今日観た映画の感想

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ほぼエブエブ「私ときどきレッサーパンダ」(2022)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、ディズニーピクサー25作目で、日本では昨年Disney+で独占配信された『私ときどきレッサーパンダ』ですよー!

観よう観ようと思いながらも中々気分が乗らず放置してたんですが、先日、意を決して観たらメッチャ面白かったです。

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画像出展元URL:http://eiga.com

概要

トイ・ストーリー』シリーズなどのディズニー&ピクサーによるアニメーション。レッサーパンダに変身してしまう女の子が、友人や母親との関係を通して本当の自分を見つけようとする。監督を手掛けるのは、ピクサーの短編アニメーション『Bao』で第91回アカデミー賞短編アニメ映画賞を受賞したドミー・シー。ロザリー・シアンをはじめ、ドラマシリーズ「グレイズ・アナトミー」などのサンドラ・オーらがボイスキャストを担当する。(シネマトゥデイより引用)

感想

Disney+配信作品

本作はディズニーピクサー作品としては25作目に当たりますが、新型コロナ感染拡大の影響を受け、「ソウルフル・ワールド」「あの夏のルカ」に続き劇場公開はされず、Disney+での独占配信作品になってしまったんですね。

僕はDisney+に加入しているので、いつでも観る事が出来る環境ではあったんですが、観よう観ようとは思いながらも、いつでも見られると思うと中々気分が乗らず放置してしまってたんですよね。

ピクサーアニメと言えば社会的なメッセージ性の強さと、スタッフの体験・経験を作品に落とし込む「作家性」が特徴で、それゆえ好き嫌いの分かれるところではあるんですが、それも「ソウルフル・ワールド」で極まったというか。

個人的な感覚で言えば、前作「あの夏のルカ」はもっとミニマムで、誤解を恐れずに言えばこれまでより「軽い」作品という印象でした。

そして本作もそれまでの「観る方にある程度の覚悟を強いる作風」と比べるといい意味でポップで軽い作品になっていて、ピクサー映画は苦手という人でも見やすい作品なのではないかと思いましたねー。

ほぼ「エブエブ」!?

そんな本作を観た感想を一言で言うと、ほぼ「エブエブ」でしたよ。

「エブエブ」とはダニエルズ監督、ミシェル・ヨー主演、A24配給で、本年度アカデミー賞7部門を受賞した「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」の事。

エブエブは中国系アメリカ人、本作は中国系カナダ人と家族が主人公で、両作品とも奇しくも同じテーマを扱っているんですね。

あえて僕の嫌いな言い方で言うなら、いわゆる毒親問題というか、目上の人間を敬うというアジア圏の儒教思想と家族、西洋で暮らすアジア人というアイデンティティに対し、二世・三世がどう向き合うのかを、エブエブは母親視点から、本作は娘視点から描いているんですね。

監督は自身もチャイニーズ・カナディアンであるドミー・シーシェリダンカレッジでアニメーションを学んだあとピクサーでキャリアを積み、同年に短編アニメーション「Bao」を制作した後、本作で長編監督デビューしたんですね。

ざっくりストーリー紹介

カナダ・トロントのチャイナタウンに暮らす、由緒ある寺の家系に生まれた少女メイリン・"メイ"・リーは、活発で成績優秀。家庭内では両親を敬い期待に応えようとする、いわゆる“真面目ないい子“だが、人気ボーイ・バンド「4TOWN」の大ファンという年相応なところも。

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そんなメイリン13歳のある日、コンビニのアルバイト店員デヴォンに今までにない感情を抱き、翌朝目覚めるとレッサーパンダに変わっていた。

そこで両親から、一族の女性は思春期を迎え感情が高ぶるとレッサーパンダに変身してしまうことを知らされ――という物語。

レッサーパンダはいわば、思春期の心身の変化と自我の強烈な発露のメタファーで、体と心の変化、母親の期待に応えたい自分とアイドル好きな等身大の自分、母親に親友たちを認めて欲しいという思い、過保護ゆえ時に無神経な母親への反発心などなど、本作はそんな彼女が「レッサーパンダ」の自分を受け入れるまでの成長譚でもあるんですね。

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画像出展元URL:http://eiga.com

親友で「4TOWN」仲間のミリアム、プリヤ、アビーに遊びに誘われるも、家の手伝いがあるからと断って帰るメイリンの背中に「洗脳されてるなー」と呟くミリアムたち。

それまでメイリンは母親の期待に応えるのが当たり前だと思っていたし母親も同様に思っていて、しかしレッサーパンダになったのをキッカケに、戸惑い、悩みながらも自分を見つけようとするんですね。

「アニメ」的表現

そんなピクサー作品といえば、カートゥーン的なキャラクターながら、その質感や動きなどは実写と見まごうばかりのリアリティーを追求していたんですが、本作はインタビューで監督やスタッフが言及するように、動きや表情の表現を日本の「アニメ」に寄せているんですね。

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とはいえ、キャラクターはピクサーの3DCGなので、結果ディズニーピクサーの「アニメーション」とも日本の「アニメ」とも違う、本作独自の表現になっていると思いました。

その西洋と東洋の中間にあるような表現方法が、(自覚的か無意識か分かりませんが)メイリンというキャラクターや、本作のテーマとも呼応しているように感じましたねー。

まぁ、物語自体は親の反対を押し切って、親友たちとアイドルのコンサートに行くか行かないかというミニマムな物語ではあるんですが、そんな誰でも一度は経験のある普遍的なエピソードを通して、少女から大人への成長をきっちり描いているのが素晴らしいと思いました。

興味のある方は是非!!