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オカルトde革命だー!「霊的ボリシェヴィキ」(2018)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、「リング」「女優霊」などの脚本家として知られるジャパニーズホラーの巨匠・高橋洋監督のホラー映画『霊的ボリシェヴィキ』ですよー!

Twitterで話題になっていてずっと気になってたんですが、先日TSUTAYAで見つけたので早速レンタルしてきましたよー!!

感想を一言で言うと、前回ご紹介した「マーダー・ミー・モンスター」に負けず劣らずのヘンテコな映画でしたよ。引きがいいのか悪いのかw

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画像出展元URL:http://eiga.com

概要

『女優霊』や『リング』シリーズ、『発狂する唇』などの脚本を手掛けてきた高橋洋がメガホンを取ったホラー。奇妙な心霊実験が恐怖の世界へと移っていくさまを描き出す。『んで、全部、海さ流した。』などの韓英恵や『NOEL ノエル』などの長宗我部陽子、ベテランの伊藤洋三郎などが出演する。(シネマトゥディより引用)

感想

霊的ボリシェヴィキ」というパワーワード

僕が本作を知ったのはTwitterでした。
本作公開時に結構な熱量で話題にしている人のツイートが結構回ってきて、「霊的ボリシェヴィキ」というタイトルのインパクトに強く惹かれたんですね。

恥ずかしながら「ボリシェヴィキ」という単語の意味は知らなかったんですが、言葉の響きからロシア語なんだろうって事だけは分かるじゃないですか。
そこに「霊的」というワードが連結されることで、強烈に興味を掻き立てられるパワーワードになってるんですよね。

この「ボリシェヴィキ」を超雑に説明すると、ロシアの革命家レーニン率いる左派の一派で、旧ロシアで革命を起こしてソビエト連邦を作ったわけです。
そしてレーニンの死後、スターリンが跡目を継ぐ形になるんですね。

で、本作のタイトルでもある「霊的ボリシェヴィキ」というパワーワードの生みだしたのが月刊『ムー』創刊顧問・武田崇元氏で、こちらも超雑に説明すると、1968に起こった世界的な革命運動とアングラ演劇やヒッピームーブメントなどの左翼的文化にオカルトをくっつけて作った造語で、「オカルト“で”革命を起こす」的な事らしい。
「オカルト”に“」ではなく「オカルト“で”世界を変える」ってことらしい?ですよ。

そんな武田氏との対談を通して「霊的ボリシェヴィキ」という言葉を甚く気に入った高橋監督が、紆余曲折の末に制作・公開したのが本作なんですね。

ざっくりストーリー紹介

舞台は集音マイクがアチコチに仕掛けられ、壁にレーニンスターリン肖像画が飾られた奇妙な施設。
そこに、”実験“の主催者である教授の浅野(高木公佑 )と助手の片岡(近藤笑菜)、霊能者の宮路澄江長宗我部陽子)、元刑務官の三田(伊藤洋三郎 )、昔は霊感が強かったらしいおばさんの長尾(南谷朝子)、幼い頃神隠しに遭った橘由紀子韓英恵)とその婚約者・安藤(巴山祐樹)という、人の死の瞬間に触れた経験を持つ7人が集められます。

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画像出展元URL:http://eiga.com / 謎の私設に集められた7人。ちなみにここは給食センターなのだとか。

ここで行われる実験の目的は、そんな彼らが体験談を語る事で場の霊力を高めて「あの世」を呼び出すこと。

霊障でデジタル機器が使えなくなるためアナログテープを回し実験が開始され、彼ら・彼女らが次々に体験を披露するにつれ、施設には不可思議な現象が起こり始め――というストーリー。

一応舞台は現代の日本で、やってることは要するに「百物語」なわけですが、壁に旧ソ連指導者の肖像画が飾ってある理由は語られる事なくスルー。
で、一人目の語り部、元刑務官の三田が死刑囚の執行に立ち会う話から実験がスタートするわけですが、内容は執行の日、死刑囚を迎えに行ったら超暴れて怖かったという話で、それを聞いた安藤が「それは一番怖いのは人間って話でしょ」と食って掛かるんですね。

すると、霊能者の宮路がおもむろに安藤を杖でぶん殴り、教授は平然と「それは禁句ですよ」なんて言う。え、そうなん?

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画像出展元URL:http://eiga.com / 「それは禁句ですよ」

そして、(安藤のツッコミのせいで)折角集まった霊気が散ってしまったのでみんなで歌いましょうと教授が提案し、何故かボリシェヴィキ党歌(後の旧ソ連・現ロシア国歌)を全員で合唱すんですよ…………って、

 

なんでやーーーっ!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ

 

全員、現代の、日本人、なのに、な・ん・で、ロシア国歌をソラで歌えるの!?

っていうか、なぜツッコまない安藤!!

なんだ、ババァに殴られてビビってんのか?
っていうか、お前も歌うんかーい!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ

 

多分、このシーンをスルー出来るかどうかが、この作品に乗れるか乗れないかの分水嶺になると思いますw

僕はここで振り落とされてしまったというか、頭の中が「?」で埋まってしまって、その後の怖い話や怪奇現象が全然頭に入ってこなかったですよw

その後、参加者の怖い話が進むごとに徐々に施設に不穏な空気や怪奇現象が起こり始め、やがて物語は衝撃のクライマックスへと発展していくんですねー。

狙いなのか低予算ゆえなのか

前述したように設定面でも色々気になるところが多い本作ですが、演出の方も不思議というか。

まぁ劇中語られる体験談自体は、(役者さんの演技力もあって)怖いんですが、普通は映画なんだから役者さんが語り始める→回想シーンへ移行していくじゃないですか。

ところが本作にはそれがなくて、役者さんが話してる姿&その場のメンバーのリアクションを延々写してるだけなんですよね。

本作は映画美学校のカリキュラムの一環として、わずか6日間で作られた超低予算映画らしくて、なので回想シーンを入れない演出が「低予算だからやりたくても出来ない」のか、「最初から狙ってそうしているか」が分からないんですね。

個人的な印象としては後者な気がするんですが、このワンシチュエーションの演出で「映画」というより「アングラ演劇」の舞台を観ているような感覚でした。

リアクションや芝居が、やや大げさで唐突だからってのもありますが。

それもこれも少ない予算、72分という短い尺のなかに物語を収めるため仕方なくだったのかもですが、個人的に設定は面白かったし。劇中語られる”怪談“も怖かったので、それなりの予算をかけてがっつり映画的な演出だったらもっと怖かったんじゃないかな?って思いましたねー。

 面白いかと聞かれれば(´ε`;)ウーン…だけど

そんな感じで「結局、面白かったの?」と聞かれれば正直「ウ、(´ε`;)ウーン…」って感じですが、超のつく低予算で映像的にも正直かなり安っぽいにも関わらず、それでも最後までそれなりに楽しめたのは、脚本も担当した高橋洋監督の構成力が高さと、ホラー映画のルールがしっかり守られているからなんですよね。

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画像出展元URL:http://eiga.com / 壁に貼られたレーニンスターリン肖像画

いや、肖像画やロシア国家合唱の件はビタイチ意味が分かりませんでしたが

でも、そこを除けば面白かったし、実験の真の狙いなんかは「なるほど、そういう事だったのか」と納得したし、クライマックスからの超展開のあと、突然「終」の文字で(EDロールもなく)ぶつ切りに終わるラストの潔さも、逆に不穏な余韻を残してましたしね。

72分という時間も気軽に観られる丁度いい長さだったと思います。

正直、好き嫌いはハッキリと分かれそうな作品ですが、好きな人はハマる作品なんじゃないでしょうか。

興味のある方は是非!!

 

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