今日観た映画の感想

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タイトル通りの映画!「ネイビーシールズ ナチスの金塊を奪還せよ!」(2018)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、リュック・ベッソン製作のアクション映画『ネイビーシールズ ナチスの金塊を奪還せよ!』ですよー!

何ていうか、うん、タイトル通りの映画でした。

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概要

ボスニア紛争末期のサラエボに派遣されたネイビーシールズが、ナチスの金塊を奪取しようとする痛快アクション。リュック・ベッソンが製作と脚本を手掛け、『イントゥ・ザ・ストーム』などのスティーヴン・クエイルが監督を務める。リーダーを『300 <スリーハンドレッド> ~帝国の進撃~』などのサリヴァン・ステイプルトン、彼の上官を『セッション』などのJ・K・シモンズが演じるほか、『鑑定士と顔のない依頼人』などのシルヴィア・フークスらが共演。(シネマトゥデイより引用)

感想

ざっくりストーリー紹介

1995年、ボスニア紛争末期のサラエボが舞台。

ネイビーシールズに所属する隊長のマット(サリバン・ステイプルトン)、チーム1の色男イカ(チャーリー・ビューリー)、数学の天才モラン( ジョシュア・ヘンリー)、腕利きの調達屋ダッフィー (ディアミッド・マルタ)、重火器のエキスパートJP(ディミトリー・レオニダス)は、敵の将軍を誘拐する極秘任務につき、作戦は成功するものの敵将校ペトロヴィッチの軍隊と派手な戦いを繰り広げたことから、上司のレヴィン少将J・K・シモンズ)に大目玉を喰らい、3日間の謹慎を言い渡されます。

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その夜、バーに繰り出したマット隊でしたが、バーのウェイトレスのララシルヴィア・フークス)と付き合っていたベイカーは、第二次大戦中、水没した村にナチスがヨーロッパの各国から奪った金塊が総額3億ドルが眠っているという話を聞き、ララから「難民を救うため」秘密裏に水没した村からナチが隠した金塊を引き上げる手助けを懇願されるんですね。

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イカーから話を聞いたマットは、避難民を救う為に金塊奪還を決意。
5人+ララの6人で、金塊引き上げ作戦を立てます。
しかし、金塊が眠る湖は敵陣のど真ん中にあり、巡回船が見張っている危険な環境。
水深45mの湖底から重さ27トンもの金塊を運び出すのは容易ではなく、また、ペトロヴィッチがマット隊を捜索している事が分かり、彼らは36時間後に勤務地を移動することに。

果たして、マット隊は敵(と上司)の目を掻い潜り、無事金塊を奪還することが出来るのか――という物語。

文字通り、タイトルそのままの内容でした。

ただ予告編を観た段階では、もっとシッチャカメッチャカな映画かと思いましたけど、ストーリー自体は意外と真面目だし、はみ出しものたちが弱者を救うために心意気を見せる下りは60年代の戦争映画っぽい雰囲気もあって、かなり好みでした。

チーム一丸となって不可能を可能に

とはいえ、27トンもの金塊を(敵地の真ん中で)敵に気づかれないよう引き上げるのは至難の業。
しかも、最初は数日に分けて運ぶ予定だったのに、彼らに残された時間は36時間しかないわけです。
一度は諦めたマーク隊でしたが、数学の天才ラモンのヒラメキによって、たった一晩(約8時間)で、金塊を湖から引き上げるという前代未聞の作戦を計画・決行するんですね。

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ロケ地や武器などは全て本物!

本作はドイツ、クロアチア、マルタ、フランスと4か国にまたがって撮影を行い、軍事基地や戦車、戦闘機に至るまで、全て実物を使用。

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クライマックスの舞台になる水中都市も実在する場所でロケ撮影を行い、マット隊の5人の俳優たちは元シールズのトレーナーから訓練を受けて撮影に臨んだんだとか。

冒頭の街を破壊しながら展開されるド迫力の戦車シーンや、中盤のヘリと戦闘機の息詰まる大チェイス。クライマックス、追い詰められた状況での、水中都市での戦いなどなど、全て本物だからこそのリアリティー溢れる迫力が本作にはあるんですよね。

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ただ、あえて1つイチャモンをつけるなら、夜間の戦闘シーンが多いので映像が観ずらいシーンが多いのは、正直ちょっと残念というか勿体無いって思いました。

実際サラエボでは、大戦や紛争によって多くの人々が亡くなったり難民になった事実もあり、その歴史的な事実や痛みを映画の中だけでも……という試みは、タランティーノ監督の「イングロリアス・バスターズ」にも通じるのかなって思ったりしました。

あと、本作のJk・シモンズは、「上司にしたい俳優ナンバー1」な役柄でしたねー!

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リベンジ、サバイバル、おっぱい!「女囚701号 さそり」(1972)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、篠原とおる原作の劇画を実写化した1972年の作品『女囚701号 さそり』ですよー!

ずっと観たいと思ってたけど、地元のレンタル店に置いてなかったので、アマゾンプライムでレンタルして観ることができましたー!

いい時代になったねー。

www.youtube.com

概要

ビッグコミック」に連載された篠原とおるの『さそり』を、神波史男松田寛夫が脚色。監督は本作がデビューとなる伊藤俊也。主演の梶芽衣子による主題歌「恨み節」もヒットし、この曲は後にクエンティン・タランティーノ監督作品「キル・ビル」で使用された。  
女子刑務所からの脱走を企てたナミと由紀子だったが、二人のもくろみは失敗に終わる。ナミは刑事の杉見と恋人同士だったが、麻薬のおとり捜査に使われた上、杉見に裏切られてしまった。ナミは復讐のため杉見を襲うが、逆に逮捕されてしまったのだ。ナミは刑務所で他の女囚から嫌われていたが、唯一、由紀子とだけは親しかった。ある日、刑務所で暴動が起こり、由紀子が射殺されてしまう。(allcinema ONLINE より引用)

感想

女優 梶芽衣子の代表作

梶芽衣子は日本映画界が斜陽に差し掛かった1965年、高校卒業と同時に日活に入社し、本名の太田雅子として「悲しき別れの歌」でデビュー。

「日本残侠伝」(1969)で梶芽衣子に改名し、1970年~「野良猫ロック」シリーズに出演し1・2作目は脇役を演じていたのが、3作目から主役に抜擢されます。

1972年、日活がロマンポルノ路線に移行したためフリーになり、その後東映に移籍すると、本作でその人気を決定づけたんですね。

劇中でほぼ喋らずに相手を睨みつける無口なキャラクターや、全身黒ずくめに鍔広のハットというアイコン的なファッションは彼女のアイデアだそうですよ。

レイプリベンジでプリズンブレイクでおっぱい!

ごく普通の女の子だったナミは、初恋の相手で刑事の杉見に全てを捧げ、麻薬のおとり捜査を頼まれて暴力団が経営するクラブに潜入します。
しかし、正体がバレたナミは暴力団員たちにレイプされ、しかもそれが全て杉見のシナリオだった事を知るんですね。

ナミは復讐のため、杉見を襲うも逮捕され、女子刑務所に収監されてしまうわけですが、この映画はナミがどうやって刑務所を脱獄し杉見に復讐を果たすかというプリズンブレイク(脱獄)ものなのです。
まぁ、脱獄シーンは映画冒頭のアバンしか出てきませんけども。

この頃、業績不振だった東映はテレビに取り込まれない客層を狙い、実録ヤクザものやエログロものを量産しているんですが、本作はまさにその走りといえる作品で、女子刑務所の実態を描く実録もの? として、陵辱シーンやヌード、リンチなどのエログロ要素も満載。こんなにおっぱいが沢山出てくる映画ってそうはないと思いました。

さらに自分(女性)を利用して私腹を肥やす杉見や権力者たちにナミが復讐する、レイプリベンジムービーでもあるという、色々な要素を全部乗っけたようなカオスな作品なのです。

その背景に有るのは、学生運動末期、反体制という時代の空気。
本作ではナミという主人公を通してそこを描いていて、「野良猫ロック」などで梶芽衣子自身が持つキャラクターとも相まって、若者を中心に異例の大ヒットになるのです。

その辺は日の丸のアップに君が代のBGMから、ナミが収監されている刑務所の所長が表彰されるシーンへ続く映画冒頭や、クライマックスで宙を舞ったナミのナイフが日の丸と重なるなど、非常に分かりやすいアイコンが映画随所に散りばめられていることからも明白で、つまり、理不尽に女性を虐げる男社会を描いている物語に、権力者に搾取される若者たちの反抗を重ね合わせているわけですね。

アバンギャルドな映像と演出

そんな本作で特徴的なのは、ナミの回想シーンなどで使われるアバンギャルドな映像演出。

ナミが何故、刑務所に収監され脱獄しようとしているのかを回想するシーンでは、まるで舞台演劇のような演出で見せたり、ラブシーンを真上から撮ったり、レイプシーンを真下から(透明なガラスの下から?)撮ったり。
また、クライマックスでナミのターゲットが殺されるシーンでは、必ずターゲットの顔に緑のライトが当てられるなどなど、鈴木清順っぽい演出になってるんですよね。

この辺の(マンガや前衛舞台的な)当時流行のカルチャーが取り入れることで物語を抽象化し、普遍性が強調されたからこそ今観ても色褪せない作品になっているんだと思うし、この時、この時代じゃないと作れない作品だからこそ、未だにカルト的人気を誇る伝説的な作品になったんだろうと思いましたねー。

あと、女囚の皆さんがみんなイイ顔の人ばかりだし演出も演技も映像も全てが過剰で、こんな刑務所や刑務官がいるか!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ とツッコミを入れながら楽しめる楽しい作品でもあるので、機会があれば是非見て欲しい一本でしたよ。

興味のある方は是非!!!

 

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リーアム・ニーソン(65)が老骨に鞭打って頑張るスリラー「トレイン・ミッション」(2018)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、リーアム・ニーソンジャウマ・コレット=セラ監督の黄金コンビが送る『トレイン・ミッション』ですよー!

「アンノウン」(2011)から始まったサスペンススリラーシリーズ第4弾の本作は、老齢のリーアム・ニーソンが通勤列車を舞台に陰謀渦巻く事件に巻き込まれていくニューロティック・サスペンススリラーです!

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概要

『アンノウン』『フライト・ゲーム』『ラン・オールナイト』のジャウマ・コレット=セラ監督とリーアム・ニーソンが再び組んだ緊迫のサスペンス。リストラされた主人公が、通勤電車の中で困難なミッションに挑む。『マイレージ、マイライフ』などのヴェラ・ファーミガ、『ZIPPER/ジッパー エリートが堕ちた罠』などのパトリック・ウィルソン、ドラマシリーズ「ブレイキング・バッド」などのジョナサン・バンクスらが共演する。(シネマトゥデイ より引用)

感想

リーアム・ニーソンと言えば「96時間」で、愛する娘を誘拐したギャングを皆殺しにする最強&最凶のパパを演じ今ではすっかりアクションスターのイメージが強いけど、「シンドラーのリスト」でアカデミー主演男優賞、「アンナ・クリスティ」でトニー賞にそれぞれノミネート。
ヴェネツィア国際映画祭では「マイケル・コリンズ」で男優賞を受賞するなど、元々はベテランの演技派俳優なんですよね。

リーアム御大とセラ監督がタッグを組んだ最新作

そんな彼がジャウマ・コレット=セラ監督と組んだ最初の作品が「アンノウン」(2011)
国際学会に出席のため夫婦で訪れたベルリンで事故に合った博士が、ホテルに戻ってみると自分の名を名乗る全く知らない男が妻とイチャイチャしていた――!? というストーリー。

続く「フライト・ゲーム」(2014)では、航空保安官が旅客機の中で事件に巻き込まれ、「ラン・オールナイト」(2015)では、年老いた殺し屋が息子とその家族を守るため、親友がボスを務めるギャング相手に殺し合いました。

そして本作は、元警官で保険会社に10年務める老サラリーマンが、突然リストラされ、失意の中で通勤列車に乗ると、謎の女に「あるミッション」を持ちかけられるという物語で、誰が敵か味方か分からない極限状況で御年65歳のリーアム・ニーソンが孤軍奮闘するんですね。

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なので、テイスト的には「フライト・ゲーム」にかなり近くて、セラ監督も本作を「フライト・ゲーム」の精神的続編と言ってるらしいですよ。

スマートな導入

映画冒頭、目覚ましで起きたリーアムは横の奥さんに「寝てて」なんて言いながら準備して仕事に出かけるわけですが、カットが変わるとまた目覚ましのシーンになって「んん??」ってなるんですね。
で、また出かけて通勤列車に乗ったと思ったら目覚ましが鳴り……といった具合で「無限ループものなのか!?」と思ったらそうではなく、要はリーアムの朝を繰り返し見せることで、彼の真面目さやサラリーマンになってからの時間経過、家族構成、その後舞台となる通勤列車の中での人間関係(同じ時間の列車に乗り合わせる常連との関係)などを、一切の説明なしでサクッと語っているんですね。

もちろん、そういう手法を使う映画がこれまでなかったわけじゃないけど、最初は「え?」と思わせておいて、何度かの繰り返しで状況を理解させるやり方は「おお、そういうことか!」と感心しましたねー。

その後も、最小限の説明と映像で物語を勧めながら、登場人物のキャラクターや背景、リーアムとの関係性をそれとなく理解させてくれるのはとても良かったです。

何度も乗った通勤列車の中で物語が動き出す

しかし、家のローンと息子の学費を抱えながらもコツコツ働いていたリーアムが、突然解雇されることから物語は動き始めます。

失意の中、帰りの通勤列車に乗り込んだリーアムの向かいの席に座った謎の女が持ちかけてきた取引。
それは、「ある重要な荷物を持つ“見慣れない乗客”にGPS発信器を付けてくれたら、前金2万5千ドル+成功報酬7万5千ドルを支払う」というもの。

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ヒントは、「コールドスプリング駅で降りる」「名前(偽名)は“プリン”」の二つだけ。女が降りたあと、冗談だろうと前金が隠してあるというトイレを探ってみると、本当に札束が隠されていてこりゃマズイと思ったリーアムは、常連仲間にメモを渡して警察に連絡を試みるも、その人は列車から見える道路で車に轢き殺され、しかも家族も人質に取られて……と、うっかり好奇心で話に乗ったら、それは途中で降りることが出来ないデスゲームだったっていう。

そこまでの一連の流れや「ゲーム」のルールを、観ているこっちはリーアムを通して知っていくわけです。

つまり、列車の中には依頼主の女が狙う標的「プリン」と、常にリーアムを見張り、「プリン」暗殺を請け負う女の手下がいて、それが誰なのかと敵の目的を元刑事のスキルで探っていくミステリー映画でもあるんですね。

まぁ、内容的には何度も観たような物語で目新しさはないんですが、上記したような映像演出とリーアムの確かな演技、後半ではド派手なアクションもあったりするので、少なくとも観ている間は超楽しめる映画になってましたねー!

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 不満点

ただ、あえて不満点を言うと、全ての謎が解けた後が長いなーと感じました。
まぁ、ミステリー映画ってそもそもそういうものですけど、冒頭で見せたスマートさとは打って変わって、後始末にモタついてる印象を受けました。

もうちょっとラストがスッキリしてたら、個人的には文句なしだったんですけどねー。

でも、観ている間は面白かったんだから、それは僕のないものねだりなんですけども。

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期待のハードルが上がりきる前に観たかった!「カメラを止めるな!」(2018)

ぷらすです。

全国公開から遅れること3ヶ月、ついにオラが町でも『カメラを止めるな!』が公開されたので、初日・初回で観てきましたよー!! ヤッタァ━━━v(*´>ω<`*)v━━━ッ!!

確かに超面白くて大いに笑ったし、興奮したし、感動しました!

ただ、出来るなら、こんなに日本中で話題になって期待のハードルが上がりきる前、一部の人たちが騒いでて「えー、ホントに面白いの~?」と半信半疑くらいのテンションで観たかった!

そしたら今、もっと興奮してると思うんですよねー。

で、(さすがにもう観る人は観ただろうしネタバレしてもいいような気もするけど)オラが町みたいに今日公開の町もあると思うので、極力ネタバレしないように感想を書きますけど、もし、これからこの映画を観に行く予定の人は、先に映画を観てからこの感想を読んでくださいね!

いいですね? 注意はしましたよ?

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概要

監督・俳優養成の専門学校「ENBUゼミナール」のシネマプロジェクト第7弾となる異色ゾンビムービー。オムニバス『4/猫 -ねこぶんのよん-』の一作を担当した上田慎一郎が監督と脚本と編集を務めた。ゾンビ映画を撮っていたクルーが本物のゾンビに襲われる様子を、およそ37分に及ぶワンカットのサバイバルシーンを盛り込んで活写する。出演者は、オーディションで選ばれた無名の俳優たち。(シネマトゥデイより引用)

感想

さて、極力ネタバレしないとは言ったものの、う、うーん…。
この映画は確信に触れる部分を書こうとすると、ネタバレになっちゃうタイプの映画なんですよねー。困ったw

なのでとりあえず、僕から言えるのはこれから本作を観る予定の方は、いますぐこのブログを閉じて、劇場にレッツゴー!ってことなんですよねーw

正真正銘の低予算映画

この作品、予算はなんと300万という正真正銘の超低予算映画です。
監督・脚本・編集を務めた上田慎一郎は元々演劇畑の人で、紆余曲折の末に映画製作団体『PANPOKOPINA』を結成。
数々の短編映画を手がけて国内外の映画祭で46もの賞を獲得しているんだそうです。

そして2015年公開のオムニバス映画『4/猫 ねこぶんのよん』の一篇「猫まんま」にて商業作品デビューし、2017年に監督・俳優養成の専門学校「ENBUゼミナール」の企画、シネマプロジェクトに参加、集まった12人の役者とワークショップをしながら本作を作りあげたんですねー。

当初、都内で2館から公開された本作でしたが、SNS上の口コミで評判が広がり、あとは皆さんもご存知の通り、いまや全国で順次公開される大ヒット作品になりました。

どんな映画?

この映画の内容を一言で言うと、変則的な「ゾンビ映画です。
超雑に内容を説明すると「ゾンビドラマを作るため、曰くつきの廃墟で撮影を始めたら、本当のゾンビに襲われる」という物語。

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で、そんな本作の特徴は、37分間もの間サバイバルシーンがワンカットで描かれているというところなんですね。

これまでも全編をワンカットで撮影した作品や、ワンカット“風”に編集した作品は沢山ありますが、それを売りにしてる作品はどれも映画としては微妙(*個人の感想です)だったりします。

何故かというと、ワンカットで撮影することで観客はカメラマンの存在を意識してしまうからなんですね。

例えばホラー映画では一時期、登場人物の誰かが手持ちのカメラで自体を撮影していたという設定の、いわゆるPOV(主観映像)という手法が流行りましたが、これも「今、いったい誰が撮影してるの?」と観客がカメラマンの存在を意識してしまい、そこの辻褄を合わせるために物語に無理が生じるということが多かったりします。

つまり、この全編ワンカットという手法は、手間の割に画的な効果は薄いんですね。

しかも本作の場合、「ワンカット風」ではなく37分間ガチのワンカットで撮影しているため、(恐らくは)舞台裏で起こっているであろうドタバタやアクシデントが映像に違和感として出てしまっていて、僕も「まぁ、低予算映画だしなー」なんて思っていたんです。

が、しかしこれ、全て監督の計算だったんですねー!

もっと言うと、観客の「低予算映画だから」という思い込みまで逆手にとって、中盤のある大仕掛けで全部をひっくり返してみせるのです!

そして、中盤からは一気にコメディーになっていく展開もお見事! としか言いようがなく、こっちは「今までナメててすいませんでしたー!」と心の中で謝りながら、大いに笑い、興奮し、最後には思わず感動の涙を流してしまう「ナメてた相手が殺人マシーン」ならぬ「ナメてた作品が大傑作」だったわけですねー。

ドラマ性を排除することで人間ドラマを浮かび上がらせる

本作の主人公でゾンビドラマの監督である日暮隆之(濱津隆之)は、普段は再現ドラマなどを手がけていて「早い、安い、出来はそこそこ」が売りの映像マンです。

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奥さんの晴美(しゅはまはるみ)は元女優ですが役に入り込んでは騒動を起こし引退。
一人娘の真央(真魚)は父親と同じ業界に入るものの、妥協まみれな父親の仕事は1mmも尊敬していない様子。

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ドラマの発案者であるディレクターである二人は超胡散臭いし、主演女優の松本逢花(秋山ゆずき)は「自分はいいんですけど、事務所が…」という口実で監督の演出にNGを出しまくり、恋人役のイケメン俳優 神谷和明(長屋和彰)は真面目だけど演出に口出してきて超めんどくさい。

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他にも、超神経質な奴とか、アル中オヤジとか、集まったのは一癖も二癖もある連中ばかりで、そんな連中が様々なアクシデントを乗り越えて成長し、やがて一つになっていく――という物語が本作の主軸なんですね。

これ、凡百の監督なら、登場人物の心情や関係性をグダグダセリフで説明してしまうところですが、上田監督はそうしたドラマ性を徹底的に排除し、彼らが様々なアクシデントを乗り越えて「ゾンビドラマ」を撮り切るという一点に向かって進ませることで、逆にそれぞれのドラマを浮かび上がらせていくという、非常に映画的な演出をしているんですね。

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その演出は邦画というより洋画的だし、最近の邦画だと庵野秀明監督の「シン・ゴジラ」に近い印象を受けました。

また、(当時は)無名だったキャスト陣も、監督とともにワークショップを続けてきた&監督がキャストを当て書きした事もあって、全員が生き生きと、クセ者だけど憎めないキャラクターを見事に演じていましたよ!(あと、全員イイ顔の人ばかりだった)

全体のルックは低予算映画なりというか、安い感じだし、キャスト陣も知らない人ばかり。それでもこれだけ大ヒットになった原因は、観客の反応まで計算に入れて書かれた見事な脚本と演出と、それに応えたキャスト陣の熱演。
そして何より、「面白い映画を作ろう」という圧倒的熱量だと思うし、それがスクリーンを通して観客に伝わったからだと思いましたねー。

もし、まだ未見で本作を観られる環境にある人は、是非、劇場に足を運んで欲しいと思う作品でした!

興味のある方は是非!!!

 

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アーミル・カーンが星一徹に!? インド版巨人の星!「ダンガル きっと、つよくなる」(2018)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、「きっと、うまくいく」「PK」などで、世界的評価を受けるインドの大スター、アーミル・カーン主演とプロデュースを務めた最新作『ダンガル きっと、つよくなる』ですよー!

アマチュアレスリング選手マハヴィル・シン・フォーガットと彼の娘であるフォーガット姉妹の半生を描いた伝記映画で、まるでインド版「巨人の星」のような超熱いスポ根ものでしたねー!

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概要

『きっと、うまくいく』『PK ピーケイ』などのアーミル・カーンを主演に迎えた、実話を基にした感動作。オリンピック出場を諦めた男が、娘たちをレスリングの世界で羽ばたかせようとする。メガホンを取るのは、脚本家としても活動しているニテーシュ・ティワーリ。共演は、ザイラー・ワシーム、スハーニー・バトナーガルら。(シネマトゥデイより引用)

感想

本作は2010年にインドのデリーで行われたスポーツの国際大会「コモンウェルスゲームズ」(イギリス連邦に属する国や地域が参加して4年ごとに開催される総合競技大会)の女子レスリングで、インド人として初めて金メダルを狙うギータ・フォーガットと、その父親で元レスリングのインド王者マハヴィル・シン・フォーガットの物語を軸に、レスリングに全てを捧げたフォガト一家の実話を脚色した伝記映画です。

ザックリストーリー紹介

アマチュアレスリングのインド代表になったマハヴィル(アーミル・カーン)は国際大会でインド人選手初の金メダルを目指すが、生活苦を理由に引退を余儀なくされる。

彼は、国際大会でインド人初の金メダルという夢を将来生まれてくるだろう息子に託そうとするが、残念ながら彼は男の子に恵まれず4人の子供は全員女の子。

一度は夢を諦めたマハヴィルだったが、ある日長女のギータ(ザイラー・ワシーム)と次女のバビータ(スハーニー・バトナーガル)が男の子に喧嘩で勝ったことから二人にレスリングの才能を見出し、周囲の反対を押し切って二人を女子レスラーにすることを決意し、特訓を始める。

最初は横暴で強権的な父親に反抗する二人だったが、結婚式の席での友達の言葉をキッカケに本気でレスリングに取り組むとギータの才能が開花。
数々の大会で男子相手を破り優勝するようになる。

やがて州代表になったギータ(ファーティマー・サナー)は、国立スポーツ・アカデミーのインド代表団入りして国際大会を目指すが、新しい仲間やコーチとトレーニングするうち、次第に父親の厳格な特訓方法を「古臭い方法」として嫌悪するようになる。
しかし、国際大会では連敗するようになり――というストーリー。

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この作品、インドでアマチュアレスリングの全国チャンピオンでありながら、生活のため夢をあきらめざるを得なかった父親が二人の娘にレスリングを叩き込んでいくというスポ根ものですが、その奥には父親の娘たちに対する深い愛情が秘められていたという感動の物語なんですねー。

アーミル・カーンの肉体改造が凄い

「きっと、うまくいく」の撮影時、44歳にして大学生役を演じたアーミル・カーン
映画を観た人なら、若々しい彼の実年齢を知って驚いたんじゃないでしょうか。

そして本作の撮影時52歳の彼は、レスリング現役時代(20代前半?)からコモンウェルスゲームズでの初老時代(50代)のマハヴィル・シン・フォーガットを演じたわけですが、実際のフォーガットに合わせて元々70kgだった体重を97kgまで増量し、先に初老のフォーガット時代から撮影を始めて、撮影中に元の70kgまで減量するという無茶苦茶な肉体改造を実行。

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画像出典元URL:http://eiga.com  / このムキムキの肉体から

増量中も痩せた時に筋肉が落ちないように、過酷な筋トレをしていたそうです。

さらに体重を増やすのと同時進行で、少女時代と成長した娘役の4人(少女期と成人期)とともに、2ヶ月に渡って本格的なレスリングの特訓したんですねー。

その甲斐あってか、彼らのレスリングシーンは(少なくとも僕のような素人が見る限り)とてもリアリティーがあるように見えたし、本人が演じてるからこその迫力も出ていると思いましたねー。

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画像出典元URL:http://eiga.com / でっぷりおじさんに

ちなみに増量に関して監督からは、太って見えるボディースーツの着用を提案されたそうですが、アーミル・カーン「体重が増えると、息づかいが変わる。ボディランゲージが変わり、歩き方、座り方、立ち上がり方、全てが変わる」(本人談)ことから、リアリティーを重視して実際に太ったんだそうですよ。まさに役者バカの鏡!

そんなアーミル・カーンの肉体の変化に注目しつつ観てみると、その変化にビックリすると思いますよ。(あと老け方にも。っていうか老けてるアーミル・カーンの方が実年齢に近いんですけどねw)

インドの現状を描く

「きっと、うまくいく」では身分制度と格差問題に、「PK」では宗教問題に踏み込んだアーミル・カーン
本作では、インド(というかヒンドゥー教?)における女性蔑視や、スポーツ環境の地域格差の問題に踏み込んでいます。

マハヴィル・シン・フォーガットはハリヤーナ州のバラリという小さな村の出身。
この村に限らず、インドの特に進歩が遅れている地域では殆どの人々が、男の子が産まれて家を継いでくれることを望み、女の子は幼い頃から家事を教えられて14歳で(会ったこともない男性と)結婚し子供を産むのが普通。

つまり、女性には他の先進国のような人生の選択の自由は与えられていないわけですね。

本作では、そんな風習の中で二人の娘にレスリングを教えるフォーガットや娘たちを最初村人は揶揄したり嘲笑したりします。

また、田舎のレスリングジムや大会はマットの上ではなく土の上で行われるんですね。
これは、クシュティーというインドの古式レスリングらしく、いわゆるポイント制のアマチュアレスリングとは若干ルールなども違うようです。

で、娘のために役場にアマレス用のマットを買ってほしいと頼むフォーガットを、役場の人間は「女のレスリングに出す金なんかねぇ!」と冷たくあしらうんですね。

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しかし、ギータが男ばかりの大会で結果を出していくことで、(奥さんを含めた)周囲の目は徐々に変わっていくのです。

フォーガットは横暴な父親!?

とはいえ、序盤のフォーガットはかなり横暴でひどい父親に見えます。
嫌がる娘を無理やり鍛え、体を作るため信仰上の菜食主義を破り、男の子のようにTシャツに短パンを履かせて、大事にしている長い黒髪もバッサリ短髪に切ってしまう。

日本人の僕から見ても「おいおい…」って軽く引くくらいの暴君ぶりだし、もっと言えば自分の夢を娘たちに無理やり押し付ける毒親にすら見えるように描かれているんですね。

そんなフォーガットへの見え方が変わるのは、ギータとバビータに結婚する友達がある言葉を言うのがキッカケで、さらにフォーガットが娘のためだけでなく、インド全土の女の子の未来を見据えていた事が終盤明かされ、最初の彼に抱いていた印象がグルッとひっくり返る構造になっているんです。

しかし、実はフォーガットの考えは最初から一貫していて、序盤の方で「レスリングする女なんて嫁の貰い手がない」という奥さんに、「二人は男に選ばれるのではなく、男を選べる人間にする」と言うシーンがあるんですね。

まぁ、実際のフォーガットさんがそこまで考えていたのかは分かりませんし、劇映画としての脚色なのかもですがw(この映画は事実を元にしてるけど、内容は劇映画としてかなり脚色されているらしい)

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それでも、ベースはあくまで伝記映画ということもあって、アーミル・カーンの演技もかなり抑えていたし、インド映画の歌って踊るシーンもなし。(歌に映像を合わせるようなシーンはあるけど)

そういう意味で「きっと、うまくいく」や「PK」とはかなり毛色の違った作品ではあるし時間もかなり長めだけど、「バーフバリ」なみの興奮と感動で体感時間は60分くらいに感じた超面白くて熱い映画でしたよ!

興味のある方は是非!!

 

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おっさんホイホイですけど何か?「劇場版 マジンガーZ INFINITY」(2018)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、巨大ロボットアニメの元祖とも言うべき「マジンガーZ」を現代にリブートした劇場版アニメ『劇場版 マジンガーZ INFINITY』ですよー!

1970年代に少年期を過ごした(僕を含む)オッサン感涙の、正しくおっさんホイホイな映画でした!

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概要

絶大な人気を誇る永井豪作の「マジンガーZ」の新たな劇場アニメ。宿敵Dr.ヘルを倒して科学者となった兜甲児が、マジンガーZらと共に新たな脅威に立ち向かう。監督を『プリキュア』『ONE PIECE ワンピース』シリーズなどの志水淳児が務める。ボイスキャスト森久保祥太郎茅野愛衣らが担当。重厚感の増したマジンガーZの勇姿に注目。(シネマトゥデイより引用)

感想

上記の紹介文で「巨大ロボットアニメの元祖」と書きましたが、正確に言うと巨大ロボットアニメの元祖は横山光輝原作の「鉄人28号」なんですよね。

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じゃぁ、マジンガーZは何が元祖かというと、パイロットが乗り込んで操縦する巨大ロボットアニメの元祖で、その後のスーパーロボットシリーズや機動戦士ガンダムエヴァンゲリオンなど、現代へと続く巨大ロボットアニメの雛形となった作品なのです。

テレビアニメ版の続編

テレビアニメ版「マジンガーZ」は1972年~79年の約2年間放映され、最終回では敵の猛攻の前に大ピンチを迎えたマジンガーZ
これまでか…というその時、グレートマジンガーの登場によって敵を壊滅。

主人公の兜甲児とヒロインの弓 さやかは、グレートマジンガーパイロットの剣鉄也に後を託して、科学の研鑽を積むべくアメリカ留学へと旅立っていく。というところで終わり、そのまま後番組の「グレートマジンガー」に引き継がれていくわけです。

で、本作はこのテレビ版「グレートマジンガー」のその後を描いた続編になっています。

ざっくりストーリー紹介

テレビアニメ版から10年後が舞台。
ドクター・ヘルの脅威が去り、光子力エネルギーによって燃料不足は解消された世界は平和を取り戻していた。

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そんな時、テキサスの研究所を10年前に倒したハズの機械獣軍団が急襲。
交戦中に剣鉄也はグレートマジンガーごと行方不明になってしまう。

一方、兜甲児はマジンガーZで世界を救った英雄として、また祖父や父の志を継ぐ科学者として富士山麓の研究所にいた。

富士山の麓から、超巨大なマジンガーを思わせる古代の遺跡「インフィニティー」が出土し、中から人型アンドロイドの少女リサが現れたため、兜甲児と恋人の弓さやかたちが発掘・研究していたのだ。

そこに機械獣軍団を率いて10年前に死んだはずのアシュラ男爵、ブロッケン伯爵、そしてドクター・ヘルが現れ、世界を再び混乱に陥れる――という物語。

オッサンのオッサンによるオッサンのためのアニメ

冒頭、いきなりグレートマジンガーと機械獣軍団の戦闘シーンからスタートする本作。

パイロットの剣鉄也が技名を叫びながら、グレートマジンガーの必殺技を出し惜しみなく全開で使うこのアバンだけで、幼少期にマジンガーZグレートマジンガーに熱中していたオッサン世代は、一気に子供の頃に引き戻されること確実ですよ!

その一方で、マジンガーZグレートマジンガーはちゃんと今風なデザインになっていて、長年巨大ロボットアニメの変遷を見続けてきたファンも大満足なのではないでしょうか。

昔のようなツルッとした寸胴ではなく等身も上がったシルエットや、超合金Zをパーツごとにつなぎ合わせたようなデザイン、スピードアップした戦闘シーンなどはすべて3DCGで描かれているそうで、もう、超かっこいい!んですよ(*゚∀゚)=3

もちろん懐かしの技の数々や、ドクター・ヘル率いる機械獣軍団、テレビ版から成長した登場キャラクター、ビューナスAやボスボロットに至るまで、思わずグッときてしまうオリジナル版ファンへの目配せもバッチリ。

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志水淳児監督は御年57歳。まさに少年時代にマジンガーZを観ていた世代でもあり、この作品はまさにオッサンのオッサンによるオッサンのためのアニメ

ええ、まごう事なき「おっさんホイホイ」ですけど何か? ってな感じですよw

なので、ガンダムエヴァを少年時代に観ていた、いわゆるリアルロボット世代の人たちには、本作は全編がギャグに見えちゃうんじゃないかと思いますが、この作品に関してはそれでいいのだと思うんですね。

なぜなら本作は「あの頃の子供だった俺たちが観たかったマジンガーZですから。
それ以外の年齢層に通じないのは(多分)監督だって百も承知で、それでもマジンガーZ世代のオッサン向けに振り切ってるんですよねー。

その意気や良し! そしてありがとう! って感じです。

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リチャード・ドナー版「スーパーマン」との相似

1978年に公開されたリチャード・ドナー監督の劇場版「スーパーマン」では、1978年当時でも、全身タイツ・赤マント・赤パンツのスーパーヒーローを今時ストレートに映像化するのは難しいのではという議論が行われていたそうですが、監督のリチャード・ドナーはそれは違うと。
そして、スーパーマンというヒーローの本質を捉えた上でみんなが思い描くスーパーマン像をストレートに描くことで「大人が信じたいと思えるおとぎ話」としてしっかり仕上げたんだそうです。(週刊映画時評ムービーウォッチメンより)

で、本作はそんなリチャード・ドナー版「スーパーマン」の精神に通じるものがあると僕は思ったりするんですよね。

今時、必殺技を叫びながら繰り出す巨大ロボットアニメをリブートするなら、「グレンラガン」とか「キル・ラキル」のように、過去作品をある種パロディー化するか、それ自体をギャグとして扱う、もしくはマジンガーZはあくまで素材として、時代設定をグッと進めて兜甲児の子供や孫を主人公に「イマドキ」のアニメの流行に合わせた作り方をする方法もあるわけです。

でも、本作ではそれをしないで、技術やデザインの進歩にともなって変えるべきところは現代風にアップデートしつつも、本質を押さえてストレートに「マジンガーZ」のカッコよさを描いているんですね。

そのおかげで、本作は多くの古いアニメや特撮のリブート作品が陥りがちな、誰に向けて作られたのか分からない「誰得作品」にならずに済んだんじゃないかなーと。

そんな風に思いました。

興味のある方は是非!!!

 

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負け犬たちのゆるーいケイパーもの「ローガン・ラッキー」(2017)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、「オーシャンズ」シリーズのスティーヴン・ソダーバーグが監督し、チャニング・テイタムアダム・ドライバーダニエル・クレイグが出演したケイパー映画『ローガン・ラッキー』ですよー!

負け犬のホワイトトラッシュたちが人生一発逆転をかけて現金強奪を計画するっていう、田舎版オーシャンズって感じの映画でしたー!

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概要

トラフィック』や『オーシャンズ』シリーズなどのスティーヴン・ソダーバーグ監督がメガホンを取ったクライムムービー。カーレース「NASCAR」の売上金強奪をもくろむ兄弟と爆破のプロフェッショナルの姿を追う。『マジック・マイク』『フォックスキャッチャー』などのチャニング・テイタム、『ハングリー・ハーツ』などのアダム・ドライヴァー、『007』シリーズなどのダニエル・クレイグのほか、ヒラリー・スワンク、ライリー・キーオらが出演。(シネマトゥデイより引用)

感想

豪華キャストが集合した「オーシャンズ」シリーズは、犯罪のプロチームがそれぞれの特技を活かしながら、ラスベガスの3大カジノの金が集まる地下巨大金庫の現金強奪するというルック的にも煌びやかなシリーズですが、本作は南部の田舎町を舞台にホワイトトラッシュ(白人貧困層)の兄弟と服役中の爆破のプロが、自動車レースの収益金を狙うという「裏オーシャンズ的」な作品でした。

監督は「オーシャンズ」シリーズと同じくスティーヴン・ソダーバーグ
2013年に一度は映画から引退しテレビやドラマで活躍していたものの、本作でハリウッドに復帰したそうですね。

僕はソダーバーグ作品って「オーシャンズ11」と「マジック・マイク」くらいしか観てない門外漢ですが、この人「セックスと嘘とビデオテープ」の監督だったんですね。(観てないけど)

ざっくりストーリー紹介

フットボール選手として期待されていたものの足の怪我が原因で建設作業員として働いている兄ジミー(チャニング・テイタム)と、イラク戦争で左腕を失ってしまい、町のバーを経営するクラウドアダム・ドライバー)のローガン兄弟。

シャーロット・モーター・スピードウェイでの作業中に理不尽に解雇されてしまったジミーは、失意のなか別れた妻との間に生まれた愛娘に会いにいくが、二人は近々リンチバーグへと引っ越してしまう事を知る。

その夜ジミーが弟のクライドが経営する酒場に足を運ぶと、NASCARチームのオーナー マックスがクラウドの義手を嘲笑した事に怒ってマックスと喧嘩になり、クラウドはジミーの車に火炎瓶を投げ込む。

翌日、ジミーはスピードウェイの空調設備を利用してサーキットから一気に大金を奪い取る計画をクラウドに打ち明け、服役中の元金庫破りジョーダニエル・クレイグ)とその弟であるサムとフィッシュ。二人の妹であるメリー(ライリー・キーオ)と共に計画を立てるのだが……。というストーリー。

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オーシャンズ」シリーズはプロの犯罪集団によるケイパーものですが、本作のローガン兄弟は犯罪に関してズブの素人だし、肝心のジョーやその兄弟もどうも頼りない。
当然、計画通り順調に進むわけもなく、バタバタしながら計画を進めていく様子を、南部の田舎町を舞台に、ゆるい空気感とオフビートな笑いを交えながら描いていくんですねー。

キャスト陣

そんな本作でローガン家長男のジミーを演じるのは「マジックマイク」や「21ジャンプストリート」「フォックスキャッチャー」など、コメディーからシリアスまで幅広い役を演じるチャニング・テイタム

弟のクライドを演じるのは「スター・ウォーズ7~」でダースベイダーに憧れる中二病カイロ・レンや、「パターソン」でバスの運転手をしながら詩作に励む主人公を演じたアダム・ドライバー

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服役中のジョーを演じるのは6代目ボンド役でお馴染みダニエル・クレイグです。

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ダニエル・クレイグはちょっと間抜けな爆破のプロジョーを喜々として演じてましたねーw
007シリーズ4作でよっぽどストレスを感じてたのかしら。

負け犬たちの一瞬の輝き

主人公のジミーは、怪我によってスター選手の道を絶たれ、職場からは突如解雇を言い渡され、愛する一人娘が引っ越すことすら知らされていないという散々な状況。

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弟のクラウドとともに、町の連中からは「ローガン家の呪い」と揶揄され、挙句、国のために戦って左手を失った弟を成金男に嘲笑されるに至って、ついに我慢の限界を迎えるんですね。

つまり強盗計画はジミーの、(理不尽な)世の中に対しての復讐でもあるのです。

そしてすったもんだの挙句、クライマックスのあるシーンでジミーの人生が(ほんの一瞬だけど)報われるわけです。

そんなジミーに僕が「うんうん、そうだよなー」なんてしみじみしていると、思いもよらぬ展開が用意されていて、思わず「ええーーーー!!」と本気で驚いてしまいましたよww

もしかしたら、これまでのソダーバーグ作品をほとんど観ていなかったからこその驚きなのかもですが。

ただ、そこからの“後始末”が結構ダラダラ続くのは、ちょっと切れ味が悪い気がしましたねー。
もうちょっとスッキリ幕を閉めることが出来たんじゃないかなー。ちょっと冗長だなーと思いました。

とはいえ、(「オーシャンズ」と比べると地味目な映画ながら)観てる間は十分に楽しめたし、ゆるい空気感や笑いに思わずニヤニヤしてしまいましたよ。

興味のある方は是非!!

 

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