フレディは「選択しないまま」中年になってしまった男です。
目の前で起こる(レイたちの起こした)事件や不正を華麗にスルーし、惚れた女をNYPDの警官に取られ、挙句に部下にも見捨てられるような絵に書いたようなダメ保安官。

しかし、不正に溺れて麻痺してしまったNYPDの警官たちとは違い、心の奥底にあるなけなしの正義を燻らせていた彼は、クライマックスでついに目に見えない権力と戦う選択をします。その結果彼、得るものより失ったものの方が多かったのかもしれませんが、それでも彼は確かに人生を変える(小さな)自己実現を果たしたんですね。
そんな彼は、ある意味でもう一人のロッキーと言っても過言ではないし、行動を起こすのに年齢は関係ないと思わせてくれるのです。

監督・脚本はジェームズ・マンゴールド

そんな本作で監督・脚本を担当したのは、「X-MEN」のメンバー、ウルヴァリンの最後の戦いを描いた「ローガン」でも監督・脚本を担当したジェームズ・マンゴールド
20年前の作品にも関わらず、本作がそれほど古さを感じさせないのは、普遍的なストーリーテリングと丁寧な描写があればこそなんじゃないかと思います。

もし、公開当時に本作を見ていたらここまで刺さらなかったと思うし、「なんだよ、こんなのスタローンんじゃないよ!」と思ったかもですが、それから年月を重ねて自分もいい年のオッサンになった今、この作品に出会えたのは逆にラッキーだったかもしれません。

公開当時この作品を観たけどピンと来なかったスタローンファンも今観たらきっと、グッとくるんじゃないかと思うし、観ていなくてもスタローン映画リアルタイム世代の人は必見の傑作ですよ!

興味のある方は是非!!!

 

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