今日観た映画の感想

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ボンクラ映画ファンのためのボンクラ映画!「フリー・ファイヤー」(2007)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、巨匠マーティン・スコセッシが製作総指揮に名を連ね、「ハイ・ライズ」(僕は未見)などのベン・ウィートリーが監督した“銃撃戦映画”『フリー・ファイヤー』ですよー!

『90分ノンストップ銃撃バトルロイヤル』のキャッチコピー通り、敵味方入り乱れてひたすら銃で撃ち合うだけの映画でしたーw

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画像出典元URL:http://eiga.com 

あらすじと概要

名匠マーティン・スコセッシ監督が製作総指揮に名を連ねたアクション。拳銃の密売取引をしようとする2組のギャングが、あるトラブルを契機に壮絶な銃撃戦を繰り広げる。監督は『ハイ・ライズ』などのベン・ウィートリー。『ルーム』などのブリー・ラーソン、『第9地区』などのシャールト・コプリー、『プルートで朝食を』などのキリアン・マーフィ、『ローン・レンジャー』などのアーミー・ハマーらが結集する。

ストーリー:拳銃の密売取引をしようと、2組のギャングが場末の倉庫にやって来る。張り詰めた空気の中で取引を進める彼らだったが、思いも寄らないトラブルが起こってしまう。それを機に交渉はこじれ、銃撃戦が発生し……。(シネマトゥデイより引用)

感想

70年代のアメリカが舞台

本作の舞台は70年代のボストン(うろ覚え)。
アイリッシュギャングと南アフリカの武器商人が、廃工場で銃器の密売取引をするわけですが、話がこじれて銃撃戦に突入。
そこに謎のスナイパーも参戦し、敵味方入り乱れた銃撃戦バトルロイヤルに発展するという、僕みたいなボンクラ映画ファンには垂涎ものの映画でCGはほとんどなし、500個の爆薬の起爆剤と6000発の銃弾を使って、90分の作品中60分以上ひたすら銃撃戦という狂った映画でしたw

銃撃戦の引き金は?

映画冒頭、ふたりの男が車で話してるんですが、そこで運転手のスティーヴォ(サム・ライリー)が昨晩ケンカをして殴られたらしい事が分かります。

で、彼らが向かっていたのは、町外れの廃工場。
彼らはアイリッシュギャングの一員で、廃工場で仲間と合流して南アフリカの武器商人からライフル30丁を買う取引をしようとしているわけです。

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画像出典元URL:http://eiga.com /ライフルを買いたいアイリッシュギャングの皆さん

そして少し遅れて武器商人グループも到着。
双方曲者ぞろいで、取引は最初からギスギスした雰囲気で始まるもののなんとか無事に成立。

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画像出典元URL:http://eiga.com / ライフルを売りたい武器商人のみなさん(女性と顎ヒゲは仲介役)

ところが、ライフルを運び込むための車を運転していたのは、ステーヴォのケンカ相手でピン芸人のマツモトクラブに似てるハリー(ジャック・レイナー)だったからさぁ大変。スティーヴォを見つけたハリーはいきなり殴りかかってひと騒動。

ハリーによれば、スティーヴォはバーで彼の17歳の従姉妹をナンパ、フラれた腹いせにビール瓶で殴って病院送りにしたらしいんですね。

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画像出典元URL:http://eiga.com / すべての元凶1・スティーヴォ(中央)
場を収めるためアイリッシュギャングのリーダーフランク(マイケル・スマイリー)がスティーヴォに制裁を加え、ハリーに謝罪させるんですが、腹の虫が収まらないスティーヴォが、ハリー(と従姉妹)を侮辱、怒ったハリーがスティーヴォを拳銃で撃ち……。それが、ノンストップ銃撃戦の引き金になるわけですねー。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 全ての元凶2・ハリー

一番怖いのは有能な敵じゃなく無能な味方」っていう言葉を思い出しましたよw

ワンシチュエーション

というわけで、本作は倉庫の中でふた組のギャングが撃ち合うというワンシチュエーション・アクション・コメディー(?)

舞台設定やキャラクター、ストーリーの運びなど、タランティーノ初期の作品「レザボア・ドッグス」を連想させる本作ですが、似て非なるものっていうか、タランティーノのように洗練されたオシャレ感はなく、登場人物たちは腕や足に銃弾を喰らい、血と砂やホコリにまみれ、地べたを這いずりながらひたすら銃を撃ち合う、どちらかといえばサム・ペキンパー的? な泥臭いガンアクション。
登場人物が全員情けなくてカッコ悪くて、誰にも感情移入出来ないっていうのは斬新だと思いましたw

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画像出典元URL:http://eiga.com 

多分、監督はキャラクターに感情移入させる気はさらさらなくて、むしろ、本人たちは必死だったりカッコつけたりしてるけど、一歩引いて見ると滑稽な状況を、わざと客観的に突き放して描いている気がしました。
チンピラのケンカを遠巻きで見てるような感じっていうんですかね。

それはそれでいいんだけど、ワンシチュエーションの中でキャラクターのやりとりからストーリーを上手く膨らませるという点では、やや微妙な感じもしましたねー。

中々当たらないし中々死なない

で、そんなすったもんだあって銃撃戦が始まるんですが、どいつもこいつも中々弾が当てられないし、当たっても中々死なないんですね。
これはFBIの銃撃事件の報告書を山ほど読んだウィートリー監督が、「臓器を失っても人間はそうあっさり死なない」という報告を元に、本作のストーリーを組み上げていったからだそうです。

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画像出典元URL:http://eiga.com 

まぁ、確かに訓練を積んだプロの兵士でも殺し屋でもないギャングたちが、物陰に隠れて狙いも定めずにバンバン撃ち合ってるんだから、そうそう銃弾も当たらないんだろうし、当たったとしても腕や足なら、撃たれた方だって相手に反撃すでしょうから、ある意味これが本当のリアルなのかも。

ただ、だからといって普通はこんな泥沼の状況になることは、めったにならないでしょうし、お前らどんだけ銃弾持ってきすぎだろって話ですけどねw

ボンクラ映画好きのためのボンクラ映画

そんな感じで本作は、最後に何か大どんでん返しがあるわけでもなく、観たからといって人生の教訓になりそうな「何か」があるわけでもなく、ひたすら鉄砲を撃ち合うだけの映画なので、好き嫌いはかなりハッキリ分かれると思います。

特に、ストーリーを追って映画を観ていく人は、観終わったあとに「なんじゃこりゃ」とガッカリするかもしれません。

ただ、何ていうか、両手持ちで狙いを定める効率的でリアルな(に見える)ガンアクションではなく、撃たれたら(狙いもつけずに)撃ち返すだけっていう、近年のアクション映画では中々観られないグダグダなガンアクションを90分間観られるので、鉄砲を撃ちあったり爆発したり血が出る映画が大好きな、(僕も含めた)ボンクラ映画ファンならきっと楽しめるんと思いますよw

興味のある方は是非!

 

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おばけアベンジャーズ第一弾!?「ザ・マミー/呪われた砂漠の王女」(2017)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、ユニバーサルがこれまで手がけたモンスター映画を復活させるプロジェクト「ダーク・ユニバース」第一弾『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』ですよー!

みんな大好きトム・クルーズが、ミイラの女王に追い掛け回されたり対決したりする映画です。(雑な説明)

で、本作はネタバレしても面白さ自体は損なわれないタイプの作品だと思うので、サラッとネタバレも入れながら感想を書いていきます。
なので、これから本作を観る予定の方は、先に映画を観てからこの感想を読んでくださいねー!

いいですね? 注意しましたよ?

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画像出典元URL:http://eiga.com

あらすじと概要

1932年製作の『ミイラ再生』を新たによみがえらせたアクションアドベンチャー。エジプトの地下深くに埋められていた王女の覚醒と、それを機に始まる恐怖を活写する。監督は『トランスフォーマー』シリーズの脚本や『グランド・イリュージョン』シリーズの製作などを務めたアレックス・カーツマントム・クルーズラッセル・クロウら、ハリウッドスターが出演している。

ストーリー:中東で、古代エジプトの文字が刻まれた石棺が発見される。その発掘に居合わせたアメリカ軍関係者のニック(トム・クルーズ)は、考古学者のジェニー(アナベル・ウォーリス)らと共に調査のために石棺をイギリスに運ぶ飛行機に乗り込む。だが、フライト中に思いも寄らぬアクシデントが起きて、ニックをはじめとする軍関係者を乗せたまま輸送機はロンドン郊外に墜落し、石棺の所在もわからなくなってしまう。(シネマトゥデイより引用)

感想

「おばけアベンジャーズ」? 第一弾

本作は、ユニバーサルの過去に製作したホラー映画をリブートしたフランチャイズ作品、つまりモンスター大集合の「おばけアベンジャーズ」の第一弾として制作された作品みたいです。

主演はみんな大好きトム・クルーズ、シリーズ全体の鍵を握るジキル博士役にはラッセル・クロウと豪華キャストのビックバジェット作品。
ところが、いざ蓋を開けてみると評価の方は散々で、あまりにもコケすぎて企画自体が頓挫したという噂も。

なので僕も期待値ゼロの状態で観たんですが……「ん? そこまで酷くもないんじゃない?」って思いました。
いや、だからと言って超面白かったー! って程ではないし、ハードルを下げまくった状態で観たからかもですが、個人的には割と楽しめたんですよねー。

「ミイラ再生」とは

本作の元ネタである「ミイラ再生」は、1932年製作のホラー映画です。
僕はこの作品は未見なんですが、ネットであらすじを読んでみると、

1921年のエジプト。大英博物館の遺跡調査団は古代の高僧イムホテプのミイラを発掘すると、ミイラは息を吹き返して逃走。
1932年のエジプト。なかなか成果を上げられない大英博物館の遺跡調査団に、人間の姿を取り戻したイムホテプが女王の墓の場所をリーク。女王のミイラを掘り出させます。
で、女王を復活させるために夜中の博物館でこっそり復活の儀式をすると、女王の生まれ変わりのヒロインに混信? 

過去を見せられたヒロインは、女王に意識を乗っ取られ、イムホテップによる中断した魂再生の儀式を受けることになる(ヒロインが死んで女王が蘇る?)けど、「やっぱり生きていたい」とヒロインの願いにイシスの女神が応えて、イムホテップが持つ呪経を神火で焼いて儀式は失敗。ヒロインは助かり、イムホテップは再びミイラに戻る。

というストーリーらしいです。

で、1999年制作にこの「ミイラ再生」をアクション映画としてリブートした『ハムナプトラ/失われた砂漠の都』が大ヒット。シリーズ化したのは記憶に新しいところですが、本作は設定をまるっと入れ替えて、トム・クルーズ演じる主人公を見初めた女王のミイラが復活。
トムを追い回すという物語になってるんですねー。

今回のトムは墓荒らし?

今回、トム・クルーズが演じるのは米軍の軍曹ニックで、偵察任務のついでに発掘した遺跡を売りさばいて小遣い稼ぎをしているという設定。

何かこの設定の段階で少々無理がある感じがしますよねw
っていうか、そんなことしてたら普通に捕まって軍法会議ものだと思うんですけどね。

で、たまたまナンパしたヒロインで考古学者のジェニー(アナベル・ウォーリス)から盗み出した地図で、「偵察任務のついでにサクッとお宝ゲットだぜ! (`・ω・´)bキリッ」 と相棒のクリス(ジェイク・ジョンソン)と現場に行ったら、そこはテロリストのアジト。
「よっしゃ、忍び込んでサクッとお宝盗み出そうぜ!  (☆´-ω-)v」と、ニックは嫌がるクリスを引っ張ってアジトに乗り込み、あっという間に見つかって追い回され、窮地意に陥り、米軍に救出要請。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 適当なニックに翻弄される気の毒なクリス

ギリギリのところで、米軍の爆撃機がピンポイント爆撃で敵を撃退し、その衝撃で封印されていた女王の柩が出土するっていう無理矢理な展開。

でもアレですよ。これはきっと「最初にアクションで盛り上げよう」というトムのサービス精神なんですよ。多分。

で、この女王は生死を司るセト神を呼び出すための生贄(というか依代?)そっくりだったニックをロックオン! 呪いを受けたニックは不死の体になって、女王に追い回されたり、幻覚を見せられたり、ポイポイ投げ飛ばされたりと、墓荒らしの天罰を食らいまくるわけですねーw

ミイラの女王役は「キングスマン」で女殺し屋を演じたソフィア・ブテラ

そんなミイラの女王アマネットを演じるのは、スパイ映画「キングスマン」で義足の女殺し屋を演じたソフィア・ブテラ

エキゾチックな顔立ちでスタイルもいい彼女は、妖艶な女王役にピッタリでしたねー。
生者の命を吸い取りながら、最初のカラカラのミイラから、第二・第三・第四形態と、シン・ゴジラ並に生前の姿を取り戻していく感じも良かったです。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 妖艶な美しさと怖さを併せ持つ女王アマネット

もし命を吸われるなら、せめて完全体の彼女に吸われたいって思いましたねーw

あと、ネットの感想では、彼女が何をしたいのかよく分からないという意見も多かったですが、彼女の目的はハッキリしていて、セト神を復活させて嫁になって世界を征服することだと思ったんですけど。違うのかな?

スーサイド・スクワッド」の魔女エンチャントレスに似ているという指摘もあって、確かにキャラは被ってますけど、エンチャントレスに比べれば、目的がハッキリしてる分、分かりやすいキャラと思いましたねーw

シリーズの鍵を握る秘密組織のリーダージ キル博士

映画中盤、ヒロインの考古学者ジェニーが協力している秘密組織「プロディジウム」の存在が明らかになります。
どうやら、世界中のモンスターを調査してるっぽい秘密組織で、組織のリーダーはなんと、「ジキルとハイド」のジキル博士。演じているのはラッセル・クロウです。

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画像出典元URL:http://eiga.com / ジキル博士とハイドの一人二役を演じるラッセル・クロウ

女王に魅入られたニックを囮に使い、女王捕獲に成功したジキル博士。
ニックに対して「世界を救うためにお前にセト神を憑依させてお前ごと殺すから(´∀`)」と和やかに宣言。ジキル博士、最初からハイド寄りですw

と、すったもんだの末にお薬が切れて、博士がハイド化、ニックと格闘シーンに。
トム・クルーズvsラッセル・クロウ夢の対決です。

ただ、残念だったのはジキルとハイドの見た目が殆ど変わらなかったこと。
まぁ、あんまり見た目を変えちゃうとハルクのパクリ(いや、そもそもハルクが「ジキルとハイド」を元ネタにしてるんですが)みたいになっちゃうので仕方ないっちゃ仕方ないんでしょうけども、もうちょっと見た目の変化が欲しかったですねー。

あと、「悪」を科学的に研究したらウィルスがどうたらいってましたが、そこの理屈はイマイチ分からなかったですw

アクション・コメディー・セクシーなど色んな要素が盛りだくさん

「ダークユニバース」なんて大仰な名前がついてるので、ホラー系なのかなーと思ってたんですが、アクションとコメディー、トム・クルーズのお尻丸出しセクシーショットなど盛りだくさんの内容で、ホラー感はほぼなかったですねー。

特にアクションの方は、さすが我らがトム・クルーズ主演だけあって、前述したテロリストとの銃撃戦や、二人が屋上に乗ったままビルが崩れ落ちるシーンは迫力満点。

また、女王の呪いによって、ニックとジェニーの乗った輸送機が墜落するシーンでは、本当の飛行機の中にセットを組んで、急上昇からの急降下で無重力状態を作り出した映像と、スタジオに飛行機内部のセットを作って クルクル回転させながら撮影した映像を組み合わせて、臨場感のあるシーンになってました。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 身体能力の高さを見せつけたアナベル・ウォーリス

ちなみに、この撮影でほかのキャストやスタッフはヘロヘロになってたらしいですが、トムとヒロイン役のアナベル・ウォーリスだけはピンピンしてたそうですよ。

あとニックの相棒クリスも呪われて亡霊となるんですが、そんな彼とニックの掛け合いも中々面白かったですねー。

セト神復活の鍵

女王が望むセト神の復活のためには、セト神を召喚する力をもつ赤い石がついた短剣で、生贄のニックを刺さないといけないんですが、女王が封印されたあと、その墓場を発見した十字軍によって赤い石は盗まれて十字軍の偉い人とともにロンドンの地下に埋葬されているんですね。その赤い石を壊せば呪いが解けることをジェニーが突き止め? 中盤以降は女王とニックの赤い石争奪戦になっていくわけです。

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画像出典元URL:http://eiga.com

ただ、この辺の設定を上手く整理できていない=登場事物の目的がどうにも分かりづらいんですよね。

映画冒頭で、十字軍の葬儀が行われ、赤い石がこれみよがしに遺体とともに埋葬されたと思ったら、すぐに女王の生前(なぜミイラになったか)のエピソードが始まるので、観ている方は混乱してしまうんですよ。
っていうか、十字軍は別に物語に絡まないので、赤い石と埋葬のシーンはいらないんじゃないかなと思いましたねー。それとも、ユニバース的な伏線になる予定だったのかな? (´ε`;)ウーン…

結局すったもんだあって女王に殺されたジェニーを生き返らせるために、ニックは自ら短剣で胸を刺し、セト神の力を手に入れて女王をミイラに戻し、ジョニーも生き返らせて旅に出る。というストーリーです。多分。

なぜここまで酷評されるのか

事ほど左様にアクションにしろ、コメディーにしろ、一つ一つの要素は決して悪くないし、物語の筋だけ追えば面白くなりそうな感じなんですが、それがなぜここまで酷評されたかというと、

・シーンの組み立てや全体の構成が良くなかったので分かりにくい。
・前フリが弱く起こっている事の状況が分かりにくい。
・シリーズ化を見越して無駄にエピソードを盛り込みすぎたので分かりにくい。
・主人公のキャラがぶれてるので分かりにくい。(僕はそこまで気にならなかった)
・ストーリーはどこかで見たような感じで目新しさ皆無。(しかも荒い)

などの理由が挙げられると思います。

その辺は脚本の問題と、本作が長編監督二作目というアレックス・カーツマン監督の力量不足が大きいんじゃないかと思いますねー。

ていうか、そもそもモンスター選びに問題があったのでは? っていうのもあって、最初がミイラって…… っていうね。
個人的に、(馴染みがないこともあり)ミイラって他のモンスターに比べて、怖さがイマイチよく分からないんですよ。

なので、最初は吸血鬼や狼男とか、もっとメジャーで観客の食いつきがいいモンスターからスタートしたほうが良かったんじゃないかなーと思いました。

マーベルの成功以降、二匹目のドジョウを狙って大手映画製作会社が次々と「〇〇ユニバース」を作りまくりですが、マーベルの場合、(有名無名問わず)それぞれのキャラクターを一旦解体、現代に合うように組み直して「全く新しいヒーロー」として1からスタートしたから大ヒットしたわけで、有名キャラクターを集める「ユニバース」モノは簡単そうでいて、実ははかなりハードルが高いんですよね。

本作の場合、トム・クルーズ力(りょく)とビックバジェットならではの映像のリッチさがあるから、個人的にはまぁまぁ面白かったですが、「ユニバース」ものの第一弾は“まぁまぁ”ではダメで、続きが見たい! と思わせるような「単体の映画」としても面白い作品にしないと難しいですよねー。

まぁ、万が一「ダークユニバース」第二弾があれば、僕はきっと見ちゃうんでしょうけどねw(←チョロイ)

興味のある方は是非!

 

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同名人気漫画をキムタク主演で実写映画化……でも微妙「無限の住人」(2017)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、 漫画家 沙村広明の同名作品を、三池崇史木村拓哉で実写映画化した『無限の住人』ですよー!

この作品、僕は原作未読なので、あくまで映画だけの感想になってしまいますが、一言で言うなら正直「微妙」な作品でした。
つまらないわけではないんだけど、面白いかと言われると……(´ε`;)ウーン…っていう感じ。

今回はその辺の理由を、自分なりに考えて見たいと思いますよー!

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あらすじと概要

監督・三池崇史、主演・木村拓哉で、国内外で高い評価を受ける沙村広明の人気コミックを実写映画化したアクション。無為に生きる不死身の剣士・万次と、復讐(ふくしゅう)のために彼を用心棒として雇った少女・凜が、壮絶な戦いに身を投じる姿が描かれる。オール京都ロケで撮影された、残酷かつ躍動感あふれる世界観の映像、三池監督の演出と木村による殺陣にも注目。

ストーリー:100人斬りの異名を持つ万次(木村拓哉)は、わなによって妹を失い、謎の老人に永遠の命を与えられる。死ぬことのできない無限の体となった今、斬られた傷は自然に治るが、剣術の腕は落ちていた。ある日、孤独な万次の前にあだ討ちを頼みたいという少女・浅野凛(杉咲花)が現れる。彼女の願いを聞き入れた万次は、凛と共に剣客集団・逸刀流の首領である天津影久(福士蒼汰)の命を狙う。(シネマトゥデイより引用)

 

感想

三池崇史監督

本作でメガホンを取ったのは、どんな無茶ブリも「それなりの作品」に仕上げる職人監督(褒め言葉)三池崇史です。

Vシネ系作品も含めると、手がけた作品が多すぎて全ては把握できないくらい多作で、クエンティン・タランティーノを始め、多くの有名監督をファンに持つ世界的な監督でもあります。

近年では、数多くのマンガ原作の映画化を手がけていますよね。(評判は芳しくないみたいですが)

三池監督は基本、オファーを受けて映画を作る職人監督ですが、「13人の刺客」など時代劇も手がけているので、時代劇マンガの本作は期待していたんですけどね…(´ε`;)ウ・ウーン…

良かったところ

そんな本作で主人公万次役を勤めたのは、国民的アイドルの木村拓哉
「どんな役をやってもキムタク」と言われがちな彼ですが僕はそうは思ってなくて、例えば「ハウルの動く城」や「武士の一文」では、いわゆるキムタク感は全然感じなかったんですよね。

なので、彼が演じる役の多くでキムタク感を感じるのは、製作陣が「おぃ、ちょっ待ぁてぇよっ!」的なキムタク感を求めているっていうのと、見ているこっちの目にスーパースター木村拓哉というフィルターがどうしても掛かってしまう。っていうのがあるんじゃないかなーなんて思ったり。

で、本作ではどうかというと……うん、がっつりキムタクでしたねーw

いや、っていうか本作に限って言えば、主人公の万次自体が、ぶっきら棒な物言いをするキャラクターなので、キムタク感が出てるのは決してマイナスではないんですよ。
実際、最初のうちは「あーキムタクだなー」って思いましたけど、途中からは殆ど気にならなくなりましたしね。

それに、年齢を重ねてキムタクの顔にもいい感じに渋みが出てて、個人的には彼が主役なのは正解だなーと思いました。

そんな万次に仇討ちの助太刀を依頼しに来る、死んだ妹に瓜二つの少女「凛」を演じる杉崎花(最近ではソフトバンクのCMに出演してますよね)も、相棒となるキムタクとのバランスも良かったし、全身で演技している感じが好ましかったです。

凛の父親を斬り殺し、母親を陵辱の末に殺した剣客集団・逸刀流の首領である天津影久を演じた福士蒼汰は、身体能力も高いし、細かい演技も巧いなーと思いましたねー。あえて言えばラスボスとしては若干若いかな? とは思いましたけど。

そんな影久を付け狙う賞金稼ぎの尸良を演じた市川隼人も、これまでの役柄とは違い、心底ゲスな感じが新鮮だしとても良かったです。

あと、脇を固める 田中泯山崎努らベテラン勢と、閑馬永空役の市川海老蔵も、少ない出番ながら存在感を発揮してましたねー。

それと、影久を愛する女剣士、乙橘槇絵役の戸田恵梨香の足は綺麗でした

事ほど左様に、メインのキャスト陣はみんなかなり良かったんですよ。
ただ、登場人物が多すぎてストーリーはゴタついたり、いてもいなくても変わらないキャラも多数登場しているのが、もったいないって思いましたねー。

気になったところ 

と、ここからは気になってしまったところを挙げていきますね。

無駄に長い!

本作は約140分もあるんですが、体感では3時間くらいに感じましたよ。
というのも、いらないシーンや重複しているシーンが多いんですよね。

アバンの100人斬りより前のシーンは、丸ごといらないって思いました。
何故なら、中盤の万次と凛の会話シーンで、もう一回セリフで全部説明されるから。

100人切りのシーンからスタートしたほうが掴みとしてインパクトがあるし、アバン冒頭のシーンは中盤の会話ののBGVとして観せたほうがスッキリするんじゃないかと思いましたねー。

次に戸田恵梨香が戦闘の最中に、突然刀を捨てて自分の心情を吐露するシーン。
万次じゃなくても「何言ってんだお前」ってツッコんだんじゃないでしょうか?
その前に、福士蒼汰戸田恵梨香と廓で会うシーンがあるんだし、その時に迷ってる戸田恵梨香の表情のアップ一つでも入れておけば前振りにもなるけど、あれだとホント、何でイキナリそうなるのかが分からない。っていうかただの情緒不安定な人に見えちゃうんですよね。

そして映画終盤、万次のピンチで、万次を不死身の体にした八百比丘尼が現れて長々話すシーン。
多分観ていた人全員が「それ今じゃなきゃダメ!?」って思ったんじゃないかとw
多分、八百比丘尼“人ならざるもの”で、時間とか関係ないんだとは思いますが、だったら、万次にトドメを刺そうとしている敵の動きが突然止まるとか、そういうカットが入れたほうが納得度も上がったんじゃないですかねー?

他にも、素人目にも「ここいらないんじゃないの?」「ここは足さないと分からないんじゃないの?」と思うシーンがとにかく多いんですよ。

その辺の諸々を整理すれば、100分以内に収まるんじゃないかって思いました。

セリフ問題

本作で交わされる会話シーンを観ていると、何ていうか受け答えのセリフが芯を捉えてないというか、イマイチ噛み合ってないんですよね。
そのうえ言葉のチョイスが垢抜けてなくて、せっかくのカッコイイシーンも、なんかダサいんですよ。

全体的に上手いこと言おうとして失敗しちゃってるみたいな感じで、ちょっとイライラしてしまいました。

あと、マンガ原作なので、時代劇とは思えないくらいエキセントリックだったりファンキーだったりするキャラクターが登場するのは全然いいし、セリフが現代口調なのもある程度仕方ないと思うんですが、ただベラベラ早口で喋るんじゃなく、セリフの切れ目で緩急をつけたりするだけで、昔風な言葉を使わなくても時代劇っぽさが出るのになーって思いましたねー。

敵多すぎ!

本作でメインになるチャンバラシーンは、アバンでの100人斬り。
クライマックスでの対幕府300人斬りなんですが、正直、敵多すぎね? って思いました。
敵が画面に溢れてて、折角の万次や影久の殺陣がちゃんと見えにくい上に、カメラが万次の方にグイグイと寄っていく深作欣二的なカットも多いので、殺陣の全体像が見えない=万次の強さが全然伝わってこないし、絵面があまり変わらないので正直途中で飽きちゃうんですよ。

その辺は数の問題っていうより、演出や撮り方の問題って感じもしますけども。

同じ多数対少数のチャンバラを描いた「13人の刺客」は、群像劇だったので適度に画が切り替わって飽きない工夫がされてたんですが、本作では万次と影久の二人(乙橘槇絵も途中参加するけど)がひたすら斬りまくるだけですからね。

しかも万次は不死身設定なので「コイツ死んじゃうんじゃないの!?」っていうハラハラ感もないですしねー。

だから最後の“あるシーン”でも「でしょうね」としか思えない。
一応不死身の元である「血仙蟲」が弱ると傷が治らなくなる的な事は言ってますけど、万次の生死のルールがハッキリしてないので、斬るか斬られるか、生きるか死ぬかっていうサスペンスが生まれないんですね。

なんでもセリフで語りすぎ問題

前述の戸田恵梨香もそうですけど、逸刀流の皆さんチャンバラの最中に自分を語りすぎだと思います。まぁ、それが戦いの行く末や物語に関わってくることもあるので、仕方ない部分もあるんでしょうが、テレビドラマみたいに長いスパンで観せる物語ではないし、そこまで悪役の人生語られてもって思いました。

ただでさえ、エピソードもキャラクターも詰め込みすぎで物語が渋滞を起こしてるし、物語のテンポも悪くなっちゃいますしね。凛と影久の因縁も、わざわざ入れなくても物語は成立したんじゃないかと思ったし、個人的にはあんまり悪役に感情移入させるのってどうなのかなーと思うんですよねー。(もしかしたら原作に沿ってるのかもですが)

 

と、文句ばかり並べてきましたが、映像やキャラクターのビジュアルはカッコイイし、結構見ごたえもあって楽しめる作品ではあるのです。
久しぶりの時代劇ということで、三池監督が乗ってるのも分かるし、キムタクもかなり気合が入ってるのが画面から伝わってきましたしね。

ただ、それだけに肝心のストーリーや構成の雑さがノイズになってて、個人的にそこが本当にもったいないなーって思いました。
原作を読んでれば、もしかしたら評価も変わってたかもしれませんね。

興味のある方は是非!

 

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痛烈な皮肉を込めて“上っ面の理想”を描く「アメリカン・ビューティー」(2000)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、アカデミー賞作品賞を受賞した1999年の映画
アメリカン・ビューティー』ですよー!

漫画家の山田玲司先生が、自身のネット番組で激推しされてたので観てみました。
実際の事件を元にしたブラックコメディー? ですが、「アメリカ人の理想」という名の幻想を名匠サム・メンデスが皮肉たっぷりに描いた名作でしたよ!

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画像出典元URL:http://eiga.com

あらすじと概要

舞台を中心に活躍してきた英国の俊英サム・メンデスが、映画監督デビュー作にしてみごと第72回アカデミー賞で作品賞ほか全5部門を受賞したファミリー・ドラマ。あるサラリーマン家庭の崩壊劇を通して、現代アメリカの理想的家族の裏側に潜むそれぞれの孤独や不全感をシニカルな眼差しで描き出す。

主演はケビン・スペイシー、共演にアネット・ベニング、ゾーラ・バーチ、ミーナ・スヴァーリ。郊外住宅地で妻と高校生になる娘と平和に暮らすレスター。ところがある日、勤めていた広告代理店からリストラ宣告を受けてしまう。これをきっかけに、一見幸せに思えた彼の日常の歯車が少しずつ狂い始め…。(allcinema ONLINEより引用)

感想

元々は実話を元にしたミステリーコメディーだった?

映画評論家の町山智浩さんによれば、本作は元々、アメリカで実際に起こった殺人事件を元にしたコメディータッチのミステリー映画として脚本が書かれたようです。

しかし、「007/スカイフォール」「スペクター」などの監督で知られるサム・メンデスが、ビリー・ワイルダー監督の「サンセット大通り」や「アパートの鍵貸します」などから着想を得て、撮影監督のコンラッド・L・ホールと共に、格調高くアーティステックな映像に。さらに“ジャンル映画”に括られないようミステリー部分は排除して「文芸映画のようなコメディー?(ん? 逆かな?)」として本作を作り上げたんだそうですよ。
そう言われてみれば、確かに劇中にはコメディーシーンやミステリーっぽさがアチコチにあるんですよね。

アメリカン・ビューティー」はバラの品種

本作のタイトルでもある「アメリカン・ビューティー」は、真紅の花をつけるアメリカ発祥のバラの品種。
劇中、この薔薇は「豊かな家庭の象徴」や「官能の象徴」の象徴として描かれています。またこのタイトルは、表向きはアメリカ人の理想と思われている家庭が、その裏ではとっくに破綻しているという、痛烈な皮肉を表すダブル・ミーニングでもあるわけです。

ふた組の家族が織り成す物語

そんな本作で描かれるのは、どこにでもいる中流階級のある家族を中心にしたホームドラマ。

冒頭、ビデオカメラに撮された女の子が撮影相手に向かって「娘の友達を見てパンツの中にナニを発射する父親なんて恥ずかしい。死んでほしい」と言うと、「僕が殺してやろうか?」と撮影者。
するとジェーンが「殺ろしてくれるの?」と撮影相手を見つめるところでシーンは切り替わって、閑静な住宅外の空撮に。
その映像に乗せて男の声で「僕の名前はレスター・バーナム。僕は一年以内に死ぬ」(うろ覚え)というナレーションが入るんですね。

その声の主が本作の主人公レスターで、演じるのは名優ケヴィン・スペイシー
レスターは朝シャワーの時オ〇ニーするのが日課で、上昇志向の嫁さんと反抗期の娘には無視され、会社ではリストラ候補最有力のどこにでもいるボンクラなオヤジです。

アネット・ベニング演じる嫁さんのキャロラインは不動産売買の仕事をしてて、上昇志向が強く、理想の家庭と立場を手に入れようと、自己啓発のテープとか聞いちゃうような意識高い系ヒステリーおばさん
ソーラ・バーチ演じる娘のジェーン反抗期真っ最中で両親を絶賛軽蔑中なんですね。

郊外の閑静な住宅街に庭付きの一戸建てを構えるのは、外から見れば誰もが羨むアメリカ人の理想なんですが、その実彼らは家族としてとっくに破綻していて、冒頭の女の子はジェーンなんです。

で、レスターのナレーションで彼が死ぬことがあらかじめ分かっていて、最初は「レスターが誰に殺されるのか」というミステリー要素が推進力になって物語が進むんですが、徐々にバーナム家と、隣に引っ越してきた、ふた組の家族の物語へとシフトしていくんですね。

そんなある日、嫁さんに娘のチアリーディングを観に無理矢理連れて行かれたレスターは、そこで娘の親友アンジェラに一目惚れしてしまいます。エロ妄想の止まらない彼は、ジェーンとアンジェラが部屋で話してるのを盗み聞きするんですね

あんた(ジェーン)のパパがもうちょっとマッチョだったら、私、抱かれてもいいわ」なんてアンジェラの言葉にすっかり舞い上がってしまうレスターは、急にジョギングや筋トレを始める始末。

同じ頃、隣の家に引っ越してきたのが、海兵隊大佐フランク・フィッツ大佐クリス・クーパー)。ほぼ廃人の妻バーバラ(アリソン・ジャニー)、その息子リッキー(ウェス・ベントリー)の家族で、リッキーはビデオ撮影(盗撮)が趣味で大麻の売人です。

で、嫌々ながら嫁さんに連れて行かれた、不動産屋のパーティーでリッキーと出会ったレスターは、リッキーの「お客さん」になり、同時にリッキーのある行動に感銘を受けた彼は、それまで押さえつけていた「何か」が一気に弾けてしまいます。

長年勤めた会社を辞め、上司を脅迫し、若い頃憧れたファイヤーバードを購入。
ハンバーガー屋でバイトして、大音量で70年ロックを聞きながら、ガレージで筋トレしてリッキーから購入した大麻を吸うようになるんですね。

このレスターの行動で、破綻はしてはいても、それまで辛うじて家族の体裁を保っていたバーナム家は完全に崩壊してしまうのです。

一方、隣に引っ越してきたフィッツ家は、強権的な父親フィッツ“大佐”のDVに支配されている家族で、奥さんも息子リッキーも、フィッツ“大佐”には絶対服従なのです。

しかしその裏で、リッキーは大麻の売人で儲けてるわけですね。

つまり両家はそれぞれに「古き良きアメリカ」「強いアメリカ」の象徴で、しかしそんな幻想はとっくの昔に崩壊しているという痛烈な皮肉を、このふた組の家族に乗せて描いてるのです。

過去と現代アメリカを象徴するキャラクターたち

レスターは典型的なミドルエイジ・クライシス(中年の危機)です。
年齢的に人生のゴールが見えてきた中高年が陥る、ある種のうつ状態ですね。

それが娘の友達と隣の家の息子に触発されて、自分のままならない人生を変えようと行動を起こすんですが、でも、やってることは若かった頃の自分に戻ろうとあがいているだけ。「あの頃は良かった。もう一度戻りたい」と、美化した若き日の自分の行動を繰り返しているだけなのです。

 一方、嫁さんのキャロラインは、理想の自分、理想の家族、理想の暮らしにとり憑かれていて、旦那や娘もそのためのコマでしかないんですね。
しかも、自分自身にハッキリ「理想」の形などないので、仮に「今の理想」が実現しても決して満足は出来ないんですよ。

つまり彼女は「資本主義」を象徴するキャラクターなのです。
なので向上心がなく、挙句にグレてしまう旦那や、反抗期で言うことを聞かない娘に対していつもι(`ロ´)ノムキーってなってるわけですが、本当は頑張ってるのに理想の自分に辿り着けない自分自身に苛立っているわけですね。

で、お隣のフィッツ大佐は、元海兵大佐で非常に強権的な夫であり父親。
ずっと、気に入らない事があると、奥さんや息子に対して日常的に暴力を振るってきたことが分かります。
しかし本来の彼は小心者。軍人だったという経歴だけが彼の心の拠り所で、同時に社会から身を守るための鎧なんですね。(なので自己紹介でも名前に必ず「大佐」をつける)

奥さんのバーバラや息子のリッキーにも、そんな彼の本性はとっくにバレていて、二人は自衛のためにフィッツ大佐の機嫌を損ねないよう自分を殺しているのです。(そして専業主婦で逃げ場のない奥さんは心の病に)

言うまでもなく、フィッツ大佐は「強いアメリカ」の象徴で、彼の家族は、そんなのはとっくの昔に瓦解しているというメタファーになってるんですね。

対して、その子供たちは現代アメリカを象徴していて、娘のジェーンは胸にコンプレックスがあって豊胸手術のお金を貯めてるし、父親の前では従順なリッキーは、影で大麻の売人をして稼いでいるし、ジェーンの親友アンジェラは「平凡」と言われることを何より恐れています。

それぞれの「美」

で、この二世代6人は、それぞれに自分が抱いている理想の「美」があって、その違いを描くことで世代間の決定的な溝を暴いているんですね。
そして「理想のアメリカ」だの「古き良きアメリカ」なんてものは最早ただの幻想だと、重厚で美しい映像と、コントギリギリなコメディー描写で皮肉たっぷりに笑い飛ばしつつ、冒頭の振りから続くラストシーンで「本当の美ってこれだろ」と提示して見せるんですね。

つまり本作は「お前のその幻想をぶち殺す!」っていう映画なのですw

映像の素晴らしさ

そんな身も蓋もない内容でありながら、観終わったあとに感動してしまうのは、主演のケヴィン・スペイシーを始めとしたキャスト陣の快演もさることながら、やはり名匠サム・メンデス監督と大ベテランの撮影監督のコンラッド・L・ホールが作り上げた映像の素晴らしさがあるからだと思います。

キャラクターが置かれている状況や思想、心理状態、関係性などを一発で分からせる構図や色彩。シーンの繋ぎでそれとなく韻を踏んだり、逆に思い切りギャップを見せたり。

コメディーシーンでも、決して軽く下品になりすぎないように計算された画作りも含めて、非常に映画的で素晴らしいんですよねー。

まぁ、映像が凄すぎてコメディーシーンでも「これ…笑っていいのかな?」って戸惑っちゃうわけですけどもw

興味のある方は是非!!

 

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メルギブ監督最新作!「ハクソー・リッジ」(2017)

ぷらすです。

前回は“俳優”メル・ギブソンの最新作「ブラッド・ファーザー」をご紹介しましたが、今回ご紹介するのは“監督”メル・ギブソン10年ぶりとなる最新作『ハクソー・リッジ』ですよー!

いやもう、映画監督としてのメル・ギブソンの力量を思い知らされた本当に凄い作品でしたねー!!

というわけで、まだレンタルされて間がない映画なので、出来るだけ一番大事なところはネタバレしないように気をつけて感想を書きますが、これから本作を観る予定の方は、映画を観たあとにこの感想を読んでくださいね。

いいですね? 注意しましたよ?

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画像出典元URL:http://eiga.com

あらすじと概要

俳優として数々の話題作に出演し、監督としては『ブレイブハート』でオスカーも手にしたメル・ギブソンがメガホンを取って放つ感動作。第2次世界大戦中に銃を持たずに戦地入りし、多くの負傷した兵士を救った実在の人物をモデルに奇跡の逸話を描く。主人公を『沈黙 -サイレンス-』などのアンドリュー・ガーフィールドが熱演。自身の信念に基づき、勇気ある行動をとった兵士の物語が胸を打つ。

ストーリー:第2次世界大戦中、デズモンド(アンドリュー・ガーフィールド)は、人を殺してはいけないという信念を持ち、軍隊に入ってもその意思を変えようとしなかった。彼は、人の命を奪うことを禁ずる宗教の教えを守ろうとするが、最終的に軍法会議にかけられる。その後、妻(テリーサ・パーマー)と父(ヒューゴ・ウィーヴィング)の尽力により、デズモンドは武器の携行なしに戦場に向かうことを許可され……。(シネマトゥデイより引用)

 

感想

実は僕は、メルギブ監督作品は、日本では2007年公開の「アポカリプト」しか観ていないんですよね。(しかもDVDで後追い鑑賞)
というのも、メルギブ監督作品は重くて残酷で、痛々しい描写が多いという噂を聞いてしまったので、怖くて中々手が出せなかったのです。

で、以前に意を決して「アポカリプト」を観たらこれが超面白い!
いや、もちろん噂通り残酷だし痛々しい描写はてんこ盛りだったんですが、それ以上に一本の映画として本当に面白かったんですよ。

なので、本作公開時も劇場で観ようか迷ったんですが、個人的に苦手な戦争映画ということもあり、(劇場で観るのはしんどそうだったので)DVDレンタルになるのを待って、今回やっと観ることが出来ました。

実話を元にした物語

本作を一言で説明すると、戦争の過酷な最前線で、銃を持たずに75人もの負傷兵の命を救った若き衛生兵の物語です。

そして、この物語は実在の人物の伝記映画。

本作の主人公デズモンド・T・ドスは、キリスト教系の新宗教セブンスデー・アドベンチスト教会」の敬虔な信徒で、「汝殺すなかれ」という信条を持つ「良心的兵役拒否者」として衛生兵に志願。
武器を持つことを拒否し、衛生兵として過酷な沖縄決戦の最前線の戦いで、日本兵も含む75人を救い、(良心的兵役拒否者としては初の)名誉勲章を与えられた人物なんですね。

で、タイトルの「ハクソー・リッジ」とは、沖縄浦添城址の南東にある「前田高地」と呼ばれた日本軍陣地で、北側が急峻な崖地となっていて日米両軍の激戦地となったことから、米軍がこの崖につけた呼称(Hacksaw=弓鋸)だそうです。

信仰であり信念の物語

本作の主人公デズモンド・ドス (アンドリュー・ガーフィールド)は、・ヴァージニア州の緑豊かな町で生まれ育ち、幼い頃から兄と野山を駆け回る活発な少年。

そんな彼の父は、第一次対戦に参加し生還したもののPTSDに苦しみ、アルコール中毒で妻やデズモンドたちに暴力を振るう困ったパパ。

そんなある日、兄との喧嘩がエスカレートしたデズモンドは、レンガで兄の頭を殴り大怪我を負わせてしまいます。

ショックを受けた彼の目に入ったのは、家の壁に掛かっていた宗教画の「汝殺すことなかれ」の文字。

その教えを深く胸に刻み込んで成長したデズモンドは穏やかな青年に育ち、看護婦のドロシーと結婚の約束を交わすも、第二次世界大戦は日々悪化の一途を辿っていて、彼は傷ついた同胞を救うため「衛生兵」として、兵役志願を決意するのです。

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画像出典元URL:http://eiga.com /幸せの絶頂から

細身ながら体力があり、兵士としての訓練でも優秀な成績を収めていたデズモンドですが、銃を持つことは断固拒否。
そこから、彼の地獄がスタートするわけです。

臆病者呼ばわりされ、上官による組織的な嫌がらせや、仲間によるリンチ。挙句の果てには命令違反の罪で軍法会議にかけられ、刑務所送りになりそうになる始末。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 地獄にまっさかさま

その合間にも仲間や上官、ドロシーにまで「銃を持つか除隊するか」を迫られるデズモンドが、彼は決して自分の信念を曲げることはしなかったんですね。

そんな彼の行動や信念の強さには確かに感動するものの、(この時点では)正直、仲間や上官の気持ちも分かるので何とも複雑な気持ちになってしまいましたねー。

だって、兵隊に志願してるのに「銃には触りません!(`・ω・´)キリッ」とか言われたら、「じゃぁ志願すんなー!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ」って思ったり「うわーメンドクセー。コイツ除隊してくんねーかなー(´Д`)と思う気持ちも分かるってもんじゃないですかw

しかし、観客にもそう思わせる事が、メルギブ監督の仕掛けなんですよね。

周囲の圧力や甘言にも負けず、頑なに自分の信念を貫く前半のデズモンドが、果たして地獄のような戦場でも本当に信念を貫き通せるのかというのが後半への「引き」になり、この前半があるからこそクライマックスシーンでの彼の「ある行動」が、物語最大のカタルシスに繋がってデズモンドを応援せずにはいられなくなるわけです。

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画像出典元URL:http://eiga.com

つまり本作はキリスト教徒としての「信仰の強さ」という枠を超えて、如何なる暴力や圧力にも負けない信念という人間の崇高な強さを、身も蓋もないほど即物的な描写で観客に伝えようとしていると思ったし、それは多分、メルギブ作品全てに共通しているテーマなんだと思います。

そんな主人公役が、マーティン・スコセッシの「沈黙 -サイレンス-」では己の信仰を貫けなかった神父を演じたアンドリュー・ガーフィールドというのも、もしかしたらメルギブ監督の狙いだったのかなー? なんて邪推してしまいましたねー。

とにかく巧い! メルギブ監督の手腕に脱帽

容赦のない暴力&残酷描写ばかりが取り上げられがちなメルギブ監督ですが、彼の映画監督としての評価は映画ファンだけでなく、同業者からも高く評価されています。

本作でも、ストーリー運びの巧さやキャラ紹介のスマートさはもちろん、敵味方が混在する複雑な戦闘シーンでも観客が状況を把握出来る見事に整理された画作り、サスペンスシーンの盛り上げ方や音の使い方、伏線の張り方や回収の見事さなど本当に惚れ惚れしてしまいますよ。

もちろん、目を覆いたくなるような残酷描写や暴力描写は本作でも健在(というか過去最狂)ですが、それも本作でメルギブ監督が描きたいテーマをより際立たせるためには必要な描写で、決してゴア描写のためのゴア描写にはなっていないんですよね。(多少やりすぎ感は感じますがw)

ちなみに、本作の爆発シーンは全部CGかと思ったら、本当にスタントマンの近くで爆破してるらしいですし、戦闘のシーンの多くはCGじゃなく実写で撮影して、後から血糊などをCGで足しているらしいです。だからこそ観客が戦場に迷い込んでしまったような錯覚を覚えるほど、大迫力の戦闘シーンになっているんですねー。

ただ、太平洋戦争の沖縄決戦をアメリカ視点で描いた作品なのでイデオロギーが先に経ってしまったり、沖縄の方などは観ていて辛くなってしまうかも。

ですが、本作の主軸はそこではないし沖縄決戦を日本側の視点で知っている僕ら日本人だからこそ、他国の人よりも本作をより立体的に観ることが出来るんじゃないかと思います。

っていうか、一本の映画として超面白いので、諸々のことは一旦横に置いて、気になる人は観たほうがいい映画だと思いましたねー。

まぁ、残酷な描写が苦手な人には、あまり積極的にはオススメできませんけども。

興味のある方は是非!!

 

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俳優メルギブ復活の狼煙!「ブラッド・ファーザー」(2017)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、近年では監督として高い評価を得ている俳優のメル・ギブソンが久しぶりに主演を務めたアクションスリラー『ブラッド・ファーザー』ですよー!

少年時代に「マッドマックス」や「リーサルウェポン」を観ていた世代の人なら思わずグッときてしまう、俳優メルギブ復活の狼煙となる作品です!

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あらすじと概要

『ブレイブハート』など監督としても活躍しているメル・ギブソン主演のアクション。あるトラブルから、ギャング、警察、殺し屋に追われる娘を守り抜く元犯罪者の姿を追う。メガホンを取るのは、『アサルト13 要塞警察』などのジャン=フランソワ・リシェ。『天国の口、終りの楽園。』などのディエゴ・ルナ、『ファーゴ』などのウィリアム・H・メイシーらが出演する。

ストーリー:裏社会から去り、アルコール依存症から抜け出すためのリハビリをしながらひっそりと暮らしているジョン・リンク(メル・ギブソン)。ある日、数年前から音信不通だった娘のリディアが、彼の暮らしているトレーラーハウスを訪ねてくる。彼女はギャングとのもめ事を抱え、さらに警察と殺し屋にも追われていた。ジョンは、裏社会で培ってきたスキルを活用し娘を守ろうと……。(シネマトゥデイより引用)

感想

メル・ギブソンという男

メル・ギブソンといえば、伝説のアクション映画「マッドマックス」シリーズの初代マックスや「リーサル・ウェポン」シリーズのリッグス刑事を演じ、80年代のアクション映画を牽引したスターの一人。

また、「アポカリプト」や「ハクソーリッジ」など、映画監督としても高い評価を受ける一方、プライベートでは、アルコール依存症、離婚やDV疑惑、飲酒運転や人種差別発言など、多くの問題行動(発言)を起こしている事でも有名なんですね。

本作で彼が演じる主人公ジョン・リンクは、そんな浮き沈みの激しいメルギブ自身を投影したようなキャラクター。

元凶悪バイカー集団の構成員で、殺人などの罪で7年間の刑務所生活を終え、人生をやり直そうと禁酒セラピーに通い、トレーラーハウスで彫師をしながら細々と一人暮らしを送るリンクには、行方不明のリディア (エリン・モリアーティ)という一人娘がいます。

そのリディアはというと、母親と反りが合わずに家出をし、悪い男と付き合って麻薬の味を覚え、強盗殺人の片棒を担がされるんですが、間違って彼氏を射ってしまうんですね。それで、メキシコ麻薬カルテル系ギャングに追われてリンクに連絡してくるところから、物語が始まります。

本作は、そんな親子が敵組織に追われながら、一度は壊れた親子の絆を再生していくロードムービーで、また、元凶悪犯罪者の贖罪の物語でもあるんですね。

最強の極悪オヤジ

悪の組織から娘を守るために闘う最強オヤジの物語といえば、リーアム・ニーソンの「96時間」を連想しますが、ニーソンが演じるのが元CAIエージェントだったのに対し、本作でメルギブが演じるリンクは元極悪なバイカーギャング。

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普段は老眼鏡をかけて刺青を彫っている初老の男ですが、銃を持って娘を追ってきたギャングの若造相手にも一歩も引かずにド迫力の銅鑼声で一喝。さらに彼らの刺青をチラリと見ただけで所属組織を特定し、駐車している車をサクッと盗み、ハーレーを手足のように乗り回し、バイカーギャングのボスや、刑務所の中にいる“友人”にコネを持つ正真正銘本物のワルなのです。

若い頃は甘いマスクでアイドル的人気だったメルギブの、還暦を超えて深い年輪が刻まれ渋みが増した顔面に筋肉モリモリの腕が、そんな悪くて渋くてカッコイイ極悪オヤジというキャラクターにリアリティーを持たせてましたねー。(;゚∀゚)=3ハァハァ

マッドマックスとリーサル・ウェポンオマージュも盛りだくさん

本作では、メルギブが過去に主演した「マッドマックス」「リーサル・ウェポン」オマージュがふんだんに盛り込まれています。

主人公リンクがトレーラー暮らしなのは「リーサル・ウェポン」のリッグス刑事を思い起こさせるし、彼のトレーラーが襲撃され蜂の巣になるのは「リーサル・ウェポン2 炎の約束」のオマージュ。

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そして砂塵舞う荒野のシーンが続く展開は、メルギブの出世作「マッドマックス」を思い出さずにはいられないし、バイクを運転しながらストックを短くした2連ショットガンの片手打ちする姿はもう、モロにマックスですよ。

さらに、後半のクライマックスでの格闘シーンでは、両手を縛られたままの頭突きやリッグス刑事の得意技「噛みつき攻撃」まで網羅されてますからね。
もう、当時のファンなら「俺たちのメルギブが帰ってきた!
ヽ(;▽;)ノ」
と、思わずグッときてしまうんじゃないでしょうか。

前半で蓄えていた髭を、刑務所の“友人”に会うために剃ると、深いシワが増えているものの、懐かしいメルギブの顔になる演出も憎いですよねー。

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滅び行く種族

中盤、娘のリディアを連れて昔馴染みのバイカーギャングのボスに会いにいくリンク。
そこで、リディアに向かってボスが「俺たちは滅び行く種族だ」と言うシーンがあるんですね。

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これはもちろん、バイカーギャングが時代遅れの存在という自嘲の言葉なんですが、何となく80年代のマッスル思想で荒々しいアクション映画や、そんな映画を愛するファンに向かられた言葉のようにも感じたし、格闘技やリアルな銃の扱いを盛り込んだ“今どきのシュッとした”アクション映画に対するアンチテーゼのようにも感じました。

ダメ父親がたった一つだけ娘に伝えたこと

と、ここまでまるで、本作が昔のアクション映画やメルギブ主演作を懐かしむおっさん接待映画みたいな書き方になってますが、もちろんそれだけではなく、物語の主題はあくまで、父と娘が関係性を取り戻し、人生に向き合っていくという人間ドラマです。

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母親からも十分な愛情を与えられなかったリディアが失踪したとき、塀の中にいてリディアの助けになれなかったリンク。
道を違えて人生に絶望したリディアに、父親としてリンクがたった一つだけ伝えたこと。

それこそが、この作品の主題なのだと思うし、同時に演技の枠を超えてメルギブ自身の心情と重なるセリフだったのではないかと思ったりしましたねー。

 

アクションだけでなく、シンプルな物語に重厚な厚みを加えたメルギブの演技は素晴らしかったし、俳優メル・ギブソン復活の狼煙にふさわしい作品だと思いました!

興味のある方は是非!!!

 

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本当にシリーズ最後の作品!?「パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊」(2017)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、ジョニー・デップ主演のディズニー映画『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』ですよー!

僕はこのシリーズを、公開当時は観ていなくて後追いで一気に観たんですが、ジョニデ演じるジャック・スパロウを始めとした魅力的なキャラクターたちや、圧倒的な迫力の映像が素晴らしかったですねー。

本作はそんな「パイレーツ・オブ・カリビアン」のシリーズ最新作です。

で、まだDVDが始まったばかりの作品だし、出来るだけネタバレしないように注意して感想を書くつもりですが、これから観る予定の方は映画を観てから、この感想を読んでくださいねー!

いいですね? 注意しましたよ?

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あらすじと概要

ジョニー・デップが孤高の海賊ジャック・スパロウを演じる、大ヒットシリーズ第5弾となるアクションアドベンチャージャック・スパロウが、全ての海賊の滅亡をもくろむ“海の死神”サラザールとの闘いを繰り広げる。過去のシリーズにも出演してきたオーランド・ブルームジェフリー・ラッシュのほか、悪役に『ノーカントリー』などのハビエル・バルデムがふんし、カヤ・スコデラーリオやブレントン・スウェイツらが共演。監督を、『コン・ティキ』のヨアヒム・ローニングとエスペン・サンドベリが務める。壮大なスケールで描かれる冒険とバトルに注目。

ストーリー:ヘンリー(ブレントン・スウェイツ)は、過去に伝説の海賊ジャック・スパロウジョニー・デップ)と旅をした父のウィル・ターナーオーランド・ブルーム)の呪われた運命を、何とかしたいと考えていた。そこで海にまつわる伝説を調査したところ、呪いを解くには伝説の秘宝“ポセイドンの槍”が必要なことがわかる。その後、英国軍の水兵になったヘンリーが船に乗っていたところ、“海の死神”サラザールハビエル・バルデム)の襲撃に遭い……。(シネマトゥデイより引用)

 

感想

シリーズの歴史を感じさせる古参キャスト&新キャストが集結

シリーズ5作、1作目の「~呪われた海賊たち」から数えて17年も続く本シリーズ。
そんな本作には、1~3でジャック・スパロウと共に冒険を繰り広げたウィル・ターナーオーランド・ブルーム)の息子がメインキャラとして登場します。

映画冒頭、夜の海に浮かぶ小舟に乗った少年が、自分の足に石をくくりつけて海に身を投げます。
すわ自殺か!? と思ったらそうではなく、彼はシリーズ3作目「~ワールド・エンド」で、永遠の命を得る代わりに「フライング・ダッチマン号」の船長になり、10年に1度しか陸に上がれない呪いを受けたウィルの息子、ヘンリー(ブレントン・スウェイツ)なんですね。

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それから9年が経ち、父の呪いを解く事を誓うヘンリーは、イギリス海軍の乗組員として、伝説の海賊ジャック・スパロウジョニー・デップ)を探しているわけですが、彼の乗った船が「魔の三角水域」に入ろうとしている事に気づき船長に進言するものの相手にされず、逆に反逆者として捉えられてしまいます。

しかし、魔の三角水域に入った船は“海の死神”サラザールハビエル・バルデム)の襲撃に遭い、牢に囚われていたヘンリーはスパロウにある“伝言”を伝える事を条件に命を助けられるんですね。

一方、ガリレオ・ガリレイの日記の謎を解き明かした天文学者、カリーナ・スミス(カヤ・スコデラリオ)は、魔女として捉えられ、隙をみて逃亡している最中に銀行強盗をしているスパロウと遭遇。

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スパロウは結局、銀行強盗に失敗し部下たちからも見放され、カリーナは魔の三角水域を生き残ったヘンリーに会いに行き、すったもんだあって共通の目的である“ポセイドンの槍”を探す旅に出る事になるんですねー。

ヘンリー役のブレントン・スウェイツとカリーナ役のカヤ・スコデラリオは、中学生の頃に第1作を観たそうで、シリーズの歴史を感じます。

また、今回スパロウの敵である恐ろしい亡霊ラザールを、「ノーカントリー」の怪演などで知られる名優ハビエル・バルデムが演じています。

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その一方で、バルボッサ役のジェフリー・ラッシュや、ギブス役のケヴィン・マクナリーというお馴染みのメンバーに加え、初期3部作で登場したオーランド・ブルームエリザベス役のキーラ・ナイトレイマーティ役のマーティン・クレバなどオリジナルメンバーも復活。

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シリーズを観続けたファンにとっては嬉しいキャスティングなんじゃないでしょうか。

スパロウの叔父さんはあの人!?

そんな本作でジャック・スパロウの叔父「ジャックおじさん」を演じるのは、あのポールマッカートニー!

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出演のきっかけは、ポールのミュージックビデオに出演した縁で、ジョニで自ら出演を依頼したからだとか。

アカペラですがビートルズも最後のアルバム『レット・イット・ビー』(1970)のなかでカバーしている、”マギー・メイ”を歌っています。

それにしても、父親ローリング・ストーンズキース・リチャーズで、叔父さんポール・マッカートニーとか、スゴイ家系ですよねww

映像の迫力

 「パイレーツ・オブ・カリビアン」と言えば、あっと驚く発想を、迫力満点に描く映像の面白さが売りの一つですが、本作もスラップスティックなコメディーシーンから、船同士の戦闘シーンまで、実写とGCを組み合わせたリアルでド迫力の映像が目白押し。

特に、ラザールや部下の体が欠けていたり、海上でも髪の毛が水中にいるみたいにユラユラ揺れている感じなんかは如何にも「亡霊」といった不気味さで、ハビエル・バルデムの鬼気迫る演技と相まって非常に恐ろしい悪役になっていましたねー。

また、本作では若き日のスパロウがキャプテン(船長)になった経緯も語られるんですが、若き日のスパロウはミュージシャンで俳優のアンソニー・デ・ラ・トーレが実際に演じたものにデップの表情をデジタル加工して生み出されたんだそうですよ。

そして、スパロウが船長になったキッカケにはラザールとの、浅からぬ因縁があるんですね。っていうかスパロウ恨み買いすぎw

二組の親子の物語

本作では、もちろんジャック・スパロウが主役なんですが、過去作のように中心的な立ち位置というよりは、狂言回し的な役割に徹しています。

で、物語のメインはウィルとヘンリーのターナー親子と、もうひと組の親子の物語がメインで描かれているんですね。

本シリーズを観続けてきたファンの人なら、クライマックスのあるシーンに思わず涙してしまうかもしれません。

ファンは大満足だけど

そんな感じで、本作はシリーズ総決算とも言うべき作品だし、1作目から観ているファンの人にとっては大満足の一本なんじゃないかと思うんですが、本作から観た人との間には温度差もあるかもしれません。

もちろん、本作だけ観ても話の筋は分かるし、映像やキャスト陣の熱演もあり楽しめる配慮はされていますが、細かいところやファンなら「おぉ!」とアガるシーンなんかは、その前の作品を知らないと「??」ってなってしまうかも。

まぁ、それは本作に限らずシリーズ化された作品の宿命なんですけどねー。

なので、まずは本作を観て、面白かったら過去作に遡って観てみるのもアリなんじゃないかと思いますねー。

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「海賊もの」は当たらないという映画界のジンクスを、スタッフとジョニデが作り上げたジャック・スパロウというキャラクターや新たな解釈によって大ヒットに導いたこのシリーズ、観ないのはもったいないですよー!

あと、EDクレジットの後におまけ映像があるので、最後まで観たほうがいいですよー

興味のある方は是非!!

 

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