今日観た映画の感想

映画館やDVDで観た映画の感想をお届け

“終わった世界”を生き抜く家族の物語「クワイエット・プレイス」(2018)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、昨年公開されて話題になったホラー映画『クワイエット・プレイス』ですよー!

公開時、気になりつつも極度のビビリなので映画館では観れなかったんですが、今回やっとDVDをレンタルしてきましたー!

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画像出典元URL:http://eiga.com

概要

『ボーダーライン』『ガール・オン・ザ・トレイン』などのエミリー・ブラントらが出演したホラー。音に反応し人間を襲う何かが潜む世界で、音を立てずに生き延びようとする一家を映す。ドラマシリーズ「ザ・オフィス」などのジョン・クラシンスキーが監督と出演を兼ね、『ワンダーストラック』などのミリセント・シモンズ、『サバービコン 仮面を被った街』などのノア・ジュープらが共演する。生活音が未曽有の恐怖を生み出し、一家に次々と危機が訪れる。(シネマトゥデイより引用)

感想

いやー、観ている間ずっと緊張しっぱなしでしたねー。

公開時、ネット上では「劇場で音を立てるのが躊躇われる」という感想をよく見かけたんですが実際観てみると、さもありなんって感じでした。

“世界が終わった後”からスタートする物語

本作のストーリーをざっくり説明すると、音を立てると襲ってくるバケモノによって滅亡した世界に暮らす家族の物語です。

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画像出典元URL:http://eiga.com /バケモノの襲撃で壊滅した街から物語はスタート

こうした“世界が終わった後”からスタートする物語は、主に低予算のゾンビ映画などではよく使われる手法です。
少ない登場人物や最小限の表現と物語で、「世界に何が起こったか」を観客に想像させることが出来ますからね。

本作のバケモノは恐らくエイリアンで、大都市を中心に人類の大半は既に滅亡しています。
その過程で分かったのは、
・バケモノには視覚がなく、聴覚で獲物(人間)を狩っている。
・力も強く動きも俊敏、外骨格なので銃弾や刃物も通りにくい?(殺せないわけではないけど、一匹と戦う音で他のバケモノが集まってくる)

主人公のアボット一家が助かったのは、長女リーガン(ミリセント・シモンズ)が聾者で、家族が手話で意思の伝達が出来たからというのが大きいんですね。

それを表現しているのが冒頭部分で、風邪をひいた次男マーカス(ノア・ジュープ)の為に医薬品を補充するため、アボット一家は街のドラッグストアに行くんですが、そこで三男ビュー( ケイド・ウッドワード)がスペースシャトルのおもちゃを見つけます。

音の出るおもちゃなので、父のリー(ジョン・クラシンスキー)は持ち帰る事を禁止しますが、姉のリーガンはこっそりビューにおもちゃを渡すんですね。

しかし、幼いビューは帰り道でそのおもちゃの音を鳴らしてしまい――となるんですが、この時、音にみんなが振り返るのにリーガンは気づかずポカンとしてるわけです。

で、中盤にリーがリーガンに新しい補聴器を渡すことで、彼女が聾者である事が明らかになるんですね。

劇中では、3回くらいまったくの無音になるシーンがあるんですが、それはリーガンの聴覚で捉えた世界を表しています。

また、リーガンを演じるミリセント・シモンズは本当に耳が不自由な女の子で、現場では手話指導もしていたのだとか。
それが本作でのリアリティーを担う一因になっていたようです。

静の前半と動の後半

そんな感じで、物語前半は主に世界の説明や家族の状況や関係性を描いていて、バケモノはほとんど登場しません。

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画像出典元URL:http://eiga.com /親子ゲンカも手話で

ビューの死後に自分を責め、父親にも嫌われていると思い込んでいるリーガンと、父親リーの関係があまり上手くいっていないこと、母親イヴリンエミリー・ブラント)が妊娠、出産間近であることが描かれます。

その分、マーカスとリーが食料調達のため森から帰る中盤以降、具体的には爺さんの叫び声を合図に始まる後半は、イヴリンの出産、子供達のピンチが同時進行で訪れるという怒涛の展開が続くんですね。

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画像出典元URL:http://eiga.com /出産の痛みと迫り来るバケモノに追い詰められるイヴリン

本作の脚本が上手いのは、この静かな前半部分で張ったサスペンスとドラマの伏線を全て、後半のクライマックスで一気に回収しているところだと思います。

もちろん、細々した部分をほじればアラは出てくるし、ネットでも盛大にツッコまれていた「こんな時に子供作ってる場合か」問題もありますが、ここでのイヴリンの出産は単に物語を盛り上げるためだけの仕掛けではなく、出産=赤ん坊の誕生=未来への希望の象徴なので、そこをツッコむのは野暮な感じがしますねー。

ホラーの音響演出

実はホラー映画で一番大切なのは「音」の演出だったりします。
例えば、今やスラッシャーホラーの古典ともなっている悪魔のいけにえ(1974)は、その後のスラッシャーホラーと比べると残酷なシーンはかなり少ないんですが、屠殺場の鉄ドアを閉める音や、耳に残るチェーンソーの音が効果的に恐怖を増幅しているんですね。

一方、本作は音を足し算するのではなく、むしろ引き算することで恐怖を煽る映画なので、音響の人たちはサウンド設計にかなり苦労をしたのだとか。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 次男マーカスと森に行った帰りに…

そのまま録音すると、うるさすぎる自然音から必要な音以外を差し引いて静寂を作っていったんだそうです。それが映画全体を支配する緊張感に繋がっているんですね。

僕はDVDで観たからまだいいけど、これを映画館で観た人はかなり怖かったんじゃないかって思いましたねー。

興味のある方は是非!!

 

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“少し不思議”なジュブナイルストーリー「ペンギンハイウェイ」(2018)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、昨年公開された劇場アニメーション映画『ペンギン・ハイウェイ』ですよー!

ネットでは賛否両論あったみたいですが、個人的には超面白かったですねー!(;゚∀゚)=3ハァハァ

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概要

夜は短し歩けよ乙女」などで知られる作家・森見登美彦の小説を映画化したアニメーション。小学生の少年が、海のない街に突如現れたペンギンの謎を解こうと奮闘する。主人公の声をドラマシリーズ「バイプレイヤーズ」などの北香那、彼が慕う女性を蒼井優が担当。アニメーション制作会社「スタジオコロリド」が制作し、短編『陽なたのアオシグレ』などの石田祐康が監督を務めた。(シネマトゥデイより引用)

感想

本作は、夜は短し歩けよ乙女有頂天家族森見登美彦原作の同名小説を、高校時代からアニメーションを制作し数々の賞を授賞した石田祐康監督でアニメ化した劇場映画です。

森見登美彦作品はこれまで数々の有名アニメ監督の手でアニメ化されていて、彼の現実と虚構の境目に存在するような世界観は、改めてアニメとの相性がいいんだなって思いましたねー。

ざっくりストーリー紹介

毎日の疑問や学びをノートに書きためているアオヤマ君(北香那)は歯科医に務めるお姉さん(蒼井優)のおっぱいに興味津々の小学4年生。

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夏休み間近のある日、彼が暮らす町に突然、いるはずのないペンギンが現れるという現象が発生し、アオヤマ君は友達のウチダ君(釘宮理恵)と謎を解くための調査研究に乗り出す。

その途中、アオヤマ君は密かに恋心を抱いているお姉さんが投げたコーラの缶がペンギンに変身する瞬間を目の当たりにし......。というストーリー。

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さらに中盤からは、彼らが「海」と呼ぶ謎の浮遊球体や、ペンギンたちを餌にする謎の生物も現れ、事態は町全体を巻き込んだ大事へと発展していくんですねー。

SFのようなファンタジーなのか、ファンタジーのようなSFなのか

アオヤマ君は理屈屋でセリフが文語調だったり、クラスではチェスが流行っていてハマモトさん(潘めぐみ)という超強いクラスメートがいたり、アオヤマ君自身もお姉さんに(お姉さんが務める歯科医に近いカフェで)チェスを教わったり、お姉さんの家に泊まったり(?)、その割にはお姉さんの名前も知らなかったりと、どこにでもあるようなごく普通の町での物語なのに、ちょいちょい違和感を覚えるシーンが登場するので、森見作品の世界観を知らない人はちょっと混乱してしまうかも。

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僕も森見登美彦の小説は数本しか読んでないですが、その世界感は基本的には僕らが暮らす現実の世界のようで、実はちょっとズレているパラレルワールド的な異世界ファンタジーという感じなんですね。

京都のボロアパートに落ちぶれた天狗が住んでいたり人間世界で暮らすたぬきのコミュニティーがあったり、大学にはヘンテコなサークルがたくさんあって独自の文化を形成していたり。

そして登場人物たちはそれらを“普通のこと”として受け入れて、普通に生活しているわけです。

基本的には本作も同じラインの世界観なんですが、ちょっと違うのは突如現れたペンギンや空中に浮かぶ<海>、そしてお姉さんの謎をアオヤマ君が解き明かそうとするという、SFチックな要素も入っていて、それがアオヤマ君の成長に直結するというジュブナイル物語(もしくはセカイ系とも言える)でもあるってことでしょうか。

アニメーションとしての気持ちよさ

「アニメーション」の気持ちよさには、絵で書いたキャラクターがまるで生きた人間のように見える生活の動きと、実写では描けないダイナミックでデフォルメされた動きの二通りあると思うんですが、本作ではコーラの缶などの無機物がペンギンに変形していくなどの後者の気持ちよさに溢れています。

特に、アオヤマ君とお姉さんがペンギンの大群と町を疾走するクライマックスは、石田祐康監督が京都精華大学マンガ学部に在籍していた時の自主制作作品「フミコの告白」にも通じるダイナミズムと爽快感溢れる見事な演出だったと思いますねー。

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ラストも、お姉さん=大人の女性や、彼女に抱く恋心(というか憧れ?)という小学校4年生の男子にとってはまだ不可解なものの答えを、未来の宿題に取っておくという綺麗な終わり方で、個人的にはとても好きでしたねー。

あと、お姉さん役を演じた蒼井優の声もこの作品にはとても合っていて良かったと思いました。

興味のある方は是非!!

 

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古典なのにむしろ今っぽい、カルト的ホラー映画「ローズマリーの赤ちゃん」(1969)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、巨匠ロマン・ポランスキー監督のホラー映画『ローズマリーの赤ちゃん』ですよー!

実はこの映画、僕は今回が初見だったんですが、想像してたのと全然違っていろんな意味で驚いた作品でしたねー。

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概要

巨匠ロマン・ポランスキー悪魔崇拝者たちに狙われたある主婦の恐怖を描いたオカルト・サイコ・ホラー。マンハッタンの古いアパートに、若い夫婦者が越してきた。やがて妻のローズマリーは身篭もり、隣人の奇妙な心遣いに感謝しながらも、妊娠期特有の情緒不安定に陥っていく。彼女は、アパートで何か不気味なことが進行している、という幻想にとり憑かれていた……。(allcinema ONLINEより引用)

感想

古い映画なのにむしろ今っぽい

 本作は、アメリカの作家アイラ・レヴィン原作の同名ホラー小説が原作。
で、アイラ・レヴィンがこの作品を書くきっかけとなったのが「サリドマイド事件
 1961年 に西ドイツの小児科医 W.レンツの指摘で、妊娠初期に鎮痛系睡眠薬サリドマイドを服用すると奇形児が生まれる可能性があることが分かったという事件で、多くの女性が妊娠に恐怖心を抱くようになったのだとか。

このニュースと悪魔崇拝を組み合わせて書かれた原作の映画化権を、当時ゲテモノB級映画ばかり作っていた ウィリアム・キャッスルが取得。

しかし、彼に監督させるとまたぞろ低俗B級映画にされてしまうということで、当時ヨーロッパで活躍していたロマン・ポランスキーが抜擢されたという経緯なんですね。

主人公のローズマリーは赤ちゃんを妊娠。
しかし、アパートの住人たちが悪魔崇拝者で、自分は悪魔の子を妊娠させられたのではという疑念に取り憑かれた彼女は、精神的に追い詰められていき……という物語で、劇中起こっていることが現実なのか、それともマタニティーブルーのローズマリーが取り憑かれた妄執なのかが最後まで分からないというのがミソ。

物語はずっとローズマリー視点で描かれるわけですが、主演のミア・ファローが醸し出す線が細くて繊細な危うさによって、重度のマタニティーブルーによるノイローゼなのでは? と見ているこっちに思わせるように作られているんですね。
つまりローズマリー「信用できない語り部なのです。

実は僕がこの映画を観ようと思ったのは、あるレビュアーさんが本作と「ヘレディタリー継承」の関連について言及されていたからなんですが、1960年代の映画にも関わらず題材的にもテーマ的にもむしろ今っぽさを感じる作品だと思いましたねー。

特撮やビックリ演出は一切なし

そんな本作の何が凄いかというと、特殊メイクやSFX、流血など、おばけ屋敷的なビックリ演出はほぼなくて、役者の演技と照明、カットと編集、つまりは普通のドラマと同じように作られているところ。

映画冒頭、新居探しに古めかしいアパート(外観はジョンレノンとオノヨーコが暮らしたことで知られるダコタハウス)を訪れるガイとローズマリー夫妻の様子は、まるで古き良きアメリカの小意気なラブコメのような軽快なタッチで始まるんですが、それが映画序盤の“ある事件”をキッカケに、ローズマリーの目(見ている観客の視点でもある)には隣室のおせっかい老人夫婦や、産婦人科医、アパートの住人、果ては夫のガイに至るまで、その行動がどんどん怪しく見えてくるわけですね。

しかし同時に、彼ら(彼女ら)はただの親切な善人で、これは全てローズマリーの妄想なのではないかという疑念も捨てきれないので、観ながら、そして観終わったあともどっちなんだろうとモヤモヤしてしまうわけです。

そして観終わったあと振り返ってみれば、後の展開に向けて序盤の軽快なタッチの中にも周到に伏線が仕掛けられている事が分かるんですよね。(タンスの位置とかセリフの端々とか)

というわけで、ここからはネタバレですよー!

 

 

ラストの展開(ネタバレ)

すったもんだの末に、赤ちゃんを出産したローズマリーでしたが、残念ながら死産だったことを知らされます。

落胆する彼女でしたが、何故かトルコに行っているハズの老夫婦の隣室から赤ちゃんの泣き声が聞こえるんですね。

ローズマリーが、武器として包丁を片手に隣室に潜入すると、そこにはいないはずの隣人夫婦や、アパートの住人たち、産婦人科、そして夫のガイもいてパーティーの真っ最中。

そして、その中心には黒いゆりかごが置かれていて、その中を覗いた彼女は悲鳴をあげます。

この時、赤ちゃんの姿は撮らないんですが、ミア・ファローの演技だけで赤ちゃんが人ならざるものであることが分かります。

半狂乱になって周囲のサタニストたちに悪態をつき、自分の出世のために妻と赤ん坊を差し出した夫ガイに唾を吐きかける彼女でしたが、最後は、赤ちゃんの母親であることを受け入れる表情で映画は終わるんですねー。

このラストは、赤ちゃんを撮さないことで、より恐怖が増すという名場面なんですが、このシーンすら、現実なのか死産にショックを受けた彼女の妄想なのかは、曖昧なまま観客の想像に預ける形で映画は幕を閉じる。

ここも全て、役者の演技だけで構成されているので、いわゆるおばけ屋敷的な「怖い」というより、真綿で首を湿られているようなじわじわくる怖さ(というか嫌さ)がある映画でしたねー。

興味のある方は是非!!!

 

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日本のマンガをジェームズ・キャメロンが実写映画化!「アリータ:バトルエンジェル」(2019)

ぷらすです。

観てきましたよー!
ジェームズキャメロン制作、ロバート・ロドリゲス監督の『アリータ:バトルエンジェル』を!!

2003年の制作発表から実に16年。ついに実写化された本作。
キャメロンの肝入りということもあってか、ビジュアル・アクション面には「これ、『銃夢』ですやん!」大興奮でしたよー!(;゚∀゚)=3ハァハァ

というわけで、今回はまだ公開されたばかりの作品なので、出来るだけネタバレしないように気をつけて書きますが(まぁネタバレどうこうって作品ではないんだけど)、これから見に行く予定の人や、ネタバレは断固拒否! って人は、映画を見てからこの感想を読んでください。

いいですね? 注意しましたよ?

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画像出典元URL:http://eiga.com

概要

木城ゆきとのコミック「銃夢」を、ジェームズ・キャメロンが脚本と製作を手掛けて実写化したSFアクション。未来を舞台に、圧倒的な戦闘能力を持つサイボーグ少女が失われた記憶を探る姿を活写する。メガホンを取るのは『シン・シティ』シリーズなどのロバート・ロドリゲス。『メイズ・ランナー』シリーズなどのローサ・サラザール、『ジャンゴ 繋がれざる者』などのクリストフ・ヴァルツらが出演する。ローサがモーションキャプチャーでサイボーグ役に挑む。(シネマトゥディより引用)

感想

制作までの経緯

本作の原作は、「ビジネスジャンプ」に1991年から1995年にかけて連載された、木城ゆき原作のSF漫画「銃夢」です。

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この当時に青春を過ごしたオタク青年にとっては、今更語る必要もないくらい有名な作品ですね。

で、「銃夢」は割と早い時期から海外版で翻訳出版されていて、この漫画の大ファンだった映画監督ギレルモ・デル・トロが、ジェームズ・キャメロンに紹介。
アニメを観たキャメロンは「銃夢」の世界観を大変気に入って、「この漫画、俺が監督するきゃめろん! (;゚∀゚)=3ハァハァ」となり、2003年に、フジテレビの番組「情報プレゼンター とくダネ!」のインタビューで脚本執筆中である事を明かしたことで、ファンは多いに盛り上がったんですね。

 

ところが、実際キャメロンが作ったのは「アバター」で、「あー、銃夢は御蔵入りかなー」とファンをガッカリさせるも、2010年にキャメロンは「まだ諦めてない」発言。なのにアバター続編に着手したりと、紆余曲折の末にロバート・ロドリゲス監督で公開されたのが本作「アリータ:バトルエンジェル」なのです。

ちなみに、主人公の名前が原作版の「ガリィ」から「アリータ」に変更されたのは、英語圏で「ガリィ」は「不毛の~」的な意味になってしまい印象が悪いからという理由だそうですよ。(海外版マンガの時点でアリータに変更されていた)

かなり原作に忠実

原作版は「銃夢」が全9巻、続編「銃夢 LastOrder」が19巻+外伝1巻、さらに「銃夢 LastOrder」の続編で前日譚も描かれている「銃夢火星戦記」が現在も連載中という長大な叙事詩的作品。

本作では、その中から「銃夢」1~4巻を中心に描かれています。

地球と火星連邦共和国(URM)の間で繰り広げられた没落戦争から300年。
地球最後の空中都市"ザレム"と、ザレムから排出された廃棄物が積み上がる地上のクズ鉄町"アイアンシティ"に世界は分断されています。

アイアンシティは、ザレムから排出された鉄クズの売買や、サイボーグ医療などへの転用、またザレムのための食料の生産などが主要産業の町で、ザレムに統治されている状況。ある種のディストピアですね。

そんなアイアンシティでサイバネ医師を営むイド(クリストフ・ヴァルツ)は、ある日鉄くずの中から300年前の少女サイボーグの頭部を発見、修復します。

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奇跡的に脳は無事だったものの、過去の記憶を失っていた彼女は、イドによってアリータ(ローラ・サラザール)と名付けられ、一緒に暮らすように。

しかしイドにはもう一つ、賞金稼ぎの顔があり、それを知ったアリータは自分も賞金稼ぎになりたいと言い出すのだが……という物語。

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その後、アリータの初恋、賞金首グリュシカ(ジャッキー・アール・ヘイリー)との死闘、サイボーグボディ"バーサーカー"の発見とボディ交換、そして、ファンに人気のモーターボール(原作オリジナルの人気スポーツ)、ザレム人科学者ノヴァ(エドワード・ノートン)との因縁を描いていくんですね。

基本的には原作にかなり忠実に描かれていて、その分、格エピソードがこれでもかと詰め込まれていて、まるで原作マンガの“総集編”みたいな内容なので、原作ファンにとっては物足りなく感じるかもしれません。

個人的には、原作の内容もうろ覚えで、「銃夢」自体にもそれほど思い入れがないので楽しく観ることが出来ましたけども。

アリータの目がでかい問題

本作のスナップ写真や予告編を見たファンが一番気になっている部分は、多分アリータの目の大きさなんじゃないかと思います。

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正直、僕も最初にアリータのスナップ写真を見たときは「日本のマンガっぽくしようとしてんのかなー」なんてかなり不安に思ってたんですよね。

しかし、本編の動きの中で見ると最初こそ多少気になったものの、すぐに気にならなくなりましたねー。(むしろ「カワイイじゃん」って思うシーンも多々あったり)

後で調べたところ、アリータの大きな目は単に“日本のマンガが原作だから~”という短絡的な考えではなく、大きな目でアリータの成長や感情をより強調するという明確な目的があったようです。

あと、劇中明かされるアリータの出生を鑑みて、イドなどの人間との差別化の意図もあったのかもしれません。

また、アイアンシティの風景や様々なキャラクターのビジュアル、サイボーグ同士のアクションシーンなどは、さすがキャメロンプロデュース作品ということもあり、まさに原作マンガやアニメ(OVA)がそのまま実写になったような素晴らしい出来でしたよー!

「言うことなしの100点満点!」「 サイコーの映画!!」 とまでは言いませんが、物語もいい感じでまとまっているし映像も素晴らしいので、122分と若干長尺でも最後まで楽しく観られる良作だったと思うし、この手のブロックバスターアクション映画は、出来れば劇場の大画面で観ることを強くオススメします!

興味のある方は是非!!!

 

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“伝記映画”ならぬ“伝奇映画”「ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷」(2018)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、実話を元にしたホラー映画『ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷』ですよー! サブタイトルが長い!

銃ビジネスで名を成したウィリアム・ウィンチェスターの未亡人、サラ・ウィンチェスターが生涯自宅を増築し続けたという実話をもとにした“伝奇映画”です。

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画像出典元URL:http://eiga.com

概要

アメリカに実在する幽霊屋敷ウィンチェスター・ミステリー・ハウスが舞台のホラー。大富豪のウィンチェスター一族の女性が、怨霊から逃れようとするさまを描く。監督は『プリデスティネーション』『ジグソウ:ソウ・レガシー』などのマイケル&ピーター・スピエリッグ。奇妙な屋敷の主人にオスカー女優ヘレン・ミレンがふんするほか、『エベレスト 3D』などのジェイソン・クラークらが共演する。(シネマトゥディより引用)

感想

実話ベースのホラー映画

本作は、世界有数の銃メーカー社長ウィリアム・ウィンチェスターの未亡人サラ・ウィンチェスターが生涯をかけて増築し続けた奇行で有名な幽霊屋敷「ウィンチェスター・ミステリー・ハウス」の物語。

この未亡人と幽霊屋敷の話はテレビなどでも紹介されているので、元ネタを知っている人も多いかもしれません。

サラ・ウィンチェスターは1866年に娘のアニーを、そして1881年に夫ウィリアムを亡くします。

悲しみにくれた彼女は友人のアドバイスで「ボストンの霊媒師」の通り名で知られていたこの霊媒師に見てもらったところ、ウィンチェスター家が代々製造してきた銃が多くの人々の命を奪ってきたため、一家に呪いがかけられていると言われ、さらに、

アメリカ西部へ行き着いたその場所へ、あなた自身とその恐ろしい銃で亡くなった人たちの霊のために家を建てなさい。家の建設を止めてはなりません。あなたがもし建て続ければ、あなたは生き長らえるでしょう。もし止めれば、あなたは死んでしまうでしょう」と告げられるんですね。(諸説有り)

それでサラはカリフォルニア州へ定住して彼女の屋敷の建設工事を開始。
亡き夫の莫大な遺産と約50%の持ち株の配当金を使い、38年間渡って24時間365日、屋敷の増築工事を続けたのだそうです。

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画像出典元URL:http://eiga.com  /サラ役にはなんとアカデミー女優ヘレン・ミラン

本作は、アカデミー女優ヘレン・ミレン演じるサラの奇行を快く思っていないマンチェスター社の重鎮に雇われた精神科医エリック・プライスジェイソン・クラーク)が、彼女を精神鑑定するため屋敷を訪れ、数々の超常現象に見舞われるという物語で、クライマックスのカリフォルニア地震1906年)に向かって物語が進んでいくんですね。

逆転の物語

現実の「ウィンチェスター・ミステリー・ハウス」は、悪霊の呪いによって邸宅内で及ぼすと予想した霊障からいつでも逃れる為の隠し部屋・秘密通路をひたすら増築し続けた、サラの妄執からくる奇行の結晶とされていますが、本作では、ウィンチェスター製の銃で亡くなった人たちの怨念を招いて成仏させるため、彼ら(幽霊)の為の部屋を用意するという設定。

そうすることで、霊はサラと会話出来るようになるので、サラが説得して成仏させ、恨みが強く成仏しない悪霊は部屋に13本の釘で封印しているのです。

つまり、サラはウィンチェスター銃が生み出した亡霊から一族を守る霊能者であり、「ウィンチェスター・ハウス」はその儀式のための巨大な装置(祭壇)なんですね。

監督のスピエリッグ兄弟は「ウィンチェスター・ミステリー・ハウス」の逸話を逆転させ、伝記映画ならぬ“伝奇映画”に仕立てたわけです。

その真相を解き明かすのが、サラから経営権を奪うためウィンチェスター社の重鎮に雇われてサラの治療(というか精神鑑定)にやってきた、ジェイソン・クラーク演じる精神科医エリック・プライス。

実は彼には“ある辛い過去”があり、本当は幽霊が見えるけど精神科医という職業柄「超常現象」を否定しているんですね。そんなエリックがこの屋敷での恐怖体験を通して、囚われていた辛い過去の罪悪感から開放されるというのが、本作の大筋です。

色々飲み込みづらい

いわば、この作品はかなり変則的ではあるけど、カテゴリーとしては「お祓い映画」で、個人的には大好物なジャンル。

……のハズなんですが、正直色々と飲み込みづらい部分が多かったですねー。

本作のメインキャラは、サラとエリック、そしてサラの姪 マリアン・マリオット(サラ・スヌーク )とその幼い息子ヘンリー(フィン・シクルーナ=オープレイ)の4人。

幽霊屋敷オーナーであるサラは当然として、エリックはこの家にやってきたことで、“過去の後悔”から解き放たれる。

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画像出典元URL:http://eiga.com /悪霊から息子を守ろうと孤軍奮闘するマリアン

つまり、本作はサラではなくエリック二つの物語がメインなのです。
さらにマリアン、ヘンリーの母子の物語も同時進行するので、一応、物語の中心にサラがいるけどどうにも散らかってしまってる感じがするんですよね。

後半では、あっと驚く(ハズの)どんでん返しがあるんですが、あまりにもサラッと描かれすぎてて全然どんでん返し感がないし、屋敷そのものの異常性も、あまり目立たないし、ホラー描写も単調でどこかで見たようなビックリ表現ばかり。

っていうか、24時間あちこちで大工がトンテンカントンテンカンしてて、メイドや召使がウロウロしてるハズの家なのに、夜中になると超静かになるとか、そんなわけあるかー!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ って思ったり。

っていうか、そもそも主犯格の悪霊の生前のウィンチェスタ家を恨む動機とその復讐? の行動原理から、死後の成仏のシーンに至るまで、ビタイチ納得出来ないのです。

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画像出典元URL:http://eiga.com /「ウィンチェスター銃は亡霊だって殺すぜ!」

もっと言えば銃社会断固反対!」みたいな内容かと思いきや、最後は「ウィンチェスター銃最強!」みたいになっとるがな。

そんなアレコレを含めて、どうにも焦点がボケちゃってる感じはありましたが、個人的にはヘレン・ミレン主演のホラー映画ってことで割と楽しく観ることが出来ましたよ。時間もほぼ100分で長くも短くもなく、ちょうどいい感じでしたしね。

興味のある方は是非!

 

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昨年リメイクされたカルト的イタリアンホラー「サスペリア」(1977)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、昨年約40年ぶりにリメイクされたことで話題になったイタリアンホラー『サスペリア』ですよー!

子供の頃にテレビで見て以来、今回随分久しぶりに見返しましたー。
で、今回は大昔の作品だしネタバレを気にせず書いていきますので、ネタバレ嫌って人は、映画を観てからこの感想を読んでくださいね。

いいですね? 注意しましたよ?

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画像出典元URL:http://eiga.com

概要

ヨーロッパのバレエ学校に入学したスージーを待ち受けていた奇怪な体験。次々と殺人が起こる中、彼女は学校に魔女が棲んでいる事を突き止める。D・アルジェントは原色に近い派手な色彩と音楽(ゴブリン!)の合体でスタイリッシュな作品を造り上げ、その手法は以後のイタリアン・ホラーに大きな影響を与えた。(allcinema ONLINEより引用)

感想

決して、ひとりでは見ないでください」のキャッチコピーで、日本でも一世を風靡したダリオ・アルジェント監督の「サスペリア
僕は多分、子供の頃にテレビの洋画劇場で何度か観ていると思うんですが、内容の方は他の映画と混じっちゃって、ずっとうろ覚えだったんですよね。

で、昨年公開のリメイク版が話題になった事もあって、この機会に復習のつもりで観たんですが、「へー、こういう物語だったのか」と、やっと内容を理解しましたよ。

ストーリーは、主人公スージージェシカ・ハーパー)が入学したヨーロパの名門バレエ学校は魔女たちの館だった。という内容で、その後公開される「インフェルノ」(1980年)「サスペリア・テルザ 最後の魔女」(2007年)と合わせて魔女3部作と呼ばれています。

ちなみに、有名な話ですが「サスペリア」は日本の宣伝部が勝手につけた邦題で、サスペリアとは全く関係がない上にサスペリアより前に作られた映画なので、これからサスペリアを観ようという方は気をつけてくださいね。

で、今回、僕が本作を観て思ったのは、

・怖くない
・BGMがうるさい
ジェシカ・ハーパーは可愛い

の3つでしたねー。

怖くない

僕の中でこの頃のイタリア映画って、ホラーにしろ、ウエスタンにしろ、モキュメンタリーにしろ、露悪的でエログロも積極的に描く見世物的映画という印象なんですよね。

で、本作も序盤のガラス天井突き破って首吊りドーン! お母さん(?)は落ちてきたガラスの破片が顔面にザクー!とか、「何かモゾモゾするわ」→天井から蛆虫ポトポトとか、77年当時としてはかなりショッキングなシーンはあるんですが、80年代にジェイソンやフレディーやゾンビを観まくってた身としては、ゴア描写自体はさほど驚かないし(虫は嫌だけど)、原色バリバリ、ケレン味たっぷりのライティングがむしろノイズになったり、(今の目で見ると)恐怖シーンもアッサリしすぎてて、ぶっちゃけ全然怖くなかったですねー。

まぁ、近年のホラーとは文脈が違うってのもあるし、怖がらせることよりアート寄りってないってのもあるんでしょう。

あと、当時劇場では音楽が、音響立体移動装置(サーカム・サウンド・システム)により増幅されていたらしいので、DVDで観ると怖さが伝わってないのかもですが。

BGMがうるさい

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本作のあの特徴的な音楽は、映画音楽で知られるイタリアのプログレッシブ・ロック・バンド「ゴブリン」が担当しているんですが、本作の音楽は物語を盛り上げるBGMというより、音楽の主張が映像以上に激しいというか、有り体に言うと「うるさい」んですよね。

とにかく音楽が気になって物語が頭に入ってこない

これもが劇場なら音響立体移動装置で恐怖演出になってるのかもですが、DVDで見ると「あ、この曲ってコーラス入ってたんだ」とか、音楽の方に思考が持っていかれちゃうのです。

ジェシカ・ハーパーは可愛い

ただ、主演のジェシカ・ハーパーは可愛かったですねー!
当時28歳くらいだと思うんですが、目が大きくてベビーフェイスなのでまだ10代くらいに見えるんですよね。

ただ、そんな見た目に反して、声はちょっと低めでしたけどもw

世代交代の物語?

バレエを習いに来たのに、なぜか魔女のラスボス、エレナ・マルコスと対決するハメになってしまったスージーはサクッとエレナを刺殺。

すると、魔女の子分だった先生や小間使いたちが苦しみだし、学校が崩れ始める中を命からがら逃げ出したスージーがニヤリと笑う背後で、燃え盛る学校からは先生(魔女崇拝者?)たちの断末魔の悲鳴が聞こえるというエンディングになってます。

これはつまり、エレナを殺したことでスージーが魔女エレナの力を受け継いで魔女になったって事ですよね多分。

基本、ストーリー自体は単純明快で、関係ないシーンを削れば多分20分くらいで終わっちゃうような物語なんですが、そんなシンプルなストーリーを彩る原色のライティングや、「何かの伏線か?」と思わせる映像や音楽演出の連続で観客を煙に巻く、ハッタリ利かせまくりの楽しい映画でしたねー。

ただまぁ、あえて言えば「魔女」っていうのがね。

海外ではドラキュラやミイラ男と並ぶモンスター扱いの魔女ですけど、個人的には「魔女っ子アニメ」の印象が強いので、魔女が怪物扱いされるのって感覚的にどうもピンと来ないんですよねw

本作の場合は女性がメインの物語だしエレナが悪霊っぽく描かれていたので、普通に楽しめましたけども。

興味のある方は是非!

 

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ジェームズ・ワンxケヴィン・ベーコンによる良作リベンジムービー「狼の死刑宣告」(2009)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、みんな大好きケヴィン・ベーコン主演、「アクアマン」のジェームズ・ワン監督のコンビが、ある男の壮絶な復讐を描いたアクション映画『狼の死刑宣告』(原題:Death Sentence)ですよー!

「ソウ (SAW)」シリーズのジェームズ・ワンが、ホラーだけじゃない事を証明した作品です!

https://eiga.k-img.com/images/movie/34184/photo/7cd81698ab4485c4.jpg?1495096523

画像出典元URL:http://eiga.com

概要

大ヒットした『ソウ』シリーズの生みの親であるジェームズ・ワン監督が、『狼よさらば』の原作者ブライアン・ガーフィールドによる同名小説を映画化したバイオレンス・アクション。家族と幸せな生活を送りながらも息子を殺されたことから復讐(ふくしゅう)の鬼と化していく男の姿を、過去の名作アクションへのオマージュを散りばめて描く。主演は、『フットルース』のケヴィン・ベーコン。立体駐車場で繰り広げられる暴漢一味との追跡シーンに息をのむ。(シネマトゥデイより引用)

感想

本作はチャールズ・ブロンソン(リメイク版ではブルース・ウィリス)主演で映画化もされた『狼よさらば』の原作者、ブライアン・ガーフィールドの同名小説を「ソウ」シリーズのヒットで一躍新時代ホラーの旗手として躍り出たジェームズ・ワンが実写化したアクション映画です。

僕の大好きなケヴィン・ベーコン主演ということで前から観たかったんですが、レンタルに置いてなくて諦めてた映画で、今回、監督が「アクアマン」のジェームズ・ワンだったと知って、思い切ってアマゾンプライムビデオで鑑賞したら、超面白い作品でしたよー!!

ざっくりストーリー紹介

本作のストーリーをざっくり紹介すると、

妻と男の子2人の家族と幸せな生活を送るニック(ケヴィン・ベーコン)はある日立ち寄ったガソリンスタンドでギャングの襲撃に遭遇、目の前で長男(スチュアート・ラファティ)を殺されてしまう。

犯人は捕まったものの、あまりに身勝手な殺害理由や、納得のいく刑罰を下せないことを知った彼は、法廷で裁くことを断念。自らの手で復讐を考え実行。

しかし、ニックが殺害した犯人はギャングのボスのたった一人の弟だった……。

という内容です。

狼よさらば」では、家族を殺された主人公がビジランテ(自警団)として、街の悪人を無差別に殺していくうちに英雄視されるようになり、次第に目的が変わっていくという内容でしたが、本作はそれとは毛色が違って一本径の復讐劇になってましたねー。

https://eiga.k-img.com/images/movie/34184/gallery/main_large.jpg?1396887789

画像出典元URL:http://eiga.com

ニックは最初、怒りに駆られて復讐を計画するも、この時はまだ迷っているんですね。しかし、愛する息子を殺した犯人の顔を見て我慢できなくなった彼は、突発的に復讐を果たしてしまいます。

しかし、覚悟なき復讐の代償は、より凄惨な結末をもたらしてしまうのです。

本作の内容をざっくり言えば「復讐は割に合わない」という割と倫理的なオチへと着地するんですが、しかし、ニックが復讐に至るまでの過程を観れば「復讐なんて割に合わないよね」と簡単には言い切れない理不尽さがあります。

もちろんニックの行動は傍から見れば浅はかだし、その代償として彼は多くのものを失うけれど、彼を復讐に向かわせたのは結局被害者と加害者の「釣り合いが取れない」アメリカの司法制度なのです。

ダイナミックなアクションと、ディテールの細かさ

本作で、誰もが口を揃えて賞賛するのが、中盤、高層駐車場でのニックとギャングのチェイスシーン

ほぼカットを割らずに1カット長回しで一連のシークエンスを撮影しているんですが、「一体どうやって撮影してるんだろう?」と思っちゃうような凄いシーンでしたねー。

町でギャングに襲撃され逃げるニックと、追うギャング。
高層駐車場に逃げ込んだニックをカメラは追っていくんですが、逃げ場も隠れる場所もない駐車場で、たまたま駐車中の車にぶつかって防犯ブザーが鳴るのを見て、ニックは逃げながら次々に車を揺らしてブザーを鳴らしていくわけです。(騒ぎを起こせば警察が来ると考えた)

そうやって、駐車場を1階から上に向かって逃げるニックを追いかけるカメラは、途中で駐車場の外に出て、一端下の階のギャングを映し、また上に上って駐車場の中で屋上に向かうニックを追うわけですよ。

ほかの人のレビューによると、これ、駐車場の外にクレーンを用意して、駐車場でケヴィン・ベーコン演じるニックを追っていたカメラマンが、クレーンのカメラマンにパスして下の階のギャングを撮影、再びクレーンで上がって中のカメラマンにパスしてニックを追うというやり方なんだそうですね。

そんな苦労をして撮影したこの駐車場の長回しシーンのおかげで、次第に追い詰められていくニックの焦燥感がダイレクトに観ているこっちにも伝わってくる名シーンになってるのです。

他にも細かいところで言うと、復讐の時、ギャングにニックの身元がバレるシークエンスのあと、場面がニックに切り替わると、彼が手に巻いた包帯(最初の復讐の時に負傷した)から血が滲んでいるんですね。

これは、ニックの復讐がバレて「これから凄惨な事が起こりますよ」っていう映像的な暗喩になってるのです。

あと、ギャングとの本格的な殺し合いに向かう前に銃を購入したニックが、説明書を見ながらたどたどしい動きで失敗しながら銃に弾を込め、銃の取り扱いを練習するシーンも良かったし、ニックが身も心も「狼」になるためにバリカンで髪を切るんだけど、自分でやってるから後ろ髪は長く残ってるとか、普通なら、「ちゃんと刈れよ」って思っちゃうところだけど、本作ではそれが逆にニックの心情を効果的に描く事に繋がっているわけですよね。

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画像出典元URL:http://eiga.com

彼が復讐者として完全に覚悟を決める病室のシーンでは、ちょっとやりすぎなくらいケレン味のある描写をしてるんですが、それまでの流れを踏まえるとアガるシーンになってましたねー。

まぁ、確かにちょっと蛇足に見えるラストシーンとか、警察が役立たず過ぎるとか、ところどころあまり上手くないシーンもあるんですが、個人的に、長男が殺される件だとか、裁判のシーン。ニックが追い詰められていくシーンの描写では胃がキリキリするくらいニックに感情移入して観てしまいました。

それ(多分)演出や描写に、ジェームズ・ワン「ソウ」シリーズで培ってきたホラーのテクニックを活かしているからなんですよね。

そういう意味でも、ジェームズ・ワンはいい監督だなーと思いましたねー。

興味のある方は是非!!!

 

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