今日観た映画の感想

映画館やDVDで観た映画の感想をお届け

今更ながら観てみた「ボーンシリーズ/アイデンティティー・スプレマシー・アルティメイタム」(2003/2005/2007) 感想

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、マット・デイモン主演のスパイアクション映画「ボーン・アイデンティティー」「ボーン・スプレマシー」「ボーン・アルティメイタム」の、ジェイソン・ボーン三部作ですよー!

恥ずかしながら僕は「ボーンシリーズ」は今回が初見なので、今更ながらフレッシュな感想をお届けしますよー!w

 

概要

米国の小説家、ロバート・ラドラムの代表作『暗殺者シリーズ』の実写映画化。
記憶を失ったCIAエージェント、ジェイソン・ボーンと、機密保持のために彼の命を狙うCIAとの死闘を描く。

主演は演技派俳優として評価の高いマット・デイモン

 

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ボーン・アイデンティティー

あらすじ:ある嵐の夜、イタリアの漁船が洋上に漂う意識不明の若い男を発見する。
引き上げられたその男の背中には弾痕があり、皮下にはマイクロカプセルが埋め込まれ、それにはスイスの銀行の口座番号が印されていた。男はなんとか息を吹き返すが、記憶を失っており、自分の名前も分からない状態だった。
数週間後、彼は身元の唯一の手掛かりであるスイスの銀行に向かう。その貸金庫にはジェイソン・ボーン名義を含め6ヵ国のパスポートや大金、そして拳銃が入っていた。やがて暗殺者たちに狙われ始めた彼は、偶然出会ったマリーの協力を得てパリへと向かうのだったが…。(allcinema ONLINEより引用)

感想

まず最初に思ったのは、マット・デイモンが若いなーとw

そりゃあ、13年前の映画なので当たり前と言えば当たり前なんですが、彼ってなんとなくデビューの時から変わってない印象があったんですよね。
でも、こうして13年前の映像を観ると「マット・デイモンも年を取ってるんだなー」なんて感慨に浸ってしまいましたよ。

本作では、そんな若きマット・デイモン演じるジェイソン・ボーンが海で漁船に引き上げられるところから始まります。
一命を取り留めたジェイソンですが、記憶を失ってるんですね。
身元の分からない彼が唯一身につけていたのが、お尻の皮膚の下に埋め込んであったマイクロカプセルで、そこにはスイス銀行の口座番号が。
そこから、ジェイソン・ボーンの「自分探し」の旅が始まっていくという物語。

そして、彼の命を狙うヒットマンを返り討ちにしながら、偶然知り合ったマリー(フランカ・ポテンテ)の協力を得つつ、彼は自分の正体に近づいていくわけです。

マット・デイモンの主演には賛否があったようですが、僕はボーン=マット・デイモンは合ってるなーと思いましたねー。
彼の、良く言えば普通のあんちゃんぽい、悪く言えば少しぬぼーっとした感じと、いざ敵を目の前にした途端、スイッチが切り替わったみたいに「暗殺マシーン」へと変貌するギャップが、本作のジェイソン・ボーンというキャラクターにぴったりハマっていたと思いました。

また、観客がジェイソン・ボーンとほぼ一緒に、謎を解明していくストーリー展開も実に上手いなーと思いましたねー。
アクション自体も「アクションのためのアクション」ではなくて、それぞれ意味があるというか、ジェイソン・ボーンが只者ではない→凄腕のエージェントであると徐々に明かされる映像的な説明の役割も兼ねているのも個人的にはツボでした。

 

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ボーン・スプレマシー

あらすじ:ジェイソン(マット・デイモン)とマリー(フランカ・ポテンテ)は人目を避け、インドのゴアで暮らしていた。相変わらずジェイソンの記憶は戻っていなかったが、町で見かけた男(カール・アーバン)が暗殺者と気づき……。(シネマトゥディより引用)

感想

本作が公開されたのは前作『ボーン・アイデンティティー』から二年後ですが、劇中も同じ二年後の物語になっています。
前作で恋人になったボーン&マリーの二人は、インドのゴアで暮らしているんですが、ボーンは相変わらず記憶喪失のままで、過去のフラッシュバックに苦しんでいます。
そんなある日、街で見かけた男が暗殺者だと気づいたボーンは、マリーと共に街を逃げ出そうとするも、男の狙撃によってマリーが死亡。

男の正体を探り復讐するために、ボーンは再び戦いの中に身を投じる。
というストーリー。

前作と比べると、トーンの暗い作品となった本作ですが、続編として前作の物語を引き継ぎつつ、アクションや作品の規模も前作よりアップしています。
また、記憶喪失のボーンが、僅かな手がかりを辿りながら真実を究明していく謎解き要素を引き継ぎ、『過去に追われる男』という負の面を表、陰影を強調した画面も、前作よりハードボイルド感があっていい感じでしたねー!

今回メガホンを取った、ポール・グリーングラス監督はイギリス出身で、血の日曜日事件を描いた『ブラディ・サンデー』で一躍注目され、本作の監督に抜擢。
手持ちのハンディーカメラで寄って撮影することで、前作以上に迫力のあるアクションやサスペンスを演出しています。

ただ個人的には、迫力を優先して引きの画が少ないので、大掛かりで複雑なクライマックスのカーチェイスでは、何が起こっているのかが少々分かりづらかったのが残念ポイントでしたねー。

ただ、ストーリー的にも映像的にも緊迫感が増していて、『続編映画』としては申し分ない面白さだったと思いましたねー。(´∀`)

 

 

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ボーン・アルティメイタム

あらすじ:自分を暗殺者に仕立てあげたCIAの極秘プロジェクト、“トレッドストーン計画”などに関する取材を進めていた新聞記者ロス(パディ・コンシダイン)とロンドンで接触しようとしたボーン(マット・デイモン)。しかし、CIAの現地要員に監視されていたロスは、若い暗殺者(エドガー・ラミレス)に狙撃されてしまう。(シネマトゥディより引用)

感想

アイデンティティー」「スプレマシー」に続く、ジェイソンボーントリロジー(初期三部作)完結編です。
ボーン役のマット・デイモン、CIAのパメラ・ランディ役のジョアン・アレン、ニッキー・パーソンズ役のジュリア・スタイルズなど、前作から引き続きのキャストも多く、また監督も前作「スプレマシー」から引き続きポール・グリーングラスがメガホンを取りました。

本作は、前作ロシアでのシーンの続きからスタートします。
つまり「スプレマシー」と本作は、時系列が重なっている作りなんですね。
今回も各国の駅や市場など人ごみの中でのチェイスやアクションは健在。
 さらに、ボーンが新聞記者を携帯で誘導したり、モロッコでは建物の中と屋根や屋上などを使った立体的なアクションも登場、前二作より更にアクションに力を入れた印象を受けました。

個人的にはあまり好みじゃないんですが、ハンディーカメラで寄って撮影し、細かいカット割りでスピード感を増す演出も健在。
ドキュメンタリータッチの迫力あるアクションとチェイスが釣瓶打ちで、正直最後の方はお腹いっぱいになりましたよw

その分、前二作が重きを置いていたリアリティーのある描写は薄まってしまった印象もあって、グッとエンタメ方向に舵を切った感じも無きにしも非ずですが。

物語的には最終章だけあって、ついにジェイソン・ボーンの誕生秘話が明かされます。
そして、ここまで謎だった黒幕も登場、いよいよ最終決戦です。

一番印象的だったのは、「アイデンティティー」ではチョイ役だったニッキーが、「スプレマシー」、本作と、章を重ねるごとに出番が増えて重要な役になっていったことでしょうか。
本作では、ボーンの元カノだったのかもと思わせるようなやり取りをしたり、「アイデンティティー」でのマリーと対になるようなシーンもありました。
前作のラストでのパメラとボーンの会話シーンが、本作でカギとなる演出も気が利いてるなーと思ったりしましたねー。

正直、今回明かされるジェイソン・ボーンの誕生秘話は、え、そんな感じ? と肩透かし感がなくもなかったですが、その辺は、アクションやチェイスなどの観せ方とテンポのいい編集で最後まで一気に突っ走った感じですね。

アイデンティティー」のオープニングと対になる、本作のラストシーンも綺麗に締めたなーと思いましたよ。(´∀`)

 

総括

ファンの人からすればホント、「今更なに言ってんだ!」って感じでしょうが、今回初めて三本を通して観た感想としては、やっぱマット・デイモンが良かったですねー。
そして、このジェイソン・ボーントリロジーが、その後のスパイアクション映画に大きな影響を与えたのは、ダニエル・クレイグ版の007を観ても間違いないかなと。

それまでの、激しい中にもスマートで華やかさがあるアクションが当たり前だったスパイものとは逆ベクトルの、泥臭くて暗くて人間臭い主人公、ジェイソン・ボーンというキャラクターは、ある意味でそれまで停滞していたスパイ映画というジャンルを復活させる起爆剤でもあり、新たな発明と言っても過言じゃないのかもしれません。

まぁ、ジェイソン・ボーンの影響がでかすぎて、揺り返しみたいに「キングスマン」のような荒唐無稽スパイものが登場するわけですがw

ともあれ、まったく文句がないわけじゃないですが、ジェイソン・ボーントリロジー三部作、個人的にはかなり面白かったですよー!

(今更ですが)興味のある方は是非!

 

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ディズニーの名作アニメをジョン・ファブローが実写化!「ジャングル・ブック」(2016) 感想

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、昨年公開された『ジャングル・ブック』ですよー!
僕は原作も読んだことがないし、ディズニーのアニメ版も未鑑賞でして。
なので、本作が「ジャングル・ブック」初体験になりますよー!

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あらすじと概要

ラドヤード・キプリングによる名作を実写化したアドベンチャードラマ。ジャングルで黒ヒョウとオオカミに育てられた少年が、一匹のトラとの出会いを通して壮大な冒険に身を投じる。監督は『アイアンマン』シリーズなどのジョン・ファヴロー。主演は2,000人もの候補から抜てきされた新星、ニール・セティ。ベン・キングズレービル・マーレイスカーレット・ヨハンソンなどのスターが、動物たちの声を務める。動物と自然の風景の全てを創造した最先端CGに圧倒される。

ストーリーモーグリは、生まれて間もなくジャングルに取り残されてしまう。黒ヒョウのバギーラから母オオカミのラクシャに託された彼は、愛情に包まれながら自然の厳しさと生き抜くための知恵と術を学んでいく。やがて少年となって動物たちと幸せな日々を過ごしていたモーグリ(ニール・セティ)は、人間に恨みを抱くトラのシア・カーンと出会う。シア・カーンから人間である自分の存在が、ジャングルやそこに住む動物たちの脅威になると言われ……。(シネマトゥディより引用)

 

 

感想

正直、僕がディズニー映画を観始めたのは『ピクサー』と合併したあとなので、それ以前の作品は殆ど観た事がないんですね。
なので本作も最初はまったく観る気はなかったんですが、監督があのジョン・ファブローだと知って、これは観なければ! と、早速レンタルしてきましたよー!

主人公以外全部CG!

本編でまず驚くのは、雄大なジャングルの景色や本物と見まごうばかりにリアルな動物たちじゃないでしょうか。
しかしこの映画、主人公モーグリ役のニール・セティ以外、オールCGだそうです。

その噂だけは聞いていたので、そういう目で見れば確かに「ちょっとCG感あるなー」というシーンもないではないですが、知らずに見たらどこからがCGでどこまで実写なのか境目が分からないくらいにリアルな作りでしたねー。
そしてCGによって描かれた動物たちはみんな、リアルでありながら魅力あるキャラクターとしても成り立っていて、改めてディズニーの技術力の高さを感じました!

4人の父親

本作は、クロヒョウに拾われ狼に育てられた少年モーグリが、試練を乗り越え成長し、自らの手で自分の居場所を掴むまでの冒険と成長の物語です。

そんな彼には4人? の父親(役)がいるんですね。
人間である実の父親。(回想のみ)
彼を拾いジャングルでの生き方を指南するクロヒョウのバギーラ。(ベン・キングズレー/松本幸四郎
モーグリを群れに向かい入れた狼のアキーラ。(ジャンカルロ・エスポジート/大川 透)
そして、宿敵シア・カーン(イドリス・エルバ/伊勢谷友介)から逃れる途中で出会った、お気楽な熊のバルー。(ビル・マーレイ/西田敏行

バギーラは、一見クールなようで実は過保護な教育パパという感じで、普段は掟掟と口うるさいですが、いざという時は頼りになるし、アキーラはリーダーとして群れで生きることを教える厳格なパパという感じ。
バルーは、仲間に迷惑をかけまいと群れを出たモーグリに、二人とは違う価値観を与え認めてくれる楽しいパパですね。
もちろんいざという時は超頼りになります。

そしてモーグルの母親となるのが、狼のラクシャルピタ・ニョンゴ/宮沢りえ
ほかの子供たちと分け隔てなく、モーグリを育ててくれた優しいママです。

そんな彼らに守られ、導かれながら、試練を乗り越えたモーグリは、ジャングルの中で自分の居場所を掴み取っていくという物語なんですねー。

動物たちに命を吹き込む豪華俳優陣

本作のもう一つの魅力は、CGのキャラクターに命を吹き込む豪華俳優陣です。
僕は字幕版で観たんですが、

「アイアンマン3」ではコミカルな小悪党マンダリンを演じた、ベン・キングスレー
パシフィック・リム」のスタッカーや、「ズートピア」のボゴ署長など重厚な役柄の多いイドリス・エルバ
数々の名作に出演している名優、
クリストファー・ウォーケン
ブラックウィドウ役や今年公開のハリウッド版攻殻機動隊草薙素子役、みんな大好きスカーレット・ヨハンソン
そしてご存知「ゴースト・バスターズ」のビル・マーレイなど、大スターが勢ぞろい。

スカーレット・・ヨハンソン、ビル・マーレイクリストファー・ウォーケンは、劇中、「トラスト・イン・ミー」や「君のようになりたい」「ザ・ベア・ネセシティ」といったアニメ版でも知られる名曲を歌っていますよ。

2000人の中から選ばれた天才子役ニール・セティ

そんな大スターと互角の存在感を見せたのが、2000人のオーディションから選ばれたニール・セティ。
可愛らしいだけじゃなく、身体能力も高く、表情豊かな演技も素晴らしかったです。
撮影当時は10歳だったそうですが、実に堂々とした見事な演技で抜群の存在感を示していましたよ!

アイデンティティーと自分の居場所を勝ち取る物語

人間でありながらジャングルの中で育ったモーグリは、幼少の頃からジャングルを生きる掟と、育ての親である狼の掟を教え込まれます。
それ自体は、人間である彼がジョングルに暮らす動物の中で生きていくため、彼を守る意味もあるんですね。
道具を使うのはズルで、やってはいけない事という価値観の中で育つモーグリ

しかし、そんな彼の価値観を、熊のバルーはあっさり引っくり返してしまいます。
同時にそれは、モーグリの『個性』が初めて認められた瞬間でもあるんですね。

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ジャングルにおいて忌諱されたモーグリの『個性』は、実は彼だけの武器であり、それを認められ上手く利用することで、自分の居場所を勝ち取るという普遍的な成長譚を、厳しさとユーモアと優しさを込め、大人から子供まで楽しめる見事なエンターテイメント作品に作り上げたと思いましたねー。

ジョン・ファブローらしい、希望に満ちた作品

本作の監督、ジョン・ファブローといえば『アイアンマン』や、自身が監督主演を務めた『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』などで、監督としても役者としても非凡な才能を発揮していますが、一番の魅力は、彼自身の陽性で前向きなキャラクターや思想が物語に反映されているところなんじゃないかと思います。

ブルーレイに収録されたメイキングを観ると、最初はもっとリアルよりのシリアスな作品だったらしいんですが、それをジョン・ファブローと脚本のジャスティン・マークスがアニメ版へのオマージュを捧げつつ、ディズニー映画として一から組み立て直していったんだそうですよ。

1967年版のアニメや原作が好きな人は、もしかしたら「コレジャナイ感」を感じてしまうかもしれませんが、個人的には面白かったし、さすがジョン・ファブローと納得の作品でしたよ!

興味のある方は是非!!

 

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胃がキリキリする暴力的な映画「ヒメアノ~ル」(2016) 感想

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、昨年公開されたバイオレンス映画『ヒメアノ~ル』ですよー!
噂には聞いてましたが、観ている間、胃がキリキリするような神経を逆なでされるような嫌な作品(褒め言葉)でしたよ! ((((;゚;Д;゚;))))カタカタカタカタカタカタカタ

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あらすじと概要

過激な内容で話題になった古谷実の人気コミックを、V6の森田剛を主演に迎えて実写映画化。ビル清掃会社のパートタイマーの青年と同僚が織り成す至って普通の日々と、欲望のままに殺人を重ねるサイコキラーの心の闇を描く。監督は、『さんかく』『銀の匙 Silver Spoon』などの吉田恵輔。清掃員の青年に『ポテチ』『偉大なる、しゅららぼん』などの濱田岳、森田ふんする快楽殺人犯にストーキングされるヒロインを『ガキ☆ロック』などの佐津川愛美が演じる。

ストーリー:普通の生活に焦燥感を抱くビル清掃会社のパートタイマー岡田(濱田岳)は、同僚からカフェの店員ユカ(佐津川愛美)との恋の橋渡し役を頼まれる。彼女が働くカフェへと足を運んだ岡田は、高校時代の同級生・森田(森田剛)と再会。ユカから森田につけ狙われ、ストーキングに悩まされていると相談された岡田は、森田がかつていじめられていたことを思い出し、不安になるが……。(シネマトゥディより引用)

 

 

感想

昨年はホントに邦画の当たり年と言われていて、特にバイオレンス系の『ノワール』映画は当ブログでもご紹介した、『ディストラクション・ベイビーズ』『クリーピー 偽りの隣人』を始め、決して派手な大作ではないけど神経に直接触られるような嫌な(褒め言葉)映画が沢山公開されました。

本作『ヒメアノ~ル』も、僕が読んでいる映画レビューブログでの評価も高かったのですが、中々タイミングが合わなくて、映画館で観ることが出来なかったんですよねー。(´・ω・`)
まぁ、正直本作に関しては「映画館で観なくて良かった」(大画面で見せられたら辛すぎるから)とホッとしましたけどもw
それくらい、精神的にキツイ嫌な暴力描写(褒め言葉)満載の怖い映画でしたよー!

タイトルを挟んでガラリと変わる作品のカラー

本作は、映画中盤に入るタイトルを境に前半と後半でガラリと作品のカラーが変わります。ザックリ言うと、前半は濱田岳演じる岡田のコメディー的な展開。
後半は森田剛演じる殺人鬼 森田中心のバイオレンス展開です。

清掃会社でバイトする青年 岡田は、将来の夢も希望も持てず、話をするのはキモい先輩の安藤(ムロツヨシ)くらいという生活に漠然と不安を感じています。
そんな彼が安藤に連れられて、安藤片思いの相手ユカ佐津川愛美と出会う事から物語は動き出します。
そして同時に岡田は、元学友の森田に久しぶりに再会するんですね。

森田は高校時代、同級生から酷い(という言葉では足りない)イジメを受けて人生に絶望し、ある事件をキッカケに殺人鬼(というかサイコパス)へと変貌しているのです。

前半では色々あって岡田とユカが付き合うまで、後半はそんな岡田を標的にする森田が中心の物語になっていて、前半はコメディータッチな展開ですが、後半は一気にバイオレンスな方向に加速していくんですね。

ただ個人的には、コメディー展開のハズの前半部分の方が、精神的にしんどかったです。キモい先輩に付き合わされて利用されたり、ユカの友達も含めた4人での飲み会で、初対面なのにユカの友達にムカつく事をバシバシ言われるトコとかもうね!!

ムキイイィィィィィィィィィィ!!(#`皿´) ってなって、胃が痛くなりましたよ。

むしろ後半の方が、直接的な暴力を描いている分、まだ気が楽に観れましたw
多分、僕は岡田の方にかなり感情移入して観てたんでしょうねー。

キレッキレの役者陣

そんな岡田を演じる濱田岳は、個人的に若手の中で一番好きな俳優さんです。
何ていうか、普通の人を普通の人みたいに演じられる俳優っていうんでしょうか。
とにかく、凄く自然体に見えて、気がついたら芝居に引き込まれてるんですよね。
僕が初めて彼の出演作を見たのは、多分、アニメ監督でもある原恵一監督の実写映画『はじまりのみち』だったと思うんですが、その時の彼の演技は素晴らしかったです。

そんな岡田と相対するキャラクター森田を演じる森田剛の演技も素晴らしかった。
ぱっと見ただけで分かる「バイ奴感」や「分かり合えない感」。
V6の森田剛にはあまり馴染みがないので、彼がどんな人かよく分からないんですが、劇中パチンコしてる時の佇まいとか、恐ろしい暴力を振るいながら普通のテンションで話すトコとか、言葉は通じてるのに話が通じてない感とか。

お人好しで気の弱い岡田とは1ミリも相容れない、絶対近づきたくない感じを、極自然に醸し出してるように見せる演技力は本当にスゴいなーと思いました。

あと、岡田のキモい先輩 安藤を演じたムロツヨシさんもとても良かった!
コメディーリリーフでありながら、どこか危なげで一線超えたらトコトン行っちゃいそうな緊張感もあって、映画全体を上手く締めてるなーと思いましたよ。

脇役ですが、ユカの友達とか、森田に脅されてる和草(サイタマノラッパーの駒木根雄輔)や、その彼女のキャスティングも絶妙でしたねー。

暴力表現の嫌さ(褒め言葉)

森田の回想シーンで描かれる高校時代のイジメの嫌すぎる描写や、撲殺される和草の痙攣、ユカの隣人の超嫌な弾着シーン、後半暴走する森田によるレイプシーンなどなど、本作には観ているだけで神経を逆なでされるような嫌な暴力シーンが満載です。
暴力そのものの表現っていうより、暴力に付随する被害者側のディテールが、観ている人間に痛さや生理的嫌悪を想起させて本当に嫌あぁぁぁぁぁぁな気持ちになるのです。(褒め言葉)

個人的には、北野たけし作品や韓国ノワール系の、あの肉体と精神両方を責めれてるような、嫌な暴力シーンを思い出しましたよー。((((;゚;Д;゚;))))カタカタカタカタカタカタカタ

気になった、気に入らなかったシーン

そういう意味で、ノアール作品、暴力映画としては満点に近い本作ですが、個人的にはあのラストシーンはちょっと蛇足な感じというか、「いや、そういうのいらないから」って思いましたねー。「衝撃映像100連発」のラスト30分で、いきなり感動のエピソードをぶっこまれた時に似た感じで、ちょっと冷めちゃいました。

あと、明らかに狙われてるのが分かっている岡田とユカに対して、警察が警護の一人もつけてないというのは、いくらなんでも違和感あるなーと。
まぁ、その後の展開に持っていく為には、仕方ないし、全体から見れば些細な事ですけど。他の部分があまりにも良く出来てるので、些細な違和感が逆に目立っちゃうんですよねー。

とはいえ、ここまでスゴいとは思わなかったので、ある程度事前に内容を知っていても度肝を抜かれたし、邦画でもここまで嫌な映画(褒め言葉)が作れるんだなーって、ある意味感動しました。

とは言え、グロやバイオレンス表現が多い作品なので、正直あまり積極的にオススメは出来ませんが、日本ノワール映画の中でも、傑作と言える一本なんじゃないでしょうか。

興味のある方は是非!

 

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無限地獄を描いたシチュエーションスリラー「パラドクス」(2016) 感想*ネタバレあり

ぷらすです。

今回ご紹介するのはメキシコ発のシチュエーションスリラー『パラドクス』ですよー!
この映画を一言で言うなら「無限ループって怖くね?」という物語。
そして、観終わった後に「あー!」と「あれ?」が同時に来るという、何とも複雑な映画でしたw(ぶっちゃけ今もまだちゃんと理解できてる自信がないです)
で、今回感想部分はがっつりネタバレしますので、もし、これから本作を観る予定の方は、先に映画を観てから、このブログを読んでくださいませー!

いいですね? 注意しましたよ?

 

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あらすじと概要

シッチェス・カタロニア国際ファンタスティック映画祭バンクーバー国際映画祭などで称賛を浴びたスリラー。1階へと下りると最上階の9階へと戻るビル、いくら進んでも同じ道に帰ってしまう道と、不気味なループ空間に迷い込んだ者たちの運命を追い掛ける。監督は、ショートフィルムを中心に活躍してきたアイザック・エスバン。『世界侵略2012』などのウンベルト・ブスト、『父の秘密』などのエルナン・メンドーサらが出演。異様なシチュエーション設定に加え、伏線を張り巡らせた物語にも圧倒される。

ストーリー:とあるビルへと飛び込んだ犯罪を犯した兄弟と彼らを追う刑事。非常階段で1階へと下りたはずの彼らの前に、なぜか最上階である9階が現れ、何度も1階へ下りても同じ現象が発生することに、三人は混乱をきたしていく。一方、どこまでも続く一本道を車で走っていた家族は、いつの間にか元の道に戻っていることに気付く。それぞれが謎のループを繰り返す空間から抜け出そうとする状況で、刑事に足を撃たれたカルロス(ウンベルト・ブスト)は生命の危機にさらされ、一家の長女カミーラは持病の発作を起こしてしまう。(シネマトゥディより引用)

 

 

感想と考察

本作は、ぶっちゃけ序盤~中盤まではつまらないかもです。
怪物や殺人鬼やオバケに追われるわけでもなく、何者かの命令で仲間と無理やり殺し合いをさせられるようなサバイバル系スリラーでもありません。
もうね、ただひたすら閉じ込められるだけの映画なのです。
それも、物凄く狭いとか超高いみたいな極限状況に追い込まれるというわけでもなく、非常階段と一本径という比較的広めの空間で、食べ物や飲み物の心配もなし。

ただ、後半の種明かしが始まった途端、物語は一気に加速し、謎が解明された瞬間に退屈だった序盤~中盤に仕掛けられた伏線に気づいて、「そういう事かー! ……でも、あれ?」となり、もう一回観直したくなる……かなー??w

ここからネタバレ含みます。

 

出口のない地獄

本作では、同じシチュエーションで描かれた2つのエピソードが登場します。

オープニング

まず、オープニングは、流れるエスカレーターのアップからスタート。
瀕死の老婆がエスカレーターに横たわったまま、流れてくるという、イキナリのショッキング映像ですよ。

非常階段編・1

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刑事に捕まった二人の兄弟(兄/カルロス、弟/オリバー)が、スキを見て非常階段から逃げようとしますが、兄が刑事に撃たれて足を負傷。
そのまま警察に連行――と思ったら、出口が無くなってるんですね。
扉にはノブもなく表には出られません。しかも非常階段の1階と9階が繋がっていて、1階まで降りると何故か9階にいるわけです。
もちろん逆も同じで、9階の上に登っていくといつの間にか1階から上がってきてしまうという円環構造。

非常階段に唯一ある自動販売機には、サンドウィッチ、水、ジュース、お菓子、カップヌードルがあるので、数日は耐えられそうですが、食料と水が尽きたら終わりなので3人はパニック。しかも兄カルロスは刑事の玉が動脈にヒットして、結局死んでしまいます。
その時、刑事が不意に気づくんですが、なんと一定時間が経つと飲食したはずの自販機の中身がいつの間にか補充されてるんですね。

一本径編・1

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画面は暗転して、どこかの家。
反抗期の男の子ダニエルと、その妹カミーラ、母親のサンドラ、そして、どうやら結婚前提で付き合っている母親の恋人ロベルトは、サンドラの元夫が務めるホテルにバケーションに。
一本径をひた走り、最初は和気あいあい(ダニエルはロベルトが気に入ってない)のドライブですが、カミーラはロベルトが飲ませたジュースが原因で、アレルギーが発症してアナキライザーショックに。ロベルトが吸入薬をを吸わせようとするものの、『うっかり』道に薬を落としてしまい瓶が割れ、ダニエルは予備の薬を忘れてきています。
急いで家に戻ろうと車を走らせるロベルトですが、なぜかこの一本径に閉じ込められてしまい、結局カミーラは死んでしまい、サンドラは半狂乱になります。

非常階段編・2

物語は再び非常階段編に。
が、なんとそこにいたのはヨボヨボの爺さん。
実はこの爺さんが刑事で、非常階段に閉じ込められて35年が経過してることが分かるんですね。 嫌すぎる。
自販機から供給され続ける飲食物と、亡き兄カルロスの増え続けるカバンの中身。(お金、糸と針、爪切り、歯ブラシセットなど)
もう一人の住人オリバーは暇に明かせて、体を鍛えまくってムキムキになり、何か我流のヘンテコ宗教を始めている様子。
階段と踊り場には、増え続けた大量の荷物と飲食物。それを階に分けて整理したり、ペットボトルの水で洗顔、シャワー、洗濯をしているオリバー。排泄物は空のペットボトルに入れて蓋を閉めてます。
壁一面は、刑事の描いた落書きで埋め尽くされ、何とも不気味でアートな光景に。

一本径・2

一本径も35年が経過。ロベルトとサンドラはすっかり老人になり、サンドラの方は娘の死で廃人同然、年齢による認知症も患っている模様。
食べ物飲み物はドライブインで調達し、二人は車の中でHをして過ごす日々。これまた正直、生理的にキツイ絵面です。
一方、息子のダニエルはすっかり逞しい中年となり、二人から独立してひとり暮らし。
こちらも増え続ける物に囲まれながら、サボテンを煮て食べたり、音楽を聴いたりしています。

一本径には至るところに35年分の割れた空き瓶や、スナックの袋が散乱。

と、ここで観客はあることに気づきます。

中年になったダニエルは、非常階段の刑事に瓜二つ(というか同じ役者)んですね。

そうして、いよいよこの2つの物語が混じり合います。

種明かし

サンドラも死に、ロベルトと刑事にもいよいよ死期が迫り、そこで、二人が突如この恐ろしい地獄の真実を『思い出す』んですね。

刑事はオリバーに、ロベルトはダニエルに、事の真相を話し始めます。
実はこの刑事=大人になったダニエルなんですね。
そして、ロベルトは子供のころルーベンという名の少年で、キャンプの時イカダの上に閉じ込められ、一緒にいたキャンプ指導員と共に35年間暮らし、指導員の死の間際、やはり同じように真相を語られていたのです。

つまり、この無限ループには法則性があって、中年、若者、生贄が閉じ込められ、生贄の死、35年の月日、老人となった中年の死によって、若者の方はループから抜け出すことが出来るんですが、しかし、それは次のループに移動するだけなんです。

そして、無関係に見えた二つの物語の時間は実はずれていて、一本径のダニエルは一度はループを抜け出しますが、刑事として再びループに取り込まれてしまったわけです。

つまり、この無限ループに取り込まれた者は、35年間のループを2回経験して死ぬというルールなんですねー。
ちなみに、無限ループの出口(次の無限ループへの入口ですが)に入り込んだ瞬間、それまでの記憶を完全に失い別人になってしまいます。
そして、一本径のダニエルの前には無人のパトカーが。
オリバーの前には、エレベーターが現れます。

エンディング

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残されたダニエルとオリバーはロベルトと刑事に「自分の名前を書いておけ」と言われたにも関わらず書かずに、それぞれエレベーターとパトカーに乗り込みます。
中には、新しい身分証明書や家族写真、新しい制服などが置かれ、彼らは身支度を整えると、次のループに入っていきます。

そして、カールというエレベーターボーイになったオリバーのエレベーターに、新婚夫婦が入ってきます。

ホテルの30階フロアに着いて、新婚の二人の荷物を持っていたカールは自分の意志とは関係なく、懐の小箱に忍ばせた蜂を放ち、荷物を落としてしまいます。
蜂に刺された新郎は、アナキライザーショックに。カバンに入っていたアレルギー用の薬は、カール(オリバー)が落としたせいで割れてしまっていて、三人はホテルの30階フロアに閉じ込められてしまうというオチ。

ここまで観た観客は、オープニングの花嫁姿の老婆がこの花嫁だと気が付くわけですねー。嫌すぎる。

なぜ、彼らは無限ループに閉じ込められるのか

刑事(ダニエル)、オリバー、ロベルト、ダニエル(刑事)が、この無限ループに閉じ込められた理由は、刑事と、ロベルトから語られます。

別次元に本当の? 自分がそれぞれいて、彼らが幸せになるために、この無限ループの中で彼らは閉じ込められるんですね。
どうも、ある場所に閉じ込められる肉体的負担と、生贄の死による精神的負担が、別次元の彼らの幸福のエネルギー源になっているらしい。
一巡目のダニエルとオリバーは若く、ループの中でも体を鍛えたり有意義に過ごすので、本当の彼らは幸せです。しかし、二巡目になるとそんな気力もなくなり、エネルギーの足りなくなった本当の彼らは不幸になっていくんですね。

そんな別次元の彼らの様子が、ラストの方で無声映画みたいに映し出されます。

考察

以上の事を踏まえて箇条書きで関係性をまとめると、こんな感じになります。

・一本径は1980年、非常階段は2017年の物語。
・一巡目→非常階段のオリバー、一本径のダニエル。
・2巡目→非常階段の刑事(ダニエル)、一本径のロベルト。
・生贄→非常階段のカルロス、一本径のカミーラ、30階フロアの新郎。
・その他→ダニエルの母サンドラ(二巡目?)、新婦。

厳密に言えば、ここに一巡目のロベルト(ルーベン)と指導員(二巡目)、生贄のロベルトの友達が入りますけどね。

で、多分映画を観た人が思うのは、最後のホテルで二巡目のオリバー(カール)と35年を暮らす相手は誰だったのかって事じゃないかと。
カールになったオリバーは二巡目なので死にます。生贄の新郎はアナキライザーショックで死にます。新婦はエスカレーターで老婆になって多分もうすぐ死にます。
あれ? じゃぁ次の“後継者“は?? ですよね。
もしかしたら、カール(オリバー)と新婦の間に子供が出来たのか、それとも、エスカレーターの老婆は、ホテル30階フロアの花嫁とは別人ってことなのかな??

 

で、これは間違ってるかもですが、ホテルの新郎は一本径のカミーラ、新婦はサンドラなんじゃないかと思うんですよね。カミーラと新郎は、同じアナキライザーショックで死んでしまうし、新婦とサンドラは多分同じ女優さんが演じてるんじゃないかなと。
で、カルロスはキャンプで死んだルーベン(ロベルト)の友達? の二巡目じゃないのかなと(怪我で死ぬから)思いました。

つまり、ループしているのはダニエル(刑事)、オリバー(カール)、(ルーベン)ロベルトだけじゃなく、生贄のカミーラ(新郎?)とカルロス(友達)、サンドラ(新婦)も含めた、登場人物全員なんじゃないかなーと。

ということを踏まえて、年代別に登場人物を箇条書きにすると、

イカダ編(??年)

ルーベン(一巡目)、友達(?)、指導員(二巡目)

一本径編(1980年)

ダニエル(一巡目)、ロベルト(ルーベン)、カミーラ(一巡目)、サンドラ(?)

非常階段(2017年)

刑事(ダニエル)、オリバー(一巡目)、カルロス(友達の二巡目?)

ホテル30階フロア(2052年?)

カール(オリバー)、新郎(カミーラの二巡目?)、新婦(サンドラの二巡目?)

エスカレーター(??年)

エスカレーターの老婆=新婦

となり、時代とシチュエーションによって、それぞれ『囚人役』と『生贄役』を入れ替えながら永遠に無限ループの中をぐるぐる回り続けているって事になるんじゃないかなと思って、ゾワゾワしてしまいましたよー! ((((;゚;Д;゚;))))カタカタカタカタカタカタカタ

パラレルワールドタイムリープ

最初、同時代に別の場所で起こっていると思われた二つ(厳密には5つ?)の物語は、実は2つ時間の出来事で、しかも繋がっていた。まるで螺旋階段みたいに延々と続いていく無限地獄の物語だったという設定やストーリー運びが実に巧みで、イーサン・ホーク主演の「プリデスティネーションを思い出しました!

そして、本作を観たあとに、この物語は何も彼らだけではなく、僕も含めた全ての人類に起こっているかもしれない出来事って考えると、何か超怖いんですよね。

で、冒頭のエスカレーターと非常階段はまさに螺旋構造のイメージで、螺旋構造といえばDNAを想起してしまうんです。
つまり本作は、「人間は時間と運命いう牢獄からは永遠に抜け出すことが出来ない」みたいなテーマを、シチュエーションを限定して描いたある意味、寓話的な物語なのかなー? なんて思いました。

登場する老人をことさら嫌~~~~な感じに観せたり、ゴミや食べ物、排泄物が散乱する生理的に不快な絵面が続いたりするし、ストーリーのどこにも救いがない上に、前半から中盤にかけては、(ネタ振りなので)平坦で退屈と、好き嫌いや評価がハッキリ分かれるタイプの映画だと思います。
でも僕は(元々こういうややこしい映画が好きなこともありますが)、本作はかなり楽しむことが出来ましたよー!

ただ、二回以上観るのはかなりシンドイですけどもww

興味のある方は是非!!!

 

タイムパラドックスを描いた傑作▼

aozprapurasu.hatenablog.com

 

全体に漂う不穏なムードは◎、 だけど…「クリーピー 偽りの隣人」(2016) 感想

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、昨年公開のサスペンススリラー『クリーピー 偽りの隣人』ですよー! 映画ファンにカルト的人気を誇る黒沢清監督がエンターテイメントに振り切った作品です!

ただ今回は割と文句多めになると思うので、本作が好きな方はスルーして下さいね。

 

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あらすじと概要

アカルイミライ』などの黒沢清監督がメガホンを取り、第15回日本ミステリー文学大賞新人賞に輝いた前川裕の小説を映画化。隣人に抱いた疑念をきっかけに、とある夫婦の平穏な日常が悪夢になっていく恐怖を描く。黒沢監督とは『LOFT ロフト』に続いて4度目のタッグとなる西島秀俊が主演を務め、彼の妻を竹内結子が好演。そのほか川口春奈東出昌大香川照之ら豪華キャストが集結している。

ストーリー:刑事から犯罪心理学者に転身した高倉(西島秀俊)はある日、以前の同僚野上(東出昌大)から6年前の一家失踪事件の分析を頼まれる。だが、たった一人の生存者である長女の早紀(川口春奈)の記憶の糸をたぐっても、依然事件の真相は謎に包まれていた。一方、高倉が妻(竹内結子)と一緒に転居した先の隣人は、どこか捉えどころがなく……。(シネマトゥディより引用)

 

 

感想

僕は黒沢清監督の作品って「スイートホーム」と「回路」くらいしか観ていないので、あまり偉そうな事は言えませんが、周囲のファン人たちの反応を見ていると「一般ウケはしないけど、監督の世界観にハマった人はファンになってしまう」的な作家性の強い監督というイメージがあります。

本作でも、画作りとか音の使い方とかは、僕がイメージする黒沢清映画って感じだったんですが、内容的にはかなりエンタメに振り切っている感じがしましたねー。

常に漂う不穏な空気感

本作のストーリーをざっくり書くと、元刑事で心理学者の西島秀俊竹内結子夫婦の新居の隣人は、超サイコな香川照之だったからさぁ大変。
幸せで穏やかだった二人の結婚生活に徐々に香川照之が侵食して……。という物語。

全体的に暗い色調の映像と、不協和音のような不安を掻き立てる音響、どこか箱庭的で演劇的な演出。そこに香川照之の怪演が相まって、観ている間ずっと胸の奥がザワザワしてましたねー。
圧縮袋の使い方なんかは、派手さはないけどかなりショッキングでしたしねー。

っていうか、香川照之の使い方としては100点満点だなーと。
香川照之のオーバーアクト(でも、普段よりはグッと抑えてた)も、このエキセントリック役柄にはハマってて、西島秀俊と共演した例のアクション大作の時よりずっと光ってるなーって思いました。

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役者陣の熱演

本作では香川照之だけじゃなく、ほかの役者さんも良かったですねー!
特に奥さん役の竹内結子と、香川照之の『娘』役の藤野 涼子は、本当に熱演! って感じで、藤野 涼子の壊れっぷりや、竹内結子の慟哭は観ていて胸をギュッと掴まれる感じがしました。

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画像出典元URL:http://eiga.com/ 藤野 涼子(左)

西島秀俊はまぁ……いつも通りの「熱演」でしたけども。

さて、と。

というわけで、ここから文句タイム

そんな感じで、画面や音響、役者さんは全体的に良かったし、悪魔のいけにえオマージュ(ですよね?)の分厚い扉、ラスト付近の作り物然とした車の走行シーンなんかはジャンル映画的エンタメ感があって個人的には好印象だったんですが、肝心のストーリーの方にツッコミどころが多すぎて、それがノイズで、ストーリーに集中できないっていうか、いい感じのところでツッコミポイントが入るので、イチイチ冷めちゃうというんですよ。

っていうか、いくらなんでも警察無能すぎね?

いや、ストーリーの展開上そうせざるを得ないってのは分かるし、本作で大事なのはそこじゃないのも重々承知してますよ?
ジャンル映画だし、多少の無理(例えば香川照之の家の構造とか)は100歩譲ってまだ飲み込めますよ。

ただ、警察があまりにもアレすぎてイライライライライライラするし、リアリティーラインがあやふやすぎてストーリーに全然集中出来ないんですよ。
これが、外国映画なら「そういうもの」として飲み込めるんでしょうけど、邦画ですからね。どうにも気になってしまうのです。(地元が舞台のドラマとか観てると嘘の部分が気になっちゃう気持ちに似てる)

フィクションだから嘘が入るのは当然なんですが、せめてノイズにならない程度に登上
人物の行動に物語内説得力を持たせてくれないと、雰囲気だけの「サイコホラー(げ)」な映画止まりになっちゃうし、それは正直勿体無いなーと思いました。

原作がある以上、好き勝手に内容や設定は変えられないだろうし、本作がどのくらい原作に忠実なのかは読んでいないので分かりませんが、少なくとも本作劇中のノイズになっている部分の殆どが、警察の存在と西島秀俊が元警官という設定に起因していると思うんですよね。

これが、犯罪心理学者の西島秀俊vsサイコパス香川照之という図式に集約して、異変に気がついた西島秀俊が警察に頼るも、狡猾な香川照之の計略の前に取り合って貰えず……みたいなシンプル構図だったら、その後の展開の違和感もなかったのかなーと思ったり。
その分、香川照之竹内結子を取り込んでいく様子や、竹内結子が抱えていた西島秀俊への不満? も、もう詳細に描いていくとかね。

 

評価が高かっただけに、観ているこっちのハードルが上がりすぎてたのかもしれないし、決してつまらない映画ではなかったんですが、個人的には画作り満点、でもストーリーで減点って感じでした。

とはいえ、ネットレビューを読むと褒めている人も多いし、確かに不満もあるけど良いところも多い作品だと思いましたよ(´∀`)ノ

興味のある方は是非!

 

万人に観て欲しい傑作映画!! 「この世界の片隅に」( 2016) 感想

ぷらすです。

公開から2ヶ月遅れで、おらが街の映画館でもついに『この世界の片隅に』が公開されました!!
というわけで、公開初日の今日、朝一番の上映を観に行ってきましたよー!!

本作の公開は昨年11月ですが、でも僕の地元みたいに、これから公開される町もきっとあるんじゃないかと思うので、出来るだけネタバレしない方向で感想を書いていくつもりです。が、本当は何の前情報も無しで観たほうが絶対にいい映画なんですね。

なので、これから観る予定の方は、是非是非、先に映画を観てから、この感想を読んでくださいね!

いいですね? 注意しましたよ!

 

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あらすじと概要

「長い道」「夕凪の街 桜の国」などで知られる、こうの史代のコミックをアニメ化したドラマ。戦時中の広島県呉市を舞台に、ある一家に嫁いだ少女が戦禍の激しくなる中で懸命に生きていこうとする姿を追い掛ける。監督にテレビアニメ「BLACK LAGOON」シリーズや『マイマイ新子と千年の魔法』などの片渕須直、アニメーション制作にテレビアニメ「坂道のアポロン」や「てーきゅう」シリーズなどのMAPPAが担当。市井の生活を壊していく戦争の恐ろしさを痛感する。

ストーリー:1944年広島。18歳のすずは、顔も見たことのない若者と結婚し、生まれ育った江波から20キロメートル離れた呉へとやって来る。それまで得意な絵を描いてばかりだった彼女は、一転して一家を支える主婦に。創意工夫を凝らしながら食糧難を乗り越え、毎日の食卓を作り出す。やがて戦争は激しくなり、日本海軍の要となっている呉はアメリカ軍によるすさまじい空襲にさらされ、数多くの軍艦が燃え上がり、町並みも破壊されていく。そんな状況でも懸命に生きていくすずだったが、ついに1945年8月を迎える。(シネマトゥディより引用)

 

 

感想

映画の中には、「観終わった後に居ても立ってもいられなくなる作品」っていうのがあります。
僕にとっては、例えば近年なら「マッドマックス/怒りのデスロード」と「ガーディアン・オブ・ギャラクシー」なんですが、本作「この世界の片隅に」も(その2本とはまったくテイストは違うんですが)、そんな「居ても立ってもいられない映画」の一本でしたよー!

原作は「夕凪の街 桜の国」の、こうの 史代の同名マンガ

本作の原作は、「漫画アクション」で2007年1月23日号~2009年1月20日号まで連載された、広島出身の漫画家、こうの 史代の同名マンガです。
終戦間際の広島を舞台に描いた作品で、様々な実験的表現や。戦争当時の日付と連載の日付をリンクさせるなどの仕掛け(例えば作中が昭和20年3月なら、平成20年3月発売の号に掲載とか)で反響を呼び、単行本が完結したあともクチコミなどで今尚売れ続けているようです。

監督は「マイマイ新子千年の魔法」の片渕須直

そんな本作の監督を務めるのが、前作「マイマイ新子千年の魔法」でメディア的な宣伝が殆ど無かったにも関わらず、クチコミとファンの熱心な活動によってカルト的ロングランヒットを飛ばした片渕須直です。

本作では、クラウドファンディングで集まった資金でパイロット版を製作、その映像を元に、出資者から資金を集めて本作を完成にこぎ着けました。
また、本作もメディアでの宣伝はほとんどなく、全国たった63スクリーンでの小規模な公開スタートでしたが、その後、ネットを中心に話題を呼んで今尚、公開館数は増えている状況です。

徹底した取材を元にしたリアルな描写

この二人に通じるのが徹底した取材を元に、当時の広島、呉市をリアルに再現した描写です。
当時の資料や写真だけでなく、両市に存命の戦争経験者の方々の生の体験談を聞くなどして、当時の町並みや情景、市井の人びとの生活様式や価値観までを作品の中に入れ込むことで、作品の登場人物が実在するような奥行きを表現しています。

また、デフォルメされ柔らかい線で描かれたキャラクターとは対照的に、映画版では軍艦や戦闘機など、細部に至るまで緻密に描くなど、TVアニメ「ブラックラグーン」なども監督し兵器にも造詣の深い片淵監督のこだわりが散りばめられ、作品に更なる厚みを持たせているんですよね。

よく「神は細部に宿る」と言いますが、原作者と映画スタッフの徹底したディテールへのこだわりによって、本作にはまさに神が宿ったようなリアリティーが生まれているんじゃないかと思いました。

主人公すずの視点を通して「世界」を描く物語

本作の主人公、すずは大人しくてポワポワした女の子で、特技は絵を描くこと。
江波市で海苔を作る両親と兄妹の5人家族で、貧しいながらも幸せに暮らしていました。そして昭和19年に呉市の北条周作の元に嫁ぎ、不器用ながらも家や土地に馴染んでいきます。しかし次第に戦況は悪化、軍港の町、呉市は毎日のように空襲され……。

という物語。

こんな風に書くと「ああ、戦争映画か」と思われるかもですし、実際その通りなんですが、本作が他のいわゆる「戦争映画」と一線を画すのは、「戦争」ではなく「戦時中の市井の人々の生活」を描いた作品というところ。

爆弾が降り注ぎ、次第に苦しくなる食糧事情の中、すずや北条家の家族、近隣の人々はそれでも、少ない材料を工夫をしながら食事を作り食べ、配給に並び、仕事をして、何か失敗して「ありゃー」って言って笑い合う、そんな極々「普通の生活」を送っています。

そんな市井の人々の当時の「普通」を、本作は一話完結の短編連作のように、すずの視点で綴っていくし、観ている観客もすずのエピソードに笑ったり、野草を摘んでご飯を作っているシーンでは、すずにつられて少しワクワクしたりしながら観ているわけですね。

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しかし、その合間にも彼ら彼女らは空襲を避けるために防空壕に入り、頭上からは敵機を撃ち落とそうと発射される炸裂弾の破片が降り注ぎ、焼夷弾によって町が燃えます。
当時の生活には、そうした悲惨極まりない現状も日常に一部として含まれていて、それも込みで、すずたちにとっては「普通」だし、どんな苦しい状況でも「普通であろう」としているんですね。

もちろん、そんな状況にすずたちが何も思わないほど呑気なわけではなく、それでも「普通の生活」を送ることが、すずたちにとっての「戦い」なのです。

しかし、そんなすずたちの戦いも虚しく、物語は8月6日に向かって刻一刻と進んでいくんですね。

つまり、そんなすずの見るミニマムな「普通の生活」を通して、本作はその向こう側にある、大きな「戦争」を、もっと言えば「生きるとは何か」を描いた作品なんです。

だからこそ、クライマックスのすずの慟哭に、僕ら観客は強いショックを受け心を震わされてしまうのです。

のんとすず

そんな本作の主人公 すずを演じるのは、能年玲奈改め、のんです。
個人的に、彼女の声って素朴というか、悪く言えば女優としては決して美声ではないと思うんですが、本作ではそんな彼女自身の声やキャラクターも含めて、すず役にピッタリだなって思いましたねー。
っていうか、一度本作を観てしまうと、彼女以外にすずの声は考えられないくらい。

NHKの朝ドラ「あまちゃん」やほかの作品でもそうでしたが、のんという女優さんには、役者としての実力だけじゃなく、人を惹きつける『何か』があるのかもしれません。

本作がここまで素晴らしい映画になった要因の一つが、すずの声にのんを起用したキャスティングなのは間違いないと思います。

初めての光景

今日が初日ということもあり、座席には結構なお客さんが座っていたんですが、面白いエピソードのシーンでは客席から笑い声があがり、クライマックスではすすり泣きが聞こえていました。

で、普通は映画が終わってエンドロールが流れている途中で、席を立つ人が割と多いんですけど、本作ではエンドロールが完全に終わるまで誰ひとり席を立つ人がいなかったんですよね。これは僕にとっては初めての経験だったし、この観客の反応が、本作の魅力を何より物語っているのではないかと。

とにかく、この映画は大人から子供まで万人に観て欲しいですし、
日本映画の歴史に名前を刻まれる名作だと思いましたよー!

興味のある方は是非!!!!!

 

▼原作コミック▼

青春+ゾンビ+コメディー「ゾンビワールドへようこそ」(2015/日本未公開) 感想

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、2015年製作のゾンビコメディー
『ゾンビワールドへようこそ』(原題:Scouts Guide to the Zombie Apcalypse)
ですよー!

最近流行の「ゾンビ+〇〇映画」ですが、本作はゾンビ+青春映画です。
しかも、主人公三人組は、クラスカースト最下位のイケてないDT男子ズ!
この三人が、ボーイスカウトの知識でゾンビの大群と対決するという、何とも心躍る映画でしたー!

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概要とあらすじ

冴えないボーイスカウト3人組がゾンビの大群と死闘を繰り広げるサバイバルスリラー。

ストーリー:高校生になってもボーイスカウトを続けているベン、カーター、オギー。女の子に興味津々のベンとカーターはボーイスカウトを辞めたがっていたが、真剣に取り組むオギーにそのことを言い出せずにいた。
そんなある日、思いがけずパーティに誘われたベンとカーターはキャンプを抜け出して会場へ向かおうとするが、その途中でゾンビの大群に出くわしてしまう。ピンチに陥ったところをストリップバーのウェイトレスに助けられ、オギーとも合流した彼らは、ボーイスカウトで身につけた様々な技術を駆使して凶暴なゾンビたちに立ち向かう。

ベン役に「グランド・ジョー」のタイ・シェリダン。「パラノーマル・アクティビティ」シリーズの脚本家クリストファー・ランドンがメガホンをとった。(映画.comより引用)

 

 

感想

まず最初に書いちゃいますがこの作品、個人的に超面白かったです!

ゾンビ映画なので当然ゴアシーンもありますが、コメディー映画なので思わず笑っちゃうシーンも盛りだくさん。
しかも、非モテリア充のボンクラ三人組が主人公とくれば、もう、僕のツボにドンピシャでしたよ!

ストーリーが面白い

本作の監督はパラノーマル・アクティビティ」シリーズの脚本家クリストファー・ランドンということもあってか、まず物語がちゃんと面白いし、ゾンビ映画ならではのツボもちゃんと心得てます。
その上で、ボーイスカウトの三人組を主人公に据えてしっかりその設定を生かしてるところが良かったですねー。

また、非モテ男子の青(性?)春ムービーとしてもとても良く出来ていて、そこにゾンビという非日常的なエッセンスを入れ込んでいるという印象を受けました。

まず、冒頭のゾンビウイルスが拡散する原因となる、冒頭のシーンからして面白いんですよ。
間抜けな掃除夫が、研究材料にされていたゾンビをうっかり起こして襲われて――っていうシークエンスなんですが、もう、ここを観ただけで「あ、これは面白い映画だと確信出来るセンス溢れるシーンでした。

キャラクターが魅力的

そんな本作のメインキャラクターは、幼馴染の高校生三人組。
三人は、子供の頃からボーイスカウトで一緒だったという設定です。

タイ・シェリダン演じるメインの主人公ベンは、真面目で正義感はあるけど、お年頃なので女の子にも興味津々でカーターのお姉さんに片思い中な極々普通の高校生男子。

ローガン・ミラー演じるカーターは、チャラくて調子が良くて、エッチな事しか頭にない、これまた極々普通の男子高校生。

ジョーイ・モーガン演じるオギーは、二人と違ってボーイスカウト活動が楽しくて、課題をクリアすると貰えるワッペンを集める事に使命を燃やし、森や動物にも詳しいけど、ちょっとズレてる太っちょ男子高校生。どうも彼のお父さんはボーイスカウトのリーダーで、既に亡くなっているいるらしく、彼がボーイスカウトを頑張っている原因になってる事がわかります。

そんな彼らは、ロジャー隊長のもとボーイスカウト活動に勤しんでるわけですが、ベンとカーターは、ボーイスカウトを辞めたいと思ってるんですよね。
で、そんなある日、思いがけずパーティに誘われたベンとカーターはキャンプを抜け出して会場へ向かおうとするが、その途中でゾンビの大群に出くわして――という物語。

さらに、本作に登場する重要キャラが、高校を中退してストリップバーで働く女の子デニーズ(セーラ・デュモント)です。彼女は本作の中で一番HOTで、男前な姐さんキャラだったりします。

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ゾンビが魅力的

本作に登場するゾンビもとても魅力的です。
ゾンビって沢山登場するので、わりと十把一絡げになりがちなんですが、本作の場合、まず登場するゾンビはみんな、感染して間がないので、ゾンビになりたてのピチピチなんですね。

なので、腐ってもないし動きの素早いのやトロいのや、それぞれ生前の個性を引き継いでるという設定。
その辺、ゾンビの造形や動きに監督はかなりこだわっていたようで、特殊メイクも考えられていたし、モンスター専門振り付け師のパフォーマーを起用して、ゾンビ個々の動きもそれぞれ考えられてました。

なので、ストリッパーのゾンビのポールダンスや、好きだったブリトニー・スピアーズの曲を歌ったりしますよ。

だって思春期男子だもの!

あと、生前セクシーな女性警官だったゾンビが金網に引っかかって動けない&おっぱいがはだけるシーンがあるんですが、カーターが思わずそのゾンビのおっぱいを触っちゃうところとか、爆笑しながらも「うんうん、分かるよカーター!」と思わずグッときてしまいましたよw

思春期真っ盛りの男子高校生ですもんね。
そりゃあ、例えゾンビでも……っていうか、いや、むしろゾンビだからこそ、目の前におっぱいがあったら触らずにはいられないですよねー。だってゾンビ相手ならおっぱい触っても怒られないものw

ベンの方も、パーティーの場所を知るため、カーターのお姉さんの日記を探している最中に下着の引き出しを開けて、ドキっとしたりする様子は、実に微笑ましかったです。

まぁ、二人ともその後しっかりバチが当たるので、道徳的って言えるのかな?ww
バチが当たると言えば、劇中ムカつくイケメンや、ビッチがしっかりゾンビに食われるのもポイント高かったですねー。
ちなみに後で知ったんですが、どうやらそのイケメンは、シュワちゃんの息子らしいですよw

そして燃えるクライマックスへ!

そんな感じでなんやかんやあって、最後のクライマックスに向かうんですが、この時三人がホームセンターで、対ゾンビ用の武器をDIYするシーンは燃えましたねー!
それぞれ、ボーイスカウトの知識や技術を駆使して武器を作るんですが、その時、しっかり技能取得の証のワッペンの画がアップになるディテールは素晴らしかったですよ!

で、その武器を使ってクライマックスの大立ち回りのシーンに突入して、ゾンビをガンガンやっつける様子(ソフトな表現)は、昨年公開されたゾンビ映画の傑作邦画「アイアム・ア・ヒーロー」に通じるカタルシスがありました。(発表はコッチの方が先ですけども)

とにかくいちいち気が効いてるし、とかくインパクト重視でストーリーはおざなりになりがちなゾンビ映画の中で、これだけしっかりストーリー構成をして、その上でしっかり笑いも入れるセンスはさすが脚本家だなーと思いました。

まぁ、ゾンビ映画なのでグロいのや怖いのや、下ネタやおっぱいが苦手な方にはオススメできませんが、個人的には超面白かったですよー!

興味のある方は是非!!