今日観た映画の感想

映画館やDVDで観た映画の感想をお届け

ネズミのシェフが大活躍!?「レミーのおいしいレストラン」(2007)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、2007年公開のピクサー製作長編CGアニメ『レミーのおいしいレストラン』ですよー。
実は僕がディズニー&ピクサー作品を観始めたのは割と最近の事で、そこから遡ってDVDなどで過去作を観てるんですね。

で、本作はうっかり見落としていた作品で今回が初見だったんですが……。

これが超面白かったんですよねー!

というわけで、古い作品でもあるし今回はネタバレをあまり気にせずに書いていこうと思います。
なので、これから本作を観る予定がある人は、映画を観てからこのブログを読んでくださいねー。

いいですね? 注意しましたよ?

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あらすじと概要

並外れた料理の才能を持ち、一流シェフになることを夢見るネズミと、料理の苦手な見習いシェフの出会いが巻き起こす奇跡を描いた感動物語。監督は、大ヒット作『Mr.インクレディブル』のブラッド・バード。声の出演にはコメディアンのパットン・オズワルト、『アビエイター』のイアン・ホルムなど実力派が名を連ねる。数々の名作アニメを生み出してきたディズニーとピクサー作品ならではの、細部にまで凝ったクオリティの高い映像は必見。

ストーリー:料理が大好きで、一流レストランのシェフになることを夢見るネズミのレミーは、ある日、尊敬する料理人グストーの店にたどり着く。そこで働くシェフ見習いのリングイニがヘマをして、スープを台無しにしてしまう。その様子を見ていたレミーは、キッチンに入り込み、見事にスープを作り直すが、その姿をリングイニに目撃され……。(シネマトゥデイより引用)

感想

シンプルかつ定番のストーリー

本作の内容を一言で説明するなら「ドブネズミがフランスの一流レストランのシェフになる物語」です。

ドブネズミのレミー(パットン・オズワルト)は天才的な味覚と嗅覚の持ち主で、忍び込んだ家のテレビと本で、フランス5ツ星のシェフ グストー(ブラッド・ギャレット)に心酔し、レシピを覚えていきますが、「料理は誰にでも作れる」というグストーの言葉に反感を持つ辛口料理評論家イーゴ(ピーター・オトゥール)に料理を酷評され、星を一つ落としてしまったショックから死亡した事を知ります。

さらにそんなレミーの才能を父親や仲間は理解してくれず、ある事件をきっかけに仲間とはぐれてレミーは一人ぼっちになってしまうんですね。

ショックの中、自分の空想のグストーに導かれるようにたどり着いたパリのグストーの店の厨房に忍び込んだレミーは、新米コックのリングイニ(ルー・ロマーノ)が台無しにしてしまったスープを作り直すんですが、これが客に大好評。ところがスープを作るところをリングイニに目撃され、二人(一人と一匹)はコンビを組むことに。

二人の作る料理は、たちまち話題になり料理評論家たちにも絶賛されるが……。

という物語。

負け犬が権力者に実力を認めさせるという物語自体は非常にシンプルで、定番とも言えるものですが、本作はドブネズミの主人公と厨房という、最もかけ離れた禁断の両者をブッキングすることで、物語にスリルやカタルシスをもたらしているんですね。

また、本作はピクサー映画としては珍しく、ハッキリした悪役が登場するし、店の権利問題というわりと大人向けな題材もぶっ込んできています。

監督について

当初はヤン・ピンカバが監督する予定で準備を進めていた本作ですが、経験上の懸念(短編しか作ってなかった)からヤン・ピンカバは降板し、『アイアン・ジャイアント』や『Mr.インクレディブル』を手がけたブラッド・バードが企画を引き継ぐ事になったそうです。

また、ネズミが料理を作るという観客に嫌悪感を与えかねないストーリーを成立させるため、最初は二足歩行のキャラクター的に描かれる予定で進んでいたレミーやネズミたちを、ブラッド・バード監督は、あえて四足歩行で走り回るリアルなネズミにすることにしたそうです。
だからネズミとしては自意識が高くシェフに憧れるレミーは、最初は四足歩行で、途中から二足歩行に変わるんですね。

で、本作の感想を書くのに、いくつかのレビューを見て回ったところ「ネズミが料理するなんて気持ち悪い」とか「不衛生」というレビューをいくつか見つけて「そういう見方をする人もいるのか」と、ちょっと驚いたんですよね。

確かに、大量のネズミがレストランの厨房を走り回るシーンが生理的に気持ち悪く感じるというのは分からなくはないですが、物語的にはそここそがカタルシスに繋がるシーンでもあるので。

本作のテーマ

ここからネタバレ。

レミーとコンビを組むリングイニは、(本人は知らないけど)実はグストーの隠し子でして。
で、グストー亡き後にシェフとなったスキナー(イアン・ホルム)はリングイニの出現に焦ります。

何故なら、期限内に血縁者が現れた場合、店の権利をその者に譲るというグストーの遺言があるからで、店の権利を手に入れたいスキナーにとってリングイニは邪魔なんですね。ところが、リングイニ(というかレミー)の作ったスープや料理が評判になって、クビにも出来ないんですよ。

で、すったもんだあって店の権利を手に入れた“若き天才シェフ”リングイニの評判を聞きつけ現れたのが、宿敵イーゴ。
イーゴに勝負を挑まれた進退極まったリングイニは、厨房スタッフに真実(レミーの話)を語るんですが、スタッフは店を去りリングイニとレミーも諦めてしまいます。

そこに現れたのがレニーの父親と仲間たちで、彼らは協力して料理を始め、それを見たリングイニはウェイターとして客を捌き、ひとり戻ってきたヒロインのコレット(ジャニーン・ガラファロー)も手伝って作り上げた「ラタトゥーユ」の味に、衝撃を受けたイーゴは、真実を知りつつもその味とレミーを絶賛する記事を書きます。

しかし、スキナーの通報でネズミが厨房で料理を作ったことがバレてしまい店は閉店に追い込まれ、イーゴの評論家生命も絶たれてしまいます。

しかし、投資家に転職したイーゴの出資によって開店したビストロでレミーは夢を叶えてシェフとなり、コックのコレット、ウェイターのリングイニとともに「ラタトゥーユ」を振舞って店は大繁盛するんですね。(「“Rat”atouille」とネズミの『Rat』が掛かってる)

この結末、結局リングイニはシェフじゃなくウェイターになるんですが、この物語はあくまで“レミーが夢を叶える物語”だし、リングイニは元々料理に興味があったわけじゃないですしね。

つまり本作はネズミがシェフになるという物語を通して、人種・性別・貧困・階級などあらゆる差別や偏見にNOを突きつけているわけですね。(だからネズミをリアルに描くことに意味があった)

冒頭でグストーが語る「料理は誰にでも作れる」という言葉がそれを表しているわけですが、さらに終盤イーゴの最後の評論でかつてグストーの言葉を嘲笑った事を反省し、「誰もが偉大な芸術家になれるわけではないが、誰が芸術家になってもおかしくはない」と語るんですね。
この二つの言葉は対になっていて、料理の世界だけじゃなく「夢を追う全ての人に機会が与えられるべき」というブラッド・バード監督自身の心情をストレートに表した言葉だと思います。

さらに、イーゴが評論家としての仕事を省みる件は、監督の評論家に対する思いも乗っかってる感じがして、そう考えると本作はまんまピクサーのクリエイター論でもあるのかなと。

俺たちクリエイターはそれだけの覚悟を持って作品を作ってるんだから、評価(批判)する方もそれだけの覚悟を持ってやれよ」っていう。

なんか自分で書いてて耳が痛いですけどもw

そういう意味では、テーマ的にジョン・ファヴローの『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』や庵野監督の『シン・ゴジラ』とかなり近い作品な気がします。

もし機会があれば、合わせて観るのも面白いかもですねー。

興味のある方は是非!!

 

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こんなバットマンが観たかった!「レゴバットマン ザ・ムービー」(2017)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、あの名作「LEGO ムービー」の続編(というかスピンオフ)で、アメコミヒーロー バットマンが主役の『レゴバットマン ザ・ムービー』ですよー!

LEGOブロックで出来たゴッサムシティで、バットマンやロビンやジョーカーなど、原作から『ジャスティスリーグ』に至るまで、ありとあらゆるバットマンネタをぶち込んだパロディー作品ながら、個人的に歴代バットマンの中で一番好きな作品でしたー!

僕はこんなバットマンが観たかったんですよ!(*゚∀゚)=3

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あらすじと概要

世界中で親しまれているブロック玩具LEGO(R)を題材にしたアニメ『LEGO』シリーズの第2弾。前作でヒーロー軍団を率いたバットマンを主人公に、ジョーカーのゴッサム乗っ取り計画を阻止すべく、一匹おおかみだったバットマンがほかのヒーローたちと協力して戦いに挑む。ウィル・アーネットバットマン役で続投するほか、ザック・ガリフィナーキス、マイケル・セラロザリオ・ドーソンレイフ・ファインズらが声の出演に名を連ねる。監督は、前作のアニメーション共同監督のクリス・マッケイ

ストーリー:町を守る孤独なヒーロー・バットマンのもとに、ロビンがやって来る。ところが、ロビンのあまりのお調子者ぶりに、二人は全く息が合わない。そんな中、ジョーカーが宇宙に閉じ込められていた悪者たちを脱走させ、世界の危機を救うべくバットマンとロビンは立ち上がるが……。(シネマトゥディより引用)

 

感想

本作を見る前に知っておきたいこと

スーパーマンスパイダーマンと並ぶ、超有名アメコミヒーローのバットマン
「映画は見たことがない」という人でもバットマンの名前やビジュアルは何となく分かるんじゃないでしょうか。

本作では、そんなバットマンの原作コミックから最新映画に登場する歴代キャラクターのみならず、歴代DCコミックのキャラ、それにアメコミ以外のキャラクターまで。およそLEGO映画でなければ不可能な夢の共演が実現してるんですね。(まぁ、みんなLEGOですけどw)

とはいえ、前作「LEGOムービー」とは違い、本作はかなりバットマンのパロディーに振り切って作られているので、ある程度バットマンの生い立ちや背景を分かっていた方が楽しめるのではないかと思いましたねー。

バットマンの生い立ち

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バットマンの正体は、ブルース・ウェインという大企業の社長で大富豪です。
そんな彼が住むのは世界一治安の悪い町ゴッサムシティで、彼は子供の頃に目の前で両親を殺された事がきっかけで悪を憎むようになり、昼は大企業の社長・夜はコウモリの強化スーツで悪党をボコる孤高のダークヒーロー バットマンとしてゴッサムシティを守ってるんですね。

登場キャラクター

ルフレッド

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そんなブルースを親代わりとなって立派に育て、バットマンの協力者でもあるのがウェイン家の執事アルフレッドです。
物静かなイギリス紳士ですが、いつまでたってもぼっちのブルースを心配したり、何かと暴走しがちなバットマンのブレーキ役でもあります。

ロビン/ディック

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バットマンのサイドキック(相棒役)として登場するキャラクターで、原作ではサーカスのアクロバット一家の末っ子でギャングに両親を殺されバットマンの養子になるという設定でしたが、本作では両親を失った孤児ということに。
ティム・バートン版、クリストファー・ノーランの「ダークナイトシリーズ」では登場してないですが、「スーサイド・スクワッド」でジョーカーとハーレイ・クインに殺された事になってましたね。

ジョーカー

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バットマン最強の宿敵です。
ティム・バートン版ではジャック・ニコルソン、ノーラン版ではヒース・レジャー、「スーサイド・スクワッド」ではジャレッド・レトが演じた一番人気悪役です。

とりあえず、これだけ押さえておけば後は元ネタが分からなくても十分楽しめるんじゃないかなーと思います。

バットマンは「かまってちゃん」だった!?

本作では、そんなバットマンの原作や映画の孤独なヒーロー像に部分に焦点を当て、自意識過剰な「ぼっち」のかまってちゃんヒーローとして描いています。
敵の先手先手を打ち、悪巧みを阻止してゴッサム市民から喝采を浴びるバットマンですが、離れ小島の豪邸兼秘密基地では執事のアルフレッドと二人暮らし。

話し相手はコンピューターで、好物のロブスターをレンチンして一人で食べ、超でかいルームシアターでトム・クルーズ主演映画「ザ・エージェント」を見てゲラゲラ笑う寂しい日々。

お金持ちという事を除けば、身につまされる人も多いのではないでしょうか。(僕もその一人ですがw)

そんな彼を心配して助言するアルフレッドにヒドイ事を言ってみたり、成り行きで養子にしたディック(ロビン)を使い捨ての駒として利用しようとしたり、宿敵ジョーカーにヒドイ事を言ったりする困ったちゃんでもあります。

結局、バットマンジョーカーに言った一言が原因で、ゴッサムシティが壊滅の危機に陥るという物語なんですがその事件を解決する過程で、バットマンは自分の弱さを受け入れ、本当に大切な事を知って成長する。というのが本作のストーリーなんですね。

一見ただのパロディー映画のようですが、扱っているテーマは普遍的かつ誰でも多かれ少なかれ当てはまると思うので、多分、多くの人が共感出来るんじゃないかと思います。

監督とスタッフ

本作で監督を務めたのは、前作「LEGOムービー」で共同脚本と編集を担当した クリス・マッケイ
前作の監督、フィル・ロードクリストファー・ミラーは今回製作に回っているようですが、ストーリーやギャグ・パロディーシーンを見ると、映画の内容にもこの二人も関わってる気がしますねー。

日本ではネームバリューの低いフィル・ロードクリストファー・ミラーですが、彼らが関わってる映画はほぼハズレがないので、この二人の名前は要チェックですよ!

小ネタの数々

本作には、「バットマン」以外の小ネタも沢山登場します。
わかる範囲で紹介すると、ファントムゾーンに幽閉されている凶悪な悪役たちをジョーカーがゴッサムシティに連れ戻して大暴れするんですが、それはバットマンの登場キャラだけではないんですね。
例えば、

ハリーポッターの名前を呼ぶのも憚られる“あの方”(ちなみにアルフレッドの声を当てているのは“あの方”を演じた俳優さんです)

・そびえたつタワーのような大きな体に宝石の目玉から溶岩を放つ敵サウロン。(映画『ホビットシリーズ』の字幕では「死人遣い(ネクロマンサー)」)

・「マトリックス」でお馴染みエージェントスミス(ちゃんと分裂します)

キングコンググレムリン、吸血鬼、ミイラ男、メドューサ、ジョーズ
などなど、何とも豪華な顔ぶれ。(みんなLEGOですけどもw)

あと、秘密基地に入る合言葉がマーベルの社長ヒーローの悪口だったり、バットマンの過去作が実写で出てきたり、前作同様「グリーンランタン」(DCヒーロー)がいじられてたり、バットマンホームシアターのリストは「理想の恋人.com」や「マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと」など家族ものやラブストーリーばっかりだったりします。

寂しすぎだろバットマン……

きっと他にも沢山小ネタがあるんでしょうけど、それらはちょっとした“くすぐり”なので、知ってればニヤリとするけど、知らなくても別に支障なく楽しめると思います。(僕もほとんど分からなかったけど楽しめたし)

LEGOだから出来るストーリー

バットマンは上記のような背景を持つだけに、執拗に犯罪者を憎むある種の狂人として描かれていて、そこが魅力でもあるんですが、その生い立ちゆえに彼の抱える頑なさやある「弱点」を乗り越えることが出来ない弱さもあるキャラなんですね。

本作は、バットマンのパロディーという形を取ることで、そうしたバットマンの本質に迫り、パロディーだからこそできるラストを提示することで、ティムバートン版やノーラン版・ザックスナイダー版(というか近年のDC映画全般)に若干のモヤモヤを抱えているファンが“観たかったバットマンを作ることが出来たんじゃないかと思うし、その結末が小さなピースを繋げて色んな形を創造する「LEGOブロック」という玩具の特性にも掛かっていて、本当によく出来てるなーと思いました。

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前作「LEGOムービー」に比べると、誰もが楽しめる一般性がやや欠けてる感じがしなくもないですが、それでも内容的に大人から子供まで楽しめる作品なんじゃないかと思いましたよ。

興味のある方は是非!

 

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100年前の冒険小説を実写映画化した英雄譚『ジョン・カーター』(2012)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、2012年に公開されたディズニー制作のSFアクション映画『ジョン・カーター』ですよー!

この映画、ビックバジェットの超大作ながらアメリカでは赤字が出るほど大コケした作品という噂は聞こえていて、「ジョン・カーター」っていう何の捻りもないタイトルや、“ディズニー製作”の実写は微妙なのが多い(*個人の意見です)っていう印象もあり、面白くないんだろうなーと決めつけて今まで未見だったんですね。

ところが、この映画の監督は、僕のフェイマスムービー『ウォーリー WALL-E』や『ファインディング・ニモ』を監督したアンドリュー・スタントンと知って、それならと観てみたら……超面白かったですよー!!(;゚∀゚)=3ハァハァ

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あらすじと概要

ジョージ・ルーカスジェームズ・キャメロンの作品に構想のヒントをもたらしたエドガー・ライス・バローズの小説「火星」シリーズの最初の作品「火星のプリンセス」を映画化したファンタジー・アドベンチャー大作。『ウォーリー』の監督アンドリュー・スタントンが自身初となる実写映画にチャレンジし、地球から滅亡寸前の惑星“バルスーム”に迷い込んだ主人公の戦いを描く。主人公ジョン・カーターを演じるのは、『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』のテイラー・キッチュ。ほかに、リン・コリンズウィレム・デフォーらが共演。最先端の映像技術で再現される、神秘的な宇宙と驚異の冒険から目が離せない。

ストーリー1881年のニューヨーク、大富豪のジョン・カーターテイラー・キッチュ)がこつ然と姿を消す。おいのエドガー・ライス・バローズに託された日記には、未知の惑星“バルスーム”でのジョン・カーターの驚きの体験がつづられていた。それは、全宇宙を支配しようとする“マタイ・シャン”によって滅亡の危機に直面していたバルスームが舞台で……。(シネマトゥデイより引用)

 

感想

原作について

本作『ジョン・カーター』の原作は、「ターザンシリーズ」で知られるSF作家エドガー・ライス・バローズの1917年のデビュー作「火星のプリンセス」(1917)

なんと、今から丁度100年前のパルプ小説です。

アメリカの元南軍大尉ジョン・カーターが、“幽体離脱”で火星(バルスーム)に瞬間移動した後、剣で火星生物や火星人と対決し、恋と冒険に生きる。というSFというよりはヒロイックファンタジー的な物語らしく、この作品からスタートした「火星シリーズ」は全11巻にも及ぶ大長編らしいですよ。

映画監督にも本シリーズのファンは多く、「スターウォーズ」のジョージ・ルーカスや、「アバター」のジェームス・キャメロンは、それぞれの作品に本シリーズの影響がある事を語っているし、おそらく「スーパーマン」の設定もこのシリーズにヒントを得ているのではないかと思います。

本作について

「火星シリーズ」は、これまでも映画化の話があったようですが、火星を舞台にした壮大な世界観を実写化するのは難しく、紆余曲折を経て、ピクサーのヒット作『ウォーリー』と『ファインディング・ニモ』を手がけ、「火星シリーズ」の大ファンでもあるアンドリュー・スタントンが監督に就任し、制作されたんですね。

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物語は「火星のプリンセス」をベースに、映画用にシリーズを再構築した内容。

アメリカの元南軍大尉ジョン・カーターテイラー・キッチュ)は、南北戦争中に妻子を失った悲しい事実から逃げるように「蜘蛛の巣洞窟」に眠る黄金を探していて、インディアンに襲われ逃げた先で偶然にもその洞窟を見つけるんですが、そこに現れた謎の男から受け取った謎のペンダントで火星に瞬間移動。

赤色人の王国ヘリウムと敵対するゾダンガ、緑色の長身で腕が4本あるサーク族らと出会い、“ある陰謀”からヘリウム王国の王女デジャー・ソリス(リン・コリンズ)を救うため超人的な能力を駆使して戦うという英雄譚です。

当初3部作で描かれる予定だったらしいんですが、本国アメリカで本作が大コケ。赤字になってしまったらしいんですね。

SF的再解釈

火星(バロスーム)で主人公のジョン・カーターは超人的な力を得るわけですが、それは地球と火星の重力の違いで、地球より重力の小さな火星で、彼は超人的なジャンプ力と怪力を手に入れるという設定です。

また、地球からの瞬間移動は幽体離脱ではなく本体は地球に残っていて、コピーされた肉体(と精神)が火星に移動するという設定になってましたねー。

他にも、ゾダンガの空飛ぶ戦艦や戦闘機は火星に存在する第8光線(?)のエネルギーを使っていたり、ヘリウム王国の王女デジャーが狙われる原因は火星を緑と水の豊かな星に復活させる第9光線の真実に近づいたため(デンジャーは科学者)、星々の滅びを喰らう上位の存在サーンが仕組んだ陰謀だったり。

これらのSF設定は多分、映画用に付け加えられたものだと思うんですが、アンドリュー・スタントンは原作の持つクラシカルでロマンチックなスペクタクルや、神話的な英雄譚としての面白さは残しつつ、SF的再解釈を入れ込んで現代にも通じるよう物語やテーマの再解釈を行ったんじゃないかと思います。

なので、本作のルックはとてもゴージャスだしディテールにもこだわりを感じる作りになってました。

なぜコケてしまったのか

なのに、なぜ本国アメリカで本作がコケてしまったかといえば、多分原作自体の古さからくる今さら感があったからなんじゃないかと。
ジョニデがネイティブアメリカンを演じた「ローンレンジャー」も同じ理由でコケてましたしね。(こっちも観れば面白い)

日本で言えば「怪傑ハリマオ」や「多羅尾伴内」のリメイク版みたいな感じですかね。(どっちもコケたけどw)

でも、(原作を知らずハードルが下がりきった状態で観たからかもですが)個人的には本作の壮大な世界観にはとてもワクワクしたし、ストーリーも新鮮で楽しかったです。
あと、ディズニー映画らしく、悪者は死んで良い者はハッピーになるという展開も良かったし、最後のどんでん返しも「なるほど! そういう事か!」と納得でした。
さすがは、ストーリー重視のピクサー出身、アンドリュー・スタントン監督だなーと。

キャストも、原作の表紙やコミカライズされたイラストのイメージに合わせてるんじゃないかと思うんですよね。

まぁ、原作のイメージを出来るだけ忠実に映像化としたことが観客のニーズ似合わなくて、逆にマイナスに働いちゃったのかもですがw

ただ、しつこいようですが個人的にはワクワクしたし、最後まで楽しめた作品でした!
もし、僕と同じ理由で観てないという人は、騙されたと思って観て欲しい作品でしたねー。

興味のある方は是非!!!

 

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ヴィン・ディーゼルの出世作「ピッチブラック」(2000)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、ヴィン様ことヴィン・ディーゼル出世作で「リディック」の前身でもあるSFアクション・スリラー『ピッチブラック』ですよー!
まだ「リディック」を観てなかったのでレンタルしようと調べてみたら、「リディック」は続編らしいという情報を得て、ら先に本作を観てみることにしました。

https://iwiz-movies.c.yimg.jp/c/movies/pict/p/p/7a/d3/136140_01.jpg

画像出典元URL:https://movies.yahoo.co.jp

あらすじと概要

「アライバル-侵略者-」のD・トゥーヒー監督がユニークな設定と新たなエイリアンで描くSFアクション・スリラー。事故に遭い、未知の惑星に不時着した宇宙船。三つの太陽に照らされた灼熱の星で、護送中の凶悪犯も含む生存者たちは過酷なサバイバルを強いられることになる。探索の後、一行はかつてこの星で生活していた調査隊の施設にたどり着くが、同時に地下や暗がりに潜む凶悪な肉食エイリアンの存在も知る。そして22年ぶりの皆既日食によって、この星は完全な夜を迎えようとしていた……。(allcinema ONLINEより引用)

 

感想

ざっくりストーリー解説

映画冒頭、多くの乗客を乗せた宇宙船が航行中に突如異変が。
小さな隕石群が航行中の宇宙船に穴を開け、睡眠航行中だった船長が死んでしまうんですね。

アクシデント発生で睡眠航行が解除された女性パイロットのフライラダ・ミッチェル)とオーウェン(サイモン・バーク )は、慌てて船を立て直そうとしますが、航路を外れた宇宙船は目の前の惑星の引力によって、大気圏に突入。
このままでは、地表に激突すると思ったフライは、貨物フロアを切り離していきます。
それでも船が水辺を保てず、フライが自分の命惜しさに乗客フロアを切り離そうとするのをオーウェンズが止め、宇宙船は何とか不時着。

生き残ったのは、賞金首の凶悪殺人犯で護送中だったリディックヴィン・ディーゼル)、リディックを護送中のジョンズコール・ハウザー)、古物商で実業家のパリス(ルイス・フィッツジェラルド)、イスラム教徒たちイマム(キース・デイヴィッド)と二人の息子たち、家出少年ジャック(リアンナ・グリフィス)、地質学者のジークジョン・ムーア)とシャザ(クラウディア・ブラック )夫婦、そしてフライの10人。

太陽が3つあり夜のない無人の惑星で、彼らは必死に脱出の手段を探しますが、実はこの惑星には恐ろしいエイリアンたちがいて、生き残った乗客たちは一人、また一人エイリアンたちに食われていく。という物語です。

リディックの存在

こう書くと、凡百のエイリアンサバイバルものって感じですが、そこに凶悪殺人犯のリディックがいることで、サスペンスやアンチヒーローもののテイストも入っているし、大量のエイリアンに襲われながら、生き残りの人間たちにも不和が生じるという展開は、エイリアンものというよりゾンビものに近いかもしれません。

ちなみにリディックは、屈強なナイフ使いで両目を改造して暗視スコープのように暗闇でも見えるという特徴があります。

また、ヒロインのフライは、生き残った乗客たちを救った英雄のように扱われますが、上記のように一度は乗客を見捨てて自分が生き残ろうとしたという秘密があるし、リディックを護送している“刑事”のジョンズや、家出少年ジャックもそれぞれ秘密を抱えているんですね。

ただ、わりと序盤から乗客殺しの“犯人”がエイリアンであることが観客には知らされるので、サスペンス展開はあまりないのがちょっと残念でした。
監督が描きたかったのはそこじゃなかったのかもですが。

夜のない星に暗闇が訪れる

前述したように、彼らが不時着した惑星は、太陽が三つもあるので夜がないんですね。
で、色々捜索するうちに無人のベースキャンプと、小型の宇宙艇を発見。
ベースキャンプが無人なのは、もちろん全員エイリアンに食われたからです。

このエイリアン、肉食で凶暴ですが光に弱いので地表にいる限り襲われる心配はありません。なのに何故ベースキャンプの住人たちが全滅したのかというと、この星では22年に一度、惑星直列によって数日感の日食が起こり、ベースキャンプの住人たちは日食によって星獣が暗闇になったことでエイリアンたちに全員食べられちゃったんですね。

そ・し・て、リディックたちがこの星に不時着した日が、まさに日食の日だったというわけです。

悪すぎか!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ

小型宇宙船は、若干に燃料電池残量は残ってるものの宇宙に飛び立つには足りないので、彼らは墜落した宇宙船に残る電池を取りに向かい、宇宙船で電池をゲットしたと思ったら日食が起こって絶体絶命の危機に陥り、どうやって生き残るか。というのが本作の見所なわけですね。

まぁ、大方の予想通り、悪党だと思ってたリディックがいろいろ頑張るんですけどね。

 

多分、本作はハリウッド映画としてはそれほどビックバジェットの作品ではないと思うんですが、エイリアンがコウモリのように音波を出して獲物の位置を捉えたり、血の匂いで寄ってきたり、光が弱点という設定を活かしつつ、ラストの暗闇の中での脱出劇を盛り上げるところはわりとドキドキしたし、ラストのオチも単純なハッピーエンドではなく、冒頭部分を上手く絡めてるのも個人的には好感が持てました。

2000年の作品で今見ればCGなどもチャチに見えるし、ストーリー的にも決して上手くはないですけど、観ている間は楽しめたし続編の「リディック」も観てみたいと思う程度には面白かったですよ。

興味のある方は是非。

 

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ハリウッドがリメイク権を獲得!? ブラジル発のクライムアクション「トゥー・ラビッツ」(2017)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、ハリウッドがリメイク権を獲得した事で話題になった、ブラジル発のクライムアクションムービー『トゥー・ラビッツ』ですよー!
監督を務めるアフォンソ・ポイアルチは本作が長編デビュー作だそうですが、時間軸の入れ替えやスタイリッシュな映像から、ブラジルのタランティーノと呼ばれてるらしいですよ。

ちなみに今回はわりと文句多めになると思うので、そういうのが嫌な人や本作が好きな人は読まないでくださいね。

いいですね? 注意しましたよ?

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あらすじと概要

新鋭のアフォンソ・ポヤルトがメガホンを取り、社会の腐敗を軸に描くクライムアクション。自堕落な生活をしていた主人公が、巨悪に立ち向かおうとする姿をスタイリッシュに映し出す。テレビドラマやショートフィルムを中心に活躍するフェルナンド・アウヴェス・ピントらが出演。複雑に絡み合う人間模様、先が予想できない展開に興奮する。

ストーリー:ブラジルのサンパウロにいるエヂガールは、ポルノを見たりテレビゲームをしたりして暮らしていた。腐り切った社会を嫌悪する彼はギャングのボス・マイコンの金を奪うと同時に、悪徳政治家を制裁する計画を練る。一方、検察局勤務のジュリアは、マイコンとの関係を疑われたことにより、内部調査の対象となり……。(シネマトゥデイより引用)

 

感想

タランティーノ的時間軸シャッフルとスタイリッシュな映像?

本作は犯罪者や汚職議員などが沢山登場する、いわゆるクライムアクションです。
時間軸シャッフルとスタイリッシュな映像。ラストのどんでん返しなどは、確かに初期のタランティーノ的と言えるかもですが、多分アフォンソ・ポヤルト監督はタランティーノ・フォロワーって訳ではないって思うんですよね。

時間軸シャッフルは最早、映画の手法として一般的だし、映像の方も色々な映画の影響を受けている感じがしました。

ただ個人的には、映像に加工を施しまくってアニメまでつけるガチャガチャうるさい映像に、主人公エヂガールのナレーションによる説明や文字が被ってて、最初は字幕で観始めたけど直ぐに吹き替えに変えましたよ。
もうね、映像がうるさ過ぎて内容が頭に入ってこないのです

ざっくりストーリー

さらに、本作では登場人物も多いんですよね。

主人公エヂガールは、脇見運転で人身事故を起こしたものの罪には問われず、ほとぼりが冷めるまでアメリカに飛び、“ある計画”のためにサンパウロに戻ってきました。

彼が事故で命を奪ってしまったのは、元大学教授のヴァルテルの奥さんと息子。
ヴァルテルは、ショックから大学教授を辞めて今はエヂガールの父親のレストランで働いています。(父親の、せめてもの償いなんでしょう)

ちなみにエヂガールが罪に問われなかった のは父親汚職議員のジャダールに金を渡して裁判で便宜を図ってもらってたからなんですね。

一方、サンパウロでは宝石会社の金庫から現金を盗んだ女性と娘が攫われて殺される事件が。
裏でこの事件の糸を引いていたのはマイコンという名の冷酷な悪党率いるギャングたちで、実行犯の一味は金をマイコンに渡しあとで分け前を受け取る約束だったけど、結局マイコンたちに殺されてしまいます。

大金は得たものの、犠牲者の女性の死体が上がったことで殺しの容疑がかけられ窮地に立たされたマイコンは、女性検事ジュリア弁護士のエンリケ夫婦にジャダールに金を渡して事件をもみ消す事を提案されます。(二人はこれまでもジュリアが証拠を盗みエンリケが裁判で勝つという裏ビジネスをやってた)

そしてエヂガールは、自分の腕時計とケータイを盗んだ強盗と手を組み、ジャダールに渡されるハズの大金の強奪計画をまんまと成功させるのだが……というストーリー。

ただでさえ、登場人物が多いのに時系列シャッフルされて先の見えないストーリーなので、冒頭からかなり集中してないと置いていかれてしまうかもしれません。

で、わざわざ時系列シャッフルしている割には、展開がまどろっこしくて中々核心にたどり着かないので、正直イライラしました

後出しジャンケン

そんな感じで中盤以降、物語の全貌と登場人物の相関関係が分かるようになってはいるんですが、この観せ方も「実はこうでした」「実はこうなってました」っていう後出しジャンケンのオンパレードで上手くないなーと。
何ていうか、新たしい事実が明かされても「はいはい、またですか ┐(-。ー;)┌」って感じになっちゃうのです。

あと映像も、ちょっと昔に流行ったスーパースローからの早送り的な繰り返しを多用してたり、人物紹介で「スーサイド・スクワッド」的な止め絵にしたり(映画としてはスーサイドの方が後ですけども)、アニメを入れてみたり絵と映像を組み合わせたりと映像がとにかくうるさいw

その割に、肝心のアクションシーンでは変なところで引き画気味だったり、テンポがあまり良くなかったりするので、あまり迫力もなく。映像的な説明が足りてない印象でした。(もしかしたら、オチに向けてわざとダサい演出を繰り返してるのかもだけど)いかにも若手監督がやりたがりそうな映像のオンパレードで正直辟易しましたねー。

オチのどんでん返し

にも関わらず、ハリウッドがリメイク権を獲得に乗り出したのは、多分オチのどんでん返しがあるからじゃないかと思うんですね。

確かに驚いたし、思い返せばオチに至る伏線は貼られていたんですが、ここもやっぱり後出しジャンケン感があるし、「じゃぁ“アイツ”はどこまでが計画だったの?」と新たな疑問も湧いてくるんですよね。
っていうか、結局新たな被害者も産んじゃってるし、それってただの独りよがりじゃね? って感じもするし。

なんかこう色々モヤモヤしてしまうんですよね。

うぅーん……、僕がちゃんと読み取れてないのかなー?

というわけで、僕には合わない映画だったんですが、観る人が観れば面白いのかもしれません。

興味のある方は是非!

 

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人気シリーズ待望の第三弾!「カンフー・パンダ3」(2016*日本では劇場未公開)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、ドリームワークス製作の人気アニメーションシリーズ『カンフー・パンダ』シリーズの第三弾『カンフー・パンダ』ですよー!
人気シリーズながら日本では劇場未公開でNETFLIX 独占配信ということだったので、もしやディスクレンタルもないのでは? と半ば諦めかけていたんですが、全米公開から1年以上、やっとレンタルが開始されたので観ることが出来ましたよ。ε-(´∀`*)ホッ

 

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画像出典元URL:http://eiga.com

あらすじと概要

ドリームワークス・アニメーションの人気アクションコメディ「カンフー・パンダ」のシリーズ第3作。カンフーマスターとして、マスターファイブと共に平和の谷を守るジャイアントパンダのポーの前に、生き別れとなっていた実の父が現れる。ポーは夢にまで見ていたパンダ村を訪れることができ、幸せをかみしめるが、そんな時に魔界から雄牛のカイが舞い戻り、平和の谷を襲撃する。カイを迎え撃つため、ポーは自らが師匠となって村のパンダたちにカンフーを教えるのだが……。声の出演はおなじみのジャック・ブラックアンジェリーナ・ジョリーら。(映画.comより引用)

 

感想

ちょっとした愚痴

僕はレンタル後追いで前2作を観てとても面白かったので、この第三弾を結構楽しみにしてたんですけど、残念ながら日本では劇場未公開&NETFLIX 独占配信と発表されて、正直「DVDレンタルも怪しいのでは?」 なんて思ってたんですが、今回無事レンタルが始まって正直ホッとしたんですね。

同じくドリームワークス製作の劇場版アニメ「ヒックとドラゴン2」も劇場未公開だったんですが、やっぱ日本では収益が目込めないってことなんですかねー。
日本で海外アニメと言えば、ディズニー&ピクサーと、近年ではユニバーサル・ピクチャーズ配給(イルミネーション・エンターテインメント製作)が三強で、海外で当たった人気作でも他の会社の作品は劇場公開されない事も多いですしね。(´;ω;`)

アニメだけでなく、近年では世界的に大ヒットしている作品も日本だけ当たらなかったり、公開規模が小さかったり、最悪劇場未公開という事も多くて寂しいというか、ぶっちゃけ少し危機感さえ覚える状況だったりしますねー。

とは言っても、僕も人のことを言えるほど劇場で映画を見る機会は多くないんですけどね。

というわけで、前置きが長くなりましたが本編の感想です。

待望のシリーズ第三弾! だけど……

前2作が好きで個人的にこの第3弾をかなり楽しみにしていたんですが……、正直に言うと前2作に比べると物足りなさが残るというか、もっとハッキリ言えば蛇足感さえ感じる出来だったかなーと思いました。

というのも、主人公ポーの物語は前2作でほぼ完結してるんですよね。

今回は、前作のラストで登場したポーの実の父親との物語がメインで、ポー以外絶滅していたと思っていたパンダの仲間たちが、実は隠れ里で生きていたという設定なんですね。

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画像出典元URL:http://eiga.com / ポー(左)と実の父リー・シェン(右)

なので、本作はポーが(パンダとしての)自分のルーツとアイデンティティを得る物語になるわけですが、彼のアイデンティティは既に前作で確率しているし、本作では単純に「ぼっち」だと思ってたら仲間が沢山いて嬉しい以上のものは見えてこなかったなーと。

っていうか、実の父親に会えて嬉しいのは分かるけど、育ての父であるガチョウのピンさんをなおざりにしすぎな感じがして、他人事ながら「もうちょっとピンさんに気を遣えよポー!ヽ(`Д´)ノ」とイラっときてしまったりw

シリーズ最強の敵?

そして、本作では前2作に続いて悪役が登場するわけですが、今回の敵は気の使い手で、しかもあの世から戻ってきたという設定。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 悪役のカイ(J・K・シモンズ

映画冒頭、あの世でのんびり暮らすカンフーの始祖でポーの大師匠にあたるウーグウェイ導師に突如襲いかかるのが、今回の敵で水牛のカイ。
カイは元々ウーグウェイ導師の戦友だったんですが、「ある事件」がキッカケでウーグウェイ導師と対決して負け(死んで)、長い年月をかけて復讐にやってきたわけです。

で、このカイは気を奪った相手を生死に関係なく翡翠のゾンビ(ジョンビ)に変えて具現化&隷属できるんですが、冒頭の戦いでウーグウェイ導師の気を奪い取り、ポーたちが暮らす現世を支配しにやってくるわけです。

まぁ、中国が舞台なのでゾンビというよりキョンシーの方が正しいかもだし、ビジュアル的にはスタンドって感じなんですけどね。

カイはそもそも肉体がないのでポーの必殺技が通じないという、確かに最強の敵ではあるんですが、正直1・2に比べると存在感がイマイチなんですよね。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 必殺技が通じない!?

これは前2作の悪役たちと比べるとカイというキャラクターの背景描写が薄っぺらいことが原因だと思うんですよね。
メインはポーとパンダたちの物語で、カイはあくまで物語を進めるための書き割り的キャラクターっていうか。

さらにカイをあの世に送り返すためにポーが取った行動と、ポーを救おうと仲間たちが取った行動が、あまりにもご都合主義的というか、少年ジャンプ的というか。

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画像出典元URL:http://eiga.com

一応伏線はあるものの、世界観が全2作と離れていて、ちょっと飲み込みづらい感じがしました。

やりたいことは分かるけど、これだと全2作で築いてきた「カンフー・パンダ」の世界観を壊してると思うし物語全体のバランスや設定も、全体的に中途半端な感じがしましたねー。

アクション&コメディーシーン

こうして文句ばかり書いていると、つまらない映画だったかと思われるかもですが、そんなことはありません。

アクションシーンの小気味いい動きや映像の美しさ、キャラの掛け合いやコメディーシーンのオフビートな面白さは前2作にも引けを取らないし、(日本語吹き替えでは予算の問題でキャストが変わってしまったようですが)主人公ポー役のジャック・ブラックを始めとしたレギュラー陣に加え、カイ役に「セッション」のJ・K・シモンズや、ポーの父親役にベテラン俳優ブライアン・クランストンと超豪華キャストでしたしね。

時間も95分と見やすいし、怖いシーンや残酷なシーンもないのでお子さんも安心して観ることができると思いますよ。
あと、パンダの子供たちも可愛かったですw

興味のある方は是非!

 

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全員悪人ついに終幕! 「アウトレイジ最終章」(2017)

ぷらすです。

ついにシリーズ完結となる『アウトレイジ最終章』を観てきましたよー!

三連休最終日ということもあって、朝一の回にも関わらず劇場はかなり混んでいて、本作の人気の高さを肌で感じましたねー。(´∀`)

というわけで、今回は公開したばかりの作品なので出来る限りネタバレのないように注意して書きますが、これから本作を観に行く予定の方は映画を観たあとに、この感想を読んでくださいね。

いいですね? 注意しましたよ?

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画像出典元URL:http://eiga.com

あらすじと概要

北野武監督が裏社会にうごめく男たちの仁義なき戦いをあぶり出し、ヒットを飛ばした『アウトレイジ』シリーズの完結編。今作は前回の壮絶な権力抗争の後日譚(たん)となり、底なし沼のような戦いに身を投じる男たちの悲哀を描く。前作同様ビートたけし西田敏行塩見三省光石研らが豪華共演。最後の花道を飾るにふさわしい迫力に圧倒される。

ストーリー:関東の山王会と関西の花菱会の間で起きたし烈な権力闘争の後、大友(ビートたけし)は韓国に拠点を移す。彼は日本と韓国の裏社会で暗躍する実力者張会長(金田時男)の下にいたが、ある時、韓国に出張中の花菱会の花田(ピエール瀧)が騒ぎを起こし、張会長の部下を殺害してしまう。この事件を発端に、張会長と花菱会の関係は険悪になり……。(シネマトゥデイより引用)

 

感想

いい顔のオッサンだらけ

アウトレイジ」は、北野武監督がそれまでのアート寄りな作品から、本格的にエンタメ方向に舵を切った大ヒットシリーズで、それまでは無名だったり俳優以外のキャストを使っていた北野監督が、ベテラン有名派俳優をキャスティングしている事でも話題になりました。

キャスティングされた役者はみんな、テレビや映画で顔も名前も知れた人たちばかりにもかかわらず本シリーズがこんなにも新鮮に映るのは、彼らが今まで培ってきたイメージとは全く違う、全員ヤクザで悪党という配役だったからで、そういう意味ではキャスティングの段階で本シリーズは成功を約束された映画でもあったのかなと思います。

しかも、老齢に差し掛かろうという“いい顔”のベテラン俳優たちが全員「バカヤロー! コノヤロー!」と大声で罵声を飛ばし合うわけですからね。
そんなの面白いに決まってるんですよ。

本作でも、主演のたけしさんを始め、前作から引き続き西田敏行塩見三省、白龍、松重豊などと、さらに本作でもピエール瀧大杉漣岸部一徳など、“いい顔”のオッサンだらけ

映画「凶悪」で観客を震え上がらせた強面のピエール瀧が、本作ではひよっ子に見えるんですから、もうどんだけー!って感じですw

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画像出典元URL:http://eiga.com / あのピエール瀧がひよっ子に見える西田敏行の迫力

特に、西田敏行さんは病み上がりながら鬼気迫る演技を見せていたし、脳出血で倒れ後遺症を抱えて痩せられた塩見三省さんは、声に前作ほどの迫力はなかったものの、本作のストーリーにはしっかりハマっていたし、サングラスの奥に光る眼光の怖さは前作のままでしたよ。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 病にも負けずに熱演する二人

祭りの終わり

2010年公開の第一作では、関東最大の暴力団「山王会」の内紛を描き、創意工夫を凝らした“痛い”暴力描写のオンパレードで観客の度肝を抜き、続く2012年公開の「~ビヨンド」では関西を牛耳る「花菱会」と新体制になった「山王会」の抗争で、言葉の暴力を見せつけた本シリーズの「~最終章」となる本作。

物理的な暴力も言葉の暴力も前作・前々作に比べると随分控えめになってる印象でした。

本作では「山王会」を取り込んで名実ともに日本最大の組織になった「花菱会」の内紛や裏切りを主軸にしていて、実質的な主役は花菱会若頭の西野(西田敏行)と、前会長の娘婿で元商社マンの現会長である野村(大杉漣)の二人。

花菱会の花田(ピエール瀧)が、張グループ会長の張大成を頼って韓国に逃げた大友(ビートたけし)が仕切る済州島でトラブルを起こし、張グループの構成員を殺害したのをキッカケに、花菱新会長の野村に不満を抱く西野と、叩き上げの西野を邪魔に思っている野村が、張グループを巻き込んで互いを叩き落とすために策謀を巡らせるというストーリーなんですね。

なので、本作で大友は主役というより狂言回し的な立ち位置。
大友は自分の義理を通すために動いていて、その周りでは野村と西野の陰謀に振り回されて大勢死んでいくという。

そんな、現実の社会や会社でも起こっているであろう、野望や保身のために右往左往する人々の様子を、渦の外にいる大友の客観的な視点でシニカルに描いています。

なので、本作でも笑っちゃうくらい人がわんさか死んでいくんですが、終焉に向かっている「祭りの終わり」の寂しさや、ふっと漂う静けといった初期北野作品に近いテイストを感じましたねー。

大杉漣ベストアクト

とはいえ、そこは「アウトレイジ」ですから、ただセンチメンタルな物語で終わるわけもなく、予告編にも登場する大友のマシンガン乱射シーンや、花田、野村のシーンなど、「アウトレイジ観てるなー」という満足感はあるんですよ。

特に、証券マンから暴力団の会長になった野村の、周囲から馬鹿にされ浮いてる事に自分だけが気づかず空回りしてる感じは、演じている大杉漣さんのベストアクトと言えるんじゃないでしょうか。(いやマジで)

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画像出典元URL:http://eiga.com / 大杉蓮さん演じる野村の浮きっぷりに注目

惜しむらくは前作から間が空いてしまったことで、たけしさんを始めキャスト陣の勢いが少々衰えてしまった感じが否めなかったことですが、それでも邦画でここまで無茶が出来るのは多分、北野武監督だけですからね。

アウトレイジ」ファンの人もそうでない人も、劇場で「祭りの終わり」をしっかり見届けて欲しいと思いました。

興味のある方は是非!!!

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