ぷらすです。
「ドクター・ストレンジMOM」に続き観てきましたよ!
『シン・ウルトラマン』をね!
いや、うん。面白い。面白かったんですよ。
ただ僕は、観ながらずっとモヤってしまったんですよね。
今回は、感想と共にその辺の事をお話ししたいと思います。
*ネタバレなしで書いたつもりでしたが、一部映像で観たかった情報がネタバレになっているとご指摘いただきました。
これから読まれる方はご注意ください。
画像出展元URL:http://eiga.com
概要
1966年の放送開始以来親しまれている特撮ヒーロー「ウルトラマン」を、『シン・ゴジラ』などの庵野秀明が企画・脚本、樋口真嗣が監督を務め新たに映画化。謎の巨大生物「禍威獣(カイジュウ)」が現れ危機に直面した現代の日本を舞台に、未知の存在であるウルトラマンが出現した世界を描く。主人公を『麻雀放浪記2020』などの斎藤工、彼の相棒を『MOTHER マザー』などの長澤まさみ、禍威獣対策組織のメンバーを西島秀俊、有岡大貴、早見あかり、田中哲司が演じるほか、山本耕史、嶋田久作らが出演する。(シネマトゥディより引用)
感想
リアルタイム世代のノスタルジーは残しつつ現代風にアップデート
今回の『シン・ウルトラマン』は、総監督・庵野秀明、監督・特技監督・樋口真嗣で2016年に公開された「シン・ゴジラ」、2021年公開「シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇」、来年公開予定の「シン・仮面ライダー」と連なる、庵野秀明”シン・ジャパン・ヒーローズ・ユニバース(SJHU?)“作品です。
といっても、それぞれに物語やキャラクターの繋がりがあるわけではなく、監督、もしくは監修、企画、脚本など、何らかの形で庵野秀明が関わっている作品という事なので、他作品を観ていないと本作が楽しめないということはありませんのでご安心を。
シン・シリーズ最初の作品「シン・ゴジラ」は、観客はすでにド派手な「ハリウッド版ゴジラ」を見ていたし、庵野秀明が総監督を務める事も含め、正直かなり半信半疑というか、ハードルが下がった状態からの公開だった事もあり、庵野秀明総監督が提示した、第1作目以来の”ゴジラとの出会い”という体験に観客は度肝を抜かれ、大ヒットを記録したんですね。
続く第2作「シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇」は、賛否は分かれたものの、25年間続いたエヴァンゲリオンシリーズの完結作であり、また、(それまでとは違って)作品に込められたメッセージは誰もが理解しやすかった事もあり、エヴァファンだけでなく、一般層も巻き込み大ヒットになったんですね。
なので、シン・ユニバース第3作となる本作『シン・ウルトラマン』は、僕自身かなりハードル(期待値)が上がっている状態でもあったんですよ。
何と言っても庵野秀明といえば素人時代に自主制作フィルム「帰ってきたウルトラマン マットアロー1号発進命令」で自らがウルトラマンを演じるほどのウルトラマン好きで知られていますし、代表作エヴァンゲリオンの設定にも少なからずウルトラマンが絡んでいますしね。
そんな感じだったので期待に胸を膨らませ、僕は初日に「シン・ウルトラマン」を見てきたんですねー。
「パシフィック・リム」を思わせる冒頭10分
3Dにアップデートされたお馴染み「ウルトラQ」の例のアレから本作はスタート。
「お、原作リスペクトでウルトラQスタートか」と思いきや、出てきた文字は「シン・ゴジラ」。
そして、画面にはシン・ゴジラ――ならぬ古代怪獣ゴメス。
ゴメスはゴジラの着ぐるみを改造して作られたことで知られる怪獣で、なのでこちらも限りなくシンゴジラなゴメスからスタートさせているんですね。
そこからは「ウルトラQ」~「ウルトラマン」に登場する怪獣……じゃなくて”禍威獣”に、人類が辛勝する様子、そして対・禍威獣の専門組織、化特隊ならぬ”禍特対(カトクタイ)“の誕生までを、ニュース映像的なダイジェストでサクサク見せていく演出は、ギレルモ・デル・トロ監督の「パシフィック・リム」を連想しましたねー。
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そこから予告でも登場した「ネロンガ」と「ガボラ」そして銀色の巨人(ウルトラマン)が飛来しスペシウム光線を放つまでの流れは、メッチャワクワクしましたねー!
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ちなみに「ネロンガ」と「ガボラ」は、原作(TV版ウルトラマン)でも予算節約のため同じボディで顔を付け替えたそうで、本作でもそれを踏襲&予算節約のためCGの顔だけ変えているらしいんですが、そんな「大人の事情」を上手くストーリーに落とし込んでいるのも良かったです。
さらにザラブ星人(声: 津田健次郎)やメフィラス星人(山本耕史)といった宇宙人……ならぬ”外星人”も、CGでなければ表現できない現代的なデザインに変更され登場。ウルトラマンとのバトルもカッコよかったし面白かった!
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面白かったけどモヤる
……そう、面白かったんですよ。なんですけど、何故かこう、観ながらずっとモヤっとしてしまったんですよね。
その大きな理由の一つは、原作(元ネタ)がゴジラと違ってTVドラマである。というのがあるのかなと。
本作は5つのエピソードから出来ていて、それぞれのエピソードが繋がっている事は劇中セリフで説明はされるんですが、それとは別に禍特対らキャラクターの関係性の変化や連帯の積み重ね描写が殆どないので、クライマックスのエモーションに繋がっていかないんですよね。
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「シン・ゴジラ」の場合は原作がそもそも映画で「人類がゴジラという災害に立ち向かう」という物語に太い縦軸があったので、クライマックスに向かってエモーションが高まっていったんですが、原作が1話完結のドラマである本作にはそれがなくて、なのでクライマックスのある展開も、どこか、唐突だし上滑りしている感じがしたのです。
もう一つは、撮影に庵野秀明がほぼ参加していなかったことでしょうか。(庵野さんはシン・エヴァやシン・仮面ライダーで忙しく、現場に六日しか来られなかったらしい)
それは別に樋口監督の腕が悪いとかではなく、にも関わらず庵野さんっぽい映像を樋口監督が撮ってしまったという。
それが、庵野さんのオーダーに沿って樋口監督が撮影したのか、それとも樋口監督が「庵野ならこう撮るだろう」と撮影したのかは分かりませんが、結果として庵野秀明でも樋口真嗣でもない、何かこう中途半端な映像になってしまっているんですよね。
ただ要所要所に「あ、ここは樋口さんっぽい!」というシーンもあって、そこはすごくカッコ良かったので、庵野さん自身がコントロールしない(出来ない)のであれば、撮影は完全に樋口監督のセンスで統一した方が良かったんじゃないかなーって思いましたねー。
あと、個人的に一番気になったのは、キャラ造形やセリフ回しのアニメっぽさでしょうか。
「シン・ゴジラ」の場合、個々のキャラクター性より(少なくとも前半~中盤は)対ゴジラのシュミレーション要素が強く、その分アニメ的な演出やセリフ回しはそれほど目立たなかったんですが、本作はそもそも原作(元ネタ)自体がキャラもの的な要素が強いこともあって、よりアニメ的なキャラ造形やセリフ回しが際立ってしまい、それが実写映画としてのバランスを崩しノイズになってる気がしました。
ただそこは、「ゴジラ」「ウルトラマン」という原作の性質がそもそも違うという事もあり、本作も原作(TVドラマ)のウルトラマンを最大限オマージュしている部分もあるので難しいところではあるんですけどね。
ウルトラマン愛が強すぎて?
ただ、まとめると、本作の良いところも悪いところも、庵野さんのウルトラマンへの愛が強すぎるところに起因してると思うんですよね。
庵野さん自体はゴジラや怪獣映画にはほとんど思い入れがなく、ゆえに「シン・ゴジラ」に対しては客観的で、ある意味突き放した視点で制作することが出来たわけですが、逆にこの「シン・ウルトラマン」はウルトラマンが好きすぎる庵野さんの、オタクな部分が前に出てしまったというか、2時間に満たない作品の中にあれもこれもと盛り込み過ぎな印象を受けたんですよね。
特にザラブ星人とメフィラス星人のシークエンスは被っているところも多く、また原作にもあるあの人の巨人化のシーンなども、それ自体が物語の本筋に直接絡むようなシーンでもなく、また今の時代にわざわざアレをあのままやるのは正直どうかなー?という感じもあり。
多分そういう、いつもの庵野さんならバッサリ切ってしまうような余分なシーンが、本作では結構入ってたりして、個人的に「庵野さんのウルトラマン愛が爆発しちゃってるのかな?」なんて思ってしまいました。
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そんな感じで、モヤモヤする部分は多々あったものの、同じくらい良いシーン、カッコいいアクションも沢山あって、個人的には十分に楽しめた作品でした。
興味のある方は是非!!
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