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毒にも薬にもならない。でもそれでいい「サイコ・ゴアマン」(2021)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、80年代のB級?映画オマージュに満ちた低予算ホラーコメディで知られるカナダの映像集団「Astron-6」のスティーヴン・コスタンスキ監督作『サイコ・ゴアマン』ですよー!

僕の地元では公開されなかったので劇場で観られなかっらんですが、先日Amazonレンタルで見つけたので早速観てみました!

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画像出展元URL:http://eiga.com

概要

怒りと憎しみの感情しか持たない残虐な宇宙人が地球を危機に陥れる様子を描いたSFスプラッター。幼い兄妹が偶然にも宇宙人をよみがえらせてしまうが、妹は宇宙人を操る不思議な宝石を手に入れる。監督を務めるのはカナダの映像制作会社「Astron-6」のメンバーで、『ファーザーズ・デイ/野獣のはらわた』『ザ・ヴォイド 変異世界』などのスティーヴン・コスタンスキ。ニタ=ジョゼ・ハンナ、オーウェン・マイア、アダム・ブルックスなどが出演する。(シネマトゥディより引用)

感想

あのデヴィッド・クローネンバーグの遺伝子を引き継いでいるかもしれない映像集団Astron-6

個人的な感覚として、イタリアとカナダはヘンテコホラー映画の2大大国という印象があります。

イタリアといえば、最近ご紹介した「マリグナント 狂暴な悪夢」の元ネタジャッロ映画ヤコペッティの「世界残酷物語」など(ヤラセも含めた)世界の奇習・風習を紹介するモンド映画発祥の地として知られています。

一方のカナダと言えば、「イルザ ナチ女収容所 悪魔の生体実験」などナチ収容所の残酷とエロを融合させた低予算エクスプロイテーション映画や、「スキャナーズ」「ヴィデオドローム」など数多くの作品を世に送り出したボディホラーの雄、あのデヴィッド・クローネンバーグを輩出した国。

いや、もちろん両国が名作映画も数多く公開していることは知ってはいますが、僕が子供のころに食らった数々のヘンテコ映画は概ねイタリア&カナダ映画だったので、僕の中のイタリア&カナダはエログロ見世物ホラー大国という印象なんですよね。

そしてカナダは、タランティーノロバート・ロドリゲスの企画『グラインドハウス』のフェイク予告編コンテストで優勝。その後ルトガー・ハウアー主演で長編映画化された「ホーボー・ウィズ・ショットガン」のジェイソン・アイズナーや、BMX版マッドマックスの宣伝文句で話題になった「ターボキッド」のフランソワ・シマール監督が所属するRKSS(ROADKILL SUPERSTAR)、そして「マンボーグ」「ファーザーズディ」、そして本作を制作したAstron-6と、カナダのヘンテコ映画界隈は2000年以降も元気で、彼らが青春を過ごした1980年代B級オマージュのヘンテコ映画を次々発表。

それらの作品群は主にビデオスルー作品としてレンタルビデオ店のホラーコーナーに置かれ、世界中のボンクラ映画ファンに愛されているのです。

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その特徴はCGに頼らず、特殊メイクや合成といった特撮を多用し、過剰なゴアシーンと悪趣味で不謹慎なギャグを連発。
作品には特に何のテーマ性も主義主張もなく、観たところで毒にも薬にもなりません。

しかし、それまで直線を走っていたのに突如急ハンドルでわき道に逸れ、どこに連れていかれるか分からないストーリー展開や、ぶっちゃけ物語とは関係ないけどやりたかったから入れました的なゴア描写など、歪で破綻しているのに無駄に熱量だけは高いオタク心満載の作品群を見ていると、巨乳にさほど興味がない自分が、絵が破綻するくらい巨乳の女の子が登場する巨乳マニアだけのための同人誌をうっかり観てしまったときの、観てはいけないものを観たような背徳感とその中のピュア過ぎる欲望に心を打たれる、あの感覚に限りなく近い”何か“を感じてしまうのです。

伝わりませんか。そうですよね。

もう少し分かりやすく言うと、やってることはメチャクチャだが好きな事を思い切りやってるのが伝わってこっちもワクワクする感じでしょうか。

ざっくりストーリー紹介

そんな本作のストーリーをざっくり紹介すると、ひょんなことから復活した宇宙を滅ぼすほどの力を持つ恐ろしい悪魔超人が、8歳の女の子に絶対服従するハメになるのだが——という物語。

まるで一昔前のマンガや深夜アニメっぽいストーリーなんですが、本作が面白いのは悪魔を従えることになる妹のミミが、本当に可愛げのないクソガキだという捻りを利かせているところ。

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まぁ、宇宙すら滅ぼす最強悪魔超人のサイコ・ゴアマン(ミミ命名)を従えるのだから、そのくらい邪悪でないと説得力はないかもですけどねw

ストーリーはそんな二人が「クレイジーボール」という謎の遊びをしているところからスタート。
勝負に負けた兄ルークが自分の墓穴を掘っていると、サイコ・ゴアマン(PG)が封じられた棺桶を掘り返し、偶然封印を解いてしまうわけです。

しかし、その棺桶にハメられた宝石の所有者には逆らえないPG。
そして宝石はミミが持っていて——というのが物語の流れ。

その宝石を取り戻そうと、PGが宇宙の果てから仲間を呼び寄せたら裏切られたり、PGの復活を知った天使的な超人が討伐にやってきたりするも、全員がミミに振り回されるわけです。

過去作と比べまとまっている

そんな本作の監督スティーヴン・コスタンスキ監督は、「マンボーグ」や「ファーザーズ・デイ 野獣のはらわた」を手掛けていて、僕は多分、この2作は観てるんですよね。

その2作と比べると本作は物語的にかなりまとまっていて、ティーヴン・コスタンスキ映画作るの上手くなってる!って思いましたねー。

まぁ、よく考えたら「マンボーグ」から10年経ってますしね。
前述した同世代の監督たちもそれぞれ話題作を手掛けていて、彼らの進化も「まぁ、そりゃそうか」って感じですが、それでもやっぱ過剰なゴア描写や着ぐるみ特撮など、初期のころからずっと変わらず、80年代のB級映画大好きスピリットを忘れてないところが嬉しかったですねー。

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そして観終わった後、何の宿題(テーマ性とか主義主張とか)もなく、観ている間だけ楽しければ後はどうでもいい感じも確かに80年代映画ってそんな感じだったし、そもそも映画なんてそれでいいんだって事を、本作は思い出させてくれたましたねー。

興味のある方は是非!!

 

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