ぷらすです。
今回ご紹介するのは、「ルーム」「ワンダー 君は太陽」などの名演で世界を泣かせた天才子役ジェイコブ・トレンブレイが、思春期を迎えた小6男子を演じるジュブナイルコメディー『グッド・ボーイズ』ですよー!
なんとこの映画、本国アメリカでは過激な表現からR指定になっていて、主演の3人は完成作品を観れてないそうですw
画像出展元URL:http://eiga.com
概要
『バッド・ティーチャー』で共同脚本を担当したジーン・スタプニツキーがメガホンを取ったコメディー。ファーストキスのために全力投球する小学生たちが巻き起こす騒動を映す。主人公を『ルーム』などのジェイコブ・トレンブレイ、彼の仲間をキース・L・ウィリアムズとブレイディ・ヌーンが演じ、製作は『ネイバーズ』などの俳優セス・ローゲンらが務める。(シネマトゥディより引用)
感想
思春期童貞コメディー最新版の主人公は何と小学6年生
海外のコメディー映画には「ポーキーズ」や「グローイング・アップ」「アメリカン・パイ」などなど、童貞少年が初体験したくてジタバタするちょっとHな「性春コメディー」という系譜がありまして。
本作で制作に参加しているセス・ローゲンも以前「スーパーバッド 童貞ウォーズ」で脚本と製作総指揮を務めていますが、基本これらの作品での主人公の年齢設定が高校生くらいなのに対し、本作の主人公3人組は小学6年生なんですね。
まぁ、アメリカは学年制度が日本みたいに6.3.3で統一されてなくて州によっても違ったりするらしく、本作の主人公たちも日本だと小6なんですが、劇中では中1ってことらしい。
で、11~12才の男子なんて大体は性に目覚めて思春期に入るお年頃じゃないですか。
本作では、ジェイコブ・トレンブレイ演じる主人公マックスがまさに思春期の入り口に立っていて、クラスの女の子に片思いしている。
で、彼の親友の歌うことが好きで気が小さいけどワルぶってるソー(ブレイディ・ヌーン)と、黒人で体は人一倍大きいけどカードゲームが大好きなルーカス(キース・L・ウィリアムズ)はまだ思春期の手前にいるんですが、性に対して中途半端な知識と興味だけはあるんですよね。
ざっくりストーリー紹介
マックス、ソー、ルーカスの「ビーンバッグ・ボーイズ」(←3人のチーム名)は、クラスのイケてないグループですが毎日一緒に楽しく遊んでいる幼馴染で親友同士。
画像出展元URL:http://eiga.com 左からルーカス・マックス・ソー
ソーは歌が大好きなのにクラスの男子たちにバカにされるのが嫌で所属してたミュージカルサークル?辞めてしまう。
一方、ルーカスはとても真面目で嘘がつけず、カードゲームと規則が大好きな少年ですが、ある日突然両親から離婚することを知らされます。
そして、マックスは同級生の女の子に絶賛片思い中なんですが、ある日食堂でイケてるグループのリーダーに呼ばれて、好きな女の子も参加するパーティーに誘われます。
実は、その前のシーンでクラスの男子たちの間で瓶ビールを何口飲めるかチャレンジみたいなことをしてて(これまでの最高記録が3口らしい)、ソーとルーカスはビビって口をつけないけど、マックスはギリひと口飲んだことで、イケてるグループのリーダーに男として認められたのです。
しかも、そのパーティーで「キス・ゲーム」をやると言われたマックスは大張り切り。
ソー、ルーカスを巻き込んで参加を決めるんですが、肝心のキスのやり方が分からず、正しいキスの方法を知るため3人ですったもんだするが――という内容なんですね。
主人公の年齢設定を下げたことで観やすく
ぶっちゃけ、セス・ローゲンが絡んだコメディー映画って、下品で不謹慎でキツめの下ネタや薬物ネタ、外国人には分かりずらいスノッブなネタが満載で、笑えなかったり若干引いてしまう事が多かったんですが、本作は主人公たちがリアルに11~12才ということもあって、さすがに下ネタやヤバげなネタは抑え目。
まぁ、それでも「10代前半の子供たちにこんな事させていいのか!?」ってくらいは攻めてますけど、声変わりもしていない主人公3人の一生懸命背伸びしてる姿に、男性なら過去の自分を思い出して「あー、分かるー」ってなるし、主人公が高校生で初体験目的だと生臭さが出てしまって今の時代にはフィットしない男目線の作品になりそうですが、本作は主人公の年齢が低い分、学校で教わった知識や常識を純粋に信じていて、そのアンバランスさが笑いに繋がると同時に、結果としてポリコレに沿った形でアップデートされてる。つまり「性春コメディー」系譜の現代的なアップデート作品になっているわけです。
例えばキスの練習で、ソーの親が持っている“心肺蘇生練習用の人形”にマックスがキスしようとすると、ルーカスが「キスをしようとする前に、ちゃんと相手の同意を得るって授業で教わったろ!」と注意するみたいな。
画像出展元URL:http://eiga.com “心肺蘇生練習用人形”でキスの練習をしようとする3人
で、キスの練習をした後マックスが顔をしかめて「何でこの人形は口に毛がついてるの?」って言うんですけどねw
あと、マックスが好きな女の子に可愛いゴム製のネックレスをプレゼントするんだけど、それがソーの家から持ってきた大人のおもちゃだったり。
でも、彼女もそれが何か知らないから嬉しそうに受け取るみたいな。
そういう子供がやるから許されるギャグみたいのが満載で、観てるコッチ(大人)の心が汚れているほど笑っちゃうっていう、まさに「子供が主人公の大人向けR-指定コメディ」なのです。
下ネタと下らないギャグ満載だけど極めて現代的なメッセージ性
そういう下ネタギャグにプラスして、父親に絶対触るなと言われていたドローンを壊してしまったマックスが、隣町にあるショッピングモールで同型のドローンを手に入れようとする件や、ドローンを手に入れるため近所の女子高生の変わりに、ワルのたまり場に麻薬を買いに行く件などの不謹慎極まりないドタバタシーンも満載で、思わず声を出して笑っちゃうわけですが、本作はそれだけでは終わりません。
画像出展元URL:http://eiga.com
色々あって三人がパーティー会場に到着し、そこで一度はイケてる男子たちに男を見せたソー。しかし、親友マックスのため再びヘタレ呼ばわりされる決断をするんですね。
アメリカのみならず世界中の男性が味わう「意味のない男らしさアピール」を通過儀礼と(ノスタルジーも込めて)肯定的にとる向きもあるけど、本作では3人を通して本当にやりたいことや自分らしくいられることが一番大事という、当たり前だけど極めて現代的なメッセージに着地するんですよね。
それまで下らないギャグや下ネタ満載だった分、この物語的着地には思わずグッときてしまいましたよ。
まぁ、だからと言ってちゃんとしたいい映画だと思ったら大間違いで、そこに辿り着くまでの下ネタと下らない不謹慎ギャグのつるべ打ちには顔をしかめる人も多いと思うし、ここまでやっておいて、ラストのラストは超くだらないオチに持っていきますからねw
ただ、最後だけいい話風にまとめて、それまでを無かった事にしないで、ちゃんと下らないオチで〆る制作陣の姿勢は、ライムスターの宇多丸さんも言ってたけど、コメディー映画として非常に品が良いって思いました。
下品・不謹慎・下ネタは人によって好き嫌いは分かれるし、本作が万人に好かれる映画とは思いませんが、個人的には声を上げて笑っちゃったし、大好きな作品になりましたよ。
興味のある方は是非!!
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