今日観た映画の感想

映画館やDVDで観た映画の感想をお届け

“ロッキー”からの卒業「クリード 炎の宿敵」(2019)

ぷらすです。

公開したら即観に行こうと思ってたのに、中々都合が合わなくて観られなかった『クリード クリード 炎の宿敵』を、やっと観てきました!!

…まぁ、僕も「ロッキー」と共に青春を歩んできた世代ですからね。

そりゃ、こんなん観せられたら泣きますよ!

なので今回、多少の文句を書いたとしても、それは「この映画、最高!」っていう前提の上で、物足りなかった部分に文句を言ってるという事を予めお伝えして感想を書きたいと思います。

あと、まだ劇場公開中の作品ということで、出来るだけネタバレしないよう気をつけて書きますが、これから本作を観る予定の人や、ネタバレは嫌! って人は、先に映画を観てから、この感想を読んでくださいね。

いいですね? 注意しましたよ?

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概要

『ロッキー』シリーズでロッキー・バルボアと激闘を繰り広げたアポロ・クリードの息子を主人公に据えた『クリード チャンプを継ぐ男』の続編。父の命を奪ったイワン・ドラゴの息子との戦いを軸に、クリードがさらなる成長を遂げる。監督は短編やテレビシリーズを手掛けてきたスティーヴン・ケイプル・Jr。シルヴェスター・スタローンマイケル・B・ジョーダンらが前作に続いて出演している。(シネマトゥデイより引用)

感想

ちょっとした昔話

ロッキー」第一作を、僕は確かテレビの洋画劇場で観たんだと思います。
内容は、ダメボクサーのロッキーが世界ヘビー級チャンピオンの当て馬として抜擢され、結果(判定で)負けるけど大事なものを手に入れるという物語。
映画解説者、荻昌弘氏の言葉を借りるなら「ロッキー」は「するかしないかで『する』を選んだ勇気ある人たちの物語」なのです。

そして、「ロッキー」の大ヒットを受けて、作られたシリーズ作品は計6作。
完結編として制作された「ロッキー5/最後のドラマ」が大不評に終わり、これでは終われないとスタローンが自ら脚本・監督・主演を務めた「ロッキー・ザ・ファイナル」は、当初の予想を裏切り批評家からもファンからも大絶賛
「ロッキー」シリーズは大団円でその幕を下ろしました。

それだけに2015年公開の前作「クリード/チャンプを継ぐ男」の制作情報が耳に入った時、「ロッキーはあんなに素晴らしい終わり方だったじゃないか! もうやめてくれよスタン!」と、思ったのは僕だけではないハズ。

しかし、いざ蓋を開けてみれば、新進気鋭の映画監督ライアン・クーグラーアドニス役のマイケル・B・ジョーダンのコンビは素晴らしく(二人はその後、MCUの「ブラックパンサー」でもタッグを組むことに)、また老齢に差し掛かったロッキーを演じたスタローンがアカデミー助演男優賞にノミネートされるなど、「クリード/チャンプを継ぐ男」は、世界中のロッキーファンを納得させる作品だったんですね。

そして、昨年公開された本作の情報を見てビックリ。

「ドラゴの息子とアドニスが闘う…だと?(; ・`д・´)」

ロッキー4/炎の友情」は東西冷戦末期に作られた作品で、元世界チャンピオンのアポロ(アドニスの父親)が、ロッキーに挑戦してきたソビエト連邦(現ロシア)のボクサーイワン・ドラゴドルフ・ラングレン)の挑戦を代わりに受け、試合中ドラゴの強烈なパンチを受けて亡くなってしまうんですね。

で、ロッキーはアポロの仇を取るため特訓の末にソビエトに乗り込んでドラゴとの死闘の末に見事勝利するという物語。

当時若く、スタローン信者だった僕はもちろん大興奮でしたが、シリーズを重ねるごと徐々に人気が衰えて、しかも当時、スタローンの生み出した人気キャラ、ロッキーとランボーソ連を相手に闘うというタカ派的内容も手伝って、その年のクソ映画を決める「ラジー賞」4部門にノミネートされるなど、興業的には大ヒットながら評価の方は散々だったんですよね。

まさか、大ヒットした「クリード/チャンプを継ぐ男」の続編に、その「ロッキー4」を絡めてくるとは……。

しかも本作は、監督がライアン・クーグラーではなく、発表されていたスタローンでもなく、本作が長編二本目の新鋭ティーヴン・ケープル・Jrだって言うし、これはあまり期待し過ぎない方がいいのかな…なんて思ってたわけです。

しかし、蓋を開ければそんな心配はまったくの杞憂で、本作は「ロッキー4」&「クリード~」の続編として実に見事な作品でした!(;//́Д/̀/)'`ァ'`ァ

ロッキー2~4までを一気に駆け抜ける

前作は、アポロ・クリードの非嫡出子ながら、正妻メアリー・アンに引き取られ不自由のない生活を送り立派な青年に成長したが、ボクサーの夢を捨てきれないアドニス(以降ドニー)が、ロッキーとともに猛特訓。

クリードのネームバリュー目当てで、チャンピオンの当て馬として抜擢され、試合には判定負けするも大切なものを手に入れるという内容。
いわば次世代の若者が「ロッキー」一作目をなぞるような物語だったと言えたと思います。

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で、その続編となる本作では、ロッキーの指導のもと序盤でサクッと世界チャンピオンになったドニーに、イワン・ドラゴドルフ・ラングレン)の息子ヴィクター(フローリアン・ムンテアヌ)が挑戦状を叩きつけ……という物語。

つまり、「ロッキー2~4」までの要素を一本の作品に全部乗っけたような作品なんですよね。

ヴィクターとドニーの戦いを縦軸に、ドニーの恋人で進行性難聴のシンガー ビアンカテッサ・トンプソン)との結婚・妊娠・出産、ロッキーに敗北して以降30年間のドラゴ父子の物語、ロッキーと息子ロバート(マイロ・ヴィンティミリア)の物語など、3つのサイドストーリーが織り込まれています。

前作では、正妻の子ではなく直接は父親を知らないという出自ゆえに、“自分”を支える土台がなく、自分を確立するために父の盟友でもあったロッキーの手を借りて戦いに挑むというドニーの成長譚でした。

対して本作でのドニーは、同じ立場に立ったことでアポロとロッキー、二人の“強さ”を知り、偉大な“二人の父”を乗り越えるために闘うんですね。

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(些か変形的ではあるけど)本作は「父殺し」の物語で、つまりドニーが親離れをして自立するまでの物語なのです。

一方、本作はイワンとヴィクターのドラゴ親子の物語でもあります。
30年前、ロッキーと戦ったソビエトでの一戦で、金、名誉、妻。全てを失ったイワンは、ただ一つ残ったボクシングを息子ヴィクターに叩き込みます。

自分から全てを奪ったロッキーに復讐するために。

そして、父譲りの豪腕と強靭な肉体、スピードを併せ持つヴィクターは、父から全てを奪った男が育てたドニーから全てを奪うために野獣のごとく襲いかかるのです。

この辺、「ロッキー4」をリアルタイムで見ていた世代としては、ついついドラゴ親子の方に感情移入してしまうんですよねーw

普段は安いホラーやアクション映画で、省エネ演技をして小遣い稼ぎをしているドルフ・ラングレン久しぶりの熱の入った演技も素晴らしかったし、ヴィクターを演じたルーマニアのボクサー フロリアンムンテアヌもまだまだ荒削りではあるけど、説得力のある肉体と風貌は良かったです。

そもそも、ドルフ・ラングレンも元空手のチャンピオンで演技はほぼ素人、長編映画は「ロッキー4」が2本目だったんですよね。

不満点

とまぁ、色んな要素がてんこ盛りな本作ゆえ長尺で、特にドニーがうだうだうだうだ悩む中盤はあまりにもテンポが悪く感じたし、肝心の試合シーンも前作のような長回しもなく、試合自体も端折りすぎでカタルシスは弱め。
何より、後半の一番盛り上がるところでのBGMが「アイ・オブ・ザ・タイガー」じゃないんかい!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ と。(「ロッキー4」を観てない人には分からない文章)

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いや、ヴィクター戦に向けて、ドニーを鍛え直すためにロッキーが、カリフォルニア州デスバレーにある“ボクサーの虎の穴”ことパーガトリア・エル・ボックスに連れて行って特訓するシーンはアガりましたけどねー。

“ロッキー”から“クリード”へ

前述したように、本作はクリードがロッキーの手を離れて自立する物語で、劇中ロッキーが「お前の時代だ」と言うシーンがあるんですが、これはつまり「ロッキー」のスピンオフの「クリード」は本作で終わり、以降は無印の「クリード」になりますよ。という宣言だと思うんですね。(スタローンも本作でロッキーを引退と言ってるらしいし)

前作・本作は、「ロッキー」シリーズを推進力に大ヒットしたわけですが、次回作以降は(恐らく)ロッキー=スタローンの力を借りずに、ドニーの自立したシリーズになるのでしょう。多分。

そもそも、映画「ロッキー」シリーズは、スタローン自身の人生とリンクした作品であり、そんなスタローンの元に、前作の監督だったライアン・クーグラーがスピンオフの企画を持って現れたことで「クリード」がスタートしたというのも、そのまま前作の内容とリンクしているわけですしね。

そして、本作で「ロッキー」のスッピリッツを伝承し終え、またドラゴの人生にも決着をつけた事でスタローンは身を引き、これからは次世代の若者が「クリード」という新たなヒーローの物語を紡いでいくのでしょう。

それは僕らのようなロッキー世代にとって寂しくもあるけど、「クリード」自体がボーナストラック的な感じもあったので、これでいいんだと思います。

多分、本作でロッキーの音楽がほぼ使われなかったのも、「ロッキー」からの卒業を意識したんじゃないかと思います。

本作は「ロッキー4/炎の友情」や前作「クリード チャンプを継ぐ男」を観ていなくても楽しめるように作られているので、安心して劇場に足を運んでください。(両作、またはどちらかを観ておくとより楽しめるとは思いますがw)

興味のある方は是非!!!

 

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今も色褪せないゾンビコメディーの傑作「バタリアン」(1986)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、「エイリアン」(79)で脚本を担当したダン・オバノンの長編デビュー作『バタリアン』ですよー!

ゾンビ映画の父ジョージ・A・ロメロの長編デビュー作「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」のパロディーとして、ホラーながら思いっきりコメディーに振り切ったゾンビ映画初期の傑作です!

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概要

ゾンビ映画の元祖「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド/ゾンビの誕生」で描かれた事が実際にあったという前提で作られた間接的な続編。ロスにある科学資料庫の地下で発見された謎のタンク。そこから吹き出した特殊なガスには死者を蘇らせる作用があった……。(allcinema ONLINE より引用)

感想

バタリアン制作の経緯

バタリアン」の原題は「リターン・オブ・ザ・リビングデッド

実は本作はロメロの長編デビュー作であり、元祖ゾンビ映画ナイト・オブ・ザ・リビングデッド“正式な続編”だったりします。

その経緯を箇条書きで説明するとこんな感じ。

ロメロが故郷ピッツバーグで制作した16ミリフィルムの長編デビュー作「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」が大ヒット。→

しかし、ピッツバーグのインディー監督だったロメロは、新作を作るお金がない。→

「そうだ! 『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』の続編を作る権利をメジャー映画会社に売ろう!」→

メジャーの映画会社MGMが大金でその権利を購入→

大金を手に入れたロメロは「ナイトライダーズ」、「クレイジーズ」、「マーティン」などのインディー映画を作り、その後ハリウッドに進出して制作した「ゾンビ」(79)が大ヒット→

権利上「ゾンビ」は「ナイト・オブ~」の続編ではないが、誰が見ても「ナイト・オブ~」の続編→

MGM「ι(`ロ´)ノムキー」

・MGMは「エイリアン」「スペースバンパイア」の脚本家、ダン・オバノンを監督に招き、「ゾンビ」とは別に「ナイト・オブ~」の続編として「バタリアン(原題:リターン・オブ・ザ・リビングデッド)」を作ることに。

というわけです。

なので、本作は契約上は「ナイト・オブ~」の正式な続編というわけなんですねー。

で、ダン・オバマンが「ナイトオブ~」の脚本家ジョン・ルッソ、ルディ・リッチ、ラッセル・スタイナーの“原案”を大胆に脚色し、ホラーコメディーとなった本作は世界的大ヒットとなるのです。

日本では「オバタリアン」というマンガタイトルのネタ元で、その後「オバタリアン」という言葉は流行語になったりもしました。

ざっくりストーリー紹介

映画冒頭、「この映画は実話である」「従って登場する固有名詞は全て実名である」というテロップからスタート。

本作では、「ナイト・オブ~」は現実にあった事を映画にしたという前提になっているんですね。

アメリカ合衆国ケンタッキー州ルイビルにあるユニーダ医療会社で、倉庫係として働くこととなったフレディ(トム・マシューズ)は先輩の社員のフランク(ジェームズ・カレン)から仕事を教わっています。

この会社、白骨標本(本物)やら、犬の縦割り標本やら、冷凍庫に保存した“新鮮な死体”などを軍や医療機関に研究・実験や解剖用に卸す会社なのです。

一息ついたところでフランクがフレディに、会社の地下室にある死体の話をし始めます。

曰く、軍と製薬会社が、死体を蘇らせるガスを開発。
そのガスが漏れ出して、大事になったが軍は秘密裏に事態を収束し、研究用としてタンクに入れた「ゾンビ」を製薬会社に送るも、なんの手違いかこの会社に送られてから14年放置されている。のだと。

フランクは「見せてやる」とフレディを連れて地下室に。
二人がタンクの中のゾンビを見ていると、突然ガスが吹き出し二人に直撃。
気を失った二人が目を覚ますと、会社中にはダクトを通してガスが充満し、会社中の死体が蘇っている状態。困り果てた二人は社長を呼び出します。
そして3人は、蘇った冷凍庫の新鮮な遺体をバラバラにして、近所の葬儀屋アーニー(ドン・カルファ)に頼んで火葬。

一方そのころ、フレディの友人たちが車で迎えにくるも、仕事終わりの10時まで時間を潰す為に、会社向かいの墓地で大騒ぎしてるんですね。

その時、葬儀屋の煙突から火葬した死体の煙がモウモウと上がっている最中に、突然大雨が降り出し、雨に溶けた灰が墓地に降り注ぎ……。という物語。

最強のゾンビ

で、本作に登場するゾンビ、実は最強な上に超タチが悪い

まず、ロメロが提唱したゾンビの基本「頭を破壊or頭を落とされると死ぬ」というルールが通じず、首を切られようが頭を破壊されようがゾンビは動きまくります。

これにフレディは「映画は嘘だったのかよー!」とメタ的なセリフを叫んでひと笑い取ったり。
で、3人は蘇った冷凍庫の新鮮な死体をバラバラにして火葬しようとするわけですね。

しかし火葬しても、雨が降ると灰が地面に染み込んで墓地の死体が次々に蘇るので、“殺せないゾンビ”は延々増え続けるわけです。

そして、本作のゾンビは知能があって会話も出来ます
ガスを浴びて具合が悪くなったフレディとフランクを搬送するために読んだ救急車の救命退院を美味しく頂いたゾンビたちは、救急車の無線で「もう一台呼んでくれ」と要請。到着した救急隊員も美味しく頂き、送っても送っても連絡が途絶える救急隊員を不審に思い駆けつけた警察官も美味しく頂き、今度はパトカーの無線で応援を要請し……。ってな具合で、次々おかわりを要請しては美味しく頂いてしまうんですねーw

ちなみに、“彼ら”は脳みそしか食べません。
社長とアーニーが上半身だけのゾンビ、“オバンバ”を捕まえて尋問したところ、「死の痛みを癒せるのは生きた人間の脳みそだけ」と言うんですね。

つまり脳みそ以外(肉体)は残っているので、ゾンビに食べられた人間は100%ゾンビになるわけです。

さらに、本作のゾンビは走ります。

走るゾンビといえばダニー・ボイル監督の「28日後」(02)が最初だと思われがちですが、実は元祖走るゾンビは本作なんですね。
100%の確率で増え続け、何をしても死なず(焼いても灰で仲間を増やし)、知能があって走るゾンビって、これもう最強でしょ。

これは多分、ダン・オバノン監督のアイデアだと思うんですが、「リビング・オブ~」の続編(パロディ)をコメディーにするにあたり、ゾンビの弱点(人間の勝機)を片っ端から潰したんだと思うんですよねー。

一方、同時進行で、死体復活ガスを浴びてしまったフレディとフランクはどんどん具合が悪くなり、救急隊が到着して様態を見ると、心拍数0、血圧0、体温21度(室温)で、完全に死んでるわけですが、でも本人たちは会話も出来てるわけです。
この件はコメディ演出にはなってますが、実は彼らもまた刻一刻とゾンビに近づいているんですね。

そして、ゾンビ化したフレディは彼女に襲いかかり、フランクは“人間として死ぬために”自ら火葬炉に入って火をつけます。
外した結婚指輪にキスをしてフックに掛けてから、自ら焼却炉に入っていくシーンは思わずグッときてしまうんですが……よくよく考えたら全てはこのオッサンが原因なんですよねーw

また、何とかゾンビ化したフレディから逃げた彼女と葬儀屋のアーニーは天井裏に逃げ込むんですが、フレディが迫る中怯える彼女を抱きしめるアーニーの手に拳銃が握られているアップになるわけです。
これは、フレディに脳を食べられてゾンビにされるくらいなら、彼女と自分を銃で撃って死のうという、アーニーの考えが観客には分かるようになってるわけですね。

一見、ふざけ倒してる本作ですが、こういった細かい描写でダン・オバノンはしっかりロメロの「ナイト・オブ~」にリスペクトを捧げているし、脚本家出身の彼だけにストーリーはしっかり作りこんでいるのです。

あと、この映画はある衝撃的なラストを迎えるんですが、このラストは、キューブリック監督「博士の異常な愛情~」のオマージュですよね。多分。

SFXの到達点

本作が公開された1986年は、まだ映画にCGは使われておらず、上半身だけの「オバンバ」も、コールタール?をダラダラ流しながら迫り来る「タールマン」も、全部SFX(特撮)で撮影されています。(CGなど、撮影後のフィルムや映像データーを加工するのはVFX)
スピルバーグの「ジュラシック・パーク」以降、ハリウッドの特殊撮影はSFXからVFXへと舵を切っていくんですが、本作を含めた80年代~90年代のホラー映画は、アニマトロニクス(動物や生き物型のラジコン)などの技術がある種頂点に達した時代でもあり、(映画全体的には古臭さを感じるものの)本作のこうした特殊技術のシーンは、今見ても十分見ごたえがあるんですよねー。

特にタールマンのシーンは素晴らしいので、ゾンビ好きな人は必見ですよー!

興味のある方は是非!!

 

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サム・ライミが自らの代表作をセルフパロディー「死霊のはらわたⅡ」(1987)*ネタバレあり

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、「ダークマン」(90)「スパイダーマン」(02)などでお馴染みのサム・ライミ監督長編デビュー作「死霊のはらわた」(85)。
その続編…というかセルフリメイク作品『死霊のはらわた』ですよー!

実は僕は「死霊のはらわた」は何度も観たし、本作の続編「キャプテン・スーパーマーケット」(93)も随分前に観ているんですが、何故か本作だけはずっと見逃していたんですよね。

で、TSUTAYAでその事を思い出して、この機会にレンタルしてきました!

ちなみに今回は30年以上も前の作品なので、ネタバレ気にせず書いていきます。
なので、「ネタバレは嫌!」という人は、ネット配信かレンタルで本作を観てから、この感想を読んでくださいねー。

いいですね? 注意しましたよ?

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概要

より充実したSFXと、S・ライミの特徴とも言える完成されたカメラワークでグレード・アップされた続編、ではなくリメイクに近い第2弾。前作の荒削りだがエキサイティングなスタイルは若干薄らいだものの、映画的にはかなりまとまっている。クライマックスからラストにかけての新たなるシリーズ目指しての大幅な変更は、この作品を一気にスプラッター・ホラーから伝奇SFへと変貌させた。(allcinema ONLINEより引用)

感想

死霊のはらわた」誕生まで

死霊のはらわた」はサム・ライミ監督の長編デビュー作にして、30年以上経った今もカルト的人気を博す代表作の一本です。

当時、ミシガン州立大学の学生だったライミは映画製作のため大学を中途退学。
ドライブインシアターでのホラー映画を調査・研究して脚本を書き上げると、初めに製作者の関心を引くであろう短編映画を1600ドルで製作。
友人の弁護士の助言を得て、主演のブルース・キャンベル、ロバート・タパートと共に資金集めに奔走し、「死霊のはらわた」製作にこぎ着けたんですねー。

資金が尽きは制作を一旦中断。資金集めを行って撮影再開なんてことも一度や二度ではなかったようです。

そうした苦労の末完成した「死霊のはらわた」は、スプラッタホラーのカルト的古典として今もファンに愛され、続編(セルフリメイク)となる本作、その続編「キャプテン・スーパーマーケット」、一作目のリメイク版「死霊のはらわた 」を経て、2015年には、ブルース・キャンベル主演で本作から約30年後の物語を描くドラマシリーズ「死霊のはらわた リターンズ」が放映されるなど、今もその勢いはとどまりません。

ざっくりストーリー紹介

死霊のはらわた」が日本で公開された当時は、まさにスプラッタホラー全盛期
ジェイソン、フレディー、チャッキーなど、次々と現れるスプラッタスターが映画館やテレビの洋画劇場で血みどろの惨劇を巻き起こしていた時代です。
そんなスプラッタホラーの決定版として放映されたのが「死霊のはらわた
週末を楽しもうと山小屋に訪れた若者たちが、地下室で見つけた“死霊の書”とテープレコーダー。
うっかり、死霊復活の呪文が録音されたテープを再生してしまったため、仲間たちが次々死霊化して主人公アッシュたちに襲いかかるという内容です。

超恐ろしい死霊たちの特殊メイクや、やり過ぎとも思えるスプラッタシーン、数々のホラー映画を研究して作られたという息もつかせぬ恐怖&ビックリシーンの連続、そしてライミの特徴でもあるブラックユーモアが、これでもかと続く85分はもうね、マジで超怖かったですよ。

で、そんな「死霊のはらわた」の続編として作られた本作は、実質セルフリメイクでして、内容はほぼ一緒なんですが仲間たちはいなくて、主人公アッシュとガールフレンドのリンダ(デニス・ビクスラー)がドライブ中に無断で入り込んだ山小屋で、見つけたテープレコーダーを再生したら……という内容なんですが、ライミがノリノリでブラックユーモアをぶっ込みまくった結果、なんと本作はスプラッタコメディーになってしまったんですねー。

当時の宣伝文句も、「今度はコメディーだ」的な売り出し方だったように思います。(うろ覚え)

映画冒頭、山小屋のピアノを弾くアッシュと、ピアノに合わせて下着で踊るリンダのカップぶりは、他の作品だったら一番最初に惨殺されるパターンですよ。
しかし、復活の呪文が録音されたテープレコーダーをうっかり再生したせいで、リンダが死霊化。アッシュに襲い掛かり――という展開は前作同様なんですが、前作では恋人リンダをナイフで刺し、チェーンソーで首を落とそうとする(首を切ると復活しない)も逡巡し、結局そのまま土葬するアッシュ(その後復活して襲いかかってきたリンダの首をスコップで切る)でしたが、本作では割とサクッと首を切り落とすんですよね。

しかも、それでも復活したリンダがアッシュに襲い掛かり、切り落とした頭だけで右手に噛み付く始末。(とにかくしつこいw)

さらにその後、リンダに噛まれた右手が死霊化
自分の右手と戦うアッシュの一人芝居がわりと長尺で展開されたりするんですが、この辺から本作は完全にコントになっていくんですねー。
で、結局自分の手を切り落としてやっつけたアッシュは、失った手の代わりにチェーンソーを装着し、襲い来る死霊と戦う事になるのです。

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その後合流した、テープレコーダーの吹き込み主(考古学博士)の娘アニー(サラ・ベリー)、そのボーイフレンド、道案内の男とその恋人が加わって、ホラーともコントともつかないドタバタ劇が繰り広げられるんですね。

ぶっちゃけ怖さは半減以下。でもストーリーとしては1作目よりもまとまっていて、すったもんだの末に瀕死のアニーが、封印の呪文で開いた異界に死霊が吸い込まれて一件落着。
かと思ったら、呪文の途中でアニーが意識を失ってしまい、開きっぱなしの異界にアッシュも吸い込まれてしまうんですよねーw(その後、意識を取り戻したアニーが呪文を言い切って異界への門が閉じる)

そしてアッシュは、死者の書に書かれた中世へタイムスリップ。
続編「キャプテン・スーパーマーケット」へ続く――という終わり方。
実は、死者の書”に書かれた伝説の勇者がアッシュだったというオチなんですね。

ちなみに、「キャプテン~」では、アッシュが元の時代に戻るために、アーサー王をぶん殴ったり、(アッシュが)テキトーな呪文を唱えたせいで復活した資料軍団と戦うために共闘するという、ダーク・コメディー・ファンタジー?になっています。

ホラーとコメディは紙一重を証明

よく、「恐怖と笑いは紙一重」と言われますが、本作はその言説を証明した作品になっています。

一作目を撮り終えたあと、コーエン兄弟と組んだ「XYZマーダーズ」(86)を経て、ライミは(おそらく)意識的に、本作をコメディー仕立てにリメイクしたのだと思います。

むしろそれは、セルフリメイクというよりセルフパロディーに近くて、全てにおいてやり過ぎてるんですよね。

埋葬から復活したリンダの様子は、モーションアニメになってるんですが、リンダが自分の首を放り投げながら踊る姿は、ティム・バートンの「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」を連想させるし、鏡に映った自分とやり合うとか、家具が死霊化して笑いながら動き回るとか、アッシュやアニーが浴びる血の量もとにかくアホみたいに大量とか。
とにかく全てがやり過ぎで、観ていて思わず笑っちゃうのです。

続く「キャプテン~」も含め、サム・ライミは世間一般のサム・ライミ=ホラー監督というイメージを払拭しちょうとしたんじゃないかと思いますねー。

興味のある方は是非!!

 

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ゾンビの皮を被ったファミリー映画「デッド・シャック~僕たちゾンビ・バスターズ~」(2017/日本はビデオスルー)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、カナダのゾンビ映画『デッド・シャック~僕たちゾンビバスターズ~』ですよー!

何度かスルーしてたんですが、ジャケットの溶接マスクやトゲトゲの武装の写真が気になってレンタルしてしまいました。

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あらすじ

週末、家族同然に良くしてもらっているスレイド一家と山小屋に行った14歳の少年ジェイソン。
スレイド家長女でジェイソンが密かに思いを寄せているサマー、その弟で親友のコリンと森を探検中にお隣の家を発見した3人は、セクシーな女とバカっぽい男2人が家に入っていくのを見て、「3Pが始まるかも」と家を覗き見。

すると女は二人に毒入りワインを飲ませ、動けなくなった二人をゾンビに食わせていているのを見てしまう。しかも3人は女に発見されてしまった! 

感想

カナダ製作のホラー映画といえば、何と言ってもデビッド・クローネンバーグ監督の「スキャナーズ」が有名でしょうか。

僕ももちろん「スキャナーズ」は好きなんですが、個人的にはクエンティン・タランティーノロバート・ロドリゲスの二本立て映画『グラインドハウス』の嘘予告から長編映画になったホーボー・ウィズ・ショットガン」(2011)が印象深かったりします。

映画自体はしっちゃかめっちゃかなんですが、後半に何の前振りもなく登場する「地獄の使者1号・2号」超カッコイイんですよねー。

で、確かそいつらのどちらかが被っていたのが、溶接マスクだったと思うんですが、何かこう、溶接マスクって中二心をくすぐりませんか? くすぐらないですか、そうですか。

ともあれ、そんな訳で本作のジャケットで、溶接マスクを被っているキャラが超気になってはいたんですが、でも地雷臭もあって3・4回はスルーしてたんですね。
でも、レンタルしたい他作品がほぼ借りられていたので、思い切ってレンタルしたら……見事にハズレを引いてしまったんですよねー。(´ε`;)ウーン…

ゾンビ映画……なのか?

本作を一言で言えば、週末人里離れた山小屋に遊びに行ったティーンが、ゾンビに遭遇するという物語なんですが、……え、…これ、ゾンビなのか? という疑問が。

ネタバレ気味に言うなら、ここに登場するゾンビは、セクシーな女の家族でしてね。
女はこのゾンビ一家のお母さんなのです。

まぁ、この時点で何故お母さんだけ人間なのかという疑問が沸きますが、その辺の説明は最後まで一切ありません。

お母さんは、家族のために町のダイナーで、美貌を武器に適当な男を引っ掛けては、毒入りワインを飲ませて家族のご飯にしているわけですねー。

一方、主人公ジェイソンは家庭が上手くいってなくて、同級生で親友のコリンの一家に家族同然に接してもらっているのです。

学級委員長的な性格のお姉ちゃんサマー、バカな中学生を絵に書いたようなコリン、下品なオヤジギャグを連発して場を凍らせるお父さんのロジャー(コリンは確実にお父さん似)、そしてお父さんの恋人でアジア系のリサ(コリンとサマーはリサの事が気に入っていない)。

ダメな父親とグータラな恋人の結婚話に、リサとコリンは思春期らしく大反対。

序盤はそんな2つの家族の様子が説明されるんですが、この件がどうも長いなーと思いました。

その分、ジェイソン、コリン、サマーの三人が事件を発見してからはサクサクとストーリーは進むんですが、撮り方もあまり上手くないし、ストーリーテリングもヘタなのでホラー的怖さはまったく感じませんでした。

ゾンビ映画の皮を被ったファミリー映画?

この作品は、いわゆるゾンビ映画の体を取ってはいますが、本質的には「家族」を描いた物語。

無神経な父親や明らかに母親向きではない恋人の結婚話に、思春期ゆえ反抗してしまうサマーは、しかし内心ではそんな父親を愛している事を、ゾンビ一家との戦いを通して確認するんですね。

一方、ゾンビ家族にご飯を調達し続けるお母さん。
クライマックスでその心情を激白します。

「ずっと“ご飯”を用意しても、感謝されたことなんか一回もないのよー!!」(意訳)

まさに、世のお母さんたちの心情を代弁するかのような絶叫
個人的に、このシーンが一番心に残りましたねー。

本作はゾンビ映画ではありますが、いわゆる世間一般的な、両親が離婚した家族と、一見幸せだけどお母さんが犠牲になっている家族のメタファーになってるんですよね。

うん、分かるよ。やりたいことは重々分かる。でも、上手くはない。っていう

志の割に映像もストーリーも色々雑だなーとも思いました。

クライマックスに向けたシーンで、ジェイソンがいきなり家庭の事情を話し始めたりね。今かよ!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッっていう。

あと、コメディーとは言えお父さんがビタイチ役に立たないとか、ゆっくりゾンビ(しかも数が少ない)相手なので3人でも全然渡り合えるのはいいとして、明らかに制作の都合でゾンビの数が増えたり減ったりするしね。

いかにも伏線っぽいユニコーンも放りっぱなしだし(お母さんの病んだ心の象徴?)、ラストもなんかスッキリしないし、一応、通少年少女の過儀礼的な結果的な側面もあるけど、誰ひとり成長した描写もないし。

一番の問題は、お母さんの溶接マスクが見た目以外一切活かされてないトコですかね!(←そこ!?)
っていうか、この手の映画にチェーンソーは必須でしょうがー!

あ、あと死んだ人がゾンビになるルールも明確じゃないのは、“ゾンビ映画”としては大問題だと思いました。

 

僕はてっきり、最後の最後にロジャーがゾンビ化すると思ってたんですけどね。(重大なネタバレ)

まぁ、正直お金出してまで観るような映画ではなく、例えばアマゾンプライムの月額見放題で無料で観れるとか、午後ローでたまたまやってたから観るくらいが丁度いいんじゃないでしょうか。

興味のある方は是非。

 

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ステイサムの出世作!「アドレナリン」(2007)&「アドレナリン ハイボルテージ」(2009) *ネタバレ

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、超でっかいサメをナイフ一つで倒す男ジェイソン・ステイサム出世作アドレナリン』と、続編の『アドレナリン ハイボルテージ』ですよー!

今回は久々の再鑑賞なんですがやっぱ面白かったし、個人的にはこの2作のステイサムこそがベスト・オブ・ステイサムだと思いますねー!

あ、ちなみに今回はネタバレ全開で書きますんで、ネタバレ嫌って人は先に映画を観てからこの感想を読んでくださいねー!

いいですね? 注意しましたよ?

 

アドレナリン(2007)

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監督は

本作の監督は、 マーク・ネヴェルダインブライアン・テイラー
DCコミック原作の西部劇「ジョナ・ヘックス 傷を持つ復讐者」(2010)
ニコラス・ケイジ主演でマーベルコミック原作の「ゴーストライダー」(2013)
など、勢いのあるアクション映画を撮った2人で、昨年はニコラス・ケイジが子供を殺そうとしたり両親に命を狙われる「マッド・ダディ」をブライアン・テイラーが監督。

そんな二人の長編デビュー作となるのが、ジェイソン・ステイサム主演の本作『アドレナリン』なのです。

ストーリー

ストーリーは単純。
目覚めたシェヴ・チェリオス(ジェイソン・ステイサム)は「ファッ〇・ユー」と書かれたメモ紙と一緒に、リビングに置かれたDVDを発見。

再生してみると、メキシコ系マフィアのリッキー・ヴェローナ(ホセ・パブロ・カンティーロ)に劇毒を投与されている自分の姿と、その毒が“ペキン・カクテル”といわれるアドレナリン分泌を抑制する毒によってあと1時間で心停止に至ることが告げられる。

これにブチ切れたチェリオスは、友人の医者ドクのアドバイスを受け、あらゆる手段でアドレナリンを出しながら、復讐の為にリッキーの行方を探す。

という内容。

リッキーを探す道すがら、心臓が止まらないようにアドレナリンを出し続ける手段のバリエーションが本作の見所なんですね。

アドレナリン大喜利

で、ステイサムはリッキーを探す道すがら、とにかくアドレナリンを出す為にあらゆる手段を使います。

エフェドリンエピネフリン、興奮剤、コカインなどの薬物摂取はもちろん、敵から身を隠すため入院着に着替えて病院から脱出。
そのままバイクで爆走するも、心臓が弱まってきたステイサムはハンドルから手を離してタイタニックみたいな立ち乗り。なんですが、入院着が風になびいてステイサムのケツが丸出しになるっていう。

パンツまで脱がなくていいだろ!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッww

途中、恋人のイヴ(エイミー・スマート)と行動を共にするステイサム。
チャイナタウンでまたまた心臓が弱ってきて、アドレナリンを出すために公衆の面前でイヴにエッチを迫り、そして……とかねw

もちろん、その間にも次々と現れる敵を片っ端から殴り、斬り、撃ってのぶっ殺し祭り。

下品な下ネタギャグと過度なバイオレンスが交互に描かれるんですねー。

まさに、THE・80年代アクション映画のノリです。

そしてクライマックス。
リッキーの裏で糸を引いていたボスを追って飛び立つヘリコプターに飛びついたステイサム。

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すったもんだの挙句、ボスと共に地面に落下し死亡……かと思いきや、耳から血を流しながら、ステイサムがピクリと動いてエンドロールなんですねー!

とはいえ、ビルより高い上空からコンクリートの地面に落っこちてるわけで、まぁ、普通は死にますよねw

 

アドレナリン ハイボルテージ(2009)

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ステイサムがヘリから落ちて3ヶ月。

どっこい、ステイサムは生きてました!(そりゃそうだ)

実は警察が到着する前に、ステイサムは身柄を中国マフィアに拉致されていたのです。
そして、目を覚ましたステイサムが見たのは、医者らしき男たちが自分の胸を開いて心臓を取り出し、代わりに人工心臓を埋め込んでいる光景。

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その人工心臓はバッテリー式で、定期的に充電が必要。しかも24時間しかもたない粗悪品なのです。

というわけで、ここからステイサムの心臓追跡劇がスタートするのです。

充電大喜利

前作はアドレナリン大喜利でしたが、本作は充電大喜利

早々にバッテリーを壊されたステイサムは、とにかく人工心臓を動かすために車のバッテリーに繋いだバッテリーケーブルを乳首と舌に挟んでビリビリーっと充電!
いや、100歩譲って体にバッテリーコード繋ぐのはいいとして、なんで乳首と舌をチョイスしたのかとw

で、更にその後、瀕死状態になるたび敵から取り上げたスタンガンや高圧電線などで充電

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さらに前回に引き続きドクに相談すると、肌の摩擦で静電気を起こして充電というアドバイスを受け、競馬場で見知らぬオッサンと腕をすり合わせ、見知らぬお婆ちゃんのお尻に腰をスリスリし、挙句恋人のイブとレース中の芝生で……っていうね。
本作では前作以上にステイサムはケツ丸出しでしたよ。

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悪ふざけもハイボルテージ

前作でクライムサスペンスの皮を被ったトンデモバカ映画だということがバレてしまっているので、本作はもう最初からぶっ飛ばしてます。

下品な下ネタギャグも競馬場だけでなく、冒頭の中国マフィアのアジトでは手術直後にも関わらず、医者やギャングを撃ち殺しまくり、警備していたギャングをぶん殴って四つん這いにすると尻にショットガンを突っ込み「俺のストロベリータルト(心臓)は何処だ?」と気が効いてるのか効いてないのか分からないセリフを吐く。
よそ見運転で車が路側帯に正面衝突し、フロントガラスを勢い良く突き破って道路に放り出されたり、盗んだパトカーで逃亡していると何故かAV女優や男優のストライキに遭遇したり。

高圧電流で充電したときは、何故か巨大化(そして何故か顎が伸びる。ホント何故だ!w)して、同じく巨大化した敵と戦うステイサム。(まぁステイサムの妄想なんだけど)

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なんか、超しょぼい怪獣映画チックな映像が繰り広げられます。

クライマックスでは、前作で死んだはずのリッキーも生きてましたよ!
ただし首だけで。

…って、何でやねん!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッww

もちろん人も前回以上にサクサク死んでいくので、観てるとムスカ気分が味わえますよーw(「人がゴミの…ry」)

開き直りなのかやけくそなのか分からない悪ふざけが、文字通りハイボルテージで繰り広げられるんですねーw

まぁ、一見すると…っていうか全編見ても、トンデモバカ映画には違いないんですが、意外と物語に必要なディテール描写は丁寧だし、何より物語のテンポも速いくて、ワンアイデアを考え抜いて観客が飽きないように観せてるんですね。

その辺の手際の良さやスピード感で、一気に突っ走る感じは生理的に気持ちいいし(もちろん肌に合わない人もいるでしょうが)、僕は大好きなんですよねー。

興味のある方は是非!!

 

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大人の少年と少女の物語「ビューティフル・ディ」(2018)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、バットマンの宿敵ジョーカーの単体映画「Joker」でジョーカー役に抜擢された、ホアキン・フェニックス主演の『ビューティフル・ディ』ですよー!

少年は残酷な弓を射る」(2011)のリン・ラムジーが脚本・監督ということで、とにかく一筋縄ではいかない映画になってました!

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概要

第70回カンヌ国際映画祭で男優賞と脚本賞に輝いたスリラー。失踪した少女の捜索で生計を立てる男が、ある依頼によって思わぬ事態に直面する。メガホンを取るのは『少年は残酷な弓を射る』などのリン・ラムジー。『ザ・マスター』『her/世界でひとつの彼女』などのホアキン・フェニックス、ドラマシリーズ「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」などのジュディス・ロバーツ、ドラマシリーズ「GOTHAM/ゴッサム」などのジョン・ドーマンらが出演。(シネマトゥディより引用)

感想

ジョナサン・エイムズの原作小説を、「少年は残酷な弓を射る」のリン・ラムジー脚本・監督で映画化した本作は「21世紀のタクシードライバー」と賞賛され、カンヌ映画祭で男優賞と脚本賞を受賞したそうです。

僕は、本作がリン・ラムジー監督初体験なんですが、いくつかのレビューを読むと「レオン」(94)を絡めたレビューがあって、そのつもりで観たら確かに近いけど真逆な映画になってましたねー。

大人の少年と少女の物語

どちらも「大人の少年と少女の物語」という点は一緒なんですが、レオンがイノセントな存在として描かれているのに対し、ホアキン演じる本作のジョーは父からのDVによって少年時代(過去)から抜け出せずに苦しんでいる男なんですね。

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また、「レオン」は殺し屋レオンとマチルダの(精神的)恋愛を描いているのに対し、本作のジョーとニーナは心に傷を負った者同士であり、鏡合わせ的存在なのです。

女性の行方不明者捜索・救出のスペシャリストであるジョーがその職を選んだのは、元兵士として敵国で人身売買や理不尽な暴力に晒される少女や女性を救えなかった後悔からだし、彼が敵を殺すのにハンマーを使うのは父親がDVで使っていたからです。

そんなある日、彼のもとにアルバート・ヴォット上院議員から娘の救出依頼が。
誘拐されたニーナが高級少女売春宿で働かされているのが分かったのです。
しかし、議員は選挙中にその事実を明るみに出すわけにはいかず、ジョーに内密にニーナ救出を頼むわけです。
「奴ら(少女売春宿の連中や客)を“痛めつけて”くれ」という短いセリフに、議員の強い怒りが表されていましたねー。
そうして、ジョーはハンマー片手にニーナ救出に向かうのだが……という物語。

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この筋立てだけ見れば「あー、よく見るやつね」と思うかもですが、そこは「少年は残酷な弓を射る」で映画界をざわつかせたリン・ラムジー一筋縄ではいきません。

音楽のクセが凄い

本作でサウンドトラックを担当したのは、世界的人気を誇るロック・バンド「レディオヘッド」のグリーンウッド。
例えば、緊張感と不穏な空気が高まるシーンでは神経を逆なでするノイジーでメタリックな不協和音が鳴り響いたり、犯罪組織に迫るシーンでは、重低音が主人公の鼓動を表現するかのように高まっていったりと、一つ一つのシーンやカットと前衛的な音楽が完全にシンクロしてるんですよね。

かと思えば、年老いた母親とジョーのシーンでは、母親が「サイコ」を見ていたと言うとジョーが例のシャワーシーンの音楽を口真似したり、サミュエル・フラーの『裸のキッス』の音楽を使ってたり、自宅に乗り込んできた敵の男を瀕死の状態にしたジョーが、死にゆく男と二人で「I've Never Been to Me(愛はかげろうのように)」を口ずさんだり。

ちなみにこの曲の歌詞は、劇中の二人の状況としっかりリンクしてたりします。

ホアキン・フェニックスの肉体の説得力

普段はシュッとした美男子のホアキンですが、本作ではでっぷりとした贅肉をつけて白髪まじりの髭と髪も伸ばしています。
体重が重いこともあり、歩くときもドスドスした感じで、筋肉ムキムキボディではなく厚い贅肉の下にうっすら筋肉がみえる感じは、「きっとリアルに強い男の体って、こんな感じなんだろう」という説得力があるんですよね。

また、特殊メイクでつけたであろう背中の傷などは、彼が過酷な状況で生きてきた事をセリフや表情で“説明”するのではなく、映像で“語って”いるんですね。

映像で“語る”映画

本作はびっくりするくらいセリフが少ないし、回想の入れ方やカットの繋ぎ方なんかも普通の映画とはちょっと違ってて、そこに違和感を感じるんですね。
もちろんそれは意図的にそうしていて、観客が感じる違和感やある種の不快感は、ジョーの頭の中を映像化する試みなのだと思います。

幼少期のトラウマやPTSDに苦しむジョーの脳内を、(前述の音楽も合わせ)まるで悪夢の中をさまようジョーの脳内を観客に追体験させるように描いているんですね。

また、バイオレンスなアクションシーンをほぼ直接的に描かくことはなくて、例えば防犯カメラの映像で観せたり、殴られたり撃たれたりする相手が映らないようにしていたり。監督によると自身がアクションシーンを撮ったことがないってのもあったらしいですが、あえて暴力描写を見せないようにすることで、観客に想像させる狙いもあったみたいですね。

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画像出典元URL:http://eiga.com

これは、初期の北野たけし映画にも通じるメソットで、あえて暴力描写を直接的に見せないで、始まりと結末を見せることで暴力を想像させてるのです。

だからハリウッドアクション映画的な安易なカタルシスはこの映画にはないし、ジョーという男も少女を救うヒーローとしては描かれていません。

なので、「レオン」的な映画を望んで本作を観ると、肩透かしを食らっちゃうかもしれませんねー。

その辺が正直、個人的にこの映画が面白かったかどうかの判断に迷うところだったりしますがw

この映画だからなのか、リン・ラムジー作品だからなのかは分かりませんが、例えばハリウッドアクション映画が8ビートや16ビートの聞きやすいロックだとすると、本作は変拍子を多用するプログレ的?な音楽(あまり音楽詳しくないので例え的に間違ってたらスイマセン)で、最初は少々戸惑うかもですが、本作のリズムを掴んでくるとどんどん作品の世界に引き込まれて行くと思います。

興味のある方は是非!!!

 

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テイラー・シェリダンによる現代版西部劇三部作の完結編「ウィンド・リバー」(2018)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、「ボーダーライン」「最後の追跡」の脚本家 テイラー・シェリダンが脚本・監督を務めた『ウィンド・リバー』ですよー!

ホークアイ役のジェレミー・レナーとスカーレット・ウィッチ役のエリザベス・オルセンという「アベンジャーズ」コンビが、先住民居留地ウィンド・リバー」での少女“殺人”事件の謎を追っていく過程で、ウィンド・リバーの過酷な現実とアメリカの闇を描き出す骨太な社会派ミステリーです!

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画像出典元URL:http://eiga.com

概要

最後の追跡』などの脚本を手掛けてきたテイラー・シェリダンが監督と脚本を務めたサスペンス。ある事件を調べる女性FBI捜査官と地元のハンターが、思わぬ真相にたどり着く。『アベンジャーズ』シリーズなどのジェレミー・レナー、『マーサ、あるいはマーシー・メイ』などのエリザベス・オルセン、『スウィート・ヘル』などのジョン・バーンサルらが出演。『最後の追跡』で音楽を担当したニック・ケイヴウォーレン・エリスが本作でも組んでいる。(シネマトゥディより引用)

感想

現代アメリカのフロンティア、辺境の地の現実を探求する三部作完結編

脚本・監督を務めたテイラー・シェリダンによると本作は、
メキシコ麻薬戦争を描いた「ボーダーライン」
家族の土地を守るため銀行強盗を繰り返す兄弟と、彼らを追う年老いたテキサス・レンジャーを描いた「最後の追跡

に続く、現代アメリカのフロンティア、辺境の地の現実を探求する三部作の完結編。なのだそうです。

とは言っても、それぞれの作品に関連性はなくて、テイラー・シェリダンが同じテーマで描いた三作品であり「現代版西部劇」三部作という感じ。

そして、本作のキャラ配置や役割はほぼ「ボーダーライン」と一緒で、FBI捜査官ジェーン(エリザベス・オルセン)が、まったくルールの違う土地に放り込まれて、その土地の内情を知り尽くした男コリー(ジェレミー・レナー)と協力して事件に挑む。という内容。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 地元警察はほぼ左のオッサンしか登場しないのです。

まぁ「ボーダーライン」ほどFBI捜査官が完全に蚊帳の外って訳ではない。という違いはありますけども。

で、捜査を進めるうちに事件やその土地に横たわる過酷な背景を、“よそ者”であるジェーンの目を通して観客が知っていくという構成なんですね。

ただ、アメリカと日本の警察システムの違いや、ウインド・リバー(先住民居留地)という土地の成り立ちや状況を知らずに観ると、劇中の描写だけでは日本人にはちょっと分かりづらいかもなーって思ったりしました。

ざっくり解説

というわけで、映画の背景となる警察組織のあり方や、ウィンド・リバーの状況を「タマフル」での町山智浩さんの解説をパク…参考にざっくりと解説したいと思います。

アメリカの警察システム

アメリカの場合、警察は市警察・州警察・連邦警察(FBI)があります。
西部劇などに出てくる保安官は、警察ではなくて郡に属する政治家に近い立場の人で、地元の選挙で選ばれるのだそうですね。

市・州・連邦警察にはそれぞれ管轄があって、市警察はそれぞれの市の中以外は捜査権がなく、州警察は主に市と市を繋ぐ高速道路などが管轄。市や州をまたぐ事件はFBIが捜査する決まりなんですね。

で、今回のウィンド・リバー(先住民居留地)は連邦政府、つまりFBIの管轄なのです。

で、物語は少女の遺体をコリーが雪山で発見することからスタートするんですが、少女の死因は零下30度の冷気を吸い込んだことで肺が凍って死亡、つまり一応は自然死なんですね。

遺体を調べるとレイプされていることが分かるんですが、レイプ事件は連邦法ではなく州の法律で規定されているので、FBIには捜査が出来ない。

しかし、州警察や市警察は連邦政府の管轄である居留地の中では捜査権がないので、レイプ犯を捕まえることも裁くことも出来ないのです。

で、このウインド・リバーは鹿児島県と同じぐらいの面積に2万人以上の先住民が暮らしているのに、警察官はたった6人

そんな状況もあって、ウィンド・リバーでは(ほかの土地と比べて)異常にレイプとか女性の行方不明者が多いっていうルポ記事がニューヨークタイムスに載って、それを読んだテイラー・シェリダンが、(居留地在住のネイティブ・アメリカンの)友人のつてで地元を調査して脚本を書いたのが、本作「ウィンド・リバー」なのです。

ウィンド・リバー先住民居留区

ご存知のように、アメリカは元々はネイティブ・アメリカンの土地だったのを入植してきた白人が奪っていった歴史があって、ネイティブ・アメリカンの多くは、合衆国が管理する先住民居留区に押しやられてしまったわけですが、このウィンド・リバーもその一つ。
ワイオミング州の山岳地域にあるので、とにかく寒い不毛の土地なんですね。

そこに暮らす先住民たちは、仕事や収入も少なく(10代の)自殺者もずば抜けて多いらしいし、石油? は出るけど土地は政府のものなので、採掘権がない住民は全然潤わない。

つまり、この映画は少女の死の真相を描きながら、アメリカという国が抱える原罪を暴いていくストーリーなのです。

ざっくりストーリー紹介

物語は、雪の中18歳の少女が“何者か”から走って逃げているシーンからスタートします。この時、女性の声で詩の朗読がオーバーラップするんですが、これは後のある伏線になってます。

場面変わって、合衆国魚類野生動物局の害獣ハンターであるコリー( ジェレミー・レナー)が奥さんと話してるシーンに移るんですが、奥さんは元々ウィンド・リバーの先住民で二人は離婚してるんですね。

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画像出典元URL:http://eiga.com / ジェレミー・レナーは弓をライフルに持ち替えて大活躍

どうやら二人が離婚したのには何か理由があることが匂わされます。

そして、コリーは息子を連れて依頼を受けたウィンド・リバーに仕事に行くんですが、その最中に少女の遺体を発見。警察所長はFBIに連絡し、女性捜査官のジェーン(エリザベス・オルセン)が派遣されます。

しかし検死の結果、少女はレイプされ逃げている途中で零下30度の冷気を吸い込んで肺が凍ってしまったことによる“自然死”であることが判明。

https://eiga.k-img.com/images/movie/87616/photo/4fbf53323638aab8/640.jpg?1530167171

画像出典元URL:http://eiga.com / 唯一捜査権を持つFBI捜査官として孤軍奮闘するエリザベス・オルセン

それだとFBIは捜査が出来ないので、ジェーンは詳しい検死結果が判明するまでの6日間で、何とか捜査を進めようとしますが、FBIの増援は頼めないので、地元の警察所長と、ウィンド・リバーを知り尽くすコリーの協力を得ながら捜査を進めていくのだが……。という物語。

少女に何があったのかと、ウィンド・リバーの特殊な事情が並行して描かれて行くわけです。

“謎解き”がメインではない

冒頭で社会派ミステリーと書きましたが、基本的には一本道のストーリーなので事件の謎解きがメインの物語というわけではありません。
むしろ、捜査を進めるうちにウィンド・リバー居留地という土地の特殊性や実情を徐々に明らかにしていく事が物語のメインなんですね。

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画像出典元URL:http://eiga.com / ジェレミー・レナーが胸につけてるアレがずっと気になった。(湯たんぽ的な何か?)

 また、物語が進む中でコリーと奥さんとの離婚の理由なども明らかになっていきます。

その辺の物語の進め方、伏線の張り方と回収の仕方は、さすが脚本家として評価の高いテイラー・シェリダンだなーと思ったし、不穏な空気が高まり、突如始まるバイオレンス描写も「ボーダーライン」を彷彿させるなーと思いました。

不満点

物語が進むごとに善悪の境界があやふやになって、観客の倫理観を揺さぶる「ボーダーライン」とは違って、本作はわりと善悪がハッキリしているし、クライマックスで行われる報復もアバンの少女と対になってたりして、観ていてスッキリするんですね。

ただ、中盤で会って間もないジェーンにコリーがベラベラと身の上話を語るシーンや、コリーが被害者の父親を慰める(というより説教) シーンは、物語全体のトーンから浮いているように感じました。

それと北国住まいの観からすると、零下30度の冷気を吸い込むと肺が凍るっていうのや、そんな状況で少女が10キロ走り続けたってのも、ちょっと飲み込みづらいっていうか。
少女は零下30度の中を、薄着のまま“裸足”で走り続けたから体温が低下、さらに口から大量の冷気を吸い込んだ事で肺が凍ったってことだと思うんですが、ただ零下30度の冷気を吸い込んだから――では、少々説明不足かなと。

あと、雪山が舞台という特殊な状況もあるかもですが、絵面にそんなに変化がないとか、脚本家としては優秀だけど監督としては荒いなーと思う部分もあったりしました。

デジタルで撮影してるから、映像がのっぺりしているみたいなのは、個人的にはそれほど気にならなかったですけども。

テーマがテーマなのでドスンと重い映画ではありますが見ごたえがあるし、映画としては若干地味ではあるけど印象深い作品だと思いましたねー。

興味のある方は是非!!!

 

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