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シンプルだから力強い「バジュランギおじさんと、小さな迷子」(2019)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、本国インドでの公開から4年後の今年日本公開された『バジュランギおじさんと、小さな迷子』ですよー!

物語事態はシンプルながら、インドとパキスタンの間にある複雑な関係と宗教という二つの要素によって、深みと力強さいメッセージ性のある物語になってましたねー。

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画像出典元URL:http://eiga.com

概要

インド人の青年が、迷子のパキスタン人の少女を親元に送り届けるため旅に出る姿を描いた人間ドラマ。『ダバング 大胆不敵』などのサルマーン・カーンが主演を務め、およそ5,000人のオーディションから選ばれた子役のハルシャーリー・マルホートラ、『きっと、うまくいく』などのカリーナ・カプール、『女神は二度微笑む』などのナワーズッディーン・シッディーキーらが共演。『タイガー~伝説のスパイ~』でサルマーンと組んだカビール・カーンがメガホンを取った。(シネマトゥディより引用)

感想

インド興行収入第4位

というわけで、今回は何げに当ブログでも結構紹介しているインド映画です。
日本では「ムトゥ踊るマハラジャ」のヒットで知られるようになり、近年だと「バーフバリ」の大ヒットが記憶に新しいところですが、個人的にも何かと見る機会が多い中で、ぶっちゃけ「これはハズレだったなー」っていう映画は今まで観た全インド映画を通して1本あるかないかなんですよね。

というのも、年間製作本数世界一という映画大国であるインド。
年間約2000本(ハリウッドの約3倍)もの作品が作られ、その中からよりすぐりの作品が(海外市場に合わせて編集された状態で)輸出されるんだから、そりゃあ面白いですよ。

インド映画に馴染みの薄い人は「いきなり歌ったり踊ったりするんでしょ」と思われるかもだし実際その通りではあるんですが、「インド様式」に慣れてしまえば気にならないし、一見シンプルなストーリーだけど実は深いところまで踏み込んでいるテーマ性や、それをエンターテイメントとして観せる事にかけて、今やインド映画を無視することはできないんじゃないかと、個人的にはそう思いますねー。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 歌やダンスももちろんあるよ。

本作は、そんな群雄割拠の作品の中で「ダンガル きっと、つよくなる」「バーフバリ 王の凱旋」「シークレット・スーパースター」に次ぐ国内第4位の興行成績を収めた話題作なんですね。

驚くほどシンプルなストーリーだが

本作は、生まれつき言葉を発することができず、インド・デリーのムスリムの聖地ニザームッディーン廟に願掛けにやってきた6歳の少女シャヒーダー(ハルシャーリー・マルホートラ)が迷子になり、その子をインド人の青年パワンサルマン・カーン)が国境を超えパキスタンに送り届けるという驚くほどシンプルなストーリー。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 国境を越えて迷子になっちゃったシャヒーダー

な・ん・で・す・が、何せシャヒーダーは言葉が話せないから彼女がパキスタン人だということは誰にも分からない。
一緒にインドに来ていた母親は(眠っていて)、シャヒーダーが止まっていた列車を降りてしまった事に気がついたのは既に国境を越えたあと。
列車が行ってしまった事に驚いたシャヒーダーは、慌てて同じ方向に向かう貨物列車に乗り込むも、その列車は反対方向に進んでしまうんですね。

そしてたどり着いたハリヤーナー州クルクシェートラ。
彼女はそこで青年パワンと出会うんですが、状況を説明することも出来ないし、ムスリムの証であるヒジャブ(髪の毛を隠すスカーフ)は無くしてしまっている。

困ったパワンは、地元警察署にシャヒーダーを連れて行くも、連絡が行くまで家出預かるよう言われ、ムンニーという仮の名をつけて彼が住むデリーに連れ帰るんですね。

しかし彼は婚約者ラスィカーカリーナ・カプール)の家に居候中で、半年以内に自分の家を買う資金を貯めなくてはならない状態。

パワンは何とかムンニー(シャヒーダー)の故郷を探そうとするも、ラスティカーの父親はそれより期間中に働いてお金を貯めるのが先決なんじゃないかと、いい顔をしないのです。

このお父さんは悪い人ではないけど、異教徒に家の敷居は跨がせないと言うほど熱心なヒンドゥー教徒で、しかもパキスタンをハッキリ憎んでいるんですね。
その後、色々あってムンニーがパキスタン人であることが判明。
パワンはムンニーをパキスタン大使館に連れて行くも、タイミング悪く反パキスタン暴動の影響で閉鎖されパスポートも取れない状況で、困り果てた彼は旅行代理店にムンニーをパキスタンに送り届けて貰うよう頼んで預けるんです。

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画像出典元URL:http://eiga.com / シャヒーダーを売春宿に売り飛ばされそうになって激怒するパワン

しかし、この旅行代理店の男が悪い奴で、ムンニーを売春宿に売り飛ばそうとする。
これに怒ったパワンは大暴れ。代理店の男(と売春宿の人間)からムンニーを取り戻すと、自ら(密入国で)国境を越えて、ムンニーを両親のもとに送り届けようとするのだがーー。というストーリー。

このあらすじで何となく察してもらえるかもですが、この映画、日本版でも159分あります。ここまで書いてもまだ半分くらいなんですよねーw

そして、事ほど左様に物語の骨格は驚く程シンプルなんですが、インドとパキスタンの対立関係と、ヒンドゥー教ムスリムという宗教的な問題を絡めながら、物語は進んでいくんですね。

当たり前すぎるテーマ

ただ、そんな本作のテーマは非常にシンプル。
つまり「お互いの偏見が対立を生む」ってことなのです。

自身も熱心なヒンドゥー教徒であるパワンは、信仰心ゆえにモスクには入れなかったり、世話になったウラマー(?)にもちょっと失礼な態度を取ってしまう。
また、致し方ないとはいえ密入国してしまったことで、スパイ容疑をかけられ地元警察に追われる身になってしまいます。

しかし、その旅で出会ったパキスタンの人々は、事情を聴いてパワンを匿ってくれたり、助けてくれたり。

そうした出会いが、パワンの偏見を少しずつ溶かしていくわけです。

そしてもう一つ、窮地に陥ったパワンを救ってくれるのがYouTubeで、旅の途中で出会ったTVリポーターのナワーブ(ナワーズッディーン・シッディーキー)は、パワンのスパイ容疑を晴らし、ムンニーの親を探すため自身が撮影した映像をテレビで放送してもらおうとするけど、どの局にも「話題性が薄い」と断られ、最後の手段としてYouTubeに投稿し、その事で印パ両国の人々がパワンを救おうと動き出す。

つまり、本作で語られている事を要約すれば「知らない相手には偏見をもってしまうけど、互いを知ればきっと分かり合えるし、愛や善意は国境を越える」ってことなのです。

例え国同士が憎しみ合ってたとしても、そこに住む市井の人々の暮らしは変わらず、いい奴もいれば嫌な奴もいる。っていう、当たり前すぎるくらい当たり前の事をこの映画は語っているんですね。

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画像出典元URL:http://eiga.com

そうしたシンプルなテーマや主張をインド映画のフォーマットに乗せて、明るく楽しいコメディー(言い忘れたけどこの映画コメディーです)として語っているからこそ、ストレートに力強く観ている人の心を動かすんじゃないかと思います。

あと、ムンニーとパワンと同じ家に暮らす男の子が仲良くなる描写もあるけど、これも例え今の時代では難しくても、未来に希望を託す的な意味が込められてると思いましたよ。

ぶっちゃけ長いと思うし、洗練されてないシーンもあったけど、個人的にはやっぱりインド映画は侮れないなーって思ったりしました。

興味のある方は是非!!

 

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