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なるほど分からん!( ゚∀゚)「TENET テネット」(2020)

ぷらすです。

話題のクリストファー・ノーラン監督最新作『TENET テネット』を、映画館で観てきましたよー!久しぶり、映画館!(嬉)

「難しすぎて一回見ただけじゃ絶対分からない」「一回で分かるヤツはむしろ頭がおかしい」と評判の本作ですが、内容は本当に複雑で、前日予習してある程度内容を知った状態で観ても頭がこんがらがってしまいましたよーw

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画像出展元URL:http://eiga.com

概要

ダークナイト』シリーズや『インセプション』などのクリストファー・ノーラン監督が描くサスペンスアクション。「TENET」というキーワードを与えられた主人公が、人類の常識である時間のルールから脱出し、第3次世界大戦を止めるべく奮闘する。主人公を演じるのは『ブラック・クランズマン』などのジョン・デヴィッド・ワシントン。相棒を『トワイライト』シリーズなどのロバート・パティンソンが務め、マイケル・ケインケネス・ブラナーなどが共演する。(シネマトゥディより引用)

感想

ザ・ノーラン映画

本作の監督クリストファー・ノーランと言えば「007」が大好きで、「ダークナイト3部作」はヒーロー映画の仮面を被ったスパイ映画だし、「インセプション」はSFだけどもろに産業スパイの映画ですよね。

そんなスパイ大好きノーランが強く興味を抱いているもう一つの要素が「時間」で、自身が脚本も担当したSF映画インターステラー」はもろにアインシュタイン相対性理論が物語のベースになっているし、「メメント」~「ダンケルク」に至るまで、確かほぼ全ての監督作品で時系列をいじってたハズですよね。(うろ覚え)

そんなノーランが「スパイ」と「時間」という大好きな2大要素を合体させたSFスパイアクション映画が本作「TENET」なのです。

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画像出展元URL:http://eiga.com /主人公と相棒のニール

そう書くと、タイムトラベルやタイムリープなどを連想される方もいるかもですが、本作で描かれるのはあくまで「時間逆行」なので厳密に言えば「タイム〇〇」とは似て非なるものなんですよね。

本作の予告編で、映像が巻き戻るシーンを観た人も多いと思いますが、あれこそが本作最大の仕掛けであり、これまで多くのSFで扱ってきた「タイム〇〇」との違いなのです。

と言っても、まだ観ていない人には「なんのこっちゃ?」だと思うので、本作の内容を微妙にネタバレしつつ超ざっくり説明します。

なので、まったく内容を知らずに観たい!という人は先に映画を観てくださいね。

「TENET」って大体こんな物語(微ネタバレあり)

CIAのエージェントだった主人公(ジョン・デヴィッド・ワシントン)が秘密組織「TENET」に“スカウト”されるところから本作はスタート。

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画像出展元URL:http://eiga.com /役名が「主人公」という主役を演じるジョン・デヴィッド・ワシントン

「TENET」という組織を簡単に説明すると、人類を滅ぼそうとする未来人と戦う秘密組織なんですね。

現代人類による環境破壊が原因で滅亡寸前の未来人(つまり僕らの子孫)。
そんな彼らは、「エントロピーを減少させると時間が逆行する」ことを発見。
一人の科学者が時間逆行マシン「アルゴリズム」を完成させ、未来人たちはこれを過去(つまり劇中の現在)に送りこんで時間を逆行させることで未来に綺麗な環境を取り戻す計画を立てます。
ちなみに「アルゴリズム」が発動すると、時間逆行の影響で現在の生物は滅亡しますが(理由は後述)、未来人にすれば「そんなの自業自得じゃ、知ったことか!」って話なのでしょう。

ところが計画実行寸前、アルゴリズムを発明した科学者ははたと気づくんですね。
ご先祖滅ぼしたら、子孫の自分たちもいなくなるんじゃね?」と。

劇中ではそれを「祖父のパラドックス」と呼んでいますが、いわゆるタイム〇〇系SFでは最早あるあるとも言えるタイムパラドックスですよね。
つまり、「時間を遡って、血の繋がった祖父を祖母に出会う前に殺せば自分は生まれないけれど、そうすると祖父を殺す自分は存在しないので祖父は死なず、すると自分は生まれるので時間を遡って――」っていうやつ。

詰んでる!」と絶望した科学者。
でも、死ぬのはともかく“無かったことにされる“のは嫌だったのか、アルゴリズムを9個の部品にバラして、過去に送っちゃうわけです。

一方、ご先祖滅亡計画を立てた未来人の考えは違って、アルゴリズムによってご先祖が滅亡しても自分たちが消えることはなく(タイムパラドックスは起こらず)、綺麗な環境という「結果」だけが残るという考え方。

というわけでアルゴリズムで「ご先祖殲滅作戦」を決行したい彼らは、原爆爆発事故で地図から消えた町スタルスク12で散乱したプロトニウム(核弾頭)を集める仕事をしてたセイターケネス・ブラナー)に(多分)「十分な報酬と引き換えに9個の部品を探し出しアルゴリズムを組み立て・発動させる」という(ドラゴンボールみたいな)契約書を送るわけですね。

セイターは快く契約し、未来から送られてくる潤沢な資金と逆行銃という武器売ったり撃ったりしてのし上がり、武器商人として名を馳せる一方で、各国に散らばったアルゴリズムの部品を集めている。

そんなセイターからアルゴリズムを奪い、人類滅亡を防ごうとしてるのが“近”未来人の組織「TENET」なのです。

 

「タイム〇〇」と「時間逆行」の違い

つまりはタイムマシンを使った時空SFなんですが、普通タイムマシンを使ったSFの場合、登場人物はタイムマシンで過去か未来に”ジャンプ“しますよね?

ところが、本作のタイムマシン「回転ドア」は、あくまでくぐった人間やモノの時間を逆行させるだけ。(素粒子を反粒子に変えるらしい

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画像出展元URL:http://eiga.com /時間の順行を赤、逆行を青と色分けして視覚的に説明する工夫も

なので、例えば10年前に戻ろうと思ったら10年かけて時間を遡らなければならないわけです。

ゆえに未来人が直接現代にやってくることは出来ません。(その途中で老衰で死んじゃうから)
また、時間を逆行する人間(生物)は普通に呼吸が出来ないので、特製?の酸素で満たされた部屋の中にいるか、外出時は酸素ボンベを使って呼吸しないと死んでしまいます。(だから世界を逆回転させるアルゴリズムを起動させると生物が死滅してしまう)

なので、未来人はセイターを使い、TENETは過去の自分たちを使ってアルゴリズムを巡る代理戦争をしているというのが本作のあらすじなんですね。

 

この「時間逆行」という発想に元ネタがあるかは分かりませんが、少なくとも僕は初めて観ました

これまで観たタイム系SFでは、例え登場人物が過去や未来に移動しても、時間は常に順行、つまり過去から未来に向かって進んでいて、リアルタイムで時間を逆行することはなかったですからね。そもそも時間の流れを遡るという発想自体、頭の中になかった――って思ったけど、そういえば1979年「スーパーマン」では、ラストの方で恋人の命を守り切れなかったスーパーマンが地球の自転を逆回転させることで時間が巻き戻したのを思い出しましたw

いや、さすがに「スーパーマン」が本作の元ネタとは思いませんけどね。

さらに、本作では同じ映像の中で時間の順行するキャラ(過去→未来)と、逆行するキャラ(未来→過去)が同時に描かれるので、大抵の人はここでこんがらがっちゃうと思うんですよね。

そんな僕ら観客のために、ノーランは序盤に登場する(説明係の)女性科学者の口を借りて「考えるな。感じろ」的な注意してくれるわけです。

まぁ確かに、物語というより物語世界のルール設定が複雑な上に、ノーラン本人もちゃんとルールを理解してるのか疑わしく、さらに彼の監督としての語り口やアクションシーンの下手さも手伝って、正直、エアポートシーンやカーチェイスシーン、そしてクライマックスシーンなど、順行者と逆行者が入り混じるアクションシーンは誰が、何処にいて、何が目的で、何をしているのかチンプンカンプンでしたが、世界に数台しかない「IMAXカメラ」でフィルム撮影した映像はド迫力かつ美しく、順行者(現在→未来)と逆行者(過去←未来)の対決という今まで観たことのないアクションシーンは単純に画として面白いので、とりあえず映画館、出来ればIMAXの大画面で観る事を強くお勧めしますよ!

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画像出展元URL:http://eiga.com /ノーランがこだわる本物の迫力!

興味のある方は是非!!

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おまけの*ネタバレ

ニールの正体

はい、ここからは完全ネタバレですよ。

さて、公開後に考察系レビュアーさんたちの間で湧き上がっている「ニールとマックス同一人物説」ですが、僕もこの説を支持しています。

その理由は大体他の人たちと一緒なんですが、僕が思ったのは将来的にキャットと主人公が付き合うor結婚する(主人公とマックスも近しい関係になる)。

そして、キャットとマックスが受け継いだ(であろう)セイターの遺産を元手に、主人公(とキャット?)が「TENET」を立ち上げたのではないかと。

映画で観る限り、TENETはセイター率いる組織と同等の組織っぽいので結構な額の運用資産が必要なハズだし、元はと言えば先祖を滅ぼすため未来人が送った資産を元手に、未来人に対抗する組織「TENET」が作られるって面白くないですか?

ノーラン懐疑派なので

本作は、中盤のキャットが逆行弾に撃たれるシーンを境に、主人公が前半で順行、後半で逆行することで、前半のシーンで張られた伏線を後半で回収する形になっていて、これって「カメラを止めるな!」と同じ構成なんですよねw

で、本作は内容(というかルール)の複雑さが逆にウケて、リピーター続出、興行成績も上々らしいですが、個人的には(前述したように)作品に隠されたすべての謎がノーランの計算通りというわけではないと考えています。

もちろん意図的に謎を残すように演出したシーンも多々あるとは思うけど、そもそも作劇やアクションシーン(特に大人数のアクション)に難ありのノーランであり、また「インターステラー」でも思ったけど、ノーランは劇中で複雑なルール(物理学とか相対性理論とか)を使いたがるわりに、ちゃんと理解してないんじゃないかという疑惑が個人的にはあるんですよね。

難しい理論を難しい言葉を使って説明するのは大抵ちゃんと理解してない人だし、劇中でも最初の説明を鵜呑みにして観ていると「あれれ??」ってなるシーンも結構あって、まぁ、それは百歩譲って映像の面白さやカッコよさを優先したんだとしても、最後の方は広げた風呂敷をちゃんと畳まずに、クシャクシャって丸めて「概念」とか「哲学」って書いた箱にポイっと入れて誤魔化してる感があるっていうか。

伝わりますかね?この感じw

もちろん、だからつまらないという事ではなくて、それでも最後まで面白く観られるのは映像作家クリストファー・ノーランの手腕だと思っているし、内容が理解できずに家に帰ってからネットで考察レビューを読みまくったり、本作を観た友人と話したりする時間も考えれば、ある意味で長い時間楽しめるコスパのいい映画とも言えるのではないかと思います。