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世界7大禁断の地が舞台のホラー「コンジアム」(2019)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、韓国のホラー映画『コンジアム』ですよー!

2012年に米CNNの「世界七大禁断の地」のひとつに選出された、実在した心霊スポットが舞台のホラー映画です。

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画像出展元URL:http://eiga.com

概要

韓国で心霊スポットとして知られる実在の廃病院を舞台にしたホラー。閉鎖された病院を訪れた若者たちが、恐怖に遭遇するさまを描く。『ホラー・ストーリーズ』シリーズなどのチョン・ボムシクが監督を務め、イ・スンウク、ウィ・ハジュン、パク・チヒョンのほか、ドラマ「黒騎士 ~永遠の約束~」などのパク・ソンフンらが出演した。(シネマトゥディより引用)

感想

実在する心霊スポットが舞台

本作の舞台となった「コンジアム精神病院跡(南陽精神病院)」は、韓国「3大凶家」にも入る実在した精神病院で、韓国では超有名な心霊スポットなのだそう。

20012年には米CNNの「世界7大禁断の地」に選出もされたことで世界的に有名になり侵入者も増えたことから、私有地ではあるものの周辺を警察がパトロールする事態になったそうです。

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1992年の開院からわずか4年足らずで閉院したことから「患者が相次いで謎の死を遂げたため閉鎖された」、「発狂した院長が自殺をした」、「もともと病院のある場所は、多くの人が死んだ刑務所だった」などなど様々な噂がたち、閉院後は数多くの若者が肝試しに訪れたのだとか。

閉院理由は未だ明らかにされていませんが、実際のところは単に経済的な理由だったみたいです。

で、本作はそんな「コンジアム精神病院跡」の噂を基に、オリジナル要素を足して作られたホラー映画。日本で言えば2020年公開の「犬鳴村」に近い感じでしょうかね。

ざっくりストーリー紹介

そんな本作のストーリーをざっくり紹介すると、心霊系YouTubeチャンネル「ホラータイムズ」の主催者ハジュンは、一般からの参加者を募り心霊スポットとして有名なコンジアム精神病院跡に潜入調査する様子を生配信。

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自身は屋外で動画をチェックしながら指示を出し、スタッフ6人が病院内を探索し、開けると死ぬと噂の402号室に向かうのだが――というストーリー。

元々、リーダーのハジュンはオバケとか全然信じていなくて、広告費のために視聴者数100万人を目標す生放送を企画。で、メンバーに命令して事前に色々細工をしているわけですが、やがて、細工ではない不可解な現象が起こり――って、めっちゃ既視感がある展開じゃないですか?

そう、心霊系ユーチューバーがネット怪談、都市伝説で有名な心霊スポットを探索するっていう設定は、洋の東西を問わず、昨今のホラー映画の導入でメッチャよく見かけるし、そんな彼らが手持ちのカメラで怪奇現象を撮影するPOV(主観映像)形式、またはフェイクドキュメンタリーは、1999年の「ブレアウィッチプロジェクト」以降、ホラー映画界隈ではメジャーな手法の一つになっています。

また、本作の恐怖演出についても、基本どっかで見たことがあるものばかりで、目新しさはあまり感じませんでした。(もしかしたら本作発の恐怖演出もあるかもですが)

その発想はなかった

一方で、POV形式の場合必ずといっていいほど出てくるのが「これ、一体誰が撮ってるの?」問題で、POVの場合、出演者の誰か(もしくは画面には写らないカメラマン)が撮影している体で物語が進むため、観ている方はどうしてもカメラの存在を意識してしまいます。で、この手のPOV形式では、どこかの場面で「この映像は誰が撮ってるんだよ」っていうシーンが大抵1個や2個はあるものなんですね。

逆に、そこを気にしてリアリティにこだわると、全部のシーンが似たような映像になってしまったり、メッチャ観ずらい映像になってしまったり。

そんなPOV問題を解決した本作の発明が「カメラをメッチャ増やす」という手法。

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6人のスタッフのうち1人がメインカメラ、他のスタッフは手持ちのゴープロ(アクションカメラ)と首にかける金具で自身の表情と向かい映像を取れるようになっていて、さらに事前に2人のスタッフが病院内にカメラを2台設置することで、観ているこっちがカメラの存在を意識しなくなるわけです。これはガジェットの進化によって、実際のユーチューバーが複数のカメラを使ってプロ並みの映像を撮れるようになった事を上手く利用しているんですよね。

まぁ、それでも「おや?」というシーンはいくつかあるんですが、そこはリーダーのハジュンに「この映像は誰が撮ってるんだ?」と言わせることで、心霊現象?の一つにしているんですね。

ジャンプスケアに頼らない演出

もう一つ僕が感心したのは、本作にはジャンプスケア(音や映像でワッと驚かせるアレ)が殆どなくて、序盤から中盤にかけてはメンバーたちは気づかないけどカメラには写っているというJホラー的な表現を多く使ったり、それ以外はライトとカメラワークで病院内の不穏な雰囲気を演出。

中盤~クライマックスにかけても、ジャンプスケアはほとんど使わずにキャラクターの恐怖感情をじっくりと描き、観ているコッチに没入させることで、(オバケに襲われる)結果よりそこまでの過程を怖がらせるという、映画というよりホラーゲーム的演出で見せているのも個人的にはかなり新鮮な感じがしました。

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背景込みの怖さ

そんな本作のエンドロールで、「映画人チョン・ウシクに追悼の意を表して」という言葉と男性の画像が入るんですが、この人は本作のスタッフでチョン・ボムシク監督の実弟だそうで、撮影中に敗血症で急逝されたのだとか。

また、本作キャストの一人、スンウク役のイ・スンウクが、本作出演後に突如俳優業を引退したんですが、その理由が明かされてないんですよね。

個人的には、本作の舞台であるコンジアム精神病院跡に元々あった怖い噂と、これらの事実が噂として湾曲して伝わったなども、本作の怖さに一役買っている気がします。

ちなみに、実際のコンジアム精神病院跡は本作公開(2018年3月)から5か月後の2018年8月に解体。現在は更地になっているそうです。

興味のある方は是非!!