今日観た映画の感想

映画館やDVDで観た映画の感想をお届け

とにかく映像がスゴい! 「ドクター・ストレンジ」(2017) 感想

ぷらすです。

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)最新作『ドクター・ストレンジ』を3Dで観てきましたよー!(*゚∀゚)=3
予告編で観て超期待してたんですが、とにかく映像がどエライ事になってました。
先に書いてしまいますが、本作を見るなら3D、それも出来ればIMAX3Dがオススメです。ただし、人によっては映像酔いしてしまうかもしれませんねー。

今回は公開直後の映画なので、出来るだけネタバレは避けて書きますが、ネタバレがイヤという人は先に映画を観て、それからこの感想を読んでくださいねー!

いいですね? 注意しましたよ?

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画像出典元URL:http://eiga.com/

あらすじと概要

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』などのベネディクト・カンバーバッチを主演に迎えたヒーローアクション。事故で両手が思うように動かせなくなった天才外科医の姿を描き出す。『スポットライト 世紀のスクープ』などのレイチェル・マクアダムス、『偽りなき者』などのマッツ・ミケルセン、『フィクサー』などのティルダ・スウィントンらが共演。たとえ敵であろうとも他者を傷つけることのできない外科医の行く末に注目。

ストーリー:ドクター・ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ)は、天賦の才能を持つ脳外科医として名をはせていたが、ごう慢さが玉にきずだった。彼は地位も名誉もリッチな生活も手に入れていたが、交通事故によって全てをなくしてしまう。神の手と崇拝された両手の機能を取り戻すため、高額な治療を繰り返すが……。(シネマトゥディより引用)

 

 

感想

というわけで『ドクター・ストレンジ』観てきました!
いつもの映画館では2Dしかやってなかったので、地元のイオンシネマで3D吹き替え版を観ることに。

観終わって思ったのは、本作はとにかく映像の情報量が多いので、字幕版じゃなく吹き替え版の方がいいかもなーと。あと、人によっては画面酔いしてしまうかもしれません。(僕も軽く酔いかけましたw)

ドクター・ストレンジとは

本作の内容を一言で書くと、良い魔術師が悪い魔術師から地球を救う物語です。

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画像出典元URL:http://eiga.com/ ベネディクト・カンバーバッチ演じるドクター・ストレンジ

ベネディクト・カンバーバッチ演じるドクター・ストレンジは、高慢ちきな天才外科医ですが、交通事故で外科医の命とも言うべき両手の神経がズタズタになってしまいます。で、全財産をつぎ込んで何とか両手を治そうとしますが、結局どうにもならず全財産を使い果たしてしまうんですね。
そんな彼が最後の望みをかけて向かったチベットで、地球を守る魔術師エンシェント・ワン(ティルダ・スウィントン)の弟子になるわけです。

そして、異次元にある『ダーク・ディメンション』の“ある存在“に魅入られ、エンシェント・ワンに造反した悪い魔術師カエシリウスマッツ・ミケルセン)と戦う事になるんですね。

つまり、マーベル版の『スターウォーズみたいな感じです。(ジェダイVSシス的な意味で)

驚愕の映像

本作の見所は、何と言ってもVFXを駆使した映像です。
街がグルグル回るわ、立ち並ぶビルはパズルみたいに組み替わるわ、時間は巻き戻るわ、まるでジェットコースターに乗せられているような感覚でした。

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画像出典元URL:http://eiga.com/ 

映像の凄さは渡辺謙とディカプリオが共演した『インセプション』を遥かに超えてましたねー。

アバン(タイトル前のワンエピソード)のカエシリウスとエンシェント・ワンが戦うシーンに、いきなり度肝を抜かれたし、クライマックスの巻き戻る時間の中でのストレンジとカエシリウスの戦闘シーンもとても新鮮でしたねー。

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画像出典元URL:http://eiga.com/ アバンのエンシェント・ワン師匠

今までのマーベルヒーローがひとつの次元の中で物理的に戦うのに対し、本作のストレンジは幾重にも重なっている多層次元の中で魔術を駆使して戦うヒーローというロジックを、言葉ではなく一発で納得させることができる映像だったと思います。

ただ、後半に行くほど映像に目が慣れてしまうので、ストーリーや映像のちょっとしたアラが気になってしまうところもありましたけども。

ちょっと詰め込みすぎ感も

で、肝心のストーリーなんですが、映像の凄さに比べると、やや尻すぼみ感もあるかなと。ストレンジのヒーローとしての在り方や、カエシリウス、エンシェント・ワン、そしてストレンジの先輩魔術師モルド(キゥエテル・イジョフォー)や、ウォン(ベネディクト・ウォン)など、それぞれのキャラクター自体は魅力的なのにイマイチその魅力が活かせてない感じがしました。

というのも2時間弱の映画にしては、エピソードや設定の説明が詰め込みすぎだからじゃないかなーと。
本作が一本で完結する物語ではなく、MCUの大きな流れの一本という位置づけなので「ここまでは物語を進めないと」という事情もあるのかもですが、新ヒーローのお披露目作品という事を考えれば、カエシリウスVSストレンジというシンプルなストーリーにしたほうが全体的に飲み込みやすかったんじゃないかなと思いました。
その分を、ストレンジが魔術師になっていく過程や各キャラクターの人物像を描く時間に割り振れば、物語に深みがましたような気がします。

あと、映像自体はスゴいんですが、観客が状況を飲み込む前にシーンが変わっていくのも気になるところでした。こういうパズル的映像だと尚更、一つのシーンやカットの交通整理をしっかりしたほうがストレンジの凄さが伝わるような気がしましたねー。

ファンタジーとSFの両立

ドクター・ストレンジは魔術の力で世界を守るヒーローということで、なんでもありのファンタジーになってしまうのでは? と思ったし、他のマーベルヒーローとのバランスが取れるのかが少し心配だったんですが、魔術に『制約』があるというロジックと、SF的なワードを入れ込むことで、ファンタジーとSFのバランスをしっかり取ってた印象でしたねー。

その上で、今までのヒーローとは一線を画すスタンスのヒーローとしてドクター・ストレンジを描いたのは良かったんじゃないかなと。(その辺は賛否分かれそうですけど)

余談ですがストレンジのマントと、医者時代の同僚、クリスティン(レイチェル・マクアダムス)が可愛かったですねー。
クリスティンがキャッと飛び上がるトコに、不覚にも萌えてしまいましたよー

興味のある方は是非!!

神様の娘が家出!? ブラックで可愛いファンタジーコメディー「神様メール」(2016) 感想

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、カンヌ国際映画祭ゴールデン・グローブ賞など、世界各国の映画祭、映画賞で称賛を浴びたコメディー『神様メール』ですよー!

ちなみに原題『Le tout nouveau testament』は直訳すると「新・新約聖書」になるそうです!

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画像出典元URL:http://eiga.com/

あらすじと概要

カンヌ国際映画祭ゴールデン・グローブ賞など、世界各国の映画祭、映画賞で称賛を浴びたコメディー。パソコンを駆使して世界を翻弄(ほんろう)する神と、そんな彼に愛想を尽かした娘が巻き起こす騒動を描く。メガホンを取るのは『ミスター・ノーバディ』などのジャコ・ヴァン・ドルマル。『チャップリンからの贈りもの』などのブノワ・ポールヴールド、名女優のカトリーヌ・ドヌーヴ、『エール!』などのフランソワ・ダミアンらが結集。奇想天外なアイデアと設定、予想もつかないストーリー展開に圧倒される。

ストーリー:ベルギーのブリュッセル。とあるアパートに家族と共に生活している神は、慈悲深いという人々が抱いているイメージとは真逆の嫌な人物であった。自分の部屋に置かれたパソコンを駆使して世界を管理しているが、いたずらに災害や事故を起こしては楽しんでいた。そんな父親に怒りを覚える10歳の娘エア(ピリ・グロワーヌ)は、家出を考える。立ち入りを禁じられている父親の部屋に忍び込んだ彼女は、全人類それぞれの死期を知らせるメールを送信して家を飛び出してしまうが……。(シネマトゥデイより引用)

 

 

感想

前々から評判は耳にしていた本作。
僕も、そのうち観ようとは思うものの、パッケージを見ると中々手が伸びなかったんですよねー。
なんかこう「小さくて、可愛くて、オシャレな、素敵コメディーなんじゃないのー?」と。いや、そういう映画が嫌いって訳じゃないんですけど、近頃はイマイチ気分が乗らないというか。

で、今回思い切って観てみたら、何かこう…面白かったです!
そして、何ともヘンテコな映画でしたねーw

どんな映画?

本作の主人公は10歳の女の子エア。
そして、この子のお父さんは天地創造でお馴染みの神様で、お兄さんはイエス・キリストです。

という趣旨のエアのナレーションで物語が始まるんですが、最初は何かの比喩表現だろうと思いながら観ていたら、この子本当に神の子でした

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 画像出典元URL:http://eiga.com/ 主人公のエア(ピリ・グロワーヌ)

そんなエアのお父さん(神様)は、非常に「人間? の小さい」嫌なおっさんで、家族に対しても威圧的。
エアはそんな父親の横暴に耐えかねて、家出してしまう――という物語です。

登場キャラクター

で、この神様一家がどんな家族かというと、

父親(神様)は無精ひげを伸ばして、チェックのネルシャツにねずみ色のTシャツ姿。世界を管理してるんですが色々飽きちゃってて、人間を争わせたり、天災を起こしたり、マーフィーの法則的な小さな不幸をばら撒いて憂さ晴らししているという嫌なオッサン。
家族に対しても威圧的でモラハラでDVな最低オヤジで、そんな父親に嫌気がさしたJC(イエス・キリスト)は家出してキリスト教を起こすんですねw

お母さんは女神なんですけど、頭の回転が遅くて旦那の言いなり(神に何かされてる?)刺繍と集めた野球カードを集めるのが趣味という中年のオバサン。

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画像出典元URLhttp://eiga.com/ 左から父親(神様)・母親(女神)・エア(娘)

お兄さんのJCは、多分2017年前くらいに家出して、後にキリスト教を起こすも死んじゃってるんですが、密かに置物(キリスト像)として家に帰ってて、エアの家出にアドバイスと協力をするんですね。

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画像出典元URL:http://eiga.com/ 兄(キリスト)と密談するエア

で、エアはJC兄さんのアドバイスに従い、父親が世界を管理してるパソコンをいじって世界中の人間に余命をメールで一斉送信したあと、父親がパソコンをいじれないように細工(父親は機械音痴)して、家の洗濯機から下界に家出。
6人の使徒と会って、『新・新約聖書』を作ろうとするわけです。

そんなエアが起こせる奇跡は、
1・人間の体の中に流れる音楽が分かる。
2・動物と話ができる。
3・ハムサンドを増やせる。(失敗率高し)

くらい。(後に水の上を歩けるようになる)
まだ10歳ですからね、起こせる奇跡はごくわずかなんですねー。

6人の使徒

さて、そんな下界はといえばエアがみんなの余命をメールしたことで、諸々影響がでてるんですね。
そんな中、彼女が無作為に選んだ使徒はと言えば、

夫と冷めた関係の寂しい主婦でゴリラと恋に落ちるマルティーヌ。
人間の余命を知って、保険屋からこっそり殺し屋に転職するフランソワ。
自分の余命を知って、性欲を開放したら破産したマルク。
小さい頃に片腕を失い、モテモテだけど孤独なオーレリー。
冒険家を諦めて会社員になったけど、余命を知って冒険の旅に出るジャン=クロード。
余命を知って、女の子になりたいとカミングアウトした少年ウィリー。

そこに、エアからの指名で「新・新約聖書」を書くことになったホームレスのヴィクトール。

エアは小さな奇跡で、そんな彼ら彼女らの孤独な心を救っていくんですね。

原作は聖書!?

本作の、神様、キリスト、エアのキャラクター造形は、それぞれ聖書に準えてるらしいんですね。

神様が意地悪なのは「旧約聖書」が元になってるからで、旧約聖書の神様は嫉妬深くて威圧的で、「他の神を信じたり俺様に逆らうやつは殺しちゃうから」的な描かれ方らしいんですね。(間違ってたらスイマセン)
で、キリストの新約聖書はお馴染み「汝の隣人を愛せよ」という、許しと慈悲の教えですよね。だからオヤジとはそりが合わないわけです。

でも、キリストの力だけでは、父親の作った世界は変えられないってことで、キリストは妹に新しい聖書を作れと、そういう物語……なんだと思います。多分。

つまり、本作はキリスト教が抱える矛盾点(旧約聖書新約聖書)にツッコミを入れてる映画だ(意訳)と、映画評論家の町山智浩さんはラジオで話してますね。

そもそも、世の中から不幸が消えないのって、神様がアレだからじゃね? とw

そんな感じでキリスト教のタブーっぽい部分を皮肉ったコメディーでありつつ、本作では現代社会における人間の存在意義や、命のあり方や、マイノリティー、孤独などなど、わりとシリアスで重いテーマを、コメディーのパッケージででラッピングしたポップで可愛らしい物語にしてるんですねー。

本作はベルギー映画で、フランスとルクセンブルグとの合作なんですが、コメディー部分やストーリーもアメリカ映画と違ってて、(いい意味で)ヨーロッパ映画だなーって感じです。

多少中弛みしてる感はあるものの、ラストのオチもハッピーで可愛くて面白いので、男性も女性も楽しめるんじゃないかなーと思いましたよ。

あ、そうそう。
あと本作のもう一つの見所は、劇中登場するケヴィンです。
EDの最後にも登場するので、最後まで方がいいですよー。(´∀`)

興味のある方は是非!

 

新三部作完結編。ヤングX-MENが大暴れ! 「X-MEN:アポカリプス」(2016) 感想

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、昨年公開された『X-MEN:アポカリプス』ですよー!
X-MENシリーズとしては6作目にして、時代を遡って若き彼らの活躍を描くトリトジーシリーズ3部作の完結編でもあります!

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あらすじと概要

ヒットシリーズ『X-MEN』の第6弾にして完結編。数千年の眠りから目覚めて人類に新しい秩序をもたらそうとするミュータントのアポカリプスに、プロフェッサーXらX-MENが立ち向かっていく。監督は、シリーズ第1作、第2作、第5作も手掛けたブライアン・シンガー。『フィルス』などのジェームズ・マカヴォイを筆頭に、マイケル・ファスベンダージェニファー・ローレンスオスカー・アイザックと実力派スターが結集する。VFXを駆使した壮絶なバトル描写の数々に加えて、X-MEN結成をめぐるエピソードにも注目。

ストーリー:1983年。文明が誕生する前から神として君臨していた、ミュータントの始祖でもあるアポカリプス(オスカー・アイザック)が、突如として長い眠りから覚醒する。数千年ぶりに目にした人間とその文明が、誤った方向に進んでしまったと考えた彼は新しい秩序が必要だと判断。マグニートーマイケル・ファスベンダー)など、4人のミュータントを率いる。彼の存在と考えを知ったプロフェッサーX(ジェームズ・マカヴォイ)は、ミスティーク(ジェニファー・ローレンス)らと共にその行動の阻止に挑むが……。(シネマトゥデイより引用)

 

 

感想

僕が「X-MEN」シリーズを観始めたのは、トリロジーシリーズ第一弾「~ファースト・ジェネレーション」からなんですね。
それまではぶっちゃけX-MANには全然興味がなくて、キャラクターもウルヴァリンくらいしか分からない状態だったんです。

ただ、「~ファーストジェネレーション」は、X-MEN結成の物語という噂だったので、それじゃぁ観てみるかと劇場で観たんですが、これが面白かったんですよねー!

で、前作「~フューチャー&パスト」も劇場で観たんですが、こちらは何だかごちゃついてて、ニワカファンの僕には少々分かりずらく。

なんで、本作はどうしようかなーと思ってたんですが、DVDがレンタルされたので思い切って観ることにしました。

ざっくり解説

まず、X-MENをまったく知らない人のためにざっくり概要を説明すると、
超能力者チーム X-MENが、悪い超能力者と戦うヒーローシリーズです。
ただ、それだけじゃなくて、超能力者(ミュータント)は人間に差別・迫害を受けているという設定。
これは、米国の公民権運動に準えていて、超能力者=黒人やユダヤ人などマイノリティーのメタファーなんですね。
X-MENのボス、プロフェッサーXは人間との共生を望む鳩派で、敵役のマグニートは暴力で自分たちの居場所を獲得しようとする鷹派です。(キング牧師マルコムX的な)

これまで、旧3部作、ウルヴァリンが主役のスピンオフ3部作、そして本作を含むX-MENの過去を描いた新三部作(トリロジーシリーズ)が公開され、今年ウルヴァリン主役の「ローガン」が公開されます。

本作の敵

本作で登場する敵は、世界最初にして最強のミュータントであるアポカリプス。

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この男、自らを神と名乗り古代エジプト文明を支配していて、年を取ると謎の技術で若い身体に魂を入れ替えることで、生き長らえているんですね。
そんな、彼が手に入れたのは、不老不死の肉体。
「これで永遠にこの世界を支配できるぞー!」と魂入れ替え作業に入った彼ですが、兵士の反乱によって、崩れ落ちたピラミッドの中に閉じ込められてしまいます。

それから数千年経った1983年のある日、そんな彼が目覚めることで地球は危機に陥り、お馴染みX-MENのメンバーたちがこのアポカリプスと戦うというという物語です。

圧倒的な映像

個人的に面白かったシーンは、まず冒頭の兵士の反乱シーン。
アポカリプスとお付の4人がピラミッドに入って、魂の入れ替えを始めたのを見計らった兵士が、やおら石柱を叩き折る→その上に設置されていた巨石がピラミッドの中に滑り落ちていく→ピラミッドを支える石が巨石で破壊され、それが次々連鎖してピラミッドが崩れるんです。

もうね、ピラゴラスッチかと。

あと、X-MENの見所といえばミュータントの超能力描写ですが、本作で際立ってたのは、テレポート能力を持つナイトクローラーと、前作にも登場した超スピードで動けるクイック・シルバーですねー。

ナイトクローラーは、まるで悪魔みたいな見た目で、テレポートするとき、ボフっという音がして、元いた場所に黒い霧みたいなのが残るのが良かったなーと。
戦いの時に、テレポートで相手の攻撃を交わす描写はカッコよかったし新鮮でした。
あと、悪魔っぽい見た目なのに、基本、気が弱くてヘタレなのもポイント高かったですねー(´∀`)

それと、前作では少なかった、クイックシルバーの高速移動描写が、本作ではたっぷり描かれてたのも嬉しかったです。
X-MENの基地と、ミュータントの子供たちの学校も兼ねた「恵まれし子らの学園」にアポカリプス一味が乗り込んできて、建物が大爆発するんですが、そこにたまたま到着したクイックシルバーが、学園の中にいる子供やメンバーを助けるんですね。

爆発の炎や子供達はまるで止まっているみたいに見える中、クイックシルバーだけが早回しみたいに動きまくって、爆発からみんなを守る様子はユーモアもあり、人々を救うヒーロー像もしっかり体現してましたねー。

このクイックシルバーの活躍するシーンの撮影だけで、3ヶ月近くかかったというから、このシーンの映像に対するスタッフの意気込みが伝わります。

一方ストーリーは

前作「フューチャー&パスト」は、未来の世界でミュータント殺害ロボが暴走。それを止めるためにウルヴァリン(の魂?)が過去と未来を行ったり来たりするみたいな物語で、正直ニワカファンの僕にはかなり分かりづらかったんですが、本作は割と一本道のストーリーなので分かりやすいなーと思いましたねー。
まぁその分、現実に起こった歴史的事件とリンクさせる「ファーストジェネレーション」のような面白さはなくて、普通のヒーローものっぽくなっちゃってましたけども。
あと、とにかく登場人物が多いのと、原作ファンでないとキャラ同士の関係性がイマイチ掴みずらいかもしれないなーと思ったりしました。

それに、正直ちょっと長いなーと。
なんたって144分もありますからね。
ただ、どこかのシーンを削ってしまうと、新規のファンには物語やキャラクターが分かりにくくなるだろうから、難しいとこですけども。
他にも細々「あれ?」と思うシーンもありましたけど、個人的にはそれほど気にならなかったかな?

敢えて言うなら、全体的にスリルが足りない感じはしましたかねー。
こう、ミュータント同士のイザコザ→人間置いてきぼり=他人事みたいな感じで、何が起こってて、どのくらいヤバイのかがイマイチ伝わってこないんですよね。

ただ、前述のように映像はスゴいので、それだけで十分楽しめちゃうんですけどね。
例えばX-MENを全く知らない状態で本作を観ても、多分それなりに楽しめちゃうんじゃないかなーなんて思いましたよ。

興味のある方は是非!!

 

絵本がそのまま動き出したようなアニメ映画「くまのアーネストおじさんとセレスティーヌ」(2015) 感想

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、本国フランスでは2012年、日本では2015年に公開されたフランスの長編アニメ映画『くまのアーネストおじさんとセレスティーヌ』ですよー!

まるで絵本がそのまま動いているような、可愛らしい作品ながら、風刺も効かせて子供から大人まで楽しめる素敵な作品でしたー!

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画像出典元URL:http://eiga.com/

あらすじと概要

ベルギーの絵本作家ガブリエル・バンサンの代表作で、世界中で親しまれている「くまのアーネストおじさん」シリーズをアニメ映画化。無愛想で大きなくまの音楽家アーネストおじさんと、小さなネズミの女の子セレスティーヌの出会いと冒険、そして種の違いを超えて育まれる関係を描く。優しいタッチでつづられる心温まるストーリーは、第86回アカデミー賞長編アニメ映画賞にノミネートされた。

ストーリー:大きなくまの音楽家アーネストおじさんは空腹でゴミ箱をあさっていたとき、小さなねずみの女の子セレスティーヌを見つけて食べようとする。その後セレスティーヌは、アーネストに菓子屋の倉庫に潜り込む方法を教え、難を逃れた。やがて両者の間には、種の違いを超えた友情が芽生えるが……。(シネマトゥディより引用)

 

 

感想

僕は原作の方は、表紙を見かけたことがあるかなー? くらいで読んだことは一度もなく、恥ずかしながら本作もまったくのノーチェックでした。。
で、ネットのお友達に教えて貰い今回初めて観たんですが、これ、すごくね?

と思ったら、第86回アカデミー賞長編アニメ映画賞にノミネートされてたんですねー。

本作の世界観

まず、本作の世界観をザックリ説明すると、この世界ではくまとねずみがそれぞれ地上と地下に棲み分けていて、お互い対立しているんですね。

双方それぞれに文明的な暮らしをしているので、雰囲気的にはディズニー・ピクサーの「ズートピア」の世界観を連想する方も多いかもしれません。

そして、本作の主人公は、無愛想で嫌われ者のくまアーネストと、絵を描くのが好きで、園長先生の語る恐ろしい熊像に疑問を持つねずみの少女セレスティーヌ。
周囲に馴染めない二人は、互いの世界でそれぞれ一人ぼっちなんですね。

ねずみの世界の文明を支えているのは、丈夫な前歯。
孤児のセレスティーヌたちは、夜中地上でくまの家に忍び込み、子ぐまから抜けた乳歯を盗んでくるのが仕事で、彼女らが盗んできた丈夫なクマの歯を加工して、前歯の抜けたねずみの差し歯にしているんですね。

一方のアーネストは、人里離れたボロ屋に住む音楽家。
食べ物がなくなると街に出てきて、路上パフォーマンスをしてお金や食べ物を貰っているみたいです。ただ、路上でのパフォーマンス(というかほぼ物乞い)行為は禁止されてるらしく(迷惑行為なのかな?)、警察に見つかると捕まっちゃうっぽいんですね。

そんな二人が偶然出会うものの、ある事がキッカケで二人はくま、ねずみ、それぞれの世界からお尋ね者になってしまうという物語です。

CGと手書きのいいとこ取り?

今や、ディズニーピクサーを筆頭に海外は3DCGアニメが主流ですが、本作はそんな流れに逆行するように、まるで水彩の絵を動かしている手書きアニメのような味わいがあります。そのルックに高畑勲監督の「かぐや姫」を連想する人もいるかもですが、実はこの作品はキャラ造形はPCで、背景などは水彩で描き、コンピューターで合成しているようです。

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また、特にねずみの世界の描写や、ねずみのおまわりさんが大挙して押し寄せるシーンなんかは、宮崎作品を連想させるんですが、本作がデビュー作バンジャマン・レネール監督はインタビューで、宮崎監督の「ルパン三世 カリオストロの城」に影響を受けていると語っていて、なるほどなーって感じですね。

さまざまなメタファーと風刺が効いた大人にも楽しめる作品

そんな絵本の世界をそのままアニメにしたような、可愛らしくてワクワクしてしまう本作ですが、ただ可愛いだけの物語ではありません。
くまとねずみに置き換えてはいるものの、本作は人間社会を寓話化した作品で、民族対立を主軸に、同調圧力や、価値観の押し付けなどの風刺が随所に組み込まれていて、それらが本作のスパイスにもなっているんですね。

セレスティーヌは絵描きに、アーネストは音楽家に憧れますが、ふたりの周囲は絵も音楽も無価値なものとして認めようとしません。
中盤、一緒に暮らすことになった二人ですが、セレスティーヌの絵を初めて認めてくれて、どんどん描かせてくれるのがアーネストなんですね。

あと、ピリリと皮肉が利いてるなーと思わず笑ってしまったのが、序盤でセレスティーヌが忍び込んだくまの家でのエピソード。
乳歯が抜けた子供に、母親が「ねずみの妖精が、歯とコインを交換してくれる」的な話をするんですが、セレスティーヌを見つけると悲鳴を上げて追い出そうとするんですよね。

そんな人間社会が抱える様々な問題を組み込みながら、本作は極めてシンプルに80分という短い時間で観せてくれるんですねー。
なので、小さな子供から大人まで楽しめると思うし、もしお子さんがいらっしゃる方は、是非是非親子で観て欲しい作品だと思いました!

興味のある方は是非!!

 

今更ながら観てみた「ボーンシリーズ/アイデンティティー・スプレマシー・アルティメイタム」(2003/2005/2007) 感想

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、マット・デイモン主演のスパイアクション映画「ボーン・アイデンティティー」「ボーン・スプレマシー」「ボーン・アルティメイタム」の、ジェイソン・ボーン三部作ですよー!

恥ずかしながら僕は「ボーンシリーズ」は今回が初見なので、今更ながらフレッシュな感想をお届けしますよー!w

 

概要

米国の小説家、ロバート・ラドラムの代表作『暗殺者シリーズ』の実写映画化。
記憶を失ったCIAエージェント、ジェイソン・ボーンと、機密保持のために彼の命を狙うCIAとの死闘を描く。

主演は演技派俳優として評価の高いマット・デイモン

 

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ボーン・アイデンティティー

あらすじ:ある嵐の夜、イタリアの漁船が洋上に漂う意識不明の若い男を発見する。
引き上げられたその男の背中には弾痕があり、皮下にはマイクロカプセルが埋め込まれ、それにはスイスの銀行の口座番号が印されていた。男はなんとか息を吹き返すが、記憶を失っており、自分の名前も分からない状態だった。
数週間後、彼は身元の唯一の手掛かりであるスイスの銀行に向かう。その貸金庫にはジェイソン・ボーン名義を含め6ヵ国のパスポートや大金、そして拳銃が入っていた。やがて暗殺者たちに狙われ始めた彼は、偶然出会ったマリーの協力を得てパリへと向かうのだったが…。(allcinema ONLINEより引用)

感想

まず最初に思ったのは、マット・デイモンが若いなーとw

そりゃあ、13年前の映画なので当たり前と言えば当たり前なんですが、彼ってなんとなくデビューの時から変わってない印象があったんですよね。
でも、こうして13年前の映像を観ると「マット・デイモンも年を取ってるんだなー」なんて感慨に浸ってしまいましたよ。

本作では、そんな若きマット・デイモン演じるジェイソン・ボーンが海で漁船に引き上げられるところから始まります。
一命を取り留めたジェイソンですが、記憶を失ってるんですね。
身元の分からない彼が唯一身につけていたのが、お尻の皮膚の下に埋め込んであったマイクロカプセルで、そこにはスイス銀行の口座番号が。
そこから、ジェイソン・ボーンの「自分探し」の旅が始まっていくという物語。

そして、彼の命を狙うヒットマンを返り討ちにしながら、偶然知り合ったマリー(フランカ・ポテンテ)の協力を得つつ、彼は自分の正体に近づいていくわけです。

マット・デイモンの主演には賛否があったようですが、僕はボーン=マット・デイモンは合ってるなーと思いましたねー。
彼の、良く言えば普通のあんちゃんぽい、悪く言えば少しぬぼーっとした感じと、いざ敵を目の前にした途端、スイッチが切り替わったみたいに「暗殺マシーン」へと変貌するギャップが、本作のジェイソン・ボーンというキャラクターにぴったりハマっていたと思いました。

また、観客がジェイソン・ボーンとほぼ一緒に、謎を解明していくストーリー展開も実に上手いなーと思いましたねー。
アクション自体も「アクションのためのアクション」ではなくて、それぞれ意味があるというか、ジェイソン・ボーンが只者ではない→凄腕のエージェントであると徐々に明かされる映像的な説明の役割も兼ねているのも個人的にはツボでした。

 

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ボーン・スプレマシー

あらすじ:ジェイソン(マット・デイモン)とマリー(フランカ・ポテンテ)は人目を避け、インドのゴアで暮らしていた。相変わらずジェイソンの記憶は戻っていなかったが、町で見かけた男(カール・アーバン)が暗殺者と気づき……。(シネマトゥディより引用)

感想

本作が公開されたのは前作『ボーン・アイデンティティー』から二年後ですが、劇中も同じ二年後の物語になっています。
前作で恋人になったボーン&マリーの二人は、インドのゴアで暮らしているんですが、ボーンは相変わらず記憶喪失のままで、過去のフラッシュバックに苦しんでいます。
そんなある日、街で見かけた男が暗殺者だと気づいたボーンは、マリーと共に街を逃げ出そうとするも、男の狙撃によってマリーが死亡。

男の正体を探り復讐するために、ボーンは再び戦いの中に身を投じる。
というストーリー。

前作と比べると、トーンの暗い作品となった本作ですが、続編として前作の物語を引き継ぎつつ、アクションや作品の規模も前作よりアップしています。
また、記憶喪失のボーンが、僅かな手がかりを辿りながら真実を究明していく謎解き要素を引き継ぎ、『過去に追われる男』という負の面を表、陰影を強調した画面も、前作よりハードボイルド感があっていい感じでしたねー!

今回メガホンを取った、ポール・グリーングラス監督はイギリス出身で、血の日曜日事件を描いた『ブラディ・サンデー』で一躍注目され、本作の監督に抜擢。
手持ちのハンディーカメラで寄って撮影することで、前作以上に迫力のあるアクションやサスペンスを演出しています。

ただ個人的には、迫力を優先して引きの画が少ないので、大掛かりで複雑なクライマックスのカーチェイスでは、何が起こっているのかが少々分かりづらかったのが残念ポイントでしたねー。

ただ、ストーリー的にも映像的にも緊迫感が増していて、『続編映画』としては申し分ない面白さだったと思いましたねー。(´∀`)

 

 

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ボーン・アルティメイタム

あらすじ:自分を暗殺者に仕立てあげたCIAの極秘プロジェクト、“トレッドストーン計画”などに関する取材を進めていた新聞記者ロス(パディ・コンシダイン)とロンドンで接触しようとしたボーン(マット・デイモン)。しかし、CIAの現地要員に監視されていたロスは、若い暗殺者(エドガー・ラミレス)に狙撃されてしまう。(シネマトゥディより引用)

感想

アイデンティティー」「スプレマシー」に続く、ジェイソンボーントリロジー(初期三部作)完結編です。
ボーン役のマット・デイモン、CIAのパメラ・ランディ役のジョアン・アレン、ニッキー・パーソンズ役のジュリア・スタイルズなど、前作から引き続きのキャストも多く、また監督も前作「スプレマシー」から引き続きポール・グリーングラスがメガホンを取りました。

本作は、前作ロシアでのシーンの続きからスタートします。
つまり「スプレマシー」と本作は、時系列が重なっている作りなんですね。
今回も各国の駅や市場など人ごみの中でのチェイスやアクションは健在。
 さらに、ボーンが新聞記者を携帯で誘導したり、モロッコでは建物の中と屋根や屋上などを使った立体的なアクションも登場、前二作より更にアクションに力を入れた印象を受けました。

個人的にはあまり好みじゃないんですが、ハンディーカメラで寄って撮影し、細かいカット割りでスピード感を増す演出も健在。
ドキュメンタリータッチの迫力あるアクションとチェイスが釣瓶打ちで、正直最後の方はお腹いっぱいになりましたよw

その分、前二作が重きを置いていたリアリティーのある描写は薄まってしまった印象もあって、グッとエンタメ方向に舵を切った感じも無きにしも非ずですが。

物語的には最終章だけあって、ついにジェイソン・ボーンの誕生秘話が明かされます。
そして、ここまで謎だった黒幕も登場、いよいよ最終決戦です。

一番印象的だったのは、「アイデンティティー」ではチョイ役だったニッキーが、「スプレマシー」、本作と、章を重ねるごとに出番が増えて重要な役になっていったことでしょうか。
本作では、ボーンの元カノだったのかもと思わせるようなやり取りをしたり、「アイデンティティー」でのマリーと対になるようなシーンもありました。
前作のラストでのパメラとボーンの会話シーンが、本作でカギとなる演出も気が利いてるなーと思ったりしましたねー。

正直、今回明かされるジェイソン・ボーンの誕生秘話は、え、そんな感じ? と肩透かし感がなくもなかったですが、その辺は、アクションやチェイスなどの観せ方とテンポのいい編集で最後まで一気に突っ走った感じですね。

アイデンティティー」のオープニングと対になる、本作のラストシーンも綺麗に締めたなーと思いましたよ。(´∀`)

 

総括

ファンの人からすればホント、「今更なに言ってんだ!」って感じでしょうが、今回初めて三本を通して観た感想としては、やっぱマット・デイモンが良かったですねー。
そして、このジェイソン・ボーントリロジーが、その後のスパイアクション映画に大きな影響を与えたのは、ダニエル・クレイグ版の007を観ても間違いないかなと。

それまでの、激しい中にもスマートで華やかさがあるアクションが当たり前だったスパイものとは逆ベクトルの、泥臭くて暗くて人間臭い主人公、ジェイソン・ボーンというキャラクターは、ある意味でそれまで停滞していたスパイ映画というジャンルを復活させる起爆剤でもあり、新たな発明と言っても過言じゃないのかもしれません。

まぁ、ジェイソン・ボーンの影響がでかすぎて、揺り返しみたいに「キングスマン」のような荒唐無稽スパイものが登場するわけですがw

ともあれ、まったく文句がないわけじゃないですが、ジェイソン・ボーントリロジー三部作、個人的にはかなり面白かったですよー!

(今更ですが)興味のある方は是非!

 

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ディズニーの名作アニメをジョン・ファブローが実写化!「ジャングル・ブック」(2016) 感想

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、昨年公開された『ジャングル・ブック』ですよー!
僕は原作も読んだことがないし、ディズニーのアニメ版も未鑑賞でして。
なので、本作が「ジャングル・ブック」初体験になりますよー!

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画像出典元URL:http://eiga.com/

あらすじと概要

ラドヤード・キプリングによる名作を実写化したアドベンチャードラマ。ジャングルで黒ヒョウとオオカミに育てられた少年が、一匹のトラとの出会いを通して壮大な冒険に身を投じる。監督は『アイアンマン』シリーズなどのジョン・ファヴロー。主演は2,000人もの候補から抜てきされた新星、ニール・セティ。ベン・キングズレービル・マーレイスカーレット・ヨハンソンなどのスターが、動物たちの声を務める。動物と自然の風景の全てを創造した最先端CGに圧倒される。

ストーリーモーグリは、生まれて間もなくジャングルに取り残されてしまう。黒ヒョウのバギーラから母オオカミのラクシャに託された彼は、愛情に包まれながら自然の厳しさと生き抜くための知恵と術を学んでいく。やがて少年となって動物たちと幸せな日々を過ごしていたモーグリ(ニール・セティ)は、人間に恨みを抱くトラのシア・カーンと出会う。シア・カーンから人間である自分の存在が、ジャングルやそこに住む動物たちの脅威になると言われ……。(シネマトゥディより引用)

 

 

感想

正直、僕がディズニー映画を観始めたのは『ピクサー』と合併したあとなので、それ以前の作品は殆ど観た事がないんですね。
なので本作も最初はまったく観る気はなかったんですが、監督があのジョン・ファブローだと知って、これは観なければ! と、早速レンタルしてきましたよー!

主人公以外全部CG!

本編でまず驚くのは、雄大なジャングルの景色や本物と見まごうばかりにリアルな動物たちじゃないでしょうか。
しかしこの映画、主人公モーグリ役のニール・セティ以外、オールCGだそうです。

その噂だけは聞いていたので、そういう目で見れば確かに「ちょっとCG感あるなー」というシーンもないではないですが、知らずに見たらどこからがCGでどこまで実写なのか境目が分からないくらいにリアルな作りでしたねー。
そしてCGによって描かれた動物たちはみんな、リアルでありながら魅力あるキャラクターとしても成り立っていて、改めてディズニーの技術力の高さを感じました!

4人の父親

本作は、クロヒョウに拾われ狼に育てられた少年モーグリが、試練を乗り越え成長し、自らの手で自分の居場所を掴むまでの冒険と成長の物語です。

そんな彼には4人? の父親(役)がいるんですね。
人間である実の父親。(回想のみ)
彼を拾いジャングルでの生き方を指南するクロヒョウのバギーラ。(ベン・キングズレー/松本幸四郎
モーグリを群れに向かい入れた狼のアキーラ。(ジャンカルロ・エスポジート/大川 透)
そして、宿敵シア・カーン(イドリス・エルバ/伊勢谷友介)から逃れる途中で出会った、お気楽な熊のバルー。(ビル・マーレイ/西田敏行

バギーラは、一見クールなようで実は過保護な教育パパという感じで、普段は掟掟と口うるさいですが、いざという時は頼りになるし、アキーラはリーダーとして群れで生きることを教える厳格なパパという感じ。
バルーは、仲間に迷惑をかけまいと群れを出たモーグリに、二人とは違う価値観を与え認めてくれる楽しいパパですね。
もちろんいざという時は超頼りになります。

そしてモーグルの母親となるのが、狼のラクシャルピタ・ニョンゴ/宮沢りえ
ほかの子供たちと分け隔てなく、モーグリを育ててくれた優しいママです。

そんな彼らに守られ、導かれながら、試練を乗り越えたモーグリは、ジャングルの中で自分の居場所を掴み取っていくという物語なんですねー。

動物たちに命を吹き込む豪華俳優陣

本作のもう一つの魅力は、CGのキャラクターに命を吹き込む豪華俳優陣です。
僕は字幕版で観たんですが、

「アイアンマン3」ではコミカルな小悪党マンダリンを演じた、ベン・キングスレー
パシフィック・リム」のスタッカーや、「ズートピア」のボゴ署長など重厚な役柄の多いイドリス・エルバ
数々の名作に出演している名優、
クリストファー・ウォーケン
ブラックウィドウ役や今年公開のハリウッド版攻殻機動隊草薙素子役、みんな大好きスカーレット・ヨハンソン
そしてご存知「ゴースト・バスターズ」のビル・マーレイなど、大スターが勢ぞろい。

スカーレット・・ヨハンソン、ビル・マーレイクリストファー・ウォーケンは、劇中、「トラスト・イン・ミー」や「君のようになりたい」「ザ・ベア・ネセシティ」といったアニメ版でも知られる名曲を歌っていますよ。

2000人の中から選ばれた天才子役ニール・セティ

そんな大スターと互角の存在感を見せたのが、2000人のオーディションから選ばれたニール・セティ。
可愛らしいだけじゃなく、身体能力も高く、表情豊かな演技も素晴らしかったです。
撮影当時は10歳だったそうですが、実に堂々とした見事な演技で抜群の存在感を示していましたよ!

アイデンティティーと自分の居場所を勝ち取る物語

人間でありながらジャングルの中で育ったモーグリは、幼少の頃からジャングルを生きる掟と、育ての親である狼の掟を教え込まれます。
それ自体は、人間である彼がジョングルに暮らす動物の中で生きていくため、彼を守る意味もあるんですね。
道具を使うのはズルで、やってはいけない事という価値観の中で育つモーグリ

しかし、そんな彼の価値観を、熊のバルーはあっさり引っくり返してしまいます。
同時にそれは、モーグリの『個性』が初めて認められた瞬間でもあるんですね。

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ジャングルにおいて忌諱されたモーグリの『個性』は、実は彼だけの武器であり、それを認められ上手く利用することで、自分の居場所を勝ち取るという普遍的な成長譚を、厳しさとユーモアと優しさを込め、大人から子供まで楽しめる見事なエンターテイメント作品に作り上げたと思いましたねー。

ジョン・ファブローらしい、希望に満ちた作品

本作の監督、ジョン・ファブローといえば『アイアンマン』や、自身が監督主演を務めた『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』などで、監督としても役者としても非凡な才能を発揮していますが、一番の魅力は、彼自身の陽性で前向きなキャラクターや思想が物語に反映されているところなんじゃないかと思います。

ブルーレイに収録されたメイキングを観ると、最初はもっとリアルよりのシリアスな作品だったらしいんですが、それをジョン・ファブローと脚本のジャスティン・マークスがアニメ版へのオマージュを捧げつつ、ディズニー映画として一から組み立て直していったんだそうですよ。

1967年版のアニメや原作が好きな人は、もしかしたら「コレジャナイ感」を感じてしまうかもしれませんが、個人的には面白かったし、さすがジョン・ファブローと納得の作品でしたよ!

興味のある方は是非!!

 

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胃がキリキリする暴力的な映画「ヒメアノ~ル」(2016) 感想

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、昨年公開されたバイオレンス映画『ヒメアノ~ル』ですよー!
噂には聞いてましたが、観ている間、胃がキリキリするような神経を逆なでされるような嫌な作品(褒め言葉)でしたよ! ((((;゚;Д;゚;))))カタカタカタカタカタカタカタ

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あらすじと概要

過激な内容で話題になった古谷実の人気コミックを、V6の森田剛を主演に迎えて実写映画化。ビル清掃会社のパートタイマーの青年と同僚が織り成す至って普通の日々と、欲望のままに殺人を重ねるサイコキラーの心の闇を描く。監督は、『さんかく』『銀の匙 Silver Spoon』などの吉田恵輔。清掃員の青年に『ポテチ』『偉大なる、しゅららぼん』などの濱田岳、森田ふんする快楽殺人犯にストーキングされるヒロインを『ガキ☆ロック』などの佐津川愛美が演じる。

ストーリー:普通の生活に焦燥感を抱くビル清掃会社のパートタイマー岡田(濱田岳)は、同僚からカフェの店員ユカ(佐津川愛美)との恋の橋渡し役を頼まれる。彼女が働くカフェへと足を運んだ岡田は、高校時代の同級生・森田(森田剛)と再会。ユカから森田につけ狙われ、ストーキングに悩まされていると相談された岡田は、森田がかつていじめられていたことを思い出し、不安になるが……。(シネマトゥディより引用)

 

 

感想

昨年はホントに邦画の当たり年と言われていて、特にバイオレンス系の『ノワール』映画は当ブログでもご紹介した、『ディストラクション・ベイビーズ』『クリーピー 偽りの隣人』を始め、決して派手な大作ではないけど神経に直接触られるような嫌な(褒め言葉)映画が沢山公開されました。

本作『ヒメアノ~ル』も、僕が読んでいる映画レビューブログでの評価も高かったのですが、中々タイミングが合わなくて、映画館で観ることが出来なかったんですよねー。(´・ω・`)
まぁ、正直本作に関しては「映画館で観なくて良かった」(大画面で見せられたら辛すぎるから)とホッとしましたけどもw
それくらい、精神的にキツイ嫌な暴力描写(褒め言葉)満載の怖い映画でしたよー!

タイトルを挟んでガラリと変わる作品のカラー

本作は、映画中盤に入るタイトルを境に前半と後半でガラリと作品のカラーが変わります。ザックリ言うと、前半は濱田岳演じる岡田のコメディー的な展開。
後半は森田剛演じる殺人鬼 森田中心のバイオレンス展開です。

清掃会社でバイトする青年 岡田は、将来の夢も希望も持てず、話をするのはキモい先輩の安藤(ムロツヨシ)くらいという生活に漠然と不安を感じています。
そんな彼が安藤に連れられて、安藤片思いの相手ユカ佐津川愛美と出会う事から物語は動き出します。
そして同時に岡田は、元学友の森田に久しぶりに再会するんですね。

森田は高校時代、同級生から酷い(という言葉では足りない)イジメを受けて人生に絶望し、ある事件をキッカケに殺人鬼(というかサイコパス)へと変貌しているのです。

前半では色々あって岡田とユカが付き合うまで、後半はそんな岡田を標的にする森田が中心の物語になっていて、前半はコメディータッチな展開ですが、後半は一気にバイオレンスな方向に加速していくんですね。

ただ個人的には、コメディー展開のハズの前半部分の方が、精神的にしんどかったです。キモい先輩に付き合わされて利用されたり、ユカの友達も含めた4人での飲み会で、初対面なのにユカの友達にムカつく事をバシバシ言われるトコとかもうね!!

ムキイイィィィィィィィィィィ!!(#`皿´) ってなって、胃が痛くなりましたよ。

むしろ後半の方が、直接的な暴力を描いている分、まだ気が楽に観れましたw
多分、僕は岡田の方にかなり感情移入して観てたんでしょうねー。

キレッキレの役者陣

そんな岡田を演じる濱田岳は、個人的に若手の中で一番好きな俳優さんです。
何ていうか、普通の人を普通の人みたいに演じられる俳優っていうんでしょうか。
とにかく、凄く自然体に見えて、気がついたら芝居に引き込まれてるんですよね。
僕が初めて彼の出演作を見たのは、多分、アニメ監督でもある原恵一監督の実写映画『はじまりのみち』だったと思うんですが、その時の彼の演技は素晴らしかったです。

そんな岡田と相対するキャラクター森田を演じる森田剛の演技も素晴らしかった。
ぱっと見ただけで分かる「バイ奴感」や「分かり合えない感」。
V6の森田剛にはあまり馴染みがないので、彼がどんな人かよく分からないんですが、劇中パチンコしてる時の佇まいとか、恐ろしい暴力を振るいながら普通のテンションで話すトコとか、言葉は通じてるのに話が通じてない感とか。

お人好しで気の弱い岡田とは1ミリも相容れない、絶対近づきたくない感じを、極自然に醸し出してるように見せる演技力は本当にスゴいなーと思いました。

あと、岡田のキモい先輩 安藤を演じたムロツヨシさんもとても良かった!
コメディーリリーフでありながら、どこか危なげで一線超えたらトコトン行っちゃいそうな緊張感もあって、映画全体を上手く締めてるなーと思いましたよ。

脇役ですが、ユカの友達とか、森田に脅されてる和草(サイタマノラッパーの駒木根雄輔)や、その彼女のキャスティングも絶妙でしたねー。

暴力表現の嫌さ(褒め言葉)

森田の回想シーンで描かれる高校時代のイジメの嫌すぎる描写や、撲殺される和草の痙攣、ユカの隣人の超嫌な弾着シーン、後半暴走する森田によるレイプシーンなどなど、本作には観ているだけで神経を逆なでされるような嫌な暴力シーンが満載です。
暴力そのものの表現っていうより、暴力に付随する被害者側のディテールが、観ている人間に痛さや生理的嫌悪を想起させて本当に嫌あぁぁぁぁぁぁな気持ちになるのです。(褒め言葉)

個人的には、北野たけし作品や韓国ノワール系の、あの肉体と精神両方を責めれてるような、嫌な暴力シーンを思い出しましたよー。((((;゚;Д;゚;))))カタカタカタカタカタカタカタ

気になった、気に入らなかったシーン

そういう意味で、ノアール作品、暴力映画としては満点に近い本作ですが、個人的にはあのラストシーンはちょっと蛇足な感じというか、「いや、そういうのいらないから」って思いましたねー。「衝撃映像100連発」のラスト30分で、いきなり感動のエピソードをぶっこまれた時に似た感じで、ちょっと冷めちゃいました。

あと、明らかに狙われてるのが分かっている岡田とユカに対して、警察が警護の一人もつけてないというのは、いくらなんでも違和感あるなーと。
まぁ、その後の展開に持っていく為には、仕方ないし、全体から見れば些細な事ですけど。他の部分があまりにも良く出来てるので、些細な違和感が逆に目立っちゃうんですよねー。

とはいえ、ここまでスゴいとは思わなかったので、ある程度事前に内容を知っていても度肝を抜かれたし、邦画でもここまで嫌な映画(褒め言葉)が作れるんだなーって、ある意味感動しました。

とは言え、グロやバイオレンス表現が多い作品なので、正直あまり積極的にオススメは出来ませんが、日本ノワール映画の中でも、傑作と言える一本なんじゃないでしょうか。

興味のある方は是非!

 

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