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コーエン兄弟が描くハードボイルド映画 「ミラーズ・クロッシング」(1991) 感想

映画レビュー

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、これまで数々の名作、問題作を、世に送り出してきたヒットメーカーであるジョエル&イーサンのコーエン兄弟が製作し、1990年に公開したギャング映画『ミラーズ・クロッシング』ですよー!

ブラックコメディーの印象が強いコーエン兄弟ですが、本作では(コメディー的な要素はありながらも)がっつりハードボイルド路線の『男の映画』に挑んでいます。

 

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画像出典元URL:http://www.amazon.co.jp

あらすじと概要

本作は、興行的には製作費を回収できず赤字になったものの、現在ではを代表するギャング映画の佳作として評価され、また2005年にはアメリカの雑誌『タイム』によって映画ベスト100中の1本に選ばれた。(Wikipediaより引用)

ストーリー:1929年、アメリカ東部の町。
アイリッシュのレオ(アルバート・フィニー)とイタリアンのキャスパー(ジョン・ポリト)、二つの勢力が暗黒街でシノギを削っていた。
レオとその片腕で博打好きのトム(ガブリエル・バーン)は厚い友情で結ばれていた。同じくレオの部下バーニー(ジョン・タートゥーロ)の姉、高級クラブで働くヴァーナ(マーシャ・ゲイ・ハーデン)はレオの情婦だったが、トムにも魅かれ一夜を共にするが、やがてその事実がばれトムはレオと袂を分かつ。
博打の借金に追われるトムはキャスパーの下で働くことになるが、受けた命令はバーニーを殺せ、というものだった……。(allcinemaより引用)

 

 

感想

本作の感想を一言で言うなら、トム、超カッケー!! ですかね。

本作はギャング映画ですが、血で血を洗う抗争とかがメインではなく、ガブリエル・バーン演じる主人公のトムの、ハードボイルドな生き様を描く映画なんだろうと僕は思いましたねー。

トム・レーガンという男

主人公トムは、アメリカ東部の町を仕切るアイリッシュ系ギャングのボス レオの腹心で参謀的な男です。

優男で、腕っ節は弱く、ギャンブルで借金を背負っているダメ男ですが、ボスのレオとは20才以上?の年の差がありながら、強い友情で結ばれているんですね。
彼はギャンブルの負けをレオが払ってやると言っても断ります。それは多分、“友人の“に“貸し“を作りたくないという、トムなりのルールなんだと思います。

その代わりに、レオが間違えた判断を下すと、他の部下では言えないような事も、トムはガンガン言っちゃいます。
それだけ、レオのことを大事に思っているんですね。

で、そんなある日、イタリア系ギャングのボス キャスパーがレオの元に現れ、ノミ屋のバーニーが、八百長試合の情報を客に漏らし、キャスパーの儲けを掠めているので、始末するから引き渡せと話に来るんですね。

ところが、このバーニーの姉ヴァーナにゾッコンのレオは、それを許しません。
これは弟ラブなヴァーナが、キャスパーからバーニーを守るために、レオと関係を持ったんですが、ヴァーナの手練手管にやられたレオは「あの子は俺の天使だし! 俺、あの子と結婚するし!」(50代男性)とか言っちゃうくらい惚れまくってて、もう冷静な判断が出来ないわけです。

トムがいくら言って聞かせても、馬の耳に念仏状態のレオ。
このままでは、町のニ大ギャングの潰し合いになってしまう。
しかも、ヴァーナの護衛につけていた子分が何者かに殺され、町は一触即発の状態。

そこで、トムはレオの目を覚まさせるため、自分とヴァーナが関係を持ってることを打ち明けるんですが、それがレオの怒りを買ってギャング団を追い出されてしまいます。

そんなトムをキャスパーがスカウトにきて……。

というのが、本作の大体のストーリー。

レオを筆頭にマッチョなギャングどもの中で、腕っ節の弱いトムの武器は、その頭脳と言葉です。
ポーカーフェイスで虚実入り混じった情報を吹き込み、他人をハメて疑心暗鬼に陥れたり同士打ちさせたりしながら、次々襲いかかるピンチを乗り越えていくんですねー。

なんて書くと、痛快なケイパーもの(犯罪映画)なのかと思われるかもですが、そんな事はなく、むしろ映画的カタルシスはほぼありません。
本作は、そうした娯楽的な作品ではなく、あくまでハードボイルドな男の生き様映画なんですねー。

良い顔のおっさんが大集合

コーエン兄弟といえば、良い顔のおっさんが登場するのが特徴と言えるんじゃないかと思います。
有名どころで言えば、代表作『ノーカントリー』のトミー・リー・ジョーンズハビエル・バルデムとか。
その他の作品でも、チョイ役とかで必ず一人は良い顔のおっさんが登場してるんですが、本作では、主役のガブリエル・バーンを始め、
アイリッシュギャングのボス レオ役のアルバート・フィニー
イタリア系ギャングのボス キャスパー役のジョン・ポリト
ゲスい小悪党バーニー役のジョン・タートゥーロ
その友人役のミンク役のスティーブ・ブシェミなどなど、良い顔のおっさんたちが詰め合わせのように多数登場してイチャイチャするという、ある意味かなりのブロマンス映画と言えるんですよね。

さらに、ヒロイン ヴァーナ役のマーシャ・ゲイ・ハーデンも、決して美人な女優さんではなく、でもその美人過ぎない感じが、ヴァーナの意志の強さや強かさのリアリティーにも繋がってる感じがしましたねー。
この辺の、キャスティングセンスもさすがはコーエン兄弟だなーなんて思いました。

ガブリエル・バーンのトムは、どことなく『ロング・グッドバイ』のフィリップ・マーロウ的な厭世観に近いものを感じたりもしましたし、キャスパー役のジョン・ポリトは、まん丸で禿げてて、たまに怖いけど基本的にはどこか憎めなさのあるコメディーリリーフ的な感じでしたねー。

あと、映画中盤で屋敷に乗り込んだ、キャスパーの刺客を返り討ちにするレオ役のアルバート・フィニーのドヤ顔とかもう、サイコーでしたよ!

そんな感じで、お得意のブラックユーモアも交えつつ、しかしコーエン兄弟にしては珍しいハードボイルドなカッコよさを真正面から描いた映画でしたよ!!

興味のある方は是非!!!