今日観た映画の感想

映画館やDVDで観た映画の感想をお届け

ザック版不思議の国のアリス「エンジェルウォーズ」(2011)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、「300」や「マン・オブ・スティール」、「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」などアメコミ原作映画の第一人者として知られるザック・スナイダーが原案から監督まで努めた完全オリジナル作品『エンジェルウォーズ』ですよー!

この作品をザックは「マシンガンを持った『不思議の国のアリス』」と語っていたそうですが、その言葉通り、ザックの好きな物を全部ぶっ込んだ闇鍋みたいな作品でしたねー。

ちなみに今回は、2011年に公開された作品でもあるので、後半ネタバレありで感想を書いていきます。
なので「ネタバレは(乂'ω')No!!」という人は、先に映画を見てからこの感想を読んでくださいねー。

いいですね? 注意しましたよ?

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画像出典元URL:http://eiga.com

概要

暗い現実から逃げるために想像の世界を作り出したヒロインがバーチャル兵器を駆使する4人の女性を集め、自由を手に入れるために幻想的な戦いに挑むアクション・ファンタジー。『300<スリーハンドレッド>』のザック・スナイダーが監督を務め、サムライや悪魔が暗躍する壮大なアドベンチャーを構築。現実と想像の世界のはざまで躍動的な演技を見せるエミリー・ブラウニングら美人女優たちのファイトに注目だ。(シネマトゥデイより引用)

感想

この物語の内容をざっくり言うと、セーラー戦士の少女が霊験あらたかな日本刀とコルトガバメントを武器に、闇落ちした侍・ドラゴン・ナチスのゾンビ・アンドロイドなどを相手に大暴れしてアイテムをゲットするミッションに挑むという映画です。

「ははーん、さてはエイプリールフールだから嘘映画を紹介しようって魂胆だな」と思われるかもですが、残念ながら本当に公開された映画ですw(昨日アップしようと思ったのに寝てしまって、今日アップしたので仕込んだネタが……)

ただ、嘘ってところは当たらずとも遠からずで、この作品の肝は、それらの活躍が全て少女の妄想だっていうところなんですね。

ストーリー

1950年代、母親の死によって、遺産を狙う継父の策略によって精神病院に入院させられてしまった少女ベイビードール (エミリー・ブラウニング)は、一週間後全てを忘れてしまうロボトミー手術を受けることを知ります。

イムリミットが迫る中、精神病院から逃れ自由を得るためには5つのアイテムが必要だと賢者から教えられた彼女は、仲間と共に様々な時代でミッションをこなしていく。というストーリー。

この物語が特殊なのは、いつの間にか精神病院がショーパブ兼売春宿にすり替わっていて、5日後、彼女は大富豪の“相手”をしなければならないという事になっているところ。もちろんこれはベイビードールの妄想です。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 気弱なベイビードールだが、一度踊り始めると…

ベイビードールが過酷な現実から目を逸らすためのこの妄想の中では、彼女はダンスの天才ということになっていて、彼女が踊れば男たちは釘付けになってしまうという事になっていて、さらに踊っている間、ベイビードールは様々なファンタジー世界で無敵のセーラー(服)戦士として敵を倒し、与えられたミッションをクリアして、アイテムを集めていく。という妄想をしているんですね。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 最強のセーラー戦士に!

つまり、この物語は、現実・妄想(第一階層:天才ダンサー)・妄想(第二階層:無敵のセーラー戦士)という三層構造になってるわけです。

で、この物語は入院までの冒頭とラストシーンを除いて、第一階層の売春宿妄想と第二階層の無敵セーラー戦士妄想によって構成されているんですねー。(分かりづらい?)

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画像出典元URL:http://eiga.com 

無敵のセーラー戦士となった彼女は、4人の仲間と共に様々なミッションに挑んでいくわけですが、CGバリバリの映像や、重力無視、スローモーションからの早回しといういかにもザックスナイダー的なアクションも相まって、まるでゲームのムービー映像を見てるような気分になるんですよねw

日本刀セーラー戦士、マシンガンやショットガン撃ちまくりのコスプレ少女、パワードスーツや飛行機を操縦する少女のグループが敵と戦うっていう、深夜アニメのような映像が延々続いて行く展開に、観ているだけでガンガン偏差値が下がっていくこと必至です。

そんな、いかにもバカ映画といった感じで物語は進んでいくんですが、ラストではある驚愕の展開が待っているんですねー。

というわけで、ここからネタバレですよー!

 

 

ベイビードールの置かれた状況

劇中、彼女はダンスを踊る(セーラー戦士としてミッションをクリアする)ことで、様々なアイテムをゲットしていきます。

しかし、そもそも何故、精神病院が売春宿にすり替わっていたのか、そこでアイテムをゲットするためにダンスを踊るということにはどういう意味があるのかと考えると、現実世界での彼女の置かれた状況が見えて来るんじゃないかと思います。

この映画の悪役として登場するブルー・ジョーンズ (オスカー・アイザック)は、最初、継父の策略を知った上で口止め料を貰いベイビーのロボトミー手術の書類を偽造する職員なんですね。

そして、後半では何人かの男性職員も彼に協力していることが分かります。

つまり、現実のベイビードールは精神病院の男性職員相手に(おそらく強制的に)性的な行為をさせられている隙を狙って、病院から脱出するためのアイテムをくすねている。
そんな現実から精神を守るために、ここは売春宿で、天才ダンサーとして男を虜にするという妄想、さらに“ダンス”中は第2の妄想の中で自分を貶める怪物(男たち)に復讐しているっていう、考えただけで嫌ぁぁぁぁぁぁな裏設定があるわけです。

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画像出典元URL:http://eiga.com 

では、なぜそもそも彼女が精神病院に送られたかというと、母の遺書に全財産をベイビードールと妹の二人に渡すと書いてあり、それに怒り狂った継父に襲われそうになった妹を助けるために撃った銃弾が逸れて、妹を死なせてしまったから。

ただ、この映画は、舞台の幕が開いて始まる――「これから嘘物語が始まりますよー」と宣言しているわけで、上記での現実の設定すら本当か嘘か分からないんですね。
そもそもベイビードールなんて名前の人、現実にいないでしょ。多分。

そう考えると、最初から全て精神を病んだベイビードールの妄想かもっていうドグラマグラ的ストーリーという事かもだし、ロボトミー手術寸前にベイビードールが見た夢かもしれないし、そもそもベイビードールのもうそうかどうかも怪しい(別の誰かの妄想かもしれない)っていう、三層構造の裏に更に何層ものレイヤーが隠されてる(かもしれない)考えれば考えるほどモヤモヤする作りなのです。

ドラゴンや闇侍やゾンビと闘うゲームのような非現実的なアクションシーンの裏に、とてつもなく嫌な現実が隠されている事が暗示されていて、それすらも本当か嘘か分からないというモヤモヤがあるから、日本刀と拳銃を武器に闘う美少女セーラー戦士のスーパーアクションを素直に楽しめないんですよねーw

そんな彼女の状況を暗示するように、戦闘ミッションはどんどん困難になり、仲間を失っていきます。

そうして、困難の末に手に入れたアイテム(地図、炎、鍵、ナイフ)を使って、ベイビードールと唯一生き残った仲間のスイートピーアビー・コーニッシュ)は、何とか売春宿から逃げ出したものの、外には複数の男たちがいて、そこでベイビードールは自分が主人公(生き延びる人間)ではない事を悟り、自分を囮にスイートピーを逃がすわけです。

そして、寄ってきた男の股間を蹴り上げたベイビードールは、その男に顔面パンチを喰らい今までのシーンが走馬灯のように流れ……。

そこで場面は現実(精神病院)に戻るんですね。
そこにはロボトミー手術を終えた、ベイビードールの後頭部越しに、手術医と責任者の会話がされ、スイートピーと共に逃げたときのアレコレが現実にあった事が分かる(現実でも病人が一人逃げたという話が出ている)んですね。

で、ロボトミー手術を終えたベイビードールは、穏やかな笑みを浮かべているという、「未来世紀ブラジル」のような、超嫌な終わり方になっているのです。

ただ、未来世紀ブラジルと違うのは、その後でスイートピーだった少女が、妄想で彼女たちを導く賢者が運転するバスに乗って去っていく件(くだり)があって、一応はハッピーエンド的な雰囲気にはなってるんですけどね。

この「一応の救いは残してるけど決してスッキリハッピーエンドにはしない」ところは、いかにも「アメリカの虚淵玄」こと中二王ザック・スナイダーらしいって思ったりしましたねーw

とまぁ、狙ってるところは分かるんですが、それが上手くいっているかというと正直微妙なところで、アクションシーンは画面がゴチャゴチャしてる割には人物配置や行動が、しっかり分かるように整理されてて見やすかったし楽しかったけど、ストーリー構成の方はイマイチ上手くいってないというか、三層構造を上手く活かしきれてはいないなーって思ったりしました。

あとはホント好みの問題で、試みとしては面白いけど好き嫌いはハッキリ分かれそうな作品だなーって思ったし、ある程度ザックリテラシーがないと乗れないかもなーなんて思いましたねー。

興味のある方は是非!

 

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シャーリーズ姐さんの“漢っぷり”に惚れる!「アトミック・ブロンド」(2017)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、シャーリーズ・セロン主演のスパイ映画『アトミック・ブロンド』ですよー!

かなり控えめに言って……、スパイアクション映画の大傑作でしたよー!!( ゚∀゚)o彡シャーリーズ! ( ゚∀゚)o彡シャーリーズ! ( ゚∀゚)o彡シャーリーズ!

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画像出典元URL:http://eiga.com

概要

『モンスター』などのシャーリーズ・セロン主演のアクション。腕利きのスパイが、奪還を命じられた最高機密のリストをめぐってし烈な戦いを繰り広げる。メガホンを取るのは『ジョン・ウィック』シリーズに携わってきたデヴィッド・リーチ。『X-MEN』シリーズなどのジェームズ・マカヴォイ、『バートン・フィンク』などのジョン・グッドマンらが共演する。(シネマトゥディより引用)

感想

本作は、2012年のグラフィック・ノベル『The Coldest City』に惚れ込んだシャーリーズ姐さんが自ら制作。

キアヌ・リーブスの「ジョン・ウィック」シリーズや、MCUの「シビルウォー/キャプテンアメリカ」などでアクションを担当したスタントアクション会社「87Eleven(エイティーセブン・イレブン)」のデビッド・リーチを監督に迎えた、まさに肝入りの作品なんですね。

この映画のためにシャーリーズ姐さんは8人ものパーソナル・トレーナーを雇ってトレーニングを重ね、トレーニング中に食いしばりすぎて歯が2本折れたっていうんだから、この作品に対しての並々ならぬ熱意を感じますね。

そんなトレーニングの甲斐あってか、映画冒頭で見せるシャーリーズ姐さんの隆起する背中の筋肉にはイキナリ度肝を抜かれましたよ。

ストーリー

で、この作品はいわゆるスパイ映画なんですが、1989年秋のドイツ・ベルリンが舞台。
ベルリンの壁崩壊前夜――つまりは冷戦終了間際の世界を舞台に、イギリスのMi6旧ソ連KGB、フランスのDGSE旧東ドイツSTASI、そしてアメリカのCIAのエージェントたちが、世界中のスパイ情報が載っているマイクロフィルムを巡って、争いと策略、裏切り、暗躍する姿を描いているんですね。

シャーリーズ姐さんが演じるロレーン・ブロートンはMi6所属のエージェントで、MI6ベルリン支部の責任者デヴィッド・パーシヴァル(ジェームズ・マカヴォイ)と接触。マイクロフィルムの奪還と、裏切り者の抹殺のために単身ベルリンに乗り込んでいく姿を、回想形式で見せていくというストーリーです。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 現地局員のマカヴォイとシャーリーズ姐さん

入り組んだ人間関係や時系列を入れ替えたストーリーは情報量が多く、複雑なので一回観ただけでは、内容を理解するのが大変で(大筋は分かるけど)、そういう意味では本格スパイ映画の名作「裏切りのサーカス」とダニエル・クレイブ版の泥臭い007を足して2で割ったような感じでしたねー。

ただ、敵か味方かも分からない混乱した状況は、そのまま当時のベルリンと、主人公の置かれた状況とリンクしているので、わざとそういう構成にしているのかな?

そして、物語が進むうち2重スパイの存在が明らかになるんですが、それが果たして誰なのかという謎が、観客を更なる混乱に引きずり込んでいくのです。

見たこともないスーパーアクション!

シャーリーズ姐さんのスパイアクションということで、観る前はダンスのような軽業的アクションで華麗に敵をやっつける女スパイをイメージしていたんですが、実際に観たらマジで度肝を抜かれましたねー!

いかつい大男を向こうに回して、ぶん殴る・蹴る・刺す・締める・投げる・撃つ。
シャーリーズ姐さん一歩も引けを取りません。

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画像出典元URL:http://eiga.com / キッチン雑貨で男どもをぶちのめす姐さん

筋力で劣る分は、金的や喉元などへの急所攻撃を多用し、銃・ナイフからフライパンやホース、冷蔵庫などの日用雑貨や家電まで使いこなし、自らも敵にぶん殴られたり吹っ飛ばされたりと傷だらけ。

それも、振り付けに合わせて体を動かしてるだけではなく、どの動きにもしっかり体重を乗せたゴリゴリの泥臭い格闘を見せてくれるという漢っぷり

そのくせ、諜報のためにベルリンのクラブやバーへ赴くときはブロンドヘアとロングコートを靡かせて颯爽と歩き、ウォッカロックをグラスで煽り、「キングスマン」で両足義足の殺し屋ガゼルを演じたソフィア・ブテラ演じる諜報員を抱くっていうね……

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画像出典元URL:http://eiga.com / 姐さんの前ではソフィア・ブテラも可愛い子猫ちゃんなのだ

もうね、男女問わず誰もが、シャーリーズ姐さん抱いてぇぇぇ! と思うに違いないカッコ良さでしたねー!(;゚∀゚)=3ハァハァ

特にクライマックスの、約7分にも渡る(擬似的な)ワンカットのアクションシーンは、建物の縦と横の動線を使って重くて痛みを感じる超絶アクションを繰り広げていて、このシーンだけでも本作を見る価値アリだと思います!

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画像出典元URL:http://eiga.com / 「ゴラー!死ねやぁ!」と敵を階段から蹴り落とす姐さん

もちろんほかのキャストも良くて、ジェームズ・マカヴォイ演じる、ベルリンで諜報活動を続けてきたパーシヴァルは、「地獄の黙示録」のカーツ大佐っぽい感じもあるし、CIAの偉い人を演じたジョン・グットマンや、ロレーンの上司役で、どことなくパグに似てるトビー・ジョーンズは、今回もいい感じでしょんぼりしてましたw

音楽

そんな本作を彩るのが、80年代ポップソングの数々。
僕は音楽は詳しくないので曲名とか歌手名は殆ど分からないんですが、聞けば「あー、80年代っぽーーい!」って思うような選曲の数々で、劇中でも映し出される奇抜なファッションの若者たちとも相まって、長いあいだ分断され押さえつけられていたベルリンに暮らす人々の、今にも爆発しそうなヒリヒリ感と絶妙にマッチしてたように思いますねー。

 

確かにストーリーを追っていくと、時系列入れ替えや登場人物の多さだけでなく、東西ベルリンを行ったり来たりするので、シャーリーズ姐さんが今どこにいて何をしているのか混乱してしまうんじゃないかと思います。
最初の1回目はストーリーは大枠だけ押さえておいて、シャーリーズ姐さんの凄まじいアクションやエロさや、漢っぷりを堪能し、その後でストーリーを追うために2回目を観る。みたいな感じがこの映画の正しい楽しみ方じゃないかと思いましたねー。

興味のある方は是非!!!

 

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世界的アーティストH・R・ギーガーの晩年を追ったドキュメント「DARK STAR H・R・ギーガーの世界」(2017)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、映画「エイリアン」のデザインで知られる世界的アーティストH・R・ギーガーの晩年を追ったドキュメント作品『DARK STAR H・R・ギーガーの世界』ですよー!

僕はギーガーのファンというわけではないし、映画も「エイリアン1」と「プロメテウス」「エイリアン:コヴェナント」しか観てないんですが、世界的モンスターの生みの親がどんな人か知れたし、良い意味で勉強になりましたねー!

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画像出典元URL:http://eiga.com

概要

リドリー・スコット監督作『エイリアン』の造形を手掛けたスイスの画家・デザイナーのH・R・ギーガーに迫るドキュメンタリー。幻想的で緻密な作品を生みだした自宅やアトリエを映すほか、彼の創作の源となったさまざまな出会いや、『エイリアン』のエピソードなどが語られる。ギーガーの世界観が凝縮されたアトリエの様子や、その後の人生を予見したかのようなインタビューが興味深い。(シネマトゥデイより引用)

感想

ぶっちゃけ僕が H・R・ギーガーについて知っていることと言えば、“エイリアンのデザインをした人”くらいで、彼の顔も年齢も国籍も知らなくて、この作品を観て初めてスイス人だった事を知ったくらい、ホント、彼については何も知らなかったし、それほど興味もありませんでした。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 晩年のギーガーじいちゃん

この作品のことは、ネットか何かでたまたま知って、TSUTAYAに行ったとき、ふと「そう言えば置いてあるかな? 」と探したらあったので、「それじゃぁ観てみるか」とホントに軽い気持ちでレンタルしたんですねー。

本作の構成は、本人や彼にゆかりの深い人たちのインタビューを通して、H・R・ギーガーというアーティストとその作品に迫っていくというドキュメント映画としては至極真っ当な作り。
ナレーション入りでギーガーの生涯や仕事を事細かに辿っていくような親切な構成ではないので、ギーガーを全く知らないという人には正直退屈な内容かもしれません。

彼が描いてきた作品や、テーマ(誕生・生殖・死)、創作の動機などが、本人やパートナー、友人や仕事仲間などが断片的に語っていくことで、ギーガーというアーティストの歴史や、案外チャーミングな人となりが次第に明らかになっていくんですね。

ギーガーの自宅

で、個人的に意外だなーと思ったのがギーガーの自宅。

門から母屋まで何百メートルもあるような大豪邸に住んでるのかと思ったら、確かに庭付きの広い家ではあるけど意外と普通の一軒家住まいでした。

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画像出典元URL:http://eiga.com

ただ、一歩中に入るとギーガーの作品や“資料”が山ほどあって「異界感」が半端ないんですよねw
草木に覆われた庭にもギーガーの彫刻や噴水、自作の幽霊列車(電気で走るミニ列車)があり、その列車がギーガーの作品の中を走るんですが、「こんなん乗ったら夢に見るわ!((((;゚Д゚))))」 っていう超怖い悪夢みたいなトンネル? を走るっていう。(ただ、喜々として幽霊列車に乗ってるギーガーじいちゃんは可愛かった)

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画像出典元URL:http://eiga.com / 庭にはエイリアンも

そんな感じで、一言で言うなら“超落ち着かない家”なんですが、そんな家の中でパートナーや猫のムギと暮らす当時73歳のギーガーは、白髪の太っちょで一見気難しそうなおじいちゃんなんですが、映画が進むうちに彼のチャーミングな一面も見えてくるんですね。

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画像出典元URL:http://eiga.com  / スケッチをするギーガーと、飼い猫のムギ三世

元パートナーで今は仕事仲間の女性に「何が食べたい?」って聞かれて「ケーキ」って答え、彼女の手作りケーキを食べて「美味いよ」って言うシーンにはちょっとホッコリしてしまいました。

古城を買ってミュージアム

後半では、ギーガーが子供の頃に住むのが夢だったというお城を購入して作った、ギーガーミュージアムという美術館が登場。
そこでサイン会をするんですが、グラサンにタトゥーの強面あんちゃんがギーガーにサインをもらって、感激のあまり半べそかいてるシーンにはジーンときたました。

そんな感じで、誰もが楽しめる雄弁なドキュメントではないし、内容的にもかなり地味ではあるんですが、「エイリアン」の創作秘話や映像なんかもあって、ほんと、良い意味で勉強になった良作でした。

で、この作品の撮影後ギーガーは階段から転げ落ちて、2014年、本作の完成を待たずに亡くなってしまったそうです。

そういう意味では、彼の最後の姿や言葉を収めた作品として、ファンの人だけでなくギーガーに少しでも興味のある人には観る価値があるんじゃないかと思いましたねー。

興味のある方は是非!!

 

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ブログマガジン「Re-C」に記事をアップしました。

ぷらすです。

僕が火曜日を担当しているブログマガジン「RE-C」に記事をアップしましたー!

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今回はプロレスラー 葛西純をご紹介ですよー!
興味のある方は是非ご一読をー(´∀`)ノ

 

 

他に類を見ない大規模なスーパーボンクラ映画!「グレートウォール」(2017)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、1億5000万ドル(166億円)もの制作費を掛けて制作された米中合同超大作『グレートウォール』ですよー!

芸映画の監督として世界で高い評価を受けたチャン・イーモウ監督作品、しかもマット・デイモン主演、中国資本の映画ということで色々な意味で話題になった作品です!

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画像出典元URL:http://eiga.com

概要

世界的な建造物である万里の長城を題材にしたアクション。その建造に秘められた目的と戦いを、壮大なスケールで活写する。メガホンを取るのは『上海ルージュ』『HERO』などのチャン・イーモウ。『ボーン』シリーズなどのマット・デイモン、『シャドウ・オブ・ヴァンパイア』などのウィレム・デフォー、香港のスター、アンディ・ラウらが結集。国際色あふれるキャストが織り成すストーリーに引き込まれる。(シネマトゥデイより引用)

感想

万里の長城建造の秘密が明らかに!?(しかもかなり序盤に!?)

本作は、『ダークナイト』3部作や『ハングオーバー』シリーズ、『パシフィック・リム』『マン・オブ・スティール』『GODZILLA ゴジラ』『ジュラシック・ワールド』と、数多くのヒット作を手がけたレジェンダリー・エンターテインメント制作の超大作。

栄王朝時代の万里の長城を舞台に、栄の戦士Withマット・デイモンが大量のモンスター相手に闘うという映画を、巨額の制作費を投入して制作したんですね。

宋王朝時代。黒色火薬を求めて宋に辿り着いた欧州の傭兵ウィリアム(マット・デイモン)とトバール(ペドロ・パスカル)は、馬賊に襲われ逃げ回るうちに万里の長城の前に来てしまいます。門の上には弓矢を構えた無数の兵士。

かと言って、逃げるにも後ろには馬賊がいるので、そのまま仕方なく万里の長城を守る禁軍に投降した二人は、万里の長城が60年に一度大群で襲ってくるモンスターから都を守るために建設されたことを知り、あれよあれよという間に、人間対モンスターの戦いに巻き込まれていく――という内容。

そんな突拍子もない設定を基に、レジェンダリーのCG技術と中国のマンパワーが融合した、他に類を見ない大規模なスーパーボンクラ映画が出来上がったのです!

監督

そんな本作の監督チャン・イーモウは、1987年のデビュー作「紅いコーリャン」で第38回ベルリン国際映画祭金熊賞を受賞。

続く1990年の『菊豆(チュイトウ)』は第63回アカデミー賞外国語映画賞にノミネート、1991年の『紅夢』は第48回ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞、さらに1992年の『秋菊の物語』は第49回ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞し、世界的に脚光を浴びた中国映画の巨匠です。

“あの映画”を思い起こさせるシーンが盛りだくさん!

と言っても、僕が観たことがあるのは、2002年の「HERO 英雄」くらいなので、大規模で大味な映画を作る監督という印象しかないんですが、ともあれ、本作はそんなチャン・イーモウのハリウッドデビュー作になるんですねー。

で、本作はまさに「HERO 英雄」イズム溢れる超大規模かつ超大味な怪獣映画でした。
“女王”の指令で集団で動き、人間を食らう怪物「饕餮(とうてつ)」は「スターシップ・トゥルーパーズ」かエメリッヒ版「ゴジラ」のようだったし、迎え撃つハイテク要塞「万里の長城」の兵器の数々や、戦闘中に打ち鳴らされる大太鼓(バチはヌンチャク!)、槍を持って饕餮めがけて決死のバンジージャンプする女兵士たちの姿は、さながら「マッドマックス 怒りのデスロード

襲いかかる饕餮を複数の盾で壁を作り防御する兵士たちの姿は「300」だし、お葬式のシーンで紙製の灯籠(コムローイ)を上げて供養するシーンは「塔の上のラプンツェル」を連想しましたねー。

いや、別にパクリとかではなく、あくまでオマージュ的な意味で。ですよ?

まぁ、饕餮は中国神話に登場する怪物だし、灯籠(コムローイ)のシーンは、後の伏線になっているんですけどね。

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画像出典元URL:http://eiga.com

ツッコミどころ満載過ぎ問題

そんな感じで数々の“オマージュ”っぽい映像を楽しめる本作ですが、同時にツッコミどころも満載です。

例えば上記“槍を持って壁をよじ登ってくる饕餮バンジージャンプ”作戦ですけど、一回のジャンプにつき半数以上の兵士が食われてます。
いやいや、どう考えても上から岩でも落とした方が効果的だよね!?
お前らなにサイドスクワッドだよ!とか。

饕餮によって兵士の死体が万里の長城に置かれていると報告が入る→兵士を連れて将軍自ら確認に行く→饕餮の罠で襲われる→部下(ヒロインのリン)を庇って食われて死亡……。って、

将軍自ら行くんかーーい! そして饕餮は、壁をどうやって登ったー!  とか

2回に渡って行われた饕餮の襲撃は実は陽動作戦で、その隙に万里の長城の下に穴を掘ってトンネル完成。「やつら都に向かっていまーす!」……って、

なぜ誰も気づかない! 

いやいや、100歩譲ってトンネル掘ってるのを気づかないのは仕方ないとして、饕餮の大群が都に向かってるのに気づかないとか、お前らの目はどんだけ節穴なんだよ! とか。

っていうか、火薬持ってるなら最初から使えぇぇぇぇ!!
(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ 
とか。

とまぁ、万里の長城を守ってる禁軍の皆さんが、ツッコミ切れないほどのボンクラ集団過ぎて、なんかもう、ツッコんでる自分がおかしいのか!? と思う始末。(↑これでも序の口ですから)

劇中、ヒロインのリン(ジン・ティエン)がマット・デイモンに「信頼が大事」的な事を言うけど、お前らがボンクラすぎて全く信頼出来ないんですけどー! って思いましたねーw

良かったところ

悪口ばかりでもアレなので良かったところも上げると、

まず、全体的に映像の色合いが美しい。
万里の長城を守る兵士たちは役割によって黒・赤・青・黄色・紫と鎧を色分けされてたり、都の塔の中が色ガラスで幻想的な色になっていたり。
多分、この辺はチャン・イーモウ監督の過去作品でも観られるこだわりの部分なんじゃないかと思いました。

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画像出典元URL:http://eiga.com

あと、空中撮影されただろう荒野の地層の色とかも壮大な映像を彩っていましたねー。

次に、やたら人が多い割に見やすい。
この映画、とにかく人が多くて、最大500人ものエキストラが登場することもあったようです。
その割には、画がそれほどガチャガチャしてないし位置関係も整理されてるので、誰がどこにいて何をしているのか分かりやすく(主要人物に焦点を絞ってるからってのもあるけど)、観ていて混乱するということはなかったです。

あと、大量の怪物と人間の対決っていうコンセプトが(ボンクラ的に)単純にワクワクするし、饕餮を倒すために万里の長城に仕込まれているガジェットも観ていて楽しいんですよねー。(巨大な投石器やクレーン、壁から出てくる回転カッターとか)

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期待はせずに、ツッコミ入れながら観る分には十分楽しめる作品だと思うし、なによりこんな大予算をかけたボンクラ映画は中々観られないと思うので、(積極的にオススメは出来ませんが)イイ話のタネにはなると思いますよー!

興味のある方は是非!

 

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やさぐれスーパーヒーロー登場!「ハンコック」(2008) *エクステンデッド版

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、ウィル・スミスが嫌われ者のスーパーヒーローを演じた『ハンコック』ですよー!

実は僕、この作品初見なんですが、思いのほか面白かったですねー!

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概要

アルコール好きで力加減のできない嫌われ者のヒーロー、ハンコックが暴走するヒーロー・アクション。市民に迷惑がられる日々から一転、愛される真のヒーロー目指し、まい進していく。ハンコックを演じるのは、『アイ・アム・レジェンド』のウィル・スミス。共演はオスカー女優シャーリーズ・セロン、『キングダム/見えざる敵』のジェイソン・ベイトマン。砂浜に上がったくじらを海に投げ入れたりと、これまでのヒーロー像をくつがえす型破りな活躍は見逃せない。(シネマトゥデイより引用)

感想

スーパーヒーローは世間の嫌われ者!?

本作でウィル・スミスが演じるのは、スーパーマン並みのスーパーパワーを持つ男ハンコック。しかし、彼はロス中の嫌われ者です。

人助けはするし悪党退治もするけど、ビルや車、標識や道路を壊すのもお構いなし。おまけにアル中で粗暴な振る舞いや乱暴な言葉使い、自分の行動を反省しない彼は、老人から子供にまで「クズ野郎」と呼ばれ、忌み嫌われているんですねー。

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画像出典元URL:http://eiga.com  / 街を壊してもお構いなしの問題児ハンコック

そんなある日、列車事故に合いそうになったお人好しのPR専門家レイ(ジェイソン・ベイトマン)を助けたハンコック。
レイは、お礼に夕飯に招待し、ハンコックが市民から好かれ尊敬される真のスーパーヒーローになれるようプロデュースを提案します。

しぶしぶながらレイの提案に乗ったハンコックは、刑務所でそれまでの罪(器物破損とか)を償ったうえで、彼がスーパーヒーローとして人々に必要とされるのを待つことに。(ハンコックがいなくなると、短期間で犯罪率が増えると予想)

そして、レイの計画通り、警察署長の要請で凶悪な銀行強盗事件を解決したハンコックは一躍街の人気者になるのだが……。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 更生したハンコック

というストーリー。

コエディーチックなストーリーも相まって、主演のウィル・スミスの魅力がいかんなく発揮されていましたねー。

そして、本作もう一人の重要人物が、シャーリーズ姐さん演じるレイの奥さんメアリー。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 美人でかっこいいシャーリーズ姐さん

とにかくハンコックに対して冷たいメアリーですが、そこにはハンコックの過去に関わる重要な秘密が隠されているわけです。

まぁ、その辺の設定がこの作品の賛否が分かれているところなんですが。

完全オリジナルヒーロー

僕は最初、この作品はアメコミ原作だと思ってたんですが、完全オリジナルヒーローだったんですねー。

不老不死の超怪力の持ち主で、音速で空を飛ぶことも出来るし、銃弾や爆弾も通じない鋼の肉体と、まさに黒人版スーパーマンといった感じのハンコックですが、全身タイツ姿を嫌い、だらしない普段着でヒーロー活動をするし、いつも酔っているので飛行中にビルや標識にぶち当たって壊してしまい、功績よりも後始末にかかる費用の方が高くつくという、非常にコストパフォーマンスの悪いヒーローなのです。

なぜ、彼がそんなにやさぐれているのかといえば、ハンコックはある事件以前の記憶がなく、非常に孤独な男だからなんですね。

物語後半ではそんな彼の正体が明かされるわけですが、設定自体も飲み込みづらいし、ストーリーの語り口もあまり上手くないので「ん? う~ん??」となってしまいましたねー。

というわけで、ここからネタバレですよー!

 

 

 

実はハンコックは紀元前から生きていて、時代や国によって神とか天使とか呼ばれている存在でした。

で、地球上にはそういう仲間が結構いたらしいんですが、みんな死んでしまって今ではハンコックとレイの奥さんになったシャーリーズ姐さん演じるメアリーだけしか残っていないと。

メアリーとハンコックは元々は夫婦(ペアになるように神に作られた存在?)なんですが、二人が一緒にいるとスーパーパワーを失ってしまい、普通の人間になってしまうらしいのです。

まぁ、そこまでは不死者への救済措置として、神様がプログラムしたってことで飲み込めなくもないんですが、二人が一緒にいると必ず災難が襲って結局離れ離れにならざるを得ない運命だという……って、

一体なんの嫌がらせじゃーい!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ 

そもそも彼らは、神様が人類にかけた「保険」という説明がされてるんですけど、だとしたら最初からペアにする意味がない気がするし、惹かれあうように作っておいてくっついたら引き剥がすとか、ちょっと意味が分からないというか、システムがバクってんじゃね? と思ってしまうんですよね。

多分、この設定自体はクライマックスの「ある展開」のために作ったんでしょうけど、色々盛り込みすぎてガチャガチャした感じだし、後半になって一気に真実を明かす語り口もいかがなものかと思いましたねー。
もう少し設定や構成をスッキリ整理したほうが良かったんじゃないかなー? と。

あと、ハンコックと同等の力を持つ者の役割を敵じゃなくメアリーに背負わせたことで、後半の展開が正直尻すぼみになってしまった感じもしました。

せめて、復讐に燃えるレッド(エディ・マーサン)が、何らかの理由で“ハンコックの弱点”を知って病院に乗り込んでくる的な流れがあれば、クライマックスシーンが盛り上がったと思うんですけどねー。

前半が良かっただけに、もったいないって思いましたねー。

ハンコックのキャラクター

ただ、ハンコックの自堕落でやさぐれたヒーローという設定自体は面白かったし、ちょこちょこ挟まれる小ネタやオフビートでコミカルなシーンも個人的には好きでした。
そういうのやらせると、ウィル・スミスはホント上手いんですよね。

ハンコックが嫌われ者からスーパーヒーローとして認められるまでの前半部分は、ド派手なCG映像もあって興奮したし、相棒役となるレイの超お人好しなキャラクターも良かったです。

ハンコック自身は嫌がってたけど、スーツのデザインもカッコよかったですしねー。

一度は続編の制作が決定したというニュースが流れつつも、その後音沙汰がないので大人の事情で中止になったのかもですが、ハンコックのキャラクター自体はすごく魅力的だし、逆に正統派ヒーローじゃない「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」や「デッドプール」が受け入れられている今だからこそ、続編orリブート版を作ったらウケるんじゃないかと思いました。

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興味のある方は是非!!

 

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キング原作のジュブナイルホラー「IT/ “それ”が見えたら、終わり。」(2017) R-15

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、昨年公開されるやSNSなどで話題になったホラー映画『IT/ “それ”が見えたら、終わり。』ですよー!

27年毎に現れて子供達を襲う“IT”(それ)ことペニーワイズと、家庭や人間関係に様々な問題を抱える主人公たち“ルーザーズ”(負け組)の戦いを描いたジュブナイルホラー?です。

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概要

1990年に映像化されたスティーヴン・キングのホラー小説を、『MAMA』で注目を浴びたアンディ・ムスキエティ監督が映画化。静かな田舎町に突如現れた正体不明の存在が、人々を恐怖に陥れるさまが描かれる。『ヴィンセントが教えてくれたこと』などのジェイデン・リーバハー、『シンプル・シモン』などのビル・スカルスガルドをはじめ、フィン・ウォルフハード、ソフィア・リリスらが出演。(シネマトゥデイより引用)

感想

米国ホラー小説の帝王、スティーブン・キング原作の長編小説「IT」を原作にした本作は、1990年に放映されたテレビ映画?のリブート版になります。

原作では、幼年期と壮年期の2度「IT」と戦う主人公たちの姿を交互に描く構成らしいんですが、テレビ版は少年期を描いた前半と壮年期を描いた後半の二部作になっていて、リブート版の本作は少年期のみを映画化したんですね。

「IT」(それ)は、ペニーワイズというピエロの姿で現れるため、1990年版を観た世代の子供たちはピエロ恐怖症になったなんて逸話があったりなかったりw

ちなみに「IT」には“鬼ごっこ”という意味もあるみたいですねー。

ざっくりストーリー紹介

舞台は1989年のメイン州デリー。

雨の日に弟が行方不明になった主人公 ビル(ジェイデン・リーバハー)、メガネのリッチー(フィン・ウルフハード)、ユダヤ人のスタンリー(ワイアット・オレフ)、過保護な母親を持つ喘息持ちのエディ(ジャック・ディラン・グレイザー)、転校生の太っちょ少年ベン(ジェレミー・レイ・テイラー)、黒人少年マイク(チョーズン・ジェイコブス)、父親に性的虐待を受けている少女ベバリー(ソフィア・リリス)は、彼らが通う中学で「ルーザーズ(負け組)」と呼ばれ、いじめられています。

そして、この街では、子供たちが次々行方不明になっていて、彼らはひょんなことからそれが「IT」の仕業であることを知り……。

というストーリー。

ストーリー的には、同じくキング原作の「スタンド・バイ・ミー」のホラー版といった感じで、ITとの対決を通して彼らが成長し大人になっていく姿を描いた通過儀礼の物語になっているんですね。

ホラー映画としては怖くないけど…

で、この作品。ぶっちゃけホラー映画としてはさほど怖くないんですよね。

この作品は様々な問題を抱えた少年少女たちが“ITという苦難”と対峙することで成長する姿を描くことを主軸に描いているので、ペニーワイズが怖すぎるとストーリー的にもパワーバランス的にもブレちゃうからかなー? なんて思ったりしました。

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ルーザーズ」が抱える問題

「負け組」リーダーで主人公のビルは、弟が行方不明になった事に責任を感じ、弟を探していて、また自身は吃音をからかわれいじめられています。

ユダヤ系のスタンリーと黒人のマイクは、人種や出自でいじめられているし、転校生で太っちょのベンは友達ができず、エディは体の弱さと過保護な母親がコンプレックス。

そして、ベバリーは家では父親に性的虐待を受け、学校や街ではビッチだと噂を流され苛められているんですね。

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本作はそんな大人と子供の狭間にいる彼らが、協力したり、初恋したり、ケンカしたり仲直りしたりしつつ、ペニーワイズと対決していくことで、仲間や強さを手に入れて、子供から大人へと成長していく姿を描く、ジュブナイル作品なんですね。

ベニーワイズの正体

同時に本作では、子供たちが親や街の大人たちによって捻じ曲げられていく姿も描いています。

ベバリーの父親は言うまでもなく、エディの母親もいわゆる過干渉の毒親で、エディを喘息と信じこませ、家に閉じ込めようとしています。

また、ルーザーズを執拗にいじめる(というかナイフで切りつけたりする)不良グループのリーダー ヘンリー(ニコラス・ハミルトン)は、警官で強権的な父親から受けるDVが原因で、やがて狂気じみた行動を取るようになります。

一方で、彼らの親や街の大人たちは、不自然なくらい子供たちに対して無関心でもあり、ベバリーの父親やエディの過干渉な母親ですら、子供たちを見ていないことが分かります。(自分の欲求を満たす道具でしかない)

その世代間の断絶は実に現代的なテーマと言えるんじゃないかと思うし、この作品の裏テーマとも言えるんじゃないかと。
子供を守ってくれるハズの大人が、自分たちを見てくれないというのは、子供たちにとってはペニーワイズ以上の恐怖なのかもしれません。

つまり「IT」ことペニーワイズとは、子供たちがが抱えるコンプレックスや問題の具象化した姿であり、成長期の不安定さや漠然とした恐怖・不安など、思春期に差し掛かった少年少女が誰しも心に抱える闇のメタファーなんですね。

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そんなペニーワイズを演じるのは、スウェーデン出身の二枚目俳優ビル・スカルスガルド。素顔の彼はペニーワイズとは結びつかない二枚目ですが、この役を獲得するためにペニーワイズのメイクや衣装などを仲間と作り上げ、オーディションに臨んだんだとか。
また、子供たちのリアルな恐怖の表情を取るために、本番まで子供たちとは合わないようにしていたそだし、劇中ペニーワイズの目が斜視になるのもCGではなく自分で演じたんだそうです。

ホラー映画に久々のスター誕生?

そんな感じでビル・スカルスガルドとスタッフが作り上げたペニーワイズは、確かに怖いけど、どこか憎めないユーモラスさもあって、「13日の金曜日」のジェイソンや「エルム街の悪夢」のフレディーなど、ここ最近見かけなかったホラー界のニュースターになりそうなキャラクターでしたねー。

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本作のヒットを受けて、主人公たちの壮年期を描いた続編の制作が決まったらしいので、2年後くらいに再び彼の姿が見られるかもしれません。
まぁ、1990年版の壮年期バージョンはかなり評判が悪かったらしいので、ファンの間では心配の声もあがってつようですけども。
もしかしたら「ドリーム・キャッチャー」みたいな内容になったりしてw

興味のある方は是非!!

 

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