今日観た映画の感想

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ジェームズ・ワン監督最新作!期待に十分応える続編でテンション上がりっぱなし!「アクアマン/失われた王国」(2024)

ぷらすです。

先日、映画館でDCEUのラストを飾る作品『アクアマン/失われた王国』を鑑賞しました。前作に続き我らがジェームズ・ワンが監督ということで期待値爆上がりで観に行ったんですが、正直、前作には及ばなかったけど、期待には十分応えてくれる”普通に面白い作品”になっていましたねー。

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概要

海底王国アトランティスの末裔(まつえい)であるアクアマンが主人公のアクション『アクアマン』の続編。海洋生物と意思の疎通ができるアクアマンが、世界存亡の危機に立ち向かう。監督を手掛けるのは『ソウ』『インシディアス』シリーズなどに携わってきたジェームズ・ワン。前作でアクアマンを演じたジェイソン・モモアが続投し、『エッジ・オブ・バイオレンス』などのパトリック・ウィルソン、『ロンドン・フィールズ』などのアンバー・ハード、ヤーヤ・アブドゥル=マティーン二世、ニコール・キッドマンらが出演する。(シネマトゥディより引用)

感想

DCEUのラストを飾る

本作は、DCコミックスのヒーローたちが共演する「DCエクステンデッド・ユニバース」(DCEU)の第13作目にして最後の作品となります。

そのへんの詳しい経緯については当ブログでも何度も触れていますが、超ザックリ言うと世界的で爆発的ヒットを飛ばした同じくアメコミ原作シリーズMCUを真似したけど上手く行かず、すったもんだ紆余曲折の大迷走の挙句に「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のジェームズ・ガンをCEOに招いて「DCユニバース」(DCU)として仕切り直すことになったんですね。

しかし、この問題の責任は制作側や作品の出来云々ではなく、DCや親会社ワーナーブラザースの経営陣にあるというのが僕の個人的な意見。

ザック・スナイダー主導体制で2013年「マン・オブ・スティール」からスタートしたDCEUは、1980年代のアメコミ・通称「モダンエイジ」の作品をベースにしています。

「モダンエイジ」とはざっくり言うと過剰な暴力表現や大人の鑑賞にも耐えるダークで“括弧つき“のリアルな世界観のヒーローコミックのこと。

DCEUの前身でもあるクリストファー・ノーラン監督「ダークナイト」三部作の成功で、こちらの方向に舵を切ったDCEUは、興行成績は悪くないものの評判の方は正直芳しくなかったし、作品を重ねるごとに批判も増えていったんですね。

そんなある意味ジリ貧だったDCEUを救ったのが2017年の「ワンダーウーマン」であり、我らがジェームズ・ワン監督の「アクアマン」だったわけです。

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特にアクアマンは、それまでの暗くて「リアル」ないわば厨二的DCEU世界に、アッパーで楽しいヒーロー像やストーリーなど小5男子的世界を持ち込んだことで、DCEUに転機をもたらしたと言っても過言ではない作品でした。

しかし、その後のDCEUは、DCや親会社ワーナー経営陣の作品への介入や度重なる方向転換や梯子外しが相次ぎ大迷走。
その末に2022年にDCフィルムズに代わるDCスタジオを設立。CEOにジェームズ・ガンとピーター・サフランを任命し、DCEUもDCUとしてリスタートを切る事になったわけです。

そんな大迷走の真っ最中に制作されていたのが本作「アクアマン/失われた王国」で、噂で聞く限り、ジェームズ・ワンも作品以外の部分で相当苦労させられたのだとか。

そんな状況下でも本作をしっかり普通に面白い作品に仕上げたのは、さすがワン監督だなーと思いましたねー。

ジェームズ・ワンとは

そんな前作「アクアマン」とその続編となる本作「アクアマン/失われた王国」を監督したジェームズ・ワンは中国系でマレーシア・クチンで生まれ。幼少期にオーストラリアのパースへ移住し、メルボルンのロイヤルメルボルン工科大学でリー・ワネルと出会って、2人で映画製作をするように。

その後、低予算のため18日間という短期間で撮影された初の長編映画「ソウ」が世界的大ヒットとなり、その後、「デッド・サイレンス」「インシディアス」シリーズ「死霊館」シリーズなど、主にホラー映画で次々にヒットを飛ばす一方で、「狼の死刑宣告」やワイルドスピード7作目「ワイルド・スピード SKY MISSION」などアクション大作でも高い評価を受け、今や、ハリウッドを代表する監督・プロデューサーの一人になっているんですね。

そんな彼の作風はとにかくサービス精神が旺盛。観客が求めていると思えば他の映画監督がやりたがらないようなベタすぎてちょっとダサいストーリー展開や設定も衒いなく作品に盛り込んでいくんですね。

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基本、映画監督って引き算でスタイリッシュな作品を作りたがる傾向があると思うんですけど、ワン監督は逆で、お客さんが望むものは全部乗せていく足し算スタイルなのです。

なので、彼の事を職業監督的に思う人もいるかもですけど、決してそうじゃなく、ワン監督は本当にそれがカッコいい・面白いって思ってやっているし、むしろそれこそが彼独自の作家性に繋がっているのだと思います。

そして本作へ

そんなワン監督なので、本作でもとにかく盛って盛って盛りまくっています。

前作のヒロイン・メラと結婚して赤ん坊の父親になっているアクアマンことアーサー。冒頭ではアトランティスの王として会議に忙殺される一方、アクアベイビーの子育てにてんてこ舞いの様子が描かれています。

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そんな本作でメインヴィランとなるのは、ブラックマンタことデイビッド・ケイン。

父を見捨て死なせたアーサーへの復讐心は消えておらず、前作で破壊されたパワードスーツのようなアトランティス製のオーパーツを探し南極を探索。そこで偶然、闇の銛・ブラック・トライデントとアトランティスの超兵器を手に入れた彼は―――というストーリー。地球滅亡を防ぐため、アーサーは前作のヴィランで弟のオームと協力する事になるんですね。

そう書くと、いろいろ暗い要素や葛藤シーンが入りそうなもんですが、基本本作は単純バカで脳筋の兄アーサーに知能派?で真面目な弟オームが振り回される展開が続くんですよねw

そして、劇中では「スター・ウォーズ」を始め様々な映画の「オマージュ」というより、その要素を抜き出して物語に落とし込んでいたり、劇中登場する敵の母艦やメカのデザインは「海底二万里」や「宇宙戦争」などの古典SFを連想させる作りになっているもの楽しいです。

あと、本作では原作マンガでもアクアマンのサイドキックになるタコのトポも登場。これがメッチャ可愛いし、二人の関係はどこかルークとR2D2を連想したりもします。出来るならもうちょっとトポの活躍シーンが観たかったですねー。

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あとはもう、僕らが「こうなって欲しい」「こうなったらいいな」という展開は全部入っているし、最初から最後までアッパーな展開が続くのでずっとテンションが上がりっぱなしでした。

ただまぁ、前作ほどの衝撃はなくて、とにかく普通に面白かったという印象ではあるんですけども。そこはまぁ、前述したように制作中、あちこちから横槍が入ったり、もしかしたら当初3部作の構想で進んでいたのが突然2作で打ち切りになったなんて事もあったのかな?なんて邪推したり。

それでも、ワン監督は最後は職人的にしっかり物語を〆てみせたし、これからスタートを切るジェームズ・ガン率いるDCUへのいい橋渡しになっていたと思いましたねー。

興味のある方は是非!!

 

 

 

 

70年代スラッシャーホラーを現代風にアップデート「X エックス」(2022)

ぷらすです。

今回ご紹介するのはA24制作のホラー映画『X エックス』ですよー!

この映画、三部作の1本目でして。2作目の「パール」の公開時の評判がメッチャ良かったので配信で観ようと思い、だったらせっかくだし3部作の1本目から順番に観ようということでアマプラで視聴しました。

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概要

ある老夫婦が暮らす家に足を踏み入れた若者たちの運命を描くホラー。1979年のアメリカ・テキサス州を舞台に、3組のカップルが映画撮影のために訪れた農場で悪夢のような出来事に遭遇する。監督・脚本は『キャビン・フィーバー2』などのタイ・ウェスト。『サスペリア』などのミア・ゴスがヒロインを演じ、『ザ・ベビーシッター ~キラークイーン~』などのジェナ・オルテガ、『プロムナイト』などのブリタニー・スノウ、『スコットという名の男』などのスコット・メスカディらが共演する。(シネマトゥディより引用)

感想

70年代スラッシャーホラーを現代にアップデート

本作は、続編の「Pearl パール」「MaXXXine(原題)」と合わせ、A24初の3部作シリーズとなる予定の1作目です。

舞台は1979年のテキサスの田舎。そこの農家にポルノ映画の撮影に訪れた6人の男女が史上最高齢のシリアルキラー夫婦に襲われるという、超のつくどシンプルな物語で、ホラー好きなら「悪魔のいけにえ」などの1970年代スラッシャー映画をやろうとしてるんだなとピンとくると思います。

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実際、衣装や大道具、小道具や映像もしっかり当時を再現していて、出演者もちゃんと当時の人に見えるようになっているし、冒頭の画角も「悪魔のいけにえ」の16㎜フィルムと同じアスペクト比を納屋?のドア枠を使ってアナログ的に再現するなど、細かい工夫がなされているんですよね。

また劇中では70年代~80年代のホラー映画の名シーンを引用オマージュしつつ、前半で使った構図と同じ構図を、後半の違うシチュエーションで使うことで、伏線回収――というよりは韻を踏むように重ねるという、ヒップホップ的な手法で70年代スラッシャー映画を現代的にアップデート。同時にその手法にテーマ性やストーリー&映画的な効果を盛り込んでいくあたりが、「あぁA24ぽいなー」と感じました。

一人二役

史上最高齢シリアルキラーババアのパールと、ヒロインであり本作のファイナルガール(最後に生き残る女の子)でもあるマキシーンを、本作ではミア・ゴスが一人二役で演じています。

この一人二役にもちゃんと物語的意味があって、マキシーンはスターを夢見るストリッパー。恋人で自称プロデューサーのウェインが製作しているポルノ映画を足掛かりに成り上がろうという野望を抱いていて、一方のパールの方は、昔ダンサーだったらしい事が本人の口から語られます。

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つまり、パールにとってマキシーンは美しく輝いていた過去の自分の姿であり、マキシーンにとってパールは(なりたくない)未来の自分という相関関係になっているのですね。

パールの劇中最初の殺人シーンはライトの点いた車の前で行われ、被害者の血がライトにかかって真っ赤な照明で照らされたようになり、殺人が終わると彼女はその赤い照明に照らされて踊るというシークエンスがあるんですが、それは彼女の脳内が殺人によってダンサーだった自分に戻っていることを示しているんだと思います。

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老いとジェネレーションギャップ

そんな本作のテーマの一つは「老い」もう一つは「ジェネレーション」で、パールは若く美しいマキシーンに嫉妬を感じながらも、美しかった過去の自分を重ねて執着している。一方でパールの夫ハワードも、同じ様にまだ若く“現役”のウェインやポルノ男優のジャクソンに嫉妬を感じているわけです。

同時に、その嫉妬は「若さ」だけではなく、パールとハワードは二度の大戦によって多くの時間を失っているし、時代的にも自由に生きる事が難しかったことは想像に難くありません。

少なくともハワードは、大国アメリカの繁栄は自分たちの命がけの戦いの上に成り立っている。と思っているハズ。

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しかし、彼の農場にやってくる若者たちはハワードたちが手に出来なかった自由を謳歌し、乱れた性行為を行う。さらに両者はベトナム戦争を挟んで分断されているので、ハワードやパールが持つ、”古き良きアメリカ”という常識や思想を若者たちは受け継いでいない、もしくは否定しているように(二人には)見えるわけで、ハワードやパールはそんな彼らとのジェネレーションギャップにも憤りや嫉妬を感じているんじゃないかと思いました。

家のテレビでずっと流れているキリスト教原理主義の集会(ミサ?)は、そんな二人の心情の現れなのだと思います。

ややかったるい

そんなわけで、一見単純な物語ながら、幾重にもレイヤーが重なった構成は非常に上手いし、A24らしいとは思うんですが、本作の構成上、まるっと前半は後半へのフリに使われていて、これといってホラー的なことは何も起こらないんですよね。

個人的には、この何もないフリの時間が正直長いし、ややかったるいと思いました。

その分、後半に入っての畳みかけは凄いんですけど、全体を通して観ればちょっとバランスも悪い感じがするし、やや物足りなさも感じてしまいましたねー。

まぁ、とはいえ三部作の一作目でもあり、パールとハワードというシリアルキラー夫婦の紹介編でもあるので、これ以上のショックやスラッシャー展開は続編となる「パール」で展開されるのかもしれません。

興味のある方は是非!!

コカインでラリったクマちゃんが大暴れ「コカイン・ベア」(2023)

ぷらすです。

今回ご紹介するのはコカイン喰ってラリったクマちゃんが大暴れするサイコーの映画『コカイン・ベア』ですよー!

この作品の情報を知った時、「絶対面白い!映画館で観たい!」って思ったんですが、残念ながら地元の映画館では上映してなくて、先日Amazonレンタルで配信されていたのでやっと視聴しましたよ!

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概要

麻薬密輸人が捨てた大量のドラッグをクマが食べたという実話を基に、コカインで凶暴化したクマに襲撃される登場人物たちの惨劇を描いたパニックホラー。麻薬王や警察、子供と母親、レンジャー、不良少年などがさまざまな思惑を抱え、クマの潜む森に入っていく。監督は俳優で『ピッチ・パーフェクト2』などでメガホンを取ってきたエリザベス・バンクス。出演はケリー・ラッセルオールデン・エアエンライク、オシェア・ジャクソン・Jr、レイ・リオッタなど。(シネマトゥディより引用)

感想

実話を基にしたモンパニ映画

1975年、モンスターパニック映画(以下モンパニ映画)の金字塔となるサメ映画「ジョーズ」が公開されたあと、ピラニアやワニ、大蛇などなど二匹目のどじょうを狙って様々なモンパニ映画が流行した時期がありました。

翌年の1976年には巨大ハイイログマが人間を襲う「グリズリー」が公開され大ヒットになりましたが、僕の知る限りこの作品以降クマ映画で大ヒットを飛ばした作品はなく、やがてモンパニ映画自体が下火になっていったんですね。

クマ映画であまりヒット作が出なかった要因の一つは、技術的にクマの怖さを描き切れなかったこと。もう一つは「怖さ」に振り切れないってのがあると思います。

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近年、日本でも人間が野生のクマに襲われる事件が多発。全国的にクマの怖さは知れ渡っているとは思うんですが、その一方でクマちゃんって見た目が可愛いし動きも愛嬌があるじゃないですか。

サメやワニ、蛇などは意思疎通不可能な怖さがあって、ある意味モンパニ映画向きな動物だと思うんですが、クマちゃんってプーさん的な可愛いイメージもあって、どちらかというと「可愛い」をフューチャーしてる作品の方が多いんですよね。

で、そんなクマ映画が復活したのは2000年を超えてから。
CG技術の向上によってクマをフルCGで描けるようになり、これまでは技術的に撮影困難だったクマの凶暴性やリアルな怖さを十分に引き出せるようになったんですね。2014年の「ブラックフット」や2015年の「レヴェナント」が代表例でしょうか。

しかし、一方で可愛さの部分は置き去りにされていて、過去作品では怖さと可愛らしさという相反するクマの魅力を描き切るには至ってなかったわけです。

で、そんなクマちゃんの怖さと可愛さ両方の魅力を一本の作品で完璧に描いた奇跡の作品が本作「コカイン・ベア」なんですね。

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ギャングが飛行機から落としたコカインを食べたクマちゃんがラリって人を襲いまくるという、そのコンセプトだけでもう面白いんですが、驚くことに、この作品実話ベースなのです。といっても本当にラリったクマが人を襲ったわけではなく。
1985年、セスナ機でコカインを運んでいた運び屋が、アメリカ・ジョージア州の森に投下したコカインをクマちゃんが偶然食べてしまった――までは事実ですが、そのクマちゃんはコカインの過剰摂取で死んでしまったんですね。

本作は身勝手な人間のせいで非業の死を遂げたクマちゃんに、せめて映画の中で復讐させてやろうという発想で作られているわけですが、これ、タランティーノの「イングロリアス・バスターズ」や「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」と同じな発想じゃないですか。

”動物”は死なない安心映画

最近、映画でワンコなどの動物が死ぬのは辛くて観られないという人もいますよね。

本作も森が舞台なのでクマちゃんだけでなく、他の動物やワンコも出てくるんですが、ご安心ください。

この作品、(人間以外の)動物は死にません。

ただ、その分人間はまぁまぁ残酷に死んでいくので、グロが苦手な人は注意が必要かもしれませんね。

ストーリーはタイトルそのまんまで、コカインでラリったクマちゃんが次々人間を襲うわけですが、別にクマちゃんは人間を食べるのが目的ってわけではなく、人間が持っているコカインや、服や荷物についたコカインの粉が目的。

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なので基本的には、コカインを探しに来たギャングや、偶然コカインを見つけた人々以外は襲われないんですけど、まぁ、色々巻き込み事故もあったりして無駄に、そして景気よく人が死んでいくのもそれはそれで見どころだったりします。

まぁ、本作でクマちゃんに殺られてしまう人は大体、死んでも観ているコッチの心が痛まないキャラ設定になっていて、なのでクライマックスのラスボス戦あたりでは観客がクマちゃんを応援しちゃうように作られているのも上手いなーと思いましたよ。

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やろうと思えば続編も作れそうなラストだったし、作品の評価もかなり高いみたいなので、もしかしたら今後シリーズ化するかも。楽しみですねー。

興味のある方は是非!!

ヒーロー映画に求めるものが全て入っている「ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック!」(2023)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは『ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック!』ですよ。

タイミングが合わず、この作品を映画館で観ることが出来なくて昨日Amazonレンタルで視聴したんですが、「あーやっぱ映画館で観ればよかった!!」って思わされた映画でしたねー。

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概要

コミック、ゲーム、アニメなどで人気を博した『ミュータント・タートルズ』シリーズのCGアニメ。4体のカメ忍者が、謎の犯罪組織に立ち向かう。監督は『ミッチェル家とマシンの反乱』などの脚本を手掛けてきたジェフ・ロウ。シャモン・ブラウン・Jr、アニメ「ドラゴン:レスキューライダーズ」シリーズなどのニコラス・カントゥ、アニメ「グレッグのダメ日記」などのブレイディ・ヌーンのほか、ジャッキー・チェンジョン・シナポール・ラッドらがボイスキャストを務めている。(シネマトゥディより引用)

感想

ミュータント・タートルズ」最新版

本作は、1984年にミラージュ・スタジオから出版されたケヴィン・イーストマンとピーター・レアードによるアメコミ「ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ」が原作で、これまでゲームやアニメ、実写映画などで何度も映像化。日本でもテレビアニメシリーズとして放送されていたので知ってる人も多いのではないでしょうか。

知らない人のためにザックリ説明すると、彼らはニューヨークの下水道を根城にする、レオナルド、ラファエロミケランジェロ、ドナテロというカメのミュータントで、義父であり師匠でもあるネズミのミュータント・スプリンターに武術や忍術を仕込まれ、人知れず悪と戦うティーンエイジ・ヒーロー。

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本作はその最新作で、彼らと師匠のスプリンター、ヴィラン達が、ある企業の科学者によって作られた薬品によって突然変異し、ミュータントになるというオリジンが描かれていて、本シリーズのヒロイン、エイプリルもタートルズと同年代の高校生という設定になっています。

まるで手書き&手塗りのような映像表現

アニメの映像表現というと2019年公開「スパイダーマン・スパイダーバース」がありますよね。

3DCGアニメーションながら、日本のリミテッド・アニメーションのキャラやカートゥーンアニメ的キャラも登場、そんな彼らが全く違和感なく同じ画面で動くという驚愕の映像表現。昨年公開の「アクロス・ザ・スパイダーバース」では一回見ただけではすべてを把握するのは不可能なくらい映像の情報量が上がっていて、まさにアニメーションの最新到達点と言った感じで誰もが度肝を抜かれました。

対する本作も3Dアニメーションですが、制作陣のインタビューによればティーンエイジャーが楽しく親近感のあるタートルズにするため「ノートの端に書いた落書き」をテーマにビジュアルを決め、あえてメチャクチャな遠近法やフリーハンドのような歪ませた線を取り入れ、色もまるで手塗りのような質感を再現しています。

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動きの方は言うまでもなく素晴らしいし、ある意味でスパイダーバースとは双極というか、まったく遜色ない映像だと思いましたねー。

ざっくりストーリー紹介

そんな本作のストーリーをざっくり紹介すると、マッドサイエンティストバクスターが動物をミュータント化させるための血清「ミュータンジェン」を開発。ハエのミュータント化に成功していた彼ですが、そこに血清を狙うTCRIという組織の武装部隊の攻撃によって命を落とします。そしてミュータンジェンが入った瓶が地下へと転げ落ちていきました。

それから15年後、ミュータントジェンを浴びたタートルズたちは、同じくミュータントになったネズミの義父であり師匠でもあるスプリンターによって育てられ、武芸や忍術を身につけますが、年頃の彼らは人間界に憧れ、同年代の人間と同じように高校生活を送りたいと思っているんですね。

そんな彼らは偶然、ジャーナリストを目指す少女エイプリルと出会い、協力して街で犯罪を繰り返しているギャング・スーパーフライの捕獲を提案。タートルズは世間に認められ堂々と街を歩く夢を叶えるためにエイプリルと手を組むことを決めるのだが――という物語。

もうお気づきとは思いますが、このスーパーフライは、ミュータント化したハエであり、彼と”兄弟たち“はミュータンジェンでミュータントの世界を作り、人間を滅ぼそうとしているわけです。

タートルズは自分たちと同じミュータントに出会えたことを喜びますが、スーパーフライの計画には賛成できず。そこにしつこくミュータンジェンを狙うTCRIと義父スプリンターも加わってNYは大騒ぎになるという乱暴に言えばX-MEN的な展開になるわけですね。

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そんな物語の中にはもちろん差別問題だったり、アメリカのみならず世界中に広まる不寛容や分断が描かれているわけですが、本作ではそれらのテーマを大上段に掲げることなく、あくまで「ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ」として明るく楽しいヒーローアクションになっているし、ちょっとネタバレになりますが、ある事件以降ずっと人間を毛嫌いしていたスプリンターに人間が手を差し伸べ、タートルズたちと共闘するシーンなどは、サムライミの「スパイダーマン2」を連想してしまう、僕がヒーロー映画にこうあって欲しいと求めている展開で、もう激アツでしたよ!!

そうそう、こういうのが観たかったんだ!ってなりましたねー。

今は、MCU、DCUという2大アメコミ映画カンパニーが大迷走中で、ファンも離れている状況ですが、両トップ陣営の人たちは本作を観て、今一度初心に立ち返って欲しいと思いました。

興味のある方は是非!!

 

全てが丁度いい映画「ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り」(2023)

この度の令和6年能登半島地震で被災された方、また不幸にも亡くなられた方に、お見舞いとお悔やみを申し上げます。

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、昨年公開の「ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り」ですよ。

同名のTRPGを原作にした同名映画シリーズのリブート作品で、クリス・パインミシェル・ロドリゲスが主役を務めた話題作です。

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概要

盗賊や戦士、魔法使いといった個性豊かなメンバーが巨悪に立ち向かうアクションファンタジー。さまざまな種族やモンスターが生息する世界で、盗賊である主人公がユニークなメンバーとチームを組み、世界を脅かす悪の勢力とバトルを繰り広げる。出演は『スター・トレック』シリーズなどのクリス・パインや『ワイルド・スピード』シリーズなどのミシェル・ロドリゲス、『噂のモーガン夫妻』などのヒュー・グラントなど。監督を『お!バカんす家族』などのジョン・フランシス・デイリーとジョナサン・ゴールドスタインが務める。(シネマトゥディより引用)

感想

原作はTRPG

本作の原作となるのは1974年に誕生したテーブルトークロール・プレイング・ゲームTRPG)の「ダンジョンズ&ドラゴンズ」です。

僕はまったくの門外漢なので詳しいことはよく分からないんですが、いわゆるTRPGの元祖だそうで、現在も世界中に熱狂的なファンを持つシリーズらしいんですね。
で、そんなD&Dを原作に2000年から映画「ダンジョン&ドラゴン」三部作が公開(2・3はDVDスルー)されたそうですが、こちらはあまり人気がなかったみたいですね。

で、リブートの企画が立ち上がるも、色々あったらしく二転三転の末、「スパイダーマン:ホームカミング」の脚本も務めたジョナサン・ゴールドスタインとジョン・フランシス・デイリーのコンビが脚本監督でリブートされたという経緯だそうです。

ざっくりストーリー紹介

そんな本作のストーリーをざっくり紹介すると、吟遊詩人のエドガンはかつて世界の平和を守る秘密結社ハーパーに所属。貧しいながら愛する妻と一人娘キーラにも恵まれ幸せに暮らしていたんですね。しかし、恨みを持った輩に妻を殺されたエドガンは失意の中ハーパーの誓いを捨て荒んだ生活を送っていたんですが、偶然出会ったバーバリアンのホルガとともに娘キーラを育て、生活のため魔法使いサイモン、詐欺師フォージらと組んで、人を傷つけず金持ちのみ標的とする盗賊になったわけです。

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そんなエドガンに目を付けたウィザードのソフィーナは、ハーパーの要塞・コリン砦にある宝の横取りを依頼。宝の中に死者を甦らせる「よみがえりの石版」もあることを知ったエドガンは、妻を蘇らせるためにキーラを家に残し最後の大仕事として砦に忍び込むのだが――。というストーリー。

いやいや、これ全然ネタバレじゃなくて、冒頭、盗みに失敗し逮捕されたエドガンが恩赦を受けるために審問官に話した彼らの過去なのです。

で、刑務所から脱獄したエドガンとホルガは、詐欺師のフォージがネヴァーウィンターの領主となったことを知り、彼に託した娘キーラと再会するんですが、ファージの巧みなウソによりキーラはすっかり父親不信に。さらにファージがソフィーナと組んで二人をハメて逮捕されるよう仕組んだ事も分かるんですね。

そこで2人は石板と愛する娘キーラを奪還するため、昔の仲間、魔法使いのサイモンと、どんな動物にも化けられるドルイドのドリックと組んでダンジョンを攻略していくわけです。

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全てが丁度いい

で、まぁ、実は僕は中世を舞台にした感じのファンタジーが得意ではなくてですね。

なので、結局「ロード・オブ・ザ・リング」も見れてないんですが、そんな僕でも本作は楽しく観る事ができましたねー。

というのも本作はわりとコメディー寄りというか、ファンタジー世界のあれこれに作品内のキャラがツッコミを入れたり、種族やモンスター(例えば宝箱に擬態したミミックとか)の特性を逆手に取ってギャグにするなど。

そうした手法は、近年、様々なゲームやマンガ、アニメなどで受け手のファンタジーリテラシーが上がっているからこそ通用するメタ的な笑いですが、本作でもその笑いを上手く物語に入れ込んでいるんですね。

本作では、この笑いの部分とシリアスな部分のバランスが丁度いい感じで、だからファンタジーにそれほど詳しくない人でも楽しめる仕様になっているのです。

一方で、魔法一つとってもちゃんとルールがあり、そのルールに則って(もしくは逆手に取って)敵をぎゃふんと言わせる展開も面白かったですねー。

また、テーマ的にも色々な意味で挫折した負け犬たちがパーティーを組んで、それぞれが過去を乗り越えて一歩前進するというストーリー構成は2000年以降の王道でもあり、本作を「ファンタジーガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」という人もいるようですが、まさに言いえて妙という感じですよね。

上映時間もほぼ1時間30分とメッチャ観やすいし、昨今のハリウッド大作みたいに無理矢理なコンプラやポリコレもぶっこんできたりもしない。

全てにおいて丁度いい、いい意味でポップコーン映画になっていましたよ。

映像的には、ドルイドのドリックが様々な動物に変化しながら敵の追跡から逃げるシーンがめっちゃ良かったですねー。

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このドリックの女の子どっかで見た感じって思ったら、「IT」のあの女の子だったんですね。で、魔法使いのサイモンを演じているのは「名探偵ピカチュウ」の彼だったし、バーバリアンのホルガは安定のミシェル・ロドリゲス姐さんで、あまり役に立たない吟遊詩人の主人公エドガンを肉体派のクリス・パインが演じているのも凄く良かったです。

興味のある方は是非!!

 

今年観た2022・2023年公開の映画、個人的ベスト20

ぷらすです。

今年も残りわずかとなり、年末恒例、今年公開された作品の中で僕が個人的に気に入った作品ベスト10をランキング形式でご紹介していこうと思ったんです。

が、例年は前年度見逃した作品のベスト10、本年度観た映画のベスト10を分けて発表してたんですが、今年は本年度・前年度・その他合わせて35本しか観てなかったので、2022年+2023年公開作品の中からベスト20作品をご紹介していこうと思います。

いつものように、下にいくほど順位が上がっていきますよ。

 

20位 M3GAN/ミーガン (2023)

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今やホラー映画の枠を超えてハリウッドを代表する監督の一人になったジェームズ・ワンと、A24と並びホラー映画と言えばでお馴染みブラムハウスCEOジェイソン・ブラムが製作陣に名を連ねた今年の話題作です。

世界的おもちゃ会社で開発に携わる主人公が、不慮の事故で両親を失った姪っ子を引き取り、いろいろあってAIロボのミーガンを作るも、大変な目に遭うというストーリー。

劇中のミーガンの動きはCGではなく、ダンサーでもある少女エイミー・ドナルドがスーツアクターとしてミーガンのアクションを担当していて、CGとは違う肉体性が怖さや面白さを演出しています。TikTokでもバスったミーガンダンスとかね。

19位 アラビアンナイト 三千年の願い(2023)

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「MADMAX」のジョージ・ミラー監督のファンタジー映画です。

ナラトロジー(物語論)の専門家で主人公のアリシア役をティルダ様ことティルダ・スウィントン。ランプの精ジン役を2018年「最もセクシーな男性」に選ばれ次期007の噂もあるイドリス・エルバがそれぞれ演じています。

正直に言えばやや舌ったらずで傑作というほどではないものの、それでも映像の端々にはジョージ・ミラーらしい広がりと奇想天外なイメージが見え、テンポも良くて個人的には楽しめた作品でしたねー。

18位 私ときどきレッサーパンダ(2022)

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ディズニーピクサー25作目の作品ですがコロナ禍もあって日本では劇場公開されず、ディズニー+での独占配信という形式に。

ストーリー的にはアジア系親子関係というか、個人的には嫌いな言い方だけどいわゆる「毒親問題」を扱っていて、それが当たり前と思っていた主人公が色々な体験を経て成長。母親とも和解するという物語です。

中国系カナダ人家族が主役ということもあって、「またコンプラか」と食わず嫌いしてる人もいるかもですが、そう言うのは抜きにして普通に楽しく観られるし、そこはピクサー作品なので映像のクオリティーも高いしストーリーテリングも上手いので、おススメですよ。

17位 アンビュランス(2022)

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みんな大好きマイケル・ベイ作品です。

マイケル・ベイと言えば、とにかくカメラをメッチャ動かしまくり、無暗に爆発と破壊(クラッシュ)をぶち込むことから、ついたあだ名はハリウッドの破壊王

ファンから「マイケル・ベイ」と「Mayhem(破壊行為)」を合わせた、通称「ベイヘム」というミームになるくらい作家性の強い監督です。

本作も、マイケル・ベイ節炸裂で、特にドローンを使った誰も見たことがないカメラワークは必見ですよ!

16位 犬王(2022)

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世界的アニメーション作家・湯浅政明古川日出男の原作小説「平家物語 犬王の巻」をアニメ映画化した作品。

いわゆる常識や時代考証に囚われない自由な発想で制作された本作は手塚治虫の「どろろ」を連想させる物語。

呪いによって生まれた異形の子・犬王と親友となる琵琶法師・友魚と繰り広げる圧巻のライブシーンは見ごたえありです!

15位 LAMB/ラム(2022)

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カンヌ映画祭「ある視点部門」のオリジナリティ賞を受賞した北欧ホラーです。

過去に子供を亡くした羊飼いの夫婦。ある日、飼っていた羊が産み落としたのは――!?というストーリー。

ジャンプスケア(音や映像でワッと脅かすアレ)や悪趣味なビジュアルで怖がらせるタイプのホラーではなく、むしろ、ホラーというよりダークファンタジーに近い、ある意味で寓話的な物語。

セリフによる説明が殆どないし、解釈は観ている側にほぼ丸投げなので、やや難解に感じるかも。ただ、個人的にはラムちゃんがメッチャ可愛って思いました。(小並感)

14位 ザ・フラッシュ(2023)

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ザック・スナイダー主導で推し進めたDCEU(DCエクステンデッド・ユニバース)の終演とジェームズ・ガンのCEO就任でスタートするDCU(DCユニバース)を繋ぐという触れ込みで公開された本作。

超足が速いDCヒーロー、フラッシュが本気で走ったら足が速すぎて時空を超えちゃったというストーリーで、フラッシュの行動が世界に大混乱を引き起こす、いわゆるマルチバースものです。

だからといって難しい物語ではなく、なんなら本作だけ観ても内容は分かるし、最終的に家族の物語に収束していくのも個人的には良かったですねー。

13位 女神の継承(2022)

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2016年公開のホラー映画「哭声/コクソン」のナ・ホンジン監督が、原案とプロデュースを担当したタイ・韓国合同作品。

タイ東北部の村で、代々祈祷師の家系の女性二ムを追ったドキュメンタリーという体で物語が進むフェイクドキュメンタリー形式のホラーで、姪っ子のミンの奇行を見たニムは彼女が女神バ・ヤンの次の巫女に選ばれたのではと思ったのだが――というストーリー。

哭声/コクソン」は個人的に好きな作品だったので本作も楽しみに観たんですが、本作も物語的に捻られていて、個人的にはかなり面白かったです。

12位 ヴァチカンのエクソシスト(2023)

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実在のエクソシスト、ガブリエーレ・アモルト神父を演じるラッセル・クロウが小さなスクーターに乗る姿がサーカスのクマちゃんみたいで可愛いと評判になり、そんなアモルト神父が若き司祭トマースと組んで悪魔と闘うバディムービー的な内容が、まるでジャンプ漫画のようだと話題になったんですね。

僕は個人的に1973年の「エクソシスト」から悪魔祓い映画が大好きなので、本作もメッチャ楽しみましたねー。

11位 マーベルズ(2023)

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MCU33作品目ながら、ネットでは「大コケ」「大爆死」「MCU史上最低興行収入」とか言われている本作。

ただ、ストーリーはメッチャ面白かったしそれぞれキャラクターも良かったので、不評の原因は本作の内容ではなく、本作に至るまでのMCUと親会社ディズニーの方針や計画にファンが反発、本作はその巻き添えを食ってしまったという印象なんですよね。

まぁ、3人の主人公のうち2人がDisney+のドラマ版の主人公というのも不人気の原因かもしれませんが、でもミズ・マーベルことカマラ・カーンがめっちゃ可愛いので、気になる人は是非観て欲しいです。

10位 スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(2023)

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今年公開の大バジェット映画の特徴として”続き物”というのがあって、トム・クルーズ主演「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」や「ワイルド・スピード/ファイヤーブースト」を今年のベストに選ばなかったのも、それぞれ前後編・3部作の前編だったからという理由だったんですね。

で、本作は3部作の2作目なわけですが、じゃぁなんで本作を選んだのかといえば、前作以上にアニメーションが凄かったから。

前作でも、CG、2D、カトゥーンなど、異なる絵柄が一つの映像の中で違和感なく同居しているという離れ業でファンの度肝を抜いたんですが、本作ではさらに映像の密度と情報量が上がり、もはや1回観ただけではすべてを把握しきれなくなっているのです。

ストーリーも理想と現実の戦いというヒーローものが背負う宿命がテーマになっていて、しかもメッチャいいところで続いているので、次回作が待ち遠しくて仕方ないですよ。

9位 ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー VOLUME 3(2023)

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2014年公開の第1作、2017年公開の2作目に続く、GotG完結編。

個人的にSF映画があまり得意ではなくて、ゆえにあのスターウォーズにもあまり乗れなかった僕が初めてドハマりしたSF(というかスペースオペラかな)が、このガーディアンズ3部作なんですね。

そして、2014年から続く物語の最後を飾る主人公はスターロードことピーター・クイルではなく、これまでシリーズの中で唯一出自を語られなかったロケット・ラクーン。

本作ではそんなロケットの出自と成長が描かれ、シリーズも大団円を迎えるんですよね。

いやもうね、ただただ、ありがとうジェームズ・ガンと言いたいし、そんな彼が統括するDCU作品も楽しみにしていますよ!

8位 君たちはどう生きるか(2023)

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公開前の事前情報がなかったので、観る前は正直「2時間駿に説教されるような映画かも」と覚悟して観に行ったんですが、実際はそんなことはなく、今までの宮崎駿作品総決算と言う印象だったし、どこか黒澤明の「夢」を連想する作品でした。

その後、色々話題になったNHKのドキュメントが放送され、主人公の真人は駿で大叔父は高畑さん。本作は「宮崎駿高畑勲を殺す」ある種父殺しの物語であった事が分かりました。が、ある程度コアなジブリファンなら誰もが「うん知ってた」って思ったんじゃないかなw

7位 PIG ピッグ(2022)

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玉石混合、やたら出演作の多いニコケイの長編映画100本目に当たる映画です。

人里離れた山小屋に住み、相棒の豚と一緒にトリュフを採るのを生業にしている主人公がある日、何者かに相棒の豚を誘拐され――というストーリー。

とくれば、当然ジョン・ウィック的、もしくはトム・ヤム・クン!的な、ナメてた相手が――的展開かと思いきや、事態は思わぬ方向に転がっていくんですね。

一言で言えばヘンテコな映画ですが、何故かずっと心に残る映画なのです。

6位 ベネデッタ(2023)

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はい、みんな大好きポール・バーホーベン監督の最新作ですね。

スティーブン・スピルバーグジョージ・ミラー宮崎駿リドリー・スコットなどなど、ここ数年は70~80代の映画監督がモリモリ新作を発表しているわけですが、本作の監督ポール・バーホーベンも80歳を超えていながらコンスタントに新作を発表する老監督の一人で、しかもまだまだ枯れていないというか、全盛期のパッションを今も保ち続けている稀有な映画監督なんですね。

本作はそんな彼が、中世イタリアに実在し・同性愛の罪に問われ生涯修道院に隔離された実在の修道女ベネデッタ・カルリーニの半生を描いた物語。

いやはや、さすがはバーホーベン。やはり一筋縄ではいかない激ヤバ映画でした。

5位 NOPE ノープ(2022)

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ゲット・アウト」「アス」などのジョーダン・ピール最新作。
ゲット~では人種差別、アスでは貧富の格差を描いた監督が本作で描いたのは「見る・見られる」関係性で、”映画”そのものを本作に落とし込んでいるんですね。

それでいてジャンル映画、エンターテイメント映画としてもめっちゃ面白いので、まだ未見の人は観て損はしない作品です。おススメ!

4位 ゴジラ-1.0(2023)

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アメリカやイギリスなど、海外で歴史的大絶賛をされている山崎貴監督版ゴジラです。

一方、日本では公開当初は絶賛ムードだったものの、その後批判も増えてまさに賛否両論という感じ。まぁ、批判的な人の意見もメッチャ分かるんですよね。

決して手放しで褒められる映画ではないし、作劇の穴も多く語り口が上手くないところも。それでも僕が本作を評価するのは、初めて市井の人々から見たゴジラを描いたことと、終戦後の日本と主人公を通して、現代日本といわゆるZ世代の若者を描いたところが新しいと思ったからです。

1月には白黒版も公開されるらしいので、そっちも観に行こうかな。

 

というわけで、ここからはいよいよ、今年観た2022.2023年公開の映画、個人的ベスト3です。

 

3位 首(2023)

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北野武監督最新作で、あの「本能寺の変」を描いた歴史時代劇です。

こちらも賛否ある作品ですが、個人的にはめっちゃ面白かったです。

戦国時代を描いた群像劇ということもあって、恐らくは黒澤明をオマージュしているシーンも。それでいて、露悪的に死体や生首を大量に出すあたりは「アウトレイジ」感もあって、自ら羽柴秀吉を演じた監督は、そんな戦国武将のアレコレを大森南朋演じる義弟の秀長、浅野忠信演じる黒田官兵衛と一緒に茶化すコメディーリリーフになっています。あと、加瀬亮演じる信長のあの身も蓋もない感じもメッチャ良かったですねー。

2位 エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2023)

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スイス・アーミー・マン」のダニエル・クワン&ダニエル・シャイナート監督作ということで個人的にメッチャ期待していたんですが、個人的には期待を上回る面白さでした。ただ、賛否分かれるのも頷けるというか、誰にでも刺さる映画というわけではないんですよね。僕は大好きだけど、この作品がアカデミー賞総ナメしたと聞いた時は「え、マジで?」って思いましたしね。

MCUのお陰で広く浸透した「マルチバース」に混沌をもたらす強大な敵 ジョブ・トゥパキと主人公の中年女性エヴリンとの戦いをメインにしたストーリーですが、そこは「スイス・アーミーマン」の2人が監督ということで、一筋縄ではいきません。

一言で言えばめっちゃヘンテコな映画なんですが、スイス~同様に、そのヘンテコさがクセになるのです。

1位 フェイブルマンズ(2023)

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というわけで栄えある第1位は、スティーブン・スピルバーグ監督の半自伝的作品「フェイブルマンズ」でしたー!拍手喝采!(゚∇゚ノノ”☆(゚∇゚ノノ”☆(゚∇゚ノノ”☆パチパチパチ!!!

昨年の第1位が「ウエスト・サイド・ストーリー」ということで、スピルバーグ監督2年連続第1位と相成りました。

スピルバーグ監督の半自伝的作品ということで、「ジョーズ」や「未知との遭遇」「インディー・ジョーンズ」の裏側なんかが描かれるのかな?とワクワクしていたんですが、いざ蓋を開けてみたら、もっともっと前のスピルバーグが映画と出会いから映画作りにのめり込む少年時代を中心に描いていたんですよね。

それはまさに映画の神からスピルバーグ少年に与えられた祝福でもあり、同時に家族を壊す呪いでもあったわけです。うむむ、深い。

僕なんかはスピルバーグの映画で育ったと言っても過言ではない、まさにスピルバーグチルドレンですからね。そんな彼のルーツを観られてメッチャ良かったし、最後、まさかのあの人の登場には思わず爆笑してしまいましたよ。

 

というわけで、今年観た2022・2023年公開の映画、個人的ベスト20でした。

昨年はあまり映画を観られなかったので、今年こそは沢山映画を観ようって思ってたんですが、色々あって結局昨年よりも少ない本数しか観られませんでした。

なので、来年こそはもっと沢山の映画が観られることを祈って。

それではみなさま、よいお年を!(´∀`)ノシ

 

 

 

 

 

ヒーロー版リメンバー・ミー?「ブルービートル」(2023)

ぷらすです。

先日Amazonで、DCEU17作品目となるヒーロー映画「ブルービートル」のレンタルが始まっていたので、早速視聴しましたよ!

今回のヒーローはメキシコ人ということで、強い家族の絆が描かれていて、ちょっとピクサー映画の「リメンバー・ミー」を連想してしまいました。

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概要

様々な「DCコミックス」の実写映画作品を、同一の世界観のクロスオーバー作品群として扱う『DCエクステンデッド・ユニバース(DCEU)』シリーズの第17作品目の映画。

エイリアンが作り出した古代の寄生型超兵器「スカラベ」を思いがけず手にしたことで、どこにでもいる普通の青年ハイメの運命は一変。
スカラベの力で最強のヒーロー「ブルービートル」に変身した彼は、スカラベを狙う悪の企業から愛する家族を守るため戦う。

ドラマ「コブラ会」シリーズで注目を集めた若手俳優ショロ・マリデュエニャが主演、ブラジル出身のモデルで俳優のブルーナ・マルケジーニがヒロインを務め、名優スーザン・サランドンや人気コメディアンのジョージ・ロペスが脇を固める。

感想

DCEUの崩壊と巻き込まれたヒーローたち

DCヒーロー映画の成り立ちで言うと、1978年「スーパーマン」の空前の大ヒットがあり、その後、1989年~ティム・バートン監督の「バットマン」2部作、2005~クリストファー・ノーランの「ダークナイト」三部作(バットマン)が、それぞれ大ヒットを記録。(ドラマ版も好評だったけどここでは除く)

その後、MCUの躍進に触発され、DCEUを発足、数々の作品を世に出すものの「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」が賛否分かれる評価になったことを受け、親会社のワーナーブラザーズはDCEUの評価安定のためDCフィルムズを設立します。

その後、何度か好転の機会はあったものの、(恐らく)親会社ワーナーの介入によってDCフィルムズは大迷走。結局、2022年、DCフィルムズはDCスタジオに名を変え、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のジェームズ・ガンとピーター・サフランをCEOに任命。DCEUもDCUに名称を変更し、その内容を一新していく事になったんですね。

その結果、スーパーマン役のヘンリー・カヴィルワンダーウーマン役のガル・ガドット、サイボーグ役のレイ・フィッシャーバットマン役の ベン・アフレックらが降板する事態になり、さらに完成間近だったバットガールもお蔵入りに。

そんなDCEU最後の2作品として作られたのが来年1月公開「アクアマン/失われた王国」と、日本ではビデオスルーとなってしまった本作「ブルービートル」だったのです。

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え、それどんな気持ちで観ればいいの?って話ですが、「ブルービートル」と「アクアマン」はDCUに継続して出演という噂もあるので、それが真実であることを祈るのみです。

ざっくりストーリー紹介

そんな本作をざっくり紹介すると、大学を卒業したハイメが実家に戻ると、実家の自動車工場は潰れ、家も立ち退きを迫られていることを知らされます。ハイメは職を探すも中々上手く行かず、そんな時たまたまバイト先で出会った世界的企業コード社のジェニーと出会い、仕事を紹介してもらう約束をするんですね。

後日、面接の為コード社に赴いたハイメは、慌てた様子のジェニーからハンバーガーの箱を預かり、家に戻ってその箱を開けるとそこには虫型の小型デバイスのようなものが。

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すると突然そのデバイスがハイメに寄生。デバイススカラベ)の力でスーパーパワーを手に入れたハイメは、スカラベを狙うジェニーの叔母でコード社CEOのビクトリアと彼の部下で人間兵器のカラパックス から、大切な家族を守るため立ち上がるのでした。というストーリー。

MCUのパクリ?

なんですが、スカラベとそれを制御している(多分)AIのカージ・ダは、アイアンマンのJ.A.R.V.I.S.(ジャーヴィス)的な感じだし、ハイメの年齢は大学を卒業したばかりの22歳?ということや中盤のある展開もあって、全体の雰囲気はスパイダーマンっぽいなーという印象。

実際、ネット上では「MCUのパクり」なんていう批判も出てるわけですが、僕に言わせれば「それがどうした」と。

そもそも、DCコミックとマーベルに限らず、アメコミヒーローはパクリパクられが常ですからね。MCUホークアイだって元を辿ればDCコミックのグリーンアローのパクリだし、他にもキャット・ウーマン(DC)とブラック・キャット(マーベル)、フラッシュ(DC)とクイック・シルバー(マーベル)とか、言い出せばキリがないし、そもそもアメコミってそういうものだから

メキシカンヒーロー

で、そんな本作のオリジナリティーといえばハイメの家族。

ハイメの家はお父さん、お母さん、お祖母ちゃん、叔父さん、妹が同居していて、メキシコからの移民として虐げられているということもあってか、その繋がりはとても強いんですね。そんな彼らを見てピクサー映画の「リメンバー・ミー」を連想する人も少なくないかも。

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映画中盤、コード社に連れ去られたハイメを家族全員が力を合わせて救うという展開はベタっちゃベタだけど、やはりグッと来てしまうし、貧乏だけど仲良しな家族全員、それぞれキャラクターが立っているのもいい。

逆に悪役には、大会社の社長だけど過去に家父長制によって不利益を被ったジェニーの叔母ビクトリアを置くのも良い対比になっていると思いましたねー。演じるスーザン・サランドンの芝居がメッチャ憎らしいのも良かった。

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まぁだからと言って大傑作とまでは言えないし、物語的にもわりとこじんまりとまとめた印象で、CGも若干ショボい感じ。

まぁ、物語に関しては新ヒーローのオリジン(誕生譚)だし、初めましての自己紹介的意味合いもあるので、あまりややこしくせずに、このくらいシンプルで丁度いいのかもですね。

あと、DCEUといえば、モダン・エイジを原作にした、ザックスナイダー主導の暗くて『リアル』な映画というイメージの人も多いかもですが、その後、ジェームズ・ワン監督の「アクアマン」を契機に、「シャザム!」「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY」「ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結」など、明るく楽しい作品も増え、本作はその系譜にあって、大人から子供まで楽しめる作品になっています。

個人的にはDCUでも、新ヒーロー「ブルービートル」の活躍を(今度こそ大きなスクリーンで)観られるのを期待しています。

興味のある方は是非!!