ぷらすです。
今回ご紹介するのは、「四畳半神話大系」や「夜は短し歩けよ乙女」などで知られる湯浅政明監督が手がけた劇場版長編アニメ『きみと、波に乗れたら』ですよー！
僕はこの作品、ほとんど事前情報を入れずに観たんですけど、いやー、面白かったですねー！特に中盤からクライマックスにかけての怒涛の展開に全部持って行かれてしまいましたよ！(*ﾟ∀ﾟ)=3
画像出典元URL：http://eiga.com
概要
アニメ「四畳半神話大系」や『夜は短し歩けよ乙女』などの湯浅政明が監督を務めた長編アニメ。サーフィンが大好きな女子大生と消防士の青年の恋を描く。脚本は『映画 「聲の形」』などの吉田玲子、音楽は『夜は短し歩けよ乙女』も担当した大島ミチル。ボイスキャストに『兄に愛されすぎて困ってます』などの片寄涼太、『恋のしずく』などの川栄李奈らが名を連ねた。（シネマトゥデイより引用）
感想
バブル年代の恋愛映画を思わせる前半
本作をざっくり説明するとこんな感じ。
主人公、向水ひな子は大学への進学を機に幼少時を過ごした海沿いの町に帰ってきます。引越しそっちのけで毎日のように大好きなサーフィンに出かける彼女。
そんなある日、地元の若者たちの花火が原因でひな子のマンションが火事になり、何とか屋上に逃げ延びたひな子を救ってくれた消防士の青年、雛罌粟港（ひなげしみなと）に救われるんですね。
そして、初心者の港にサーフィンを教えるうち、二人はいつしか恋に落ち、将来を誓い合う仲になるんですが、そんなある日――というストーリー。
画像出典元URL：http://eiga.com / ひな子と港のイチャコラシーン
一応ここまでが前半部分でして、実は昔、二人が特別な出会いをしていたことが冒頭でそれとなく匂わされます。
この前半部分、いかにもなメロディーのテーマ曲も相まって「私をスキーに連れてって」や「天国にいちばん近い島」など、バブル年代の能天気な観光恋愛映画を思わせるバカップルのイチャコラ描写が延々続くので、「俺は一体なにを観せられてるんだ……」と死んだ魚のような目で画面を眺めるハメになるんですが、ご安心ください。
この前半部分は、まるっと中盤～怒涛のクライマックスへの前フリなのです。
銚子市や釣ヶ崎海岸、千葉ポートタワーなど千葉県に実在する場所がモデルになっている町のイチャコラスポットで、バカップルと化した二人が隙あらば声を合わせて歌うテーマソングは中盤以降の重要な鍵になっているし、冒頭、建設中のマンションから花火を打ち上げて火事を起こす馬鹿者若者たちや、二人で行った喫茶店やら映えスポットの数々も、その後に続く劇中での重要な役割を持っているんですね。
一見、湯浅監督が非モテを殺しにかかってるのかと思わせるイチャコラ描写の中に、実は中盤以降への重要な伏線が無駄なく配置されているあたり、初期のタランティーノ作品を思わせる上手い構成だなーと感心してしまいましたよ。
そして中盤～怒涛のクライマックスへ
そんな前半最後のある事件をキッカケに、物語は一気にファンタジーへと舵を切ります。
ただ、それはあくまでひな子視点で描かれているからで、港の後輩であるわさびや妹の洋子など、ひな子の周囲の人達の視点から見れば悲劇であり、ちょっとしたホラー感すらあるんですね。
画像出典元URL：http://eiga.com / 不器用でツンデレの洋子
この周囲の人達の視点をところどころに挟み込むことで、湯浅監督はファンタジーと現実のバランスを取って、観客の気持ちがひな子から離れないようにしているし、港のスマホを巡る小さなミステリーが、物語の牽引力になっています。
さらに怒涛のクライマックスは中盤で溜まった物語の鬱憤を一気に開放するようなダイナミックで美しいアクションが展開されるのです。
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そして、あるサプライズでひな子の感情が爆発するラストは、同時にひな子が本当の意味で一歩を踏み出すために絶対必要な「通過儀礼」であり、同時にこれまでの展開でひな子に乗っかっている観客の感情を開放させるシーンでもあるんですね。
このシーンで、オッサンの僕も号泣ですよ。
凡百の監督なら「さぁ泣かせたるでー」と腕まくりするような切なく悲しいシーンや辛いシーンも、湯浅監督は明るくポップな色彩と、あえて引いた視点でサラリと描く演出で必要以上の感情移入をさせないようにしているので、ある意味、このベタとも言えるラストで一気に持っていかれるんですよねー。
また、湯浅作品のやりすぎギリギリなパースをつけた画作りや、デフォルメや省略を活かした演出など、アニメーションならではの映像的快感があるので、前半の非モテ殺しシーンだって観ていられるわけです。
気になる部分
ただ、港があまりにも出来杉君すぎて若干人間味に欠ける感じが若干気になってしまったり。
まぁ、その後のシーンで彼が影でものすごい努力をしていることが分かるんですが、それにしたってちょっとリアリティーに欠ける気がしてしまうんですよね。
まぁ、僕が正反対の人間だからかもですけどｗ
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中盤～クライマックスへ向けての物語的な繋ぎが若干強引なのも気になりました。
もちろんその後の展開に向けて仕方ないのは分かるんだけど、いくらなんでも洋子の行動は浅はか過ぎる気がするし、それを止めもせずついていくひな子にも違和感があるかなと。
まぁ、それを言うなら仲間が逮捕されてるのに全然懲りてないアイツ等がそもそもさーって話になりますけどね。
あと、波乗り例えも若干強引な気がしたかな？ｗ
ともあれ、気になるのはそのくらいで、トータルで見れば十分過ぎるほど面白かったし、終わってみれば大満足な作品でした！
興味のある方は是非！！
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