今日観た映画の感想

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藤原竜也の歌舞伎「カイジ ファイナルゲーム」(2020)

ぷらすです。

友人がDVDを持って遊びに来てくれたので、一緒に『カイジ ファイナルゲーム』を観ました!

僕は実写版「カイジ」って1作目は観てるんですが、確か2作目は観てないんですよね。
まぁ、藤原竜也の「カイジ」は一応本作も併せて3部作という扱いっぽいですが、物語が直接的に繋がりはなく、「カイジ」のキャラや世界観・設定などはゆるく繋がってはいるけど、それぞれの物語は独立してるので、本作から観ても物語的には問題ない感じでした。

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画像出展元URL:http://eiga.com

概要

福本伸行のベストセラーコミックを原作にした劇場版シリーズの第3弾にして最終章。命懸けのゲームから何度もはい上がってきたカイジが、新たなゲームに挑む。前2作の監督を務めた佐藤東弥カイジを演じた藤原竜也が続投し、『BLEACH』などの福士蒼汰、『町田くんの世界』の関水渚、『OVER DRIVE』などの新田真剣佑らが出演する。“バベルの塔”や“最後の審判”など、原作にはない過激でユーモラスなゲームが登場する。(シネマトゥデイ より引用)

感想

ざっくり「カイジ」の歴史など

本作の原作となるのは週刊ヤングマガジンで連載されている福本伸行原作の大人気漫画シリーズ。

賭博黙示録カイジ」1996~1999
賭博破戒録カイジ」2000~2004

賭博堕天録カイジ」2004~2008
賭博堕天録カイジ 和也編」2009~2012
賭博堕天録カイジ ワン・ポーカー編」2013~2017
賭博堕天録カイジ 24億脱出編」2017~

があり、現在も3勤1休のペースで連載中なのだとか。

ストーリーをざっくり説明すると、自堕落な日々を過ごしていた主人公“伊藤開司”(通称カイジ)が、借金返済のため金持ちの仕掛ける命がけのギャンブルに挑み、勝ち上がっていくというストーリーで、作品内で描かれるオリジナルギャンブルの攻略法をカイジが探し出し、絶対的に不利な状況から逆転していくのが見どころの作品です。

そんなストーリーの面白さと福本伸行が描くクセの強いキャラクターの魅力で人気作となった「カイジ」は、テレビアニメ化を経て2009年に藤原竜也主演で実写映画「カイジ 人生逆転ゲーム」を公開。香川照之天海祐希など豪華キャストの出演もあって大ヒット。

これを受けて2011年には続編の「カイジ2 人生奪回ゲーム」が制作・公開され、こちらもヒットしたようです。

それから9年を経て、今年のコロナ直前に公開されたのが本作「カイジ ファイナルゲーム」なんですね。

本作の設定が、東京オリンピックのあと超不景気になってしまった日本を舞台にしてるのが、何か観ていて微妙な気持ちにさせられましたねーw

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後出しに次ぐ後出し!まさに悪魔的ご都合主義感!

さて、前述したように「カイジ」の面白さは原作者の福本伸行が独自に考案したゲームを、カイジがロジックで攻略していくところにあります。

ところが、この実写シリーズではそうしたロジックは完全無視
まぁ、2時間程度の劇場映画では連載漫画やアニメと違って、時間をかけてゲームのルールやら駆け引きの面白さを描くことは出来ないと考えて、製作者は最初から諦めているんでしょうけど。

ただ、このカイジはそもそも「コンゲーム」的な面白さが売りの作品なのです。
コンゲーム」とは、ざっくり言えば主人公が敵を罠にハメて逆転する物語で、圧倒的に不利な状況から、たった一手でどんでん返しをしてみせる面白さを見せる物語形式で、そこに至るまでのロジックや伏線の積み重ねが一番大事なんですよね。

しかし、そのロジックを完全無視しているこの実写版3部作では、結果的に後出しジャンケンのオンパレードで、敵が罠を仕掛けカイジが窮地にからのカイジ逆転という構図が繰り返され、しかもその逆転に特にロジックもないし、伏線の張り方も下手くそなので、いくらどんでん返し(風の展開)をしても観ているこっちは「うん知ってた」としか思わなかったり。

そんなご都合主義的な後出しジャンケン的な展開がつるべ打ちなので、ぶっちゃけわりと序盤から真面目に観るのがアホらしくなっちゃうんですよねー。

それでも1作目・2作目はまだカイジの(成長)物語だったから、まだ見どころもあった気がしますが、本作はすでにカイジの物語ですらなく、カイジ伊武雅刀演じる正義の金持ちのサポートをするだけ。

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つまりギャンブルに勝とうが負けようが、カイジは別に痛くもかゆくもないんですよね。

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さらにカイジの味方として登場する自称”ラッキーガール“の桐野加奈子(関水渚)は物語上いなくてもまったく困らないっていう典型的なにぎやかし要員で、何かしてるっぽいけど何もしていない……ってうか、実は本作に限ってはカイジも何かしてるか分からなくて、ただただ井部雅刀の横で狼狽えたりドヤ顔したり解説するだけのガヤ芸人的立ち位置なんですけどねw

なので映画としては正直目も当てられない酷い出来なんですが、ただ、この「カイジ」三部作は「映画としての評価」とは別に、藤原竜也映画としてどうかっていう評価軸もあると思うんですよねー。

半沢直樹」もしくは歌舞伎!? ”藤原竜也モノ“としての「カイジ

この「カイジ」シリーズは「デスノート」と並んで、クズ役者(クズ役が似合う役者ね)としての藤原竜也を印象付けた作品。

実際、カイジのあと藤原竜也は「藁の楯」(2013)や「サンブンノイチ」(2014年)、「22年目の告白 -私が殺人犯です」(2017年)「億男」(2018)などなど、数々の作品でクズ男役を演じてますよね。

それは「デスノート」の夜神月とこのカイジ役での叫び、狼狽え、体をよじりながら泣き叫びっていう、藤原竜也オーバー過ぎるアクトが観客に圧倒的なインパクトを残した事が大きいのだと思うわけです。

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さらに、藤原竜也はあの蜷川幸雄の秘蔵っ子でもありますからね。
元々芝居は上手いし、存在感で空間を支配するというか、出演したどの映画も「藤原竜也の映画」にしてしまう力があるわけですよ。

そういう意味では、「半沢直樹」の堺雅人に近いというか、もっと言えば歌舞伎役者的というか。
映画の内容とは別に、藤原竜也が演じるだけでワクワクしちゃうみたいな?

なので、他の役者が映画で泣いたり叫んだりすると僕は白けてしまうんですけど、藤原竜也が転げまわりながら「な“・ん・で・だ・よ“・おぉぉぉぉぉ!!」って叫ぶと「よ、待ってました!(゚∇゚ノノ”☆(゚∇゚ノノ”☆(゚∇゚ノノ”☆パチパチパチ!!!って思うし、むしろ彼がどんな叫びを観せてくれるかを期待して、藤原竜也出演の映画を観たりするわけですよねw

なので個人的に本作は、映画としては圧倒的につまらないけど、「藤原竜也モノ」としては(物足りなさはあるけど)まぁ及第点なのかなー?って感じでした。

興味のある方は是非!!

 

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