今日観た映画の感想

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”主語”の大きさと比べてストーリーがやや弱い「ラーヤと龍の王国」(2021)

ぷらすです。

今回ご紹介するのはディズニー59作目となる長編アニメーション『ラーヤと龍の王国』ですよー!

ついこの間公開したばかりな気もしますが、早くもディズニープラスで公開されていたので観てみました。

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画像出展元URL:http://eiga.com

概要

かつて龍に守られた王国に平和を取り戻そうと奮闘するヒロインの活躍を描く、ディズニーによるファンタジーアニメ。聖なる龍の力が秘められているという“龍の石”の守護者一族の娘が、“最後の龍”の力をよみがえらせようと立ち上がる。監督は『ベイマックス』などのドン・ホールと『ブラインドスポッティング』などのカルロス・ロペス・エストラーダが共同で務める。(シネマトゥデイより引用)

感想

諸々運の悪い作品

本作は、2018年5月にウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオが、オリジナルアニメ作品として製作中であることが発表されたんですが、その翌年にコロナ禍が直撃。アニメーション製作からキャストによるアフレコまで、ディズニー史上初のリモート制作映画に。

メイキングによれば、慣れないリモートでのアニメーション製作にスタッフ・キャストはかなり苦労した模様ですが、コロナで「ムーラン」の実写版とピクサーの「ソウルフル・ワールド」の2本が公開延期の末、それぞれ2020年11月(ムーラン)・2020年12月(ソウルフル~)ディズニープラスでの配信のみの公開となったことで、本来、2020年11月公開予定だった本作も公開がずれ込み、結局、2021年3月12日に劇場公開とDisney+での「プレミアアクセス作品」として配信も同時に行うことになってしまったんですね。

しかし、「ムーラン」「ソウルフル~」の公開中止と、本作の公開と同時に配信というスタイル反発した米大手シネコンのシネマーク・シアターズが上映を拒否。
日本でも全国興行生活衛生同業組合連合会(全興連)に加盟しているTOHOシネマズ、MOVIX、ティ・ジョイ、109シネマズなどの大手シネコンが上映を見送るという事態になってしまったんですね。

また、これは元々の公開スケジュール通りだったのかもですが、本作は本来ポリネシア文化をモチーフにした「モアナと伝説の海」に続き(西洋から見た)異文化圏を描く作品として製作されたんですが、公開が実写版「ムーラン」の半年後で、2作ともアジアをモチーフにした作品ということ、主人公ラーヤのビジュアルイメージが微妙にムーランと被っていることなどもあり、作品としての新鮮味が失われた感が否めないと思うんですよね。

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画像出展元URL:http://eiga.com

悪い言い方をすれば「ムーラン」の廉価版みたいなイメージというか、観客にしてみれば「え、また!?」的な感じと言うか。

そういう、作品自体の良し悪しとは別の部分で、色々割りを食ってしまった運の悪い作品という印象なんですよね。

主語の大きさに対してストーリーの弱さが気になる

では作品自体はどうだったかと言えば、良いところは沢山あるんだけど……という感じ。

ストーリーは、かつての古代アジアは聖なる龍たちに守られていたクマンドラという1つの王国だったが、ある時ドルーンと呼ばれる怪物に襲われたクマンドラの民を救うため、聖なる龍たちは我が身を犠牲にしたが、クマンドラは龍たちがドルーンとの戦いで使った“龍の石”を巡って5つの国に分断してしまう。

それから500年後、分断した世界を再び1つにするべく、ラーヤの父でハート国の首長ベンジャはそれぞれの国の首長を招くも、ファング国の王女ナマーリの裏切りによって石は5つに割れてしまい、石の力で封印されていたドルーンが再び復活し――という物語。

何かもう、このあらすじを読むだけで「あーはいはい」って感じじゃないですか。
作り手がこの物語に込めたメッセージが一発で分かっちゃうというか。

まぁ正直、2013年の「アナ雪」以降のディズニーアニメは、総じて主語(テーマ)がデカくて、そこにある種の説教臭さを感じる事も多くなったり、もっと言えば世界の様々な問題に対して「我がディズニー社はこういうスタンスでございます!っていう演説を聞かされているような居心地の悪さを感じたりもするんですが、本作はそれが極まってるというか、主語のデカさがストーリーの面白さを明らかに上回っちゃってるように感じるんですよね。

もちろんストーリーの中に、現実の世界での問題をメタ的に入れ込んだり、製作者の言いたい事を入れることは全然悪くないんですよ?

ただ、その分量の問題っていうか、ストーリーや作品としての面白さが先にあって、それらを飲み込んだ後にテーマが見え隠れする。くらいの割合にしてほしいって、個人的には思っちゃうんですよ。

あくまで「物語が主」「テーマが従」みたいな。

ところが本作の場合、少なくとも僕の目にはこの「主従」が逆転してるように見えちゃったんですよね。

その辺のストーリーの甘さは、コロナ禍のリモート製作になったことで、スタッフ間のディスカッションが十分に出来なかったからなのかなとちょっと思ったりしました。

シスー・ダトゥー役はオークワフィナ

でもまぁ、そこはさすがのディズニークオリティー
良いところや見ごたえのあるシーンも沢山あったし、少なくとも見てる間は退屈はしなかったです。

風景や色味は鮮やかで美しく、特に水の龍シスーの登場シーンで描かれる水の表現は息を呑むほど美しかったです。

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画像出展元URL:http://eiga.com

あと、主人公ラーヤの相棒で、ダンゴムシアルマジロを足して2で割ったような生物トゥクトゥクは可愛い。ラーヤは転がるトゥクトゥクに乗って移動するんだけど、トゥクトゥク専用の鞍は(ハッキリとは映らないけど)ガジェットとしてワクワクします。

あと、ラーヤが格闘でプンチャック・シラット(東南アジアの伝統武術)を使うのに対し、ナマーリは古式ムエタイ(「マッハ!!!!!!!!」でトニー・ジャーが使うヤツ)を取り入れた動きで戦うのも燃えるし、ラーヤの剣のガジェット感もいい。

そしてラーヤによって永い眠りから起こされた龍シスーを演じるのは、「シャン・チー」でケイティを演じたオークワフィナ

観ながら「あれ、この声は!?」と思ったらやっぱりそうでした。
最初は声があってないように感じたけど、物語が進むうちにどんどん好きになっていくのはケイティの時と一緒で、それだけ彼女の演技が魅力的なんだなって思いました。

興味のある方は是非!!

 

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