ぷらすです。
今回ご紹介するのは、『ハングオーバー』シリーズの製作スタッフが名を連ねるパニックホラー『ゾンビーバー』ですよー!
パッケージを見たとき「また日本配給会社の人がテキトーな名前つけてー」って思ったら、原題も同じでしたーww
画像出典元URL:http://eiga.com/
概要
愛らしい動物、ビーバーが汚染廃棄物によってゾンビ化し、キャンプにやってきたやりたい放題の若者たちに襲い掛かるパニックホラームービー。
監督はジョーダン・ルービン。
あらすじ
ある事故によって、運搬トラックから汚染廃棄物の入ったドラム缶が1つ川に落ちてしまうところから物語はスタート。
同じ頃、彼氏のサムに浮気されたジェンを慰めるため、友人のメアリー(レイチェル・メルヴィン)・ゾーイ(コートニー・パーム)とジェン(レクシー・アトキンズ)の三人は、メアリーの従兄弟が持つ湖畔の別荘にバケーションにきていた。
その夜、ゾーイが密かに呼んでいたサム(ハッチ・ダーノ)・トミー(ジェイク・ウィアリー)・バック(ピーター・ギルロイ)と合流。
6人はそれぞれカップルに別れ燃える夜を過ごすが、サムを許せないジェンが1人シャワーを浴びるためバスルームへ行くと、そこには汚染廃棄物の影響で凶暴化し、殺しても死なない『ゾンビーバー』がいた。
感想
B級映画として
本作はいわゆるB級ホラー?ムービーというやつです。
ゾンビ+ビーバー=「ゾンビーバー」という、見た瞬間に内容が分かる捻りのないタイトルと、見た瞬間「あ、これB級だな」と分かるパッケージイラスト。
アメリカの低予算B級ジャンルといえば、動物パニック、ゾンビ、ホラー、バイオレンス・SFものなどがあって、それぞれにコアなファンがいたりするんですが、本作は、動物パニックとゾンビを足しちゃったんですね。
正直、最初は観る気はなかったんですが、ラジオで誰かが面白いと言っていたので「じゃぁ、騙されたと思って借りてみるか」とレンタルしてきたら……。
コレが超面白かった!
いや、誤解されると困るんですが、本作にいわゆる『普通の映画』に求める面白さはありません。
B級ホラーやゾンビ映画などの『ジャンル映画』を好む僕みたいな人間にとっては。
という注釈つきで面白いという意味です。
この手の映画は、物語性とか意外性とか人間ドラマとかを追うのではなく、いかにもバカバカしい発想やジャンル映画ならではの『お約束』を、低予算の中いかにインパクトたっぷりに観せるかが重要で、観客もそこを楽しむ。
というのがスタッフと観客の間の共通ルールになっていて、そういう意味でB級映画はマニアックなジャンルと言えます。
もちろん、星の数ほど作られるそうしたジャンル映画の中には、『ジャンル映画の枠』を突き抜けて一般客にも受け入れられる名作映画もありますけどね。
作り手のジャンル映画愛を感じる作品
本作の偉いところは、B級ホラーのお約束を尽くしっかりと押さえているところじゃないかと思います。
冒頭のいかにもボンクラといった風情の2人組が運搬する、何かは分からないけどヤバ気な薬品が入った容器が、ボンクラどものウッカリのせいで川に落ちて流されていく。もうこの導入だけでワクワクです。
で、その薬品が入った容器が行き着くのが、女子三人組が向かう湖。
そこにはビーバーが生息していて、ビーバーのダムに着いた容器から薬品が吹き出すというベタベタな展開も素晴らしいw
他にも、湖畔で釣りをしていた少年の竿に大物がかかり竿ごと持っていかれ、湖畔を覗き込む少年。ここでゾンビーバーに引き込まれるのか!? と思わせておいて、後ろから少年に向かってカメラが迫るとか、湖について泳ぐ女子3人の後ろを少年が被っていた帽子が流れていくとか、いちいちファンのツボを押さえる演出が上手い。
さらに夜、3人がたわいないおしゃべりをしているとドン!ドン! と家のドアを叩く音。何事かと恐る恐る出て行くと、ゾーイの手引きでやって来たボーイフレンドたちのイタズラだったという外し演出。
その後、満を持して登場するゾンビーバー。
もう、ここまでの流れでファンのハートを鷲掴みですよ! ヒャッホー!
その後この6人はゾンビーバーに襲われるわけですが、このゾンビーバーが絶妙にショボイ。
基本マペットで、足りない部分はCGで補うスタイルなんですが、そうはいってもビーバーですからね。怖さはほとんどありません。
ゴアシーンも出てくるけど、作り物感まるだしなのでなんか笑っちゃう。(褒めてます)
これは明らかにそういうショボく見える観せ方の演出をしてるわけで、作り手たちのジャンル映画愛が伝わってきます。
実はストーリー構成も上手い
そんな感じでバカバカしさとB級感が前面に出てしまいがちですが、実は本作はストーリーもよく出来てます。
前半で人物配置をした上で伏線を張り、後半で一気に回収していく手腕は見事だし、何気にミスリードで観客に「あれ?」と思わせておいて、後半の一番盛り上がるところでババーンと見せ場を作る上手さに、観客は「よっしゃキタ━━(゚∀゚)━━ヨ」とカタルシスを覚える作りになってます。
そうした細部に一々気が利いてるしリズムもいいので、映画を観ていて非常に気持ちがいいんですよね。
最後まで観るべし!
ここまで読んで興味の湧いてきた人のためにちょっとしたアドバイスなんですが、本作を観るときは、ED曲やEDロールの後まで決して見逃さないでください。
EDロールの途中で再生を止めてしまうと、本作を味わい尽くしたことにはなりませんよー。(いや、そこまで大げさな話じゃないですけどもw)
兎角、低予算のB級ジャンル映画は、出オチ的なアイデア一発で終わってしまったり、スタッフ自身が悪ふざけに走ってしまい観客がシラけちゃう……なんて作品も多いんですが、本作の場合、確かな実力を持った大人たちの本気の悪ふざけなので、ジャンル映画の楽しみ方を分かってる人なら楽しく観られるんじゃないかと思います。(ただし、面白くなくても苦情は受け付けませんw)
興味のある方は是非!!
*ちなみに本作はR-15指定なので、15歳未満の人は見ちゃダメですよー。