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今日観た映画の感想

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「ロング・グッドバイ」(1974) 感想

映画レビュー

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、ハードボイルド小説生みの親の一人、レイモンド・チャンドラーの『長いお別れ』を1973年に映画化した作品『ロング・グッドバイ』ですよー!

冴えない独り者の私立探偵 フィリップ・マーロウが、親友の死の真相をキッカケにある事件に巻き込まれていくハードボイルドミステリー? です。

あと、先に少しネタバレしますが、本作にはチョイ役でシュワちゃんも出てますよー!

http://ecx.images-amazon.com/images/I/51ra4fJUNnL.jpg
画像出典元URL:http://www.amazon.co.jp/

概要

アメリカの作家、レイモンド・チャンドラーが1953年に発表したハードボイルド小説『長いお別れ』(2007年発行の村上春樹訳版タイトルは「ロング・グッドバイ」)の映画化作品。

内容やキャラクター造形は、映画が作られた1970年代に合わせてアレンジされている。
監督は『M★A★S★H マッシュ』や『相続人』のロバート・アルトマン
主演は『オーシャンズ11~13』でルーベン・ティシュコフ役を演じたエリオット・グールド

 

あらすじ

冴えない中年の私立探偵 フィリップ・マーロウエリオット・グールド)が靴のままベッドで眠っていると飼い猫に起こされ餌の催促をされる。
しかし、家に在庫を切らしていたマーロウは仕方なく、夜中のコンビニ? まで猫の餌を買いに行くハメに。

戻ったマーロウを待ち受けていたのは、親友のテリー・レノックス(ジム・バウトン)。
追われているので、メキシコとの国境まで連れて行って欲しいと頼まれ自分の車で送り届けたその翌日、警察に捕まったマーロウはテリーの行き先について取り調べを受ける。

警察によればテリーが奥さんを殴り殺したという。
それから3日、警察に交流されたマーロウだったが突然釈放される。
理由を問うマーロウに、警部はメキシコでテリーの死体が発見された事を告げる。

 

感想

以前、『インヒアレント・ヴァイス』という映画の感想を書いたんですが、

aozprapurasu.hatenablog.com

これが、ちょっとややこしい映画だったので、感想を書くときにネットでチョコチョコ情報確認しながら書いてたんですね。

その時に「インヒアレント・ヴァイス」のルーツを辿ると本作の影響を受けているのが分かる。みたいな事を誰かが書いていたので、それならと今回、本作を観てみることにしました。

70年代版フィリップ・マーロウ

最初に感じたのは、「のんびりしてるなー」ということ。
1973年の古い作品ということで、今の感覚で観るとちょっと間延びして見えるかもしれないです。
他にも、ああ、70年代のアメリカなんだなーと思うシーンが多々登場するので、その辺のジェネレーションギャップみたいのは感じますよね。

本作の原作は1953年ですから、この時代よりさらに古く、多分主人公のフィリップ・マーロウもトレンッチコートにハットを目深に被ってるようなキャラだと思うんですが、本作のマーロウはボサボサ頭にヒョロリとした体型。
いつも眠そうで無気力な冴えない男で、人生を諦観したようにボソボソ話すオフビートなキャラクターです。

アメリカンニューシネマとしての本作

日本でいうと松田優作主演の『探偵物語』の工藤ちゃんです。というか、本作が『探偵物語』の原型なんですけどね。

丁度この当時、『アメリカンニューシネマ運動』の影響もあって、それまでのマッチョな男性像がウケなくなってる時期だったんでしょうね。
なので本作のマーロウ、腕っ節は弱くて警察やギャングにいいようにボコられるし、特に車の運転が上手いとかずば抜けた頭脳で事件を解決! なんて事もなく、不景気も手伝って日々の仕事にも事欠くような、いわゆる『負け犬』です。

そんな彼が権力や暴力に対抗する唯一の武器は「減らず口」
相手が有名人だろうが、警察だろうがギャングだろうが、彼は常につまらないジョークを連発したり、相手を小馬鹿にした態度を崩しません。

金も力もないけど、自分の教示だけは曲げない時代遅れの男です。

そのへんのキャラクター造形も、ニューシネマ運動の影響をモロに受けてるなーという感じがしました。

アメリカンニューシネマ運動って基本『負け犬たちの物語』ですからねー。

考えるんじゃない感じるんだ

一方で本作は、探偵映画らしくミステリー要素もあります。
妻殺しの汚名を着せられたまま死んだ、親友ハリーの無実をマーロウだけは信じてるんですね。

そう書くと、ハリーとその妻を殺した真犯人を追う物語って思いますよね?

ところが、マーロウは具体的なアクションは一切起こしませんw
「あいつが奥さんを殺すはずがない」って言いながら、別の依頼を受けたりギャングに脅されたりしてるうちに、気がついたら事の真相にたどり着いちゃうっていう、完全な『巻き込まれ型主人公』です。

あと、ミステリー映画だと思って観たら、終わったあとに100%
「なんじゃこりゃー! ムキー! (#`皿´)ノ」ってなります。
「あ、これ伏線だな」とか「コイツは後々こうなるのかな?」なんて思いながらストーリーを追って観ちゃダメですよ。
本作はマーロウと一緒に、フラフラ流される映画ですからね。

つまり、マーロウは主人公というより『語り部』的な立ち位置で、彼の目を通して当時のアメリカや変わりゆく人々を斜めに見る映画なんですね。

なんていうか、ストーリーを追うタイプの映画じゃなく、1970年代アメリカの空気感を味わう感じ。

現代の視点で観ちゃうと、なんか間延びして見えたりあまり意味のないシーンが多い割に大事なシーンが入ってないように観えるかもですが、そうした物語の余白にこそ味わいのある映画なんじゃないかと思いますよ。

興味のある方は是非!

 

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