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Disney+ドラマ「オビ=ワン・ケノービ」感想

ぷらすです。

2022年5月27日から6月22日まで放映されたDisney+制作のドラマ『オビ=ワン・ケノービ』を観終わりました。言わずと知れたスター・ウォーズ(以降SW)の人気キャラクター、オビ=ワン・ケノービーを主役に据えたスピンオフドラマで、主役のオビ=ワンは、SWエピソード1~3で同役を演じたユアン・マクレガーが演じています。

というわけで、出来るだけネタバレはしないよう気を付けて感想を書きますが、今後本作を観る予定の人、内容を知りたくない人は、先にドラマを見てからこの感想を読んで下さい。

いいですね?注意しましたよ?

 

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画像出展元URL:http://eiga.com

放映前から

SW関連の記事を書く度に書いてますが、もう一度書いておくと、僕はSWドンピシャ世代で劇場公開されたEP1~9やディズニー制作のスピンオフ映画まで、一応全作観てるんですが、同世代のSWファンに比べて作品に対する熱量はそれほど高くはありません。ただ、Disney+で放送されたスピンオフドラマ「マンダロリアン」と「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」で、初めてSWの面白さを理解したんですね。

それまでの劇場版SWはEP4~6でルークス・カイウォーカー、EP1~3ではルークの父親アナキン・スカイウォーカー、ディズニーのルーカスフィルム買収後に制作されたEP7~9ではレイという少女とカイロ・レンことベン・ソロ(ハン・ソロとレイヤ・オーガナの息子)を主役にした、いわばスカイウォーカー家の物語であり、僕はそこに乗れなかったし、特にディズニー買収以降は制作側も「あのスターウォーズの続きを作る」という呪縛に囚われた結果、出来上がった作品は多くのファンを失望させる作品になってしまったんですよね。

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ところが「マンダロリアン」は、「スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ 」や「スター・ウォーズ 反乱者たち」などのアニメ作品を手掛け、ジョージ・ルーカスの愛弟子でもあるデイブ・フィローニと、「アイアンマン」1・2を監督し、MCUマーベル・シネマティック・ユニバース)を大成功に導いたジョン・ファブヴローが中心となり、名無しの賞金稼ぎマンドーを主人公に、ルーカスが作り上げたSWのキャラクターに焦点を当てて、世界観を見事再現したことで、ディズニー制作以降のSWシリーズに批判的だったファンの人気を取り戻したわけです。

続く「ボバ・フェット」はSWEP4~6に登場する人気キャラ「ボバ・フェット」の“その後”を描いた作品でしたが、ボバはスカイウォーカー家とは深い繋がりはないし、物語的にも「ローグワン」のようにSW正史の隙間を埋めるような物語ではなく、「マンダロリアン」同様、デイブ・フェローニとジョン・ファブローによってSWの世界観の中でボバ・フェットというキャラクターを解体・再構築したんですね。

で、続く第3弾が本作「オビ=ワン・ケノービ」だったわけですが、この作品、放映前から不安が囁かれていました。というのも、このドラマシリーズの制作総指揮はSWEP8~9で制作を担当したキャスリーン・ケネディ、監督は「マンダロリアン」のEP監督を務めたデボラ・チョウ。制作陣に、SW復活の立役者でもあるデイブ・フェローニとジョン・ファブローの名がなかったんですよね。

また、本作の物語はEP3~EP4の隙間を埋める物語であり、オビ=ワンだけでなく、SW正史のメインキャラクターでもあるダース・ベイダーも登場するという。

正直に言えば「あぁ、またか」という気持ちになりましたよ。

シークエル・トリロジー(EP7~9)の悪夢再びか?と。

不安の中放映開始。果たして。

果たして放送が開始され。僕はどう思ったかというと―――

何か、色々雑だったなーと。

本作のストーリーをざっくり説明すると、オーダー66による粛清から10年後、隠遁生活をしながら惑星タトゥイーンでルーク・スカイウォーカーの成長を見守るジェダイマスター、オビ=ワン・ケノービの下に惑星オルデラン王室のベイル・プレスター・オーガナから、娘のレイヤが何者かに誘拐されたという連絡を受け、レイヤ奪回のため行動を起こす。という物語。

ご存じの通り、ルーク・スカイウォーカーとレイヤ・オーガナはダース・ベイダーことアナキン・スカイウォーカーの双子の子供で、帝国の魔の手から守るためマスター・ヨーダとオビ=ワンによって、それぞれ別の家族に預けられたんですね。

で、そんなレイラを誘拐したのが、ダース・ベイダー配下でジェダイの生き残りを狩る審問官の一人、サード・シスターがベイダー直属の大審問官に出世するため、ベイダーが執着するオビ=ワンをおびき出そうと、友人ベイル・プレスター・オーガナの娘であるレイヤを誘拐させたんですよね。

ところがこの誘拐シーンがとにかくゆるい。大人3人で子供のレイヤを追いかけるわけですが、もうね、どう見ても、すぐに捕まえられるハズなのにわざと逃がして遊んでるようにしか見えない。もっと、いくらでも緊迫感のあるシーンに出来るハズなのに、「ほうら、捕まえちゃうぞー」「きゃー♡」みたいなごっこ遊びみたいになってて、全然本気に見えないんですよね。

そこから色々あって、サクッとレイヤを救ったオビ=ワンが鉱山の星に逃げ延びて協力者の手引きを受けます。

レイヤと協力者は抜け穴的な廃坑を逃げるんですけど、これ、一本道なんですね。

で、廃坑を見つけたサードシスターがレイヤたちを追うんですうが、何をどうやったのか先回りしてレイヤを捕まえるんですよ。

その頃、囮になったオビ=ワンはベイダーにボコられてて、そこを協力者に救われるんですね。でもこの人、ちょっと前にオビ=ワンにレイヤを連れて逃げるよう言われてたのに、レイヤに頼まれてオビ=ワンを救いに来る。で、一人になったレイヤはサードシスターに捕まっちゃうわけで、お前何しとんねん(。・д・)ノ)´Д`)ビシッっていうね。(まぁ、レイヤと一緒にいたらサードシスターに殺されてたんだけど)

そんな感じで、脚本なのか演出なのか分かりませんが、とにかく諸々雑すぎて物語に集中出来ないんですよ。

いかにも制作の都合で物語がご都合主義的に進むし、シーンの繋ぎやキャラクターの行動原理がどう見てもおかしいので、起こる事態や状況が唐突に見えて、時に理解できないんですよね。

第5話では、サードシスターの出自が分かり、彼女の目的も分かり、物語体にはオビ=ワンと彼女が共闘する流れかと思いきや、彼女一人を残してオビ=ワンは逃げちゃうんですよね。

え!? オビ=ワンお前…酷くね?っていう。

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余りの事に僕が何か大事なシーンを見逃したのかと見直してしまいましたよ。

他にもとにかくツッコミどころは満載で、オビ=ワンとかダース・ベイダーとか、メイン処の人気キャラが登場してるけど、回を重ねるたびに心が離れていってしまったんですよね。

逆行

「マンダロリアン」「ボバ・フェット」がファンの支持を受けたのは、両作が「(スカイウォーカー家中心の)スター・ウォーズ」ではなく「スターウォーズの世界観・精神性」を描いたからです。

SW正史ではあまりスポットを当てられなかったキャラクターや世界観を構成するディテールにスポットを当てる。そして、宇宙を舞台に西部劇や時代劇などルーカスが大好きなジャンル映画のエッセンスを詰め込んだ「おもちゃ箱のような映画」というSWの本質を描くことで、SWの何たるかをファンに提示してみせたのが大きかったんですね。

逆に、「あのSWの続き」を描く、もしくはSW正史の隙間を埋める事に腐心したディズニー買収後のSW・EP7~の作品群からは、ファンの心は離れていったわけですよね。

有体に言えば、今後のSWは映画であれドラマであれ、全部デイブ・フェローニとジョン・ファブローに任せておけば良かったものを、ちょっと人気が出たと思ったらまたキャサリンケネディがしゃしゃり出て、だれも望んでいないSW正史の隙間を埋めるだけの作品を作って、ファンが大事にしているキャラクターを無駄遣いした。というのが、僕の率直な感想です。

物語の骨格や本作で描こうとしたこと自体は決して悪くないだけに、「これをデイブ・フェローニとジョン・ファブロー手動で作っていれば……」と思わずにいられませんでしたねー。

とはいえ、ネットの評論を読むと、結構褒めている人も多かったし、SWファンの人は自分の目で見た方がいい作品なのかもしれません。

興味のある方は是非!!

 

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