今日観た映画の感想

映画館やDVDで観た映画の感想をお届け

映画に対して誠実である「激怒」(2022)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、アートディレクターで映画ライター・デザイナーとして知られる高橋ヨシキ長編デビュー作『激怒』ですよ。

絶対ないと思っていた地元でのまさかの公開にテンション上がりまくって、初日に観に行ってきました!

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概要

アートディレクター、映画ライター、デザイナーとして活動する高橋ヨシキが監督を務めたバイオレンス。激怒すると暴力を振るってしまう刑事が、冷酷な手段で町を支配する自警団に立ち向かう。『天然☆生活』などの川瀬陽太、『横須賀綺譚』などの小林竜樹、『あざみさんのこと 誰でもない恋人たちの風景vol.2』などの奥野瑛太のほか、彩木あや、森羅万象らが出演する。(シネマトゥデイより引用)

感想

まぁ、大抵どこも同じとは思いますが、地方のシネコンでは基本、洋画にしろ邦画にしろビックバジェットの大作しか公開されず、いわゆる“映画好き”の間で話題になるような中小規模の良作や、強い社会メッセージを含んだような単館係作品は、賞を取るかよほど話題にならない限り上映される事って殆どないんですよね。

なので、本作も僕の地元では公開されないだろうと諦め、配信を待つしかないと思っていたんですが、高橋ヨシキさんの出ているネット番組を見ていたら、なんと、僕の地元で上映されるっていうじゃないですか!(嬉)

というわけで、早速初日の劇場に足を運んできました。

高橋ヨシキとは

そんな本作の監督・高橋ヨシキさんは、東京都出身のアート・ディレクター、映画ライター、デザイナーであり、また悪魔主義者(Church of Satan)として映画ファンの間ではよく知られている人す。

CMプランナー、広告会社勤務を経て1995年にフリーランスのライター/デザイナーとして活動。

映画秘宝を通して彼を知った人も多いだろうし、NHKラジオ第1放送の番組「すっぴん!」の【高橋ヨシキのシネマストリップ】や、TBSラジオ「ウィークエンドシャッフル」「アフター6ジャンクション」などのゲスト出演を通して、もしくはテレビ番組「バラいろダンディ」、今はYouTubeで知った人も多いのかな。

僕も、ラジオを通して高橋ヨシキさんを知った一人で、今は主にYouTube番組での彼のトークを楽しみにするファンです。

本作「激怒」はそんな高橋ヨシキ長編映画監督デビュー作。

近年の日本映画で最も多数の映画に出演していると言われる名バイプレイヤー・川瀬陽太を主役にしたバイオレンス映画で、2017年5月、ヨシキさんが川瀬さんに映画を作りたいと相談。「刑事ものとかどう?」という川瀬さんの一言から本作はスタートします。

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その後、脚本執筆や準備期間を経て2020年2月に撮影を開始、約2週間でメインの撮影を終えたところにコロナパンデミックが。
なので、NYの風景などはNY在住のカメラマンで本作の撮影監督でもある高岡ヒロオ氏が撮影を行ったそうです。

その後、猛威を振るうコロナパンデミックの影響で上映が延期されたものの、2022年8月26日から順次全国公開される運びになったんですね。

ざっくりあらすじ紹介

そんな本作のあらすじをざっくりご紹介すると、

自身の怒りを制御出来ず暴力を振るってしまう悪癖を持つ刑事・深間川瀬陽太)は、度重なる不祥事を起こし、アメリカの医療機関で怒りを抑える治療受ける。

3年後、治療半ばで呼び戻された富士見町は、彼の知る町ではなく、安心安全を旗頭に、自警団が我が物顔で支配するデストピアに変わり果ててしまっていた――。

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というストーリー。
怒りと暴力を制御出来ない刑事・深間が病院で治療を受けさせられ――というストーリーの骨格は「時計仕掛けのオレンジ」を連想したりしましたねー。

他にもラストシーンはアレはアレかな?とか、きっと色んな映画のオマージュが入ってるんでしょうけど、それはいわゆる”イースターエッグ”をこれ見よがしに入れ込んでいるのではなく、シネフィル高橋ヨシキの血肉となっている映画の断片が、物語の中に滲み出てしまっているという感じなので、元ネタをしらないから楽しめないとかは一切ないです。

戯画化されたデストピア世界とリアリティー

本作はいわゆるデストピアものなんですが、敵となるのは政治家でも嫌なIT社長でもなく、舞台となる富士見町の町内会長の桃山(森羅 万象)というオッサンなんですよね。
映画序盤ではただのレイシストでクレイマーだったこの男が、深間がアメリカに行っている3年間の間に一介の刑事から署長に出世した吉原(小林 竜樹)と組んで、これまた序盤に登場した自警団を率い「安心安全富士見町」をスローガンに町を支配している。という、こうして文章で読むとそんなアホなという設定。

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ただ、本作にとっては、この町内会っていう規模の小ささが絶妙で、決して潤沢とはいえない予算のなか、描く対象を地方都市の町内会に絞りながら、その向こうに見える社会全体の様子を観客に想像させているわけです。

で、この町内会長の桃山や吉原のキャラクターや、後半の酒席シーンのセットなどは表現的にもかなり戯画化されているわけですが、序盤で彼らがそうなる片鱗をしっかり描くことで、このデフォルメされた描写もさほど気にならないよう工夫されているんですよね。

他にも、例えば、たかが地方公務員がわざわざアメリカに送られて治療を受けるのは非現実的と思われるかもですが、アメリカで深間が飲む薬には確か「SAMPLE」って書かれていて、(多分)深間が臨床実験?を受けることと引き換えに実刑を免れたのではないかと、想像できたりするんですよね。

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他にも、セリフに頼らずちょっとした映像で、状況やキャラクターの心情を分からせるシーンが多くて、その辺は非常に映画的だと思うし、細かく練り込まれた脚本も素晴らしいと思いました。

そして何よりアートディレクターでデザイナーでもあり、長編はこれが初めてとはいえ学生時代から何本も短編映画を作っているヨシキさんの画作りのセンスと腕は確かで、戯画化された突飛な世界観の中にも、ちゃんとリアリティーを感じる作りになっているのです。

また、普段映画評などで自身が話していることと本作の間にブレがなく、そういう意味で本作はまさに高橋ヨシキ映画だし、彼が映画に対して非常に誠実である事が伝わってくるんですよね。

社会への普遍的な怒り

とはいえ、全部が完璧というわけではなく、確かに脚本にも多少舌っ足らずなところや、映像も低予算ゆえのショボさが見え隠れはします。

しかし本作主人公・深間の「怒り」は、まさに高橋ヨシキ監督本人が感じている怒りであり、体制の威を借り、正義面で自分の気に入らない物や人を安全圏から叩く事を娯楽にする、そんな今の社会に違和感を感じる人々誰もが共感する、普遍的な怒りでもあるんですよね。

それをヨシキさんは、ジャンル映画の中で描いているのです。

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そんな「今」が描けているだけでも本作は映画として成功していると思うしポスターのコピーにもなっている、クライマックスで深間が言う「俺は、お前たちを、殺す!」というセリフは最高に上がる、今、口に出してマネしたい日本語No1ですよ!

興味のある方は是非!!

 

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チープさを楽しめる人向き「KKKをぶっ飛ばせ!」(2022)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、人食いKKKvs黒人姉弟のリベンジホラー『KKKをぶっ飛ばせ!』ですよ。

イギリスの制作会社が制作した低予算B級映画です。

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概要

カニバル・レザーフェイス』などのチャーリー・スティーズがメガホンを取ったバイオレンスホラー。白人至上主義秘密結社KKKに兄を食べられた姉弟が、彼らにリベンジしようと立ち上がる。『ハングリー/湖畔の謝肉祭』などに携わってきたチャーリー・マクドゥーガル、ジェイミー・マクロード・ロスが製作を担当。ディオンドル・ティーグル、フェイス・モニーク、トラヴィス・カットナー、スコット・スカーロックらが出演する。(シネマトゥディより引用)

感想

監督の自己資金で制作された超過激?な映画

本作の監督チャーリー・スティーズはまだ29歳ながら、自身の製作会社ダーク・テンプル・モーション・ピクチャーズで「ブラッドムーン」「カニバル・レザーフェイス」など6作品を手掛けた、イギリスインディペンデント界の新鋭です。

以前から70年代のグラインドハウスエクスプロイテーションスタイルの映画を撮ってみたいと思っていたところ、ベトナム帰りの黒人とKKKの戦いを描いた『Brotherhood of Death』という映画に出会い本作の発想を得たとのこと。

しかし、あまりに過激な内容に出資者が集まらず、監督が自己資金で制作。
撮影は危険を顧みず全編KKK発祥の地、アメリカのテネシー州で行われたそうですよ。

ざっくりあらすじ紹介

そんな本作がどんな内容かざっくりご紹介すると、

無実の罪で投獄されていたブランドンは刑務所を脱獄。
姉のアンジェラ、兄のクラレンスの協力を得て郊外の廃牧場に潜伏します。

ところが、この牧場一帯は白人至上主義団体KKKクー・クラックス・クラン)の中でも、黒人を捕まえて食べるのが趣味という異常な一派の拠点だったからさぁ大変。

兄のクラレンスを殺されながらも、暴行されていたアンジェラを何とか助けだしたブランドは姉弟で反撃に転じる――という物語。

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映画のルックは一応、1970年代のブラックスプロイテーション映画を意識した作りになってるんですが、とはいえかなりの低予算映画なのでグロ描写などはかなりチープだし、登場人物も少なくかなりお安い作り。
まぁ、そもそもKKKが黒人を食べるっていう設定からして突飛だし、その手のB級バカ映画を「そういうもの」と分かって楽しめる好き者の映画ファン以外は、結構観るのは辛いかもしれません。

確信犯

さらに脚本や演出もユルユルで、例えば冒頭3人はそれぞれ牧場に隠しておいた銃を持っていたのに、KKKに襲われたときは何故かドラム缶に隠しちゃってたから抵抗出来なかったとか、KKKの偵察隊らしき奴らが、ブランドたちに仲間が殺されている様子を双眼鏡で見てリーダーに報告。ブランドンたちが銃を持っているのを知ってるハズなのに、正面から普通に乗り込んできて案の定撃たれて死んじゃうとか。

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あと、ブランドンが捕まえた男の傷口に指を突っ込んで腸を引きずり出して食わせるという描写や、アンジェラが自分をレイプした男の股間から玉を引きずり出すなど、グロ描写は多いけど、役者のリアクションがですね。ぎゃーと悲鳴は上げるけど痛がり方に全然説得力がない。腸やら玉やら引きずり出されてるのに普通にペラペラ喋りますしね。

そういう演出や構成、脚本などがいちいちマンガっぽいというか予定調和というか。

リアリティーがなくてユルユルなシーンの連続で、すっかり映画が弛緩してるので、観ていて別に怖くもないし、特殊効果も如何にも作り物然としてて全然グロく見えない。

ただ、これは多分狙ってわざとやってると思うんですよ。確信犯的というか。

つまり真剣にリベンジホラーを作ろうとしたけど、予算や才能が足りなかったからB級バカ映画になっちゃったのではなく、最初からふざけたB級バカ映画を目指して作ってるんじゃないかと。「ほらほら、みんな大好きなB級バカ映画ですよ。面白いでしょ?」みたいな。

割と序盤で、捕まったブランドンの玉をライターで炙るという拷問をしながら、KKKのジジイが「元々黒人はワシら白人の食料じゃった。ワシらは世界を元の形に戻そうとしているのじゃ」みたいなことを言ってて、まぁこのセリフなんかは、黒人(マイノリティー)が白人(マジョリティー)に搾取される世界の構造をメタ的にセリフに込めていると見えなくもないんですけど、それも「人食いKKKを黒人姉弟がぶっ殺す」というバカみたいなアイデアを正当化するためのお題目っぽいんですよねー。

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もちろん、資金調達を出来ずに自己資金で作った超低予算映画を、商業映画として成立させるため、あえてチープな方向に振り切ったのかもだし、もしかしたらこの監督が、元々こういう自主制作ギリギリのチープな低予算映画ばかり作ってるファンダム上がりの監督という可能性も。

何にせよ一般の人におススメ出来できる映画ではないですけどねw

例えば友達の集まりなんかで、みんなでツッコミ入れながら観るには丁度いいと思うし、74分と時間も短いので気軽に観られるんじゃないかとは思います。

ただ、見放題で見る分にはいいけど、わざわざレンタルでお金を払って観るほどは面白くないんじゃないかなと、個人的には思いましたねー。

興味のある方は是非!

 

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オッサン版アナ雪「Mr.ノーバディ」(2021)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、昨年公開され話題になった『Mr.ノーバディ』ですよ!

公開時タイミングが合わなくて劇場には行きそびれたんですが、Amazonprimeで配信されていたので早速観てみました!

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概要

家庭にも職場にも居場所のない平凡な中年男の覚醒を描いたアクション。ある出来事をきっかけにロシアンマフィアとの激闘に巻き込まれていく主人公を、ドラマシリーズ「ベター・コール・ソウル」などのボブ・オデンカークが演じる。共演には『ある愛の風景』などのコニー・ニールセン、『アイアン・フィスト』シリーズなどのRZAのほか、マイケル・アイアンサイドクリストファー・ロイドらが集結。『ハードコア』などのイリヤ・ナイシュラーが監督、『ジョン・ウィック』シリーズなどのデレク・コルスタッドが脚本を務めた。(シネマトゥディより引用)

感想

オッサンだってレリゴーしたい!

本作は、いわゆる「ナメてた相手が殺人マシーンだった」系譜のアクション映画です。

主人公のハッチ・マンセルボブ・オデンカーク)は、義父(妻の父)の会社で会計士として働くうだつの上がらない平凡な男。

ある夜、家に男女の強盗が押し入った際に抵抗せずに大人しく金と時計を渡したことで、通報で駆けつけた警察官、隣家の住人、義弟、そして息子のブレイク( ゲージ・マンロー)にも見下げられ、妻のベッカコニー・ニールセン)にも呆れられてしまうんですね。

で、強盗のあった翌日、唯一彼に懐いていた娘のサミー(ペイズリー・カドラス)が「猫ちゃんのブレスレットがない」と言い、強盗が奪っていったと思い込んだハッチはついに――というストーリー。

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で、ここからネタバレするので注意してほしいんですが、

実はこのハッチ、元政府直属(多分FBI)の「会計士」(英語版では監査役)であり、これは隠語で法律で裁くことのできない悪を始末する政府公認の殺し屋であることが映画中盤で分かるのです。

可愛い娘の猫ちゃんブレスレットを奪われたハッチは大激怒。

女強盗の手首に掘られたタトゥーを掘った入れ墨師経由で強盗の住所を特定。
家に乗り込み「猫ちゃんのブレスレットを返せ!!」と男をボコボコにし家探しを始めたものの、2人が夫婦で病気の赤ん坊がいる事を知り、2人を見逃しバスで家路につきます。

ところが運悪く、ならず者がバスに乗り込み、乗客に嫌がらせを始めるんですね。
最初はスルーしようとバスを降りかけたハッチでしたが、ただでさえ腹の虫が収まっていないところにならず者。しかも女性客をレイプしようとしている。

ここでハッチの我慢は限界を超え、良き夫、良き父親、ごく普通の良きサラリーマンの仮面を脱いでありのままの自分を解放。ついにレリゴーしちゃうわけです。

そういう意味でこの映画は、オッサン版「アナ雪」と言っても過言ではないのです。

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不完全なファイトシーンにハラハラする

「ナメてた相手が殺人マシーン」系譜の映画といえば、近年ではデンゼル・ワシントン主演の「イコライザー」やキアヌ・リーブス主演の「ジョン・ウィック」、リーアム・ニーソン主演の「96時間」などが有名ですが、これらの作品に共通するのは主人公が超強い。というか現実離れした強さでほぼ無敵状態ということ。

例えば「イコライザー」の主人公マッコールは、一瞬で状況を把握し、その場の敵を1分数十秒で倒してしまうし、ジョン・ウィックは殺し屋界のナンバーワンだった男で、そのアクションシーンはあまりに凄すぎてもはやマンガですよね。

ところが本作の主人公ハッチのファイトスタイルは、マッコールやジョン・ウィックの洗練されたファイトに比べるとバタバタしてるし泥臭く、(もちろん強いんだけど)しっかり敵に反撃されて傷を負うし、うっかりスタンガンで気絶させられたりもする。

なので、アクションシーンで安心できないというか、(もちろんそんな事はないけど)ちょっと目を離した隙にうっかり殺されちゃうんじゃないかとハラハラするのです。

この感じ、何かで味わったんだよなーと記憶を辿ったところ、ブルース・ウィリス主演の「ダイハード」を始めて見た時と同じだったんですよね。

スタローンやシュワちゃんなど、ゴリゴリマッチョ系のアクションスター全盛期だった1989年、突如現れたマッチョでもなくぶっちゃけ強そうにも見えないブルース・ウィリス演じるマクレーン刑事が、ぶつぶつボヤキながらギリギリで敵をやっつけていくあの感じを思い出しました。

そういえば、本作ではハッチの父親役でクリストファー・ロイドも出演していて、見た目はすっかりお爺ちゃんになってたけど、クライマックスでは「BTTF」でのドク役を思わせる演技を見せてくれましたねー。

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ストレスフリー

そんな本作の特徴は、とにかくストレスがないということ。

例えば序盤の、ハッチが退屈で普通な男として同じ日常をおくるシーンなどは、ジャンプカットを多用してサクサク見せてくれるし、強盗に入られるシーンでは随所でハッチがただ者ではない事を匂わせるショットが入るので、観ている観客はストレスを感じる事なく本作を観られるんですよね。

そして、そんな序盤のシーンがフリになっていて、ハッチがレリゴーする中盤以降で回収されていく展開も楽しいし、中盤からクライマックスに向けて、どんどん物語にドライブがかかっていくんですよね。

まぁ、このジャンルの映画として何か特に新しい事をしているわけではないんですが、その分、よくある物語、よくある展開を観客に飽きさせないよう、製作者が映画的快楽を最優先に丁寧に作っているのがよく分かるし、近年には珍しく、非常にスカッと楽しい作品でしたよ!

興味のある方は是非!!

 

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シリーズ最多?景気よく人が死んでいくシリーズ最新作「ハロウィン KILLS」(2021)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、みんな大好きな“あの”スラッシャーホラーシリーズ最新作『ハロウィン KILLS』ですよー!

今回は、もしかしてシリーズ最多じゃないか?ってくらい景気よく人が死にまくってましたねー。

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概要

ジョン・カーペンター監督作『ハロウィン』の続編として2018年に公開された『ハロウィン』の続編。前作で炎に包まれたマイケルが生還し、自身の過去が深く関わる街を恐怖に陥れる。監督に『ボストン ストロング ~ダメな僕だから英雄になれた~』などのデヴィッド・ゴードン・グリーン、キャストには『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』などのジェイミー・リー・カーティス、『フランクおじさん』などのジュディ・グリアら、前作のメンバーが結集している。(シネマトゥディより引用)

感想

映画「ハロウィン」とは

まず、この「ハロウィン」シリーズをご存じない方のためにざっくり説明すると、1978年公開ジョン・カーペンター監督の「ハロウィン」からこのシリーズは始まり、番外編やリブート版も含め全12作に及ぶフランチャイズシリーズになっています。

カーペンター版の第1作は、1963年ハロウィンの夜、イリノイ州の架空の町ハドンフィールドで6歳のマイケル・マイヤーズが10代の姉を包丁で刺し殺すというショッキングなシーンからスタート。

それから15年後、収容されていた精神病院から脱走したマイケルは、ハドンフィールドへ戻る途中にツナギとトレードマークのマスク、肉切り包丁を手に入れ、折しもハロウィンの夜に13人もの人々を殺していくという物語。

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この第1作は「悪魔のいけにえ」と並び、「13日の金曜日」や「エルム街の悪夢」など、後に一大ブームとなるスラッシャーホラー映画の元祖と言われています。

また、本シリーズの殺人鬼マイケル・マイヤーズはマスクを被った大柄な殺人鬼というビジュアルから、「悪魔のいけにえ」のレザーフェイス、「13日の金曜日」のジェイソンと混同されがちだったりもするんですよね。

しかし、本シリーズが他のスラッシャーホラーと一線を画すのがヒロイン、ローリー・ストロードの存在で、マイケルは何故か彼女に執着するんですね。

結果彼女は、「ハロウィン」(1978)「ハロウィンⅡ」(1981)「ハロウィンH20」(1998)「ハロウィン レザレクション」(2002)「ハロウィン」(2018)そして本作と、12作品中6作にマイケル・マイヤーズの宿敵として登場、「ハロウィンⅡ」で実はマイケルの妹だったという設定になりますが、2018年にリブートされた前作では、この妹設定はなかった事になっています。

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前作からのざっくりあらすじ紹介

高校生の時マイケルに襲われた事がトラウマになったローリーは、マイケルが再び自分を殺しに現れると確信。40年もの間、家を要塞化し、対マイケルのトレーニングを続ける。娘のカレンにもトレーニングを強要したせいで親子中は疎遠になっていたものの、ローリーの懸念通りマイケルがついに復活、孫のアリソンも加え母子3代で襲い掛かるマイケルを地下室に閉じ込め火を放ち、ついに返り討ちにしたかと思われたが――。

というのが前作の流れで、最後、燃え盛る家の中でマイケルの呼吸音が聞こえ、彼が生きている事が暗示されていたんですが、本作はまさに、その直後からスタートするんですね。

燃え盛るローリーの家に到着した消防隊が消火活動を開始。

しかし、1階床板の崩落で地下室に閉じ込められていたマイケルが脱出。

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消防隊11人を皆殺しにし、さらに近隣住人や通行人、子供などを次々に殺害。
事態に気づいた町の住民たちはパニック状態になり、40年前にマイケルに襲われながらも生き延びた人々を中心に自警団を結成します。

しかし、恐怖と狂気の伝播によって彼らはやがて暴徒化し――。

という物語。

こう書くと、78年の第1作や前作を観ていないと内容が分からないと思われるかもですが、過去作の流れやマイケル・マイヤーズというキャラクターについては冒頭部分でしっかり丁寧に説明されるので、本作だけ観ても十分楽しめるようになっていますよ。

過去と現在を行き来しつつ

そんな映画序盤は、40年前と現在のエピソードを行き来しつつ、マイケル・マイヤーズと彼に関わったハドンフィールドの人々を掘り下げていきます。

この序盤の時系列が入り組んだ構成は、観ていて若干混乱するものの、その後の展開に回収されていくのでストーリーが分からないというストレスはありませんでした。

前述したように前作で家ごと燃やされたマイケルは駆けつけた消防隊員11人をサクッと皆殺しに、さらにお隣に住む老夫婦やハロウィンでイタズラをしかける悪ガキ、自分の生家に住んでいたゲイカップル、マイケル退治に駆けつけた自警団の人々などを次々に殺害。

僕はこのシリーズを全作観たわけではないので断言は出来ませんが、もしかしたら本作の被害者はシリーズ最多かもしれません。実に景気よく人が死んでいくんですよねw

その一方で殺し方は割と雑というか、サクサクと殺している印象で、「あれ?『ハロウィン』ってこんな感じだっけ?」なんて思ったり。

現代的なテーマ

そんな、徐々に侵食してくるマイケルの恐怖と狂気に取りつかれた町の人々は徐々に暴徒化。無実のおじさんをマイケルだと思い込み、警察の制止も聞かずに追い詰め、最終的に死に追いやってしまうんですね。

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この、恐怖とフェイクニュースによって人々は冷静な判断を失い、分断と暴徒化が起こるという展開は実に現代的というか、今、日本を含む世界各国で起こっている問題を物語の中にメタ的に織り込んでいるんですよね。

そしてその中心にいる「マイケル・マイヤーズとは一体何なのか」へと、物語は集約されていくわけです。

次回作が楽しみ

2018年からのリブート版「ハロウィン」は3部作構想になっていて、本作はその第2弾です。

前作に比べ本作は物語的カタルシスは少なく、割と救いのないストーリーになってたりするんですが、次回の最終作で一体どういうオチになるのか、ローリーとマイケルの40数年に及ぶ闘いに決着はつくのか、次回作がとても楽しみです。

興味のある方は是非!!

 

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好き嫌いは分かれそうだが「プレデター/ザ・プレイ」(2022/Disney+)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、宇宙最強の狩猟民族vs人間の闘いを描いた「プレデター」シリーズ第5弾『プレデター/ザ・プレイ』ですよー!

ディズニープラスで独占配信してたので、早速観てみました。

で、まだ配信が始まって間がない作品なので、一応ネタバレはしないように気をつけますが、ネタバレは嫌という人はご注意を。

でもまぁ、ぶっちゃけネタバレがどうこう言うタイプの作品でもないんですけどね。

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概要

高度な科学技術を駆使した武器で人間を狩る地球外生命体「プレデター」と人間との初遭遇を描いたホラー。300年前のアメリカを舞台に、ネイティブアメリカンの中で最強とされる部族の女戦士らが、プレデターとの戦いを繰り広げる。主演はドラマシリーズ「レギオン」などに出演し、主人公のように自らもネイティブアメリカンの血を引くアンバー・ミッドサンダー。監督は『10 クローバーフィールド・レーン』などのダン・トラクテンバーグが務める。(シネマトゥディより引用)

感想

評価は分かれる?

まず、感想を書く前に僕の「プレデター」との付き合いをお話しすると、シュワちゃんプレデターが戦う1作目から続く3作は観てなくて、2018年公開の前作「ザ・プレデター」だけ観ているんですね。

もちろんど真ん中世代ではあるので、プレデターがどんなモンスターでどんな能力があって何が目的なのかは大体知ってはいるんですが、ぶっちゃけこのシリーズに対して一切思い入れはないわけです。

ただまぁ、今回プレデターと闘う主人公が300年前のネイティブアメリカンコマンチ族のナル(アンバー・ミッドサンダー)という女性であり、彼女は狩りを行う戦士になりたいが、一族の人々には変わり者扱いされている。という設定に、「またポリコレかよ!」とうんざりする人もいるだろうなとは推測できるので、そこんとこで好き嫌いが分かれるかもとは思いましたねー。

一方で、力では劣る地球人が、最強生物のプレデターに対し頭脳とアイデアを駆使して戦うという本シリーズのコンセプトを考えれば、プレデターに対し力と武器で立ち向かう男たちが敗れる中、何度も殺されそうになりながらも、その都度プレデターの戦闘力や特徴を観察し、作戦を立てて(罠を仕掛けて)立ち向かうナルの姿は、ちゃんと「プレデター」してるじゃんって思ったし、その観察能力は、他の男戦士たちに力で劣る彼女が、一族に自分を戦士として認めさせるため自然に身につけた武器である。という設定は、主人公が女性である事にちゃんと理由と説得力を持たせていると思いましたよ。

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あと、族長のナルの兄タアベ(ダコタ・ビーバース)だけは彼女を認めていて、逆に女だからとナルをバカにする仲間の一人は、実はタアベへの嫉妬をナルにぶつけている。みたいな関係性や感情が分かる描写をサラリと入れているのは良かったし、劇中前半で登場する小道具がちゃんと後半の決戦に活きてくるのも良かったですねー。

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イッヌ映画

また本作にはサリィというナルの飼い犬(猟犬)が登場するんですが、コイツがメッチャ可愛いんですよ。

ナルがプレデター捜索中に底なし沼にハマって助けが欲しい時は近くにおらず、彼女が何とか沼から抜け出して川で体や装備を洗っているところに、ネズミを加えてご機嫌で戻ってきてナルに嫌味を言われたり、そうかと思うとナルがクマに襲われ危機一髪の時には、体を張ってナルを助けたり。

監督によればこのワンコ、最初はちょい役程度だったらしいけど、撮影中に出番が増えていったらしいです。さもありなん。

プレデターのデザイン

300年前のアメリカが舞台ということで、本作ではプレデターのデザインや装備も変わっています。

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普段プレデターがつけている金属製の仮面は、何かの動物の骨みたいな感じになっていて、身につけている鎧も今回は最小限。(恐らくは)ネイティブアメリカンに寄せたデザインになっているんですね。

プラズマ砲は金属製の弓矢になっていて、お面のレーザー照準が当たっている場所に3本の矢が命中するシステム。盾は手首についていて開閉する扇式の物でした。

あと、透明になったり出来る基本能力はこれまで通りですが、個人的には今回のプレデターが一番カッコいいって思いましたねー。

良いところも悪いところも

まぁ、そんな感じで僕は楽しめたんですが、だからと言って全部が良かったってわけではなく、例えば、上記のナルの立ち位置と一族との関係性などは、300年前のネイティブアメリカンとは思えないくらい現代的というか、当時の感覚で言えば女だてらに戦士を目指す彼女はもっと異端視されると思うし、なんなら一族から追い出されたって不思議じゃないのでは?と思ったり。

そうでなくても、彼女の勝手な行動が原因で、探しに来た仲間の戦士たちがプレデターに狩られたり、白人に捕まったりもしてますしね。

まぁその他にも、所々「おや?」っと思うところはありますが、まぁでも、前述したように「プレデター」に思い入れがない僕的には、本作は”そういうもの“として楽しめたし、1時間40分とサクッと気楽に観られる長さにまとめられてるのも良かったです。

興味のある方は是非!!

 

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予想の斜め上をいくエメリッヒ最新作「ムーンフォール」(2022/Amazonprime)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、これまで数々のディザスター作品で何度も人類を滅亡の淵に追い込んできたハリウッドの破壊王こと、ローランド・エメリッヒ監督最新作『ムーンフォール』ですよー!

7月29日よりAmazonプライムで独占配信されていたので、さっそく観てみました!

今回はまだ配信が始まったばかりの作品なので、あまり直接的なネタバレはしないように気をつけて感想を書きますが、そもそもネタバレでつまらなくなるタイプの作品でもないので、ほんのりネタバレに触れてしまうかも。ネタバレは嫌という人はご注意ください。

いいですね?注意しましたよ?

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概要

インデペンデンス・デイ」シリーズや『2012』(12)、『ホワイトハウス・ダウン』(13)などで知られるハリウッド屈指のヒットメイカー、ローランド・エメリッヒ監督の最新作。
月が地球に衝突するという現実にも起こりうる危機と、国家機密や歴史に隠された秘密、家族への愛や仲間との絆を描く。
7月29日(金)よりAmazon Prime Videoにて独占配信された。

感想

今度は月!予想の斜め上をゆくエメリッヒ節に拍手

ローランド・エメリッヒ監督と言えばこれまで、超デカいUFOに乗った宇宙人が地球に攻めてくる「インデペンデンス・デイ 」や、地球に氷河期が到来する「デイ・アフター・トゥモロー」マヤの文明の予言を基に地球に起こる地殻変動を描いた「2012」など、数々の作品で何度も人類を滅亡の淵に追い込んだディザスタームービーの第一人者として知られています。

前作「インデペンデンス・デイ」の20年後を描いた2016年公開の続編「インデペンデンス・デイ/リサージェンス」では、今度は宇宙人がどんなヤバい武器で攻めてくるのかと思ったら、“前作よりもっとデカいUFO“に乗って宇宙人襲来という、誰もが思いつきそうで誰も思いつかない…っていうか思いついてもやらないだろう作品で、僕らボンクラ映画ファンの度肝を抜いてみせたんですよね。

とはいえ、これだけやれば流石にもう、人類を絶滅させる手段も尽きただろうと思っていたら、そこはエメさん。
ふふふ、今度は地球に月をぶつけちゃうんだぜ~?」っていう、シンプルかつ斜め上の発想で我々ファンを驚愕させてくれたんですね。

ボンクラ要素全部盛り!

そんな本作のストーリーをざっくり紹介すると、2011年、ジョー・ファウラーハル・ベリー)、ブライアン・ハーパーパトリック・ウィルソン)、マーカスの3人の宇宙飛行士はスペースシャトルで衛星の修理中の”事故“によってマーカスが死亡。
船長だったハーパーは責任を問われNASAを追われる羽目に。

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2021年、「月が巨大な建造物だ」と信じるボンクラ陰謀論者のハウスマン(ジョン・ブラッドリー)は、ある日月の軌道が変わっている事を発見。NASAに連絡するも無視されたハウスマンは離婚し困窮するハーパーに連絡します。

最初は相手にしなかったハーパーですが、現実に月の軌道が変わっていた事をニュースで知った彼はハウスマンを訪ねます。

一方、NASAの偉い人になっていたファウラーは、事態を解決するためハーパーをNASAに呼び寄せるのだが――という内容。

まぁ、物語の全てがどこかで見た要素の盛り合わせで、本作ならではの目新しさみたいなものは一切ないんですが、月の軌道が変わり、楕円形を描いて地球に最接近した時に起こる津波や、引力が変わって車や建物が空に舞い上がり、酸素がなくなり、隕石が降り注ぐといったディザスター描写が景気よく描かれ、さらには陰謀論や都市伝説、人類起源説などなど、僕らボンクラ映画ファンの大好きな要素がてんこ盛り。

また、人類の大半が死滅しているだろうと思われるこの大災害の中でも、主人公回りのキャラクターだけはなんやかんや無事というエメさん節は本作でも健在なので、嫌な気持ち、悲しい気持ちになる心配はなく、安心して観ていられるのもファン的には嬉しいところですね。

他にも、例えば冒頭の『事故』で謎の黒い群れに襲われたと主張すしてNASAを追われたハーパーと、「私は気絶していたので」とある意味ハーパーを裏切る形で出世したファウラー。

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ピンチに陥りファウラーがハーパーを呼び寄せる際、過去のアレコレを悔いて逡巡するとか、逆にハーパーがNASAへの遺恨から行き渋るという事もなく、月を止めるためのロケットがない→博物館のスペースシャトルで行けばよくね?とか、ハーパーと息子のドラマとか、ハーパーと元嫁のドラマとか、そういう映画の流れを停滞させそうな要素は全部サクッと終わらせるので話が早いし、世間的に見れば役立たずで、冒頭誰にも相手にされなかった陰謀論者のハウスマンが、実は超デキるヤツだったっていう「ナメてたオタクがメッチャ凄かった」的展開も、僕らボンクラ映画ファン的にはスカッとするし、感情移入もしやすいんですよね。

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まぁ、その辺エメさんがどこまで計算ずくなのかは分かりませんけどもw

興味のある方は是非!!

 

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我らがニコケイvs殺人ロボットの死闘「ウイリーズ・ワンダーランド」(米2021年/日2020配信)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、我らがニコケイことニコラス・ケイジ主演のアクション・コメディ・ホラー『ウイリーズ・ワンダーランド』ですよー!

ニコラス・ケイジが襲い掛かる殺人ロボットを返り討ちにしながら、一晩、閉鎖した遊園地掃除のバイトをするという謎だらけの映画です。

で、この映画、ネタバレしても面白さは一切目減りしない……というか、むしろ内容が分かった方が楽しく観られるタイプの作品だと思うので、今回はネタバレ全開でお届けしていきます!なので、ネタバレ嫌という人はご注意ください。

いいですね? 注意しましたよ?

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概要

さびれた遊園地を舞台に、主人公と邪悪なアニマルロボットたちの戦いを描くアクションホラー。ある遊園地で一晩過ごすことになった男と、悪魔の化身となったアニマルロボットたちが激しいバトルを繰り広げる。メガホンを取るのは『ASHRA アシュラ』などのケヴィン・ルイス。『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』などのニコラス・ケイジ、ドラマ「レジデント 型破りな天才研修医」などのエミリー・トスタ、『僕と頭の中の落書きたち』などのベス・グラントらが共演する。(シネマトゥディより引用)

感想

適度に休憩を挟みつつ、閉鎖された遊園地を掃除する!

本作は、ニコラス・ケイジが自ら製作・主演を務めたアクション・コメディ・ホラーです。

ニコラスケイジと言えば、我らボンクラオタクの王と呼んでも過言ではなく、スーパーカー、アメコミ、漫画、フィギュアなどの買い過ぎで破産寸前に追い込まれ、アカデミー俳優なのに(日本では)ビデオスルーオンリーのB級・C級~Z級映画に出まくって借金を返済。

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また、フランシス・フォード・コッポラの甥っ子と言われるのが嫌で、大好きなアメコミヒーロー、ルーク・ケイジから名前を拝借、ニコラス・ケイジと名乗るだけでは飽き足らず、自分の息子にもスーパーマンの本名「カルエル」の名前をつけちゃうボンクラっぷりですよ。

その一方で、サターン・フィルムズ(Saturn Films)という映画制作会社を設立。

現在も共同経営者として、いくつかの作品をプロデュース。本作の制作会社の中にもサターン・フィルムズの名前を確認することが出来るんですね。

そんな本作の内容をざっくり説明すると、“ヘイズビル”という田舎町の近くの道路に置かれた車止めで、車がパンクしたニコラス演じる名無しの男。

運よく通りがかった自動車修理の男に拾われるも、男は修理費前払いで1000ドルを要求。しかも町にはネットが普及してないため?カードもATMも使えないというんですね。

で、男は現金の持ちあわせがないニコラスに、一晩、閉鎖中の遊園地清掃のバイトを紹介。適度に休憩を挟みながら清掃するようにというオーナーの命令を守り、ニコラスが途中休憩を挟みながら廃墟同然の遊園地清掃のバイトをする。という物語。

その合間に、襲い掛かる殺人鬼たちの魂が乗り移ったマスコットロボを返り討ちにしたり、助けに来た少女リブ(エミリー・トスタ)の仲間たちや、町の保安官がロボに殺されたりしますが、ニコラスは襲い掛かるロボを次々に返り討ち。休憩中には持ち込みのエナジードリンクを飲みながら休憩室に放置されていたピンボールマシンのハイスコアに挑み、見事に達成………って、なんなんだこの映画!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ

しかもニコラス一っっっっ言も喋らないしー!

一体、どういう気持ちで見ればいいんだコレ!www

呪われた遊園地「ウイリーズ・ワンダーランド」

もう少し詳しく説明するとですね、この遊園地を作ったのはジェリー・ウィリスというシリアルキラーで、彼は自分の育てた殺人鬼たちを従業員に、表向きは遊園地の体で営業しつつ、遊びに来た町の住人を次々殺していたらしいんですね。

事態に気づいた警察がこの遊園地に乗り込むも、ジェリーたちは既に集団自殺したあと。しかし、彼らは黒魔術の儀式を使い、死後、遊園地のマスコットロボに魂を映し、夜な夜な町に出ては住人たちを殺して食べてしまう。
これに困りはてた保安官は町を通りかかった人々を生贄に差し出すので、住人を食べないよう取引。

以来、自動車修理工のジェドと遊園地のオーナーと手を組んで、”罠“にかかった人々を言葉巧みに「ウィリーズ・ワンダーランド」に送り込んでいたわけです。

そして、ニコラスを助けに来た少女リブはこの被害者の生き残りで、保安官が引き取って育てていたんですね。

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で、たまたま罠にかかったニコラスが新たな生贄に選ばれたわけですが、いつも通り殺して美味しくいただいちゃおうと思っていたマスコットたちは、逆にボッコボコに破壊されていくんだからもう、「ナメてた相手が殺人マシーン」の亜種って感じで、マスコット視点で見れば立派なホラーというわけです。

ニコケイ版「ジャンゴ」

で、僕はこの映画を観てて「なんじゃこの映画」とツッコミながらも、この感じ、どこかで………と考えていたんですよね。

で、( ゚д゚)ハッ!と気づいたんですが、これ、ニコラス・ケイジ版「ジャンゴ」だったのではないかと。

「ジャンゴ」はイタリア製西部劇、通称マカロニウエスタンと呼ばれる映画群に登場する名無しのガンマンで、「続・荒野の用心棒」のフランコ・ネロが演じたのを皮切りに、様々なバリエーションの名無しのヒーロー「ジャンゴ」が登場するんですね。

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で、西部劇には、小さな田舎町がならず者に支配され、何らかのキッカケで主人公とならず者たちが戦い、主人公によって町に平和が戻る。っていうテンプレートがあって、本作の構成はまさにコレと一緒なんですよね。

ならず者=殺人マスコットを次々倒す名無しの男ニコラス、ならず者に協力する悪徳保安官や町の有力者、ならず者に両親を殺され復讐に燃える囚われの少女。

ただまぁ、本作の問題点はそれらの要素がまったくリンクしていないところで、ぶっちゃけニコラスに全部任せておけばリブの仲間たちも保安官と補佐も、もしかしたら修理屋とオーナーも死なずにすんだわけで、彼らの死はまったくの無駄だったっていうw

まぁ、もちろんそれはわざとで、主人公のニコラスとは無関係に物語が進み無駄に人が死ぬっていうコメディなんですけどね。

ぶっちゃけ、この手の安めなニコケイ主演映画には当たりハズレがある…というか圧倒的にハズレの方が多いんですが、本作は個人的に大当たりのニコケイ映画だったし、むしろ、ニコラス・ケイジなしでは、この映画は成り立たなかったんじゃないかとすら思いました。

なんていうかこう、ニコラス・ケイジ自身の(面白おじさん的)キャラクター性が、この手のハイテンションな安物映画と異常に相性がいいというか。

いや、だからっ万人におススメ!ってわけではなくて、僕らみたいなボンクラ映画ファンにとってはというカッコつきですけどねw

まぁ、88分とかなり短めでサクッと気軽に観られるし、現在アマプラ他配信サイトでも扱っているようなので、興味のある方は是非!!

 

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