ぷらすです。
今回ご紹介するのは、センス抜群の映像と音楽、そして鮮烈な物語で無軌道な若者の青春を描き、世界中に一大ブームを巻き起こした「トレインスポッティング」の続編、『T2 トレインスポッティング』ですよー!
前作から20年、オッサンになったヤツらが再び結集。しかしオッサンになった分、前作よりもグッと渋みと深みのある作品になっていました!
画像出典元URL:http://eiga.com
あらすじと概要
『スラムドッグ$ミリオネア』でオスカーを手にしたダニー・ボイル監督作『トレインスポッティング』の続編。前作から20年後を舞台に、それぞれワケありの主人公たちの再会から始まる物語を描く。脚本のジョン・ホッジをはじめ、『ムーラン・ルージュ』などのユアン・マクレガー、ユエン・ブレムナー、ジョニー・リー・ミラー、ロバート・カーライルらおなじみのメンバーが再集結。一筋縄ではいかない男たちの迷走が見どころ。
ストーリー:かつてレントン(ユアン・マクレガー)は、麻薬の売買でつかんだ大金を仲間たちと山分けせずに逃亡した。彼が20年ぶりに故郷スコットランドのエディンバラの実家に戻ってみるとすでに母親は亡くなっており、父親だけが暮らしていた。そして悪友たちのその後が気になったレントンが、ジャンキーのスパッド(ユエン・ブレムナー)のアパートを訪ねると……。(シネマトゥデイより引用)
感想
「トレインスポッティング」とは
本作の感想を語る前に、ざっくり前作のおさらいを。
前作「トレインスポッティング」は、1996年製作のイギリス映画でアーヴィン・ウェルシュの同名小説の映画化作品。
内容はと言うと、不況に喘ぐスコットランドのエディンバラに住む、労働階級のヤク中とろくでなし5人の若者のどうしようもない青春を、鮮烈で疾走感あふれる映像とイギー・ポップなどの音楽に乗せて描いた作品で、ヨーロッパ・アメリカ・日本などで若者を中心に大ヒット。作品のイメージカラーである蛍光オレンジと白黒のポスターはポップアイコンになりました。
監督のダニー・ボイルは舞台演出、テレビ制作を経て、監督2作目のこの作品の大ヒットで一躍有名監督の仲間入りを果たしハリウッドへ。
また、当時はまだ無名だったユアン・マクレガーらキャストたちの出世作にもなったんですね。
あれから20年。すっかり中年になったヤツらの物語
画像出典元URL:http://eiga.com / 向かって右からバズビー/サイモン/レントン/スパッド
前作で仲間の一人トニーがエイズで死に、4人は非合法な「仕事」で大儲けするものの、その金を全て持って主人公レントン( ユアン・マクレガー)は姿を消してから20年、彼がが故郷エディンバラに戻ってくるところから物語はスタートします。
まずレントンが会いに行ったのはスパッド (ユエン・ブレムナー)
彼は前作でも登場したゲイルと結婚しファーガスという一人息子がいるものの、ドラッグから足を洗えず、そのせいで妻子と別居状態、仕事もクビになり、そんな自分が嫌になって自殺しようとするところをたまたま訪れたレントンに助けられます。
そんなスパッドの助言でレントンが向かったのは、シック・ボーイことサイモン (ジョニー・リー・ミラー)
ブルガリア人の彼女ヴェロニカ(アンジェラ・ネディヤルコーヴァ)と組んで、地元の有力者の痴態を盗撮し、恐喝するブラックなアングラビジネスに手を染めていて、会いに来たレントンと大喧嘩するものの、持ち前の悪知恵で新たな“ビジネス”にレントンを引き入れようとします。
一方、仲間内で最も凶暴な男ベグビー (ロバート・カーライル)は、懲役20年の刑で刑務所に服役中。釈放を狙って弁護士に相談するも叶わなかった彼は、細い鉄の棒で自分の腹を指して入院→脱獄します。
そしてレントンもオランダに逃げて結婚して仕事をしていたものの、心臓発作で倒れ、奥さんと離婚してアパートを追い出され、仕事もクビになって故郷に戻ってきたんですねー。
周りはどんどん先に進んでいるのに、彼らだけは結局上手くいかずに時代に取り残されたまま歳だけを重ね、若い頃の勢いもなくなり、変わりたくても変われず、常に現実を突きつけられ、そろそろ人生の終わりも見えて過去の思い出に縋って生きている。本作は、そんなミドルエイジ・クライシスを描いた作品なのです。
こんなふうに書くと「え、そんなに重い作品なの…?」と思われるかもですが、心配ご無用。本作は「中年の危機」を描いていますが、悲壮感溢れる重い内容ではなく、むしろ軽快に描いているし、思わず笑っちゃうシーンも満載ですよ。
前作のセルフオマージュ
本作では、前作のセルフオマージュとも言えるカットが随所に出てきます。
例えば、レントンが逃走中車のにぶつかって運転手に笑顔を見せる例のシーンとか。
ただし、そのシチュエーションは変わっていて、それらのセルフオマージュは単なるファンへの目配せではなく、何ていうか、若い頃の自分が投げたブーメランが20年後の自分に戻ってくる的な使われ方なんですよねw
その絶妙な使い方に思わず笑ってしまうんですが、同時に振り返ってみれば自分にも心当たりがあったりしてちょっと居心地が悪くなるっていうねw
ファム・ファタールでありミューズでもあるベロニカ
そんな40代のオッサンたちの相手を一人で引き受けているのが、サイモンの恋人ベロニカです。
本作の中で彼女は、ファム・ファタール(男にとっての「運命の女」or「魔性の女」)でもあり、同時にミューズ(女神)でもあるんですよね。
この辺はあまり突っ込んで書くとネタバレになっちゃうので、実際にDVDなどで観て欲しいんですけども、彼女の存在や言動が4人の人生を少しだけ変えて、止まっていた彼らの時計の針を動かすことになるんですねー。
ファンととも歳を重ねてきた20年分の重み
鮮烈でパンキッシュな映像と、当時の若者たちの心情を代弁するようなキャラの物語で圧倒的な支持を受けた前作から20年が経ち、当時若者だったファンも大抵40代になっているハズ。
本作は帰ってきたヤツらが再び、そんな前作からのファンの20年を代弁するような物語になっていて、前作の繰り返しにも見えるストーリーにはしかし、しっかりファンとともに歳を重ねてきたヤツらの20年分の重みがプラスされているんですよね。
なので、前作にガツンときたファンの人は自分の人生と重ね合わせて本作もきっと楽しめると思うし、本作を観たあとはきっと元気をもらえるのではないかと思います。
もし、本作を観てピンと来なかった若いファンの人も、40代になってからもう一度観れば、多分、共感出来るんじゃないかと思いますよw
興味のある方は是非!!!
▼よかったらポチッとお願いします▼
▼関連作品感想リンク▼